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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-38757(P2021-38757A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】自走式スライダ、および直動機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20210212BHJP
   F16H 1/18 20060101ALI20210212BHJP
   F16H 37/12 20060101ALI20210212BHJP
   B66F 3/16 20060101ALI20210212BHJP
【FI】
   F16H25/20 H
   F16H1/18
   F16H37/12 Z
   B66F3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-158405(P2019-158405)
(22)【出願日】2019年8月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】桐原 武
(72)【発明者】
【氏名】船越 慎二
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭二
【テーマコード(参考)】
3J009
3J062
【Fターム(参考)】
3J009DA17
3J009EA06
3J009EA23
3J009EA32
3J009FA25
3J009FA26
3J062AA27
3J062AB01
3J062AB24
3J062AC07
3J062BA12
3J062CD03
3J062CD23
3J062CD54
3J062CG01
3J062CG83
3J062CG95
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ラックとピニオンとを備える直動機構をより小型化できる構造を有する自走式スライダ、および直動機構を提供する。
【解決手段】自走式スライダの一つの態様は、所定方向に延びるボルト22に対して所定方向に移動可能な自走式スライダであって、モータ41を有する駆動部40と、駆動部によって回転させられる駆動ハスバ歯車51、および駆動ハスバ歯車と噛み合う被動ハスバ歯車52を有する歯車機構部50と、を備える。被動ハスバ歯車は、ボルトの雄ネジ部22aと噛み合う雌ネジ部52dを内周面に有するナットである。駆動ハスバ歯車の回転軸J3と被動ハスバ歯車の回転軸J1とは、互いにねじれの位置にある。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びるボルトに対して前記所定方向に移動可能な自走式スライダであって、
モータを有する駆動部と、
前記駆動部によって回転させられる駆動ハスバ歯車、および前記駆動ハスバ歯車と噛み合う被動ハスバ歯車を有する歯車機構部と、
を備え、
前記被動ハスバ歯車は、前記ボルトの雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部を内周面に有するナットであり、
前記駆動ハスバ歯車の回転軸と前記被動ハスバ歯車の回転軸とは、互いにねじれの位置にある、自走式スライダ。
【請求項2】
前記駆動ハスバ歯車の回転軸は、前記所定方向と直交する方向に延びている、請求項1に記載の自走式スライダ。
【請求項3】
前記ボルトは、前記所定方向に延びるガイド溝を有するガイド部材に固定され、かつ、前記ガイド溝の内部に収容され、
前記ガイド溝は、開口部において幅が狭くなっており、
前記歯車機構部は、前記ガイド溝の内部に収容され、
前記駆動部は、前記ガイド溝の外部に設けられ、
前記駆動部の出力シャフトは、前記開口部を介して前記ガイド溝の内部に挿入される、請求項1または2に記載の自走式スライダ。
【請求項4】
前記歯車機構部は、前記駆動ハスバ歯車および前記被動ハスバ歯車を回転可能に内部に収容するギヤケースを有し、
前記ギヤケースは、前記開口部に通され前記ガイド溝の外部において前記駆動部に固定された固定部を有し、
前記固定部には、前記ガイド部材のうち前記開口部の幅方向両側に位置する部分と摺動可能な第1摺動部が設けられている、請求項3に記載の自走式スライダ。
【請求項5】
前記ガイド溝の外部において前記駆動部を収容するカバー部材をさらに備え、
前記所定方向は、鉛直方向であり、
前記カバー部材は、
前記駆動部を収容するカバー部材本体と、
前記カバー部材本体から突出して前記開口部に通され、前記ガイド部材に対して摺動可能な第2摺動部と、
を有し、
前記第2摺動部は、前記ガイド溝の内部において前記ギヤケースに対して鉛直方向上側から接触する接触部を有し、
前記カバー部材は、前記接触部を介して前記ギヤケースによって鉛直方向下側から支持されている、請求項4に記載の自走式スライダ。
【請求項6】
前記接触部は、前記ギヤケースのうち前記ボルトが通される孔の周縁部と接触している、請求項5に記載の自走式スライダ。
【請求項7】
前記接触部は、前記周縁部のうち、前記開口部の開口方向における前記カバー部材本体が位置する側の部分に接触している、請求項6に記載の自走式スライダ。
【請求項8】
前記駆動部は、前記モータに接続される伝達機構を有し、
前記駆動部の出力シャフトには、前記伝達機構を介して前記モータの駆動力が伝達され、
前記出力シャフトは、前記モータの中心軸に対して前記被動ハスバ歯車の回転軸から径方向に遠ざかる向きに偏心している、請求項1から7のいずれか一項に記載の自走式スライダ。
【請求項9】
前記雌ネジ部の前記所定方向の寸法は、前記被動ハスバ歯車のハスバ歯車部のピッチ円直径よりも大きい、請求項1から8のいずれか一項に記載の自走式スライダ。
【請求項10】
所定方向に延びるボルトと、
前記ボルトに対して前記所定方向に移動可能に取り付けられた請求項1から9のいずれか一項に記載の自走式スライダと、
を備える、直動機構。
【請求項11】
前記自走式スライダは、前記ボルトに対して複数取り付けられている、請求項10に記載の直動機構。
【請求項12】
モータを有する駆動部と、
前記駆動部によって回転させられる駆動ハスバ歯車、および前記駆動ハスバ歯車と噛み合う被動ハスバ歯車を有する歯車機構部と、
前記歯車機構部が連結され、所定方向に延びるボルトと、
を備え、
前記被動ハスバ歯車は、前記ボルトの雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部を内周面に有するナットであり、
前記駆動ハスバ歯車の回転軸と前記被動ハスバ歯車の回転軸とは、互いにねじれの位置にある、直動機構。
【請求項13】
前記ボルトは、前記所定方向に延びるガイド溝を有するガイド部材に固定され、かつ、前記ガイド溝の内部に収容されている、請求項12に記載の直動機構。
【請求項14】
前記ガイド溝は、開口部において幅が狭くなっており、
前記ガイド溝の最大幅は、前記被動ハスバ歯車の外径よりも大きく、
前記開口部の幅は、前記被動ハスバ歯車の外径よりも小さい、請求項13に記載の直動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式スライダ、および直動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの回転を直線運動に変換する直動機構が知られている。例えば、特許文献1には、モータによって回転するピニオンとピニオンに噛み合うラックとによって構成された直動機構を備えたワーク昇降装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−164577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラックとピニオンとを備える直動機構においては、モータの電源がOFFになった状態においてラックまたはピニオンに外力が加えられると、ピニオンが回転してラックとピニオンとの相対位置がずれる虞がある。そのため、ラックとピニオンとの相対位置を保持するロック機構等を設ける必要があり、直動機構全体が大型化する問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、小型化できる構造を有する自走式スライダ、および直動機構を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自走式スライダの一つの態様は、所定方向に延びるボルトに対して前記所定方向に移動可能な自走式スライダであって、モータを有する駆動部と、前記駆動部によって回転させられる駆動ハスバ歯車、および前記駆動ハスバ歯車と噛み合う被動ハスバ歯車を有する歯車機構部と、を備える。前記被動ハスバ歯車は、前記ボルトの雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部を内周面に有するナットである。前記駆動ハスバ歯車の回転軸と前記被動ハスバ歯車の回転軸とは、互いにねじれの位置にある。
【0007】
本発明の直動機構の一つの態様は、所定方向に延びるボルトと、前記ボルトに対して前記所定方向に移動可能に取り付けられた上記の自走式スライダと、を備える。
【0008】
本発明の直動機構の他の一つの態様は、モータを有する駆動部と、前記駆動部によって回転させられる駆動ハスバ歯車、および前記駆動ハスバ歯車と噛み合う被動ハスバ歯車を有する歯車機構部と、前記歯車機構部が連結され、所定方向に延びるボルトと、を備える。前記被動ハスバ歯車は、前記ボルトの雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部を内周面に有するナットである。前記駆動ハスバ歯車の回転軸と前記被動ハスバ歯車の回転軸とは、互いにねじれの位置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、自走式スライダおよび直動機構を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の直動機構が備えられた昇降装置を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態の直動機構の一部を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態の直動機構の一部を示す断面図であって、図2におけるIII−III断面図である。
図4図4は、本実施形態の駆動部および歯車機構部を示す斜視図である。
図5図5は、本実施形態の駆動部、駆動ハスバ歯車、および被動ハスバ歯車を示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態のカバー部材の一部および歯車機構部を示す斜視図である。
図7図7は、本実施形態の直動機構の一部を示す断面図であって、図3におけるVII−VII断面図である。
図8図8は、本実施形態の直動機構の一部を示す断面図であって、図9におけるVIII−VIII断面図である。
図9図9は、本実施形態の直動機構の一部を示す断面図であって、図3におけるIX−IX断面図である。
図10図10は、本実施形態のカバー部材の一部を示す斜視図である。
図11図11は、本実施形態の直動機構の一部を示す断面図であって、図9におけるXI−XI断面図である。
図12図12は、本実施形態の第2摺動部を示す斜視図である。
図13図13は、本実施形態の第2摺動部を示す分解斜視図である。
図14図14は、本実施形態の直動機構の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明においては、各図に示すZ軸と平行な方向を鉛直方向とし、「鉛直方向Z」と呼ぶ。鉛直方向Zのうち正の側、すなわち+Z側を鉛直方向上側とし、単に「上側」と呼ぶ。鉛直方向Zのうち負の側、すなわち−Z側を鉛直方向下側とし、単に「下側」と呼ぶ。各図に示すY軸と平行な方向を「幅方向Y」と呼ぶ。幅方向Yは、鉛直方向Zと直交する水平方向である。幅方向Yのうち正の側、すなわち+Y側を「幅方向一方側」と呼ぶ。幅方向Yのうち負の側、すなわち−Y側を「幅方向他方側」と呼ぶ。各図に示すX軸と平行な方向を「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは、鉛直方向Zと直交する水平方向であり、幅方向Yと直交する方向である。前後方向Xのうち正の側、すなわち+X側を「前側」と呼ぶ。前後方向Xのうち負の側、すなわち−X側を「後側」と呼ぶ。
【0012】
なお、本実施形態において鉛直方向Zは、所定方向に相当する。また、鉛直方向、前後方向、上側、下側、前側、および後側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0013】
図1に示す本実施形態の直動機構10は、対象物MOを鉛直方向Zに移動可能な昇降装置1に備えられている。対象物MOは、特に限定されない。対象物MOは、例えば、机、ディスプレイ等である。昇降装置1は、2つの直動機構10を備える。2つの直動機構10は、幅方向Yに間隔を空けて配置されている。直動機構10は、スライドガイド20と、自走式スライダ30と、を備える。自走式スライダ30は、スライドガイド20に対して鉛直方向Zに移動可能に取り付けられたスライダである。本実施形態において昇降装置1は、2つの直動機構10における自走式スライダ30によって対象物MOを下側から支持する。
【0014】
図2および図3に示すように、スライドガイド20は、ガイド部材21と、ボルト22と、を有する。すなわち、直動機構10は、ガイド部材21と、ボルト22と、を備える。本実施形態においてガイド部材21は、鉛直方向Zに延びる略四角筒状のレールである。ガイド部材21の前側の壁部には、鉛直方向Zに延びるスリット状の開口部23aが設けられている。開口部23aは、ガイド部材21の鉛直方向Zの全体に亘って設けられている。図3に示すように、開口部23aが設けられていることにより、ガイド部材21は、鉛直方向Zに見て前側に開口する角張ったC字形状となっている。開口部23aは、ガイド部材21の前側の壁部のうち幅方向Yの中心よりも幅方向他方側に偏った位置に設けられている。本実施形態において開口部23aの開口方向は、前後方向Xである。
【0015】
ガイド部材21の前側の壁部は、壁部を幅方向Yに分断し鉛直方向Zに延びる開口部23aを有する。以下の説明においては、ガイド部材21の前側の壁部のうち開口部23aの幅方向一方側に位置する部分を第1前壁部21aと呼び、ガイド部材21の前側の壁部のうち開口部23aの幅方向他方側に位置する部分を第2前壁部21bと呼ぶ。なお、本実施形態において第1前壁部21aおよび第2前壁部21bは、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分に相当する。
【0016】
ガイド部材21は、鉛直方向Zに延びるガイド溝23を有する。ガイド溝23は、後側に窪み、前側に開口する溝である。ガイド溝23は、溝本体部23bと、上述した開口部23aと、を有する。溝本体部23bの内部は、略四角筒状のガイド部材21の内部である。開口部23aの幅方向Yの寸法は、溝本体部23bの幅方向Yの寸法よりも小さくなっている。すなわち、ガイド溝23は、開口部23aにおいて幅が狭くなっている。溝本体部23bの幅方向Yの寸法は、ガイド溝23の最大幅に相当し、後述する被動ハスバ歯車52の外径よりも大きい。開口部23aの幅、すなわち幅方向Yの寸法は、被動ハスバ歯車52の外径よりも小さい。開口部23aの幅方向Yの寸法は、例えば、10mm以下である。開口部23aの幅方向Yの寸法は、好ましくは8mm以下である。
【0017】
図4に示すように、ボルト22は、鉛直方向Zに延びている。ボルト22は、鉛直方向Zに延びる中心軸J1を中心とする円柱状である。ボルト22は、外周面に雄ネジ部22aを有する。雄ネジ部22aは、ボルト22の外周面の全体に設けられている。図3に示すように、ボルト22は、ガイド溝23の内部に収容されている。より詳細には、ボルト22は、溝本体部23bの内部のうち幅方向一方側寄りの部分に収容されている。図示は省略するが、ボルト22の鉛直方向Zの両端部は、ガイド部材21の内壁面に、例えばネジ等によって固定されている。これにより、ボルト22は、ガイド溝23の内部に収容された状態でガイド部材21に固定されている。そのため、本実施形態においてボルト22は、回転しない。
【0018】
自走式スライダ30は、駆動部40と、歯車機構部50と、カバー部材60と、を備える。駆動部40は、自走式スライダ30を鉛直方向Zに移動させる動力源となる部分である。駆動部40は、ガイド溝23の外部に設けられている。駆動部40は、モータ41と、伝達機構42と、出力シャフト43と、を有する。図4に示すように、モータ41は、中心軸J2を中心として前後方向Xに延びる円柱状である。中心軸J2は、ボルト22の中心軸J1から幅方向他方側に離れて配置されている。中心軸J1と中心軸J2とは、互いにねじれの位置にある。中心軸J1と中心軸J2とは、幅方向Yに見て互いに直交している。
【0019】
図3に示すように、モータ41は、前後方向Xに延びる中心軸J2回りに回転可能なモータシャフト41aを有する。モータシャフト41aは、中心軸J2を中心とする円柱状であり、後側に突出している。モータシャフト41aの後側の端部は、伝達機構42に連結されている。
【0020】
伝達機構42は、モータ41に接続されている。より詳細には、伝達機構42は、モータ41の後側に接続されている。本実施形態において伝達機構42は、モータ41の回転を減速する減速機構である。伝達機構42は、図示しない複数のギヤと、複数のギヤを収容するケース42aと、ケース42aに固定されたフランジ部42bと、を有する。
【0021】
伝達機構42の図示しない複数のギヤは、モータシャフト41aと出力シャフト43とを連結している。これにより、モータシャフト41aの回転が、減速されて出力シャフト43に伝達される。すなわち、出力シャフト43には、伝達機構42を介してモータ41の駆動力が伝達される。図4に示すように、ケース42aは、中心軸J2を中心とする円筒状である。フランジ部42bは、ケース42aの前側の端部に固定されている。フランジ部42bは、ケース42aよりも鉛直方向Zの両側に突出している。
【0022】
図3に示すように、出力シャフト43は、伝達機構42から後側に突出している。出力シャフト43は、中心軸J3を中心として前後方向Xに延びる円柱状である。中心軸J3は、モータシャフト41aの中心軸J2と平行であり、中心軸J2から幅方向他方側に離れて配置されている。中心軸J3は、中心軸J2に対してボルト22の中心軸J1が配置される側と逆側に配置されている。すなわち、本実施形態において出力シャフト43は、モータ41の中心軸J2に対してボルト22の中心軸J1から径方向に遠ざかる向きに偏心している。中心軸J3の鉛直方向Zの位置と中心軸J2の鉛直方向Zの位置とは、例えば、同じである。出力シャフト43は、開口部23aを介してガイド溝23の内部に挿入されている。
【0023】
歯車機構部50は、ガイド溝23の内部に収容されている。より詳細には、歯車機構部50は、溝本体部23bの内部に収容されている。歯車機構部50は、駆動部40に連結されている。より詳細には、歯車機構部50は、出力シャフト43のうちガイド溝23の内部に挿入された部分に連結されている。歯車機構部50は、駆動ハスバ歯車51と、被動ハスバ歯車52と、ギヤケース53と、を有する。すなわち、直動機構10は、駆動ハスバ歯車51と、被動ハスバ歯車52と、ギヤケース53と、を備える。
【0024】
駆動ハスバ歯車51は、駆動部40によって回転させられる歯車である。駆動ハスバ歯車51は、出力シャフト43の中心軸J3を中心とする円筒状である。駆動ハスバ歯車51は、出力シャフト43のうち溝本体部23bの内部に挿入された部分の外周面に固定されている。図5に示すように、駆動ハスバ歯車51の外周面には、ハスバ歯車部51aが設けられている。ハスバ歯車部51aのねじれ角は、例えば、45°である。駆動ハスバ歯車51は、出力シャフト43が回転することによって、中心軸J3回りに回転させられる。すなわち、本実施形態において駆動ハスバ歯車51の回転軸は、出力シャフト43の中心軸J3であり、鉛直方向Zと直交する方向に延びている。
【0025】
被動ハスバ歯車52は、駆動ハスバ歯車51と噛み合う歯車である。被動ハスバ歯車52は、駆動ハスバ歯車51の幅方向一方側に位置する。被動ハスバ歯車52は、ボルト22の雄ネジ部22aと噛み合う雌ネジ部52dを内周面に有するナットである。雌ネジ部52dが雄ネジ部22aと噛み合うことで、被動ハスバ歯車52は、ボルト22に取り付けられている。これにより、歯車機構部50がボルト22に連結され、自走式スライダ30は、ボルト22に対して鉛直方向Zに移動可能に取り付けられている。
【0026】
本実施形態において被動ハスバ歯車52は、ボルト22の中心軸J1を中心として鉛直方向Zに延びる円筒状である。本実施形態において雌ネジ部52dは、被動ハスバ歯車52の内周面の全体に設けられている。被動ハスバ歯車52は、本体部52aと、一対の被支持部52b,52cと、を有する。
【0027】
本体部52aは、被動ハスバ歯車52のうち鉛直方向Zの中央部分である。本体部52aは、駆動ハスバ歯車51の幅方向一方側に位置する。本体部52aは、外周面にハスバ歯車部52eを有する部分である。すなわち、被動ハスバ歯車52の外周面には、ハスバ歯車部52eが設けられている。ハスバ歯車部52eは、駆動ハスバ歯車51のハスバ歯車部51aと噛み合っている。ハスバ歯車部52eのねじれ角は、例えば、45°である。本実施形態においてハスバ歯車部52eは、本体部52aの外周面の全体に設けられている。
【0028】
一対の被支持部52b,52cは、本体部52aの鉛直方向Zの両側にそれぞれ設けられている。被支持部52bは、被動ハスバ歯車52のうち本体部52aよりも上側に位置する部分である。被支持部52cは、被動ハスバ歯車52のうち本体部52aよりも下側に位置する部分である。被支持部52b,52cの外周面には、歯車部が設けられていない。被支持部52b,52cの外径は、本体部52aの外径よりも小さい。被支持部52b,52cの鉛直方向Zの寸法は、本体部52aの鉛直方向Zの寸法よりも小さい。
【0029】
被動ハスバ歯車52の鉛直方向Zの寸法は、被動ハスバ歯車52の外径よりも大きい。本実施形態において被動ハスバ歯車52の鉛直方向Zの寸法は、被動ハスバ歯車52の内周面の全体に設けられた雌ネジ部52dの鉛直方向Zの寸法と同じである。被動ハスバ歯車52の外径は、本体部52aの外径および被支持部52b,52cの外径を含む。
【0030】
雌ネジ部52dの鉛直方向Zの寸法は、例えば、本体部52aに設けられたハスバ歯車部52eのピッチ円半径よりも大きい。そのため、雌ネジ部52dの鉛直方向Zの寸法を大きくでき、ボルト22と被動ハスバ歯車52とが噛み合う部分の鉛直方向Zの寸法を大きくできる。これにより、ボルト22の雄ネジ部22aと被動ハスバ歯車52の雌ネジ部52dとにおいて互いに噛み合う歯部の数を多くできる。したがって、被動ハスバ歯車52に鉛直方向Zの力が加えられても、比較的多くの歯部によって分散して力を受けることができる。そのため、雄ネジ部22aおよび雌ネジ部52dに加えられる負荷を小さくしやすく、雄ネジ部22aおよび雌ネジ部52dが損傷することを抑制できる。
【0031】
雌ネジ部52dの鉛直方向Zの寸法は、例えば、ハスバ歯車部52eのピッチ円直径よりも大きい。そのため、雌ネジ部52dの鉛直方向Zの寸法をより大きくでき、ボルト22と被動ハスバ歯車52とが噛み合う部分の鉛直方向Zの寸法をより大きくできる。したがって、雄ネジ部22aおよび雌ネジ部52dに加えられる負荷をより小さくしやすく、雄ネジ部22aおよび雌ネジ部52dが損傷することをより抑制できる。
【0032】
雌ネジ部52dの鉛直方向Zの寸法は、例えば、ハスバ歯車部52eの鉛直方向Zの寸法よりも大きい。ハスバ歯車部52eのピッチ円直径は、例えば、雌ネジ部52dのピッチ円直径の2倍以下である。そのため、ハスバ歯車部52eのピッチ円直径を比較的小さくできる。これにより、歯車機構部50を前後方向Xに小型化しやすい。
【0033】
ハスバ歯車部52eのピッチ円直径は、例えば、駆動ハスバ歯車51のハスバ歯車部51aのピッチ円直径と同じである。ハスバ歯車部52eの鉛直方向Zの寸法は、例えば、ハスバ歯車部52eのピッチ円直径よりも大きい。
【0034】
被動ハスバ歯車52は、駆動ハスバ歯車51が中心軸J3回りに回転することによって、ボルト22の中心軸J1回りに回転させられる。すなわち、被動ハスバ歯車52の回転軸は、ボルト22の中心軸J1である。したがって、本実施形態において駆動ハスバ歯車51の回転軸と被動ハスバ歯車52の回転軸とは、互いにねじれの位置にある。駆動ハスバ歯車51の回転軸と被動ハスバ歯車52の回転軸とは、幅方向Yに見て、互いに直交する。被動ハスバ歯車52は、ボルト22に対して相対回転することで鉛直方向Zに相対移動が可能である。本実施形態においてボルト22は固定されているため、被動ハスバ歯車52は、中心軸J1回りに回転することで、ボルト22に対して鉛直方向Zに移動可能である。
【0035】
図3に示すように、ギヤケース53は、駆動ハスバ歯車51および被動ハスバ歯車52を回転可能に内部に収容している。図4に示すように、ギヤケース53は、ギヤケース本体53aと、固定部54a,54bと、を有する。ギヤケース本体53aは、駆動ハスバ歯車51および被動ハスバ歯車52を内部に収容する略直方体箱状である。本実施形態においてギヤケース本体53aは、上側ケース53bと下側ケース53cとが鉛直方向Zに固定されて構成されている。上側ケース53bは、下側ケース53cの上側に位置する。
【0036】
ギヤケース本体53aは、ギヤケース本体53aの前側の壁部を前後方向Xに貫通する出力シャフト挿入孔53hを有する。出力シャフト挿入孔53hは、中心軸J3を中心とする円形状の孔である。出力シャフト挿入孔53hの内径は、出力シャフト43の外径よりも大きい。出力シャフト挿入孔53hには、前側から出力シャフト43が挿入されている。
【0037】
図6に示すように、ギヤケース本体53aは、ギヤケース本体53aの後側の壁部を前後方向Xに貫通する軸受保持孔53dを有する。軸受保持孔53dは、中心軸J3を中心とする円形状の孔である。軸受保持孔53dの内径は、出力シャフト挿入孔53hの内径よりも大きい。軸受保持孔53dには、出力シャフト43の後側の端部を回転可能に支持する軸受部45が保持されている。軸受部45は、例えば、中心軸J3を中心とし、前後方向Xの両側に開口する円筒状のすべり軸受である。出力シャフト43の後側の端面は、軸受保持孔53dを介してギヤケース53の外部に露出している。
【0038】
図7に示すように、ギヤケース本体53aは、ギヤケース本体53aの上側の壁部を鉛直方向Zに貫通する孔53fと、ギヤケース本体53aの下側の壁部を鉛直方向Zに貫通する孔53gと、を有する。孔53f,53gは、中心軸J1を中心とする円形状の孔である。孔53f,53gの内径は、ボルト22の外径よりも大きい。孔53f,53gには、ボルト22が鉛直方向Zに通されている。ボルト22は、孔53f,53gを介して、ギヤケース本体53aを鉛直方向Zに貫通している。
【0039】
ギヤケース本体53aは、ギヤケース本体53aの後側の壁部を前後方向Xに貫通する貫通孔53eと、ギヤケース本体53aの前側の壁部を前後方向Xに貫通する貫通孔53iと、を有する。貫通孔53e,53iは、被動ハスバ歯車52の本体部52aと前後方向Xに対向している。貫通孔53eには、ハスバ歯車部52eの後側の端部が挿入されている。貫通孔53iには、ハスバ歯車部52eの前側の端部が挿入されている。このように、貫通孔53e,53iによってハスバ歯車部52eの一部を逃がせるため、ギヤケース本体53aの前後方向Xの寸法を小さくできる。したがって、歯車機構部50を前後方向Xに小型化できる。
【0040】
ハスバ歯車部52eの後側の端部は、貫通孔53eを介して、ギヤケース53の外部に露出している。ハスバ歯車部52eの前側の端部は、貫通孔53iを介して、ギヤケース53の外部に露出している。図6に示すように、貫通孔53eは、例えば、鉛直方向Zに長い長方形状の孔である。図示は省略するが、貫通孔53iも、貫通孔53eと同様に、鉛直方向Zに長い長方形状の孔である。
【0041】
図3に示すように、本実施形態においてギヤケース本体53aとガイド溝23の内側面との間には、隙間が設けられている。ギヤケース本体53aは、ガイド溝23の内側面と直接的には接触していない。
【0042】
図7に示すように、ギヤケース本体53aの内部には、軸受部56a,56bが保持されている。すなわち、直動機構10は、軸受部56a,56bを備える。軸受部56a,56bは、被動ハスバ歯車52をボルト22の中心軸J1回りに回転可能に支持している。本実施形態において軸受部56a,56bは、中心軸J1を中心とし、鉛直方向Zの両側に開口する円筒状の滑り軸受である。
【0043】
軸受部56aは、ギヤケース本体53aのうち上側ケース53bに保持されている。軸受部56aの内側には、被動ハスバ歯車52の被支持部52bが嵌め合わされている。これにより、被支持部52bは、軸受部56aによって回転可能に支持されている。軸受部56bは、ギヤケース本体53aのうち下側ケース53cに保持されている。軸受部56bの内側には、被動ハスバ歯車52の被支持部52cが嵌め合わされている。これにより、被支持部52cは、軸受部56bによって回転可能に支持されている。
【0044】
軸受部56a,56bによって被動ハスバ歯車52を回転可能に支持できるため、被動ハスバ歯車52をボルト22に対して好適に回転させることができる。また、本実施形態によれば、被動ハスバ歯車52は本体部52aの鉛直方向Zの両側に一対の被支持部52b,52cを有しており、一対の被支持部52b,52cは、一対の軸受部56a,56bによって回転可能に支持されている。そのため、被動ハスバ歯車52をボルト22に対して、より安定した状態で好適に回転させることができる。
【0045】
図4に示すように、固定部54a,54bは、ギヤケース本体53aから前側に突出している。固定部54aは、ギヤケース本体53aの上側の端部に設けられている。固定部54bは、ギヤケース本体53aの下側の端部に設けられている。固定部54a,54bは、ギヤケース本体53aのうち幅方向他方側寄りの部分に設けられている。固定部54aと固定部54bとは、設けられる位置が異なる点を除いて、同様の構成を有する。そのため、以下の説明においては、固定部54aと固定部54bとを代表して、固定部54aについてのみ説明する場合がある。
【0046】
図8に示すように、固定部54aは、固定部本体54cと、フランジ部54dと、を有する。固定部本体54cは、ギヤケース本体53aから前側に突出する部分である。固定部本体54cは、開口部23aを介して、ガイド溝23の外部に突出している。フランジ部54dは、固定部本体54cの前側の端部から幅方向Yの両側に突出する部分である。フランジ部54dの幅方向Yの寸法は、開口部23aの幅方向Yの寸法よりも大きい。フランジ部54dの前側の面は、伝達機構42のフランジ部42bの後側の面と接触している。
【0047】
固定部54aは、固定部54aの前側の端部から後側に窪む雌ネジ穴54eを有する。雌ネジ穴54eの後側の端部は、例えば、固定部本体54cの後側の端部に位置する。雌ネジ穴54eには、伝達機構42のフランジ部42bを前側から後側に貫通するネジ57が締め込まれている。これにより、ネジ57によって固定部54aと伝達機構42とが固定されている。このように固定部54aは、開口部23aに通されガイド溝23の外部において駆動部40に固定されている。固定部54bも、固定部54aと同様にして駆動部40に固定されている。
【0048】
固定部54a,54bが駆動部40と固定されることで、駆動部40と歯車機構部50とが固定されている。本実施形態では、ギヤケース本体53aの鉛直方向Zの両端部に設けられた一対の固定部54a,54bによって駆動部40と歯車機構部50とを固定できるため、駆動部40と歯車機構部50とを安定かつ強固に固定できる。
【0049】
固定部54aには、第1摺動部55aが設けられている。本実施形態において第1摺動部55aは、固定部54aと別部材である。第1摺動部55aは、固定部本体54cに取り付けられている。なお、第1摺動部55aは、固定部54aと一体成形されていてもよい。第1摺動部55aは、被覆部55cと、後側フランジ部55dと、前側フランジ部55eと、を有する。
【0050】
被覆部55cは、前後方向Xに見て下側に開口する角張ったU字形状の部分である。図4に示すように、被覆部55cは、固定部本体54cに上側から被せられている。被覆部55cは、固定部本体54cの上側および幅方向Yの両側を覆っている。図8に示すように、被覆部55cは、開口部23aに通されている。被覆部55cの幅方向Yの寸法は、開口部23aの幅方向Yの寸法よりも小さい。被覆部55cの幅方向両側の面は、開口部23aの幅方向両側の縁部のそれぞれと僅かな隙間を介して対向している。
【0051】
なお、第1摺動部55aが幅方向Yにずれる等によって、被覆部55cの幅方向両側の面の一方が、開口部23aの幅方向両側の縁部の一方と接触していてもよい。この場合、被覆部55cは、開口部23aの幅方向両側の縁部の一方に対して鉛直方向Zに摺動可能である。
【0052】
後側フランジ部55dは、被覆部55cの後側の端部から幅方向Yの両側に突出している。後側フランジ部55dは、ガイド溝23の内部に位置する。後側フランジ部55dの幅方向一方側の部分は、第1前壁部21aの後側に位置し、第1前壁部21aと接触している。後側フランジ部55dの幅方向一方側の部分は、第1前壁部21aに対して鉛直方向Zに摺動可能となっている。後側フランジ部55dの幅方向他方側の部分は、第2前壁部21bの後側に位置し、第2前壁部21bと接触している。後側フランジ部55dの幅方向他方側の部分は、第2前壁部21bに対して鉛直方向Zに摺動可能となっている。
【0053】
このように、第1摺動部55aは、後側フランジ部55dを介して、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分と摺動可能である。第1摺動部55aが設けられることで、駆動部40および歯車機構部50をガイド部材21に対して安定して鉛直方向Zに移動させることができる。なお、自走式スライダ30の状態によっては、後側フランジ部55dは、第1前壁部21aと第2前壁部21bとの少なくとも一方と接触しない状態となっていてもよい。
【0054】
前側フランジ部55eは、被覆部55cの前側の端部から幅方向Yの両側に突出している。前側フランジ部55eは、ガイド溝23の外部に位置する。前側フランジ部55eの前側の面は、フランジ部54dの後側の面に対して、接触または僅かな隙間を介して対向している。前側フランジ部55eの幅方向一方側の部分は、第1前壁部21aの前側に隙間を介して対向して配置されている。前側フランジ部55eの幅方向他方側の部分は、第2前壁部21bの前側に隙間を介して対向して配置されている。
【0055】
後側フランジ部55dの幅方向一方側の部分と前側フランジ部55eの幅方向一方側の部分とは、第1前壁部21aを前後方向Xに挟んでいる。後側フランジ部55dの幅方向他方側の部分と前側フランジ部55eの幅方向他方側の部分とは、第2前壁部21bを前後方向Xに挟んでいる。このように、第1摺動部55aは、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれを、開口部23aの開口方向に挟んでいる。
【0056】
図9に示すように、前側フランジ部55eの下側の端部には、前側に突出する爪部55fが設けられている。爪部55fは、フランジ部54dの下側の端部に下側から引っ掛けられている。これにより、第1摺動部55aが固定部54aから上側に外れることを抑制できる。第1摺動部55aは、爪部55fによるスナップフィットによって固定部54aに固定されている。
【0057】
固定部54bには、第1摺動部55bが設けられている。第1摺動部55bは、鉛直方向Zに反転して配置されている点を除いて、固定部54aに設けられた第1摺動部55aと同様の構成である。本実施形態において歯車機構部50は、第1摺動部55a,55bを介してのみガイド部材21と接触している。歯車機構部50に連結された駆動部40は、ガイド部材21と直接的には接触していない。
【0058】
駆動部40によって駆動ハスバ歯車51が回転させられると、駆動ハスバ歯車51と噛み合う被動ハスバ歯車52が回転する。これにより、被動ハスバ歯車52がボルト22に対して鉛直方向Zに移動し、駆動部40および歯車機構部50がボルト22に対して鉛直方向Zに移動する。
【0059】
ここで、駆動部40は、固定部54a,54bを介して、ボルト22に連結された歯車機構部50と固定されている。そのため、駆動部40を駆動させた際に、駆動部40の本体が出力シャフト43回りに回転することが抑制される。
【0060】
また、駆動ハスバ歯車51によって被動ハスバ歯車52を回転させようとすると、駆動部40および歯車機構部50には、ボルト22の中心軸J1回りに回転する向きの反力が加えられる。これに対して、本実施形態によれば固定部54a,54bが開口部23aに通されている。そのため、駆動部40を駆動させた際に、駆動部40および歯車機構部50がボルト22の中心軸J1回りに回転しようとしても、固定部54a,54bがガイド部材21に引っ掛かる。これにより、駆動部40および歯車機構部50がボルト22の中心軸J1に対して回転することが抑制される。したがって、被動ハスバ歯車52を回転させて、駆動部40および歯車機構部50をボルト22に対して好適に鉛直方向Zに移動させることができる。
【0061】
本実施形態では、第1摺動部55aの後側フランジ部55dが、ボルト22の中心軸J1よりも径方向に離れた位置において第1前壁部21aおよび第2前壁部21bに後側から接触している。そのため、駆動部40および歯車機構部50がボルト22の中心軸J1回りに回転しようとしても、後側フランジ部55dが第1前壁部21aまたは第2前壁部21bに押し付けられ、駆動部40および歯車機構部50がボルト22の中心軸J1回りに回転することを抑制できる。
【0062】
このように駆動部40および歯車機構部50がボルト22の中心軸J1回りに回転することを抑制できるため、ガイド溝23の内部において歯車機構部50が中心軸J1回りに回転してガイド部材21と接触することを抑制できる。これにより、歯車機構部50がガイド溝23の内側面と擦れることを抑制でき、駆動部40および歯車機構部50を鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0063】
また、本実施形態において自走式スライダ30が移動する所定方向は、鉛直方向Zであるため、ガイド溝23の外部に設けられた駆動部40の自重によって、歯車機構部50には、前側に倒れる向きのモーメントが加えられる。これに対して本実施形態では、第1摺動部55a,55bの後側フランジ部55dが第1前壁部21aおよび第2前壁部21bに後側から接触することで、歯車機構部50に加えられたモーメント、すなわち駆動部40の自重をガイド部材21で受けることができる。これにより、歯車機構部50に加えられたモーメントがボルト22に掛かることを抑制できる。したがって、互いに噛み合う被動ハスバ歯車52とボルト22との間に生じる負荷を低減でき、駆動部40および歯車機構部50を鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0064】
また、駆動ハスバ歯車51を回転させる出力シャフト43は、ボルト22の中心軸J1に対して幅方向Yにずれて配置されているため、歯車機構部50には、歯車機構部50の自重および駆動部40の重量によって、幅方向他方側に倒れる向きのモーメントが加えられる。これに対して本実施形態によれば、出力シャフト43は、モータ41の中心軸J2に対して被動ハスバ歯車52の回転軸から径方向に遠ざかる向きに偏心している。そのため、出力シャフト43がモータ41の中心軸J2に対して偏心していない場合に比べて、駆動部40全体を、被動ハスバ歯車52が噛み合うボルト22に近づけて配置しやすい。
【0065】
本実施形態では、中心軸J3がモータ41の中心軸となっている場合に比べて、駆動部40全体を幅方向一方側に位置させることができ、幅方向Yにおいて駆動部40の重心をボルト22の中心軸J1に近づけて配置できる。これにより、駆動部40の重心とボルト22の中心軸J1との幅方向Yの距離を小さくしやすく、駆動部40の重量によって歯車機構部50に加えられる幅方向他方側に倒れる向きのモーメントを小さくできる。したがって、互いに噛み合う被動ハスバ歯車52とボルト22との間に生じる負荷を低減でき、駆動部40および歯車機構部50をより鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0066】
また、本実施形態によれば、例えば、第1摺動部55a,55bが開口部23aの幅方向他方側の縁部に接触することで、歯車機構部50に加えられた幅方向他方側に倒れる向きのモーメントをガイド部材21によって受けることもできる。これにより、歯車機構部50に加えられたモーメントがボルト22に掛かることを抑制でき、駆動部40および歯車機構部50をより鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0067】
図2に示すように、カバー部材60は、ガイド溝23の外部において駆動部40を収容している。図1に示すように、本実施形態においてカバー部材60の外形状は、幅方向Yに扁平な直方体状である。カバー部材60は、ガイド部材21から前側に突出している。カバー部材60は、対象物MOを下側から支持する部分である。図10に示すように、カバー部材60は、カバー部材本体61と、第2摺動部62と、第3摺動部63と、を有する。すなわち、直動機構10は、カバー部材本体61と、第2摺動部62と、第3摺動部63と、を備える。
【0068】
カバー部材本体61は、駆動部40を収容する部分である。カバー部材本体61は、幅方向他方側に開口する箱状の収容部61aと、収容部61aの開口を塞ぐ蓋部61bと、を有する。収容部61aは、駆動部40を内部に収容している。
【0069】
カバー部材本体61は、カバー部材本体61の後側の壁部を前後方向Xに貫通する貫通孔67を有する。貫通孔67は、例えば、鉛直方向Zに長い長方形状の孔である。貫通孔67は、カバー部材本体61のうち鉛直方向Zの中心よりも上側寄りの部分に設けられている。図2および図3に示すように、貫通孔67には駆動部40が前後方向Xに通されている。出力シャフト43は、貫通孔67を介してカバー部材本体61の外部に突出し、ガイド溝23の内部の挿入されている。
【0070】
図10に示すように、第2摺動部62および第3摺動部63は、カバー部材本体61から後側に突出している。第2摺動部62と第3摺動部63とは、鉛直方向Zに間隔を空けて配置されている。第2摺動部62は、カバー部材本体61の後側の壁部のうち貫通孔67の上側に隣り合う部分に設けられている。第2摺動部62は、カバー部材本体61の上側の端部よりも僅かに下側に離れた位置に配置されている。第3摺動部63は、カバー部材本体61の後側の壁部のうち下側の端部に設けられている。図2に示すように、第2摺動部62および第3摺動部63は、開口部23aに通されている。第2摺動部62および第3摺動部63は、ガイド部材21に対して鉛直方向Zに摺動可能である。本実施形態において第2摺動部62と第3摺動部63とは、駆動部40を鉛直方向Zに挟んで設けられた一対の摺動部である。
【0071】
図11から図13に示すように、第2摺動部62は、基部64と、摺動部本体65と、接触部66と、を有する。図11に示すように、基部64は、開口部23aに通されている。基部64は、第1部分64aと、第2部分64bと、第3部分64cと、を有する。第1部分64aは、前後方向Xに延びて開口部23aに通された部分である。第2部分64bは、第1部分64aの後側の端部から幅方向Yの両側に突出している部分である。第3部分64cは、第1部分64aの前側の端部から幅方向Yの両側に突出している部分である。
【0072】
なお、以下の説明においては、ある対象に対して、幅方向Yにおける第1部分64aの中心に近い側を「幅方向内側」と呼ぶ場合があり、幅方向Yにおける第1部分64aの中心から遠い側を「幅方向外側」と呼ぶ場合がある。
【0073】
第2部分64bの幅方向一方側の部分と第3部分64cの幅方向一方側の部分とは、第1前壁部21aを前後方向Xに挟んでいる。第2部分64bの幅方向他方側の部分と第3部分64cの幅方向他方側の部分とは、第2前壁部21bを前後方向Xに挟んでいる。これにより、基部64は、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれを開口部23aの開口方向に挟んでいる。
【0074】
第1部分64aと第2部分64bと第3部分64cとによって基部64は、鉛直方向Zに見て略H字形状に構成されている。これにより、図12に示すように、基部64の幅方向両側には、幅方向内側に窪み鉛直方向Zに延びる一対の溝64eが設けられている。一対の溝64eのそれぞれには、第1前壁部21aおよび第2前壁部21bが挿入されている。
【0075】
図13に示すように、基部64は、幅方向内側に窪む穴部64dを有する。本実施形態において穴部64dは、底部を有する穴である。図12に示すように、穴部64dは、基部64を幅方向Yに挟んで一対設けられている。本実施形態において第2摺動部62は、基部64を幅方向Yに挟む一対の穴部64dを鉛直方向Zに間隔を空けて2対有する。すなわち、本実施形態の第2摺動部62には、合計4つの穴部64dが設けられている。
【0076】
図13に示すように、穴部64dは、幅方向Yに見て円形状の穴である。穴部64dの中心は、第1部分64aを通る。穴部64dは、第1部分64aに設けられ、前後方向Xの両端部が第2部分64bと第3部分64cとのそれぞれに跨って設けられている。
【0077】
図12に示すように、摺動部本体65は、幅方向Yにおいて基部64の両側にそれぞれ設けられている。本実施形態において第2摺動部62は、基部64の幅方向Yの両側に設けられた一対の摺動部本体65を鉛直方向Zに間隔を空けて2対有する。すなわち、本実施形態の第2摺動部62には、合計4つの摺動部本体65が設けられている。
【0078】
4つの摺動部本体65のそれぞれは、基部64に設けられた4つの穴部64dのそれぞれに嵌め合わされている。すなわち、本実施形態において基部64を幅方向Yに挟んで設けられた一対の摺動部本体65は、互いに別部材であり、基部64を幅方向Yに挟んで設けられた一対の穴部64dにそれぞれ嵌め合わされている。基部64の両側に設けられた一対の摺動部本体65は、基部64を挟んで互いに幅方向Yに対称に配置されている。
【0079】
図12および図13に示すように、摺動部本体65は、幅方向Yに延びる中心軸を中心とする円柱状である。すなわち、摺動部本体65は、幅方向Yに見て円形状である。摺動部本体65は、例えば、樹脂製である。摺動部本体65は、幅方向内側に窪む溝65dを有する。溝65dは、摺動部本体65を鉛直方向Zに貫通している。溝65dが設けられることにより、摺動部本体65の幅方向外側部分は、前後方向Xに二股に分断されている。これにより、摺動部本体65は、幅方向外側に突出する第1突出部65aおよび第2突出部65bと、第1突出部65aの幅方向内側の端部と第2突出部65bの幅方向内側の端部とを繋ぐ接続部65cと、を有する。
【0080】
第1突出部65aと第2突出部65bとは、前後方向Xに隙間を介して対向している。第1突出部65aの前側の面および第2突出部65bの後側の面は、鉛直方向Zに長い長方形状の平坦な面であり、溝65dの前後方向両側の側面である。接続部65cの幅方向外側の面は、鉛直方向Zに長い略長方形状の平坦な面であり、溝65dの底面である。
【0081】
図12に示すように、第1突出部65aは、穴部64dのうち第2部分64bに設けられた部分に嵌め合わされている。第2突出部65bは、穴部64dのうち第3部分64cに設けられた部分に嵌め合わされている。接続部65cは、穴部64dのうち第1部分64aに設けられた部分に嵌め合わされている。
【0082】
穴部64dに嵌め合わされた摺動部本体65は、基部64に対して、幅方向Yに延びる回動軸R回りに回動可能に設けられている。回動軸Rは、穴部64dおよび摺動部本体65の中心を通っている。
【0083】
摺動部本体65の溝65dの内側面は、基部64の溝64eの内側面よりも僅かに突出して設けられている。より詳細には、摺動部本体65の溝65dの底面は、基部64の溝64eの底面よりも僅かに幅方向外側に突出している。言い換えると、接続部65cは、第1部分64aよりも幅方向外側に僅かに突出している。摺動部本体65の溝65dの前後方向両側面は、基部64の溝64eの前後方向両側面よりも僅かに前後方向Xに突出している。言い換えると、第1突出部65aは、第2部分64bよりも僅かに前側に突出している。第2突出部65bは、第3部分64cよりも僅かに後側に突出している。
【0084】
図11に示すように、摺動部本体65は、開口部23aに通されている。より詳細には、接続部65cが開口部23aに通されている。第1突出部65aは、ガイド溝23の内部において幅方向外側に突出している。第2突出部65bは、ガイド溝23の外部において幅方向外側に突出している。基部64を幅方向Yに挟む一対の摺動部本体65のうち幅方向一方側に位置する摺動部本体65の第1突出部65aと第2突出部65bとは、第1前壁部21aを前後方向Xに挟んでいる。基部64を幅方向Yに挟む一対の摺動部本体65のうち幅方向他方側に位置する摺動部本体65の第1突出部65aと第2突出部65bとは、第2前壁部21bを前後方向Xに挟んでいる。すなわち、一対の摺動部本体65のそれぞれは、第1突出部65aと第2突出部65bとによって、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれを開口部23aの開口方向に挟んでいる。第1前壁部21aおよび第2前壁部21bは、一対の摺動部本体65の溝65dにそれぞれ挿入されている。
【0085】
基部64を幅方向Yに挟む一対の摺動部本体65のうち幅方向一方側に位置する摺動部本体65において、第1突出部65aの前側の面は、第1前壁部21aの後側の面に対して接触して摺動可能である。基部64を幅方向Yに挟む一対の摺動部本体65のうち幅方向他方側に位置する摺動部本体65において、第1突出部65aの前側の面は、第2前壁部21bの後側の面に対して接触して摺動可能である。すなわち、一対の摺動部本体65における第1突出部65aのそれぞれは、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれに対して、ガイド溝23の内側から、開口部23aの開口方向に接触して摺動可能である。摺動部本体65のうち開口部23aに通された接続部65cは、開口部23aの幅方向内縁部に対して、接触または僅かな隙間を介して対向している。
【0086】
以上のように、基部64の両側に設けられた一対の摺動部本体65は、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれに対して開口部23aの開口方向に接触して摺動可能である。本実施形態においては、穴部64dに嵌め合わされた摺動部本体65は、基部64の溝64eの内側面よりも僅かに突出して設けられている。そのため、溝64eに挿入された第1前壁部21aおよび第2前壁部21bは、基部64に接触することが抑制されつつ、摺動部本体65に接触可能となっている。
【0087】
図6に示すように、接触部66は、基部64における第2部分64bの下側の端部から幅方向一方側に突出している。接触部66は、ガイド溝23の内部においてギヤケース53に対して上側から接触している。本実施形態において接触部66は、ギヤケース53のうちボルト22が通される孔53fの周縁部と接触している。より詳細には、接触部66は、孔53fの周縁部のうち、前後方向Xにおけるカバー部材本体61が位置する側、すなわち前側の部分に接触している。これにより、カバー部材60は、接触部66を介してギヤケース53によって下側から支持されている。接触部66は、ギヤケース53に対して固定されていない。そのため、接触部66は、カバー部材60とギヤケース53とが鉛直方向Zに相対移動可能となっている範囲内で、ギヤケース53から鉛直方向Zに離れることも可能である。
【0088】
第3摺動部63は、設けられる位置が異なる点および接触部66を有していない点を除いて、第2摺動部62と同様の構成である。第2摺動部62と第3摺動部63とを介して、カバー部材60は、ガイド部材21に対して鉛直方向Zに摺動可能に取り付けられている。
【0089】
本実施形態においてカバー部材60は、駆動部40および歯車機構部50に固定されていない。カバー部材60は、貫通孔67内で駆動部40が鉛直方向Zに移動可能な範囲内において、駆動部40および歯車機構部50に対して鉛直方向Zに相対移動可能である。カバー部材60は、駆動部40および歯車機構部50が上側に移動することで、接触部66を介してギヤケース53によって上側に持ち上げられる。これにより、カバー部材60は、駆動部40および歯車機構部50と共に上側に移動する。
【0090】
一方、カバー部材60は、駆動部40および歯車機構部50が下側に移動する際には、カバー部材60の自重およびカバー部材60が支持する対象物MOの重量によって下側に移動する。これにより、カバー部材60は、駆動部40および歯車機構部50と共に下側に移動する。
【0091】
なお、仮に、カバー部材60の自重および対象物MOの重量のみによってはカバー部材60が下側に移動しない場合であっても、駆動部40が下側に移動して貫通孔67の下側の縁部に接触することで、駆動部40によってカバー部材60を下側に押すことができる。これにより、駆動部40および歯車機構部50が下側に移動すると共に、カバー部材60を下側に移動させることができる。
【0092】
以上に説明したように、モータ41が回転して駆動部40および歯車機構部50が鉛直方向Zに移動することで、駆動部40および歯車機構部50と共にカバー部材60も鉛直方向Zに移動する。このようにして、スライドガイド20に対して、自走式スライダ30全体が鉛直方向Zに移動可能となっている。これにより、昇降装置1によって対象物MOを鉛直方向Zに移動可能である。
【0093】
本実施形態によれば、自走式スライダ30は、駆動部40ごと鉛直方向Zに移動するため、ガイド部材21およびボルト22が配置された範囲内であれば、制限を受けることなく鉛直方向Zに移動可能である。すなわち、ガイド部材21およびボルト22の長さを変更することで、自走式スライダ30の移動範囲を容易に変更することができる。そのため、自走式スライダ30の汎用性を向上できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、カバー部材60は、第2摺動部62および第3摺動部63を介してガイド部材21に対して摺動する。そのため、カバー部材60をガイド部材21に沿って安定して鉛直方向Zに移動させることができる。特に、本実施形態によれば、第2摺動部62および第3摺動部63は、駆動部40を鉛直方向Zに挟んで設けられた一対の摺動部である。そのため、第2摺動部62と第3摺動部63との鉛直方向Zの間隔を好適に空けることができる。これにより、カバー部材60をガイド部材21に沿って、より安定して鉛直方向Zに移動させることができる。したがって、自走式スライダ30を鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0095】
また、カバー部材60は対象物MOを支持しているため、カバー部材60には、下側向きの力が比較的大きく加えられやすい。これに対して本実施形態によれば、第2摺動部62は、ギヤケース53に対して上側から接触する接触部66を有し、カバー部材60は、接触部66を介してギヤケース53によって下側から支持されている。そのため、カバー部材60に加えられた下側向きの力を、ガイド溝23の内部においてギヤケース53で受けることができる。これにより、カバー部材60に加えられた下側向きの力をガイド溝23の外部において歯車機構部50または駆動部40で受ける場合に比べて、歯車機構部50に加えられるモーメントを小さくできる。したがって、互いに噛み合う被動ハスバ歯車52とボルト22との間に生じる負荷をより低減でき、自走式スライダ30をより鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0096】
また、本実施形態によれば、接触部66は、ギヤケース53のうちボルト22が通される孔53fの周縁部と接触している。そのため、ギヤケース53によって、ボルト22の中心軸J1に近い位置においてカバー部材60からの力を受けることができる。これにより、カバー部材60から受ける力に起因して歯車機構部50に加えられるモーメントをより小さくできる。したがって、互いに噛み合う被動ハスバ歯車52とボルト22との間に生じる負荷をより低減でき、自走式スライダ30をより鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0097】
また、本実施形態によれば、接触部66は、孔53fの周縁部のうち、前後方向Xにおけるカバー部材本体61が位置する側の部分に接触している。そのため、カバー部材60から受ける力に起因して歯車機構部50に加えられるモーメントを、前側に倒れる向きのモーメントとすることができる。上述したように、歯車機構部50に加えられる前側に倒れる向きのモーメントは、第1摺動部55a,55bを介してガイド部材21で受けることができる。これにより、カバー部材60の重量および対象物MOの重量を、歯車機構部50を介してガイド部材21で受けることができる。したがって、互いに噛み合う被動ハスバ歯車52とボルト22との間に生じる負荷をより低減でき、自走式スライダ30をより鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0098】
また、接触部66がボルト22の前側に位置するため、カバー部材60がガイド部材21に対して後側に移動しようとしても、接触部66がボルト22に前側から引っ掛かる。これにより、カバー部材60がガイド部材21に対して後側に移動することを抑制できる。
【0099】
また、カバー部材60は対象物MOを支持しているため、カバー部材60には、前側に倒れる向きのモーメントが比較的大きく加えられやすい。これに対して、本実施形態では、一対の摺動部本体65における第1突出部65aのそれぞれは、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれに対して、ガイド溝23の内側から前後方向Xに接触して摺動可能である。そのため、第1突出部65aが第1前壁部21aおよび第2前壁部21bに後側から接触することで、カバー部材60に加えられる前側に倒れる向きのモーメントを、ガイド部材21によって受けることができる。これにより、カバー部材60の重量のおよび対象物MOの重量を、カバー部材60を介してガイド部材21で受けることもできる。したがって、カバー部材60から接触部66を介して歯車機構部50に加えられる力を低減できる。そのため、互いに噛み合う被動ハスバ歯車52とボルト22との間に生じる負荷をより低減でき、自走式スライダ30をより鉛直方向Zに移動させやすくできる。
【0100】
また、本実施形態によれば、幅方向Yにおいて基部64の両側に設けられた一対の摺動部本体65のそれぞれは、第1突出部65aと第2突出部65bとによって、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれを前後方向Xに挟んでいる。そのため、例えば、カバー部材60がガイド部材21に対して後側に大きく移動した場合であっても、第2突出部65bを第1前壁部21aおよび第2前壁部21bに接触させて鉛直方向Zに摺動させることができる。これにより、カバー部材60をより安定して鉛直方向Zに移動させることができる。なお、本実施形態では、上述したように接触部66がボルト22に引っ掛かるため、第2突出部65bが第1前壁部21aおよび第2前壁部21bに接触することは抑制される。
【0101】
また、本実施形態によれば、基部64は、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分のそれぞれを前後方向Xに挟んでいる。そのため、ガイド部材21のうち開口部23aの幅方向両側に位置する部分を挟む第1突出部65aおよび第2突出部65bを有する摺動部本体65を、基部64に保持させやすい。
【0102】
また、本実施形態によれば、カバー部材60が歯車機構部50および駆動部40に固定されていないため、カバー部材60に対して意図しない外力が加えられた場合に、カバー部材60に加えられた外力が歯車機構部50および駆動部40に伝わりにくい。これにより、被動ハスバ歯車52とボルト22との間、および駆動ハスバ歯車51と被動ハスバ歯車52との間等に意図しない負荷が生じることを抑制できる。したがって、自走式スライダ30の鉛直方向Zの移動を好適に維持でき、自走式スライダ30が損傷することを抑制できる。
【0103】
なお、カバー部材60に対して加えられる意図しない外力とは、例えば、カバー部材60を上側に持ち上げる力等である。この場合、カバー部材60は、貫通孔67内で駆動部40が移動可能な範囲内で、歯車機構部50および駆動部40に対して上側に移動する。そのため、カバー部材60に加えられた上側向きの力が、歯車機構部50および駆動部40に加えられることを抑制できる。
【0104】
また、本実施形態によれば、カバー部材60が歯車機構部50および駆動部40に固定されていないため、歯車機構部50および駆動部40をそのままとして、カバー部材60のみを変更することが容易である。これにより、移動させる対象物MOの形状等に応じて、カバー部材60の形状等を変更することが容易である。
【0105】
また、例えば、ガイド部材21に対してカバー部材60が前後方向Xに傾く虞がある。特に、本実施形態のようなカバー部材60は対象物MOを支持するため、カバー部材60に、前側に倒れる向きのモーメントが加わりやすく、ガイド部材21に対してカバー部材60が前後方向Xに傾きやすい。また、カバー部材60が鉛直方向Zに移動する際、例えばガイド部材21における第1前壁部21aの平面度および第2前壁部21bの平面度が鉛直方向Zの位置によって異なっている等により、ガイド部材21に対するカバー部材60の前後方向Xの傾きが変化することがある。このような場合、カバー部材60とガイド部材21とが点接触する等、カバー部材60とガイド部材21との接触面積が小さくなり、ガイド部材21およびカバー部材60が擦れて損傷しやすくなる虞があった。したがって、自走式スライダ30および直動機構10が損傷しやすくなる虞があった。
【0106】
これに対して、本実施形態によれば、第2摺動部62および第3摺動部63にそれぞれ設けられた一対の摺動部本体65は、基部64に対して、幅方向Yに延びる回動軸R回りに回動可能に設けられている。そのため、ガイド部材21に対してカバー部材60が前後方向Xに傾いても、基部64に対して摺動部本体65が回動軸R回りに相対的に回動する。これにより、カバー部材60が鉛直方向Zに移動する際に、ガイド部材21とカバー部材60とが好適に面接触した状態を維持できる。したがって、ガイド部材21に対するカバー部材60の傾きによらず、ガイド部材21とカバー部材60とを好適に接触させた状態で、カバー部材60をガイド部材21に対して摺動させることができる。そのため、ガイド部材21およびカバー部材60が擦れて損傷することを抑制できる。これにより、自走式スライダ30および直動機構10が擦れて損傷することを抑制できる。
【0107】
具体的に本実施形態では、カバー部材60が前後方向Xに傾くと、第1突出部65aが第1前壁部21aおよび第2前壁部21bに押されて、摺動部本体65が回動軸R回りに回動する。これにより、一対の摺動部本体65における第1突出部65aが、それぞれ第1前壁部21aおよび第2前壁部21bと面接触した状態を好適に維持できる。したがって、第1突出部65aのうち第1前壁部21aおよび第2前壁部21bと接触する面が擦れて損傷することを抑制できる。
【0108】
また、本実施形態によれば、第2摺動部62および第3摺動部63に対して、摺動部本体65のみを交換することも可能である。そのため、摺動部本体65が擦れて損傷した場合であっても、摺動部本体65のみを交換することで、容易に直動機構10の損傷を修復可能である。
【0109】
また、本実施形態によれば、摺動部本体65は、基部64に設けられた穴部64dに嵌め合わされ、摺動部本体65および穴部64dは、幅方向Yに見て円形状である。そのため、基部64に対して摺動部本体65を回動可能に保持させやすい。また、摺動部本体65および穴部64dの形状を比較的簡単な形状とすることができ、摺動部本体65および穴部64dを容易に作ることができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、穴部64dは、底部を有する穴であり、基部64を幅方向Yに挟んで一対設けられている。また、一対の摺動部本体65は、互いに別部材であり、一対の穴部64dにそれぞれ嵌め合わされている。そのため、一対の摺動部本体65を、それぞれ独立して基部64に対して回動させることができる。また、基部64を貫通する孔に一対の摺動部本体65がまとめて嵌め合わされる場合と異なり、一対の摺動部本体65同士が接触しないため、各摺動部本体65の回動が、他の摺動部本体65によって阻害されることがない。これにより、各摺動部本体65を好適に独立して回動させることができる。したがって、第1前壁部21aと第2前壁部21bとに合わせて、それぞれ摺動部本体65を好適に回動させることができ、カバー部材60とガイド部材21との摺動をより好適に維持できる。
【0111】
また、本実施形態によれば、第2摺動部62および第3摺動部63は、一対の摺動部本体65を複数対有する。そのため、第2摺動部62および第3摺動部63をガイド部材21に対して、より安定して摺動させることができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、鉛直方向Zに延びるボルト22に取り付けられたナットである被動ハスバ歯車52を回転させることで、自走式スライダ30を鉛直方向Zに移動させることができる。そのため、対象物MO等によって自走式スライダ30に鉛直方向Zの力が加えられても、被動ハスバ歯車52がボルト22に対して回転することが抑制される。これにより、駆動部40の駆動を停止した状態であっても、自走式スライダ30が意図せず鉛直方向Zに移動することを抑制できる。したがって、スライドガイド20に対して自走式スライダ30を固定する機構を別途設けることなく、自走式スライダ30の鉛直方向Zの位置を好適に維持できる。そのため、自走式スライダ30を小型化でき、直動機構10を小型化できる。
【0113】
また、本実施形態によれば、ボルト22に対して取り付けられたナットは、ハスバ歯車部52eを有する被動ハスバ歯車52である。ハスバ歯車は、平歯車に比べて、歯部同士の噛み合う長さを大きくでき、歯当たりを分散できる。そのため、ハスバ歯車は、平歯車に比べて、歯車同士の噛み合いを滑らかにでき、静音性、耐久性、および回転の伝達精度を大きくできる。すなわち、本実施形態では、駆動ハスバ歯車51と被動ハスバ歯車52との噛み合いを滑らかにできる。そのため、駆動ハスバ歯車51と被動ハスバ歯車52とが噛み合うことによって生じる騒音を低減でき、かつ、各歯車の耐久性を向上できる。また、駆動ハスバ歯車51から被動ハスバ歯車52に対して好適に回転を伝達できる。したがって、直動機構10の静音性および信頼性を向上できる。また、自走式スライダ30をスライドガイド20に対して、より好適に鉛直方向Zに移動させることができる。
【0114】
また、例えば、駆動ハスバ歯車の回転軸が被動ハスバ歯車の回転軸と平行に配置される場合、駆動ハスバ歯車を回転させる駆動部がボルトに対して平行に配置され、自走式スライダが鉛直方向Zに大型化しやすい。また、駆動部がボルトに対して干渉しやすく、干渉を避けるために自走式スライダが大型化しやすい。また、ガイド溝の開口部に駆動部が干渉しやすいため、ガイド溝の開口部の幅を広くする必要があり、ガイド部材の内部に異物が侵入しやすい等の不具合が生じる虞がある。
【0115】
これに対して、本実施形態によれば、被動ハスバ歯車52を用いることで、駆動ハスバ歯車51の回転軸が延びる方向を、被動ハスバ歯車52の回転軸が延びる方向と異ならせることができる。具体的に、本実施形態において駆動ハスバ歯車51の回転軸と被動ハスバ歯車52の回転軸とは、ねじれの位置にある。そのため、駆動ハスバ歯車51を回転させる駆動部40をボルト22から径方向に離れる向きに沿って配置することができる。これにより、自走式スライダ30を鉛直方向Zに小型化できる。
【0116】
また、駆動部40が、鉛直方向Zに延びるボルト22に干渉することを抑制できる。そのため、駆動部40とボルト22との干渉を避けるために自走式スライダ30が大型化することを抑制でき、自走式スライダ30を小型化できる。より詳細には、例えば、駆動部40とボルト22との干渉を避けるために歯車機構部50の歯車の数を多くする等の必要がない。加えて、上述したように自走式スライダ30を鉛直方向Zの位置を固定するための機構を別途設ける必要がない。そのため、歯車機構部50の部品点数を少なくでき、歯車機構部50全体を小型化できる。これにより、歯車機構部50をガイド溝23の内部に容易に収容することができる。
【0117】
具体的に本実施形態において歯車機構部50の歯車は、駆動ハスバ歯車51と被動ハスバ歯車52との2つのみである。そのため、歯車機構部50の各歯車を収容するギヤケース53を小型化できる。したがって、歯車機構部50全体を小型化でき、歯車機構部50をガイド溝23の内部に容易に収容することができる。
【0118】
このように、自走式スライダ30を小型化できるため、自走式スライダ30の重量を小さくすることができる。そのため、自走式スライダ30を鉛直方向Zに移動させるために必要な駆動部40のエネルギを小さくできる。これにより、対象物MOを移動させるために使用可能な駆動部40のエネルギ割合を大きくできる。したがって、小型なモータ41を用いつつ、比較的大きな対象物MOを自走式スライダ30によって移動させることが可能である。
【0119】
また、駆動部40をボルト22から径方向に離れる向きに沿って配置できるため、駆動部40がガイド溝23の開口部23aに干渉することを抑制できる。これにより、開口部23aの幅を狭くしやすく、開口部23aからガイド溝23の内部に異物等が侵入することを抑制できる。具体的には、駆動部40をガイド溝23の外部に配置しつつ、歯車機構部50をガイド溝23の内部に配置した状態において、出力シャフト43をガイド溝23に挿入して歯車機構部50の駆動ハスバ歯車51を回転させることができる。そのため、開口部23aの幅は、出力シャフト43が挿入可能な程度の大きさであればよい。これにより、開口部23aの幅を十分に小さくでき、開口部23aからガイド溝23の内部に異物等が侵入することを抑制できる。
【0120】
本実施形態では、開口部23aの幅は、被動ハスバ歯車52の外径よりも小さい。そのため、開口部23aを比較的小さくできる。これにより、開口部23aからガイド溝23の内部に異物等が侵入することを抑制できる。
【0121】
また、本実施形態によれば、駆動ハスバ歯車51の回転軸は、鉛直方向Zと直交する方向に延びている。そのため、駆動部40をボルト22が延びる鉛直方向Zと直交する前後方向Xに沿って配置することができる。したがって、自走式スライダ30をより鉛直方向Zに小型化できる。また、出力シャフト43に固定された駆動ハスバ歯車51が、前後方向Xに傾かない姿勢にできるため、歯車機構部50を前後方向Xに小型化しやすい。これにより、歯車機構部50をよりガイド溝23の内部に収容しやすい。本実施形態においては、被動ハスバ歯車52のハスバ歯車部52eのねじれ角45°であるため、駆動ハスバ歯車51と被動ハスバ歯車52とを直角に噛み合わせることができる。これにより、駆動ハスバ歯車51の回転軸を、被動ハスバ歯車52の回転軸が延びる鉛直方向Zに対して直交する方向に沿って配置することができる。
【0122】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。駆動ハスバ歯車の回転軸と被動ハスバ歯車の回転軸とが互いにねじれの位置にあるならば、駆動ハスバ歯車の回転軸は、どのような方向に延びていてもよい。駆動ハスバ歯車の回転軸は、所定方向、すなわち上述した実施形態では鉛直方向Zに対して傾いた方向に延びていてもよい。駆動ハスバ歯車のねじれ角および被動ハスバ歯車のねじれ角は、特に限定されない。
【0123】
駆動ハスバ歯車のハスバ歯車部のピッチ円直径および被動ハスバ歯車のハスバ歯車部のピッチ円直径は、特に限定されない。被動ハスバ歯車のハスバ歯車部におけるピッチ円直径は、被動ハスバ歯車の内周面に設けられた雌ネジ部のピッチ円直径の2倍よりも大きくてもよい。この場合、被動ハスバ歯車の厚さを大きくでき、被動ハスバ歯車の強度を向上できる。駆動ハスバ歯車のハスバ歯車部および被動ハスバ歯車のハスバ歯車部は、マイナス転位していてもよい。この場合、歯車同士の噛み合い率を向上できるため、静音性および耐久性をより向上できる。駆動ハスバ歯車のハスバ歯車部および被動ハスバ歯車のハスバ歯車部は、プラス転位していてもよいし、転位していなくてもよい。
【0124】
被動ハスバ歯車の内周面に設けられた雌ネジ部の所定方向の寸法は、特に限定されない。雌ネジ部の内径は、所定方向の中央部において径方向に広がる形状であってもよい。この場合、被動ハスバ歯車が外部から径方向内側に強く力を受けて変形しても、雌ネジ部がボルトに対して強く押し付けられることを抑制でき、雌ネジ部とボルトとの噛み合いを好適に維持できる。
【0125】
駆動ハスバ歯車の材料および被動ハスバ歯車の材料は、特に限定されず、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。駆動ハスバ歯車の材料および被動ハスバ歯車の材料を樹脂とする場合、歯車同士の歯部の接触面積を大きくしやすく、各歯車の寿命を向上できる。
【0126】
伝達機構は、モータの駆動力を出力シャフトに伝達可能であれば、その構成は特に限定されない。伝達機構は、モータシャフトの回転を加速して出力シャフトに伝達する機構であってもよいし、モータシャフトの回転を減速も加速もせずに出力シャフトに伝達する機構であってもよい。駆動部の出力シャフトは、モータの中心軸に対して偏心していなくてもよい。
【0127】
カバー部材は、歯車機構部および駆動部の少なくとも一方に固定されていてもよい。カバー部材の摺動部は、一対の摺動部本体を1対のみ有してもよい。摺動部本体が嵌め合わされる穴部は、基部を貫通していてもよい。一対の摺動部本体は、一体成形されていてもよい。摺動部本体は、カバー部材以外の部材に設けられてもよい。摺動部本体は、例えば、歯車機構部および駆動部の少なくとも一方に設けられてもよい。摺動部本体は、基部に対して回動可能でなくてもよい。カバー部材は、摺動部を1つのみ有していてもよい。例えば、上述した実施形態においてカバー部材60は、第3摺動部63を有しなくてもよい。カバー部材は、設けられなくてもよい。
【0128】
ガイド部材は、ガイド溝を有するならば、レールでなくてもよい。例えば、ガイド部材は、ガイド溝を有する壁状の部材であってもよい。ガイド溝の開口部の幅は、特に限定されない。ガイド溝の開口部の幅は、駆動ハスバ歯車の外径より大きくてもよい。
【0129】
直動機構は、図14に示す直動機構110のように、自走式スライダがボルトに対して複数取り付けられた構成であってもよい。この構成によれば、複数の対象物MOを所定方向に移動させることができる。なお、図14では、ガイド部材21およびカバー部材60の図示を省略している。
【0130】
図14に示す直動機構110においてボルト22には、3つの自走式スライダ30が取り付けられている。図14では、幅方向Yに間隔を空けて配置された2つの直動機構110によって昇降装置2が構成されている。昇降装置2では、幅方向Yに間隔を空けて配置された一対の自走式スライダ30が鉛直方向Zに間隔を空けて3対設けられている。そのため、3対の自走式スライダ30によって、3つの対象物MOを鉛直方向Zに移動させることが可能である。
【0131】
なお、1つのボルトに対して複数の自走式スライダを取り付ける場合、複数の自走式スライダは、取り付けられる向きが異なる自走式スライダを含んでもよい。例えば、図14に示す直動機構110において、いずれか1つまたは2つの自走式スライダ30が、図14に二点鎖線で示す自走式スライダ30のように、駆動部40が幅方向Yに沿って配置される向きでボルト22に取り付けられてもよい。この場合、図14において図示を省略するガイド部材21には、上述した実施形態の開口部23aとは別に、幅方向Yに開口する開口部が設けられる。
【0132】
上述した実施形態においては、被動ハスバ歯車がボルトに対して所定方向に移動する直動機構としたが、これに限られない。直動機構は、ボルトが被動ハスバ歯車に対して所定方向に移動する構成であってもよい。直動機構の用途は、特に限定されない。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0133】
10,110…直動機構、21…ガイド部材、22…ボルト、22a…雄ネジ部、23…ガイド溝、23a…開口部、30…自走式スライダ、40…駆動部、41…モータ、42…伝達機構、43…出力シャフト、50…歯車機構部、51…駆動ハスバ歯車、52…被動ハスバ歯車、52d…雌ネジ部、52e…ハスバ歯車部、53…ギヤケース、53f…孔、54a,54b…固定部、55a,55b…第1摺動部、60…カバー部材、61…カバー部材本体、62…第2摺動部、66…接触部、X…前後方向(開口方向)、Y…幅方向、Z…鉛直方向(所定方向)
図1
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