特開2021-38985(P2021-38985A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 早田 滋の特許一覧

特開2021-38985順次照明切替を用いた識別方法および装置
<>
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000003
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000004
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000005
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000006
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000007
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000008
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000009
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000010
  • 特開2021038985-順次照明切替を用いた識別方法および装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-38985(P2021-38985A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】順次照明切替を用いた識別方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20210212BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20210212BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20210212BHJP
【FI】
   G01J3/46 A
   G01N21/84 E
   G01N21/84 D
   H05B37/02 H
   H05B37/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-159990(P2019-159990)
(22)【出願日】2019年9月3日
(71)【出願人】
【識別番号】719004728
【氏名又は名称】早田 滋
(72)【発明者】
【氏名】早田 滋
【テーマコード(参考)】
2G020
2G051
3K273
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA16
2G020DA22
2G020DA43
2G020DA52
2G020DA53
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA01
2G051BA08
2G051BA11
2G051BB01
2G051BC03
2G051CA11
3K273PA02
3K273PA09
3K273QA16
3K273RA04
3K273TA02
3K273TA03
3K273TA08
3K273TA14
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA22
3K273TA32
3K273TA33
3K273TA37
3K273TA38
3K273TA40
3K273TA54
3K273TA75
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA29
3K273VA03
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】
目視による対象物の観察、色の識別を容易にする方法および照明装置を提供する。
【解決手段】
照明光源の各色LEDを (A)赤→(B)緑→(C)青→(ABC)赤緑青→・・・ のように周期的に順次点灯させ対象物を観察する。対象物の位置が同じで照明のみを切り替えると、切り替え前の像との色対比の効果もあり、色識別が向上する。特に色弱者が色を識別する際に有効である。
照明光の色(波長)だけでなく、照射角度、偏光を周期的に切り替えると、表面状態、傷、汚れ、異物などの識別がより容易になる。

【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光の波長、または照射角度、または偏光を周期的に切り替え、対象物の知覚像の相対的な変化から、色および形を識別する方法および装置。
【請求項2】
周期的に切り替えた照明による知覚像の明るさの変化を色の指標として記号化し、この指標によって色識別することを特徴とする、請求項1の方法および装置。
【請求項3】
音または振動にて照明光の切り替えを知らせることを特徴とする、請求項1の方法および装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目視において、対象物の形状、色、汚れ、傷、異物などの観察、色の識別を容易にする方法、およびそのための照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業製品や農作物の目視による確認や検査は、画像処理による自動検査が広く用いられている近年においても極めて重要である。目視での観察、検査においては、拡大鏡や顕微鏡を用いた分解能の向上、照明の改善、作業者のデスクなどの作業環境の改善が進められてきた。照明の改善においては、対象物にできるだけ均一な光が照射されるようにすること、対象物の特性に合った照明色、波長を用いること、照明光の偏光特性の最適化、照明光の照射角度の最適化が行われてきた。(特許文献1)
【0003】
対象物の形状や照明の状態によっては、正常色覚者にとっても色の識別は難しい場合があるが、色弱者にとって色の識別は更に大きな問題である。日本人男性の約5%、白人男性の約8%が色弱と言われている。日本国内で男女合わせて約300万人、世界中で約2億人に相当する人々が色弱である。正常色覚(一般色覚、3色覚、C型)でないことに対して、色弱ではなく、色盲、色覚異常、色覚障害という用語も使用されている。本特許では、ごく一般的に用いられている色弱、または医学用語でもある色覚異常という用語を用いる。
【0004】
人間の網膜には3種類の色を感じる錐体細胞があり、赤色のセンサに対応するのがL錐体、緑色のセンサに対応するのがM錐体、青色のセンサに対応するのがS錐体である。どの錐体に問題があるかで、色覚異常のタイプが分かれる。1型色覚(Protan)はL錐体(赤)の問題により起こる色覚異常であり、2型色覚(Deutan)はM錐体(緑)の問題により起こる色覚異常である。日本人男性においては約95%が色覚異常でない一般色覚(3色覚、C型)、1.5%が1型色覚(P型)、3.5%が2型色覚(D型)であり、その他の色覚異常は0.001%程度である。1型色覚および2型色覚を、一般的には赤緑色弱と呼ぶことが多い。赤緑色弱者は赤系統、緑系統の色の識別が困難な場合が多い。
【0005】
このような状況を鑑みて、色弱者の色識別を補助する方法として、特殊な眼鏡を用いる方法、スマートフォンなどのアプリケーションを用いる方法、特殊な照明を用いる方法など提案されている。
【0006】
特許文献2は、周期的に透過特性を知覚可能な速さで可変させる光学フィルタを用いた色識別の補助方法である。
【0007】
特許文献3は、赤色と青色のLEDを備えた照明装置にて、色弱者が赤照明と青照明の明るさをボリュームで調整することにより、色の識別を向上させる色弱者用の照明である。
【0008】
特許文献4は、ユーザーの必要とするスペクトルパターンに応じて複数LEDの発光強度を可変することができる色弱者用の照明である。
【0009】
特許文献5は、色弱者にとって非常に識別しにくい、赤緑のモニターランプの色を識別するための方法である。
【0010】
加齢や白内障によっても、色の識別が難しくなる場合がある。特許文献6は高齢者にとって必要な照度を計算するための、照明評価装置に関するものである。
【0011】
特許文献7は、色、照度を容易に調整できる目視検査用の照明に関するものである。
【0012】
特許文献8から14は、赤緑青の照明を順次切り替える方法を含んでいるが、いずれもカメラで撮像する方法である。例えば赤緑青の照明で3回撮像して、白黒カメラにてカラー画像を得るための方法などである。
【0013】
特許文献15は、異なる方向からの照明を順次照射し、カメラで撮像する方法である。
【0014】
本発明は目視観察における、色および形の識別を向上させるものであり、人間の眼の生理的・心理学的作用を利用した方法である。従って、前記のいずれ文献の方法とも本質的に異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2019−110045
【特許文献2】特開2008−70400
【特許文献3】特開2008−47465
【特許文献4】特許5593417号
【特許文献5】特願2019−139288
【特許文献6】特開平6−129904
【特許文献7】特開2018−159680
【特許文献8】特開2017−112433
【特許文献9】特開2015−66137
【特許文献10】特開2014−50594
【特許文献11】特開2014−33777
【特許文献12】特開2012−47455
【特許文献13】特開平10−78308
【特許文献14】特開平2−10308
【特許文献15】特開2010−26736
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
工業製品、印刷された資料、建築物、農作物、動植物、人間、鉱物などに対して、目視による色、形、異物などの識別は、対象物の状況によっては、対象物を見慣れている人でも困難であるという課題がある。また、色覚は人によって様々であり、色弱者や高齢者は、色の識別が更に困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の識別方法および照明装置は、照明光の波長、または照射角度、または偏光を周期的に切り替え、対象物の知覚像の相対的な変化から、色および形を識別することを特徴とする。
【0018】
請求項2の識別方法および照明装置は、周期的に切り替えた照明による知覚像の明るさの変化を色の指標として記号化し、この指標によって色識別することを特徴とする。
【0019】
請求項3の識別方法および照明装置は、音または振動にて照明光の切り替えを知らせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、対象物の色の識別、および形状、色、色むら、汚れ、傷、異物などの観察が容易になるという効果がある。この効果により、工業製品、印刷された資料、建築物、農林水産物、鉱物、調理された料理、化粧された人体などに対する、目視による観察・確認・識別・検査、医療における診断、色弱者にとって識別しにくい色の識別、加齢により困難となった高齢者の色の識別、などに役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1の外観図
図2】実施例1の発光部の断面図
図3】色識別モードの点灯パターン
図4】カラー印刷された折れ線グラフの例
図5】PWM制御の場合の点灯パターン例
図6】実施例2の説明図
図7】実施例5の説明図
図8】実施例6の説明図
図9】実施例6の説明図(偏光ビームスプリッタ利用)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0022】
図1は、実施例1の外観図である。デスク用のランプスタンドの形状をしている。2はランプセード、3はランプの発光部(ランプセードの奥に位置する)、4は支持部、5は制御部、6は制御ボタンである。9はこのランプで照明する対象物である。
【0023】
図2は実施例1の発光部3の断面図である。7はLEDデバイス(発光ダイオード)であり、7Aは発光色が赤色のLED素子、7Bは発光色が緑色のLED素子、7Cは発光色が青色のLED素子であり、ひとつのパッケージに、赤、緑、青の3色のLED素子がそれぞれ基板にボンディングさている。この図のように、ひとつのLEDパッケージではなく、各色のLEDパッケージを基板に取り付けたものであっても良い。
【0024】
LEDの発光色は赤緑青に限られたものではなく、紫色、シアン色、黄色、アンバー色、オレンジ色、などの各色(すなわち各波長)、青色LEDまたは紫外線LEDに蛍光体を付けて白色発光させたLED(白色LED)を組み合わせても良い。7D(不図示)は白色LEDデバイスである。照明用として用いる場合は、赤、緑、青の3色のLEDでつくる白色光は太陽光や電球、蛍光灯と異なり、黄色およびシアンのスペクトルが欠けているため、色合いが異なることがある。そのため、赤緑青のLEDの他に、白色LED7Dの追加が望ましい。
【0025】
8はLED素子からの光を集めるレンズ部であり、通常は透明なアクリル系またはシリコーン系の樹脂、ガラスで構成されている。レンズは、光を集光させるだけでなく、対象物を照射するときに、各色の色ムラ、明るさのムラ(照度ムラ)が発生しないように、光をミキシングする機能、および光を拡散させる機能を兼ね備えている。レンズ部は、レンズ、拡散板、光ファイバ、導光板など複数の光学部材で構成しても良い。
【0026】
実施例1を通常のデスクランプとして用いる場合は、7Dの白色LEDを点灯させ照明灯として用いる。赤・緑・青のLEDを同時点灯させて白色の照明として用いることも可能であるが、どちらを用いるかは使用者の好みの問題である。色合いとしては、白色LEDを用いた方が好まれる場合が多い。色弱者にとっては、赤・緑・青のLEDを同時点灯させた方が白色LEDを用いるよりも色識別が容易になる。6の制御ボタンにて照明色および照明モードを変更する。
【0027】
本発明の色識別を行う場合は、色識別モードの点灯を行う。図3は色識別モードの点灯パターンを示している。横軸は時間、縦軸はLEDに印加された電圧または電流を示す。縦軸は発光するLEDの明るさに対応している。図3の(A)は赤色LED、(B)は緑色LED、(C)は青色LEDの発光パターンを示している。赤色LED、緑色LED、青色LEDが順次点灯した後、赤・緑・青のLEDが同時点灯する。このパターンを一定の周波数で繰り返す。赤→緑→青→白(赤緑青の同時点灯)というパターンで照明光が繰り返し点灯する。点灯周波数は5Hz以下である。例えば、3Hzの場合、各色の点灯時間は、1/3 秒となる。点灯時間は、秒単位の長い時間でも良い。
【0028】
図4は印刷された折れ線グラフであり、各項目のラインは、(A)赤、(B)緑、(C)青、(D)黒で描かれている。照明光で印刷物が照らされると、インクの反射率特性に応じた波長の光が眼に入力する。蛍光灯や発熱電球、太陽光でこの印刷物を見た場合、赤緑色弱者(1型色覚、2型色覚)にとっては、(A)の赤と(B)の緑の識別が難しい。特に2色覚の色弱者にとっては、グラフの項目の判別が困難である。カラー印刷の普及により、グラフや地図、広告、プレゼンテーション資料などの印刷物は、以前にも増して、多様に色が用いられている。特にグラフの読み取りは、様々な業務上重要であることが多く、識別できないことは問題となる。
【0029】
このグラフに、赤色の照明光を照射すると、赤のラインを構成するインクが赤色の反射率が高いため、赤のラインが明るくなる。このようにして、赤色照明の時には赤のグラフが明るくなり、緑色照明の時には緑のグラフが明るくなり、青色照明の時には青のグラフが明るくなり、赤緑青の照明が同時に点灯したときには、観察者にとって普段に使う照明に近い見え方となる。照明の色を周期的に切り替えると、印刷されたグラフのラインが照明色に対応して明るくなったり暗くなったりして、あたかもディスプレイ上の画像のように、ラインが点滅しているような錯覚に陥り、グラフに対する色識別が格段に向上する。
【0030】
このように、照明色を周期的に切り替えた対象物を見ていると、目視による色識別が劇的に改善する。色ばかりではなく、対象物の形状、傷、付着したゴミなどの異物に対する認識能力も向上する。尚、後述する実施例5,6のように、照明光の色だけでなく、照射角度、偏光を周期的に切り替えると、表面状態、傷、汚れ、異物などの識別がさらに容易になる場合がある。
【0031】
対象物の位置が同じで、照明のみが切り替わると、切り替え前の像との対比となる。この色対比による効果が、色識別を向上させる理由のひとつと考えらえる。照明光の色を変えることにより、各錐体には周期的に刺激が与えられる。切り替え周期によっては、残像効果も色識別向上に影響している可能性がある。周期的に照明光を変えると、色などの識別能力が向上することは、人間の眼と脳の生理的・心理的な特質による現象と考えられる。本特許では、この方法による識別方法を、順次光切替識別法(または、順次照明切替識別法、順次照明切替色識別法)と呼ぶことにする。
【0032】
照明を切り替える周波数によってその効果は異なるが、周波数によっては光感受性反応により気分が悪くなることがあり、5Hz以下の遅い周波数で切り替えることが望ましい。対象物をじっくり観察したい場合は、1Hz以下の遅い周波数で切り替えた方が見やすい。光感受性反応に関しては、10〜20Hzの点滅周波数が危険と言われている。テレビ東京の「アニメ番組等の映像効果に関する製作ガイドライン」によると、1/3秒に1回を超える光の点滅は避けるべきだとしている。
【0033】
蛍光灯やブラウン管TVのように、人間の眼にちらつきが感知できないほど速い周波数で各色を周期的に点滅させても、順次光切替識別法における色識別効果は得られない。
【0034】
LED照明の調光として、PWM(Pulse Width Modulation)が一般的に用いられている。実施例1において、PWMを利用した場合は、図5のようになる。各色の明るさは、各色のパルス幅(点灯時間)に比例する。また、図3のように、PWM制御ではなく、LEDの明るさの制御を抵抗で行い、直流で点灯することも可能である。明るさを変える場合は可変抵抗を用いる等の方法がある。
【0035】
観察者の眼の特性に合わせて、各色のLEDの出力を調光すると、通常の照明に使用した場合、および順次光切替識別法で色識別を行う場合に、より有利になる。使用前に、眼の特性に合わせて各色の明るさを観察者(特に色弱者)が調整することが望ましい。
【0036】
図1では、ランプ側の制御ボタン6にて、明るさやモードを切り替えていたが、USBや無線などで、パソコン、スマートフォンに接続して、パソコン、スマートフォン側から操作するようにしても良い。この方が、細かい操作がしやすく、装置の製造コストも高くならない。
【実施例2】
【0037】
図6は実施例2の説明図であり、ランプとしての様々な形態を示している。基本機能としては実施例1と同じである。図6(A)は懐中電灯型である。3は発光部を示し、矢印方向に光が出射される。電源としては乾電池またはリチウムイオン電池などの蓄電池を使用する。図6(B)は側面から光が出る携帯型の電灯である。図6(C)はヘッドランプ型であり、頭部に設置できるランプである。図6(D)は、鉱物、化石、動植物などの観察に適した照明である。鉱物を観察する場合を図示している。図6(E)は、室内電灯の電球口金(E26など)に取り付ける電球タイプである。照明の制御は無線などのワイヤレスで行う。図6(F)は、蛍光灯型であり、蛍光灯の口金に取り付けるタイプである。照明の制御は無線などのワイヤレスで行う。
【実施例3】
【0038】
本方法(順次光切替識別法)を用いると、照明を切り替えた時の視覚像の相対的な明るさを用いて、色を記号化できる。実施例3は、色を記号として表現し、この記号を指標にして色を判断する方法である。
【0039】
例えば、照明を切り替えたことによる、対象物のある部分の相対的な視覚像の明るさを (1)明るい、 (2)中間、 (3)暗い の3段階で表現するとする。照明を 赤 → 緑 → 青 → 赤緑青の同時点灯 → 赤 → ・・・ と周期的に切り替えると、対象物の明るさが、(1)明るい → (3)暗い → (3)暗い → (2)中間 → ・・・ となるとする。この場合、明るさの変化を定義した段階記号で表すと、1332となる。このようにして、明るさ段階の相対的な変化値として、色を記号化して表現できる。製品の外観の明るさが1332であれば合格、というように判断の基準として用いることができる。視覚像ではなく、カメラやフォトセンサを用いれば、より厳密に記号化できる。
【実施例4】
【0040】
対象物によっては、切り替えた照明色が分かりにくい場合がある。現在の照明色が分からない場合は、色を符号化して検知するときは特に問題となる。切り替える照明色の種類が、5色7色と多い場合は、特に間違えやすい。本実施例は、このような間違いを無くすために、照明の切り替えを音または振動で知らせる機能を付けたものである。
【0041】
例えば、照明が 赤 → 緑 → 青 → 赤緑青の同時点灯 → 赤 → ・・・ と切り替えた場合、照明切り替えと同時に日本語の音声で あか → みどり → あお → しろ → あか → ・・・ と知らせる。または、日本語以外の言語、例えば英語で、 RED → GREEN → BULE → WHITE → ・・・ と音声で知らせる。言語以外の方法、例えばアラーム音の回数や音階で知らせても良い。この場合は、アラーム音1回→ アラーム音2回 → アラーム音3回 → アラーム音なし → ・・・ のように回数で知らせるか、 ドの音階 → ミの音階 → ソの音階 → ドミソの和音 → ・・・ のように音階で知らせても良い。照明切り替えの基準となる点が分かれば良いので、赤の時だけ、赤緑青同時点灯のときだけ、などの特定の照明色で音声やアラームで知らせる方法でも良い。
【0042】
周囲の騒音などにより音が聞き取りにくい状況の場合は、照明装置の取手部分をモーターなどで振動させて、振動により照明の切り替えを知らせても良い。また、音と振動の両方を用いて照明の切り替えを知らせても良い。
【実施例5】
【0043】
実施例5は照明光の切り替えを、照射角度変えた照明により行うものである。図7は、実施例5の説明図である。24は観察対象物、21は観察対象物に対して垂直に光を照射する照明、22は観察対象物に対して右から光を照射する照明、23は観察対象物に対して右から光を照射する照明である。(22、23は所謂、斜照明である。対象物に対して、均等に斜めから照射できるように、リング状に構成しても良い。)照明光の切り替えは、例えば、21→22→23、21→22と23の同時点灯 という周期で繰り返す。色の切り替えと組み合わせて、例えば、21(赤)→21(緑)→21(青)→22(赤)と23(赤)→22(緑)と23(緑)→22(青)と23(青)というような周期で切り替えても良い。切り替えパターンは対象物の特性と目的による。
【0044】
22や23のような、斜めからの照明は、対象物の傷など微小な窪みで光が散乱して光るので、傷の観察、表面がザラザラした粗い対象物の場合に特に役に立つ。また、波長は短いほど(赤よりも青い光)、微小な傷が観察しやすいことが多い。
【実施例6】
【0045】
実施例6は照明光の切り替えを、偏光により行うものである。本実施例は、樹脂や鉱物など偏光特性がある観察対象物に対して役に立つ。図8図9は、実施例6の説明図である。図8において、31は第1の光源、32は第2の光源、33、34は偏光フィルタであり、33と34の偏光の向きは異なっている。光線36、光線37は偏光フィルタ33、34を出たあとの光線であり、36と37の偏光の方向は異なっている。35はハーフミラーである。38は観察対象物である。光源の点灯切り替えによって、照明光の偏光方向が変わることになる。照明光の切り替えは、例えば、光源31→32→31と32の同時点灯、または 光源31→32という周期で繰り返す。色の切り替えを組み合わせて、例えば、光源31(赤)→31(緑)→31(青)→31(赤緑青同時点灯)→32(赤緑青同時点灯)というような周期で切り替えても良い。切り替えパターンは対象物の特性と目的による。
【0046】
図9は実施例6の別の構成であり、図8と同様に照明光の切り替えを、偏光により行うものである。41は第1の光源、42は第2の光源である。43は偏光ビームスプリッタであり、反射と透過で偏光特性が異なる。光源41から出射した光は、偏光ビームスプリッタにより異なる偏光に分けられ、偏光が異なる光46と光45が、観察対象物48を照明する。光源の点灯切り替えによって、照明光の偏光方向が変わることになる。図9のように、光44、光47は、偏光ビームスプリッタ43を経ると観察対象物48には到達しない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明により、対象物の色の識別、および形状、色、色むら、汚れ、傷、異物などの観察が容易になるという効果がある。この効果により、工業製品、印刷された資料、建築物、農林水産物、鉱物、調理された料理、化粧された人体などに対する、目視による観察・確認・識別・検査、医療における診断、色弱者にとって識別しにくい色の識別、加齢により困難となった高齢者の色の識別、などに役立てることができる。産業上としては、製造業、農林水産業、建築土木業、サービス業、医療、教育、学術研究など様々な業種において可能性がある。
【符号の説明】
【0048】
1 デスクランプ
2 ランプセード
3 発光部
4 支持部
5 制御部
6 制御ボタン
7 LEDデバイス
7A 発光色が赤色のLED素子
7B 発光色が緑色のLED素子
7C 発光色が青色のLED素子
7D 白色LEDデバイス
8 レンズ部
9 照明対象物(観察対象物)
21 垂直照明
22、23 斜照明
24 観察対象物
31 第1の光源
32 第2の光源
33、34 偏光フィルタ
35 ハーフミラー
36 光源31、偏光フィルタ33を経て対象物に照射される光
37 光源32、偏光フィルタ34を経て対象物に照射される光
38 観察対象物
41 第1の光源
42 第2の光源
43 偏光ビームスプリッタ
44 光源42を出て、偏光ビームスプリッタ43を透過する光
45 光源42を出て、偏光ビームスプリッタ43で反射する光
46 光源41を出て、偏光ビームスプリッタ43を透過する光
47 光源41を出て、偏光ビームスプリッタ43で反射する光
48 観察対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9