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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-39635(P2021-39635A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】配線設計システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20210212BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20210212BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20210212BHJP
【FI】
   G06F17/50 650A
   G06F17/50 634H
   G06T11/60 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-161768(P2019-161768)
(22)【出願日】2019年9月5日
(71)【出願人】
【識別番号】592031318
【氏名又は名称】富士古河E&C株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】中峠 史朗
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智広
【テーマコード(参考)】
5B046
5B050
【Fターム(参考)】
5B046AA01
5B046BA05
5B046BA06
5B046DA01
5B046FA05
5B046GA01
5B046HA05
5B046KA05
5B050AA07
5B050BA17
5B050BA18
5B050BA20
5B050EA03
5B050EA19
5B050FA02
(57)【要約】
【課題】 既存のHFC方式からFTTH化する場合のように、分岐器を交換または新設する場合において、加入者宅の再割り当てを容易に行うことが可能な配線設計システム等を提供する。
【解決手段】
配線設計システム1は、地図データ及び既設配線図を含む図面データを読込み、既設の配線(HFC)に用いられる各分岐器(タップオフ)に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得する。また、FTTH方式を導入するために交換または新設する各分岐器(クロージャ)に属する加入者数の割り当て(クロージャグループ)を隣接する分岐器の距離に関する条件等、所定の条件を満たすように新たに求め、地図上にクロージャグループを示す枠や加入者数を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得する図面取得手段と、
既設の配線に用いられる各分岐器に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得する現加入者数取得手段と、
交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求める割り当て算出手段と、
前記割り当て算出手段による算出結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする配線設計システム。
【請求項2】
前記条件は、隣接する分岐器の距離に関する条件を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線設計システム。
【請求項3】
前記条件は、交換または新設する各分岐器に割り当てる加入者数の上限に関する条件を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線設計システム。
【請求項4】
既設の分岐器に割り当てられている現加入者数を地図上に表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の配線設計システム。
【請求項5】
前記割り当て算出手段は、隣接する既設分岐器間の距離が所定の距離以上離れている場合は、該既設分岐器に属するそれぞれの加入者宅が別の交換または新設する分岐器に属するように前記加入者数の割り当てを算出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の配線設計システム。
【請求項6】
前記出力手段は、
前記割り当て算出手段により算出された、交換または新設する各分岐器に割り当てられた既設分岐器を囲む枠を地図上に描画することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の配線設計システム。
【請求項7】
前記交換または新設する分岐器の配置位置を決定する決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の配線設計システム。
【請求項8】
前記割り当て算出手段により求められた交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てに対する修正を受け付ける修正手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の配線設計システム。
【請求項9】
前記既設分岐器は、HFCにおけるタップオフであり、
前記交換または新設する分岐器は、FTTHにおけるドロップクロージャであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の配線設計システム。
【請求項10】
コンピュータが、
地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得するステップと、
既設の配線に用いられる各分岐器に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得するステップと、
交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求めるステップと、
前記交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当ての算出結果を出力するステップと、
を含むことを特徴とする配線設計方法。
【請求項11】
コンピュータを、
地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得する図面取得手段、
既設の配線に用いられる各分岐器に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得する現加入者数取得手段、
交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求める割り当て算出手段、
前記割り当て算出手段による算出結果を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線設計システム等に関し、詳細には、CATVの分岐配線設計の支援に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、CATVネットワークでは、光同軸ハイブリッド(HFC;Hybrid fiber coaxial)方式から、FTTH(Fiber to the home)方式への移行が図られている。HFC方式とは、幹線は光ファイバを敷設し、電柱から各加入者宅までは同軸ケーブルを引き込む方式である。各エリア(ノード)には光信号を電気信号に変換増幅する装置であるノードアンプが設置される。ノードアンプで変換された電気信号は、電柱に設けられた分岐器(タップオフ)により所定の分岐数に同軸分岐され、同軸ケーブルを介して各加入者宅へ伝達される。
【0003】
一方、FTTH方式は、幹線から電柱、及び電柱から各加入者宅までを光ファイバを用いる方式である。FTTH方式では、上述の分岐器(タップオフ)に代えてドロップクロージャと呼ばれる分岐器を用い、この分岐器(ドロップクロージャ)内に実装されるカプラで光ファイバ分岐して各加入者宅へ引き込んでいる。FTTH化により情報伝送量が格段に増え、4K/8K等の映像伝送に対応できるようになる。
【0004】
CATV施工業者等は、分岐箇所である電柱から加入者宅までの距離や位置関係等を考慮して、どのように分岐配線するかを設計している。このような配線設計は、現状、いくつかのルールと設計者の経験により考えられていた。例えば、特許文献1では、配柱ルートの直線式を決定し、前記直線上の装柱位置を示す装柱位置データと指定数の加入者宅の各位置を示す加入者宅位置データと、前記直線式と加入者宅の位置各々から装柱位置までの距離の総和を算出し、この総和が最小となる装柱位置を指定数の加入者宅に対する分岐器配置位置とする分岐器配置位置決定システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2788808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、旧システムの同軸分岐に対応するものであり、既存の配線をFTTH化する場合のように、分岐器を再配置する場合を考慮したものではない。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、既存のHFC方式からFTTH化する場合のように、分岐器を交換または新設する場合において、加入者宅の再割り当てを容易に行うことが可能な配線設計システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための第1の発明は、地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得する図面取得手段と、既設の配線に用いられる各分岐器に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得する現加入者数取得手段と、交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求める割り当て算出手段と、前記割り当て算出手段による算出結果を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする配線設計システムである。
【0009】
第1の発明の配線設計システムによれば、地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得し、既設の配線に用いられる各分岐器(例えば、HFC方式におけるタップオフ)に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得し、交換または新設する各分岐器(例えば、FTTH方式におけるドロップクロージャ)に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求め、算出結果を出力することができる。これにより、既設の配線に用いていた分岐器を交換または新設する場合において、既設の分岐器の現加入者数データを利用して加入者宅の再割り当てを容易に行うことが可能となる。新システムに移行する際や既存の配線に分岐器を新設する場合等の配線設計を支援することが可能となる。
【0010】
第1の発明において、前記条件は、隣接する分岐器の距離に関する条件を含むことが望ましい。また、前記条件は、交換または新設する各分岐器に割り当てる加入者数の上限に関する条件を含むことが望ましい。これにより、加入者宅の距離や位置関係、分岐数等に応じた配線設計を行うことが可能となる。
【0011】
また、既設の分岐器に割り当てられている現加入者数を地図上に表示する表示手段を備えることが望ましい。これにより、作業者は既存の分岐器に属する加入者の数を確認しながら、新たな配線設計を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記割り当て算出手段は、隣接する既設分岐器間の距離が所定の距離以上離れている場合は、該既設分岐器に属するそれぞれの加入者宅が別の交換または新設する分岐器に属するように前記加入者数の割り当てを算出することが望ましい。これにより、配線の長さ等に配慮した配線設計を行うことができる。
【0013】
前記出力手段は、前記割り当て算出手段により算出された、交換または新設する各分岐器に割り当てられた既設分岐器を囲む枠を地図上に描画することが望ましい。これにより、新システムでの各分岐器に割り当てられた既設分岐器(加入者数や加入者宅)を地図上で容易に確認することが可能となる。
【0014】
また、前記交換または新設する分岐器の配置位置を決定する決定手段を更に備えることが望ましい。これにより、新システムを導入する際に、どの位置に新しい分岐器を配置することが最適であるかを簡単に知ることが可能となる。
【0015】
また、前記割り当て算出手段により求められた交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てに対する修正を受け付ける修正手段を更に備えることが望ましい。これにより、作業者が手作業で配線設計の修正を行うことが可能となり、多様なケースに柔軟に対応可能となる。
【0016】
前記既設分岐器は、HFCにおけるタップオフであり、前記交換または新設する分岐器は、FTTHにおけるドロップクロージャであることが望ましい。これにより、CATVネットワークにおいてHFCシステムからFTTHシステムへの移行に特化した機能を備える配線設計システムを提供できる。
【0017】
第2の発明は、コンピュータが、地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得するステップと、既設の配線に用いられる各分岐器に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得するステップと、交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求めるステップと、前記交換または新設する各分岐器に属する加入者数の割り当ての算出結果を出力するステップと、を含むことを特徴とする配線設計方法である。
【0018】
第2の発明の配線設計方法によれば、コンピュータを用いて、地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得し、既設の配線に用いられる各分岐器(例えば、HFC方式におけるタップオフ)に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得し、交換または新設する各分岐器(例えば、FTTH方式におけるドロップクロージャ)に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求め、算出結果を出力することができる。これにより、既設の配線に用いていた分岐器を交換または新設する場合において、加入者宅の再割り当てを容易に行うことが可能となり、新システムに移行する際や既存の配線に分岐器を新設する場合等における配線設計を支援することが可能となる。
【0019】
第3の発明は、コンピュータを、地図データ及び既設配線図を含む図面データを取得する図面取得手段、既設の配線に用いられる各分岐器(例えば、HFC方式におけるタップオフ)に属する加入者数の情報である現加入者数データを取得する現加入者数取得手段、交換または新設する各分岐器(例えば、FTTH方式におけるドロップクロージャ)に属する加入者数の割り当てを、所定の条件を満たすように新たに求める割り当て算出手段、前記割り当て算出手段による算出結果を出力する出力手段、として機能させるためのプログラムである。
【0020】
第3の発明により、コンピュータを第1の発明の配線設計システムとして機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、分岐器を交換または新設する場合において、加入者宅の再割り当てを容易に行うことが可能な配線設計システム等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】配線設計システム1の外観を示す図
図2】配線設計システム1の機能構成を示すブロック図
図3】地図データ及び既設配線図を含むCAD図面30の一例を示す図
図4】現加入者数データ40の一例を示す図
図5】既設配線図50の一部を示す図
図6】クロージャグループにおける距離条件について説明する図
図7】割り当て算出処理24による算出結果(出力結果)を示す図
図8図5に示す既設配線図50に対して、算出した各クロージャグループG1、G2のクロージャグループ枠g1、g2を描画した状態を示す図
図9】本発明に係る配線設計方法の全体の流れを示すフローチャート
図10図9のステップS106のクロージャ割り当て処理の詳細を示すフローチャート
図11】クロージャグループ枠の描画例を示す図
図12】クロージャグループ枠の描画方法を説明する図
図13】クロージャグループ枠及び加入者数を地図上に示した図の例
図14】分岐上限値を7とし、隣接するタップオフ間の距離を100m以内とする場合のクロージャ割り当て処理の具体例を示すフローチャート
図15図14に続くフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施の形態では、CATVネットワークにおいて、既存のHFC方式からFTTH方式へ移行する際の配線設計を例として説明する。HFC方式の分岐器(既設分岐器)は柱上タップ(以下、タップオフと呼ぶ)であり、FTTH方式の分岐器(交換または新設する分岐器)はドロップクロージャ(以下、クロージャと呼ぶ)とする。
【0024】
図1は配線設計システム1のハードウェア構成を示す図である。図1に示すように、配線設計システム1は、制御部101、記憶部102、通信部103、入力部104、表示部105、周辺機器I/F部106、及びバス107等を備えたコンピュータ等により構成される。制御部101、記憶部102、通信部103、入力部104、表示部105、周辺機器I/F部106は、バス107により接続される。但し、配線設計システム1の構成はこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0025】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。CPUは、記憶部102、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス107を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部101が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。制御部101は、上記プログラムを読み出して実行することにより、配線設計システム1の各手段として機能する。
【0026】
具体的には、配線設計システム1の制御部101は、図2に示すように、図面取得手段(図面取得処理21)、現加入者数取得手段(現加入者数取得処理22)、現加入者数表示手段(現加入者数表示処理23)、割り当て算出手段(割り当て算出処理24)、決定手段(分岐器配置決定処理25)、出力手段(出力処理26)、及び修正手段(修正処理27)等として機能する。各処理の詳細については後述する。
【0027】
配線設計システム1の記憶部102は、例えば、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部102には制御部101が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティングシステム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部101により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。
【0028】
記憶部102には図面データ、現加入者数データ等の情報が記憶される。これらのデータの内容については後述する。
【0029】
通信部103は、通信制御装置及び通信ポートを有し、ネットワーク等との通信を制御する。
【0030】
入力部104は、例えば、キーボードやマウス等のポインティングデバイス、或いはディスプレイと一体的に設けられたタッチパネル等であり制御部101に対してデータを入力する。
表示部105は、液晶パネル等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部101の制御により入力された表示用データをディスプレイ装置上に表示させる。
【0031】
周辺機器I/F部106は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部106を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0032】
次に、図2を参照して、配線設計システム1の機能構成について説明する。図2に示すように、配線設計システム1は、図面取得処理21、現加入者数取得処理22、現加入者数表示処理23、割り当て算出処理24、分岐器配置決定処理25、出力処理26、及び修正処理27を実行する。
【0033】
図面取得処理21において、制御部101は地図データ及び既設配線図を含む図面データを記憶部102または記憶媒体、或いは通信部103を介して取得する。地図データ及び既設配線図は、例えば図3に示すようなCADデータである。既設配線図は、本実施の形態では、HFC方式での既設の配線ルートや同軸分岐箇所(分岐器の設置箇所)等を地図上に描画した図面データである。図3では、「〇」は電柱(分岐器)、「△」はノードアンプを示し、幹線は太線(光ファイバ)、電柱(分岐器)から加入者宅までの配線は点線、電柱間の配線は一点鎖線で示している。
【0034】
現加入者数取得処理22において、制御部101は現加入者数データ40(図4参照)を取得する。現加入者数データ40は、既設の配線(HFC方式)に用いられる各分岐器(タップオフ)に属する加入者数の情報である。現加入者数データ40は、図面データの既設配線図50内の分岐器オブジェクト(図5のA1、A2、A3、A4、…)に紐づけられている。または、現加入者数データ40は、ユーザが入力部104を介して入力してもよいし、記憶媒体等から読み込むようにしてもよい。
【0035】
図4は現加入者数データ40の一例を示す図である。図4において、A1からA11は、各タップオフ(既設分岐器)を識別する識別情報である。現加入者数とは、各タップオフに属する加入者数(各タップオフに接続される加入者宅の数)である。図4の例では、タップオフA1に属する加入者数は4戸、タップオフA2に属する加入者数は5戸、タップオフA3に属する加入者数は3戸、タップオフA4に属する加入者数は2戸、タップオフA5に属する加入者数は4戸、タップオフA6に属する加入者数は5戸、タップオフA7に属する加入者数は3戸、タップオフA8に属する加入者数は6戸、タップオフA9に属する加入者数は2戸、タップオフA10に属する加入者数は1戸である。
【0036】
現加入者数表示処理23において、制御部101は、既設分岐器(タップオフ)の現加入者数を地図上に表示する。地図上の道路側をクロージャ等の光設計の作図エリアとするため、住宅側に現加入者数を配置することが望ましい。住宅は、四角形を始めとする小さな多角形が多く、道路は線形または区画が多いため、現加入者数表示処理23はこれに基づいて道路側か住宅かを判別する。現加入者数表示処理23は、タップオフから例えば5mの位置に現加入者数を表示する。
【0037】
図5は、既設配線図50の一例を示す図である。既設配線図50は住宅地等を示した地図上にタップオフA1、A2、A3、A4の配置が示されるとともに、タップオフの近傍にそのタップオフに属する加入者数(現加入者数)が示される。タップオフは通常、電柱に設置される。符号N1は、ノードアンプである。図5に示すように、現加入者数表示処理23は、タップオフA1の近傍に加入者数「4」、タップオフA2の近傍に加入者数「5」、タップオフA3の近傍に加入者数「3」、タップオフA4の近傍に加入者数「2」を表示する。
【0038】
割り当て算出処理24において、制御部101はHFCからFTTHへの変更に際し、交換または新設する各分岐器(クロージャ)に属する加入者数の割り当て(クロージャグループ)を、所定の条件を満たすように新たに求める。具体的には、既設のタップオフを光ファイバ用の分岐器であるクロージャに交換するために、制御部101は、取得した各タップオフの現加入者数をクロージャの分岐数に合うように再グルーピングする。このとき、制御部101は、分岐器(タップオフ)間の距離に関する条件に基づいてグルーピングを行う。また、制御部101は、交換または新設する各分岐器(クロージャ)に割り当てる加入者数の上限に関する条件に基づいてグルーピングを行う。
【0039】
具体的には、制御部101は、加入者を所定の上限値毎にグループ分けする。上限値は、例えば、分岐数が「8」のクロージャに交換する場合、「7」とする。これは、1端子は予備として開けておくためである。すなわち、各タップオフに割り当てられていた加入者数(現加入者数)を、上限値を「7」とするクロージャグループに再グルーピングする。なお、予備端子を確保しなくてもよく、この場合、上限値は分岐数と同じ「8」となる。
【0040】
また、制御部101は、隣接する既設分岐器(タップオフ)間の距離が所定の距離以上離れている場合は、該既設分岐器(タップオフ)に属するそれぞれの加入者宅が別の交換または新設する分岐器(クロージャ)に属するように加入数を割り当てる。具体的には、隣接するタップオフ間の距離が所定の距離(例えば、100m)を超えた場合は、それらのタップオフは別のクロージャグループとする。例えば、タップオフA1とタップオフA2との距離が100m以内であれば同じクロージャグループとし、タップオフA1とタップオフA2との距離が100mより大きければ、別のクロージャグループとする。
【0041】
また、グルーピングをする際、隣接するタップオフ間の距離だけでなく、敷設ルートの距離制限(例えば、タップオフ間距離の合計値が200m以内)を考慮してもよい。例えば、A1、A2、・・・、An−1までが同じクロージャグループG1にグルーピングされ、次のタップオフAnのグルーピングを決定する場合を考える。このとき、タップオフAnと隣接するタッププオフAn−1との距離が100m以内、かつ、タップオフ間距離の合計値D(D=「A1〜A2間の距離」+「A2〜A3間の距離」+・・・+「An−1〜An間の距離」)が敷設ルートの距離制限を超えない場合には(D≦200m)、タップオフAnを既存のクロージャグループG1にグルーピングする。一方、タップオフAnと隣接するタップオフAn−1との距離が100mを超えるか、タップオフ間距離の合計値Dが敷設ルートの距離制限を超えた場合には(D>200m)、新たなクロージャグループG2を生成し、当該クロージャグループG2にAnをグルーピングする。
【0042】
このように、敷設ルートの距離制限を考慮してグルーピングをすることで、図6に示すように、所定の距離範囲に存在するタップオフ(図の例ではタップオフA1〜A7)のみが同一クロージャグループとなり、所定の距離範囲を超えたタップオフ(図の例ではタップオフB1)は別クロージャグループとなる。
【0043】
割り当て算出処理24において、制御部101は、図5に示すように、例えば、敷設ルート上の基点であるクラスタクロージャ(既設ノードアンプN1)と同一のノードアンプ番号に属するタップオフのうち、クラスタクロージャから一番遠いタップオフ(図の例ではA1)からグルーピングを開始する。タップオフとクラスタクロージャとの距離は、直線距離で求めるものとすればよい。タップオフの位置A(X1,Y1)、既設ノードアンプの位置N1(X2,Y2)とすると、直接距離は、以下の式(1)で表される。
【0044】
A-N1=((X1-X2)2+(Y1-Y2)2)1/2 …(1)
【0045】
割り当て算出処理24におけるクロージャグループの割り当ての具体的な算出手順については後述する。
【0046】
図7は、割り当て算出処理24による算出結果(出力結果)を示す図である。
図7の表60の「入力データ」は、図4に示す現加入者数データ40であり各タップオフA1〜A10に割り当てられている加入者数(現加入者数)を示している。また、表60の「出力結果」はクロージャグループの割り当て結果を示すものであり、各クロージャへ割り当てられる1または複数のタップオフとそのタップオフからクロージャグループに割り当てられる加入者数とを示している。クロージャグループは、G1、G2、…のようにナンバリングされる。
【0047】
図7の例では、クロージャグループG1にはタップオフA1の4加入者とタップオフA2の3加入者(5加入者のうち3加入者)が割り当てられる。クロージャグループG2にはタップオフA3の2加入者(5加入者のうち2加入者)とタップオフA3の3加入者とタップオフA4の2加入者が割り当てられる。また、図5に示していない別の地域にあるタップオフA5〜A10については、新たなクロージャグループとして、クロージャグループG3には、タップオフA5の4加入者とタップオフA6の3加入者(5加入者のうち3加入者)が割り当てられる。クロージャグループG4には、タップオフA6の2加入者(5加入者のうち2加入者)とタップオフA7の3加入者とタップオフA8の2加入者(6加入者のうち2加入者)が割り当てられる。クロージャグループG5には、タップオフA8の4加入者(6加入者のうち4加入者)とタップオフA9の2加入者とタップオフA10の1加入者が割り当てられる。また、表60に示す実線枠と点線枠は、それぞれ異なるエリアであることを示している。
【0048】
分岐器配置決定処理25において、制御部101は、交換または新設する分岐器の配置位置を決定する。例えば、割り当て算出処理24により求められたクロージャグループ内に複数のタップオフが存在する場合、タップオフ数が偶数の場合は、緯度、経度、またはX座標、Y座標の高い値(或いは低い値)のタップオフ位置をドロップクロージャの位置とする。また、タップオフ数が奇数の場合は、緯度、経度またはX座標、Y座標が中央に近いタップオフ位置をドロップクロージャの位置とする。或いは、ノードアンプから最も近いタップオフ位置をドロップクロージャの位置としてもよい。
【0049】
出力処理26において、制御部101は、割り当て算出処理24による算出結果を出力する。例えば、制御部101は、割り当て算出処理24により算出された、交換または新設する各分岐器(クロージャ)に割り当てられた既設分岐器を囲む枠(クロージャグループ枠)を地図上に描画する。また、出力処理26は、割り当て算出処理24により算出された、交換または新設する各分岐器(クロージャ)に割り当てられた加入者数を地図上に表示してもよい。また、制御部101は、分岐器配置決定処理25により決定された分岐器の配置位置を地図上に描画してもよい。
【0050】
図8は、図5に示す既設配線図50に対して、割り当て算出処理24により算出された各クロージャグループG1、G2を示す枠線であるクロージャグループ枠g1、g2を描画した配線図55を示している。図7に示すように、クロージャグループG1は、タップオフA1とタップオフA2が含まれるため、地図中のタップオフA1とA2とを囲むクロージャグループ枠g1が描画される。また、クロージャグループG2は、タップオフA2とタップオフA3とA4が含まれるため、地図中のタップオフA2とA3とA4とを囲むクロージャグループ枠g2が描画される。
【0051】
修正処理27において、制御部101は、割り当て算出処理24により求められた交換または新設する各分岐器(クロージャ)に属する加入者数の割り当て(クロージャグループ)に対する修正を受け付ける。修正は、ユーザが入力部104を介して入力することができる。また、修正により再演算が必要な場合は、割り当て算出処理24が再度実行される。
【0052】
次に、配線設計システム1を用いた配線設計方法について説明する。
まず、図9のフローチャートを参照して処理の全体の流れについて説明する。
【0053】
まず、配線設計システム1の制御部101は、CAD(Computer Aided Design)から地図データ及び既存の配線データ(既設配線図)を読み込む(ステップS101)。図面の読込みが完了すると(ステップS102;Yes)、制御部101は読み込んだ図面(地図データ及び配線データ)をRAMに記憶する(ステップS103)。
【0054】
次に制御部101は、各タップオフ(既設分岐器)に割り当てられている加入者数(現加入者数)の情報(現加入者数データ40)を取得する(ステップS104)。制御部101は、ステップS104で取得した現加入者数を地図上の各タップオフの近傍に表示する(ステップS105)。
【0055】
ステップS105において、制御部101は、地図データを解析して住宅と道路とを判別し、住宅側に現加入者数を配置する。制御部101は、タップオフから例えば5mの位置に現加入者数を表示する。
【0056】
次に制御部101は、読み込んだ地図及び現加入者数データ40に基づいてクロージャ割り当て算出処理を実行し、交換後の分岐器(クロージャ)に割り当てる加入者数を求める(ステップS106)。
【0057】
ここで、ステップS106のクロージャ割り当て算出処理について図10を参照して説明する。クロージャ割り当て算出処理では、図7に示す表60の出力結果のクロージャグループ欄63、タップオフ名欄64、66、68、加入数欄65、67、69に数値を格納していく要領で処理を行う。表60の入力データのタップオフ欄61及び現加入者数欄62は、図4の現加入者数データ40のタップオフ欄及び現加入者数欄に対応している。
【0058】
制御部101は、まず、クロージャグループ(G1)を作る(ステップS201)。制御部101は、図7の表60のクロージャグループ欄63に「G1」を格納する。また、現加入者数欄62を参照して、未割当のタップオフがあるか否か(どのクロージャグループにも割り当てられていないタップオフがあるか否か)を判定する(ステップS202)。未割当のタップオフが無い場合は(ステップS202;No)、処理を終了する。
【0059】
未割当のタップオフがある場合は(ステップS202;Yes)、制御部101は、未割当のタップオフのうち、1つ目のタップオフの加入者数(現加入者数)を取得する(ステップS202)。なお、この1つ目のタップオフの決め方は、上述したように、敷設ルート上の基点(ノードアンプN)から最も遠いタップオフとすることが望ましい。図5図7の例では、タップオフA1を1つ目のタップオフとしている。
【0060】
制御部101は、着目しているタップオフA1(対象タップオフ)の加入者数がクロージャグループG1の加入者数の上限値と等しいか否かを判定する(ステップS204)。上限値と等しい場合は(ステップS204;=上限値)、表60のタップオフ名欄にタップオフ名を格納し、加入数欄に対象タップオフの現加入者数を格納する(ステップS205)。具体的には、図7の表60において、タップオフ名欄64にタップオフ名「A1」を格納し、加入数欄65に対象タップオフA1の現加入者数「4」を格納する。
【0061】
その後、制御部101は、次のクロージャグループ(G2)を作り(ステップS206)、ステップS202へ戻る。図7の表60のクロージャグループ欄63に次のクロージャグループG2を格納する。
【0062】
ステップS204において、対象タップオフの加入者数がクロージャグループの加入者数の上限より多い場合は(ステップS204;上限値より多い)、ステップS201で作成したクロージャグループG1の加入者数を上限値とし、対象タップオフの加入者数から上限値を減算した値を対象タップオフの残りの加入者数とし、次のクロージャグループ(G2)を作る(ステップS207)。そして、ステップS202へ戻る。具体的には、図7の表60において、タップオフ名欄64に対象タップオフ「A1」を格納し、加入数欄65に「対象タップオフA1の現加入者数−上限値」の値を格納し、クロージャグループ欄63に次のクロージャグループG2を格納する。
【0063】
ステップS204において、対象タップオフの加入者数がクロージャグループ(G1)の加入者数の上限値未満の場合は(ステップS204;上限値未満)、このクロージャグループ(G1)の加入者数に対象タップオフA1の加入者数を格納する(ステップS208)。具体的には、図7の表60において、タップオフ名欄64に対象タップオフ「A1」を格納し、加入数欄65に「対象タップオフA1の現加入者数」の値を格納する。
【0064】
ステップS208の後、制御部101は、未割当のタップオフがあるか否かを判定する(ステップS209)、未割り当てのタップオフが無い場合(ステップS209;No)は、割り当て算出処理を終了する。未割り当てのタップオフがある場合(ステップS209;Yes)は、対象タップオフの隣のタップオフに着目し、隣のタップオフとの距離条件を判定する(ステップS210)。距離条件は、例えば、タップオフ間の距離が100m以内であるか、敷設ルートの距離制限(タップオフ間距離の合計値)の取り決め(200m以内)を満たしているか等である。距離条件を満たさない場合は(ステップS210;No)、次のグループ(G2)を作る(ステップS206)。
【0065】
ステップS210において、距離条件を満たす場合は(ステップS210;Yes)、クロージャグループに隣のタップオフの加入者数を加算した場合の総加入者数を求め(A1の現加入者数+A2の現加入者数)、その数を判定する(ステップS211)。
【0066】
クロージャグループに隣のタップオフの加入者数を加算した結果、クロージャグループの加入者数の上限値と等しくなった場合は(ステップS211;=上限値)、表60のタップオフ名欄にタップオフ名を格納し、加入数欄に対象タップオフの現加入者数を格納する(ステップS212)。具体的には、図7の表60において、タップオフ名欄66にタップオフ名「A2」を格納し、加入数欄67に対象タップオフA2の現加入者数を格納する。その後、次のクロージャグループ(G2)を作り(ステップS213)、ステップS202へ戻る。
【0067】
ステップS211において、クロージャグループに隣のタップオフの加入者数を加算した結果、クロージャグループの加入者数が上限値より多くなる場合は(ステップS211;上限値より多い)、表60のタップオフ名欄にタップオフ名を格納し、加入数欄に対象タップオフの値を格納する。また、隣のタップオフA2の現加入者数の値を、現加入者数−(タップオフA1、A2の加入者数の和(Σ加入者数)−上限値)とする。そして、次のクロージャグループ(G2)を作る(ステップS214)。そして、ステップS202へ戻る。
具体的には、図7の表60において、タップオフ名欄66にタップオフ名「A2」を格納し、加入数欄67に(タップオフA2の現加入者数−(タップオフA1、A2の加入者数の和(Σ加入者数)−上限値)を格納する。その後、次のクロージャグループ(G2)を作り、ステップS202へ戻る。
【0068】
ステップS211において、クロージャグループに隣のタップオフの加入者数を加算した結果、クロージャグループの加入者数が上限値未満になる場合は(ステップS211;上限値未満)、表60のタップオフ名欄にタップオフ名を格納し、加入数欄に隣のタップオフの加入者数を格納し(ステップS215)、ステップS202へ戻り、ステップS202以降を繰り返す。具体的には、図7の表60において、タップオフ名欄66にタップオフ名「A2」を格納し、加入数欄67に(タップオフA2の現加入者数)を格納する。その後、更に隣のタップオフA3があるか否かを判定し、タップオフA3が距離条件を満たせば、タップオフA3をクロージャグループに加入した場合の加入者数を判断する(ステップS210)。そして判断結果に応じた処理を行う(ステップS212〜ステップS215)。これ以降はステップS202へ戻るので、未割当てのタップオフがあるまで繰り返す。
【0069】
図7の表60の全てのタップオフA1〜A10について、クロージャグループへの割り当てが完了すると(ステップS202;No)、図10のクロージャ割り当て算出処理を終了する。図7に、割り当て算出結果を示す。
【0070】
クロージャ割り当て算出処理を終了すると、次に、制御部101は、図9のステップS107のクロージャ配置位置決定処理を行う(ステップS107)。クロージャの配置位置は、ステップS106の処理により求められたクロージャグループ内に複数のタップオフが存在する場合、タップオフ数が偶数であれば、緯度、経度またはX座標、Y座標の高い値のタップオフをドロップクロージャの位置とする。また、タップオフ数が奇数の場合は、緯度、経度またはX座標、Y座標が中央に近いタップオフをドロップクロージャの位置とする。或いは、ノードアンプから最も近いタップオフをドロップクロージャの位置としてもよい。
【0071】
次に、制御部101は、各クロージャグループに属する既設分岐器(タップオフ)を囲むクロージャグループ枠を地図上に描画する(ステップS108)。
【0072】
図11は、クロージャグループG1、G2、G3に対応するクロージャグループ枠g1、g2、g3の描画例を示している。描画手順は、例えば、同一のクロージャグループ枠に複数のタップオフが存在する場合、まず制御部101は、図12(a)に示すように各タップオフを中心に例えば半径10mの円を描き、次に、図12(b)に示すように、それらの円に外接する線で各円を囲む。このようにして得られたクロージャグループ全体を囲む多角形の枠をクロージャグループ枠とする。図12(a)で描いた円は、仮想円とし表示せず、図12(b)のように多角形のみ表示する。なお、円のサイズは一例であり、他の大きさとしてもよい。また、必ずしも枠線は直線とする必要はなく、曲線としてもよい。
【0073】
次に、配線設計システム1の制御部101は、算出した割り当て(クロージャグループ枠)に対する修正を受け付ける(図9のステップS109)。修正が不要な場合は(ステップS109;No)、算出されたクロージャ割り当て(図7の表60)や、クロージャ配置位置、クロージャグループ枠の描画結果等を記憶部102に記憶し(ステップS112)、処理を終了する。
【0074】
ステップS109においてユーザによる修正指示が入力され(ステップS109;Yes)、修正が入力されると(ステップS110)、制御部101は修正内容に基づく再演算が必要か否かを判断し(ステップS111)、再演算が必要な場合は(ステップS111;Yes)、ステップS106のクロージャ割り当て算出処理へ戻る。再演算が不要な場合は(ステップS111;No)、修正後のクロージャ割り当て等を記憶部102に記憶し(ステップS112)、処理を終了する。
【0075】
図13は、図9のフローチャートによる処理により得られた配線図80の例である。図を明確に示すために、住宅や区画を示す線は省略している。
配線図80に示すように、各タップオフ(図中「〇」)の近傍にはタップオフの加入者数を示す数値L11〜L31が表示されるとともに、図9のフローチャートにより算出されたクロージャグループ枠g11〜g20が描画される。
【0076】
図14図15は、図10のクロージャ割り当て算出処理プログラムの具体例を示したフローチャートである。クロージャの最大分岐数、すなわちクロージャグループの加入者数の上限値を「7」とし、また、距離条件として隣接するタップオフ間が100m以内であるという条件を設けている。Gmはクロージャグループ名(図7のクロージャグループ欄63)、(Gm)はクロージャグループにおけるタップオフの割当て領域、Anはタップオフ名(図7のタップオフ名欄64、66、68)、(An)はタップオフの値(図7の加入数欄65、67、69)を示している。m、nは正整数である。
【0077】
図14及び図15のフローチャートは、クロージャの最大分岐数を「7」とした場合のものであるが、これに限定されるものではなく、最大分岐数を「8」や「16」等として、当該プログラムを拡張可能である。また、本発明は、HFC方式からFTTH方式へ移行する際の配線設計のみならず、同方式において分岐器の分岐数を変更する場合や、加入者数の増減による配線設計を行う場合等にも適用することが可能である。
【0078】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0079】
1・・・・配線設計システム
21・・・図面取得処理
22・・・現加入者数取得処理
23・・・現加入者数表示処理
24・・・割り当て算出処理
25・・・分岐器配置決定処理
26・・・出力処理
27・・・修正処理
30・・・配線図
40・・・現加入者数データ
50・・・既設配線図
55・・・既設配線図50にクロージャグループ枠g1、g2を描画した図
60・・・表
61・・・タップオフ欄
62・・・現加入者数欄(タップオフグループの加入者数)
63・・・クロージャグループ欄
64、66、68・・・タップオフ名欄
65、67、69・・・加入数欄
80・・・クロージャグループ枠及び現加入者数を示した配線図
A1〜A10、B1・・・タップオフ(既設分岐器)
G1、G2、G3・・・クロージャグループ(交換または新設された分岐器に属する加入者宅グループ)
g1、g2、g3・・・クロージャグループ枠
L1、L2・・・タップオフ(既設分岐器)の現加入者数
N1・・・既設ノードアンプ(クラスタクロージャ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15