【解決手段】サーフボード用フィン110は、サーフボード101のボトム面101b側に取り付けられるフィン本体111と、フィン本体111に設けられ、強磁性体を含む磁性部材113と、を備える。磁性部材113は、フィン本体111の基端側の領域に設けられていることが好ましい。磁性部材113をフィン本体111に設けることによって、サーフィン中にサメ除け機能を有する磁性部材113が海面下に浸かった状態となるので、より確実にサメ除け機能を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、サーフボード用フィン、リーシュコード、及びサメ除けシステムの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが当該発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0013】
サメ除けシステムの一実施形態について、
図1(A)、
図1(B)を使用しながら説明する。
図1(A)は、本実施形態のサメ除けシステムのデッキ面側から見た斜視図であり、(B)は、本実施形態のサメ除けシステムのボトム面側から見た斜視図である。
【0014】
本実施形態のサメ除けシステム100は、サーフボード101に取り付けるサーフボード用フィン110とリーシュコード120とに磁性部材を設けることによって、磁力でサメを寄せ付けないサメ除け機能を発揮するようになっている。すなわち、サメ除けシステム100では、サーフボード101に取り付けられる付属品であるサーフボード用フィン110やリーシュコード120に磁性部材が設けられている。本実施形態では、磁性部材として、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライト等の強磁性体を含み、サメ除け機能を発揮できる所定の大きさ以上の磁力を発するものが使用される。
【0015】
サーフホード101は、発泡プラスチック材等で成型したボディ本体の表面をファイバーグラス等のファイバー強化樹脂層で覆われて形成されている。サーフボード101は、サーファーが乗る表面側がデッキ面101aとなり、海面に浸かる裏面側がボトム面101bとなっている。
【0016】
サーフボード101のデッキ面101aの後端側には、リーシュコード120の固定手段となるリーシュプラグ123が設けられている。リーシュコード120は、
図1(A)に示すように、サーファーの足首等に装着される装着ストラップ122と、リーシュプラグ123と装着ストラップ122とを接続する接続コード121と、を備える。
【0017】
接続コード121の先端側に設けられる装着ストラップ122をサーファーの足首等に装着して、接続コード121の基端側をリーシュプラグ123に取り付けることによって、リーシュコード120は、サーファーとサーフボード101とを繋ぐ。このようにリーシュコード120で繋ぐことによって、サーファーがサーフボード101から離れないようになる。
【0018】
本実施形態では、リーシュコード120には、接続コード121と装着ストラップ122の少なくとも何れかに強磁性体を含む磁性部材が設けられている。リーシュコード120に磁性部材を設ける態様としては、例えば、接続コード121に強磁性体からなる磁性粉を含ませて樹脂等でコーティングしたり、装着ストラップ122に磁性シートを貼付することによって、磁性部材を設けている。
【0019】
サーフボード101のボトム面101bの後端側には、サーフボード用フィン110を固定する固定手段となるフィンボックス102が設けられている。サーフボード用フィン110は、
図1(B)に示すように、フィンボックス102を介してサーフボード101のボトム面101b側に取り付けられている。このように、サーフボード用フィン110がサーフボード101のボトム面101bに取り付けられることによって、サーフボード101の直進性や回転性等が調整される。
【0020】
サーフボード用フィン110は、フィン本体111の基端に有する取付フック112(
図2(A)参照)をフィンボックス102に嵌合させることによって固定される。フィン本体111の基端側の領域には、強磁性体を含む磁性部材として磁石113が取り付けられている。
【0021】
次に、サーフボード用フィン110の一実施形態の構成の詳細について、
図2(A)、
図2(B)を使用しながら説明する。サーフボード用フィン110は、フィン本体111がカーボンファイバ、カーボンクロス、ガラス繊維又はFRP等で形成され、フィン本体111の表面111aが薄い樹脂膜114で覆われている。
【0022】
本実施形態のサーフボード用フィン110は、サーフボード101に着脱自在となっている。サーフボード用フィン110は、
図2(A)に示すように、フィン本体111の基端の両端側には、フィンボックス102(
図1(B)参照)に嵌合して固定される取付フック112が設けられている。
【0023】
フィン本体111の基端側の領域には、
図2(A)に示すように、強磁性体を含む磁性部材として、塊状の磁石113が取り付けられている。本実施形態では、磁石113は、サメを回避させるのに必要な所定の大きさ以上の磁力を発する強磁性体を含む。
【0024】
磁石113は、強磁性体を含む塊状の永久磁石である。磁石113は、
図2(B)に示すように、フィン本体111を貫通して設けられている孔部111bに嵌め込まれて、接着等により固定されている。磁石113は、その外面がフィン本体111の表面111aと揃うように設けられ、フィン本体111の表面111aを被覆する薄い樹脂膜114で覆われている。
【0025】
なお、磁石113は、フィン本体111を貫通する孔部111bに嵌合させる設置態様でなくてもよい。例えば、磁石113は、フィン本体111の表面111aに設けられた凹部に嵌合させてもよい。
【0026】
また、磁石113は、その外面がフィン本体111の表面111aと揃うように設けられていなくても、フィン本体111の表面111aよりも内側に設けられていてもよい。このように、磁石113がフィン本体111の表面111aから突出しないように設けられている場合には、流体の抵抗に殆ど影響を及ぼさないので、磁石113の設置部位は、フィン本体111の基端側に限定されない。
【0027】
さらに、フィン本体211の基端側の領域では、フィン本体111の表面111aからの突出が2mm以下であれば、流体の抵抗による影響を殆ど受けずに、サーフボード用フィン110による直進性や回転性等の調整機能を損なわない。このため、本実施形態では、例えば、フィン本体111の基端側の領域に凹部を設けて、磁石113を凹部に嵌合させて取り付ける場合には、磁石113が2mm以下の僅かな凸状に突出してもよい。
【0028】
なお、本明細書中で言及する「フィン本体の基端側の領域」とは、フィン本体111のサーフボード101側に寄せられる所定の範囲の領域を示す。例えば、流体の抵抗の影響を抑制するために、磁性部材がフィン本体111の表面111aから2mm以下の突出に収まる構成であれば、所定の範囲の領域としてフィン本体111の高さの半分以下の領域を示す。この所定の範囲の領域は、取り付ける磁性部材の形状や大きさ、厚さ等により適宜変動し得る。
【0029】
次に、本実施形態のサーフボード用フィン110、リーシュコード120、及びサメ除けシステム100の作用について、
図3を使用しながら説明する。
【0030】
本実施形態のサーフボード用フィン110、リーシュコード120、及びサメ除けシステム100は、サメが海中で磁力に反応した際に、磁力を回避するように離れていく性質を利用している。すなわち、本実施形態のサーフボード用フィン110、リーシュコード120、及びサメ除けシステム100では、磁性部材の磁力が約50ポンド以上の引張力や5000ガウス以上の大きさを有する場合に、サメ類に対する忌避作用を奏することを利用している。
【0031】
本実施形態のサメ除けシステム100では、サーフボード101のボトム面101bに取り付けられるサーフボード用フィン110と、サーフボード101のデッキ面101aに取り付けられるリーシュコード120に、強磁性体を含む磁性部材が設けられている。すなわち、
図3に示すように、サーファーP1がサーフィン中に海面L1に浸かる部位に磁性部材が設けられている。このため、磁石113から発せられた磁力が海面下にコンスタントに伝播されることによって、サメを寄せ付けないサメ除け機能を確実に発揮できるようになる。
【0032】
本実施形態のサーフボード用フィン110では、サメ除けに必要な磁力を発する磁石113がフィン本体111の基端側に取り付けられている。すなわち、サーフボード101の運搬時の取り外しや、破損・摩耗等における交換、使用目的に応じた形状・大きさの変更等の必要に応じて、サーフボード101に着脱自在となっているサーフボード用フィン110にサメ除け機能を付与している。このため、サメが発生する海域でサーフィンをする場合に、着脱自在なサーフボード用フィン110を事前に既存のサーフボード101のボトム面101bに取り付けることによって、後付けで手軽にサメ除け機能を付与することができる。
【0033】
また、サーフボード用フィン110を事前にサーフボード101に取り付けることによって、サーフィン中に磁石113が常に海面下に浸かった状態にすることができる。このため、海面下に浸かった磁石113から発せられた磁力がサメに伝播して、サメを回避させるサメ除け機能が確実に発揮されるので、サーフィン中におけるシャークアタックの被害を抑制できる。
【0034】
特に、本実施形態では、フィン本体111に取り付ける磁性部材として、塊状の磁石113が使用されている。このため、より磁性の強い永久磁石からなる磁石113をフィン本体111に取り付けることによって、着脱自在なサーフボード用フィン110に強力なサメ除け機能を容易に付与できる。
【0035】
また、本実施形態では、サーフボード101の直進性や回転性等を調整するために、必ずサーフボード101のボトム面101bに装着されるサーフボード用フィン110にサメ除け機能を付与している。このため、サーファーに直接装着するサメ除けバンドのように、装着のし忘れによるサメ除け機能が発揮されないリスクを回避できる。
【0036】
さらに、本実施形態のサメ除けシステム100では、リーシュコード120にも磁性部材が設けられている。本実施形態のリーシュコード120では、接続コード121と装着ストラップ122の少なくとも何れかに強磁性体を含む磁性部材が設けられている。すなわち、リーシュコード120には、接続コード121と装着ストラップ122との双方に磁性部材が設けられているか、接続コード121と装着ストラップ122との何れか一方に磁性部材が設けられている。
【0037】
サーファーP1が沖に向かうパドリングや波待ちの際には、リーシュコード120の接続コード121や装着ストラップ122が海面L1に浸かった状態となる。このため、接続コード121や装着ストラップ122に磁性部材が設けられている場合には、接続コード121や装着ストラップ122の磁性部材によるサメ除け機能が発揮される。
【0038】
一方、サーファーP1が波乗り中には、
図3に示すように、接続コード121の一部が海面L1に浸かった状態となる。このため、接続コード121に磁性部材が設けられている場合には、接続コード121の磁性部材によるサメ除け機能が発揮される。
【0039】
なお、本実施形態のサメ除けシステム100では、サーフボード用フィン110とリーシュコード120との双方に強磁性体を含む磁性部材が設けられているが、少なくとも何れかに磁性部材が設けられていればよい。すなわち、サーフボード用フィン110のみに磁性部材を設けても、リーシュコード120のみに磁性部材を設けても、サメ除け機能を発揮できる。
【0040】
次に、サーフボード用フィンの他の実施形態について、
図4(A)、
図4(B)を使用しながら説明する。本実施形態については、主に前述した一実施形態と異なる内容について説明し、重複する内容については、説明を省略する。
【0041】
本実施形態のサーフボード用フィン210では、
図4(A)に示すように、フィン本体211の基端側の領域に、サメ除け機能を発揮する磁性部材として厚さ2mm以下の磁性シート213が接着等により貼付されている。磁性シート213は、フィン本体211の基端側の領域のうち、取付フック212の間の領域を広範囲に覆うようにして貼付されている。
【0042】
磁性シート213は、サメ除け機能に必要な所定の大きさ以上の磁力を発生させる強磁性体から形成される。磁性シート213は、
図4(B)に示すように、フィン本体211の表面211aを覆う樹脂膜214の上から貼付されている。なお、磁性シート213は、フィン本体211の基端側の領域に設けられていれば、フィン本体211の表面211aに貼付してから、磁性シート213の表面側を樹脂膜214で覆うように設けられてもよい。
【0043】
次に、本実施形態のサーフボード用フィン210の作用について説明する。サーフボード用フィン210は、サーフボード101の直進性や回転性等を調整するために、サーフボード101に取り付けられる。通常では、フィン本体211に所定の厚さの部材を貼付すると、部材の段差等が流体の抵抗を受けて、これらの調整機能を損なうことが懸念される。しかしながら、薄い磁性シート213がフィン本体211の基端側の領域に貼付されても、流体の抵抗による影響をあまり受けないので、これらの調整機能を損なわない。
【0044】
特に、フィン本体211の高さの半分以下の基端側の領域では、厚さが2mm以下であれば、流体の抵抗による影響を殆ど受けずに、サーフボード用フィン210による直進性や回転性等の調整機能を損なわない。このため、本実施形態では、サメ除け機能を発揮する磁性部材として、薄いシート状の磁性シート213がフィン本体211の基端側の領域に設けられている。
【0045】
このように、本実施形態のサーフボード用フィン210では、フィン本体211の基端側に磁性シート213を貼付している。このため、サメの発生する海域でサーフィンをする場合に、着脱自在のサーフボード用フィン210を既存のサーフボード101のボトム面101bに取り付けることによって、後付けで手軽にサメ除け機能を付与することができる。
【0046】
また、サーフボード用フィン210を事前にサーフボード101に取り付けることによって、サーフィン中に磁性シート213が常に海面下に浸かった状態にすることができる。このため、海面下に浸かった磁性シート213から発せられた磁力がサメに伝播することによって、サメを回避させるサメ除け機能が確実に発揮されるので、サーフィン中におけるシャークアタックの被害を抑制できる。
【0047】
特に、本実施形態のサーフボード用フィン210は、磁性部材として磁性シート213をフィン本体211に貼付することによって、サメ除け機能を発揮できるようになっている。このことから、既存のサーフボード用フィンに対して、フィン本体211の基端側に後付けで磁性シート213を貼付することによって、容易にサメ除け機能を有するサーフボード用フィン210にすることができる。また、より広範囲に磁性シート213をフィン本体211に貼付することによって、サーフボード用フィン210によるサメ除け機能の強化を容易に図れるようになる。
【0048】
なお、上記のようにサーフボード用フィン、リーシュコード、及びサメ除けシステムの各実施形態について詳細に説明したが、多くの変形が可能である。また、サーフボード用フィン、リーシュコード、及びサメ除けシステムの構成、動作も各実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0049】
例えば、サーフボード用フィンの各実施形態では、サーフボードに左右対称のセンターフィンが1つ取り付けられている態様について説明しているが、適用対象がセンターフィンのみに限定されない。すなわち、各実施形態のサーフボード用フィンは、ツインフィンやトライフィン、クアッドフィン等の複数のフィンを取り付ける際に使用される内側が平面、外側が緩い曲面で構成される左右非対称のサイドフィンにも適用可能である。
【0050】
また、サーフボード用フィンに取り付ける磁性部材の種類や設置部位、設置数も各実施形態で説明した態様に限定されない。すなわち、磁性部材として、磁石、磁性シート以外の態様の磁性部材が使用されてもよく、また、磁性部材がフィン本体の何れかに設けられていればよい。例えば、磁性部材として強磁性体を含ませた樹脂をフィン本体の表面全体を覆うように設けてもよい。
【0051】
あるいは磁性部材、例えば磁石113を複数個設け、これらの磁石113をフィン本体111に取り付けるようにしてもよい。この場合複数個の磁石113は、フィン本体111の一方の面にのみ設けても、両方の面に設けてもいずれでもよい。一例として、フィン本体111の一面又は両面のそれぞれに三個の磁石113を設ける場合、これらの磁石113は三角形の頂点をなす位置に配置される。別の一例として、フィン本体111の一面又は両面のそれぞれに四個の磁石113を設ける場合、これらの磁石113は矩形の四隅に配置される。
【0052】
その他実施に際しては、あらゆる変形や変更が許容される。