【解決手段】積層型キャパシタは、第1面〜第6面を含み、誘電体層及び誘電体層を間に挟んで一端が第3面及び第4面に交互に露出するように配置される複数の第1及び第2内部電極121、122を含むキャパシタ本体と、キャパシタ本体の第3面及び第4面にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部131a、141aと、第1及び第2接続部からキャパシタ本体の第1面、第2面、第5面及び第6面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部131b、141bと、を其々含む第1及び第2導電層131、141と、を含み、第1及び第2バンド部に、炭素材料及び衝撃緩和性バインダーを含む第1及び第2補強層133、143がそれぞれ配置される。
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面を連結し、互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面及び前記第2面を連結し、前記第3面及び前記第4面を連結し、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで一端が前記第3面及び前記第4面に交互に露出するように配置される複数の第1内部電極及び第2内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の前記第3面及び前記第4面にそれぞれ配置され、前記複数の第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ接続される第1接続部及び第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部から前記キャパシタ本体の前記第1面、前記第2面、前記第5面、及び前記第6面の一部までそれぞれ延長される第1バンド部及び第2バンド部とをそれぞれ含む第1導電層及び第2導電層と、を含み、
前記第1バンド部及び前記第2バンド部に、炭素材料及び衝撃緩和性バインダーを含む第1補強層及び第2補強層がそれぞれ配置される、積層型キャパシタ。
前記第1めっき層及び前記第2めっき層は、前記第1導電層及び前記第2導電層上にそれぞれ配置される第1ニッケルめっき層及び第2ニッケルめっき層と、前記第1ニッケルめっき層及び前記第2ニッケルめっき層上にそれぞれ配置される第1スズめっき層及び第2スズめっき層と、をそれぞれ含む、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
前記第1補強層及び前記第2補強層は、前記炭素材料がグラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラックのうち少なくとも一つ以上を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
前記第1補強層及び前記第2補強層は、衝撃緩和性バインダーがエポキシ系またはアクリル系のバインダーを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0017】
なお、各実施形態の図面に示された同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0018】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するために、キャパシタ本体110の方向を定義すると、図面に示されるX、Y、及びZはそれぞれキャパシタ本体110の長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。また、本実施形態において、Z方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念で用いられることができる。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2(a)及び(b)は
図1の積層型キャパシタに適用される第1及び第2内部電極をそれぞれ示す平面図であり、
図3は
図1のI−I'線に沿った断面図である。
【0021】
図1〜
図3を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110と、第1及び第2外部電極130、140と、第1及び第2補強層133、143と、を含む。
【0022】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層してから焼成したものであり、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0023】
この際、キャパシタ本体110は、おおむね六面体形状であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、キャパシタ本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたものに限定されるものではない。
【0024】
本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体110のZ方向に互いに対向する両面を第1面及び第2面1、2と、第1面及び第2面1、2と連結され、X方向に互いに対向する両面を第3面及び第4面3、4と、第1面及び第2面1、2と連結され、第3面及び第4面3、4と連結され、且つY方向に互いに対向する両面を第5面及び第6面5、6と定義する。尚、本実施形態において、第1面1が積層型キャパシタ100の実装面であることができる。
【0025】
誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系セラミック粉末などを含むことができるが、十分な静電容量を得ることができる限り、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0027】
上記セラミック添加剤としては、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを用いることができる。
【0028】
かかるキャパシタ本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性領域と、上下マージン部としてZ方向に上記活性領域の上下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー112、113と、を含むことができる。
【0029】
上部及び下部カバー112、113は、内部電極を含んでいないことを除いては、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0030】
かかる上部及び下部カバー部112、113は、単一の誘電体層または二つ以上の誘電体層を上記活性領域の上下面にそれぞれZ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0031】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極であって、誘電体層111を間に挟んでZ方向に沿って交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3面及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0032】
この際、第1及び第2内部電極121、122は、中央に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0033】
このようにキャパシタ本体110の第3面及び第4面3、4に交互に露出する第1及び第2内部電極121、122の端部は、後述するキャパシタ本体110の第3面及び第4面3、4に配置される第1及び第2外部電極130、140とそれぞれ接続されて連結されることができる。
【0034】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極130、140に所定の電圧が印加されると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0035】
この際、積層型キャパシタ100の静電容量は、活性領域においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0036】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されないが、第1及び第2内部電極121、122は、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、パラジウム−銀(Pd−Ag)合金などの貴金属材料、及びニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0037】
また、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
第1及び第2外部電極130、140には互いに異なる極性の電圧が供給され、上記第1及び第2外部電極130、140は、キャパシタ本体110のX方向の両端部に配置され、第1及び第2内部電極121、122において露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0039】
この際、第1及び第2外部電極130、140は、キャパシタ本体110の表面に形成され、第1及び第2内部電極121、122と接続される第1及び第2導電層131、141を含む。
【0040】
第1導電層131は、第1接続部131aと、第1バンド部131bと、を含むことができる。
【0041】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に配置され、第1内部電極121の露出する部分と接続される部分であり、第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の第1面、第2面、第5面、及び第6面1、2、5、6の一部まで延長される部分である。
【0042】
第2導電層141は、第2接続部141aと、第2バンド部141bと、を含むことができる。
【0043】
第2接続部141aは、キャパシタ本体110の第4面4に形成され、第2内部電極122の露出する部分と接続される部分であり、第2バンド部141bは、第2接続部141aからキャパシタ本体110の第1面、第2面、第5面、及び第6面1、2、5、6の一部まで延長される部分である。
【0044】
かかる第1及び第2導電層131、141は、銅(Cu)及び銀(Ag)のうち少なくとも一つを含むことができ、これとともにガラス(Glass)及びエポキシ(Epoxy)などをさらに含むことができる。
【0045】
第1補強層133は、第1バンド部131b上に配置され、炭素材料及び衝撃緩和性バインダーを含む。
【0046】
第2補強層143は、第2バンド部141b上に配置され、炭素材料及び衝撃緩和性バインダーを含む。
【0047】
この際、上記炭素材料は、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンブラックのうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0048】
また、上記衝撃緩和性バインダーは、エポキシ系またはアクリル系バインダーを含むことができる。
【0049】
また、第1及び第2補強層133、143は、金属粉末をさらに含むことができる。
【0050】
この際、上記金属粉末は、Cu、Ag、Au、Ni、Snのうち少なくとも一つ以上であることができる。
【0051】
このように第1及び第2補強層133、143が金属粉末を含むと、後述する外部電極が導電性樹脂層を含む実施形態と同様に、外部電極の曲げ強度及び導電性をさらに向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態の積層型キャパシタ100は、第1及び第2外部電極130、140の第1及び第2導電層131、141にそれぞれ配置される第1及び第2めっき層132、142をさらに含むことができる。
【0053】
この際、第1及び第2めっき層132、142は、第1及び第2導電層131、141上にそれぞれ配置される第1及び第2ニッケル(Ni)めっき層と、上記第1及び第2ニッケルめっき層上にそれぞれ配置される第1及び第2スズ(Sn)めっき層と、を含むことができる。
【0054】
また、第1及び第2めっき層132、142は、第1及び第2接続部131a、141aとそれぞれ接触する第1及び第2めっき層接続部132a、142aと、第1及び第2バンド部131b、141bとそれぞれ接触する第1及び第2めっき層バンド部132b、142bと、を含むことができる。
【0055】
積層型キャパシタは、基板から曲げ衝撃が簡単に伝達される使用環境にある。この際、曲げ衝撃による主応力が作用する位置は、外部電極のバンド部が始まる面となる。
【0056】
従来は、かかる外部電極のバンド部が始まる面における応力を分散させることができるように、バンド部が始まる部分にめっき層よりも長く非導電性物質を形成した。
【0057】
しかし、かかる従来の構造の場合には、キャパシタ本体に形成された非導電性物質が焼成時のリフロー(reflow)の温度区間で揮発したり流動したりするようになった。その結果、非導電性物質で形成された非導電性部の形状が適切に維持されることができず、衝撃緩和効果はもちろん、耐湿、耐化学性、及び導電性が低下するという問題が発生することがあった。
【0058】
本実施形態によると、第1及び第2補強層が炭素材料及び衝撃緩和性バインダーを含むようにすることにより、外部電極のバンド部が始まる面における応力を分散させる作用を行い、且つリフロー温度区間で揮発したり流動したりすることを防止することで、その形状を適切に維持するとともに、積層型キャパシタの曲げ強度、耐湿性、耐化学性、及び導電性を向上させることができる。
【0059】
また、
図4のように、第1及び第2補強層133、143は、X方向における長さが第1及び第2バンド部131b、141bのX方向における長さよりもそれぞれ長く形成されるように、第1及び第2補強層133、143の端部に延長部133a、143aがそれぞれ設けられることができる。
【0060】
これにより、第1及び第2補強層133、143の延長部133a、143aが第1及び第2バンド部131b、141bの端部よりも長く突出し、信頼性が弱い部分である第1及び第2バンド部131b、141bの端部をカバーするようになる。
【0061】
したがって、炭素材料が有する基本性質である優れた耐湿性、耐化学性、及び導電性などの特性により、積層型キャパシタの曲げ強度、耐湿性、及び耐化学性を向上させるとともに、第1外部電極の導電性も向上させることができるようになる。
【0062】
また、
図5のように、第1及び第2補強層134、144は、第1導電層131の第1接続部131a、及び第2導電層141の第2接続部141aにもそれぞれさらに配置されることができる。
【0063】
第1補強層134は、第1接続部131aに配置された部分134aと、第1バンド部131bに配置された部分134bとが互いに連結されたものであり、第2補強層144は、第2接続部141aに配置された部分144aと、第2バンド部141bに配置された部分144bとが互いに連結されたものである。
【0064】
この際、
図6のように、必要に応じて、第1及び第2補強層134'、144'は、X方向における長さが第1及び第2バンド部131b、141bのX方向における長さよりもそれぞれ長く形成されるように、第1及び第2補強層134'、144'の端部に延長部134c、144cがそれぞれ設けられることができる。
【0065】
また、本発明の他の実施形態によると、
図7のように、第1及び第2外部電極130'、140'は、第1及び第2導電層131、141上にそれぞれ配置される第1及び第2導電性樹脂層135、145をさらに含むことができる。
【0066】
また、第1及び第2導電性樹脂層135、145は、第1及び第2接続部131a、141aとそれぞれ接触する第1及び第2樹脂層接続部135a、145aと、第1及び第2バンド部131b、141bとそれぞれ接触する第1及び第2樹脂層バンド部135b、145bと、を含むことができる。
【0067】
かかる第1及び第2導電性樹脂層135、145は、導電性樹脂と、導電性樹脂内に分散配置される複数の金属粒子と、を含むことができる。
【0068】
この際、上記導電性樹脂は、エポキシ系またはアクリル系のバインダーを含むことができる。
【0069】
また、上記金属粒子は、Cu、Ag、及びSnのうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0070】
第1及び第2導電性樹脂層135、145は、基板に実装された後、外部からの衝撃時に緩衝作用をして積層型キャパシタの曲げ強度を増加させる役割を果たすことができる。
【0071】
図7の構造によると、導電性樹脂層を含ませることで外部電極の弾性が向上するため、曲げ強度に対する耐久性をさらに向上させることができ、導電性も適切なレベルに維持することができるとともに、上述した導電性樹脂層がない場合と同様に、補強層によって積層型キャパシタの曲げ強度、耐湿性、及び耐化学性を向上させることができる。
【0072】
そして、第1補強層133は、第1導電層131の第1バンド部131bと第1導電性樹脂層135の第1樹脂層バンド部135bの間に配置されることができ、第2補強層143は、第2導電層141の第2バンド部141bと第2導電性樹脂層145の第2樹脂層バンド部145bの間に配置されることができる。
【0073】
また、
図8のように、第1及び第2補強層133、143は、X方向における長さが第1及び第2バンド部131b、141bのX方向における長さよりもそれぞれ長く形成されるように、第1及び第2補強層133、143の端部に延長部133a、143aがそれぞれ設けられることができる。
【0074】
また、
図9のように、第1及び第2補強層134、144は、第1導電層131の第1接続部131a及び第2導電層141の第2接続部141aにもそれぞれさらに配置されることができる。
【0075】
これにより、第1補強層134は、第1導電層131の第1接続部131aと第1導電性樹脂層135の第1樹脂層接続部135aの間に配置されることができ、第2補強層144は、第2導電層141の第2接続部141aと第2導電性樹脂層145の第2樹脂層接続部145aの間に配置されることができる。
【0076】
第1補強層134は、第1接続部131aに配置された部分134aと、第1バンド部131bに配置された部分134bとが互いに連結されたものであり、第2補強層144は、第2接続部141aに配置された部分144aと、第2バンド部141bに配置された部分144bとが互いに連結されたものである。
【0077】
この際、
図10のように、必要に応じて、第1及び第2補強層134'、144'は、X方向における長さが第1及び第2バンド部131b、141bのX方向における長さよりもそれぞれ長く形成されるように、第1及び第2補強層134'、144'の端部に延長部134c、144cがそれぞれ設けられることができる。
【0078】
下記表1は、本発明の実施形態の構造による曲げ変形テストの結果を示したものである。
【0079】
ここで、比較例は補強層がない構造であり、実施例1は
図8の構造を有する積層型キャパシタであり、実施例2は
図10の構造を有する積層型キャパシタであり、実施例3は
図6の構造を有する積層型キャパシタである。
【0080】
この際、それぞれのサンプルに用いられた積層型キャパシタは100個ずつであり、X方向の長さが3.2mm、Y方向の長さが2.5mm、Z方向の長さが2.5mmとなるように製造した。
【0081】
かかる積層型キャパシタをPCBに実装し、基板を約6mm程度曲げて積層型キャパシタにクラックが発生するか否かを観察して下記表1に示した。
【0082】
ESRテストは、−55〜150℃の温度、1,000サイクル(cycle)前/後の変化率を評価したものである。
【0084】
上記表1からは、本発明によると、実施例1〜3の場合には補強層の作用によって曲げ強度テストにおいて不良がまったく発生せず、ESR変化率も15%以上さらに低くなり、積層型キャパシタの信頼性が大幅に向上することが分かる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。