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  • 特開2021040421-蓄電素子モジュールバランス回路 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-40421(P2021-40421A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】蓄電素子モジュールバランス回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20210212BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210212BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210212BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-160597(P2019-160597)
(22)【出願日】2019年9月3日
(71)【出願人】
【識別番号】515228287
【氏名又は名称】ゴイク電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 理
(72)【発明者】
【氏名】高岡 浩実
(72)【発明者】
【氏名】田畑 英志
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA08
5G503CA11
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503HA02
5G503HA03
5H030AA10
5H030AS01
5H030AS08
5H030AS11
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることができる蓄電素子モジュールバランス回路を提供する。
【解決手段】蓄電素子モジュールバランス回路1は、直列に接続された複数の蓄電素子である電池セルB1、B2、・・、BN及び電池セルに充電電圧または電流を出力する絶縁電源10を有する蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNが複数直列または並列に接続されて構成される蓄電素子モジュール群2と、複数の蓄電素子モジュールの各電圧を監視する制御部100と、を有する。複数の蓄電素子モジュールのうち、任意の蓄電素子モジュールは、少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールと接続される。制御部は、複数の蓄電素子モジュールのうち所定の電圧値より低い蓄電素子モジュールに対して絶縁電源から電圧を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の蓄電素子及び当該蓄電素子に充電電圧または電流を出力する絶縁電源を有する蓄電素子モジュールが複数直列または並列に接続されて構成される蓄電素子モジュール群と、
前記複数の蓄電素子モジュールの各電圧を監視する制御部と、を有し、
前記複数の蓄電素子モジュールのうち、任意の蓄電素子モジュールは、少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールと接続され、
前記制御部は、
前記複数の蓄電素子モジュールのうち所定の電圧値より低い蓄電素子モジュールに対して電圧を供給することを特徴とする蓄電素子モジュールバランス回路。
【請求項2】
前記蓄電素子モジュールは、
前記絶縁電源から前記複数の蓄電素子に個別に電圧または電流を供給するためのスイッチと、
前記スイッチを開閉制御するとともに前記複数の蓄電素子の各電圧を監視するモジュール制御部と、を有し、
前記モジュール制御部は、
前記複数の蓄電素子のうち所定の電圧値よりも低い蓄電素子に対して前記絶縁電源から電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子モジュールバランス回路。
【請求項3】
前記複数の蓄電素子モジュールのうち、任意の蓄電素子モジュールは、少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールが有する少なくとも一部の蓄電素子に接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄電素子モジュールバランス回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子モジュールからなる組電池において、蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることができる蓄電素子モジュールバランス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電パネル(太陽電池パネル、PVとも呼ばれる)、EV(電気駆動自動車)、蓄電装置等の電池を利用して電気エネルギーを一時的に蓄えて、蓄えた電気エネルギーを利用するものや、種々の情報端末等の小型の電池を利用して電気エネルギーを一時的に蓄えて、蓄えた電気エネルギーを利用する持ち運び可能な機器の普及が急速に進んでいる。
【0003】
しかし、電池の出力電圧はニッケル水素で1.2V、鉛電池で2V、リチウムイオン電池で4V弱と単電池で使用するには電圧が余りにも低く、そのためこれら電池セルを直列に接続して組電池として構成し、少なくとも12V、高いもので360V程度の高電圧にして高電力化を図る機器が多い。
【0004】
また、前記のような組電池は、供給電力等を安定して維持管理するためには、組電池の構成素子である個々の電池セル(単電池)の電圧を常に監視し、電圧の個々のデータと当該データに基づく適正な制御が組電池の長寿命化および安全性の確保に不可欠となる。そのため、組電池の個々の電池セル(単電池)の電圧を監視し、組電池に対して所定の制御を行う装置として、従来から電池管理システム(BMS:Battery management system)が用いられる。電池管理システムは、組電池が有する個々の電池セルの電圧や温度を測定し、電池システムを監視・制御(保護)を行うユニットとして、電池管理ユニット(BMU:Battery management unit)を有している。
【0005】
また、個々の電池セルの電圧を監視して均一化する技術としては過去種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
例えば、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などのモータの駆動用電池として搭載される高出力の組電池は、複数の角型の電池セルが電気的に接続されて高出力化を実現している。具体的には、この組電池は、所定数の電池セルと、各電池セルの電圧等を管理する電池管理ユニットから構成される電池モジュール(蓄電素子モジュール)が複数直列に連結されて構成されている。
これにより、組電池を構成する各電池モジュールにおいては、電池管理ユニットが電池モジュール内の各電池セル間の電圧バランスを取っている。すなわち、従来の電池管理ユニットは個々の電池モジュール内の電池セル間の電圧バランスを取るのみであり、複数の蓄電素子モジュールが直列や並列に接続されている場合であっても、蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることができなかった。この場合、例えば組電池内の任意の蓄電素子モジュールの電圧低下が生じた際に、組電池全体の電圧バランスが取ることができず、電圧低下の電池モジュールが空の状態になった時点で、組電池からモータ等の負荷への電力供給がストップしてしまうおそれがある。そのため、蓄電素子モジュール間においても電圧バランスを取ることができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6332924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることができる蓄電素子モジュールバランス回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1の蓄電素子モジュールバランス回路においては、
直列に接続された複数の蓄電素子及び当該蓄電素子に充電電圧または電流を出力する絶縁電源を有する蓄電素子モジュールが複数直列または並列に接続されて構成される蓄電素子モジュール群と、
前記複数の蓄電素子モジュールの各電圧を監視する制御部と、を有し、
前記複数の蓄電素子モジュールのうち、任意の蓄電素子モジュールは、少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールと接続され、
前記制御部は、
前記複数の蓄電素子モジュールのうち所定の電圧値より低い蓄電素子モジュールに対して電圧を供給するものである。
【0011】
また、請求項2の蓄電素子モジュールバランス回路においては、
前記蓄電素子モジュールは、
前記絶縁電源から前記複数の蓄電素子に個別に電圧または電流を供給するためのスイッチと、
前記スイッチを開閉制御するとともに前記複数の蓄電素子の各電圧を監視するモジュール制御部と、を有し、
前記モジュール制御部は、
前記複数の蓄電素子のうち所定の電圧値よりも低い蓄電素子に対して前記絶縁電源から電圧を供給するものである。
【0012】
また、請求項3の蓄電素子モジュールバランス回路においては、
前記複数の蓄電素子モジュールのうち、任意の蓄電素子モジュールは、少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールが有する少なくとも一部の蓄電素子に接続されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蓄電素子モジュールバランス回路によれば、複数の蓄電素子モジュール間の電圧を均一化して、複数の蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることができる。ひいては、蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることで、蓄電素子モジュールの一つの特性不良による蓄電素子モジュール群全体の能力低減を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る蓄電素子モジュールバランス回路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の蓄電素子モジュールバランス回路について、図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電素子モジュールバランス回路を示す図である。
【0016】
図1に示すように、蓄電素子モジュールバランス回路1は、直列に接続された複数の蓄電素子である電池セルB1、B2、・・、BN及び当該電池セルB1、B2、・・、BNに充電電圧を出力する絶縁電源10を有する複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNが直列に接続されて構成される蓄電素子モジュール群2と、前記複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNの各電圧を監視する制御部100と、を有している。また、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのうち、任意の蓄電素子モジュールは、少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールと配線Lにより接続されている。
なお、本実施形態では、複数の蓄電素子モジュールが直列に接続された構成であるが、複数の蓄電素子モジュールが並列に接続された構成であっても本発明を適用することができる。
また、本実施形態では、上記のように電池セルに充電電圧を出力する構成であるが、充電圧の替わりに電池セルに電流を出力する構成であってもよい。
【0017】
蓄電素子モジュール群2は、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNが直列に接続されて構成される組電池である。蓄電素子モジュール群2は、充電により蓄えられた電力を利用して作動する負荷(図示せず)に電気的に接続されて使用される。負荷としては、例えば、車両駆動用のモータ、各種デバイス、電灯等の照明装置、情報等の表示装置等が挙げられる。
なお、蓄電素子モジュール群2を構成する複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNは、同じ構成であるため蓄電素子モジュールM1のみを説明して、その他の蓄電素子モジュールM2、・・、MNにおいて同様の用途及び機能を有する部材には同符号を付してその説明を省略する。
また、本実施形態で述べる電池は、二次電池のことであり、蓄電素子の一例である。
【0018】
蓄電素子モジュールM1は、直列に接続された複数の電池セルB1、B2、・・、BNと、各電池セルの(+)、(−)端子にそれぞれ連結された複数のスイッチSWと、絶縁電源10と、モジュール制御部20を有している。
なお、本実施形態における蓄電素子モジュールとは、複数の電池セルの直列接続によってパック化、モジュール化して組電池を構成したものである。
【0019】
スイッチSWは、例えばスイッチング素子で構成され、絶縁電源10から電池セルB1、B2、・・、BNに個別に電圧または電流を供給するためのものである。スイッチSWは、モジュール制御部20によりオン/オフ(開閉)の制御が実行される。
【0020】
絶縁電源10は、入力端Aと、出力端Bとを有している。入力端Aには、他の蓄電素子モジュールM2、・・、MNのうち少なくとも一つの蓄電素子モジュール(本実施形態では、図1に示す蓄電素子モジュールMN)が配線L1により電気的に接続されており、当該他の蓄電素子モジュールから所定の電圧(例えば、他の蓄電素子モジュールの電池セルの全体電圧)を絶縁電源10に印加することが可能である。すなわち、絶縁電源10には、当該他の蓄電素子モジュールから充電電圧が供給される。出力端Bには、複数のスイッチSWが連結されている。
【0021】
モジュール制御部20は、例えばマイクロコンピュータで構成され、複数のスイッチSWのそれぞれのオン/オフ(開閉)及び絶縁電源10の動作を制御する。また、絶縁電源10、モジュール制御部20及び複数のスイッチSWは、複数の電池セルB1、B2、・・、BNの電圧等を監視・制御する電池管理ユニット(BMU)を構成している。モジュール制御部20は、複数の電池セルB1、B2、・・、BNのそれぞれの個別の電圧及び複数の電池セルB1、B2、・・、BNの全体電圧を監視するとともに所定の手段で計測して取得することができる。
【0022】
また、蓄電素子モジュールM1は、電圧を外部から入力可能である、(+)側端子である外部入力端子30a、(−)側端子である外部入力端子30bを有している。外部入力端子30a、外部入力端子30bは絶縁電源10の入力端Aに接続されている。
また、蓄電素子モジュールM1は、蓄電素子モジュールM1内から電圧を出力可能である出力端子として、電池セルB1、B2、・・、BNの電池セル全体における(+)側端子である外部出力端子40aと、同じく(−)側端子である外部出力端子40bを有している。蓄電素子モジュールM1の外部出力端子40a・40bは、配線L2により他の蓄電素子モジュールM2、・・、MNのうち少なくとも一つの蓄電素子モジュール(図1では蓄電素子モジュールM1に隣接する蓄電素子モジュールM2)の絶縁電源10に外部入力端子30a、30bを介して電気的に接続されている。
【0023】
本実施形態の複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNでは、蓄電素子モジュールM1の外部出力端子40a・40bが蓄電素子モジュールM1の隣に配置された蓄電素子モジュールM2の外部入力端子30a・30bに配線L2により配線接続され、蓄電素子モジュールM2の外部出力端子40a・40bが蓄電素子モジュールM2の隣に配置された図示しない蓄電素子モジュールM3の外部入力端子30a・30bに配線L3により配線接続され、このようにして蓄電素子モジュールM1〜MN−1までが配線接続される。最後に図示しない蓄電素子モジュールMN−1の外部出力端子40a・40bが第N番目の蓄電素子モジュールMNの外部入力端子30a、30bに配線L4により配線接続される。
【0024】
[各蓄電素子モジュール内の電池セルのアクティブセルバランスについて]
また、モジュール制御部20は、電池セルB1、B2、・・、BNの各電圧を測定し、かつスイッチSWを適宜動作させて、例えば所定の電圧値より低い電池セルに対して絶縁電源(電圧または電流出力手段)より電圧を供給し、当該所定の電圧値より低い電池セルの電圧を上昇させて、電池セルB1、B2、・・、BNの各電圧を均一化する。具体的には、モジュール制御部20は、電池セルの電圧を一致させる補充電が可能となる、アクティブセルバランス回路を備えている。アクティブセルバランス回路は、各蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MN内の電池セルB1、B2、・・、BNに対してアクティブセルバランスを実行することができる。
なお、アクティブセルバランスとは、低い電圧の電池セルを充電し高い電圧の電池セルに合わすことである。
また、蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MN内における電池セルB1、B2、・・、BNのアクティブセルバランスは、公知の方法で実行可能であり、例えば、特許文献1(特許第6332924号公報)等で開示された方法で実行することができる。
【0025】
また、上述したアクティブセルバランスの別実施形態としては、モジュール制御部20が、所定の時間毎に複数の電池セルB1、B2、・・、BNのうち最も電圧が高い電池セルから、前記複数の電池セルB1、B2、・・、BNのうち最も電圧が低い電池セルに対して電圧を供給するようにしてもよい。これにより、電池セルB1、B2、・・、BNの各電圧を均一化することができる。
【0026】
[蓄電素子モジュール間の電圧バランスの動作について]
次に、バランス回路1による蓄電素子モジュール間の電圧のバランスを取る動作について詳細に説明する。
【0027】
制御部100は、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNが有する各モジュール制御部20に有線もしくは無線の通信回線CLを介して通信可能であり、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNの各電圧を監視するとともに、各電圧を取得することが可能である。
【0028】
具体的には、制御部100は、例えば蓄電素子モジュールM1の電圧が蓄電素子モジュールM2の電圧よりも高いと判定した場合、蓄電素子モジュールM1の電圧を充電電圧として蓄電素子モジュールM2に供給して、蓄電素子モジュールM2内の電池セルB1、B2、・・、BNに適宜充電することにより、蓄電素子モジュールM1の電圧を下げ、蓄電素子モジュールM2の電圧を上げて、蓄電素子モジュールM1と蓄電素子モジュールM2の各電圧の均一化を図ることができる。
【0029】
また、制御部100は、所定時間毎に複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNの各電圧を監視して、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのうち電圧が最も高い蓄電素子モジュールから電圧が最も低い蓄電素子モジュールに電圧を供給することにより複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNの各電圧を均一化することができる。こうして、バランス回路1は、複数の蓄電素子モジュール間の電圧を均一化して、複数の蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることができる。ひいては、蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取ることで、蓄電素子モジュールの一つの特性不良による蓄電素子モジュール群全体の能力低減を抑えることができる。
なお、上記のように、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのうち電圧が最も高い蓄電素子モジュールから電圧が最も低い蓄電素子モジュールに電圧を供給する場合の他に、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのうち所定の電圧値(例えば、複数の蓄電素子モジュールの平均電圧値)よりも高い蓄電素子モジュールから所定の電圧値(例えば、複数の蓄電素子モジュールの平均電圧値)より低い蓄電素子モジュールに電圧を供給する構成であってもよい。
【0030】
なお、図1では、制御部100が通信回線CLを介して蓄電素子モジュール間の通信を実行し、蓄電素子モジュールの各電圧等の情報交換するように構成しているが、例えば制御部100が各蓄電素子モジュールのその他の電池状態の監視や諸特性の調整を実行できるように構成してもよい。
【0031】
また、本実施形態のバランス回路1は、上述したように蓄電素子モジュール間の電圧バランスを取るだけでなく、各蓄電素子モジュール内の電池セルのアクティブセルバランスも同時に実行可能である。これにより、蓄電素子モジュール間及び蓄電素子モジュール内の電池セル間の2段階で電圧バランスを取ることが可能となるため、従来のような蓄電素子モジュール内の電池セル間の電圧バランスのみを取る場合よりも、より効率的に組電池全体の電圧の均一化を図ることが可能となる。
【0032】
本実施形態のバランス回路1は、複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのうち、任意の蓄電素子モジュールが少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールと接続される構成であるが、例えば、制御部100の指示に応じて、前記複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのうち、任意の蓄電素子モジュールが少なくとも一つ以上の他の蓄電素子モジュールが有する電池セルB1、B2、・・、BNの少なくとも一部に接続される構成であってもよい。このような構成とした場合、制御部100が複数の蓄電素子モジュールM1、M2、・・、MNのそれぞれが有するモジュール制御部20と連携しながら、蓄電素子モジュール内の任意の電池セルも充電電圧または電流の出力源として選択可能となり、制御部100が電池セルの充電状態に応じて適宜電池セルを1つまたは複数選択し、例えば当該電池セルの電圧を充電電圧して使用することも可能となる。これにより、充電電圧または電流の出力源がより最適化されるので、より効率的に組電池全体の電圧の均一化を図ることが可能となる。
【0033】
本発明は、二次電池に限定するものではなく、蓄電素子に広く適用することができる。
ここで、蓄電素子とは、蓄電機能を有する素子全般を指し、例えば、一対の電極と、電解質を少なくとも有し、蓄電することができる機能を有する素子のことである。なお、蓄電素子を蓄電装置としてもよい。
【0034】
蓄電素子としては、例えばリチウムイオン二次電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池等の二次電池、レドックス・フロー電池、亜鉛・塩素電池、亜鉛臭素電池等の液循環型の二次電池、アルミニウム・空気電池、空気亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、リチウム・硫化鉄電池等の高温動作型の二次電池などを用いることができる。なお、これらに限定されず、例えばリチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタなどを用いて蓄電素子を構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 蓄電素子モジュールバランス回路
2 蓄電素子モジュール群
10 絶縁電源
100 制御部
B1、B2、・・、BN 電池セル(蓄電素子)
M1、M2、・・、MN 蓄電素子モジュール
図1