【解決手段】シロアリ誘導装置1は、高含水率の木材を表面から黒色状に腐朽させる軟腐朽菌が表面において発達した誘導木材10と、誘導木材10の一方の木口面12,16を露出させた状態で、その外周面及び他方の木口面を覆う非透湿層21を少なくとも含むカバー材20と、を備えている。
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシロアリ誘導装置が、前記一方の木口面を設置対象面に突き合わせた状態で設置されていることを特徴とするシロアリ誘導装置の設置構造。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜
図4は、第1実施形態に係るシロアリ誘導装置の一例、このシロアリ誘導装置の設置構造の一例及び一変形例並びにこのシロアリ誘導装置の設置方法の一例を模式的に示す図である。
【0012】
本実施形態に係るシロアリ誘導装置1は、
図1(a)、(b)及び
図3(b)に示すように、高含水率の木材を表面から黒色状に腐朽させる軟腐朽菌が表面において発達した誘導木材10を備えている。このような構成とすれば、担子菌類の発達によりセルロース等が分解されて内部からも著しく強度が低下し易くなる傾向がある白色腐朽菌や褐色腐朽菌によって腐朽された木材と比べて、強度が低下し難く、また、木材内部への腐朽が遅い傾向があるため、シロアリの好む硬さを長期間に亘って持続させることができ、巣としても活用され易くすることができる。また、木材内部に菌糸や傘が形成され難いので、これらの発達により誘導木材10内に形成された通路が塞がれるようなことも抑制することができる。
【0013】
また、シロアリ誘導装置1は、この誘導木材10の一方の木口面としての第1木口面12,16を露出させた状態で、その外周面14,18及び他方の木口面としての第2木口面13,17を覆う非透湿層21を少なくとも含むカバー材20を備えている。このような構成とすれば、露出させた第1木口面12,16を、
図3(a)、(b)に示すように、蟻道6が形成された設置対象面3に向けて設置することで、誘導木材10が乾燥し難く、また、当該シロアリ誘導装置1内への風等の影響を受け難くすることができ、当該シロアリ誘導装置1内をシロアリの好む高湿で密閉度の高い環境にすることができる。また、第1木口面12,16を設置対象面3に向けることで、シロアリの好む木口面に対してシロアリの触角を触れ易くすることができ、効果的に当該シロアリ誘導装置1内にシロアリを誘導することができる。
【0014】
このシロアリ誘導装置1の設置対象面3を構成する設置対象2としては、建物の基礎や柱、壁面、床下地等の各種下地、断熱材等、どのようなものでもよい。
図2では、設置対象2として、上下方向に長尺状の柱を例示している。また、設置対象面3としては、設置対象2の一側面を構成するものでもよく、略平坦面状とされたものでもよい。また、設置対象面3としては、シロアリによって蟻道6が形成されている箇所が好ましい。
また、このシロアリ誘導装置1に誘導されるシロアリとしては、ヤマトシロアリやイエシロアリなどのいわゆる土壌性シロアリであってもよく、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリなどのいわゆる乾材シロアリであってもよく、その他、種々のシロアリであってもよい。
【0015】
誘導木材10は、略柱状とされている。この誘導木材10の第1木口面12,16は、概ね平坦面状とされている。また、図例では、第2木口面13,17も概ね平坦面状とした例を示している。また、誘導木材10の外周面14,18は、略全周に亘って湾曲面状とされている。本実施形態では、この誘導木材10を、略円柱状としている。また、
図1(a)、(b)に示すように、複数の誘導木材としての第1誘導木材11と第2誘導木材15とによって略円柱状の誘導木材10を構成している。これら第1誘導木材11及び第2誘導木材15は、軸方向(第1木口面12,16から第2木口面13,17に沿う方向)に沿う寸法が互いに略同寸法とされている。また、本実施形態では、これら第1誘導木材11及び第2誘導木材15を、略半円柱状としている。図例では、これら第1誘導木材11及び第2誘導木材15を、軸方向に見て略同寸同形状とした例を示しているが、このような態様に限られない。
【0016】
また、図例では、これら第1誘導木材11及び第2誘導木材15が突き合わせられた状態で形成される略円柱状の軸心部に、軸方向に貫通する中空部を設けた例を示している。このような構成とすれば、第1誘導木材11及び第2誘導木材15の表面積を大きくすることができる。なお、このような中空部を設けていない構成としてもよい。
また、図例では、これら第1誘導木材11及び第2誘導木材15によって構成される誘導木材10を、軸方向に見て真円状で、軸方向の全体に亘って同径状のものとした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、誘導木材10を、軸方向に見て楕円状としたり、略多角形状等としたりしてもよく、また、軸方向一方側に向かうに従い先細状とされたものや軸方向途中部位において大径部や小径部等が設けられたものであってもよい。誘導木材10の形状としては、その他、種々の形状とされたものであってもよい。
【0017】
また、この誘導木材10の軸方向に沿う寸法や外径(直径)は、設置箇所や設置対象面3の大きさ等に応じて、また、取扱性や設置性の観点、シロアリの誘導性や営巣性の観点等から適宜の寸法としてもよい。例えば、この誘導木材10の軸方向に沿う寸法を、50mm〜300mm程度としてもよく、好ましくは、100mm〜200mm程度としてもよい。また、この誘導木材10の外径を、30mm〜150mm程度としてもよく、好ましくは、50mm〜100mm程度としてもよい。
また、この誘導木材10は、シロアリが忌避しない非忌避性の木材とされている。このような非忌避性の木材としては、松や杉、桜、柳、アスペン等が挙げられるが、他の木材であってもよい。
【0018】
また、この誘導木材10の表面において発達される軟腐朽菌は、白色腐朽菌や褐色腐朽菌によっては腐朽し難い高含水率の木材を、その表面から腐朽させる構成とされている。この軟腐朽菌は、含水率(乾量基準含水率)が100%以上の木材を腐朽させるものであってもよく、一般的に土中に存在するものであってもよい。また、このような軟腐朽菌は、白色腐朽菌や褐色腐朽菌よりも分解力が弱く、木材を表面から腐朽させ、上記のような外径の木材であれば、内部(心部)まで腐朽させるのに、1年以上を要するものであってもよい。
誘導木材10は、このような軟腐朽菌を含む水に高含水率の木材を浸漬させることで軟腐朽菌が表面において発達されたものでもよい。また、誘導木材10は、例えば、山野等で得られた軟腐朽菌によって腐朽された腐朽木材と、誘導木材10となる木材と、を同じ容器や収容袋内において水に浸漬させることで軟腐朽菌が表面において発達されたものでもよい。また、誘導木材10は、数か月程度、上記のような水に浸漬させることで作製されたものであってもよい。上記のような軟腐朽菌が表面において発達した誘導木材10を作製する態様としては、その他、種々の態様とされたものでもよい。
【0019】
カバー材20は、本実施形態では、遮光層24を含んでいる。このような構成とすれば、明るい場所に設置する場合にも、シロアリが忌避する光が当該シロアリ誘導装置1内に入り難くなり、当該シロアリ誘導装置1内をシロアリの好む環境にすることができる。
この遮光層24は、非透湿層21としても機能して非透湿層21を兼用するものであってもよいが、本実施形態では、非透湿層21とは別体的に設けられている。
【0020】
非透湿層21は、湿気を通過させない、または通過させ難い構成とされている。この非透湿層21は、湿気に加え、空気を通過させない、または通過させ難い構成とされた非通気層であることが好ましい。
この非透湿層21は、誘導木材10の第2木口面13,17を覆う端面覆い部22と、誘導木材10の外周面14,18を覆う外周覆い部23と、を備えている。この非透湿層21は、誘導木材10の外周面14,18との間に僅かな隙間(1mm〜3mm程度)を設けて設けられたものでもよく、外周面14,18に対して隙間が1mm未満となるように略密着状に設けられたものであってもよい。
また、この非透湿層21は、透明とされている。ここに非透湿層21の透明度合は、非透湿層21を介して内部の視認(シロアリの有無の確認)が可能な程度であればよく、有色透明であってもよく、半透明であってもよい。
【0021】
また、この非透湿層21は、例えば、ポリ塩化ビニリデンや、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の透明な合成樹脂系材料から形成されたものであってもよい。また、非透湿層21は、フィルム状とされたものであってもよい。この場合は、非透湿層21を構成する端面覆い部22及び外周覆い部23の一部または全部が複数層状に形成されたものであってもよい。または、非透湿層21は、シート状若しくは板状とされた端面覆い部22の外周縁部から軸方向一方側に向けて一連状に筒状の外周覆い部23が設けられた一方向に開口する有底筒状の容器状とされたものであってもよい。非透湿層21としては、その他、種々の構成とされたものであってもよい。また、非透湿層21の外周覆い部23と誘導木材10の外周面14,18との間に形成される隙間に、シロアリの非忌避性の透明ジェル状材料等を充填した構成等としてもよい。
【0022】
遮光層24は、光を透過させない、または透過させ難い構成とされている。この遮光層24は、本実施形態では、非透湿層21の外周側に設けられている。また、遮光層24は、
図4(a)に示すように、当該シロアリ誘導装置1が設置された状態で、当該シロアリ誘導装置1内を視認可能とする開口28と開口28を開閉する蓋部27とを含んでいる。このような構成とすれば、シロアリ誘導装置1を設置対象2から取り外すことなく、当該シロアリ誘導装置1内を確認することができる。また、遮光層24を透明な非透湿層21の外周側に設けているので、当該シロアリ誘導装置1内を確認する際に外気等が当該シロアリ誘導装置1内に侵入し難い。これらにより、当該シロアリ誘導装置1内にシロアリが存在しているような場合にも、シロアリにストレスを与え難く、シロアリが警戒するようなことを抑制することができる。
【0023】
この遮光層24は、非透湿層21の端面覆い部22の外側(誘導木材10の軸方向外側)を覆うように設けられた端面覆い部25と、非透湿層21の外周覆い部23の外周側を覆うように設けられた外周覆い部26と、を備えている。この遮光層24は、非透湿層21との間に僅かな隙間(1mm〜3mm程度)を設けて設けられたものでもよく、非透湿層21に対して隙間が1mm未満となるように略密着状に設けられたものであってもよい。
また、この遮光層24は、アルミニウム等の金属系材料から形成されたものであってもよく、また、遮光性の良好な顔料等を含む合成樹脂系材料から形成されたものであってもよい。また、この遮光層24は、フィルム状(箔状)とされたものであってもよく、例えば、アルミ箔によって構成されたものでもよい。この場合は、上記同様、遮光層24を構成する端面覆い部25及び外周覆い部26の一部または全部が複数層状に形成されたものであってもよい。
【0024】
また、遮光層24を、一部を容易に剥離したり、再度、覆ったりし易いアルミ箔等からなるものとした場合には、一部を剥離することで開口28を形成したり、剥離させた部分を蓋部27としたりしてもよい。図例では、遮光層24の外周覆い部26の一部を片持ち状に剥離させて蓋部27とし、開口28を形成した例を示しているが、このような態様に限られない。この蓋部27は、外周覆い部26に対して一部が剥離されることなく開き戸状に開閉自在とされたものに限られず、外周覆い部26に対して着脱可能とされたものでもよい。
【0025】
また、遮光層24は、上記のような態様に代えて、シート状若しくは板状とされた端面覆い部25の外周縁部から軸方向一方側に向けて一連状に筒状の外周覆い部26が設けられた一方向に開口する有底筒状の容器状とされたものであってもよい。この場合は、例えば、外周覆い部26の一部に設けられた開口28を開閉する蓋部27を別体的に設けた構成等としてもよい。また、この場合は、蓋部27を、外周覆い部26に対してスライド自在に設けたり、回転自在に設けたりしてもよく、更には、着脱自在に設けた態様等としてもよい。遮光層24としては、その他、種々の構成とされたものであってもよい。また、カバー材20としては、別体とされた非透湿層21と遮光層24とを含むものに限られず、遮光層24が非透湿層21を兼用するものであってもよい。また、シロアリ誘導装置1の設置箇所が暗所である場合には、カバー材20としては、遮光層24を含んでいない構成とされたものでもよい。カバー材20としては、その他、種々の構成とされたものであってもよい。なお、当該シロアリ誘導装置1の流通過程等において、誘導木材10が乾燥しないように、第1木口面12,16側を着脱可能に覆う覆い部を設けた構成等としてもよい。
【0026】
上記のような構成とされたシロアリ誘導装置1は、例えば、以下のようにして設置するようにしてもよい。
まず、誘導木材10を水に浸漬させた後に、カバー材20によって外周面14,18及び第2木口面13,17を覆った状態で、誘導木材10の第1木口面12,16を設置対象面3に突き合わせて設置するようにしてもよい(
図5(b)のステップS100及びステップS103参照)。このような構成とすれば、誘導木材10を効果的に高含水率状態にすることができ、設置後の当該シロアリ誘導装置1内をより効果的に高湿の雰囲気にすることができる。誘導木材10を水に浸漬させる時間は、数分程度でもよく、数時間程度でもよく、数日程度でもよい。なお、このように誘導木材10を水に浸漬させる態様に代えて、誘導木材10に適宜の噴霧装置によって水を噴霧する態様としてもよく、または、元の木材が上記のように高含水率であることから、設置前に水を付着させることなくカバー材20によって覆った状態で設置するようにしてもよい。
【0027】
上記のように設置されれば、シロアリ誘導装置1が第1木口面12,16を設置対象面3に突き合わせた状態で設置された構造となる。
また、上記のようにシロアリ誘導装置1を設置する前に、
図2(a)、(b)に示すように、蟻道6の一部を除去し、
図2(c)に示すように、この除去された側の第1端部7と第2端部8とに跨るようにシロアリ誘導装置1を設置するようにしてもよい。このような構成とすれば、蟻道6を通って除去された箇所に出てくるシロアリの触角を、誘導木材10の第1木口面12,16に対して効果的に接触させることができる。蟻道6を除去する寸法は、除去された側の第1端部7及び第2端部8がカバー材20内に位置するように、カバー材20の内径よりも小さい寸法としてもよい。
【0028】
また、蟻道6の第1端部7及び第2端部8に誘導木材10を重ね合わせれば、
図3(b)に示すように、蟻道6によって誘導木材10の第1木口面12,16と設置対象面3との間に僅かな隙間が形成される場合もあるが、この隙間は、3mm以下としてもよく、好ましくは、2mm以下としてもよい。または、このような隙間が形成され難くなるように、蟻道6の第1端部7及び第2端部8を受け入れる凹所を誘導木材10の第1木口面12,16に設けた構成等としてもよい。
また、図例では、蟻道6の一部が設置対象2側にも形成されているような例を示しているが、このような態様に限られない。また、図例では、蟻道6が設けられていた箇所に誘導木材10の略軸心部を一致させるようにシロアリ誘導装置1を設置した例を示しているが、このような態様に限られない。
【0029】
そして、
図3(a)、(b)に示すように、カバー材20の開口側を密閉するように、開口側周縁部に沿わせて設置対象面3にペースト状のシール材9を密着させるようにしてもよい。このように設置されれば、カバー材20の開口側を密閉するように、開口側周縁部に沿わせて設置対象面3にペースト状のシール材9が密着された構造となる。このような構成とすれば、シロアリ誘導装置1内の密閉度を簡易な構造で向上させることができる。また、このシール材9によってシロアリ誘導装置1を設置対象面3に固定する構造とすれば、螺子や釘等を用いて固定する構造と比べて、容易に設置でき、また、位置調整等も容易に行うことができる。
【0030】
このシール材9は、非透湿性で、かつ遮光性を有した構成とされている。また、このシール材9は、不乾性のいわゆるシールパテであってもよい。このような構成とすれば、設置対象面3やシロアリ誘導装置1の外周形状に応じて手作業で容易にかつ比較的に確実に密着させることができる。また、シロアリ誘導装置1を取り外す際にも比較的に容易に取り外すことができる。また、シール材9は、シロアリによって食害され難いように防蟻成分を含むものであってもよい。また、カバー材20の開口側を密閉する密閉部材としては、上記のようなペースト状のシール材9に代えて、適宜の粘着テープ等の密封テープや、いわゆるコーキングガンによって吐出されるシーリング材(コーキング材)等であってもよい。更には、このような密閉部材を設けずに、ねじや釘等によってシロアリ誘導装置1を設置対象面3に対して略密着させた状態で固定するようにしてもよい。
【0031】
図3(a)、(b)及び
図4(a)では、幅寸法がシロアリ誘導装置1の外径よりも大とされた設置対象面3に対してシロアリ誘導装置1を設置した例を示したが、
図4(b)に示すように、幅寸法がシロアリ誘導装置1の外径よりも小さい設置対象面3Aに設置することも可能である。
図4(b)では、設置対象2Aの設置対象面3Aと、この設置対象面3Aに対して直交状に設けられた隣接面5と、の入隅部に沿わせるようにシロアリ誘導装置1を設置した例を示している。このような場合には、誘導木材10の第1木口面12,16の一部を、設置対象面3Aの蟻道6に応じた位置となるように突き合わせ、第1木口面12,16の設置対象面3Aに突き合わせられない他の部位をも覆うように、シール材9Aを設けた構成としてもよい。図例では、設置対象面3Aに直交状とされた設置対象2Aの他の側面4にも密着させるようにシール材9Aを設けた例を示している。
【0032】
なお、第1木口面12,16の設置対象面3Aに突き合わせられない他の部位を、他の密閉部材や蓋部材等によって覆う構成としてもよい。
また、当該シロアリ誘導装置1の設置態様としては、上記したような態様に限られず、設置対象面3,3Aの形状や蟻道6が設けられた箇所等に応じて、種々の設置態様の採用が可能である。また、複数のシロアリ誘導装置1を、蟻道6の長手方向に間隔を空けて設置するようにしてもよい。
【0033】
次に、本発明に係るシロアリ誘導装置の他の実施の形態、このシロアリ誘導装置の設置構造及びこのシロアリ誘導装置の設置方法について、
図5を参照して説明する。
なお、以下の実施形態では、先に説明した実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。また、先に説明した実施形態と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0034】
図5(a)、(b)は、第2実施形態に係るシロアリ誘導装置の一例、このシロアリ誘導装置の設置構造の一例及びこのシロアリ誘導装置の設置方法の一例を模式的に示す図である。
本実施形態では、シロアリ誘導装置1Aは、
図5(a)に示すように、当該シロアリ誘導装置1内に、遅効性の殺蟻成分を含む駆除剤19を収容する収容空間29を設けた構成とされている。このような構成とすれば、収容空間29に駆除剤19を収容させた状態で設置すれば、上記のようにシロアリを効果的に誘導することができるので、シロアリに駆除剤19を効果的に摂食させることができる。
【0035】
本実施形態では、誘導木材10Aを、上記第1実施形態のシロアリ誘導装置1の誘導木材10を構成する第1誘導木材11及び第2誘導木材15のうちの一方(図例では、第2誘導木材15)のみから構成し、カバー材20によって囲まれた残余の空間を、収容空間29としている。つまり、収容空間29は、当該シロアリ誘導装置1Aの軸方向一方側において開口し、かつカバー材20と第2誘導木材15とによって区画されている。なお、このような態様に代えて、上記した中空部を、駆除剤19を収容する収容空間29としてもよく、収容空間29としては、その他、種々の構成とされたものであってもよい。
【0036】
駆除剤19は、当該シロアリ誘導装置1A内に辿り着いたシロアリの職蟻が摂食して直ちに死に至ることなく帰巣して他のシロアリに駆除剤19を分け与えて摂食させられるような遅効性を有した殺蟻成分を含む餌材であってもよい。この駆除剤19としては、有効成分としてビストリフルロンやノバフルムロン等のシロアリの脱皮を阻害する成長制御剤を、餌材となる木材や紙等のセルロース系基材に注入や含浸させたり、木粉と混合したりして形成されたものであってもよい。また、このような駆除剤19としては、いわゆるベイト剤として一般に市販されているものでもよい。また、駆除剤19は、上記した収容空間29を区画するカバー材20及び第2誘導木材15との間に上記のような僅かな隙間を介して、またはカバー材20及び第2誘導木材15に対して略密着するように収容空間29に充填することが好ましい。また、駆除剤19は、設置対象面3との間に上記のような僅かな隙間を介して、または設置対象面3に対して略密着するように収容空間29に充填することが好ましい。また、駆除剤19としては、その他、種々の構成とされたものであってもよい。
【0037】
上記のような構成とされたシロアリ誘導装置1Aは、例えば、
図5(b)に示すように、以下のようにして設置するようにしてもよい。
まず、上記第1実施形態と概ね同様、誘導木材10A(第2誘導木材15)を、水に浸漬させる(ステップS100)。そして、駆除剤19に、上記した軟腐朽菌を含む水を付着させた状態で駆除剤19及び誘導木材10Aをカバー材20に収容させ、誘導木材10Aの第1木口面16を設置対象面3に突き合わせて設置するようにしてもよい(ステップS101〜S103)。このような構成とすれば、駆除剤19にシロアリの好む軟腐朽菌を付着させることができるので、シロアリに駆除剤19をより効果的に摂食させることができる。
【0038】
駆除剤19に軟腐朽菌を含む水を付着させる際には、軟腐朽菌を含む水に駆除剤19を浸漬させたり、駆除剤19に対して軟腐朽菌を含む水を噴霧したりして付着させるようにしてもよい。なお、駆除剤19に、このような軟腐朽菌を含む水を付着させない構成としてもよい。また、カバー材20への収容は、駆除剤19及び誘導木材10Aを同時に収容させるようにしてもよく、一方を収容させてから他方を収容させるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態と同様、カバー材20の開口側を密閉するように、開口側周縁部に沿わせて設置対象面3にペースト状のシール材9を密着させるようにしてもよい。
なお、上記各実施形態において説明した各シロアリ誘導装置1,1Aや、シロアリ誘導装置の設置構造、シロアリ誘導装置の設置方法は、一例に過ぎず、種々の変形が可能である。