(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-41348(P2021-41348A)
(43)【公開日】2021年3月18日
(54)【発明の名称】洗浄機及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B08B 3/04 20060101AFI20210219BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20210219BHJP
【FI】
B08B3/04 B
B08B3/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-166072(P2019-166072)
(22)【出願日】2019年9月12日
(11)【特許番号】特許第6808790号(P6808790)
(45)【特許公報発行日】2021年1月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川森 巧曜
(72)【発明者】
【氏名】光江 豊彰
(72)【発明者】
【氏名】金本 拓也
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB05
3B201BB02
3B201BB46
3B201BB92
3B201CB12
3B201CC12
(57)【要約】
【課題】旋回テーブルを有し、対象物を洗浄液中に浸漬してジェット洗浄する洗浄機を提供する。
【解決手段】洗浄室19と、旋回軸36を中心に配置された複数の領域87a、87bのうちの一つを洗浄ステーション97に、その他の一つを搬送ステーション95に割り出し、複数の領域87a、87bのそれぞれに可閉開口31aを有する洗浄槽31と、洗浄槽31に配置された回転装置51と、対象物3が載置される洗浄テーブル33であって、回転装置51に配置され、洗浄槽31内に回転可能に配置される洗浄テーブル33と、を有する旋回テーブル87と、洗浄ステーション97に配置されたノズル移動装置14と、ノズル移動装置14に配置された洗浄ノズル(15)と、洗浄ステーション97に配置され、可閉開口31aを塞ぐシャッタ35と、シャッタ35を可閉開口31aに向けて移動するシャッタ移動装置38と、を有する洗浄機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を洗浄する洗浄機であって、
洗浄ステーションと搬送ステーションを有する洗浄室と、
旋回軸を中心に配置された複数の領域を有し、前記複数の領域のうちの一つを前記洗浄ステーションに、その他の一つを前記搬送ステーションに割り出す旋回テーブルであって、前記複数の領域のそれぞれに
可閉開口を有する洗浄槽と、
前記洗浄槽に配置された回転装置と、
前記対象物が載置される洗浄テーブルであって、前記回転装置に配置され、前記洗浄槽内に回転可能に配置される洗浄テーブルと、
を有する旋回テーブルと、
前記洗浄ステーションに配置されたノズル移動装置と、
前記ノズル移動装置に配置された洗浄ノズルと、
前記洗浄ステーションに配置され、前記可閉開口を塞ぐシャッタと、
前記シャッタを前記可閉開口に向けて移動するシャッタ移動装置と、
を有する洗浄機。
【請求項2】
前記可閉開口又は前記シャッタのいずれかに配置され、前記洗浄槽と前記シャッタの接触面の全周にわたって配置されるシールを更に備える、
請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記可閉開口は、前記旋回軸から前記領域を見て、背面に位置する、
請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記回転装置は、前記旋回軸から前記領域を見て、左右いずれかの側面に配置され、
前記洗浄テーブルは、左右方向に延びるテーブル回転軸を中心として、両端を支持される、
請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項5】
前記可閉開口は、前記洗浄テーブルが回転したときに、前記洗浄テーブルおよび前記対象物が前記洗浄槽と干渉しないよう構成される、
請求項3又は4に記載の洗浄機。
【請求項6】
前記シャッタは、洗浄液供給口を有する、
請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項7】
搬送ステーションに配置された洗浄槽内の洗浄テーブルに対象物を搬入し、
旋回テーブルを旋回して、前記対象物を前記洗浄槽及び前記洗浄テーブルと一緒に洗浄ステーションに搬送し、
シャッタが、前記洗浄ステーションに配置された前記洗浄槽の可閉開口を閉じ、
前記洗浄槽へ洗浄液を満たして、前記対象物を前記洗浄液に浸し、
ノズルを前記洗浄槽内に沈めて、前記ノズルから生成した洗浄液の噴流により前記対象物を洗浄し、
前記シャッタを前記可閉開口から離間させて、前記洗浄槽内の前記洗浄液を排水し、
前記旋回テーブルを旋回して、前記対象物を前記洗浄槽及び前記洗浄テーブルと一緒に前記搬送ステーションに搬送する、
対象物の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルを有するタレットヘッドと、ワークを固定する複数の固定部が配置されたターンテーブルと、着脱空間と洗浄空間を有する洗浄室とを有し、ターンテーブルを回転させることで着脱空間に配置されていた固定部が洗浄空間に移動し、洗浄空間に配置されていた固定部が着脱空間に移動する洗浄機が提案されている(特許第6008753号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の洗浄機は、対象物を洗浄液に浸漬してジェット洗浄するものではなかった。
【0004】
本発明は、旋回テーブルを有し、対象物を洗浄液中に浸漬してジェット洗浄する洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点は、対象物を洗浄する洗浄機であって、
洗浄ステーションと搬送ステーションを有する洗浄室と、
旋回軸を中心に配置された複数の領域を有し、前記複数の領域のうちの一つを前記洗浄ステーションに、その他の一つを前記搬送ステーションに割り出す旋回テーブルであって、前記複数の領域のそれぞれに
可閉開口を有する洗浄槽と、
前記洗浄槽に配置された回転装置と、
前記対象物が載置される洗浄テーブルであって、前記回転装置に配置され、前記洗浄槽内に回転可能に配置される洗浄テーブルと、
を有する旋回テーブルと、
前記洗浄ステーションに配置されたノズル移動装置と、
前記ノズル移動装置に配置された洗浄ノズルと、
前記洗浄ステーションに配置され、前記可閉開口を塞ぐシャッタと、
前記シャッタを前記可閉開口に向けて移動するシャッタ移動装置と、
を有する。
【0006】
本発明の第2の観点は、対象物の洗浄方法であって、
搬送ステーションに配置された洗浄槽内の洗浄テーブルに対象物を搬入し、
旋回テーブルを旋回して、前記対象物を前記洗浄槽及び前記洗浄テーブルと一緒に洗浄ステーションに搬送し、
シャッタが、前記洗浄ステーションに配置された前記洗浄槽の可閉開口を閉じ、
前記洗浄槽へ洗浄液を満たして、前記対象物を前記洗浄液に浸し、
ノズルを前記洗浄槽内に沈めて、前記ノズルから生成した洗浄液の噴流により前記対象物を洗浄し、
前記シャッタを前記可閉開口から離間させて、前記洗浄槽内の前記洗浄液を排水し、
前記旋回テーブルを旋回して、前記対象物を前記洗浄槽及び前記洗浄テーブルと一緒に前記搬送ステーションに搬送する方法である。
【0007】
洗浄は、高圧ジェットによるバリ取りを含む。
【0008】
複数の領域は、例えば、2〜4つの領域である。洗浄機は、複数の領域と同数のステーションを有する。洗浄ステーションは、対象物を洗浄液中に浸漬して、洗浄液噴流によって洗浄する液中洗浄ステーションである。洗浄機は、3つ以上の領域と3つ以上のステーションを有する場合、例えば、大気中に対象物と洗浄ノズルを晒して、ノズルが生成した洗浄液の噴流を対象物に衝突させる気中洗浄ステーションを更に有しても良い。
洗浄槽は、上方が開口する解放槽である。可閉開口は、好ましくは、旋回軸から領域を見て、背面に位置する。可閉開口は、洗浄槽の上端まで達して良い。シャッタが可閉開口を閉じることで、洗浄槽に洗浄液を貯めることができる。シャッタが可閉開口を開けると、洗浄槽から洗浄液が排水される。シャッタは、洗浄槽の一部を構成するとともに、排水弁でもある。
【0009】
タレットは、複数のノズルを有しても良い。例えば、液中噴射ノズルは上下方向に延びて、その下端部に噴口を有する。
【0010】
洗浄機は、洗浄液供給装置を有する。洗浄液供給装置は、例えば、ポンプや供給槽である。供給槽は、洗浄槽よりも上方に配置される。供給槽は、例えば、洗浄室の天井の上方に配置される。供給槽は、供給弁を有する。供給弁が開くと、洗浄槽から洗浄液が洗浄槽に供給される。
洗浄槽がシャッタによって閉じられて、洗浄液が張られたときに、対象物は洗浄液に浸される。ノズルは、ノズル移動装置によって移動する。液中噴射ノズルは、洗浄槽の上部から洗浄槽に貯留された洗浄液内に挿入されて、対象物に向かって洗浄液を噴射する。対象物は、洗浄液の噴流によって洗浄される。
【0011】
シャッタ移動装置は、例えば、シリンダである。好ましくは、シャッタ移動装置は、ガイドを有する。シャッタは、ガイドによって支持され、可閉開口を閉じる閉位置と、可閉開口から離れて旋回テーブルが旋回できる退避位置との間を移動する。閉位置において、シャッタはシャッタ移動装置によって可閉開口に押し付けられる。
【0012】
シールは、例えば、ゴムシールである。シャッタが閉位置にあるときに、シャッタがシールを押しつぶし、シールが可閉開口の周囲とシャッタの隙間を埋める。そして、シールが洗浄槽とシャッタの間を封止する。なお、シャッタやシールは完全に可閉開口を塞ぐ必要はない。ノズルや洗浄液供給装置から洗浄液が供給されて良い。
【0013】
可閉開口は、洗浄槽の底面に配置しても良い。この場合、シャッタは、昇降するように構成される。
好ましくは、回転装置は、シャッタの位置に関わらず、洗浄テーブルおよび対象物を自在に回転できる。
【0014】
搬送ステーションに乾燥装置が配置されて良い。乾燥装置は、例えば、エアブロ装置や減圧乾燥装置である。対象物を乾燥装置に対して相対的に移動させる移動装置が、搬送ステーションに配置されて良い。移動装置は、例えば、エアブロノズルを洗浄テーブル上の対象物に対して近接させるノズル移動装置である。
エアブロ装置がエアブロノズルを対象物に近接させたときに、回転装置が洗浄テーブルを回転させながらエアブロを行っても良い。
また、乾燥装置を搬送ステーションに固定し、対象物移動装置が対象物を乾燥装置に対して移動しても良い。対象物移動装置は、例えば、シリンダ、多関節ロボット、直交軸ロボット、ガントリーローダである。乾燥装置は、対象物移動装置とエアブロ装置、対象物移動装置と減圧乾燥機の組合せでも良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、旋回テーブルを有し、対象物を洗浄液中に浸漬してジェット洗浄する洗浄機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】シャッタが閉位置にある実施形態の洗浄機の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、洗浄機10は、洗浄室19、隔壁93、旋回テーブル87、洗浄槽シャッタ35、洗浄テーブル33、回転装置51、ノズル移動装置(移動装置)14、ノズル15、洗浄液供給槽(洗浄液供給源)37及び制御装置25を有する。洗浄機10は、中間シャッタ94、エアブロ装置85、移動装置61、タレット13、ポンプ18、供給弁40及び空気源83を有しても良い。
【0018】
洗浄室19は、例えば、箱型である。洗浄室19は、前方に搬送ステーション95を有し、後方に洗浄ステーション97を有する。ノズル15及び移動装置14は、洗浄ステーション97に配置される。
【0019】
旋回テーブル87は、洗浄ステーション97と搬送ステーション95にわたって配置される。旋回テーブル87は2つの領域87a、87b、及び可動壁88を有する。可動壁88は、旋回テーブル87を2つの領域87a、87bに区画する。旋回テーブル87は、旋回軸36を中心に180度旋回する。旋回軸36は、洗浄ステーション97と搬送ステーション95の境界上で、上下方向(Z軸方向)に延びる。
【0020】
領域87a、87bは、旋回軸36を中心に180度回転対称に配置される。旋回テーブル87の旋回により、2つの領域87a,87bの一方が洗浄ステーション97に、他方が搬送ステーション95に位置決めされる。
可動壁88は、平板である。可動壁88は、旋回軸36を通り、旋回テーブル87に垂直な面上で、旋回テーブル87に固定される。旋回テーブル87を位置決めすると、可動壁88は、隔壁93と接続する。可動壁88は、旋回テーブル87と一体となって旋回軸36を中心に旋回する。
【0021】
隔壁93は、平板であり、洗浄室19に配置される。隔壁93は、洗浄室19を洗浄ステーション97と搬送ステーション95に区画する。隔壁93は、旋回軸36を通り、XZ平面に平行に延びる。隔壁93は、搬送口96を有する。旋回テーブル87が旋回すると、旋回テーブル87、洗浄テーブル33及び対象物3は、搬送口96を通過する。
【0022】
中間シャッタ94は、搬送口96を開閉する。例えば、中間シャッタ94は、上下にスライドするスライド扉である。中間シャッタ94が下降すると、中間シャッタ94は可動壁88と接する。中間シャッタ94が可動壁88と接することにより、搬送口96が閉じられる。
【0023】
搬入口(不図示)は、搬送ステーション95に配置される。搬入口は、例えば、洗浄機10の前面又は上面に配置される。搬入シャッタ(不図示)は、搬入口を開閉する。搬入シャッタは、例えば、スライド扉である。
【0024】
ポンプ18は、液体ポンプであり、例えば、ピストンポンプ、ギヤポンプ、渦巻きポンプである。洗浄液タンク(不図示)は、ポンプ18へ洗浄液を供給する。ポンプ18は、タレット13を介してノズル15へ洗浄液を供給する。
【0025】
移動装置14は、タレット13及びノズル15を、洗浄テーブル33に対して、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)、上下方向(Z軸方向)へ自在に移動できる。
回転装置51は、テーブル回転軸(回転軸)21を中心に洗浄テーブル33をA軸方向に回転する。
【0026】
タレット13は、移動装置14に設けられる。タレット13は、Z軸方向に延びるノズル回転軸16を有する。タレット13は、複数のノズル15を有しても良い。タレット13は、旋回して、一つのノズル15を下方に割り出す。タレット13は、下方に割り出されたノズル15へ洗浄液を供給する。移動装置14又はタレット13は、ノズル回転軸16を中心にノズル15をC軸方向に回転する。タレット13として、例えば、特許第6147623号及び特許5432943号が提案されている。
【0027】
ノズル15は、タレット13に設けられる。例えば、ノズル15は、回転軸16に沿って延びる軸体(不図示)及び軸体の先端に配置された噴口(不図示)を有する。望ましくは、ノズル15は、回転軸16を中心として回転でき、又は、回転方向に位置決めできる。ノズル15は、例えば、水中洗浄ノズル151、横形ノズル152である。回転軸16に垂直に高圧の噴流が噴口(不図示)から噴射される。
【0028】
エアブロ装置85は、複数のエアブロノズル85aを有する。空気源83は、例えば、エアコンプレッサーやブロアーである。空気源83は、エアブロ装置85に接続される。
【0029】
移動装置61は、例えば、多関節ロボットである。移動装置61は、洗浄室19の天井面に設置される。移動装置61は、先端に対象物3を把持する把持装置63を有する。移動装置61は、対象物3を把持し、搬入口(不図示)から対象物3を出し入れする。移動装置61は、対象物3をエアブロ装置85に向けて移動させ、対象物3の姿勢を変更しながら対象物を乾燥する。
【0030】
各領域87a,87bに、洗浄槽31が配置される。
図2に示すように、洗浄槽31は、旋回軸36からみて、前面、左右及び底面が閉じられ、背面(側面)31bに可閉開口31aを有する。洗浄槽31は、上方が解放している。
図3は、旋回軸36を通るYZ平面で切断した断面図である。例えば、
図3に示すように、背面31bは、回転軸21、121に直交する断面視で、回転領域91と重なる。ここで、回転領域91は、対象物3と洗浄テーブル33が回転したときに通過する領域をいう。洗浄槽31の底面は、旋回テーブル87で構成されても良い。旋回軸36から見て洗浄槽31の前面は、可動壁88で構成されても良い。開口31aは、左右、上下方向において、洗浄テーブル33が回転したときに、洗浄テーブル33が洗浄槽31と干渉しない大きさを有する。つまり、開口31aは、回転領域91と背面31bとが交差する領域を含み、その交差領域よりも大きい。開口31aは、洗浄液を排出できる。
なお、開口31aは、洗浄テーブル33が対象物3を着脱する姿勢にあるときに、対象物3を着脱し、通過可能な大きさを有しても良い。この場合、搬入口を洗浄室19の正面に配置できる。対象物3は、搬入口を通過して搬送ステーション95の洗浄テーブル33に搬入される。
【0031】
シール32は、開口31aの外側に、開口31aの全周にわたって配置される。シール32は、シャッタ35と洗浄槽31の間を封止する。シール32は、シャッタ35に配置されても良い。
【0032】
回転装置51は、例えば、円テーブルである。旋回軸36からみて各洗浄槽31の左側面に、回転装置51が配置される。旋回軸36から見て各洗浄槽31の右側面には、支持台(不図示)が配置される。洗浄テーブル33は、回転装置51と支持台によって、回転可能に支持される。回転装置51は、テーブル回転軸(回転軸)21、121を中心として、洗浄テーブル33を回転する。回転軸21、121は、旋回軸36から領域87a、87bを見たときに、左右方向に延びる。
洗浄テーブル33は、対象物3を固定する。各回転装置51に洗浄テーブル33が配置され、回転軸21、121を中心に回転する。
【0033】
図3に示すように、シャッタ35は、洗浄ステーション97に配置される。シャッタ35は、シール32と接触する接触面35aを有する。シャッタ35は、閉位置にあるときに、対象物3及び洗浄テーブル33の回転領域91を外側から囲う。例えば、シャッタ35は旋回軸36から見て後方にやや膨らんでいる。例えば、シャッタ35の下方に、洗浄液供給口35bが配置される。
【0034】
シャッタ移動装置38は、例えば、ガイド付きシリンダ38aとブラケット38bを有する。シリンダ38aは、ボディ38e、シリンダロッド38cおよびガイドシャフト38dを有する。ブラケット38bは、シャッタ35に固定される。ボディ38eは、洗浄室19に固定される。シリンダロッド38cおよびガイドシャフト38dは、ブラケット38bに固定される。シリンダ38aの伸縮により、ガイドシャフト38dがボディ38eにガイドされて、シャッタ35が移動する。シリンダ38aが伸びると、シャッタ35は開口31aを閉じる。シリンダ38aが縮むと、シャッタ35は、旋回軸36から領域87bを見て後方の退避位置に退避する。
【0035】
例えば、供給槽37は、洗浄室19の上方に配置される。供給槽37は、シャッタ35で閉じられた洗浄槽31よりも大きな容積を有する。供給槽37は洗浄槽供給配管39を介して、洗浄液供給口35bに接続される。洗浄槽供給配管39は、供給弁40を有する。供給弁40が開くと、供給槽37から洗浄槽31へ洗浄液が供給される。
【0036】
制御装置25は、移動装置14、タレット13、旋回テーブル87、移動装置61、中間シャッタ94、供給弁40、ポンプ18及びエアブロ装置85を制御する。
【0037】
図4を参照して、本実施形態の洗浄方法を説明する。
まず、中間シャッタ94を開ける(S1)。次に、旋回テーブル87を旋回させる(S2)。このとき、搬送ステーション95にある洗浄前の対象物3が洗浄ステーション97に搬送され、洗浄ステーション97にある洗浄済みの対象物3が搬送ステーション95に搬送される。続いて、中間シャッタ94を閉じる(S3)。このとき、隔壁93、中間シャッタ94、可動壁88によって、洗浄ステーション97と搬送ステーション95が分離する。
【0038】
次に、洗浄ステーション97における洗浄手順を説明する。
シャッタ移動装置38がシャッタ35を閉位置に移動し、開口31aを閉じる(S11)。供給弁40を開き、洗浄槽31へ洗浄液を供給する(S12)。これにより、洗浄槽31が洗浄液で満たされ、対象物3が洗浄液に浸される。
ポンプ18が洗浄液をノズル15へ供給し、ノズル15が洗浄液を噴射する。回転装置51が対象物3を移動し、移動装置14がノズル15を移動し、ノズル15が噴流を対象物3へ衝突させる。ノズル15が移動経路に沿って移動することにより、対象物3が洗浄される(S13)。
シャッタ移動装置38が、シャッタ35を退避位置に移動する。洗浄槽31内に貯留された洗浄液が可閉開口31aから排出する(S14)。
このようにして、対象物3の洗浄が終了する。
【0039】
続いて、搬送ステーション95における搬送、乾燥の手順を説明する。
移動装置61は、洗浄後の対象物3を把持し、エアブロ装置85に向けて移動する。エアブロ装置85は、空気を対象物3に対して噴射してエアブロする(S21)。
搬入シャッタ(不図示)が、搬入口(不図示)を開ける(S22)。
移動装置61は、乾燥した対象物3を搬入口(不図示)から搬出する。続いて、移動装置61は、次に洗浄する対象物3を搬入口(不図示)から搬入する(S23)。
搬入シャッタ(不図示)は、搬入口(不図示)を閉じる(S22)。
【0040】
次に洗浄機10を起動したときに、洗浄された対象物3が搬送ステーション95へ搬送され、新しく搬入した対象物3が洗浄ステーション97へ搬送される。
【0041】
本実施形態によれば、旋回軸36から領域87a、87bを見たときに、開口31aが背面に配置され、シャッタ35が前後方向に移動できる。そのため、洗浄槽31の奥行を小さくできる。そのため、旋回テーブル87が旋回したときの最大の回転半径が小さくなり、洗浄機10の設置面積を小さくできる。
【符号の説明】
【0042】
3 対象物
10 洗浄機
19 洗浄室
31 洗浄槽
31a 可閉開口
33 洗浄テーブル
35 シャッタ
36 旋回軸
38 シャッタ移動装置
51 回転装置
61 ノズル移動装置
87 旋回テーブル
【手続補正書】
【提出日】2020年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を洗浄する洗浄機であって、
洗浄ステーションと搬送ステーションを有する洗浄室と、
旋回軸を中心に配置された複数の領域を有し、前記複数の領域のうちの一つを前記洗浄ステーションに、その他の一つを前記搬送ステーションに位置決めする旋回テーブルであって、前記複数の領域のそれぞれに
可閉開口を有する洗浄槽と、
前記洗浄槽に配置された回転装置と、
前記対象物が載置される洗浄テーブルであって、前記回転装置に配置され、前記洗浄槽内に回転可能に配置される洗浄テーブルと、
を有する旋回テーブルと、
前記洗浄ステーションに配置されたノズル移動装置と、
前記ノズル移動装置に配置された洗浄ノズルと、
前記洗浄ステーションに配置され、前記可閉開口を塞ぐシャッタと、
前記シャッタを前記可閉開口に向けて移動するシャッタ移動装置と、
を有する洗浄機。
【請求項2】
前記可閉開口又は前記シャッタのいずれかに配置され、前記洗浄槽と前記シャッタの接触面の全周にわたって配置されるシールを更に備える、
請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記可閉開口は、前記旋回軸から前記領域を見て、背面に位置する、
請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記回転装置は、前記旋回軸から前記領域を見て、左右いずれかの側面に配置され、
前記洗浄テーブルは、左右方向に延びるテーブル回転軸を中心として、両端を支持される、
請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項5】
前記可閉開口は、前記洗浄テーブルが回転したときに、前記洗浄テーブルが前記洗浄槽と干渉しないよう構成される、
請求項3又は4に記載の洗浄機。
【請求項6】
前記シャッタは、洗浄液供給口を有する、
請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄機。
【請求項7】
搬送ステーションに配置された洗浄槽内の洗浄テーブルに対象物を搬入し、
旋回テーブルを旋回して、前記対象物を前記洗浄槽及び前記洗浄テーブルと一緒に洗浄ステーションに搬送し、
シャッタが、前記洗浄ステーションに配置された前記洗浄槽の可閉開口を閉じ、
前記洗浄槽へ洗浄液を満たして、前記対象物を前記洗浄液に浸し、
ノズルを前記洗浄槽内に沈めて、前記ノズルから生成した洗浄液の噴流により前記対象物を洗浄し、
前記シャッタを前記可閉開口から離間させて、前記洗浄槽内の前記洗浄液を排水し、
前記旋回テーブルを旋回して、前記対象物を前記洗浄槽及び前記洗浄テーブルと一緒に前記搬送ステーションに搬送する、
対象物の洗浄方法。