(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-42147(P2021-42147A)
(43)【公開日】2021年3月18日
(54)【発明の名称】ミトコンドリア活性化剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/068 20060101AFI20210219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210219BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20210219BHJP
【FI】
A61K36/068
A61P43/00 105
A61P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2019-163665(P2019-163665)
(22)【出願日】2019年9月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】鉄井 崇仁
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC03
4C087CA04
4C087CA10
4C087CA11
4C087NA14
4C087ZB21
4C087ZC21
(57)【要約】
【課題】
本発明は、冬虫夏草を有効成分とするミトコンドリア活性化剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
冬虫夏草を有効成分とするミトコンドリア活性化剤を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冬虫夏草を有効成分とするミトコンドリア活性化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬虫夏草を有効成分とするミトコンドリア活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアは生体のエネルギー産生の役割を果たすことが知られている。ミトコンドリアの主要な機能は電子伝達系による酸化的リン酸化によるATP産生であり、産生されたATPは細胞の様々な活動に必要なエネルギーとして供給される。しかしながら、加齢とともにミトコンドリアの活性は低下していく。そのため、古くからミトコンドリアの活性化は注目されており、種々の有効成分を含有するミトコンドリア活性化剤が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6401792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冬虫夏草を有効成分とするミトコンドリア活性化剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、冬虫夏草を有効成分とするミトコンドリア活性化剤を提供する。
【発明の効果】
【0006】
冬虫夏草は濃度依存的に、活性型ミトコンドリア量を増加させ、ミトコンドリアを活性化する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、冬虫夏草が濃度依存的に活性型ミトコンドリア量を増加させる効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明において使用可能な冬虫夏草は特に制限はなく、一般に知られている蝶蛾類鱗翅目および鞘翅目の昆虫又はその幼虫に寄生してその体内に菌核を形成し、夏季に宿主である昆虫又はその幼虫の体表面に子実体を形成するものであればよい。本発明においては特に好ましく使用可能な冬虫夏草として、コウモリ蛾科の幼虫( Hepialus armoricanus Ober.)に寄生してその体内に菌核を形成し、夏季に頭部から根棒状の子実体を形成するコルダイセプシネンシス( Cordyceps sinensis)が挙げられる。また、コルダイセプシネンシス以外の冬虫夏草としてはセミタケ( Cordyceps sobolifera B.)やサナギタケ( Cordyceps militaris Link)、ミミカキタケ( Cordyceps nutans Pat.)などが知られており、これらも本発明において好ましく使用できるものである。本発明に係るミトコンドリア活性化剤は、子実体又は菌糸体の区別なく使用可能であるが、特にコルダイセプシネンシスの子実体を用いることが好ましい。
【0010】
冬虫夏草は、その粉砕したものを用いることも可能であるが、前処理を行うことが好ましい。かかる前処理方法として、熱水抽出、アルコール水溶液抽出等により成分を抽出した後、賦形剤とともに微粉化することが好ましい。賦形剤としては特に限定されないが、デキストリンを用いることが一般的である。
【0011】
このようにして得られた冬虫夏草は、そのまま用いることもできるが、その効果を失わない範囲で、脱臭、脱色、濃縮などの精製操作を加えたり、カラムクロマトグラフィーなどを用いて分画物として用いたりしてもよい。これらの精製物や分画物はこれらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらにはアルコールなどの溶媒に可溶化した形態、あるいは乳剤の形態など、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
【実施例】
【0012】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0013】
まず、実施例等に用いる冬虫夏草の調製方法を示す。
【0014】
[冬虫夏草]
本発明の実施例で使用した冬虫夏草は、下記の手順で調製したものを使用した。
1.冬虫夏草(Cordyceps sinensis)10gを乾燥後粉砕する。
2.熱水で90分間抽出後ろ過し、濾液を乾燥させることでエキスAとする。
3.2のろ過工程における残渣を酵素処理し、ろ過したもののうち濾液を酵素処理末、残渣を微粉砕化したものをエキスBとする。
4.エキスAにデキストリンを混合し、6gとなるように質量調整を行ったものをエキス末とする。
5.エキスBに倍量のデキストリンを加え製剤性を高めたものを加工粉末とする。
6.上記工程により製造されたエキス末・酵素処理末・加工粉末を混合し、冬虫夏草として使用する。
【0015】
[ミトコンドリア活性化作用]
正常ヒト骨格筋筋芽細胞(HSMM)をGFR Matrigel Matrixコート96well black plate(Greiner社製)に7.5×10
3cells/mL/wellとなるようにSkGM-2培地(Lonza社製)に播種し、24時間培養した。2% Horse Serum(Thermo Fisher Scientific社製)を添加したDMEM:F-12培地(Lonza社製)に交換後、4日間培養し、筋管分化を誘導させた。冬虫夏草を溶解させた2% Horse Serum添加DMEM:F-12培地に交換し、24時間培養を行った。1mM Mito Tracker Red CM-H2Xros(Thermo Fisher Scientific社製)、10mg/mL Hoechst 33342(Thermo Fisher Scientific社製)を添加した2% Horse Serum添加DMEM:F-12培地に交換し、30分間処理を行った。新しい2% Horse Serum添加DMEM:F-12培地に交換し、Operetta CLS(Parkin Elmer社製)を用いて画像撮影を行い、Red陽性area/総核数を算出し、相対活性型ミトコンドリア量の定量化を行った。
活性型ミトコンドリア量は、未処理の場合の活性型ミトコンドリア量を100とした場合の相対値を算出し、表1に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
図1及び表1に示した通り、冬虫夏草は濃度依存的に活性型ミトコンドリア量を増加させ、ミトコンドリアを活性化する効果を発揮した。