特開2021-42597(P2021-42597A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021042597-軒樋支持具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-42597(P2021-42597A)
(43)【公開日】2021年3月18日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20210219BHJP
【FI】
   E04D13/072 502J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-166003(P2019-166003)
(22)【出願日】2019年9月12日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】波形屋根にかかる応力を分散させる軒樋支持具を提供する。
【解決手段】上方に突出する山部41と下方に突出する谷部42とが交互に連続して形成されている波形屋根4に固定される固定部10と、該固定部の下方に位置し、軒樋5を保持する樋支持部2とを有する軒樋支持具1において、前記固定部は、相協働して前記波形屋根を挟持する上片部12と下片部13とを有し、前記上片部と前記下片部とは、前記波形屋根に沿うように湾曲形状に形成されており、前記上片部は、前記山部と該山部に隣接する少なくとも1つの前記谷部との形状に沿うように形成されている
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に突出する山部と下方に突出する谷部とが交互に連続して形成されている波形屋根に固定される固定部と、該固定部の下方に位置し、軒樋を保持する樋支持部とを有する軒樋支持具において、
前記固定部は、相協働して前記波形屋根を挟持する上片部と下片部とを有し、
前記上片部と前記下片部とは、前記波形屋根に沿うように湾曲形状に形成されており、
前記上片部は、前記山部と該山部に隣接する少なくとも1つの前記谷部との形状に沿うように形成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記下片部は、前記山部と該山部に隣接する少なくとも1つの前記谷部との形状に沿うように形成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記樋支持部は、前記山部と上下方向に重なって配置されるように構成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記上片部と前記下片部との対向面のそれぞれに向き合うように突出した突部が複数形成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記上片部と前記下片部とは、それぞれ別体に形成されており、前記上片部と前記下片部との各前端部から、幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝を有した連結部がそれぞれ形成されており、前記切り溝同士の差し込みにて交差重合する連結構造とされており、
前記切り溝同士で連結した部位を支点として、該支点の前側に、開閉自在な2片よりなる操作部が配されていることを特徴とする軒樋支持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形屋根に取り付けられる軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯状の金属板を折曲して形成された、波形屋根に取り付けられる軒樋支持具が知られている(たとえば、特許文献1)。このような軒樋支持具は、固定部で波形屋根を挟むことで、波形屋根に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6376487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような軒樋支持具は、帯状の金属板等により形成されているので、軒樋支持具の幅が狭く形成されている。そのため、このような軒樋支持具が取り付けられた波形屋根では、軒樋支持具が取り付けられている、山部の頂部分などの極めて狭い箇所に応力が集中しやすくなり、そこから割れて破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、波形屋根にかかる応力を分散させる軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、上方に突出する山部と下方に突出する谷部とが交互に連続して形成されている波形屋根に固定される固定部と、該固定部の下方に位置し、軒樋を保持する樋支持部とを有する軒樋支持具において、前記固定部は、相協働して前記波形屋根を挟持する上片部と下片部とを有し、前記上片部と前記下片部とは、前記波形屋根に沿うように湾曲形状に形成されており、前記上片部は、前記山部と該山部に隣接する少なくとも1つの前記谷部との形状に沿うように形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の軒樋支持具は、前記下片部は、前記山部と該山部に隣接する少なくとも1つの前記谷部との形状に沿うように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の軒樋支持具は、前記樋支持部は、前記山部と上下方向に重なって配置されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の軒樋支持具は、前記上片部と前記下片部との対向面のそれぞれに向き合うように突出した突部が複数形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の軒樋支持具は、前記上片部と前記下片部とは、それぞれ別体に形成されており、前記上片部と前記下片部との各前端部から、幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝を有した連結部がそれぞれ形成されており、前記切り溝同士の差し込みにて交差重合する連結構造とされており、前記切り溝同士で連結した部位を支点として、該支点の前側に、開閉自在な2片よりなる操作部が配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、波形屋根にかかる応力が分散される。また、互いに連続する山部と谷部とに沿うため、波形屋根に対して軒樋支持具のずれやがたつき、外れが起こりにくくなる。
【0012】
請求項2に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、波形屋根に対してさらに安定した状態で固定されやすくなる。
【0013】
請求項3に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、谷部から流れてきた雨水が樋支持部を伝って、波形屋根の裏側に回りこみにくくなる。
【0014】
請求項4に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、より強固に波形屋根に固定されやすくなる。
【0015】
請求項5に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、波形屋根への取付がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】は、本発明の一実施形態に係る軒樋支持具の概略的斜視図である。
図2】(a)は、波形屋根に固定されている状態の同軒樋支持具の概略的正面図、(b)は、(a)のX−X線における概略的矢視断面図である。
図3】は、他の変形例に係る軒樋支持具の概略的斜視図である。
図4】は、他の変形例に係る図2(b)に相当する軒樋支持具の説明図である。
図5】(a)は、他の変形例に係る軒樋支持具の概略的分解斜視図、(b)は、同変形例の説明図である。
図6】は、他の変形例に係る軒樋支持具の概略的分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。まず、軒樋支持具の基本構成について説明する。なお、軒樋支持具が建物の軒先に固定されている状態を基準にして、前後方向(建物側を後ろ方向、それとは反対側を前方向)、幅方向(軒先に対する見付の方向と一致する方向)、上下方向等を規定する。また、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0018】
軒樋支持具1は、上方に突出する山部41と下方に突出する谷部42とが交互に連続して形成されている波形屋根4に固定される固定部10と、固定部10の下方に位置し、軒樋5を保持する樋支持部2とを有する。固定部10は、相協働して波形屋根4を挟持する上片部12と下片部13とを有する。上片部12と下片部13とは、波形屋根4に沿うように湾曲形状に形成されており、上片部12は、山部41と山部41に隣接する少なくとも1つの谷部42との形状に沿うように形成されている。以下、詳しく説明する。
【0019】
図1に示す軒樋支持具1は、ステンレス等の金属材料からなり、固定部10と樋支持部2とを有している。固定部10は、板材が倒U字状に折り曲げられることで、先端部11と、波形屋根4の前端部を挟持する上片部12と下片部13とが形成される。また、下片部13の後端部13bから下方に延びた帯状の接続部14が形成されており、接続部14には、上下方向に延びて形成された長孔14aが形成されている。波形屋根4は、幅方向に山部41と谷部42とが交互に連続して形成されており、前方向に雨水が流れ落ちるように傾斜して建物等に設置される。
【0020】
固定部10の幅寸法wは、波形屋根4の底部である谷部42から山部41を介して隣接する他方の谷部42間の寸法p(交互に連続して形成されている山部41と谷部42の1周期の長さp)と略同寸法とされている(図2(a)参照)。そして、上片部12と下片部13は、波形屋根4に沿うように湾曲形状に形成されており、波形屋根4の頂部である山部41と山部41の幅方向両側に隣接する谷部42,42との形状に沿うように形成されている。また、上片部12と下片部13との間には、波形屋根4の前端部が挟みいれられる空隙が形成されている(図2(b)参照)。
【0021】
つまり、固定部10は、上片部12と下片部13との協働により、波形屋根4の山部41と山部41の幅方向両側に隣接する谷部42,42とが挟持される構成となっている。これにより、軒樋支持具1は、波形屋根4に安定した状態で固定される。また、下片部13には、斜め前方に切り起こし形成された突片13aが形成されている。突片13aは、斜め前方に切り起こし形成されているので、波形屋根4が固定部10内に挿入される際には、この挿入を阻害しない。そして、波形屋根4が固定部10に挟持されると、突片13aは波形屋根4の下面に食い込み、軒樋支持具1が波形屋根4から脱落しにくくなる。上片部12の山部41に対応した部位には、釘やネジ等の固着具により波形屋根4に固定する際に必要に応じて用いられる挿通孔12aが大小合わせて2つ形成されている。
【0022】
上片部12、下片部13は、波形屋根4に沿った形状に形成されている。そのため、下片部13の後端部13bと上片部12との間の挿入口10bは波形屋根4に沿った波形形状となっている。波形屋根4に軒樋支持具1を固定させる際には、波形形状の挿入口10bが波形屋根4の前端部の形状と対応するように位置決めすればよいので、軒樋支持具1の位置決め作業が容易となる。軒樋支持具1の位置決め作業の後、挿入口10bに波形屋根4の前端部が挿入される。図2(a)に示されているように、固定部10の中心部が、波形屋根4の山部41と上下方向に重なるように配され、固定部10の幅方向端部10a,10aが、波形屋根4の谷部42,42と上下方向に重なるように配される。
【0023】
上片部12は、波形屋根4に沿った形状に形成されている。つまり、上片部12は波形屋根4の山部41と山部41の幅方向両側に隣接する谷部42,42とを覆う形状となっている。そのため、軒樋支持具1や軒樋支持具1が保持する軒樋5や軒樋5内を流れる雨水等の荷重等が固定部10を介して波形屋根4に加わっても、従来と比べて面積が大きく形成されている上片部12により、波形屋根4に加わる応力が分散される。そのため、波形屋根4の狭い箇所に応力が集中しにくくなっているので、荷重により波形屋根4は破損しにくくなっている。また、固定部10は、山部41と谷部42とに沿う形状のため、波形屋根4に対して軒樋支持具1のずれやがたつき、外れが起こりにくくなる。
【0024】
固定部10の下片部13の後端部13bから下方に延びて形成された接続部14は、固定部10より幅寸法の小さい帯状に形成されており、接続部14の幅寸法は、樋支持部2の幅寸法と略同寸法に形成されている。接続部14は、正面視して軒樋支持具1の幅方向略中心に配されており、下片部13の山部41に対応する部位から下方に延びて形成されている。
【0025】
樋支持部2は、長孔14aに挿通された固着具3により、接続部14に対して上下方向にスライド移動可能に接続され、波形屋根4の山部41と上下方向に重なって配置されるように構成される。波形屋根4は、波形屋根4に降った雨水が、谷部42に落ちて谷部42に沿って下方に流れるように構成されている。樋支持部2は山部41と上下方向に重なって配置されるように構成されているため、谷部42から流れてきた雨水が樋支持部2を伝って波形屋根4の裏側に回りこまないようになっている。
【0026】
樋支持部2は、軒樋5を受け支持する本体部20と、軒樋5の前耳51を保持する前耳保持部21と、軒樋5の後耳52を保持する後耳保持部22とを有する。樋支持部2は、帯状の板材を加工して本体部20と後耳保持部22とが一体に形成されており、本体部20の前端部には、折り曲げ自在な金属製の薄板により構成されている別体の前耳保持部21が固着されている。樋支持部2は、適当な高さでネジ3aと蝶ナット3bとにより構成された固着具3によって接続部14に固定される。そして、軒樋5の後耳52が後耳保持部22により保持されたあと、前耳保持部21を図2(b)に示す二点鎖線の矢印方向である前耳51の内方に向けて折り曲げることで、前耳51が前耳保持部21に保持される。これにより、樋支持部2が軒樋5を保持する。
【0027】
波形屋根4は、日本工業規格(JIS)5423の住宅屋根用化粧スレートや日本工業規格5702の硬質塩化ビニル波板等により、規格が規定されている。そのため、各規格に沿って固定部10の形状が形成されれば、軒樋支持具1は各規格に沿って形成された波形屋根4に固定することができる。
【0028】
次に、軒樋支持具1の変形例について、図を参照して説明する。なお、図1,2の軒樋支持具1を第1実施形態とし、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。
図3に示す軒樋支持具1は、上片部12、接続部14、樋支持部2が第1実施形態と同様に形成されているが、下片部13が第1実施形態と異なる。下片部13は、接続部14、樋支持部2と幅寸法が略同じに形成されている。そのため、下片部13は、波形屋根4の山部41に沿った形状となっており、谷部42に沿う部分がない形状となっている。上片部12は、第1実施形態と同様に、山部41と山部41の両隣に隣接する谷部42,42との形状に沿うように形成されている。そのため、軒樋支持具1が波形屋根4に固定されても、上述の形状に形成された上片部12により、波形屋根4にかかる応力が分散される。
【0029】
次に、図4に示す軒樋支持具1について説明する。
図4の軒樋支持具1の固定部10は、下片部13の後端部13bと上片部12との間に形成されている挿入口10bの上下間の幅が波形屋根4の厚みよりも小さく形成されている。そして、固定部10は、先端部11を支点にして、上片部12、下片部13が上下に開くようにバネ性を有するように構成されている。
【0030】
図4の軒樋支持具1を波形屋根4に取り付ける際には、挿入口10bが波形屋根4の前端部に接触した状態で、軒樋支持具1を後方に押し込むと、固定部10は先端部11を支点にして上下に開き、波形屋根4が固定部10内に挿入される。先端部11を支点にして上下に開いた固定部10は、初期状態に戻ろうと上下に閉じる力が働くので、上片部12と下片部13とにより、波形屋根4が締め付けられるので、軒樋支持具1は波形屋根4に強固に固定される。
【0031】
さらに、軒樋支持具1は、図4に示すように、上片部12と下片部13との対向面のそれぞれに向き合うように突出した半球状の突部15A,15Bが複数形成されていてもよい。突部15A,15Bが形成されることにより、固定部10はより強固に波形屋根4に固定される。突部15A,15Bが形成される方法は特に限定されることはないが、例えば上片部12の上面や、下片部13の下面から内方に向けて凹ませることで、半球状の突部15A,15Bが形成されてもよい。また、突部15A,15Bは半球状に形成されることに限定されることはなく、種々の形状が選択されてよい。
【0032】
上述した各軒樋支持具1の固定部10は、上片部12と下片部13とが一体に形成されているが、上片部12と下片部13とがそれぞれ別体に形成されてもよい。別体で形成された上片部12と下片部13とは、ボルト等の固着具や、上片部12と下片部13とに形成された連結構造等によって連結される。また、その一例として、図5,6の各軒樋支持具1について説明する。
【0033】
図5(a)の軒樋支持具1は、上片部12と下片部13とは、それぞれ別体に形成されており、上片部12と下片部13との各前端部から、幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝16Aa,16Baを有した連結部16A,16Bがそれぞれ形成されており、切り溝16Aa,16Ba同士の差し込みにて交差重合する連結構造とされている。切り溝16Aa,16Ba同士で連結した部位を支点Aとして、支点Aの前側に、開閉自在な2片よりなる操作部17が配されている。以下、詳しく説明する。
【0034】
図5(a)の軒樋支持具1は、上述した各軒樋支持具と異なり、固定部10が一体に形成されておらず、上片部12と下片部13とが別体に形成されている。上片部12は、上述した各実施形態と同様に、波形屋根4に沿った形状に形成されている。上片部12は、下片部13との対向面である下面に、突部15Aが前後方向に連続して複数形成されている。上片部12の前端部中央部から下方に延びて形成された連結部16A(図4の軒樋支持具1の先端部11に相当する部材)が形成され、その連結部16Aの下端部から前方に下り傾斜して延出した下操作片部17Aが形成されている。連結部16Aと下操作片部17Aとは、帯状に形成されており、その幅寸法は、下片部13と後述する上操作片部17Bと略同寸法である。連結部16Aの下部には、幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝16Aaが形成されている。そして、下操作片部17Aには、ボルト3Aが挿通される挿通孔17Aaが形成されている。
【0035】
下片部13は、接続部14、樋支持部2と幅寸法が略同じに形成され、下片部13は、波形屋根4の山部41に沿った形状となっており、谷部42に沿う部分がない形状となっている。下片部13は、上片部12との対向面である上面の幅方向の両端に、突部15Bが前後方向に連続して複数形成されている。突部15Bの前方には、下片部13の前端部に連続して、幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝16Baを有する連結部16Bが形成されている。連結部16Bの前端部から下り傾斜して延出している上操作片部17Bが形成されている。上操作片部17Bは、ボルト3Aが挿通される挿通孔17Baが形成されている。接続部14、下片部13、連結部16B,上操作片部17Bは、帯状の板材によって一体に形成されている。
【0036】
連結部16Aの切り溝16Aaと連結部16Bの切り溝16Baとが、相互に挿し込まれることで、上片部12と下片部13とは、切り溝16Aa,16Ba同士で連結した部位を支点Aとして、回動が可能なように連結される。このとき上片部12の下操作片部17Aが、下片部13の上操作片部17Bの下方に配されることで、開閉自在な2片(上操作片部17Bと下操作片部17A)よりなる操作部17が構成される。
【0037】
上片部12,下片部13間に波形屋根4の前端部が配された状態で、操作部17が閉じることで、固定部10が閉じて波形屋根4の前端部を挟持する。この状態では、上操作片部17Bと下操作片部17Aとは、略平行に近接し閉じた状態となっている。この状態で、上操作片部17Bの上方よりボルト3Aを、挿通孔17Baを介して下操作片部17Aの挿通孔17Aaに螺着することで、上片部12の突部15Aは波形屋根4に食い込み、かつ下片部13の突部15Bは波形屋根4の下面に食い込み、軒樋支持具1は固定状態となる(図5(b)参照)。
【0038】
次に図6の軒樋支持具1について説明する。
図6の軒樋支持具1は、下片部13以外は、図5の軒樋支持具1と略同様に構成されている。図6の軒樋支持具1の下片部13は、第1実施形態の軒樋支持具1と略同様に、波形屋根4の頂部である山部41と山部41の幅方向両側に隣接する谷部42,42との形状に沿うように形成されている。そして、下片部13の前端部中央部から前方に突出して帯状の連結部16Bと連結部16Bの前端部から下り傾斜して延出している上操作片部17Bが形成されている。連結部16Bは図5の軒樋支持具1と同様に切り溝16Baが形成され、上操作片部17Bも図5の軒樋支持具1と同様に挿通孔17Baが形成されている。上片部12と下片部13との連結方法および固定部10の波形屋根4への固定方法は、図5の軒樋支持具1と同様である。なお、上片部12と下片部13との連結方法は、ボルト3Aに限定されることはなく、種々の方法で連結されてよい。例えば、下操作片部17Aと上操作片部17Bとがリベットで遊びをもって連結され、上片部12,下片部13間に波形屋根4の前端部が配された状態で操作部17が閉じた状態で固定するロック手段を有するものでもよい。
【0039】
各軒樋支持具1の構成は上述したものに限定されることはない。例えば、上述した上片部12は1つの山部41と2つの谷部42,42に沿った形状であるが、1つの山部41と1つの谷部42に沿った形状であってもよい。また、2つの山部41,41と1つの谷部42に沿った形状等、様々な形状に形成されてよい。そして、下片部13も同様に形成されてもよい。また、各実施形態においては、固定部10に突片13aや突部15A,15Bが適宜形成されてよい。さらに、上述した各樋支持部2は、山部41と上下方向に重なるように構成されているが、これに限定されることはない。そして、軒樋支持具1を構成する材料は、上述のものに限定されることはなく、他の金属材料や樹脂材料等であってもよい。また、樋支持部2が軒樋5を吊り支持する吊り具であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 軒樋支持具
10 固定部
12 上片部
13 下片部
15A,15B 突部
16A,16B 連結部
16Aa,16Ba 切り溝
17 操作部
2 樋支持部
4 波形屋根
41 山部
42 谷部
5 軒樋
A 支点
図1
図2
図3
図4
図5
図6