【解決手段】ヘッドカバー14及びロッドカバー16に、流量コントローラ26、26Aを内蔵したエアシリンダ10であり、排気エアをパイロットエアとして流量コントローラ26、26Aの切換弁28、28Aに導くパイロットエア調整部40、40Aを備え、切換弁28、28Aは、パイロットエアの圧力の上昇によって切り換わる。
請求項2記載のエアシリンダであって、前記主流路は第3絞弁を有し、前記迂回流路は前記切換弁及び前記第3絞弁を迂回して前記ポートと前記シリンダ室とを繋ぐ、エアシリンダ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1A及び
図1Bに示すように、エアシリンダ10は、自動設備ライン等に使用される複動型のシリンダである。エアシリンダ10は、円筒側のシリンダチューブ12と、シリンダチューブ12のヘッド側端部を封止するヘッドカバー14と、シリンダチューブ12のロッド側端部を封止するロッドカバー16とを備えている。シリンダチューブ12、ヘッドカバー14及びロッドカバー16は、複数の連結ロッド22及び連結ボルト24によって軸方向に連結されている。ヘッドカバー14には、ヘッド側ポート14aが形成されており、ロッドカバー16にはロッド側ポート16aが形成されている。ロッドカバー16からは、ピストンロッド20が突出して延び出ている。
【0015】
シリンダチューブ12の内部には、
図2に示すように、シリンダ室12cを摺動するピストン18と、ピストン18に連結されたピストンロッド20とが設けられている。ピストン18のヘッド側のヘッド側圧力室12aには、ヘッド側の流量コントローラ26が接続され、ロッド側のロッド側圧力室12bにはロッド側の流量コントローラ26Aが接続されている。ヘッド側の流量コントローラ26は、ヘッドカバー14に内蔵されており、ヘッド側ポート14aは流量コントローラ26を介してヘッド側圧力室12aに接続されている。また、ロッド側の流量コントローラ26Aは、ロッドカバー16に内蔵されており、ロッド側ポート16aは流量コントローラ26Aを介してロッド側圧力室12bに接続されている。
【0016】
ヘッド側の流量コントローラ26は、ヘッド側ポート14aに連通する主流路30と、主流路30に並列に設けられた副流路32と、ヘッド側圧力室12aに連通するシリンダ流路33と、主流路30とシリンダ流路33とを繋ぐ迂回流路34とを含む。副流路32には、排気エアの流量を可変に規制する第1絞弁38と、第1絞弁38を通過した排気エアを排出する排気口39とが設けられている。主流路30には、排気エアの流量を可変に規制する第3絞弁44が設けられている。第1絞弁38及び第3絞弁44は、排気エアの流量を規制することで、ピストン18の動作速度を制限する。第1絞弁38は、第3絞弁44よりも排気エアの流量を強く絞るように構成されている。
【0017】
主流路30及び副流路32とシリンダ流路33との間には切換弁28が設けられている。切換弁28は、パイロットエアによって動作する三方弁であり、主流路30と、副流路32と、シリンダ流路33と、に接続されている。切換弁28は、図示の第1位置において、シリンダ流路33に主流路30を接続し、第2位置に切り換わることで、シリンダ流路33を副流路32に接続する。切換弁28は、復帰バネ28aの弾発力により、第1位置に付勢されるとともに、パイロットエアの圧力が増加すると第2位置に切り換わる。
【0018】
迂回流路34は、一端がヘッド側ポート14a付近の主流路30に接続され、他端がシリンダ流路33に接続されており、第3絞弁44及び切換弁28を迂回して、主流路30とシリンダ流路33とを接続している。迂回流路34には、第1入口42a、第2入口42b及び出口42cを有するシャトル弁42が設けられている。シャトル弁42の第1入口42aには迂回流路34の第1部分34aが接続され、第2入口42bにはパイロットエア流路36が接続され、出口42cには、迂回流路34の第2部分34bが接続されている。なお、迂回流路34の第1部分34aは主流路30に連通した部分であり、第2部分34bはシリンダ流路33に連通した部分である。パイロットエア流路36は、パイロットエア調整部40を介して切換弁28に接続されている。
【0019】
シャトル弁42は、主流路30の圧力がシリンダ流路33の圧力よりも高くなると、第2入口42bを塞ぐとともに、第1入口42aと出口42cとを連通させ、迂回流路34を開通させて、主流路30の高圧エアをシリンダ流路33に導く。また、シャトル弁42は、シリンダ流路33の圧力が主流路30の圧力よりも高くなると、第1入口42aを塞ぐとともに、第2入口42bと出口42cとを連通させ、シリンダ流路33の排気エアをパイロットエアとして切換弁28に導く。
【0020】
パイロットエア調整部40は、パイロットエア流路36に設けられており、第2絞弁40aと、その第2絞弁40aに並列に接続されたチェック弁40bとを備えている。第2絞弁40a及びチェック弁40bの下流側は、切換弁28の後述するピストン部54側に接続されている。第2絞弁40aは、パイロットエアを所定流量で切換弁28に供給し、所定のタイミングで切換弁28を第2位置に変位させる。チェック弁40bは、切換弁28からシャトル弁42に向かう方向にパイロットエアを流す向きに接続されており、切換弁28を第1位置に復帰させる際に、切換弁28のパイロットエアを素早く排出させる。
【0021】
ヘッドカバー14に内蔵されるヘッド側の流量コントローラ26は、以上のような回路構成となっている。また、ロッドカバー16に内蔵されるロッド側の流量コントローラ26Aは、ヘッド側の流量コントローラ26と実質的に同様の回路構成となっているため、ヘッド側の流量コントローラ26と同一の構成については同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。但し、ロッド側の流量コントローラ26Aの切換弁28、主流路30、副流路32、シリンダ流路33、迂回流路34、パイロットエア調整部40、及びシャトル弁42に対しては、各々参照番号にAを付して区別して示す。
【0022】
次に、エアシリンダ10を駆動する駆動装置76について説明する。エアシリンダ10は、ヘッド側ポート14aとロッド側ポート16aとに接続される駆動装置76によって駆動される。駆動装置76は、動作切換弁80と、高圧エアを供給する高圧エア供給源86と、エアシリンダ10から排出される排気エアの排出を行う排気口88とを備えている。動作切換弁80は、電気的に高圧エアの接続先を切り換える5ポート弁であり、第1ポート81〜第5ポート85を備える。第1ポート81は、配管78を介してヘッド側ポート14aに接続し、第2ポート82は配管78Aを介してロッド側ポート16aに接続する。第3ポート83及び第5ポート85は排気口88に接続し、第4ポート84は高圧エア供給源86に接続している。
【0023】
動作切換弁80は、
図2に示す第1位置においては、第1ポート81と第4ポート84とを連通させるとともに、第2ポート82と第5ポート85とを連通させる。このようにして、動作切換弁80は、高圧エア供給源86をヘッド側ポート14aに連通させ、ロッド側ポート16aを排気口88に連通させて、作動ストロークを行う。
【0024】
また、動作切換弁80は、第2位置においては、第1ポート81と第3ポート83とを連通させるとともに、第2ポート82と第4ポート84とを連通させる。このようにして、動作切換弁80は、ロッド側ポート16aに高圧エア供給源86を接続し、ヘッド側ポート14aに排気口88を接続させて、復帰ストロークを行う。
【0025】
エアシリンダ10及びその駆動装置76の回路構成は以上のように構成され、以下、流量コントローラ26を内蔵したヘッドカバー14及びロッドカバー16の具体的な構造について説明する。
【0026】
図1A及び
図1Bに示すように、ヘッドカバー14は、軸方向に垂直な端面45aが矩形状に形成された箱型の本体部45を有する。本体部45の上面45bには、ヘッド側ポート14aとともに、複数の弁孔45gが設けられている。これらの弁孔45gに、第1絞弁38(排気口39)、パイロットエア調整部40、シャトル弁42、及び第3絞弁44が設けられている。本体部45の端面45aの四隅には、連結ロッド22及び連結ボルト24を装着するための連結孔22aが形成されている。
【0027】
図1A及び
図1Bに示すように、本体部45の第1側面45c及び第2側面45dには、切換弁28を形成するための切換弁設置孔46が開口している。切換弁設置孔46は、本体部45の中心よりも上面45b寄りの部分に設けられており、
図4Bに示すように、切換弁設置孔46は、第1側面45c側から第2側面45d側に貫通して形成されている。
【0028】
図3A及び
図3Bに示すように、主流路30は、ヘッド側ポート14aから切換弁設置孔46に向けて延びて形成されており、その主流路30の途上に第3絞弁44が設けられている。第1絞弁38及び排気口39は、これらが一体化された排気絞弁として構成され、切換弁設置孔46の上方に設けられている。
図3Bに示すように、副流路32は、切換弁設置孔46の上部から第1絞弁38及び排気口39に向けて上方に延びて形成されている。
【0029】
図3Aに示すように、迂回流路34の第1部分34aは、一端がヘッド側ポート14aに開口し、他端が第1側面45c側に向けて延びてシャトル弁42に連通する。また、迂回流路34の第2部分34bはシャトル弁42からシリンダチューブ12に向けて延びてヘッド側圧力室12aに連通する。
【0030】
図4Aに示すように、シャトル弁42が設けられる弁孔45gは、一定の内径で下方に向けて延びる流路部材収容部70と、流路部材収容部70の下端に形成された傾斜部72とを備える。傾斜部72は、下方に向けて縮径するように傾斜しており、傾斜部72の下端には迂回流路34の第1部分34aが開口した第1入口42aが形成されている。流路部材収容部70の側部には、出口42cとして迂回流路34の第2部分34bが開口するとともに、第2入口42bとしてパイロットエア流路36が開口している。第2入口42bは、出口42cよりも上方に設けられている。
【0031】
シャトル弁42は、流路部材収容部70に挿入された流路部材43及び弁体74を備える。流路部材43は、流路部材収容部70よりも小径に形成された円筒状の部材であり、内部に分岐流路43aを備える。分岐流路43aの上端は鋼球43dによって封止され、分岐流路43aの下端は出口42c付近で流路部材収容部70内に開口している。分岐流路43aの第2入口42bの近傍には、径方向に貫通する通気孔43eが形成されており、この通気孔43eを介して分岐流路43aと第2入口42bとが連通する。流路部材43の上端は、流路部材収容部70の内径と略同じ外径に形成されており、流路部材収容部70と密着して流路部材43が流路部材収容部70に固定されている。また、流路部材43の外側部であって、第2入口42bと出口42cとの間の部分には、径方向外方に突出して流路部材収容部70に密着する仕切部43bが設けられている。仕切部43bには、Oリング等よりなるシール部材が設けられており、流路部材43の外側において、第2入口42bと出口42cとを気密に仕切る。
【0032】
弁体74は、弾性部材よりなり、下方に向けて凸の略円錐の板状の部材であり、断面が略V字型となっている。弁体74の外径は流路部材収容部70の内径よりも小さく形成されており、流路部材収容部70の内部で上下方向に変位可能に配置されている。弁体74の下側は、傾斜部72に面接触して密着可能な傾斜面で構成されている。また、弁体74の上端中央部には、円錐状の突起部75が形成されている。突起部75は、弁体74が上方に変位した際に分岐流路43aに挿入されて分岐流路43aを気密に封止する。
【0033】
弁体74は、
図4Aの位置においては、下側が傾斜部72に密着して、第1入口42aと出口42cとを気密に封止するとともに、第2入口42bと出口42cとを連通させる。弁体74は、第1入口42a側の圧力が出口42c側の圧力よりも高くなると、
図5Aのように上方に変位する。この状態では、弁体74が分岐流路43aを閉塞して第2入口42bと出口42cとの連通を阻止するとともに、第1入口42aと出口42cとを連通させる。すなわち、弁体74は迂回流路34の第1部分34aと第2部分34bとを連通させる。
【0034】
図4Aに示すように、パイロットエア調整部40は、シャトル弁42の第1側面45c側に隣接して配置されている。パイロットエア調整部40は、第2絞弁40aとチェック弁40bとが一体化したチェック弁付き絞弁として構成されている。パイロットエア流路36は、シャトル弁42とパイロットエア調整部40との間及びパイロットエア調整部40と切換弁設置孔46との間に形成されている。
【0035】
パイロットエア流路36の端部は、
図4Bに示すように、第1キャップ48aの近傍で切換弁設置孔46に開口している。
図3Aに示すように、シリンダ流路33の一方の端部は、主流路30と副流路32(
図4B参照)との間の部位で切換弁設置孔46に開口している。
図3Bに示すように、シリンダ流路33は、切換弁設置孔46からシリンダチューブ12に向けて延び、シリンダ流路33の他方の端部はヘッド側圧力室12aに開口する。
【0036】
図4Bに示すように、切換弁28は、切換弁設置孔46に設けられた円筒状のスプールガイド部材52と、スプールガイド部材52の内部を摺動するスプール50とを備えたスプール弁として構成されている。切換弁設置孔46は、略一定の直径で形成された貫通孔として形成され、第1側面45c側の端部は第1キャップ48aで封止され、第2側面45d側の端部は第2キャップ48bで封止されている。キャップ48a、48bは抜け止めクリップ49によって切換弁設置孔46に固定されている。キャップ48a、48bの間の切換弁設置孔46にスプールガイド部材52が設けられている。
【0037】
スプールガイド部材52は、切換弁設置孔46に密着する外周部52aと、スプール50が挿通する内周部52bとを有している。スプールガイド部材52には、外周部52a及び内周部52bを周方向に溝状に切り欠いてなる第1連通溝53a〜第3連通溝53cが形成されている。第1連通溝53aは、第2側面45d側に形成されて主流路30と連通する。第2連通溝53bは、第1側面45c側に形成されて副流路32と連通し、第3連通溝53cは第1連通溝53aと第2連通溝53bとの間に形成されてシリンダ流路33と連通する。第1連通溝53a〜第3連通溝53cの各々には、周方向の複数個所に通気口53a1、53b1、53c1が設けられており、外周部52a側と内周部52b側とが連通している。
【0038】
スプール50は、スプールガイド部材52と第1キャップ48aとの間に収容されるピストン部54と、スプールガイド部材52の内周部52bに挿入されるスプール部56とを備える。ピストン部54は、スプール部56よりも大きな直径を有しており、その外周にパッキン66が装着されている。ピストン部54は、スプールガイド部材52と第1キャップ48aとの間のスペースを、第1キャップ48a側の空室46aとスプールガイド部材52側の空室46bとに仕切る。空室46aは、パイロットエア流路36に連通している。また、空室46bは、エア抜き孔69に連通している。また、空室46bには、ピストン部54を第1キャップ48a側に付勢する復帰バネ28aが配置されている。
【0039】
スプール部56は、ピストン部54と一体的に形成されるとともに、スプールガイド部材52側に向けて延在している。スプール部56は、軸方向の両端部に形成されたガイド端部56a、56bを備える。ガイド端部56a、56bは、スプールガイド部材52の内周部52bの内径よりも僅かに小さい外径に形成され、スプール50の軸方向の移動を案内する。また、ガイド端部56a、56bには、軸方向に沿ったエアの漏洩を防止するべく、それぞれパッキン68が設けられている。ガイド端部56a、56bの間には、第1封止壁62及び第2封止壁64が設けられている。
【0040】
第1封止壁62は、スプールガイド部材52の内周部52bよりも僅かに小さい外径に形成され、その外周部分にパッキン68を備える。第1封止壁62は、
図4Bに示す第1位置において、第2連通溝53bと第3連通溝53cとの間に位置してこれらの連通を阻止する位置に形成されている。
【0041】
第2封止壁64は、第1封止壁62と同等の外径に形成され、その外周部分にパッキン68を備える。第2封止壁64は、
図6Bに示す第2位置において、第1連通溝53aと第3連通溝53cとの間に位置してこれらの連通を阻止する位置に形成されている。
【0042】
また、スプール部56には、周方向の全域に亘って溝状に切り欠かれた凹部58a、58b、58cが形成されている。凹部58aは、ガイド端部56aと第2封止壁64との間に形成され、凹部58bは第1封止壁62と第2封止壁64との間に形成され、凹部58cは第1封止壁62とガイド端部56bとの間に形成されている。凹部58a、58b、58cは、スプール部56とスプールガイド部材52との間に大きな断面積のエア流路を形成することで、高圧エア又は排気エアの通過を容易にする。
【0043】
ヘッドカバー14は以上のように構成される。また、ロッドカバー16は、
図1Aに示すように、ピストンロッド20が挿通する挿通孔47を有している以外は、ヘッドカバー14と実質的に同様の構造となっているため、ロッドカバー16と同一の構成については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。但し、ヘッド側の流量コントローラ26の主流路30、副流路32、シリンダ流路33、迂回流路34、切換弁28、パイロットエア調整部40、及びシャトル弁42に対しては、各々参照番号にAを付して区別して示す。
【0044】
本実施形態のエアシリンダ10は以上のように構成され、以下エアシリンダ10の作用について、その動作とともに説明する。
【0045】
図5Aに示すように、作動ストロークでは、ヘッド側ポート14aから高圧エアが導入される。高圧エアは、主流路30及び迂回流路34に導入される。シャトル弁42は、高圧エアによって弁体74が上方に変位して第1入口42aと出口42cとが連通して、迂回流路34の第1部分34aと第2部分34bとが連通する。これにより、高圧エアは迂回流路34を通じてヘッド側圧力室12a(
図3B参照)に流入する。
【0046】
また、主流路30に導入された高圧エアは、第3絞弁44(
図3B参照)を経て、スプールガイド部材52の第1連通溝53aに流れ込む。切換弁28のスプール50は、
図5Bに示す第1位置にあり、主流路30から切換弁28に流入した高圧エアは、凹部58aを通じて第3連通溝53cに流れ込み、シリンダ流路33を通じて、ヘッド側圧力室12a(
図3B参照)に流入する。このようにして作動ストロークでは、ヘッドカバー14では、主流路30及び迂回流路34を介して高圧エアが導入される。迂回流路34は、第3絞弁44を迂回しているため、高圧エアは自由流れでヘッド側圧力室12a(
図3B参照)に導入される。
【0047】
一方、ロッドカバー16では、作動ストロークにおいて、
図2に示すように、ロッド側圧力室12bから排出された排気エアが、シリンダ流路33A及び迂回流路34Aの第2部分34bに流れ込む。第2部分34bからシャトル弁42Aに流れ込んだ排気エアは、
図4Aに示すように、弁体74を下方に変位させる。これにより、迂回流路34Aの第1部分34aと第2部分34bとが遮断される。また、排気エアの一部は、シャトル弁42Aの第2入口42b及びパイロットエア流路36を通じてパイロットエア調整部40Aに流れ込む。そして、パイロットエア調整部40Aで所定流量に絞られた排気エアがパイロットエアとしてピストン部54に隣接する空室46aに流入する。
【0048】
ロッド側の切換弁28Aは、スプール50は復帰バネ28aによって付勢されて第1位置にあるため、シリンダ流路33から切換弁28Aに流れ込んだ排気エアは、第3連通溝53c、凹部58a及び第1連通溝53aを介して主流路30Aに流れ込む。主流路30Aの第3絞弁44によって流量が規制されつつ、ロッド側ポート16aから排出される。このように、流量コントローラ26Aは、エアシリンダ10からの排気エアでピストン18の動作速度を規制するメータアウトのスピードコントローラを構成する。
【0049】
ロッドカバー16は、
図6Aに示すようにパイロットエアが流れ、ピストン18の移動に伴って徐々に空室46aのパイロットエアの圧力が増加する。そして、パイロットエアの圧力が所定値を超えると、
図6Bに示すように、ピストン部54が復帰バネ28aの弾発力に抗して第2位置に変位する。スプール50が第2位置に変位すると、第1連通溝53aと第3連通溝53cとの連通が阻止され、第3連通溝53cと第2連通溝53bとが連通する。すなわち、シリンダ流路33Aと副流路32Aとが連通する。排気エアは、凹部58cを通過して副流路32Aに流れ込み、第1絞弁38で流量が規制されつつ、排気口39から放出される。排気エアは、第1絞弁38によってより強く絞られるため、ピストン18の動作速度を減速させる。パイロットエア調整部40の絞り量を適宜調整しておくことで、ピストン18のストロークエンド付近でスプール50が第1位置から第2位置に切り換わり、ストロークエンドでのピストン18の衝撃が緩和される。
【0050】
その後、ピストン18が停止すると、排気エアの流入が停止し、切換弁28Aのパイロットエアがパイロットエア調整部40Aのチェック弁40bを通じて排出される。そして、切換弁28Aのスプール50が復帰バネ28aの弾発力によって第1位置に復帰する。
【0051】
以上により、エアシリンダ10の作動ストロークの動作が完了する。動作切換弁80が第1位置から第2位置に切り換わることで、復帰ストロークが開始される。復帰ストロークでは、ヘッド側の流量コントローラ26に排気エアが流れ込み、ロッド側の流量コントローラ26Aを通じて高圧エアが導入される。復帰ストロークでのエアシリンダ10の動作は、上記の作動ストロークの動作が、ヘッド側の流量コントローラ26とロッド側の流量コントローラ26Aとで入れ代わるだけであり、実質的に同様であるため、その説明は省略する。
【0052】
本実施形態のエアシリンダ10並びにヘッドカバー14及びロッドカバー16は、以下の効果を奏する。
【0053】
本実施形態のエアシリンダ10は、内部にシリンダ室12cが形成されたシリンダチューブ12と、シリンダチューブ12の一端を閉塞するヘッドカバー14と、シリンダチューブ12の他端を閉塞するロッドカバー16と、シリンダチューブ12内を摺動するピストン18と、一端がピストン18に連結されたピストンロッド20と、ヘッドカバー14及びロッドカバー16にそれぞれ設けられたポート14a、16aと、ヘッドカバー14及びロッドカバー16の少なくとも一方に内蔵された流量コントローラ26と、を備え、流量コントローラ26は、ポート14a、16aに連通した主流路30と、主流路30に並設され、主流路30よりも少ない流量にエアの流量を絞る第1絞弁38を有する副流路32と、シリンダ室12cに連通するシリンダ流路33と、主流路30と、副流路32とシリンダ流路33とに接続され、シリンダ流路33を主流路30に連通させる第1位置と、シリンダ流路33を副流路32に連通させる第2位置とに切換わる切換弁28と、シリンダ流路33の排気エアの一部をパイロットエアとして切換弁28に導くパイロットエア調整部40と、を備え、パイロットエア調整部40は、切換弁28へのパイロットエアの流入速度を規制する第2絞弁40aを有し、切換弁28は、パイロットエアの圧力の上昇によって第1位置から第2位置に切り換わる。
【0054】
本実施形態の流量コントローラ26では、排気エアの一部をパイロットエアとして用いる。パイロットエア調整部40は、切換弁28に流入するパイロットエアの流量を規制するメーターインのスピードコントローラとして機能する。パイロットエア調整部40の第2絞弁40aには、ピストン18の移動に伴って常に十分な圧力が作用し続けるため、第2絞弁40aを通過するパイロットエアの減少を防ぐことができ、切換弁28の動作タイミングを安定化させることができる。
【0055】
上記のエアシリンダ10において、流量コントローラ26は、さらに、切換弁28を迂回してポート14a、16aとシリンダ室12cとを連通させる迂回流路34と、第1入口42a、第2入口42b、及び出口42cを有し、第1入口42aに迂回流路34のポート14a、16aに連通する第1部分34aが接続され、出口42cに迂回流路34のシリンダ室12cに連通する第2部分34bが接続され、第2入口42bにパイロットエア調整部40が接続されたシャトル弁42と、を備え、シャトル弁42は、ポート14a、16aの圧力がシリンダ室12cの圧力よりも高くなると第2入口42bを閉塞して第1入口42aと出口42cを連通させ、シリンダ室12cの圧力がポート14a、16aの圧力よりも高くなると第1入口42aを閉塞して第2入口42bと出口42cとを連通させるように構成してもよい。このように構成することで、迂回流路34は、排気エアをパイロットエア調整部40に導く排気流路として機能するとともに、高圧エアの導入流路となる。これにより、流量コントローラ26の切換動作の安定化と、エアシリンダ10の動作速度の向上とを両立できる。
【0056】
上記のエアシリンダ10において、切換弁28は、ヘッドカバー14又はロッドカバー16の本体部45に形成された切換弁設置孔46と、切換弁設置孔46の内周面に沿って配設されたスプールガイド部材52と、スプールガイド部材52の内周部52bを挿通するスプール50と、切換弁設置孔46の内部に設置されスプール50を第1位置に付勢する復帰バネ28aと、を有し、スプール50は、スプールガイド部材52の内周部52bを摺動して流路の接続先を切り換えるスプール部56と、パイロットエアの圧力を受けて第2位置に向けて付勢されるピストン部54とを有してもよい。このように構成することで、ヘッドカバー14又はロッドカバー16の本体部45の内部に、切換弁28を含む流量コントローラ26をコンパクトに内蔵できる。
【0057】
上記のエアシリンダ10において、主流路30は第3絞弁44を有し、迂回流路34は切換弁28及び第3絞弁44を迂回してポート14a、16aとシリンダ室12cとを繋ぐようにしてもよい。このように構成すると、高圧エアは、第3絞弁44を迂回する迂回流路34を通じてシリンダ室12cに流入するため、エアシリンダ10の動作速度を向上させることができる。
【0058】
上記のエアシリンダ10において、切換弁設置孔46はシリンダチューブ12の軸方向と直交する方向に延びて形成されていてもよい。これにより、エアシリンダ10のシリンダチューブ12の軸方向の寸法を小型化できる。
【0059】
本実施形態のヘッドカバー14は、シリンダチューブ12のヘッド側の端部を覆うエアシリンダ10のヘッドカバー14であって、ポート14aと、ポート14aに連通した主流路30と、主流路30に並設され、主流路30よりも少ない流量にエアの流量を絞る第1絞弁38を有する副流路32と、シリンダ室12cに連通するシリンダ流路33と、主流路30、副流路32及びシリンダ流路33に接続され、シリンダ流路33と主流路30とを連通させる第1位置と、シリンダ流路33と副流路32とを連通させる第2位置とに切換わる切換弁28と、シリンダ室12cの排気エアをパイロットエアとして切換弁28に導くパイロットエア調整部40と、を備え、パイロットエア調整部40は切換弁28へのパイロットエアの流入速度を規制する第2絞弁40aを有し、切換弁28は、パイロットエアの圧力の増加によって、第1位置から第2位置に切り換わる。
【0060】
上記のヘッドカバー14によれば、切換弁28の切換動作のタイミングを安定化できるとともに、エアシリンダ10の駆動装置76の装置構成を簡素化できる。
【0061】
本実施形態のロッドカバー16は、シリンダチューブ12のロッド側の端部を覆うエアシリンダ10のロッドカバー16であって、ピストンロッド20が挿通する挿通孔47と、ポート16aと、ポート16aに連通した主流路30Aと、主流路30Aに並設され、主流路30Aよりも少ない流量にエアの流量を絞る第1絞弁38を有する副流路32Aと、シリンダ室12cに連通するシリンダ流路33Aと、主流路30A、副流路32A及びシリンダ流路33Aに接続され、シリンダ流路33Aと主流路30Aとを連通させる第1位置と、シリンダ流路33Aと副流路32Aとを連通させる第2位置とに切換わる切換弁28Aと、シリンダ室12cの排気エアをパイロットエアとして切換弁28Aに導くパイロットエア調整部40Aと、を備え、パイロットエア調整部40Aは切換弁28Aへのパイロットエアの流入速度を規制する第2絞弁40aを有し、切換弁28Aは、パイロットエアの圧力の増加によって、第1位置から第2位置に切り換わる。
【0062】
上記のロッドカバー16によれば、切換弁28Aの切換動作のタイミングを安定化できるとともに、エアシリンダ10の駆動装置76の装置構成を簡素化できる。
【0063】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。