【解決手段】動作切換弁38とエアシリンダ30との間に接続され、エアシリンダ30のシリンダ室24にエアを給排する第1流路12と、第1流路12に設けられた第1流量調整部16と、第1流路12に並設された第2流路14と、第2流路14の途上に設けられたパイロットチェック弁20と、第2流路14の途上にパイロットチェック弁20と直列に接続された第2流量調整部18と、一端が動作切換弁38に連通し、他端がパイロットチェック弁20のパイロットポート20cに接続されたパイロットエア流路21と、パイロットエア流路21に設けられた第3流量調整部22と、を備える流量コントローラ10が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1に示すエアシリンダ30は、自動設備ライン等に使用される複動型のシリンダであり、一対の流量コントローラ10、10A、動作切換弁38、高圧エア供給源46及び排気口48を備えた駆動装置40によって駆動される。
【0013】
エアシリンダ30は、シリンダ室24を仕切るピストン26と、ピストン26に連結されたピストンロッド28とを備える。シリンダ室24は、ピストン26によってヘッド側圧力室24aとロッド側圧力室24bとに仕切られている。ヘッド側圧力室24aにはヘッド側ポート32が設けられ、ロッド側圧力室24bにはロッド側ポート32Aが設けられている。
【0014】
ヘッド側ポート32には、ヘッド側の第1流路12及びヘッド側の第2流路14が接続され、ロッド側ポート32Aにはロッド側の第1流路12A及びロッド側の第2流路14Aが接続されている。これらの流路には、高圧エア供給源46と排気口48とを切り換えて繋ぐ動作切換弁38が接続されている。そして、第1流路12、12A及び第2流路14、14Aを通じて、エアシリンダ30への高圧エアの供給と、エアシリンダ30からの排気エアの排出とが行われる。
【0015】
ヘッド側の流量コントローラ10は、ヘッド側の第1流路12及びヘッド側の第2流路14を含む。第1流路12と第2流路14とは、並列に接続されている。図示の例のように、第1流路12及び第2流路14の一方の端部は、配管34にまとめられてヘッド側ポート32に接続され、第1流路12及び第2流路14の他方の端部は、配管36にまとめられて動作切換弁38に接続されている。
【0016】
第1流路12には、第1流量調整部16が設けられている。第1流量調整部16は、絞弁であり、第1流路12を通過するエアの流量を可変に調整可能となっている。一方、第2流路14には、パイロットチェック弁20と、第2流量調整部18とが設けられている。
【0017】
パイロットチェック弁20は、入口ポート20aと、出口ポート20bと、パイロットポート20cとを有している。入口ポート20aは、第2流路14の動作切換弁38側の第1部分14aに接続され、出口ポート20bは第2流路14のエアシリンダ30側の第2部分14bに接続し、パイロットポート20cは後述するパイロットエア流路21に接続する。パイロットチェック弁20は、パイロットエアの圧力が所定値未満の場合には、入口ポート20aから出口ポート20bに向かう流れのエアを通過させるとともに、その逆向きの流れのエアを阻止する。また、パイロットチェック弁20は、パイロットエアの圧力が所定値以上になると、入口ポート20aから出口ポート20bに向かう流れのエア及びその逆向きの流れのエアを通過させる。
【0018】
第2流量調整部18は、パイロットチェック弁20と直列に接続されている。図示の例では、第2流路14の第1部分14a(パイロットチェック弁20の動作切換弁38側)に接続されているが、これに限定されるものではなく、第2流路14の第2部分14b(パイロットチェック弁20のエアシリンダ30側)に接続されていてもよい。第2流量調整部18は、第2絞弁18aと、第2絞弁18aに並設されたチェック弁18bとを備える。チェック弁18bは、エアシリンダ30側に向かう流れのエアを通過させ、その逆向きのエアを阻止する向きに接続されている。動作切換弁38に向かう流れのエアは、第2絞弁18aによって可変に調整可能となっている。なお、第2流量調整部18は、第2絞弁18aとチェック弁18bとが一体化されたチェック弁付き絞弁で構成してもよい。
【0019】
また、ヘッド側の流量コントローラ10は、さらに、パイロットチェック弁20のパイロットエアの給排を行うパイロットエア流路21と、第3流量調整部22を備えている。パイロットエア流路21は、一方の端部が動作切換弁38に連通し、他方の端部がパイロットチェック弁20のパイロットポート20cに接続されている。第3流量調整部22は、パイロットエア流路21の途上に設けられており、第3絞弁22aと第3絞弁22aに並設されたチェック弁22bとを備える。チェック弁22bは、パイロットチェック弁20に向かう流れのエアを通過させ、その逆向きのエアを阻止する向きに接続されている。第3絞弁22aは、パイロットチェック弁20から排出されるパイロットエアの流量を可変に調整可能とする。なお、第3流量調整部22は、第3絞弁22aとチェック弁22bとが一体化されたチェック弁付き絞弁で構成してもよい。
【0020】
以上のように構成されたヘッド側の流量コントローラ10に対し、ロッド側の流量コントローラ10Aは、ロッド側ポート32Aと動作切換弁38との間の管路上に配置されている。ロッド側の流量コントローラ10Aは、ヘッド側の流量コントローラ10と実質的に同一に構成されるため、ヘッド側の流量コントローラ10の構成要素と同一の構成要素には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。但し、ヘッド側の流量コントローラ10の第1流路12、第2流路14、及びパイロットエア流路21に対しては、ロッド側の流量コントローラ10A側では、各々の参照符号の末尾にAを付して区別して示されている。
【0021】
次に、ヘッド側及びロッド側の流量コントローラ10、10Aに接続される動作切換弁38について説明する。動作切換弁38は、電気的に高圧エアの流路を切り換える5ポート弁であり、第1ポート41〜第5ポート45を備える。第1ポート41は、ヘッド側の流量コントローラ10の第1流路12及び第2流路14に接続する。第2ポート42は、ロッド側の流量コントローラ10Aの第1流路12A及び第2流路14Aに接続する。第3ポート43及び第5ポート45は、排気口48に接続する。第4ポート44は、高圧エアを供給する高圧エア供給源46に接続する。
【0022】
動作切換弁38は、
図1及び
図2に示す第1位置においては、第1ポート41と第4ポート44を連通させるとともに、第2ポート42と第5ポート45とを連通させる。すなわち、動作切換弁38は、第1位置において、ヘッド側の流量コントローラ10に高圧エア供給源46を繋ぎ、ロッド側の流量コントローラ10Aに排気口48を繋ぎ、エアシリンダ30に作動ストロークを行わせる。
【0023】
また、動作切換弁38は、
図3に示す第2位置においては、第1ポート41と第3ポート43とを連通させ、第2ポート42と第4ポート44とを連通させる。すなわち、動作切換弁38は、第2位置において、ヘッド側の流量コントローラ10を排気口48に繋ぎ、ロッド側の流量コントローラ10Aを高圧エア供給源46に繋ぎ、エアシリンダ30に復帰ストロークを行わせる。
【0024】
本実施形態の流量コントローラ10、10A及び駆動装置40は以上のように構成され、以下その作用について説明する。
【0025】
図1に示すように、作動ストロークでは、動作切換弁38の第4ポート44と第1ポート41とが連通されて、高圧エア供給源46の高圧エアがヘッド側の流量コントローラ10に供給される。高圧エアは、配管36を矢印Aに示すように、エアシリンダ30に向けて流れる。そして、第1流路12を流れる高圧エアA1と、第2流路14を流れる高圧エアA2とに分岐する。
【0026】
第1流路12の高圧エアA1は、第1流量調整部16によって絞られた所定の流量で流れる。一方、第2流路14の高圧エアA2は、第2流量調整部18に向かう。第2流量調整部18のチェック弁18bは、高圧エアA2を通過させる向きに接続されているため、高圧エアA2は、主にチェック弁18bを通ってパイロットチェック弁20に向かう。パイロットチェック弁20は、高圧エアA2を通過させる向きに接続されているため、高圧エアA2はパイロットチェック弁20を通過して、エアシリンダ30に向けて流れる。このように、高圧エアA2は、第2流路14を、絞弁で絞られない自由流れとして流れる。
【0027】
そして、エアシリンダ30のヘッド側圧力室24aには、第1流路12からの高圧エアA1と第2流路14からの高圧エアA2とが流入し、ピストン26がロッド側に向けて駆動される。
【0028】
また、作動ストロークにおいて、パイロットエア流路21には、高圧エアの一部がパイロットエアとして、矢印A3に示すように流れ込む。第3流量調整部22のチェック弁22bは、パイロットチェック弁20に向かう流れのパイロットエアを速やかに通過させてパイロットチェック弁20に供給する。これにより、パイロットチェック弁20のパイロットエアの圧力が高い値となる。
【0029】
一方、エアシリンダ30のロッド側圧力室24bからは、ロッド側ポート32Aを通じて排気エアが排出される。排気エアは、配管34Aを矢印Bのように流れ、ロッド側の流量コントローラ10Aに流れ込む。流量コントローラ10Aでは、排気エアは第1流路12A及び第2流路14Aに流れ込む。第1流路12Aに流れ込んだ排気エアB1は、第1流量調整部16で絞られた所定の流量で流れる。
【0030】
また、第2流路14Aに流れ込んだ排気エアB2は、パイロットチェック弁20に流れ込む。パイロットチェック弁20には、前回の復帰ストロークの際に蓄えられたパイロットエアが残留しており、作動ストロークの途中まで、パイロットチェック弁20のパイロットエアの圧力が所定値よりも高い値に保たれる。そのため、作動ストロークの途中まで、パイロットチェック弁20は、排気エアB2を通過させる。パイロットチェック弁20を通過した排気エアB2は、第2流量調整部18の第2絞弁18aで絞られた所定流量で、第2流路14Aを流れる。このようにして、ロッド側の流量コントローラ10Aは、第1流量調整部16を通過した排気エアB1の流量及び第2流量調整部18を通過した排気エアB2の流量の和に相当する流量の排気エアB1+B2を通過させる。
【0031】
エアシリンダ30の排気エア、第1流量調整部16及び第2流量調整部18の流量を合計した第1の制御流れで排出され、ピストン26は、第1の制御流れで規制された速度でロッド側に移動する。
【0032】
作動ストロークが行われている間、ロッド側の流量コントローラ10Aのパイロットエア流路21Aを通じて、パイロットチェック弁20のパイロットエアの排気が行われる。パイロットエアの排気は、第3流量調整部22の第3絞弁22aを通じて、徐々に行われ、パイロットエアの圧力が低下してゆく。
【0033】
図2に示すように、エアシリンダ30のピストン26がストロークエンド付近に到達するタイミングで、ロッド側のパイロットチェック弁20のパイロットエアの圧力が所定値を下回り、ロッド側のパイロットチェック弁20が第2流路14Aを閉塞して排気エアB2の通過を阻止する。
【0034】
パイロットチェック弁20が第2流路14Aを閉塞することに伴って、エアシリンダ30からは、第1流量調整部16を流れる排気エアB1のみが排出される。エアシリンダ30の排気エアは第1流量調整部16によって絞られた第2の制御流れに切り換わる。第2の制御流れは、第1の制御流れよりもより強く絞られているため、エアシリンダ30のピストン26の動作速度が低下する。これにより、ピストン26の速度が低下し、ピストン26のストロークエンド付近での衝撃が緩和される。
【0035】
その後、
図3に示すように、動作切換弁38が第2位置に切り換わり、ヘッド側の流量コントローラ10が排気口48に接続され、ロッド側の流量コントローラ10Aが高圧エア供給源46に接続される。そして、流量コントローラ10Aを通じて高圧エアがエアシリンダ30のロッド側圧力室24bに導入され、ヘッド側の流量コントローラ10を通じてヘッド側圧力室24aの排気エアの排出が行われる。これにより、ピストン26がヘッド側に移動する復帰ストロークが開始される。
【0036】
なお、復帰ストロークにおけるヘッド側の流量コントローラ10の動作は作動ストロークにおけるロッド側の流量コントローラ10Aと同様であり、復帰ストロークにおけるロッド側の流量コントローラ10Aの動作は、作動ストロークにおけるヘッド側の流量コントローラ10の動作と同様であるので、その動作の詳細な説明は省略する。復帰ストロークでは、ヘッド側の流量コントローラ10において、排気エアが第1流量調整部16及び第2流量調整部18を通過する第1の制御流れから、第1流量調整部16のみを流れる第2の制御流れへの切換が行われ、ピストン26のストロークエンドでの衝撃が緩和される。
【0037】
本実施形態の流量コントローラ10、10A及び駆動装置40は、以下の効果を奏する。
【0038】
本実施形態の流量コントローラ10、10Aは、動作切換弁38とエアシリンダ30との間に接続され、エアシリンダ30のシリンダ室24にエアを給排する第1流路12、12Aと、第1流路12、12Aに設けられた第1流量調整部16と、第1流路12、12Aに並設された第2流路14、14Aと、前記第2流路14の途上に設けられ、入口ポート20aと、出口ポート20bと、パイロットポート20cとを有し、入口ポート20aが第2流路14、14Aの動作切換弁38側の第1部分14aに接続され、出口ポート20bが第2流路14、14Aのエアシリンダ30側の第2部分14bに接続されたパイロットチェック弁20と、第2流路14、14Aの途上に設けられ、前記パイロットチェック弁20と直列に接続された第2流量調整部18と、一端が動作切換弁38に連通し、他端がパイロットチェック弁20のパイロットポート20cに接続されたパイロットエア流路21、21Aと、パイロットエア流路21、21Aに設けられた第3流量調整部22と、を備える。
【0039】
上記の構成によれば、シャトル弁やスプール弁といった複雑な構造の部品を用いることなく、簡素な装置構成で、ストロークエンド付近での衝撃を緩和できる流量コントローラ10、10Aを実現できる。
【0040】
上記の流量コントローラ10、10Aにおいて、パイロットチェック弁20は、パイロットエアの圧力が所定値未満では出口ポート20bから入口ポート20aに向かう流れのエアを阻止し、パイロットエアの圧力が所定値以上では出口ポート20bから入口ポート20aに向かう流れのエアを通過させるように構成してもよい。
【0041】
上記の流量コントローラ10、10Aにおいて、第3流量調整部22は、第3絞弁22aと、第3絞弁22aに並設されパイロットポート20cに向かう流れのエアを通過させその逆向きの流れのエアを阻止するチェック弁22bと、を備えてもよい。チェック弁22bは、高圧エアが供給された際にパイロットチェック弁20にパイロットエアを迅速に供給することができる。また、第3絞弁22aにより、パイロットエアの排出速度を可変に調整することができるため、流量コントローラ10、10Aの第1の制御流れから第2の制御流れに切り換わるタイミングの調整を容易に行うことができる。
【0042】
上記の流量コントローラ10、10Aにおいて、第2流量調整部18は、第2絞弁18aと、第2絞弁18aに並設され、エアシリンダ30に向かう流れのエアを通過させ、その逆向きの流れのエアを阻止するチェック弁18bと、を備えてもよい。上記のように構成すると、第2絞弁18aにより、第1の制御流れの流量を可変に調整することができる。また、チェック弁18bにより、高圧エアを自由流れでエアシリンダ30に供給できるので、エアシリンダ30の高速動作にも対応できて好適である。
【0043】
本実施形態の駆動装置40は、エアシリンダ30に高圧エアを供給する高圧エア供給源46と、エアシリンダ30からの排気エアを排出する排気口48と、エアシリンダ30のポートに高圧エア供給源46及び排気口48の一方を切り換えて接続する動作切換弁38と、動作切換弁38とエアシリンダ30のポートとの間に設けられた流量コントローラ10、10Aとを備えた駆動装置40であって、流量コントローラ10、10Aは、動作切換弁38とエアシリンダ30との間に接続され、エアシリンダ30のシリンダ室24にエアを給排する第1流路12、12Aと、第1流路12、12Aに設けられた第1流量調整部16と、第1流路12、12Aに並設された第2流路14、14Aと、第2流路14、14Aの途上に設けられ、入口ポート20aと、出口ポート20bと、パイロットポート20cとを有し、入口ポート20aが第2流路14、14Aの動作切換弁38側の第1部分14aに接続され、出口ポート20bが第2流路14、14Aのエアシリンダ30側の第2部分14bに接続されたパイロットチェック弁20と、第2流路14、14Aの途上に設けられ、パイロットチェック弁20と直列に接続された第2流量調整部18と、一端が動作切換弁38に連通し、他端がパイロットチェック弁20のパイロットポート20cに接続されたパイロットエア流路21、21Aと、パイロットエア流路21、21Aに設けられた第3流量調整部22と、を備える。
【0044】
上記の構成によれば、簡素な装置構成で、ストロークエンド付近での衝撃を緩和できる駆動装置40を実現できる。
【0045】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。