(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-43629(P2021-43629A)
(43)【公開日】2021年3月18日
(54)【発明の名称】端末制御プログラム、端末装置、端末制御方法および情報通信方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/048 20130101AFI20210219BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20210219BHJP
【FI】
G06F3/048
H04M1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-164421(P2019-164421)
(22)【出願日】2019年9月10日
(71)【出願人】
【識別番号】504315532
【氏名又は名称】株式会社ロゼッタ
(71)【出願人】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岸上 功一
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉野 敦子
【テーマコード(参考)】
5E555
5K127
【Fターム(参考)】
5E555AA13
5E555AA18
5E555BA01
5E555BA04
5E555BB01
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5E555BC01
5E555BC04
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5K127BA03
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5K127BB33
5K127DA12
5K127DA15
5K127GA14
(57)【要約】
【課題】より使いやすい端末装置間の通信を実現する端末制御プログラム、端末装置、端末制御方法および情報通信方法を提供する。
【解決手段】ユーザが用いる第1端末装置を、前記ユーザが用いる第2端末装置と無線通信を確立する無線通信制御手段と、前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信する送信手段と、前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記第2端末装置から送信される第2制御データを無線受信する受信手段と、前記第2制御データに応じた第2処理を行う処理手段と、として機能させる端末制御プログラムが提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが用いる第1端末装置を、
前記ユーザが用いる第2端末装置と無線通信を可能とするために、前記第2端末装置とペアリングするペアリング手段と、
前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信する送信手段と、
前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記第2端末装置から送信される第2制御データを無線受信する受信手段と、
前記第2制御データに応じた第2処理を行う処理手段と、として機能させる端末制御プログラム。
【請求項2】
前記第1制御データは、前記第1端末装置の入力インターフェースに対する前記ユーザの第1操作を示し、
前記第2制御データは、前記第2端末装置の入力インターフェースに対する前記ユーザの第2操作を示す、請求項1に記載の端末制御プログラム。
【請求項3】
前記第1操作は、第3処理を前記処理手段に行わせるための操作であり、
前記第1処理は、前記第3処理に対応し、
前記第2操作は、第4処理を前記第2端末装置に行わせるための操作であり、
前記第2処理は、前記第4処理に対応する、請求項2に記載の端末制御プログラム。
【請求項4】
前記第1処理は、前記第1端末装置によって取得された第1文字列を前記第2端末装置のディスプレイに表示させることであり、
前記第1制御データは、前記第1文字列の情報を含み、
前記第2処理は、前記第2端末装置によって取得された第2文字列を前記第1端末装置のディスプレイに表示させることであり、
前記第2制御データは、前記第2文字列の情報を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項5】
前記第1処理は、前記第1端末装置によって取得された第1画像を前記第2端末装置のディスプレイに表示させることであり、
前記第1制御データは、データ量を減らした前記第1画像の情報を含み、
前記第2処理は、前記第2端末装置によって取得された第2画像を前記第1端末装置のディスプレイに表示させることであり、
前記第2制御データは、データ量を減らした前記第2画像の情報を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項6】
前記第1制御データは、前記第1端末装置のディスプレイで行われる第1表示に関する情報を含み、
前記第1処理は、前記第2端末装置のディスプレイに前記第1表示に対応する第2表示を行わせることであり、
前記第2制御データは、前記第2端末装置のディスプレイで行われる第3表示に関する情報を含み、
前記第2処理は、前記第1端末装置のディスプレイに前記第3表示に対応する第4表示を行うことである、請求項1乃至5のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項7】
前記ペアリング手段は、ペアリングを行うために必要なデータを含む第1識別コードを前記第1端末装置のディスプレイに表示させる、請求項1乃至6のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項8】
前記ペアリング手段は、前記第2端末装置のディスプレイに表示された、ペアリングを行うために必要なデータを含む第2識別コードを読み取ることによって、前記第2端末装置とペアリングする、請求項1乃至7のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項9】
前記第1端末装置は、スマートフォンまたはタブレット端末であり、
前記第2端末装置は、ウェアラブルデバイスである、請求項1乃至8のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項10】
前記第2端末装置に比べて、操作性が高い入力インターフェースを前記第1端末装置が備える、請求項1乃至9のいずれかに記載の端末制御プログラム。
【請求項11】
ユーザが用いる端末装置であって、
前記ユーザが用いる他の端末装置と無線通信を可能とするために、前記他の端末装置とペアリングするペアリング手段と、
前記端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記他の端末装置で行わせるための第1制御データを前記他の端末装置に無線送信する送信手段と、
前記他の端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記他の端末装置から送信される第2制御データを無線受信する受信手段と、
前記第2制御データに応じた第2処理を行う処理手段と、とを備える端末装置。
【請求項12】
ユーザが用いる第1端末装置が、
前記ユーザが用いる第2端末装置と無線通信を可能とするために、前記第2端末装置とペアリングし、
前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信し、
前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記第2端末装置から送信される第2制御データを無線受信し、
前記第2制御データに応じた第2処理を行う、端末制御方法。
【請求項13】
ユーザが用いる第1端末装置と、前記ユーザが用いる第2端末装置と、を用いた情報通信方法であって、
前記第1端末装置と前記第2端末装置とが無線通信可能とするために、前記第1端末装置と前記第2端末装置とをペアリングし、
前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、前記第1端末装置が、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信し、
前記第2端末装置が、前記第1制御データを前記第1端末装置から無線受信し、
前記第2端末装置が、前記第1制御データに応じた前記第1処理を行い、
前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、前記第2端末装置が、第2処理を前記第1端末装置で行わせるための第2制御データを前記第1端末装置に無線送信し、
前記第1端末装置が、前記第2制御データを前記第2端末装置から無線受信し、
前記第1端末装置が、前記第2制御データに応じた第2処理を行う、情報通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置間で通信を行うための端末制御プログラム、端末装置、端末制御方法および情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スマートフォンによる処理結果をHMD(Head Mount Display)に表示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−36914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、スマートフォンとHMDとの間にケーブル接続の変換装置が必要であり、煩わしい。また、スマートフォンの処理結果をHMDに表示することしかできない。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、より使いやすい端末装置間の通信を実現する端末制御プログラム、端末装置、端末制御方法および情報通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ユーザが用いる第1端末装置を、前記ユーザが用いる第2端末装置と無線通信を可能とするために、前記第2端末装置とペアリングするペアリング手段と、前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信する送信手段と、前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記第2端末装置から送信される第2制御データを無線受信する受信手段と、前記第2制御データに応じた第2処理を行う処理手段と、として機能させる端末制御プログラムが提供される。
【0007】
前記第1制御データは、前記第1端末装置の入力インターフェースに対する前記ユーザの第1操作を示し、前記第2制御データは、前記第2端末装置の入力インターフェースに対する前記ユーザの第2操作を示してもよい。
【0008】
前記第1操作は、第3処理を前記処理手段に行わせるための操作であり、前記第1処理は、前記第3処理に対応し、前記第2操作は、第4処理を前記第2端末装置に行わせるための操作であり、前記第2処理は、前記第4処理に対応してもよい。
【0009】
前記第1処理は、前記第1端末装置によって取得された第1文字列を前記第2端末装置のディスプレイに表示させることであり、前記第1制御データは、前記第1文字列の情報を含み、前記第2処理は、前記第2端末装置によって取得された第2文字列を前記第1端末装置のディスプレイに表示させることであり、前記第2制御データは、前記第2文字列の情報を含んでもよい。
【0010】
前記第1処理は、前記第1端末装置によって取得された第1画像を前記第2端末装置のディスプレイに表示させることであり、前記第1制御データは、データ量を減らした前記第1画像の情報を含み、前記第2処理は、前記第2端末装置によって取得された第2画像を前記第1端末装置のディスプレイに表示させることであり、前記第2制御データは、データ量を減らした前記第2画像の情報を含んでもよい。
【0011】
前記第1制御データは、前記第1端末装置のディスプレイで行われる第1表示に関する情報を含み、前記第1処理は、前記第2端末装置のディスプレイに前記第1表示に対応する第2表示を行わせることであり、前記第2制御データは、前記第2端末装置のディスプレイで行われる第3表示に関する情報を含み、前記第2処理は、前記第1端末装置のディスプレイに前記第3表示に対応する第4表示を行うことであってもよい。
【0012】
前記ペアリング手段は、ペアリングを行うために必要なデータを含む第1識別コードを前記第1端末装置のディスプレイに表示させてもよい。
【0013】
前記ペアリング手段は、前記第2端末装置のディスプレイに表示された、ペアリングを行うために必要なデータを含む第2識別コードを読み取ることによって、前記第2端末装置とペアリングしてもよい。
【0014】
前記第1端末装置は、スマートフォンまたはタブレット端末であり、前記第2端末装置は、ウェアラブルデバイスであってもよい。
【0015】
前記第2端末装置に比べて、操作性が高い入力インターフェースを前記第1端末装置が備えてもよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、ユーザが用いる端末装置であって、前記ユーザが用いる他の端末装置と無線通信を可能とするために、前記他の端末装置とペアリングするペアリング手段と、前記端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記他の端末装置で行わせるための第1制御データを前記他の端末装置に無線送信する送信手段と、前記他の端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記他の端末装置から送信される第2制御データを無線受信する受信手段と、前記第2制御データに応じた第2処理を行う処理手段と、とを備える端末装置が提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、ユーザが用いる第1端末装置が、前記ユーザが用いる第2端末装置と無線通信を可能とするために、前記第2端末装置とペアリングし、前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信し、前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して前記第2端末装置から送信される第2制御データを無線受信し、前記第2制御データに応じた第2処理を行う、端末制御方法が提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、ユーザが用いる第1端末装置と、前記ユーザが用いる第2端末装置と、を用いた情報通信方法であって、前記第1端末装置と前記第2端末装置とが無線通信可能とするために、前記第1端末装置と前記第2端末装置とをペアリングし、前記第1端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、前記第1端末装置が、第1処理を前記第2端末装置で行わせるための第1制御データを前記第2端末装置に無線送信し、前記第2端末装置が、前記第1制御データを前記第1端末装置から無線受信し、前記第2端末装置が、前記第1制御データに応じた前記第1処理を行い、前記第2端末装置に対する前記ユーザの操作に応答して、前記第2端末装置が、第2処理を前記第1端末装置で行わせるための第2制御データを前記第1端末装置に無線送信し、前記第1端末装置が、前記第2制御データを前記第2端末装置から無線受信し、前記第1端末装置が、前記第2制御データに応じた第2処理を行う、情報通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
使いやすい端末装置間の通信が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】一実施形態に係る情報通信システムの概略構成を示す図。
【
図1B】一実施形態に係る情報通信システムの概略構成を示す図。
【
図2】情報通信システムの処理動作の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1Aおよび
図1Bは、一実施形態に係る情報通信システムの概略構成を示す図である。図示のように、情報通信システムは、モバイル端末1と、ウェアラブルデバイス2とを備えている。モバイル端末1は、スマートフォンやタブレット端末といった端末装置であり、特定のユーザが用いるものである。ウェアラブルデバイス2も同じユーザが用いることを想定した端末装置である。本実施形態では、建設現場での使用を例示すべく、ウェアラブルデバイス2はヘルメット型となっている。
【0023】
モバイル端末1は、入力インターフェース11と、出力インターフェース12と、通信部13と、制御部14とを有する。
【0024】
入力インターフェース11は、タッチパッド11a、ボタン11b、カメラ11cおよびマイク11dなどを含む。出力インターフェース12は、ディスプレイ12a、スピーカ12bなどを含む。タッチパッド11aとディスプレイ12aとが重ねられてタッチパネルを構成する。
【0025】
通信部13はアンテナや通信用ICなどから構成され、ウェアラブルデバイス2との無線通信を行う。通信手段に特に制限はないが、例えばBlutooth(登録商標)のような短距離無線通信でもよいし、WiFi(登録商標)などでもよい。
【0026】
制御部14は、ペアリング部141と、送信部142と、受信部143と、処理部144とを有する。これらの一部または全部は、モバイル端末1のプロセッサが所定のプログラムを実行することで実現されてもよいし、ハードウェアで構成されてもよい。
【0027】
ペアリング部141はウェアラブルデバイス2とのペアリングを行う。送信部142は、ウェアラブルデバイス2に所定の処理を行わせるための制御データをウェアラブルデバイス2に送信する。受信部143は制御データをウェアラブルデバイス2から受信する。処理部144は、入力インターフェース11に対する操作に応じた処理や、ウェアラブルデバイス2から受信した制御データに応じた処理を行う。制御データや処理の具体例については後述する。
【0028】
一方、ウェアラブルデバイス2は、入力インターフェース21と、出力インターフェース22と、通信部23と、制御部24とを有する。
【0029】
入力インターフェース21は、ボタン21a、カメラ21bおよびマイク21cなどを含む。出力インターフェース22は、ディスプレイ22a、スピーカ22bなどを含む。
【0030】
本実施形態では、建設現場において、技術者がモバイル端末1とウェアラブルデバイス2の両方を用いることを主に想定している。そのため、ウェアラブルデバイス2は、ヘルメットに入力インターフェース21や出力インターフェース22を設けた形態となっている(
図1A参照)。具体的には、ヘルメット着用時に技術者の視界に入る位置にディスプレイ22aが設けられ、その近傍にマイク21cも設けられる。また、ヘルメット着用時に耳の近傍の位置にボタン21aおよびスピーカ22bが設けられる。また、ヘルメット着用時に技術者の前方を撮影できる位置にカメラ21bが設けられる。
【0031】
通信部23はアンテナや通信用ICなどから構成され、モバイル端末1との無線通信を行う。
【0032】
制御部24は、ペアリング部241と、送信部242と、受信部243と、処理部244とを有する。これらの一部または全部は、ウェアラブルデバイス2のプロセッサが所定のプログラムを実行することで実現されてもよいし、ハードウェアで構成されてもよい。
【0033】
ペアリング部241はモバイル端末1とのペアリングを行う。送信部242は、モバイル端末1に所定の処理を行わせるための制御データをモバイル端末1に送信する。受信部243は制御データをモバイル端末1から受信する。処理部244は、入力インターフェース21に対する操作に応じた処理や、モバイル端末1から受信した制御データに応じた処理を行う。制御データや処理の具体例については後述する。
【0034】
モバイル端末1とウェアラブルデバイス2とを比較すると、それぞれ長所・短所がある。技術者が作業と並行して処理を行うのはウェアラブルデバイス2の方が優れている。ウェアラブルデバイス2を用いると、現場で前方とディスプレイ22aを同時に見ながら、マイク21cを用いて処理を行うことができるためである。一方、ファイル操作や文字列入力といった処理はモバイル端末1の方が優れている。タッチパネルに代表されるように、より操作性が高い入力インターフェース11および高性能な出力インターフェース12を有するためである。モバイル端末1と同等の入力インターフェースおよび出力インターフェースをウェアラブルデバイス2に設けるのは非現実的である。
【0035】
そこで、本実施形態では、モバイル端末1およびウェアラブルデバイス2の双方の長所を活かすべく、それぞれが得意な操作を自身が行い、そうでない操作を他方と連携することで補うこととする。具体的には、上述した制御部14,24を設け、双方向に制御を行うことで、モバイル端末1およびウェアラブルデバイス2が互いに連携できる。以下、詳細に説明する。
【0036】
図2は、情報通信システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0037】
まず、ユーザは、モバイル端末1の入力インターフェース11に対して、ウェアラブルデバイス2とペアリングするための所定の操作を行う。この操作に応じて、モバイル端末1のペアリング部141はQRコード(登録商標)のような識別コードをディスプレイ12aに表示させる(ステップS1)。この識別コードは、モバイル端末1を特定する固有識別データなど、ペアリングに必要な情報を含んでいる。例えば、短距離無線通信の場合、識別コードはモバイル端末1の端末名およびIDを含んでいる。また、WiFi接続の場合、識別コードはモバイル端末1のIPアドレス、MACアドレス、WiFiのSSIDおよびパスワードを含んでいる。
【0038】
続いて、同ユーザはウェアラブルデバイス2の入力インターフェース21に対して、モバイル端末1とのペアリングするための所定の操作を行う。この操作に応じて、ウェアラブルデバイス2のペアリング部241は、カメラ21bを制御し、モバイル端末1のディスプレイ12aに表示された識別コードを撮影し、認識する(ステップS11)。そして、ペアリング部241は識別コードに含まれるモバイル端末1の固有識別データをウェアラブルデバイス2のメモリ(不図示)に保存する。これにより、ウェアラブルデバイス2がモバイル端末1とペアリングされる(ステップS12)。
【0039】
そして、ウェアラブルデバイス2のペアリング部241は自身の固有識別データをモバイル端末1に無線送信する(ステップS13)。そして、モバイル端末1の受信部143は固有識別データを受信し、ペアリング部141はウェアラブルデバイス2の固有識別データをモバイル端末1のメモリ(不図示)に保存する。これにより、モバイル端末1がウェアラブルデバイス2とペアリングされる(ステップS2)。
【0040】
以上により、モバイル端末1とウェアラブルデバイス2との間で互いにペアリングが完了して無線通信が確立され(ステップS3)、互いに無線で通信できるようになる。このような手法でペアリングを行うことで、モバイル端末1の周囲に多数のウェアラブルデバイス2がある場合であっても、自身が用いるウェアラブルデバイス2と確実かつ簡易にペアリングできる。
【0041】
なお、ペアリングは、通信相手(ウェアラブルデバイス2から見たモバイル端末1、あるいは、モバイル端末1から見たウェアラブルデバイス2)を特定する固有識別データを自身のメモリに保存する処理をいう。ペアリングは、上述したような固有識別データを含んだ識別コードを利用する手法や、通信相手に自身の固有識別データを無線送信する手法以外にも種々考え得る。
【0042】
例えば、ユーザがモバイル端末1やウェアラブルデバイス2に通信相手の固有識別データを入力してもよい。あるいは、モバイル端末1(ウェアラブルデバイス2)の無線通信制御部141(241)が、周囲に存在するすべてのデバイスに無線信号をブロードキャスト送信し、デバイスから返ってきたデータからユーザが選択を行って、固有識別データを取得してもよい。また、過去の通信履歴情報(例えば、前回の接続先相手)から固有識別データを取得してもよい。
【0043】
その後、必要な時点で、モバイル端末1の送信部142はウェアラブルデバイス2に所定の処理を行わせるための制御データをウェアラブルデバイス2に送信し(ステップS4)、ウェアラブルデバイス2の受信部243によって受信される。この制御データはウェアラブルデバイス2の固有識別データを送信先情報として含んでおり、これにより特定のウェアラブルデバイス2に対して制御データを送信できる。また、制御データはモバイル端末1の固有識別データを送信元情報として含んでおり、これにより制御データを受信したウェアラブルデバイス2は特定のモバイル端末1からの制御データであることを認識できる。
【0044】
モバイル端末1からの制御データを受信したウェアラブルデバイス2の処理部244は、制御データに応じた処理を行う(ステップS14)。
【0045】
また、必要な時点で、ウェアラブルデバイス2の送信部242はモバイル端末1に所定の処理を行わせるための制御データをモバイル端末1に送信し(ステップS15)、モバイル端末1の受信部143によって受信される。この制御データはモバイル端末1の固有識別データを送信先情報として含んでおり、これにより特定のモバイル端末1に対して制御データを送信できる。また、制御データはウェアラブルデバイス2の固有識別データを送信元情報として含んでおり、これにより制御データを受信したモバイル端末1は特定のウェアラブルデバイス2からの制御データであることを認識できる。
【0046】
ウェアラブルデバイス2からの制御データを受信したモバイル端末1の処理部144は、制御データに応じた処理を行う(ステップS5)。
【0047】
以上のステップS4,S5,S14,S15が必要なだけ行われる。なお、ステップS4,S15における制御データ送信のトリガは任意である。例えば、トリガは、ユーザによってモバイル端末1の入力インターフェース11あるいはウェアラブルデバイス2の入力インターフェース21に対して所定の操作が行われたことであってよい。所定の操作は、カメラ21bによる撮影開始指示、編集操作や保存操作などであってよい。あるいは、所定の操作は制御データの送信を指示する操作であってよい。
【0048】
続いて、モバイル端末1およびウェアラブルデバイス2による処理および制御データの例を述べる。
【0049】
第1の例として、
図2のステップS4において、モバイル端末1からウェアラブルデバイス2に送信される制御データは、入力インターフェース11に対するユーザ操作の情報を含んでいてもよい。そして、ステップS14では、ウェアラブルデバイス2の処理部244が制御データに含まれるユーザ操作に応じた処理を行う。入力インターフェース11に対するユーザ操作がモバイル端末1の処理部144に特定の処理を行わせるための操作である場合、対応する処理がウェアラブルデバイス2の処理部244によって行われる。
【0050】
同様に、
図2のステップS15において、ウェアラブルデバイス2からモバイル端末1に送信される制御データは、入力インターフェース21に対するユーザ操作の情報を含んでいてもよい。そして、ステップS5では、モバイル端末1の処理部144が制御データに含まれるユーザ操作に応じた処理を行う。入力インターフェース21に対するユーザ操作がウェアラブルデバイス2の処理部244に特定の処理を行わせるための操作である場合、対応する処理がモバイル端末1の処理部144によって行われる。
【0051】
入力インターフェース11に対するユーザ操作は、例えばボタン11bのタップである。このボタン11bがウェアラブルデバイス2のボタン21aと対応している場合、モバイル端末1においてボタン11bをタップしたときに行われる処理と対応する処理が、ウェアラブルデバイス2においても行われる。また、入力インターフェース11に対するユーザ操作は、マイク11dに対する音声認識コマンドの発話であってもよい。この場合、このコマンドがウェアラブルデバイス2において行われる。
【0052】
このように、制御データがモバイル端末1に対するユーザ操作の情報を含む場合、あたかもウェアラブルデバイス2に対して操作が行われたかのように、処理部244が処理を行う。言い換えると、モバイル端末1を用いてウェアラブルデバイス2を制御できる。逆も同様である。
【0053】
第2の例として、
図2のステップS4において、モバイル端末1からウェアラブルデバイス2に送信される制御データは文字列の情報を含んでいてもよい。この文字列は、例えばモバイル端末1のディスプレイ12aに表示されている文字列、タッチパッド11aを用いて入力中の文字列、ユーザによるマイク11dに対する発話を文字列に変換したものなど、モバイル端末1によって取得されたものであってよい。そして、ステップS14では、ウェアラブルデバイス2の処理部244が制御データに含まれる文字列をディスプレイ22aに表示させたり、スピーカ22bから出力したりする。
【0054】
同様に、ステップS15において、ウェアラブルデバイス2からモバイル端末1に送信される制御データは文字列の情報を含んでいてもよい。この文字列は、例えばウェアラブルデバイス2のディスプレイ22aに表示されている文字列や、ユーザによるマイク21cに対する発話を音声認識によって文字列に変換したものなど、ウェアラブルデバイス2によって取得されたものであってよい。そして、ステップS5では、モバイル端末1の処理部144が制御データに含まれる文字列をディスプレイ12aに表示させたり、スピーカ12bから出力したりする。
【0055】
文字列の具体例として、画像を保存する際の編集中のファイル名、レポート作成時の入力中のコメント、マイク11d,21cに対する発話を音声認識した文字データ、入力中のテキストデータなどが挙げられる。この場合、文字列が新たに取得される度に、制御データとして送信されてもよい。
【0056】
より具体的な例として、ファイル名の編集など文字列の入力は、モバイル端末1のタッチパッド11aを用いる方がやりやすい。そこで、入力された文字列をモバイル端末1からウェアラブルデバイス2に送信することで、モバイル端末1で入力された文字列をウェアラブルデバイス2のディスプレイ22aに表示させることができる。
【0057】
また、建設現場において、技術者の発話を記録に残したいことがある。この場合、ウェアラブルデバイス2のマイク21cに対する発話を音声認識した文字列をウェアラブルデバイス2からモバイル端末1に送信することで、技術者の発話を文字列としてモバイル端末1のディスプレイ12aに表示させることができる。必要に応じて、同技術者はモバイル端末1のタッチパッド11aを用いて文字列を修正等することができる。
【0058】
第3の例として、
図2のステップS4において、モバイル端末1からウェアラブルデバイス2に送信される制御データは画像にデータを含んでいてもよい。この画像は、例えばモバイル端末1のディスプレイ12aに表示されている画像、カメラ11cによって撮影された画像など、モバイル端末1によって取得されたものであってよい。そして、ステップS14では、ウェアラブルデバイス2の処理部244が制御データに含まれる画像をディスプレイ22aに表示させる。
【0059】
同様に、
図2のステップS15において、ウェアラブルデバイス2からモバイル端末1に送信される制御データは画像データを含んでいてもよい。この画像は、例えばウェアラブルデバイス2のディスプレイ22aに表示されている画像、カメラ21bによって撮影された画像など、ウェアラブルデバイス2によって取得されたものであってよい。そして、ステップS5では、モバイル端末1の処理部144が制御データに含まれる画像をディスプレイ12aに表示させる。
【0060】
ステップS4,S15において、制御データに含まれる画像は、モバイル端末1あるいはウェアラブルデバイス2によって取得された画像そのものでもよいが、処理部144,244が画素数を減らしたり圧縮したりして、データ量を減らした画像(例えば、サムネイル)であるのが望ましい。モバイル端末1とウェアラブルデバイス2との間の通信速度が遅いときであっても、スムーズに制御データを送信できるためである。
【0061】
具体例として、建設現場において、技術者の視線で撮影された画像を保存したいことがある。この場合、技術者はマイク21cに対する音声指示によって、簡易にカメラ21bで撮影を行うことができる。そして、得られた画像そのものをウェアラブルデバイス2に保存しつつ、画素数を減らした画像をすぐさま(リアルタイムに)モバイル端末1に送信する。これにより、同技術者はモバイル端末1のディスプレイ12aに撮影された画像を表示させることができる。ウェアラブルデバイス2に保存された画素数が多い画像は高速での通信が可能な状態で(非リアルタイムに)モバイル端末1やその他必要な送信先に送信すればよい。
【0062】
また、別の具体例として、モバイル端末1のディスプレイ12aに表示されている画像に対して、タッチパッド11aを用いて付加的な描画を行った場合(目印を付ける等)、この付加的な描画の情報がウェアラブルデバイス2に送信される。そして、ウェアラブルデバイス2のディスプレイ22aには、すでに表示されている画像に対して、モバイル端末1に対して行われた描画が重畳表示される。
【0063】
第4の例として、
図2のステップS4において、モバイル端末1からウェアラブルデバイス2に送信される制御データは、モバイル端末1のディスプレイ12aにおける表示に関するデータを含んでいてもよい。そして、ステップS14では、ウェアラブルデバイス2の処理部244が表示に関するデータを実行し、ディスプレイ22aに当該表示に対応する表示を行う。
【0064】
同様に、
図2のステップS15において、ウェアラブルデバイス2からモバイル端末1に送信される制御データは、ウェアラブルデバイス2のディスプレイ22aにおける表示に関するデータを含んでいてもよい。そして、ステップS5では、モバイル端末1の処理部144が表示に関するデータを実行し、ディスプレイ12aに当該表示に対応する表示を行う。
【0065】
具体例として、表示に関するデータは、複数の画像を表示するプレビュー画面において表示中のファイル名であってよい。このようなファイル名を含む制御データを受信したウェアラブルデバイス2(モバイル端末1)は、ファイル名をディスプレイ22a(12a)に表示させる。表示ファイルが変わると、表示されるファイル名も更新される。
【0066】
あるいは、表示に関するデータは点滅するボタンを指定する情報であってもよい。このような情報を含む制御データを受信したウェアラブルデバイス2(モバイル端末1)は、ディスプレイ22a(12a)に表示されている対応するボタンを点滅表示させる。
【0067】
なお、モバイル端末1は、ウェアラブルデバイス2とペアリングしていないときの動作に特に制限はない。例えば、モバイル端末1が単独で動作してもよいし、単独では動作しなくてもよい。前者の場合、本機能を利用するためのユーザIDを複数のユーザで共有するような使い方ができる。後者の場合は、本機能を利用するためのユーザIDを単一のユーザのみが使えることとなる。
【0068】
このように、本実施形態では、モバイル端末1とウェアラブルデバイス2との間で無線通信を行い、かつ、双方向に制御データの送受信が可能である。よって、非常に使いやすい情報通信が実現される。
【0069】
なお、上述した実施形態では、モバイル端末1とウェアラブルデバイス2との通信を主に説明してきたが、これらはさらにクラウドサーバや遠隔のパソコンと通信可能であってもよい。一例として、遠隔のパソコンは建設現場から離れた場所に設置される。そして、建設現場と当該離れた場所において遠隔会議を行うことも可能となる。
【0070】
また、本実施形態の用途に制限はなく、ウェアラブルデバイス2は、上述したように建設現場用にヘルメット型でもよいし、観光客用に眼鏡型であってもよい。
【0071】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0072】
1 モバイル端末
11 入力インターフェース
11a タッチパッド
11b ボタン
11c カメラ
11d マイク
12 出力インターフェース
12a ディスプレイ
12b スピーカ
13 通信部
14 制御部
141 ペアリング部
142 送信部
143 受信部
144 処理部
2 ウェアラブルデバイス
21 入力インターフェース
21a ボタン
21b カメラ
21c マイク
22 出力インターフェース
22a ディスプレイ
22b スピーカ
23 通信部
24 制御部
241 ペアリング部
242 送信部
243 受信部
244 処理部