(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-43858(P2021-43858A)
(43)【公開日】2021年3月18日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/18 20060101AFI20210219BHJP
G01D 3/00 20060101ALI20210219BHJP
G06F 17/10 20060101ALI20210219BHJP
【FI】
G06F17/18 Z
G01D3/00 C
G06F17/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-167113(P2019-167113)
(22)【出願日】2019年9月13日
(71)【出願人】
【識別番号】591280197
【氏名又は名称】株式会社構造計画研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】矢部 明人
【テーマコード(参考)】
2F075
5B056
【Fターム(参考)】
2F075AA05
2F075EE15
2F075EE16
2F075EE17
2F075EE18
5B056BB28
5B056BB83
(57)【要約】
【課題】凹凸計測データに含まれるエラーデータや不要データを適切に除去可能な情報処理システムを実現する。
【解決手段】時間又は距離の変化に応じて順次変化する計測点について計測値を取得可能なセンサ手段と、一以上の計測点に対応してセンサ手段によって取得された計測値を含む凹凸計測データを取得する取得部と、凹凸計測データに含まれる計測値から漸減する漸減関数の演算値を演算する演算処理部と、記憶手段に記憶された凹凸計測データを補正する補正部と、を備え、補正部は、一の計測点の計測値が一つ前の計測点の計測値よりも大きい場合には、一の計測点について計測値を保存し、一の計測点の計測値が一つ前の計測点の計測値よりも小さい場合には、一つ前の計測点の計測値に基づいて演算処理部が演算した演算値を、一の計測点の計測値に替えて保存する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の計測点について計測された計測値を含む計測データを取得する取得部と、
前記計測データを補正する補正部と、
前記計測データに含まれる計測値と所定式とに基づいた一連の演算値を演算する演算処理部と、を備え、
前記補正部は、
前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、特定計測点について計測値を保存し、
前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記補正部は、
前記特定計測点について演算値を保存した場合には、前記特定計測点以降の一連の計測点と、前記一連の演算値のうち各計測点に対応する演算値と、を順次比較し、一連の各計測点の計測値が対応する演算値に対して前記所定条件を満たすまでは各計測点について対応する演算値を保存することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記補正部は、
前記計測データの先頭から末尾までの順番で、前記一連の計測点のうち前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、前記特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存することにより第1補正データを生成し、
前記計測データの末尾から先頭までの順番で、前記一連の計測点のうち前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、前記特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存することにより第2補正データを生成し、
前記第1の補正データと、前記第2の補正データと、に基づいて前記計測データの補正データを作成することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、
前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値よりも大きい場合には、特定計測点について計測値を保存し、
前記所定式は漸減関数であり、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値よりも小さい場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記漸減関数の値のうち前記特定計測点に対応する値を保存することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
取得部と、補正部と、演算処理部と、を備える情報処理システムの情報処理方法であって、
前記取得部が、一連の計測点について計測された計測値を含む計測データを取得するステップと、
前記補正部が、前記計測データを補正するステップと、
前記演算処理部が、前記計測データに含まれる計測値と所定式とに基づいた一連の演算値を演算するステップと、を備え、
前記補正部は、
前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測データからノイズ等を除去する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体から対象物表面までの距離などを時々刻々計測し、対象物表面の平坦性や段差の情報などを抽出して評価するシステムが知られている。
このようなシステムでは、計測した対象物表面の凹凸計測データに含まれるエラーや不要情報等をノイズとして除去する(クレンジング)する必要がある。
凹凸計測データからエラーやノイズを除去する手法が適用される例として、特許文献1、特許文献2には、路面の撮像データからエラーやノイズを除去する技術が開示されている。
特許文献1の情報処理装置は、路面を撮像するステレオカメラによって撮像されたステレオ画像に基づいて、路面上の複数の検出対象点について、ステレオカメラからの距離と路面からの高さを検出データとして生成する。そして、検出データからエラー情報を除去する。
具体的には、引用文献1では、検出データを区分で分割し、各区分内での検出データの数が閾値以下である場合にはエラーとして区分ごと削除する。
また特許文献2では、移動体に取り付けられた路面データ取得部が、移動体の車輪の接地面から路面データ取得部までの高さ位置を「高さ」として取得する。そして、ノイズ除去部は、所定の区間におけるデータの個数が閾値よりも少ない場合にそのデータをノイズとして除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−101534公報
【特許文献2】特開2012−220227公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示の手法では、エラーやノイズが含まれるデータの区分や区画ごと削除してしまうので、その区分や区画に含まれる重要なデータも失われてしまうおそれがある。また、例えば路面の凹凸情報のみを含む計測データを所望する場合に、溝部に由来するような不要データを取り除くことができない。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、例えば移動体から対象物表面までの距離データを時々刻々取得し、対象物表面の平坦性や段差の情報を抽出して評価するための情報処理システムにおいて、計測データに含まれるエラーや不要データを適切に除去可能な情報処理システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、連続した計測点について順次計測された計測値を含む計測データを取得する取得部と、前記計測データを補正する補正部と、前記計測データに含まれる計測値と所定式とに基づいた演算値を演算する演算処理部と、を備え、前記補正部は、前記一連の計測点のうち一の計測点の計測値が、基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、当該一の計測点について計測値を保存し、前記一連の計測点のうち一の計測点の計測値が、基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、当該一の計測点については、基準計測点の計測点に基づいて前記演算処理部が演算した演算値を保存する情報処理システムを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記のように構成したので、本発明によれば、計測データに含まれるエラーデータや不要データを適切に除去可能な情報処理システムを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る路面計測システムのブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る路面計測システムの機器構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る路面計測システムの動作を説明するための概略構成とその時の各センサの波形を示すグラフ図である。
【
図4】本実施形態の路面計測システムが備える情報処理装置の構成を示す図である。
【
図5】段差やスパイクノイズを含む凹凸計測データの例を示すグラフ図である。
【
図6】閾値を用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
【
図7】移動平均を用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
【
図8】ローパスフィルタを用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
【
図9】本実施形態の手法を用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
【
図10】第1クレンジングデータを作成される過程を説明する図である(その1)。
【
図11】第1クレンジングデータを作成される過程を説明する図である(その2)。
【
図12】作成された第1クレンジングデータを示す図である。
【
図13】第2クレンジングデータが作成される過程を説明する図である。
【
図14】第1クレンジングデータと第2クレンジングデータを比較する図である。
【
図15】作成済みクレンジングデータと凹凸計測データとを比較する図である。
【
図16】本実施形態のデータクレンジング処理を説明するフローチャートである(その1)。
【
図17】本実施形態のデータクレンジング処理を説明するフローチャートである(その2)。
【
図18】本実施形態のデータクレンジング処理を説明するフローチャートである(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態は、凹凸計測データに含まれるエラーや不要情報を除去するデータクレンジング手法に係る。
本実施形態のデータクレンジング手法は、例えば下記に説明する路面計測システムで計測した路面の凹凸計測データに適用することが出来る。この場合、クレンジングの対象は通常の凹凸(変位)や段差とは異なり、例えば、面溝部や計測信号の受信エラーに由来する、凹凸計測データにおける急激な計測値の変動である。
【0009】
以下では、路面計測システムに適用される例を用いて本実施形態のデータクレンジング手法を説明するが、それに限らず、凹凸情報を含む様々な凹凸計測データのクレンジングに本実施形態の手法を用いることが出来る。
まず、データクレンジング手法を適用する凹凸計測データを取得する路面計測システムの構成を概説する。あくまで一例であり下記に説明される構成に限定されるものではない。凹凸計測データであれば、適宜、本実施形態のデータクレンジング手法を適用することが出来る。
【0010】
<路面計測システム>
図1は、本実施形態に係る路面計測システムのブロック図である。
路面計測システム1は、レーザ変位計4a、4b、4A、4B、外部メモリ8、データロガー10a、10b、情報処理装置30等を搭載している。
この路面計測システム1においては、
図2に示す車両(移動体)24の進行方向Zに対して左側にレーザ変位計4a、4bを備え、右側にレーザ変位計4A、4Bを備えている。また、データロガー10aはレーザ変位計4a、4bのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有し、データロガー10bは右側のレーザ変位計4A、4Bのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。
上述したデータロガー10a、10bは、レーザ変位計4a、4b、4A、4Bが出力したアナログ信号を例えば3000Hzのサンプリングクロックによりサンプリングして時系列のデジタル信号に変換して情報処理装置30に出力することが出来る。
また、情報処理装置30は、後述するように内部にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)、HDD(Hard Disk Drive)を有し、HDDからオペレーティングシステムOSを読み出してRAM上に展開してOSを起動し、OS管理下において、HDDからプログラム(後述する各種フローチャートで示されるプログラム)を読み出し、各種処理を実行する。
【0011】
<路面計測システムの機器構成>
図2は、本発明の実施形態に係る路面計測システムの機器構成を示す図である。
本実施形態の路面計測システムは、車体16と、この車体16の進行方向Zに沿った前後位置関係で離間配置された2組の車輪対18a、18c、及び18b、18dを備えた車両24を備えている。
また、路面計測システムは、最前部の車輪対18a、18cの車軸22aの前方に相当する車体前部17、前後の各車輪対18a、18c、及び18b、18dの車軸22a、22b間に相当する車体中間部19、及び最後部の車輪対18b、18dの車軸22bの後方に相当する車体後部21のうち、車体中間部19と車体後部21の二箇所において移動方向に沿った直線状に配置されて路面の変位を検知する2つのレーザ変位計4a、4A及び4b、4Bを備えている。
【0012】
さらに、路面計測システムは情報処理装置30を備えている。
情報処理装置30は、路面上を車両24が通過する際に、レーザ変位計4a、4A及び4b、4Bにより夫々検知された変位データに基づく凹凸計測データを取得して内蔵する記憶装置に格納する。そして、格納した凹凸計測データに基づいて路面の平坦性及び段差量を算出可能である。
本実施形態の情報処理装置30は、路面の平坦性及び段差などの算出に伴って下記に説明する凹凸計測データのクレンジングを実施する。さらに情報処理装置30は、クレンジング後の凹凸計測データを、内蔵する記憶装置や、外部メモリ8に格納することが出来る。
【0013】
<動作説明>
図3は、本実施形態に係る路面計測システムの動作を説明するための概略構成とその時の各センサの波形を示すグラフ図であり、(a)は車両と各センサの配置を示す図であり、(b)は車両が溝部27を通過する直前の図であり、(c)はその時の各波形を示すグラフ図であり、(d)は前方のレーザ変位センサが溝部27を検知したことを示す図であり、(e)はその時の各センサの波形を示すグラフ図であり、(f)は後方のレーザ変位センサが溝部27を検知したことを示す図である。
図3では説明を簡略化するために、
図3(a)に示すようにレーザ変位計をL1、L2として説明する。この図では路面を25、路面25のジョイント部などに由来する溝部を27とし、同じ構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0014】
図3(a)は、車両24が矢印の進行方向に進行したときにL1、L2が溝部27を検知しない場合を表している。
図3(b)は、車両24が溝部27を通過する直前の図であり、この時は各レーザ変位計L1、L2は溝部27を検知していないため、
図3(c)に示す通り、各レーザ変位計L1、L2からは路面25の小さな変位のみを検知している波形信号が出力される。これらの信号はデータロガー10a、データロガー10bにより上述したサンプリングクロックでA/D変換され、情報処理装置30に入力される。
情報処理装置30は、変位データに対してタイムスタンプを付与して、内蔵する記憶装置等に順次格納していく。
【0015】
図3(d)は、前方のレーザ変位計L1が溝部27を検知したことを示す図であり、
図3(e)に示す通り、レーザ変位計L1からは溝部27の変位により信号Sが検知される。また、レーザ変位計L2は路面25の小さな変位のみを検知する。この信号Sは、凹凸計測データにおいてクレンジングされるべき対象の一つである。
【0016】
図4は、本実施形態の路面計測システムが備える情報処理装置の構成を示す図であり、(a)は、ハードウェアによる機能構成を示す図、(b)は、ソフトウェアによる機能構成を示す図である。
図4(a)に示すように、情報処理装置30は、装置全体の制御を行う汎用のオペレーティングシステムを実行するとともに、情報処理装置30の機能を実現するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)31と、CPU31による処理のために各種のプログラムや一時データ、変数が展開されるRAM(Random Access Memory)32と、プログラムやデータが格納されるHDD(Hard Disk Drive)33や不図示のROM(Read Only Memory)と、を備えている。
また、情報処理装置30は、I/Oインターフェイス34を備え、I/Oインターフェイス34を介してデータロガー10と接続されて変位データ(凹凸測定データ)を入力される。
【0017】
CPU31は、情報処理装置30が備えて制御部を実現する制御回路の一例であり、制御回路としては、その他にマルチコアCPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのプロセッサを適用することが出来る。
HDD33は、内蔵するハードディスク(Hard Disk)を駆動するドライブ装置であり、HDD33は記憶媒体としてのハードディスクに格納されたプログラムやデータを読み出し、またハードディスクにデータを書き込む。
【0018】
また、情報処理装置30は、FD(Floppy Disk)、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disk)などの光学ディスク、フラッシュメモリなどの着脱可能な記憶媒体200に対してプログラムやデータを読み書きする読書装置35を備えてもよい。
読書装置35は、FDD(Floppy Disk Drive)、CDD(Compact Disc Drive)、DVDD(Digital Versatile Disc Drive)、BDD(Blu-ray(登録商標) Disk Drive)、USB(Universal Serial Bus)などである。
CPU31、RAM32、HDD33、I/Oインターフェイス34、読書装置35は例えば内部バスを介して接続されている。
【0019】
また
図4(b)に示すように、CPU31は、制御部30Aとしてデータ取得処理部41、比較値演算処理部42、データ比較保存処理部43、補正データ生成処理部44と、を実行する。
これらの処理部は、情報処理装置30の制御部30Aの機能を実現するプログラムであり、当該プログラムは、HDD33に含まれるハードディスクや記憶媒体200に格納され得る。プログラムは、HDD33や読書装置35によってハードディスクや記憶媒体200からRAM32に読み出されてCPU31によって実行される。
HDD33やRAM32は、情報処理装置30の記憶部30Bを構成する。
記憶部30Bは、計測データ記憶部51、第1クレンジングデータ(第1処理データ)記憶部52、第2クレンジングデータ(第2処理データ)記憶部53、を備える。
【0020】
データ取得処理部41は、データロガー10から凹凸計測データを読み出して記憶部30Bに格納する処理を行う。
比較値演算処理部42は、本実施形態のクレンジング手法で用いる漸減関数を決定し、凹凸計測データに含まれる計測値を起点とする漸減関数の値を演算する処理を行う。
データ比較保存処理部43は、凹凸計測データ内の隣接する計測点の計測値同士の比較し、あるいは計測値と上記漸減関数の演算値とを比較し、何れかの値を保存のために選択する処理を行う。
データ比較保存処理部43は、選択して保存した値を、第1クレンジングデータ(第1処理データ)、第2クレンジングデータ(第2処理データ)として記憶部30Bに格納する処理を行う。
補正データ生成処理部44は、記憶部30Bに格納された第1クレンジングデータ、第2クレンジングデータを用いて最終的なクレンジングデータを生成する処理を行う。
【0021】
本実施形態に係る路面計測システム1は、
図1乃至
図3で説明した構成によって、移動体から対象物表面までの距離データ(凹凸計測データ)を時々刻々取得し、対象物表面の平坦性や段差の情報を抽出して評価するためのシステムである。移動体は例えば上記の車両24であり、対象物は路面25である。
取得された距離データには、データ通信エラーなどに由来するエラーデータや計測不要な溝部27に関するデータが含まれており、これらはノイズとして除去(クレンジング)する必要がある。
【0022】
図5は、段差やスパイクノイズを含む凹凸計測データの例を示すグラフ図である。
図5に示すグラフでは、横軸に計測開始点からの距離(m)をとり、縦軸には、移動体から対象物表面までの距離、すなわち路面凹凸(mm)をとっている。
図5のデータにおいて、距離0.5m付近の位置に段差に由来する変位が発生しており、距離1.5m付近には計測値が大きく下向きに変動するスパイクノイズが発生している。スパイクノイズは、凹凸計測データの受信途中のデータ異常や溝部によるノイズである。
【0023】
図6は、閾値を用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
図6では、一例として−10mmを閾値とし、
図5に示した凹凸計測データのグラフにおいて閾値よりも小さな値を切り捨てることでノイズを除去している。
この方法では、凹凸計測データとしては不要な溝のデータや、データ受信途中のデータ異常が残りノイズとして残存してしまう。
【0024】
図7は、移動平均を用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
図7において、グラフAはノイズを含む凹凸計測データ(
図5)を示すグラフであり、グラフBは移動平均を用いたクレンジング後のデータを示すグラフである。
凹凸計測データのクレンジングに移動平均を用いた場合、(a)におけるように凹凸計測データにあった段差角がクレンジング後データではずれあるいは消失し、(b)におけるように凹凸計測データにあった凹凸がクレンジング後データで消失し、(c)におけるようにスパイクノイズによる凹凸の誤検知が発生する場合がある。
【0025】
図8は、ローパスフィルタを用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
図8において、グラフAはノイズを含む凹凸計測データ(
図5)を示し、グラフBはローパスフィルタを用いてクレンジングしたデータを示している。
凹凸計測データのクレンジングにローパスフィルタを用いた場合、(a)におけるようにフーリエ逆変換時のエッジ効果による凹凸の誤検知が発生し、(b)におけるように凹凸計測データにあった段差角がクレンジング後のデータでずれあるいは消失し、(c)におけるように凹凸計測データにあった凹凸がクレンジング後のデータで消失し、(d)におけるようにスパイクノイズによる凹凸の誤検知が発生する場合がある。
【0026】
以上説明したように、ノイズを含む凹凸計測データからノイズを除去するために閾値を用いた方法や、移動平均法やローパスフィルタを用いた平滑化などが知られているが、これらの方法では、ノイズが残りあるいは必要な情報が消失するおそれがある、といった問題がある。
それに対し本実施形態では、明らかなエラー信号や計測に不要な溝の情報を平滑化しつつ、段差や凹凸評価に必要な情報のみを抽出するために、凹凸計測データに対して以下のようなクレンジング処理を行う。
【0027】
図9は、本実施形態のクレンジング手法を用いてクレンジングした凹凸計測データを示すグラフ図である。
図9において、グラフAはノイズを含む凹凸計測データ(
図5)を示すグラフであり、グラフBは本実施形態の手法を用いてクレンジング後のデータを示すグラフである。
図9に示すように、グラフBは、グラフAからスパイクノイズを適切に除去しながらも、凹凸に関してはグラフAに追随し、必要な情報が欠落していないことがわかる。
【0028】
本実施形態で例示されるグラフは、起点位置0(m)からの距離の変化(グラフの横軸)に応じた路面凹凸(mm)の変化を示す凹凸計測データを示している。
しかし、グラフ(計測値の変化基準)の横軸は必ずしも距離でなくともよく時間であってもよい。路面計測システム1を例にとれば、凹凸計測データは、車体24が路面の計測を実施しながら走行した時間に応じた路面凹凸の変化を示すものであってもよい。
本実施形態においてクレンジングの対象となる凹凸計測データは、時間又は距離その他の条件の変化に応じた所定値の増減を示すものであれば、どのような性質のものでもよく適宜応用が可能である。
【0029】
本実施形態のデータクレンジング手法を概説すると以下のとおりであり、本実施形態は下記のデータクレンジング手法を行う情報処理装置30に特徴を有する。
本実施形態において、計測値が存在する(プロットされた)グラフ上の位置を計測点と称する。路面計測システムにおいて凹凸計測データは所定の時間あるいは距離ごとに取得されるが、凹凸計測データは、これらの時間や距離に応じた複数の一連の計測点から構成される。
(1)情報処理装置30において時間又は距離を変数にもつ、放物線や下向きの直線などの漸減関数を用意する。
(2)連続的な計測点(始点からの時間又は距離)Nn(n=0、1、2、3、4,・・・・・)を有する凹凸計測データに関し、始点となる計測点N0(基準計測点)から開始して、一の計測点Nnにおける計測値が一つ前の計測点Nn−1における計測値(基準計測点)よりも大きい限りは、一の計測点Nnについて実際の計測値を順次保存していく。起点となる計測点(基準計測点)も順次変化していく。
すなわち、一の計測点Nnにおける計測値が、その一つ前の計測点Nn−1における計測値(基準計測点)よりも大きければ、一の計測点Nnについては実際の計測値を保存する。さらに一の計測点Nnが次の起点(基準計測点)となり、次の計測点Nn+1における計測値が、一の計測点Nnにおける計測値よりも大きければ、次の計測点Nn+1については実際の計測値を保存する。
【0030】
(3)一の計測点における計測値Nnが、起点となる一つ前の計測点Nn−1(基準計測点)における計測値よりも小さくなった場合、その一の計測点Nnについては、起点となる一つ前の計測点Nn−1(基準計測点)における計測値から漸減する漸減関数の計測点に対応する演算値を保存する。
特定の計測値から漸減する漸減関数は、計測値を極大値とする上に凸の二次関数や計測値を通過するマイナスの一次関数である。
次以降の計測点Nn+1・・・については、各計測点の計測値と、各計測点に対応する同じ漸減関数の演算値との比較を行い、計測値が漸減関数の演算値よりも小さい限りは各計測点について演算値を保存していく。ある計測点において計測値が漸減関数に応じた値よりも大きくなると、その計測点については実際の計測値を保存し、今度はその計測値が新たな起点(基準計測点)となって(2)のように次の計測点の計測値と比較される。
【0031】
(4)上記(2)(3)の処理を凹凸計測データの始点から終点(先頭から末尾)に到達するまで行い、凹凸計測データの正順に基づく第1クレンジングデータを得る。
(5)凹凸計測データの終点から始点(末尾から先頭)まで(2)(3)と同様の処理を遡って行い、凹凸計測データの逆順に基づく第2クレンジングデータを得る。
(6)第1クレンジングデータと第2クレンジングデータにおける同一の計測点のデータを比較し、小さい方の値を採用して一つのクレンジングデータを得る。
【0032】
以下に、本実施形態のデータクレンジング手法を詳細に説明していく。
以下の説明において、クレンジング対象となる凹凸計測データは計測点Nn(n=0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)を有し、凹凸計測データの先頭から末尾まで、計測点N0〜N10が並んでいる。
図10、
図11は、第1クレンジングデータを作成される過程を説明する図である。
図10(a)において、情報処理装置30は、起点となる計測点N0の計測値と計測点N0の次の計測点N1の計測値とを比較する。この場合、計測点N1の計測値が大きいので、計測点N1の計測値を保存する。また計測点N1の計測値を新たな起点とする。
図10(b)において、情報処理装置30は、計測点N1の値と次の計測点N2の計測値とを比較する。この場合、計測点N1の計測値が計測点N2の計測値よりも小さいので、凹凸計測データの計測点N1の計測値から始まる漸減関数Xの対応点M2の演算値を保存する。
図10(c)において、情報処理装置30は、次の計測点N3の計測値と、計測点N1の計測値から漸減する漸減関数Xの対応点M3の演算値とを比較する。一度、漸減関数の演算値を保存した場合には、起点を変えることなく漸減関数の演算値と次の凹凸計測データの計測値とを比較する。計測点N3の計測値が大きいので、計測点N3の計測値を保存する。
図10(d)において、情報処理装置30は、計測点N4の計測値が計測点N3の計測値よりも小さいので、計測点N3の計測値から始まる漸減関数Xの対応点M4の演算値と、次の計測点N4の値を比較する。対応点M4の演算値がより大きいので、情報処理装置30は、対応点M4の演算値を保存する。
【0033】
図11(a)に示すように、計測点N3の計測値から漸減する漸減関数Xの対応点M5から対応点M8までの演算値は、計測点N5、計測点N6、計測点N7、計測点N8の計測値よりも大きい。従って、情報処理装置30は、漸減関数Xの演算値M5からM8までを保存する。漸減関数Xの演算値が対応する凹凸計測データの値よりも大きい限りは、情報処理装置30は、漸減関数Xの起点となる計測点を変更することなく、各計測値について漸減関数Xの演算値を保存していく。
図11(b)に示すように、情報処理装置30は、計測点N9の計測値は、計測点N3の計測値から漸減する漸減関数Xの対応点M9の演算値よりも大きい。従って、情報処理装置30は、計測点N9の計測値を保存する。
計測点N9の計測値よりも計測点N10の計測値がより大きいので、情報処理装置30は、計測点N10の計測値を保存する。
計測点N9の計測値から新たに始まる漸減関数Xの対応点M10の演算値と、次の計測点N10の計測値を比較すると、計測点N10の計測値がより大きく、情報処理装置30は、計測点N10の計測値を保存する。
【0034】
図12は、
図10(a)〜(c)、
図11(a)、(b)の処理の結果、保存された第1クレンジングデータを示す図である。
計測点N0〜計測点N10の計測値からなる凹凸計測データから、計測点N0の計測値→計測点N1の計測値→対応点M2の演算値→計測点N3の計測値→対応点M4の演算値→対応点M5の演算値→対応点M6の演算値→対応点M7の演算値→対応点M8の演算値→計測点N9の計測値→計測点N10の計測値の計測値からなる第1クレンジングデータが作成された。
凹凸測定データ内で、計測点間で計測値が下降する際に、実際の計測値を採用するのではなく、下降の程度がコントロールされた漸減関数上の演算値を採用しているので、この第1クレンジングデータの時点でも、正常な凹凸の計測値に追随するとともに、路面上の溝部やエラーに由来する計測値の極端な変動が抑制されていることがわかる。
【0035】
本実施形態の情報処理装置30はさらに、
図10、
図11で行った凹凸計測データのクレンジングを逆方向(末尾から先頭まで)からも実施して第2クレンジングデータを作成する。
図13は、第2クレンジングデータが作成される過程を説明する図である。
図13(a)に示すように、情報処理装置30は、起点としての計測点N10の計測値と、凹凸計測データの計測点N9の計測値を比較する。
計測点N9の計測値は、計測点N9の計測値よりも小さいので、情報処理装置30は、計測点N10の計測値を起点とした遡り漸減関数Yの対応点L9の演算値を保存する。
漸減関数Yは、漸減関数Xと同じ係数(二次関数の場合、y=−ax
2におけるaの値)を有する関数である。漸減関数Xが所定の関数の横軸(距離又は時間)プラス方向の部分(第1象限、第4象限)であるのに対して、漸減関数Yが同じ関数の横軸(距離又は時間)マイナス方向の部分(第2象限、第3象限)である。
一度演算値を保存したので、
図13(b)に示すように、情報処理装置30は、計測点N10の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L8の演算値と、計測点N8の計測値を比較する。対応点L8の演算値が計測点N8の計測値よりも大きいので、情報処理装置30は、対応点L8の演算値を保存する。
図13(c)に示すように、情報処理装置30は、計測点N10の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L7の演算値と、計測点N7の計測値を比較する。計測点N7の計測値がより大きいので、情報処理装置30は計測点N7の計測値を保存する。
【0036】
図10、
図11と同様に計測値又は演算値を保存していき、
図13(d)に示すような第2クレンジングデータを得る。
図13(d)において、情報処理装置30は、計測点N7の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L6の演算値が計測点N6の計測値よりも大きいので対応点L6の演算値を保存し、計測点N5の計測値よりも、計測点N7の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L5の演算値が大きいので対応点L5の演算値を保存する。
計測点N4の計測値が、計測点N7の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L5の演算値よりも大きいので、情報処理装置30は、計測点N4の計測値を保存する。
【0037】
計測点N3の計測値が計測点N4の計測値よりも大きいので、情報処理装置30は、計測点N3の計測値を保存する。
計測点N2の計測値が計測点N3の計測値よりも小さいので、情報処理装置30は、計測点N3の計測値から始まる遡り漸減関数Yの対応点L2の演算値を保存する。
対応点L2の演算値よりも計測点N1の計測値が大きいので、情報処理装置30は、計測点N1の計測値を保存する。
計測点N0の計測値は、計測点N1の計測値よりも小さいので、計測点N1を起点とした遡り漸減関数Yの対応点L0の演算値を保存する。
この結果、先頭から、計測点N0〜計測点N10の計測値からなる凹凸計測データから、対応点L0の演算値→計測点N1の計測値→対応点L2の演算値→計測点N3の計測値→計測点N4の計測値→対応点L5の演算値→→対応点L6の演算値→計測点N7の計測値→対応点L8の演算値→対応点L9の演算値→対応点L10の演算値からなる第2クレンジングデータが作成された。
【0038】
本実施形態の情報処理装置30は、上記の処理で得た第1クレンジングデータ、第2クレンジングデータと、を用いて最終的なクレンジングデータを得る。
図14は、第1クレンジングデータと第2クレンジングデータを比較する図である。
図14に示すように、本実施形態では、第1クレンジングデータと第2クレンジングデータとを重ね合わせ、計測点N0〜N10のそれぞれにおいて、第1クレンジングデータが含む計測値又は演算値と、第2クレンジングデータにおける計測値又は演算値と、を比較する。
そして各計測点において小さい方の値を保存することで最終的なクレンジングデータを得る。
本実施形態の例示において、最終的なクレンジングデータは、計測点N0の計測値→計測点N1の計測値→対応点L2の演算値→計測点N3の計測値→計測点N4の計測値→対応点L5の演算値→対応点L6の演算値→計測点N7の計測値→対応点L8の演算値→計測点N9の計測値→計測点N10の計測値を含む。
【0039】
図15は、
図14で得られた最終的なクレンジングデータと、凹凸計測データと、を比較する図である。
図15に示すように、計測点N0〜計測点N4では、最終的なクレンジングデータは、凹凸計測データの凹凸を忠実に再現することが出来ている。計測点N5〜N10に関しても、ノイズの影響を最小限として、全体的な路面等の凹凸の傾向を表現したデータを得ることが出来た。
上記に例示した、閾値や移動平均、ローパスフィルタを用いた従来の手法と比べても、得られるデータの精度は歴然といえる。
【0040】
図16、
図17、
図18は、本実施形態の路面計測システムにおいて、情報処理装置が行うデータクレンジング処理を説明するフローチャートである。
なお、以下のフローチャートにおいて、クレンジング対象となる凹凸計測データのうちの最初の計測点とは
図10〜
図15における計測点N0であり、最後の計測点とは
図10〜
図15における計測点N10である。
CPU31は、ステップS101において、計測データ記憶部51からクレンジング対象となる凹凸計測データをRAM32に読み込み、第1クレンジングデータの作成を開始する。
次にCPU31は、ステップS102において、クレンジング対象となる凹凸計測データのうちの最初の(先頭の)計測点の計測値をデータ処理の起点に設定する。
次にCPU31は、ステップS103において、起点の次の計測点の計測値と、起点の計測点の計測値を比較する。
比較の結果、CPU31は、ステップS104において、次の計測点の計測値が、起点の計測点の計測値よりも大きいか否かを判定する。
計測点の計測値が起点の計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS104でYes)、CPU31は、ステップS105において、計測点の計測値を第1クレンジングデータ記憶部51に保存する。
次にCPU31は、ステップS106において、これが(計測値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最後の計測点であるか否か判定する。
最後の計測点ではないと判定した場合(ステップS106でNo)、CPU31は、ステップS107において、計測値を保存した計測点を新たな起点に設定してステップS103に処理を戻す。
最後の計測点であると判定した場合(ステップS106でYes)、CPU31は、第1クレンジングデータの作成を終了し、ステップS121に処理を移して第2クレンジングデータの作成を開始する。
【0041】
ステップS104において、起点の計測値が計測点の計測値がよりも大きいと判定した場合(ステップS104でNo)、CPU31は、ステップS108において、起点の計測値からの漸減関数における計測点に対応する演算値を、その計測点の対応値として第1クレンジングデータ記憶部51に保存する。
次にCPU31は、ステップS109において、これが(演算値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最後の計測点であるか否か判定する。
最後の計測点であると判定した場合(ステップS109でYes)、CPU31は、第1クレンジングデータの作成を終了し、ステップS121に処理を移して第2クレンジングデータの作成を開始する。
【0042】
最後の計測点ではないと判定した場合(ステップS109でNo)、CPU31は、ステップS110において、次の計測点の計測値と、その計測点に対応する、起点からの漸減関数の演算値と、を比較する。
演算値が計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS111でNo)、CPU31は、ステップS112において、演算値を、その計測点の対応値として第1クレンジングデータ記憶部31に保存する。
計測値が演算値よりも大きいと判定した場合(ステップS111でYes)、CPU31は、ステップS113において、その計測点の計測値を第1クレンジングデータ記憶部に保存する。
【0043】
次にCPU31は、ステップS114において、これが(計測値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最後の計測点であるか否か判定する。
最後の計測点ではないと判定した場合(ステップS114でNo)、CPU31は、ステップS115において、計測値を保存した計測点を新たな起点に設定してステップS103に処理を戻す。
最後の計測点であると判定した場合(ステップS114でYes)、CPU31は、第1クレンジングデータの作成を終了し、ステップS121に処理を移して第2クレンジングデータの作成を開始する。
【0044】
次にCPU31は、ステップS121において、クレンジング対象となる凹凸計測データのうちの最後の(末尾の)計測点の計測値をデータ処理の起点に設定する。
次にCPU31は、ステップS122において、起点の一つ前の計測点の計測値と、起点の計測点の計測値を比較する。
比較の結果、CPU31は、ステップS123において、一つ前の計測点の計測値が、起点の計測点の計測値よりも大きいか否かを判定する。
計測点の計測値が起点の計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS123でYes)、CPU31は、ステップS124において、計測点の計測値を第2クレンジングデータ記憶部52に保存する。
【0045】
次にCPU31は、ステップS125において、これが(計測値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最初の計測点であるか否か判定する。
最初の計測点ではないと判定した場合(ステップS125でNo)、CPU31は、ステップS126において、計測値を保存した計測点を新たな起点に設定してステップS122に処理を戻す。
最初の計測点であると判定した場合(ステップS125でYes)、CPU31は、第2クレンジングデータの作成を終了し、ステップS131に処理を移して最終的なクレンジングデータの作成を開始する。
【0046】
ステップS123において、起点の計測値が計測点の計測値がよりも大きいと判定した場合(ステップS123でNo)、CPU31は、ステップS127において、起点の計測値からの漸減関数における計測点に対応する演算値を、その計測点の対応値として第2クレンジングデータ記憶部52に保存する。
次にCPU31は、ステップS128において、これが(演算値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最初の計測点であるか否か判定する。
最初の計測点であると判定した場合(ステップS128でYes)、CPU31は、第2クレンジングデータの作成を終了し、ステップS131に処理を移して最終的なクレンジングデータの作成を開始する。
最初の計測点ではないと判定した場合(ステップS128でNo)、CPU31は、ステップS129において、一つ前の計測点の計測値と、その計測点に対応する、起点からの漸減関数の演算値と、を比較する。
演算値が計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS130でNo)、CPU31は、ステップS131において、演算値を、その計測点の対応値として第2クレンジングデータ記憶部31に保存する。
計測値が演算値よりも大きいと判定した場合(ステップS130でYes)、CPU31は、ステップS132において、その計測点の計測値を第2クレンジングデータ記憶部に保存する。
【0047】
次にCPU31は、ステップS133において、これが(計測値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最初の計測点であるか否か判定する。
最初の計測点ではないと判定した場合(ステップS133でNo)、CPU31は、ステップS134において、計測値を保存した計測点を新たな起点に設定してステップS122に処理を戻す。
最初の計測点であると判定した場合(ステップS133でYes)、CPU31は、第2クレンジングデータの作成を終了し、ステップS131に処理を移して最終的なクレンジングデータの作成を開始する。
なお、上記の説明において第1クレンジングデータを作成したあとに第2クレンジングデータを作成しているが、それに限らず、第1クレンジングデータと第2クレンジングデータはどちらから先に作成してもよいし、並行して同時に作成してもよい。
【0048】
CPU31は、ステップS141において、
図16の処理で得て第1クレンジングデータ記憶部51に保存した第1クレンジングデータと、
図17の処理で得て第2クレンジングデータ記憶部52に保存した第2クレンジングデータと、を比較する。
CPU31は、ステップS142において、第1クレンジングデータと、第クレンジングデータと、の同一の計測点において小さい方の値を保持してクレンジングデータを完成し、凹凸計測データのクレンジング処理を終了する。
【0049】
以上のような処理を行うことによって、本実施形態の情報処理装置30では、凹凸計測データから段差や突起のデータは除去せず、凹凸計測データから下に凸の溝やエラー情報を適切にクレンジングすることが出来る。
明らかなエラー信号や計測に不要な溝の情報を平滑化しつつ、段差や凹凸評価に必要な情報のみを抽出することができ、より実態に忠実な対象表面の凹凸や段差の評価が可能である。
漸減関数の係数については、一定ではなく、凹凸計測データの特性に応じて適宜変更してもよい。
また、上記では、第1クレンジングデータ作成時(正順)で用いる漸減関数Xの係数と第2クレンジングデータ作成時(逆順)で用いる漸減関数Yの係数が同じとすると記載したが、それに限らず、第1クレンジングデータ作成時と第2クレンジングデータ作成時(逆順)とで異なる係数の漸減関数を用いてもよい。
【0050】
なお、本実施形態においては、一の計測点における計測値が、起点となる一つ前の計測点における計測値よりも大きい場合には、その計測点においては計測値を保存し、一の計測点における計測値が、一つ前の計測点における計測値よりも小さくなった場合、すなわち路面上に下向きの段差や凹部があることを示すデータが現れた場合には、実際の計測値ではなく漸減関数の演算値を保存するようにしている。これは、下向きの段差や凹部をノイズとして除去するためである。
なお上記のように、本実施形態のクレンジング手法は、路面の凹凸計測データ以外にも適用可能である。上向きの段差や凸部を含む凹凸計測データについて、段差や凸部をノイズとして除去するためには、本実施形態とは逆に一の計測点における計測値が、起点となる一つ前の計測点における計測値よりも小さい場合には、その計測点において計測値を保存し、一つ前の計測点における計測値よりも大きくなった場合、すなわち路面上に上向きの段差や凸部があることを示すデータが現れた場合には、実際の計測値ではなく漸増関数の演算値を保存するようにしてもよい。特定の計測値から漸増する漸増関数は、例えば計測値を極小値とする下に凸の二次関数や計測値を通過するプラスの一次関数である。
【符号の説明】
【0051】
L1…レーザ変位計、L2…レーザ変位計、1…路面計測システム、4A…レーザ変位計、4a…レーザ変位計、8…外部メモリ、10a…データロガー、10b…データロガー、16…車体、17…車体前部、18a…車輪対、18b…車輪対、19…車体中間部、21…車体後部、22a…車軸、22b…車軸、24…車両、25…路面、27…溝部、29…検知範囲、30A…制御部、30…情報処理装置、31…CPU、32…RAM、33…HDD、34…I/Oインターフェイス、35…読書装置、41…データ取得処理部、42…比較値演算処理部、43…データ比較保存処理部、44…補正データ生成処理部、200…記憶媒体
【手続補正書】
【提出日】2020年11月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の計測点について計測された計測値を含む計測データを取得する取得部と、
前記計測データを補正する補正部と、
前記計測データに含まれる計測値と所定式とに基づいて、計測値を基点として値が変化する一連の演算値を演算する演算処理部と、を備え、
前記補正部は、
前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、特定計測点について計測値を保存し、
前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記基準計測点の計測値を基点とする前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記補正部は、
前記特定計測点について演算値を保存した場合には、前記特定計測点以降の一連の計測点と、前記基準計測点の計測値を基点とする前記一連の演算値のうち各計測点に対応する演算値と、を順次比較し、一連の各計測点の計測値が対応する演算値に対して前記所定条件を満たすまでは各計測点について対応する演算値を保存する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記補正部は、
前記計測データの先頭から末尾までの順番で、前記一連の計測点のうち前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、前記特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記基準計測点の計測値を基点とする前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存することにより第1補正データを生成し、
前記計測データの末尾から先頭までの順番で、前記一連の計測点のうち前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、前記特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記基準計測点の計測値を基点とする前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存することにより第2補正データを生成し、
前記第1の補正データと、前記第2の補正データと、に基づいて前記計測データの補正データを作成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、
前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値よりも大きい場合には、特定計測点について計測値を保存し、
前記所定式は漸減関数であり、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値よりも小さい場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記漸減関数の値のうち前記特定計測点に対応する値を保存する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
取得部と、補正部と、演算処理部と、を備える情報処理システムの情報処理方法であって、
前記取得部が、一連の計測点について計測された計測値を含む計測データを取得するステップと、
前記補正部が、前記計測データを補正するステップと、
前記演算処理部が、前記計測データに含まれる計測値と所定式とに基づいて、計測値を基点として値が変化する一連の演算値を演算するステップと、を備え、
前記補正部は、
前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した前記基準計測点の計測値を基点とする前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、一連の計測点について計測された計測値を含む計測データを取得する取得部と、前記計測データを補正する補正部と、前記計測データに含まれる計測値と所定式とに基づい
て、計測値を基点として値が変化する一連の演算値を演算する演算処理部と、を備え、前記補正部は、前記一連の計測点のうち特定計測点における計測値が、基準計測点の計測値に対して所定条件を満たす場合には、特定計測点について計測値を保存し、前記特定計測点における計測値が、前記基準計測点の計測値に対して前記所定条件を満たさない場合には、前記特定計測点については、前記基準計測点の計測値に基づいて前記演算処理部が演算した
前記基準計測点の計測値を基点とする前記一連の演算値のうち前記特定計測点に対応する演算値を保存す
る、情報処理システムを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
以下に、本実施形態のデータクレンジング手法を詳細に説明していく。
以下の説明において、クレンジング対象となる凹凸計測データは計測点Nn(n=0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)を有し、凹凸計測データの先頭から末尾まで、計測点N0〜N10が並んでいる。
図10、
図11は、第1クレンジングデータ
が作成される過程を説明する図である。
図10(a)において、情報処理装置30は、起点となる計測点N0の計測値と計測点N0の次の計測点N1の計測値とを比較する。この場合、計測点N1の計測値が大きいので、計測点N1の計測値を保存する。また計測点N1の計測値を新たな起点とする。
図10(b)において、情報処理装置30は、計測点N1の値と次の計測点N2の計測値とを比較する。この場合、計測点N
2の計測値が計測点N
1の計測値よりも小さいので、凹凸計測データの計測点N1の計測値から始まる漸減関数Xの対応点M2の演算値を保存する。
図10(c)において、情報処理装置30は、次の計測点N3の計測値と、計測点N1の計測値から漸減する漸減関数Xの対応点M3の演算値とを比較する。一度、漸減関数の演算値を保存した場合には、起点を変えることなく漸減関数の演算値と次の凹凸計測データの計測値とを比較する。計測点N3の計測値が大きいので、計測点N3の計測値を保存する。
図10(d)において、情報処理装置30は、計測点N4の計測値が計測点N3の計測値よりも小さいので、計測点N3の計測値から始まる漸減関数Xの対応点M4の演算値と、次の計測点N4の値を比較する。対応点M4の演算値がより大きいので、情報処理装置30は、対応点M4の演算値を保存する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
本実施形態の情報処理装置30はさらに、
図10、
図11で行った凹凸計測データのクレンジングを逆方向(末尾から先頭まで)からも実施して第2クレンジングデータを作成する。
図13は、第2クレンジングデータが作成される過程を説明する図である。
図13(a)に示すように、情報処理装置30は、起点としての計測点N10の計測値と、凹凸計測データの計測点N9の計測値を比較する。
計測点N9の計測値は、計測点N
10の計測値よりも小さいので、情報処理装置30は、計測点N10の計測値を起点とした遡り漸減関数Yの対応点L9の演算値を保存する。
漸減関数Yは、漸減関数Xと同じ係数(二次関数の場合、y=−ax
2におけるaの値)を有する関数である。漸減関数Xが所定の関数の横軸(距離又は時間)プラス方向の部分(第1象限、第4象限)であるのに対して、漸減関数Yが同じ関数の横軸(距離又は時間)マイナス方向の部分(第2象限、第3象限)である。
一度演算値を保存したので、
図13(b)に示すように、情報処理装置30は、計測点N10の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L8の演算値と、計測点N8の計測値を比較する。対応点L8の演算値が計測点N8の計測値よりも大きいので、情報処理装置30は、対応点L8の演算値を保存する。
図13(c)に示すように、情報処理装置30は、計測点N10の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L7の演算値と、計測点N7の計測値を比較する。計測点N7の計測値がより大きいので、情報処理装置30は計測点N7の計測値を保存する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図10、
図11と同様に計測値又は演算値を保存していき、
図13(d)に示すような第2クレンジングデータを得る。
図13(d)において、情報処理装置30は、計測点N7の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L6の演算値が計測点N6の計測値よりも大きいので対応点L6の演算値を保存し、計測点N5の計測値よりも、計測点N7の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L5の演算値が大きいので対応点L5の演算値を保存する。
計測点N4の計測値が、計測点N7の測定値から始まる漸減関数Yの対応点L
4の演算値よりも大きいので、情報処理装置30は、計測点N4の計測値を保存する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
図16、
図17、
図18は、本実施形態の路面計測システムにおいて、情報処理装置が行うデータクレンジング処理を説明するフローチャートである。
なお、以下のフローチャートにおいて、クレンジング対象となる凹凸計測データのうちの最初の計測点とは
図10〜
図15における計測点N0であり、最後の計測点とは
図10〜
図15における計測点N10である。
CPU31は、ステップS101において、計測データ記憶部51からクレンジング対象となる凹凸計測データをRAM32に読み込み、第1クレンジングデータの作成を開始する。
次にCPU31は、ステップS102において、クレンジング対象となる凹凸計測データのうちの最初の(先頭の)計測点の計測値をデータ処理の起点に設定する。
次にCPU31は、ステップS103において、起点の次の計測点の計測値と、起点の計測点の計測値を比較する。
比較の結果、CPU31は、ステップS104において、次の計測点の計測値が、起点の計測点の計測値よりも大きいか否かを判定する。
計測点の計測値が起点の計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS104でYes)、CPU31は、ステップS105において、計測点の計測値を第1クレンジングデータ記憶部
52に保存する。
次にCPU31は、ステップS106において、これが(計測値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最後の計測点であるか否か判定する。
最後の計測点ではないと判定した場合(ステップS106でNo)、CPU31は、ステップS107において、計測値を保存した計測点を新たな起点に設定してステップS103に処理を戻す。
最後の計測点であると判定した場合(ステップS106でYes)、CPU31は、第1クレンジングデータの作成を終了し、ステップS121に処理を移して第2クレンジングデータの作成を開始する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
ステップS104において、起点の計測値が計測点の計測値がよりも大きいと判定した場合(ステップS104でNo)、CPU31は、ステップS108において、起点の計測値からの漸減関数における計測点に対応する演算値を、その計測点の対応値として第1クレンジングデータ記憶部
52に保存する。
次にCPU31は、ステップS109において、これが(演算値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最後の計測点であるか否か判定する。
最後の計測点であると判定した場合(ステップS109でYes)、CPU31は、第1クレンジングデータの作成を終了し、ステップS121に処理を移して第2クレンジングデータの作成を開始する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
最後の計測点ではないと判定した場合(ステップS109でNo)、CPU31は、ステップS110において、次の計測点の計測値と、その計測点に対応する、起点からの漸減関数の演算値と、を比較する。
演算値が計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS111でNo)、CPU31は、ステップS112において、演算値を、その計測点の対応値として第1クレンジングデータ記憶部
52に保存する。
計測値が演算値よりも大きいと判定した場合(ステップS111でYes)、CPU31は、ステップS113において、その計測点の計測値を第1クレンジングデータ記憶部
52に保存する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
次にCPU31は、ステップS121において、クレンジング対象となる凹凸計測データのうちの最後の(末尾の)計測点の計測値をデータ処理の起点に設定する。
次にCPU31は、ステップS122において、起点の一つ前の計測点の計測値と、起点の計測点の計測値を比較する。
比較の結果、CPU31は、ステップS123において、一つ前の計測点の計測値が、起点の計測点の計測値よりも大きいか否かを判定する。
計測点の計測値が起点の計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS123でYes)、CPU31は、ステップS124において、計測点の計測値を第2クレンジングデータ記憶部
53に保存する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
ステップS123において、起点の計測値が計測点の計測値がよりも大きいと判定した場合(ステップS123でNo)、CPU31は、ステップS127において、起点の計測値からの漸減関数における計測点に対応する演算値を、その計測点の対応値として第2クレンジングデータ記憶部
53に保存する。
次にCPU31は、ステップS128において、これが(演算値を保存した計測点が)、クレンジング対象となる凹凸計測データにおける最初の計測点であるか否か判定する。
最初の計測点であると判定した場合(ステップS128でYes)、CPU31は、第2クレンジングデータの作成を終了し、ステップS131に処理を移して最終的なクレンジングデータの作成を開始する。
最初の計測点ではないと判定した場合(ステップS128でNo)、CPU31は、ステップS129において、一つ前の計測点の計測値と、その計測点に対応する、起点からの漸減関数の演算値と、を比較する。
演算値が計測値よりも大きいと判定した場合(ステップS130でNo)、CPU31は、ステップS131において、演算値を、その計測点の対応値として第2クレンジングデータ記憶部
53に保存する。
計測値が演算値よりも大きいと判定した場合(ステップS130でYes)、CPU31は、ステップS132において、その計測点の計測値を第2クレンジングデータ記憶部
53に保存する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
CPU31は、ステップS141において、
図16の処理で得て第1クレンジングデータ記憶部
52に保存した第1クレンジングデータと、
図17の処理で得て第2クレンジングデータ記憶部
53に保存した第2クレンジングデータと、を比較する。
CPU31は、ステップS142において、第1クレンジングデータと、第クレンジングデータと、の同一の計測点において小さい方の値を保持してクレンジングデータを完成し、凹凸計測データのクレンジング処理を終了する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
L1…レーザ変位計、L2…レーザ変位計、1…路面計測システム、4A…レーザ変位計、4a…レーザ変位計、8…外部メモリ、10a…データロガー、10b…データロガー、16…車体、17…車体前部、18a…車輪対、18b…車輪対、19…車体中間部、21…車体後部、22a…車軸、22b…車軸、24…車両、25…路面、27…溝
部、30…情報処理装置、
30A…制御部、30B…記憶部、31…CPU、32…RAM、33…HDD、34…I/Oインターフェイス、35…読書装置、41…データ取得処理部、42…比較値演算処理部、43…データ比較保存処理部、44…補正データ生成処理部、
51…計測データ記憶部、52…第1クレンジングデータ記憶部、53…第2クレンジングデータ記憶部、200…記憶媒体