【解決手段】枕販売業者のシステムサーバと、複数のユーザ端末とが公衆通信回線網を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている枕高調整システムにおいて、システムサーバは、ユーザの身体情報を登録するユーザ情報登録手段と、ユーザの就寝形態において、枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるようにユーザに指示する枕高調整手段を備え、枕高調整手段により、ユーザ端末の撮像手段でユーザ自身が撮像した就寝形態の画像に基づいて、ユーザの就寝形態において、枕の高さがユーザの体形及び就寝形態に最適な高さとなるように、袋体内部の複数枚の弾性板体の枚数の変更を、ユーザ端末の表示手段でユーザに指示することを特徴とする枕高調整システム。
予め袋体内部に積層して収納した複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、ユーザの就寝形態における高さを調整可能とした枕を販売する枕販売業者が管理するシステムサーバと、
前記枕を購入した複数のユーザがそれぞれ所有するユーザ端末と、
が公衆通信回線網を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている枕高調整システムにおいて、
前記システムサーバは、
前記ユーザの個人情報を含む身体情報を登録するユーザ情報登録手段と、
前記ユーザの就寝形態において、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるように前記ユーザに指示する枕高調整手段と、
を備え、
前記ユーザ端末は、
前記ユーザの就寝形態を撮像する撮像手段と、
前記枕高調整手段により、前記撮像手段で撮像した画像に基づいて、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるように前記ユーザに指示する画像を表示する表示手段と、
を備え、
前記ユーザは、前記表示手段に表示された前記画像に基づいて、前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さになるように調整することを特徴とする枕高調整システム。
前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体は、厚みの異なる複数枚の弾性板体からなり、その内の少なくとも一以上の弾性板体は、吸湿機能を有する弾性板体としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の枕高調整システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、使用者の横向き姿勢(横臥姿勢)においてのみ専用治具である測定装置を用いて使用者による枕の高さを調節するものであり、使用者の仰向け姿勢(仰臥姿勢)の状態では、いくら多数の体格の異なる人より得られた基礎データに基づいて枕の前選定作業を行うとは言え、使用者の体形に適した高さの枕が選定されるとは限らない。
【0007】
さらに、使用者の横向き姿勢における枕の高さを調整するためには、専用治具である測定装置を用いて測定しなければならず、測定装置を操作する測定者も必要となり、使用者一人では枕の高さ調整が行うことが困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、枕を購入したユーザが、ユーザの体形及び就寝形態における最適な枕高さを簡易な操作で調整することができる枕高調整システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、予め袋体内部に積層して収納した複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、ユーザの就寝形態における高さを調整可能とした枕を販売する枕販売業者が管理するシステムサーバと、前記枕を購入した複数のユーザがそれぞれ所有するユーザ端末と、が公衆通信回線網を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている枕高調整システムにおいて、前記システムサーバは、前記ユーザの個人情報を含む身体情報を登録するユーザ情報登録手段と、前記ユーザの就寝形態において、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるように前記ユーザに指示する枕高調整手段と、を備え、前記ユーザ端末は、前記ユーザの就寝形態を撮像する撮像手段と、前記枕高調整手段により、前記撮像手段で撮像した画像に基づいて、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるように前記ユーザに指示する画像を表示する表示手段と、を備え、前記ユーザは、前記表示手段に表示された前記画像に基づいて、前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さになるように調整することを特徴とする枕高調整システムである。
【0010】
また、前記ユーザの就寝形態は、前記枕を使用した前記ユーザの仰向け寝又は横向き寝の就寝形態であり、前記ユーザは、前記表示手段に表示された前記ユーザの就寝形態のうち、前記枕の中央部における前記ユーザの仰向け寝の就寝形態の画像に基づいた前記枕高調整手段の指示に応じて、前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数の調整を行い、前記表示手段に表示された前記ユーザの就寝形態のうち、前記枕の左右端部における前記ユーザの横向き寝の就寝形態の画像に基づいた前記枕高調整手段の指示に応じて、前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体とは別体の小型弾性板体を前記枕の左右端部に追加又は前記枕の左右端部から抜き取る調整を行うことを特徴とする。
【0011】
また、前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体は、厚みの異なる複数枚の弾性板体からなり、その内の少なくとも一以上の弾性板体は、吸湿機能を有する弾性板体としたことを特徴とする。
【0012】
また、前記システムサーバは、前記ユーザによる前記枕の高さの調整結果を前記ユーザ端末から取得してユーザ毎に記憶する枕高記憶手段を備え、前記ユーザ情報登録手段と併せて統計処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、予め袋体内部に積層して収納した複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、ユーザの就寝形態における高さを調整可能とした枕を販売する枕販売業者が管理するシステムサーバと、枕を購入した複数のユーザがそれぞれ所有するユーザ端末と、が公衆通信回線網を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている枕高調整システムである。そして、枕販売業者から枕を購入する複数のユーザは、予め枕販売業者が管理するシステムサーバに、ユーザ端末を介してユーザの個人情報を含む身体情報を登録する。この際、ユーザ端末(例えば、スマートフォン等)は、システムサーバから枕高調整手段である枕高調整プログラム(所謂、アプリケーションプログラム)を取得(所謂、ダウンロード)する。この枕高調整プログラムは、ユーザ端末の撮像手段(カメラ機能等)でユーザ自身が撮像した就寝形態の画像に基づいて、ユーザの就寝形態において、枕の高さがユーザの体形に最適な高さとなるように、袋体内部の複数枚の弾性板体の枚数の変更(つまり、枕高さの調整)を、ユーザ端末の表示手段(液晶表示装置等)でユーザに指示する。
【0014】
また、システムサーバから枕高調整手段である枕高調整プログラムをユーザ端末にダウンロードするのではなく、ユーザ端末の撮像手段(カメラ機能等)で撮像した就寝形態の画像をシステムサーバに送信し、システムサーバにおいて枕高調整プログラムを作動させ、枕の高さがユーザの体形に最適な高さとなるように、袋体内部の複数枚の弾性板体の枚数の変更(つまり、枕高さの調整)を指示する画像を、システムサーバからユーザ端末に送信して表示手段(液晶表示装置等)でユーザに指示する方法でもよい。つまり、本発明の枕高調整手段である枕高調整プログラムは、ユーザ端末又はシステムサーバのいずれかで作動(実行)させてもよい。
【0015】
このような構成の枕高調整システムによれば、枕を購入したユーザは、ユーザ端末により自身の就寝形態を撮像するだけで、枕高調整手段である枕高調整プログラムによりユーザ端末の表示手段において、枕の袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数の変更(つまり、枕高さの調整)が表示されるので、この表示に従い、袋体内部から弾性板体を抜き出したり、又は、袋体内部に弾性板体を追加したりするだけで、容易にユーザの体形に最適な枕の高さの調整を可能としている。
【0016】
また、ユーザの就寝形態は、枕を使用したユーザの仰向け寝又は横向き寝の就寝形態であり、ユーザは、枕高調整手段である枕高調整プログラムによる枕の中央部における仰向け寝の就寝形態における表示手段に表示された画像に基づいて、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を変更し、枕高調整手段である枕高調整プログラムによる枕の左右端部における横向き寝の就寝形態における表示手段に表示された画像に基づいて、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体とは別体の小型弾性板体を枕の左右端部に追加又は前記枕の左右端部から抜き取る調整を行うことで、枕の高さが当該ユーザの就寝形態に応じた最適な高さになるように調整する。
【0017】
本発明に使用される枕は、ワイドサイズ(例えば、300mm×600mm)以上の大きさの枕であり、ユーザが寝返りを打った場合でも、ユーザの頭部が枕から落ちてしまわない大きさの枕が好適に用いられる。そして、ユーザの就寝形態は、枕を使用したユーザの仰向け寝又は横向き寝を想定している。このため、本発明の枕高調整システムにおいては、まず、枕の中央部におけるユーザの仰向け寝の就寝形態を、ユーザの胸部から頭部にかけて水平にユーザ端末の撮像手段(所謂、カメラ)で撮像する。ここで撮像されたユーザの仰向け寝の就寝形態は、枕高調整手段である枕高調整プログラムにより、ユーザの枕の中央部における仰向け寝の就寝形態の画像上に、ユーザが枕に載置した頭部から引いた床面と平行な水平線と、ユーザの首の角度を示す斜線とを引き、この水平線と斜線との交点における角度が、所定範囲の角度(10度〜15度)の範囲に収まっているか否かが判定される。そして、枕高調整プログラムは、所定範囲の角度に収まっていた場合は、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数が最適であると判断する。また、実際の画像のユーザの首の角度が所定範囲の角度の最大値(15度)より大きければ、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を少なくする(つまり、枕の高さを低くする)調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末の表示手段においてユーザに指示する。一方、実際の画像のユーザの首の角度が所定範囲の角度の最小値(10度)より小さければ、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を多くする(つまり、枕の高さを高くする)調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末の表示手段においてユーザに指示する。
【0018】
続いて、ユーザの枕の中央部における仰向け寝の就寝形態における枕の高さ調整が終わると、ユーザは枕の中央部における仰向け寝の就寝形態から左右何れかに寝返りを打ち、横向き寝の就寝形態をとる。この場合、当然のことながらユーザの頭部は枕の中央部から左右端部に移動することになる。つまり、ユーザの横向き寝の就寝形態には、ユーザの右側頭部を枕に載置した場合のユーザの顔が右に向いた横向き寝(以下、右横向き寝という)と、ユーザの左側頭部を枕に載置した場合のユーザの顔が左に向いた横向き寝(以下、左横向き寝という)との2種類が想定される。
【0019】
一般に、ユーザの仰向け寝と横向き寝との就寝形態では、横向き寝の方が仰向き寝よりもユーザの左右の肩幅分枕を高くする必要がある。このため、本発明では、予め枕の左右端部に、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体とは別体の小型弾性板体を数枚配設し、枕の中央部より左右端部の方が高くなるようにしている。そして、ユーザの枕の左右端部の左右横向き寝の就寝形態を、ユーザの胸部から顔(頭部)が収まるように水平方向にユーザ端末の撮像手段(所謂、カメラ)で撮像する。ここで撮像されたユーザの左右横向き寝の就寝形態は、枕高調整手段である枕高調整プログラムにより、ユーザの枕の左右端部における横向け寝の就寝形態の画像上に、ユーザの胸骨の中心を通る床面との平行線を引き、この平行線がユーザの顔の鼻の中心を通るか否かが判定される。そして、枕高調整プログラムは、平行線がユーザの顔の鼻の中心を通っていた場合は、横向き寝における枕の高さが最適であると判断する。ユーザの顔の鼻の中心が平行線より下方に位置する場合は、枕の左右端部の小型弾性板体の枚数を増加(つまり、枕の高さを高くする)する調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末の表示手段においてユーザに指示する。一方、ユーザの顔の鼻の中心が平行線より上方に位置する場合は、枕の左右端部の小型弾性板体の枚数を減少(つまり、枕の高さを低くする)する調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末の表示手段においてユーザに指示する。
【0020】
つまり、本発明では、ユーザの異なる就寝形態(仰向け寝、左右横向き寝)に対応して、ユーザ毎に最適な枕の高さを調整することができる。これにより、ユーザの就寝時における首(主に、頚椎)にかかる負荷を軽減することができ、快適な睡眠をユーザに提供することで、睡眠による十分な疲労回復効果を期待することができる。
【0021】
また、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体は、厚みの異なる複数枚(例えば、7枚)の弾性板体としており、例えば、弾性板体を厚みが5mm〜40mmの5mm単位で厚みの異なる複数枚(例えば、7枚)で構成することで、最低5mm単位で枕の高さの調整を行うことができ、より繊細にユーザの体形及び就寝形態に応じた最適な高さの枕の調整が可能となる。
【0022】
また、複数枚の弾性板体の内の少なくとも一以上の弾性板体は、吸湿機能を有する弾性板体としている。吸湿機能を有する弾性板体としては、ポリエステルを70%以上含有する合成繊維が好適に用いられる。また、複数枚の弾性板体の最下層の土台部分となる弾性板体は、硬質のポリウレタンが好適に用いられる。さらに、複数枚の弾性板体の最上層のユーザの頭部に接する弾性板体は、ユーザの頭部を柔らかく包み込むために、軟質のポリウレタンが好適に用いられる。また、複数枚の弾性板体の最上層の直下(つまり、最上層下の二番目の位置)の弾性板体は、ユーザの嗜好に応じた硬質又は軟質のポリウレタンのいずれを選択可能としている。
【0023】
また、複数枚の弾性板体を収納する袋体は、伸縮自在の内側カバーと外側カバーとの二重構造とし、ユーザが頭部を載置する際に、袋体内部に収納される複数枚の弾性板体の水平方向のずれ等を防止し、ユーザの頭部を安定して載置できる構成が望ましい。
【0024】
また、システムサーバは、ユーザによる枕の高さの調整結果をユーザ端末から取得してユーザ毎に記憶する枕高記憶手段を備えている。また、システムサーバには、予め枕を購入した複数のユーザの個人情報を含む身体情報が登録されている。この身体情報は、ユーザの性別、年齢、身長、体重、頭囲、頭長、頭幅等である。そして、ユーザの身体情報と、枕高記憶手段に記憶されているユーザ毎に登録された調整結果とを関連付けて統計処理を行うことにより、例えば、ユーザの性別、年齢別、体形別(身長、体重、頭部の各サイズである頭囲、頭長、頭幅等)別に、ユーザに最適な高さの枕を選択することができる。これにより、枕の購入を所望する新規ユーザに対して、この統計処理に基づいた枕を提供することで、新規ユーザの体形に合った高さの枕を提供することができる。また、枕の最購入を希望する既存ユーザに対しても、既存ユーザの体形に合った高さの枕を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の要旨は、予め袋体内部に積層して収納した複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、ユーザの就寝形態における高さを調整可能とした枕を販売する枕販売業者が管理するシステムサーバと、前記枕を購入した複数のユーザがそれぞれ所有するユーザ端末と、が公衆通信回線網を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている枕高調整システムにおいて、前記システムサーバは、前記ユーザの個人情報を含む身体情報を登録するユーザ情報登録手段と、前記ユーザの就寝形態において、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるように前記ユーザに指示する枕高調整手段と、を備え、前記ユーザ端末は、前記ユーザの就寝形態を撮像する撮像手段と、前記枕高調整手段により、前記撮像手段で撮像した画像に基づいて、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さとなるように前記ユーザに指示する画像を表示する表示手段と、を備え、前記ユーザは、前記表示手段に表示された前記画像に基づいて、前記袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、前記枕の高さが当該ユーザの体形に最適な高さになるように調整することを特徴とする枕高調整システムに関する。
【0027】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳説する。
図1は、本実施形態の枕高調整システムの構成を示す図である。
図2は、本実施形態の枕高調整システムのシステムサーバ及びユーザ端末の電気的構成を説明するブロック図である。
図3は、本実施形態の枕高調整システムで使用される枕の斜視図である。
図4は、本実施形態の枕高調整システムで使用される枕の
図3におけるA−A断面図である。
図5は、本実施形態の枕高調整システムで使用される枕の内部に収納される弾性板体の高さを説明する図である。
図6は、本実施形態の枕高調整システムで使用される枕におけるユーザの頭部の載置位置を説明する図である。
図7は、本実施形態の枕高調整システムのユーザの仰向け寝における枕の高さ調整を説明する図である。
図8は、本実施形態の枕高調整システムのユーザの横向け寝における枕の高さ調整を説明する図である。
図9は、本実施形態の枕高調整システムのユーザの就寝形態の撮像を説明する図である。
【0028】
[1.枕高調整システムの構成]
以下、本実施形態における枕高調整システムの構成の概要を、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、枕高調整システム1は、枕販売業者100が管理するシステムサーバ10と、複数のユーザ200が所持するユーザ端末20とが公衆通信回線網50を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている。
【0029】
システムサーバ10としては、周知のコンピュータが好適に用いられる。なお、周知のコンピュータとしては、据え置き型のデスクトップパソコン等が好適に用いられるが、公衆通信回線網50を介してユーザ端末20と相互に通信可能な機能を備えたものであればよい。また、ユーザ端末20は、撮像手段(所謂、カメラ)を備えたスマートフォン、タブレット端末等が好適に用いられる。また、ユーザ端末20は、撮像手段(所謂、カメラ)で撮像したユーザ200の就寝形態を表示する表示手段としての液晶表示装置201を備えている。
【0030】
公衆通信回線網50は、周知のインターネット回線、携帯電話通信回線、電話回線、通信衛星回線等である。また、ユーザ端末20は、「無線LAN」の規格の一種であるWi−Fi(ワイファイ)等を介して公衆通信回線網50と接続される場合もある。
【0031】
枕販売業者100は、枕高調整システム1のシステムサーバ10を管理運用する事業者である。また、本実施形態における予め袋体内部に積層して収納した複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、ユーザ200の就寝形態における高さを調整可能とした枕30を販売する事業者である。なお、枕30を販売するだけではなく製造販売する事業者であってもよい。また、枕30の販売形態は、主に近年主流の電子商取引であるネット販売等を含む通信販売等で販売する事業者であるが、店頭販売を行う事業者であってもよい。
【0032】
複数のユーザ200は、枕販売業者100が販売する枕30の購入を希望するユーザである。そして、予め枕30の購入を所望する複数のユーザ200は、本実施形態の枕高調整システム1を利用するために、枕高調整システム1が運用するシステムサーバ10で開設された枕30のネット販売を行うホームページにおいて、ユーザ200の個人情報を含む身体情報を登録する。ここで登録される身体情報は、ユーザ200が所有するユーザ端末20により、システムサーバ10で開設された枕30のネット販売を行うホームページにアクセスすることで行われる。
【0033】
具体的には、枕高調整システム1において枕30の購入を希望するユーザ200は、枕高調整システム1が運用するシステムサーバ10で開設された枕30のネット販売用のホームページに、ユーザ端末20を介してアクセスする。そして、ホームページ上に開示されている複数の枕30から自身が所望する枕30を選択して購入を決定する。このとき、ユーザ200は、自身の身体情報をシステムサーバ10に登録する。このとき、システムサーバ10からユーザ端末20に枕高調整手段である枕高調整プログラムがダウンロードされる。
【0034】
なお、枕高調整手段である枕高調整プログラムをユーザ端末20にダウンロードするのではなく、ユーザ端末20の撮像手段(カメラ機能等)で撮像した就寝形態の画像をシステムサーバ10に送信し、システムサーバ10において枕高調整プログラムを作動させる方法でもよい。
【0035】
本実施形態の枕高調整プログラムは、ユーザ端末20の撮像手段(カメラ機能等)でユーザ200自身が撮像した就寝形態の画像に基づいて、ユーザ200の就寝形態において、枕の高さがユーザ200の体形に最適な高さとなるように、枕30の袋体内部の複数枚の弾性板体の枚数の変更をユーザ端末20の液晶表示装置201においてユーザ200に指示する機能を有する。
【0036】
本実施形態における枕30は、予め袋体内部に積層して収納されている複数枚の弾性板体で構成されている。そして、この複数枚の弾性板体の枚数の変更、つまり、袋体内部から弾性板体を抜き出したり、袋体内部に弾性板体を追加したりすることで、枕30の高さ(高低)を調整する構成としている。このため、上述したネット販売等でユーザ200が購入した枕30は、標準の袋体内部に積層して収納する弾性板体の枚数よりも多くの弾性板体が添付されて送付される。つまり、ユーザ200の就寝形態において、ユーザ200の身体情報に基づいた体形よりも高めになるような枚数の弾性板体が添付される。
【0037】
ユーザ200の身体情報は、ユーザ200の性別、年齢、身長、体重、頭囲、頭長、頭幅等で構成されている。このユーザ200の身体情報は、詳細は後述するが、ユーザ200毎に登録されたユーザ200自身による枕30の高さの調整結果と併せてシステムサーバ10において統計処理を行うことにより、枕30の購入を所望する新規ユーザ200に対して、予め統計処理に基づいた枕30を提供することで、新規ユーザ200の体形に合った高さの枕30を提供することができる。また、ユーザ200の身体情報に基づいた体形よりも高めになるように添付される弾性板体の枚数も最小限に抑えることができ、添付される弾性板体のロスを最低限に抑えることができる。
【0038】
ユーザ200の就寝形態は、枕30を使用したユーザの仰向け寝又は横向き寝の異なる就寝形態に応じて、枕30の高さを調整することもできる。すなわち、ユーザ200は、枕30の中央部における仰向け寝の就寝形態におけるユーザ端末20の表示手段(液晶表示装置等)に表示された画像に基づいて、枕30の袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数を変更し、枕30の左右端部における横向き寝の就寝形態におけるユーザ端末20の表示手段に表示された画像に基づいて、袋体内部に積層して収納される複数枚の弾性板体とは別体の小型弾性板体を枕の左右端部に追加又は前記枕の左右端部から抜き取る調整を行う。これにより、枕の高さが当該ユーザ200の体形や複数の異なる就寝形態に応じた最適な高さに調整可能とした枕30を提供することができる。
【0039】
[2.システムサーバ及びユーザ端末の電気的構成]
以下、
図2を参照して、本実施形態の枕高調整システム1における枕販売業者100が管理するシステムサーバ10及びユーザ端末20の電気的構成を説明する。
【0040】
システムサーバ10は、記憶部11、入出力制御部12、制御部13、外部通信制御部14等から構成されている。
【0041】
記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の大容量記憶装置により構成され、本実施形態において、枕高調整システム1に登録された複数のユーザ200の身体情報(性別、年齢、身長、体重、頭囲、頭長、頭幅等)が記憶されている。また、記憶部11には、枕高調整システム1におけるユーザ200による枕30の高さの調整結果もユーザ200ごとに記憶されている。さらに、ユーザ200による枕30の高さの調整結果とユーザ200の身体情報とを紐付けた統計処理の結果である統計処理情報等も記憶されている。
【0042】
入出力制御部12は、システムサーバ10に接続されている図示しない液晶表示装置や、キーボード/マウス、スピーカ/マイク等の外部入出力装置との各種データの入出力を制御する。
【0043】
制御部13は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部13のCPUは、ROM又は記憶部11に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、枕高調整手段である枕高調整プログラムにより、詳細は後述するが、枕30の袋体内部の複数枚の弾性板体の枚数の変更をユーザ端末20の液晶表示装置201においてユーザ200に指示する。また、ユーザ200による枕30の高さの調整結果とユーザ200の身体情報とを紐付けた統計処理を実行する。
【0044】
外部通信制御部14は、外部の公衆通信回線網50と接続され、制御部13の指示に基づいて、枕高調整システム1における複数のユーザ200が所有するユーザ端末20との通信を制御する。外部通信制御部14は、制御部13の指示に基づいて、ユーザ200が所有するユーザ端末20との各種情報の送受信を制御する。ここで受信された各種情報のうちのユーザ200による枕30の高さの調整結果の情報は、複数のユーザ200毎に紐づけられて記憶部11に記憶される。
【0045】
ユーザ端末20は、記憶部21、入出力制御部22、制御部23、外部通信制御部24、撮像部25等から構成されている。
【0046】
記憶部21は、フラッシュメモリやメモリーカード等の記憶装置により構成され、本実施形態において、撮像部25で撮像されたユーザ200の就寝形態の画像等を一時記憶するためのものである。
【0047】
入出力制御部22は、ユーザ端末20の液晶表示装置201への画像の出力や、液晶表示装置201のタッチパネル機能等によるユーザ200による操作の入力装等を、制御部23の指示に基づいて制御する。
【0048】
制御部23は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部23のCPUは、ROM又は記憶部11に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、枕高調整手段である枕高調整プログラムによるユーザ200による枕30の高さの調整をユーザ端末20の液晶表示装置201において指示することになる。
【0049】
外部通信制御部24は、外部の公衆通信回線網50と接続され、制御部23の指示に基づいて、枕高調整システム1におけるシステムサーバ10との通信(各種情報の送受信)を制御する。
【0050】
撮像部25は、周知のカメラ機能を制御するものであり、ユーザ端末20の液晶表示装置201等におけるユーザ200の操作に応じて、制御部23の指示に基づいて、ユーザ端末20の撮像手段として機能する。
【0051】
[3.枕の構成]
以下、
図3〜5を参照して、本実施形態の枕高調整システム1において使用される枕30の構成を説明する。枕30は、枕30を販売(又は、製造販売)する枕販売業者100が、予め袋体内部に積層して収納した複数枚の弾性板体の枚数を変更することで、ユーザ200の就寝形態における高さ(頭部の高さ)を調整可能としたものである。
【0052】
図3に示すように、本実施形態の枕30は、所定の厚みを備えた矩形(長方形)に形成され、複数枚の弾性板体を収納するために伸縮自在とした外側カバーB1に覆われている。枕30の大きさは、例えば、ワイドサイズ(300mm×600mm)以上が望ましく、ユーザ200が寝返りしても頭部が枕30から落ちてしまわない大きさのものが好適である。そして、ユーザの就寝形態は、枕30を使用したユーザ200の仰向け寝又は横向き寝を想定している。一般的に、仰向け寝よりも横向き寝の方がユーザ200の左右の肩幅分枕30を高くする必要がある。このため、枕30の表面は、長手方向の中央部30Aが左右端部30L,30Rよりも窪んだ形状に形成されている。これにより、ユーザ200は、枕30の中央部30Aで仰向け寝の就寝形態をとり、この状態から左右何れかに寝返りをして、枕30の中央部30Aから左右端部30L,30Rにおいて横向き寝の就寝形態をとることで、ユーザ200の異なる就寝形態(仰向け寝、左右横向き寝)に対応して、ユーザ200に最適な枕30の高さとなるように、枕30の高さを調整することができるようにしている。
【0053】
図4に示すように、7枚の弾性板体P1〜P7を収納する袋体は、伸縮自在の内側カバーB2と外側カバーB1との二重構造としている。これにより、ユーザ200が頭部を枕30の上に載置した場合に、内側カバーB2の内部における7枚の弾性板体P1〜P7が水平方向(枕30の長手方向)にずれ等が発生することを防止し、ユーザ200の頭部を安定して載置できるようにしている。
【0054】
内側カバーB2の内部に積層して収納される7枚の弾性板体P1〜P7はそれぞれの厚みが異なる。弾性板体P1〜P7は、例えば、厚みが5mm〜40mmの範囲内において5mm単位で高さの異なる7枚で構成されている。これにより、最低5mm単位で枕30の高さの調整を行うことができ、より繊細にユーザ200の体形及び就寝形態に最適な高さの枕30の調整を可能としている。
【0055】
一例としては、
図5に示すように、最上層(最上段)に位置する弾性板体P1の厚みはH1(例えば、10mm)、その下層の弾性板体P2の厚みはH2(例えば、20mm)、以下、その下層の弾性板体P3の厚みはH1(例えば、10mm)、その下層の弾性板体P4の厚みはH1(例えば、10mm)、その下層の弾性板体P5の厚みはH3(例えば、5mm)、その下層の弾性板体P6の厚みはH3(例えば、5mm)、最下層(最下段)に位置する弾性板体P7の厚みはH2(例えば、20mm)というように、厚み(高さ)の異なる7枚の弾性板体P1〜P7としている。
【0056】
7枚の弾性板体P1〜P7は、例えば、合成繊維(ポリウレタン、ポリエステル等)で垂直方向に伸縮可能、つまり、弾性機能があり所定厚み(5mm〜40mm)を有する矩形(長方形)に形成されている。7枚の弾性板体P1〜P7の大きさ(サイズ)は、ワイドサイズ(300mm×600mm)の場合は、短手方向(幅)が略300mmであり、長手方向(長さ)が略600mmである。また、7枚の弾性板体P1〜P7のうち、弾性板体P5及び弾性板体P6は、吸湿機能を有する。この吸湿機能を有する弾性板体P5、P6としては、ポリエステルを70%以上含有する合成繊維が好適に用いられる。また、弾性板体P1〜P7の最下層(最下段)の土台部分となる弾性板体P7としては、硬質のポリウレタンが好適に用いられる。また、複数枚の弾性板体P1〜P7の最上層のユーザの頭部に接する弾性板体P1は、ユーザの頭部を柔らかく包み込むために、軟質のポリウレタンが好適に用いられる。さらに、弾性板体P1〜P7の最上層(最上段)直下の二番目の弾性板体P2としては、ユーザ200の嗜好に応じた硬質又は軟質のポリウレタンをユーザが選択可能としている。なお、本実施形態で適宜使用される硬質又は軟質のポリウレタンはいずれも高反発素材であるが、最上層のユーザの頭部に接する弾性板体P1のみ、軟質かつ低反発素材のポリウレタンが好適に用いられる。
【0057】
また、上述したように、ユーザ200の仰向け寝と横向き寝との就寝形態では、横向き寝の方が仰向き寝よりもユーザ200の左右の肩幅分枕30を高くする必要がある。このため、予め枕30の左右端部30L,30Rの土台部分となる最下層の弾性板体P7の上部には、7枚の弾性板体P1〜P7とは別体の2枚の小型弾性板体SP1、SP2を配設している。この小型弾性板体SP1、SP2は、弾性板体P1〜P7の略1/3のサイズであり、幅は弾性板体P1〜P7の短手方向と同じ略300mm、長さは弾性板体P1〜P7の長手方向の略1/3である略200mmである。また、2枚の小型弾性板体SP1、SP2のうち、上層に位置する小型弾性板体SP1の厚みはH3(例えば、5mm)、その下層の小型弾性板体SP2の厚みはH1(例えば、10mm)である。
【0058】
このように、枕30の左右端部30L,30Rの土台部分となる最下層の弾性板体P7の上部に、2枚の小型弾性板体SP1、SP2を設けることにより、枕30の長手方向の中央部30Aよりも左右端部30L,30Rの方を高くする形状に形成することができる。
【0059】
[4.枕の高さ調整]
以下、
図6〜9を参照して、本実施形態の枕高調整システム1におけるユーザ200による枕30の高さ調整を説明する。枕高調整システム1においては、ユーザ200の異なる就寝形態(仰向け寝、左右横向き寝)に対応して、ユーザ200毎に最適な枕30の高さを調整することができる。
【0060】
図6(a)に示すように、ユーザ200の就寝形態が仰向け寝の場合は、ユーザ200は、枕30の表面の長手方向の中央部30Aに、頭部YHの後頭部を載置した状態で枕30の高さを調整する。一方、
図6(b)に示すように、ユーザ200の就寝形態が横向き寝の場合は、ユーザ200は、枕30の表面の長手方向の左右端部30L,30Rのいずれかに、頭部YHの左右側頭部を載置した状態で枕30の高さを調整する。
【0061】
図9に示すように、本実施形態においては、ユーザ200が枕30を載置したマットMに横たわった状態で、頭部YHを枕30に載せた就寝形態をとる。そして、このユーザ200の就寝形態を、マットMの左右側面に配置(図中は右側面)した、ユーザ端末20(例えば、スマートフォン)の撮像機能(カメラK)で撮像する。このとき、周知の自撮り用の三脚20Aにユーザ端末20を付設して用いることで、より安定したユーザ200の就寝形態を撮像することができる。このとき、ユーザ200の就寝形態の撮像範囲は、少なくともユーザ200の頭部YHを含む上半身である。
【0062】
ユーザ200は、ユーザ端末20に枕高調整である枕高調整プログラムがダウンロードされていた場合は、枕高調整プログラムを起動して枕30の高さ調整を行う。枕高調整プログラムの起動は、システムサーバ10からユーザ端末20に枕高調整プログラムをダウンロードした際に、ユーザ端末20の表示手段(液晶表示装置201)に登録された枕高調整プログラムのアイコンをユーザ200が選択することで枕高調整プログラムが起動する。また、枕高調整プログラムをシステムサーバ10で起動する場合は、システムサーバ10は、ユーザ端末20からユーザ200の就寝形態を撮像した画像を受信(取得)したことを契機として枕高調整プログラムを起動する。
【0063】
まず、ユーザ200は、枕30の中央部30Aにおける仰向け寝の就寝形態を撮像する。これにより、
図7に示すように、ユーザ端末20の表示手段には、ユーザ200の上半身を撮像した画像が表示される。枕高調整プログラムは、ユーザ200の枕30の中央部30Aにおける仰向け寝の就寝形態の画像上に、ユーザ200が枕30に載置した首YNの略中央部から引いたマットM(床面)と平行な水平線Hと、ユーザ200の首YNの角度を示す斜線Sを引き、この水平線Hと斜線Sとの交点XPにおける角度が、所定範囲の角度(10度〜15度)の範囲に収まっているか否かを判定する。
【0064】
図7(a)は、画像上のユーザ200の首YNの角度θ1が所定範囲の角度の最小値(10度)より小さい場合に、ユーザ端末20の表示手段に表示される画像を示している。
図7(b)は、画像上のユーザ200の首YNの角度θ2が所定範囲の角度に収まっていた場合に、ユーザ端末20の表示手段に表示される画像を示している。
図7(c)は、画像上のユーザ200の首YNの角度θ3が所定範囲の角度の最大値(15度)より大きい場合に、ユーザ端末20の表示手段に表示される画像を示している。
【0065】
枕高調整プログラムは、
図7(a)に示す画像上のユーザ200の首YNの角度θ1が所定範囲の角度の最小値(10度)より小さい場合は、内側カバーB2内部に積層して収納される7枚の弾性板体P1〜P7に、予備の弾性板体を追加、つまり、弾性板体の枚数を多くして枕30の中央部30Aを高くする調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末20の表示手段においてユーザ200に指示する。ここで、本実施形態における内側カバーB2内部に追加される予備の弾性板体の枚数や厚みは、特に限定されるものではないが、枕30の高さの微調整を可能とするために、厚みが5mmや10mmの複数(例えば、2、3枚)の薄い弾性板体が、枕30を購入したユーザ200に予め提供される。
【0066】
枕高調整プログラムは、
図7(b)に示す画像上のユーザ200の首YNの角度θ2が所定範囲の角度に収まっていた場合は、内側カバーB2内部に積層して収納される複数枚の弾性板体の枚数が最適であると判断して、このことをユーザ端末20の表示手段においてユーザ200に指示する。
【0067】
枕高調整プログラムは、
図7(c)に示す画像上のユーザ200の首YNの角度θ3が所定範囲の角度の最大値(15度)より大きい場合は、内側カバーB2内部に積層して収納される7枚の弾性板体P1〜P7を抜き取る、つまり、弾性板体の枚数を少なくして枕30の中央部30Aを低くする調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末20の表示手段においてユーザ200に指示する。
【0068】
続いて、ユーザ200の枕30の中央部30Aにおける仰向け寝の就寝形態における枕30の高さ調整が終わると、ユーザ200は枕30の中央部30Aにおける仰向け寝の就寝形態から左右何れかに寝返りを打ち、横向き寝の就寝形態をとる。この場合、当然のことながら、
図6に示すように、ユーザ200の頭部YHは枕30の中央部30Aから左右端部30L,30Rのいずれかに移動することになる。つまり、ユーザ200の横向き寝の就寝形態には、右横向き寝と左横向き寝との2種類が想定される。
【0069】
ユーザ200は、枕30の左右端部30L,30Rのいずれか左右横向き寝の就寝形態を、ユーザ200の上半身(胸部から頭部)が収まるようにユーザ端末20のカメラKで撮像する。なお、以下の説明では、枕30の左端部30Lにユーザ200の左側頭部を載置した左横向き寝における枕30の高さ調整を説明する。なお、枕30の右端部30Rにユーザ200の右側頭部を載置した右横向き寝における枕30の高さ調整は同じ手順であるので説明は省略する。
【0070】
これにより、
図8に示すように、ユーザ端末20の表示手段には、ユーザ200の頭部YHを含む上半身を撮像した画像が表示される。枕高調整プログラムは、ユーザ200の枕30の左端部30Lにおける横向け寝の就寝形態の画像上に、ユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線を引き、この平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPを通るか否かを判定する。
【0071】
図8(a)は、画像上のユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPよりも高い場合に、ユーザ端末20の表示手段に表示される画像を示している。
図8(b)は、画像上のユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPと一致する場合に、ユーザ端末20の表示手段に表示される画像を示している。
図8(c)は、画像上のユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPよりも低い場合に、ユーザ端末20の表示手段に表示される画像を示している。
【0072】
枕高調整プログラムは、
図8(a)に示す画像上のユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPよりも高い場合は、内側カバーB2内部に積層して収納される最下層の弾性板体P7の上部に載置される小型弾性板体SP1、SP2に予備の小型弾性板を追加(つまり、枕30の右端部30Rにおける枕の高さを高くする)する調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末20の表示手段においてユーザ200に指示する。ここで、本実施形態における内側カバーB2内部に追加される予備の小型弾性板体の枚数や厚みは、特に限定されるものではないが、上述した弾性板体と同様に、枕30の高さの微調整を可能とするために、厚みが5mmや10mmの複数(例えば、2、3枚)の薄い小型弾性板体が、枕30を購入したユーザ200に予め提供される。
【0073】
枕高調整プログラムは、
図8(b)に示す画像上のユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPと一致する場合は、内側カバーB2内部に積層して収納される最下層の弾性板体P7の上部に載置される小型弾性板体SP1、SP2の枚数が最適であると判断して、このことをユーザ端末20の表示手段においてユーザ200に指示する。
【0074】
枕高調整プログラムは、
図8(c)に示す画像上のユーザ200の胸骨の中心MPを通る床面との平行線がユーザ200の顔の鼻の中心NPよりも低い場合は、内側カバーB2内部に積層して収納される最下層の弾性板体P7の上部に載置される小型弾性板体SP1、SP2のいずれかを抜き取る(つまり、枕30の右端部30Rにおける枕の高さを低くする)する調整を行う必要があると判断して、このことをユーザ端末20の表示手段においてユーザ200に指示する。
【0075】
なお、枕高調整プログラムによるユーザ200への指示は、例えば、ユーザ端末20の表示手段である液晶表示装置201(
図1参照)にテキストメッセージで表示してもよいし、音声メッセージを出音することで、ユーザ200に指示してもよい。
【0076】
最後に、ユーザ200により調整された枕30の表面の中央部30A、左右端部30L,30Rの弾性板体及び小型弾性板体の枚数、つまり、ユーザ200による枕30の調整結果は、ユーザ200がユーザ端末20において起動させた枕高調整プログラムを終了することで、自動的にユーザ端末20からシステムサーバ10に送信され、システムサーバ10において、ユーザ200毎に記憶されることになる。このこれにより、同じユーザ200が枕30の再購入を望んだ場合は、予めユーザ200の体形に調整済みの枕30を購入することができる。また、加齢等により、ユーザ200の体形が変化していた場合でも再調整が容易である。
【0077】
さらに、ユーザ200による枕30の調整結果は、予め枕30を購入した複数のユーザ200の身体情報と併せて統計処理を行うことにより、枕30の購入を所望する新規ユーザ200に対して、この統計処理に基づいた枕30を提供することで、新規ユーザ200の体形に最適に調整された高さの枕30を提供することができる。また、ユーザ200による枕30の高さを調整する必要があった場合でも、新規ユーザ200の負担を可及的に低減させることができる。
【0078】
システムサーバ10に登録された複数のユーザ200の身体情報とユーザ200毎に登録された調整結果と併せた統計処理では、例えば、ユーザ200の身体情報を、ユーザ200の性別、年齢別、体形別(身長、体重、頭部の各サイズである頭囲、頭長、頭幅等)別にグループ分けして、グループ毎にユーザ200の調整結果を集計して平均値を算出する。そして、新規ユーザ200の登録があった場合は、新規ユーザ200の身体情報が属するグループの平均値に調整した枕30を提供する。すなわち、枕30の購入を所望する新規ユーザ200に対して、この統計処理に基づいた枕30を提供することで、新規ユーザ200の体形に合った高さの枕30を提供することができ、ユーザ200による枕の高さを調整する負担を可及的に低減させることができる。また、枕30の高さ調整用の予備の弾性板体及び小型弾性板体の枚数も必要最低限に抑えることができる。
【0079】
すなわち、本実施形態の枕高調整システム1によれば、ユーザ200の異なる就寝形態(仰向け寝、左右横向き寝)に対応して、ユーザ200毎に最適な枕30の高さを調整することができる。これにより、ユーザ200の就寝時における首(主に、頚椎)にかかる負荷を軽減することができ、快適な睡眠をユーザ200に提供することで、睡眠による十分な疲労回復効果を期待することができる。
【0080】
なお、上述した実施形態においては、
図4に示すように、袋体の内部(伸縮自在の内側カバーB2の内部)に収容される弾性板体の枚数を7枚、左右の小型弾性板体の枚数を2枚として説明してきたが、これはあくまで一例であり、袋体の内部に収容される弾性板体及び小型弾性板体の枚数は特に限定されるものではなくユーザ200の体形(身体情報)に応じて適宜変更可能である。また、
図5に示すように、弾性板体及びの所定の厚みは、5mm〜40mm、小型弾性板体の所定の厚みは、5mm〜10mmとして説明してきたが、これもあくまで一例であり、ユーザ200の体形(身体情報)に応じて適宜変更可能である。また、袋体の内部に収容される弾性板体及び小型弾性板体の厚みに応じて、袋体の内部に収容される弾性板体及び小型弾性板体の枚数は増減する。
【0081】
また、上述してきた実施形態においては、ユーザ200の枕30の中央部30Aにおける仰向け寝の就寝形態において、ユーザ200の頭(首)の角度が、所定範囲の角度(10度〜15度)の範囲に収まる場合を最適な仰向け寝の就寝形態として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ユーザ200が自身にとって最も楽と感じた仰向け寝の就寝形態に調整してもよい。
【0082】
なお、上述してきた実施形態においては、ユーザ200の枕30の左右端部30L,30Rにおける横向け寝の就寝形態において、ユーザ200の胸骨の中心MPを通る平行線とユーザ200の顔の鼻の中心NPを通る平行線とが一致する場合を最適な横向け寝の就寝形態として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ユーザ200が自身にとって最も楽と感じた横向け寝の就寝形態であれば、多少上下にずれた状態でも構わない。さらに、ユーザ200の顔の中心NPは、鼻の位置に限定されるものではなく、例えば、両目の中心(眉間)をユーザ200の顔の中心NPとしてもよい。
【0083】
なお、上述してきた枕高調整システム1は、枕販売業者100が管理するシステムサーバ10と、複数のユーザ200が所持するユーザ端末20とを使用して、ユーザ200自身が枕30の高さを調整することを一例として説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮像機能(所謂、カメラ)を備えたスマートフォン、タブレット端末等のユーザ端末20の操作に習熟していない高齢者等のユーザ200の為に、枕販売業者100は、システムサーバ10を介してユーザ端末20と電話回線で会話しながら枕30の高さ調整を指導するオペレータを予め用意しておく。そして、ユーザ200による就寝形態の撮像の指示や枕高調整手段である枕高調整プログラムの解析結果を、オペレータがユーザ200に解り易いように説明することで、ユーザ200が枕30の高さを調整可能なようにサポートすることもできる。
【0084】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。