上記排出手段は、上記ろ過槽の両側に配置された一対のコンベアチェーンと、上記両コンベアチェーンのあいだに掛け渡されて上記剥離された堆積層をろ過槽の底部から除去するスクレイパと、上記ろ過槽に貯留された液体の液上でコンベアチェーンを駆動する駆動手段と、上記コンベアチェーンをろ過槽底部近傍でガイドする複数の第1ガイドスプロケットと、上記コンベアチェーンを上記駆動手段近傍の液上でガイドする第2ガイドスプロケットと、上記コンベアチェーンを上記ろ過槽底部近傍において、上記第2ガイドスプロケットに向かって傾斜を始める位置でガイドする第3ガイドスプロケットとを含んで構成されている。
【背景技術】
【0002】
研削盤や旋盤等の工作機械に用いられる切削液のろ過装置として、フィルタチューブの外周面に珪藻土のプリコート層を形成し、このプリコート層に切削液を透過させてろ過するものが用いられる。このようなろ過装置として、本出願人は下記の特許文献1記載の装置を開発した。
【0003】
上記特許文献1にはつぎの記載がある。
〔0021〕
図1は、本発明のろ過装置の一実施の形態を示す。このものは、中空状のフィルタユニット1と、上記フィルタユニット1が収容されるろ過するとともにダーティ液が貯留されるろ過槽2と、上記フィルタユニット1内を吸引する吸引ポンプ3と、上記フィルタユニット1の周辺に供給されるろ過助剤のスラリーを貯留するスラリータンク4とを備えている。そして、上記フィルタユニット1の表面に、粉粒状のろ過助剤の堆積層を形成させ、上記堆積層で液体をろ過するようになっている。
〔0022〕
より詳しく説明すると、上記ろ過槽2には2基のフィルタユニット1が収容され、導入ライン11により、工作機械から排出された研削液等のダーティ液が導入されるようになっている。また、上記ろ過槽2の底部には、フィルタユニット1から除去された使用済みのろ過助剤を排出する排出コンベア12が設けられている。
〔0028〕
・・・上記負圧の解除とフィルタユニット1の揺動とにより、ろ過助剤の堆積層が剥がれて排出コンベア12上に落下するようになっている。
〔0035〕
・・・一方、排出コンベア12を稼動することにより、排出コンベア12上の使用済みのろ過助剤をろ過槽2から排出する。
【0004】
上記従来の装置では、ろ過槽2内のスラッジを排出するため、たとえば、つぎのような構造が採用されている。
つまり、ろ過槽2の両サイドにコンベアチェーンを配置し、上記両コンベアチェーン間にろ過槽2の底部を掻きとる断面L字状のスクレイパを掛け渡すことが行われる。上記ろ過槽2内は液体(クーラント液)で満たされるため、コンベアチェーンの駆動装置を液面上に配置し、上記コンベアチェーンをガイドするレールを液面下に設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の装置には、つぎの問題がある。
上記の従来技術では、コンベアチェーンがレールの上をすべって移動する。液中には微細なスラッジや砥粒が存在し、コンベアチェーンが移動するときに、レールとのあいだに挟まったスラッジや砥粒が研磨作用をし、コンベアチェーンのローラ、ピン、ブッシュ等を摩耗させる。上記コンベアチェーンの寿命は、場合によっては1年程度である。稼働途中にコンベアチェーンが破断することもあるため、コンベアチェーンは頻繁に交換しなければならない。コンベアチェーンの交換は、ろ過槽2内の液体を抜き取った状態で行う。つまり、コンベアチェーン自体の交換に要する費用だけでなく、液体を入れ替える作業や費用が必要になる。このため、コンベアチェーンの寿命延長が強く求められていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、コンベアチェーンの寿命を延長できるろ過装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1記載のろ過装置は、つぎの構成を採用した。
フィルタ板の板面に、粉粒状のろ過助剤の堆積層を形成させ、上記堆積層で液体をろ過するろ過装置であって、
少なくとも表面の一部にフィルタ板を備えた中空状のフィルタユニットと、
ろ過する液体が貯留されるとともに上記フィルタユニットが収容されるろ過槽と、
上記フィルタユニット内を吸引する吸引ポンプと、
上記フィルタ板の板面近傍にろ過助剤を吐出する助剤吐出手段と、
上記フィルタ板の板面から使用済みの上記堆積層を剥離する剥離手段と、
上記フィルタ板の板面から剥離された上記堆積層を上記ろ過槽から排出する排出手段とを備え、
上記排出手段は、
上記ろ過槽の両側に配置された一対のコンベアチェーンと、
上記両コンベアチェーンのあいだに掛け渡されて上記剥離された堆積層をろ過槽の底部から除去するスクレイパと、
上記ろ過槽に貯留された液体の液上で上記コンベアチェーンを駆動する駆動手段と、
上記コンベアチェーンを、上記フィルタユニットより下側のろ過槽底部近傍でガイドする複数の第1ガイドスプロケットと、
上記コンベアチェーンを、上記駆動手段近傍の液上でガイドする第2ガイドスプロケットと、
上記コンベアチェーンを、上記ろ過槽底部近傍において、上記第2ガイドスプロケットに向かって傾斜を始める位置でガイドする第3ガイドスプロケットとを含んで構成されている。
【0009】
請求項2記載のろ過装置は、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記排出手段は、
上記第2ガイドスプロケットと上記第3ガイドスプロケットのあいだで傾斜する上記コンベアチェーンの上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを規制する規制部材をさらに含んで構成されている。
【0010】
請求項3記載のろ過装置は、請求項1または2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記排出手段は、
上記第2ガイドスプロケットと上記第3ガイドスプロケットのあいだで傾斜する上記コンベアチェーンの上側移動部分にある上記スクレイパを下からガイドするガイドレールをさらに含んで構成されている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のろ過装置は、フィルタ板の板面に、粉粒状のろ過助剤の堆積層を形成させ、上記堆積層で液体をろ過するろ過装置である。このろ過装置は、フィルタユニット、ろ過槽、吸引ポンプ、助剤吐出手段、剥離手段、排出手段を備えている。上記フィルタユニットは、中空状で少なくとも表面の一部にフィルタ板を備えている。上記ろ過槽は、上記フィルタユニットが収容されてろ過する液体が貯留される。上記吸引ポンプは、上記フィルタユニット内を吸引する。上記助剤吐出手段は、上記フィルタ板の板面近傍にろ過助剤を吐出する。上記剥離手段は、上記フィルタ板の板面から使用済みの上記堆積層を剥離する。上記排出手段は、上記フィルタ板の板面から剥離された上記堆積層を上記ろ過槽から排出する。
【0012】
このろ過装置は、上記排出手段は、コンベアチェーン、スクレイパ、駆動手段、第1ガイドスプロケット、第2ガイドスプロケット、第3ガイドスプロケットを含んで構成されている。上記コンベアチェーンは、上記ろ過槽の両側に一対となって配置される。上記スクレイパは、上記両コンベアチェーンのあいだに掛け渡されて上記剥離された堆積層をろ過槽の底部から除去する。上記駆動手段は、上記ろ過槽に貯留された液体の液上で上記コンベアチェーンを駆動する。上記第1ガイドスプロケットは複数あって、上記フィルタユニットより下側のろ過槽底部近傍で上記コンベアチェーンをガイドする。上記第2ガイドスプロケットは、上記駆動手段近傍の液上で上記コンベアチェーンをガイドする。上記第3ガイドスプロケットは、上記ろ過槽底部近傍において、上記第2ガイドスプロケットに向かって傾斜を始める位置で上記コンベアチェーンをガイドする。
【0013】
このように、複数の第1ガイドスプロケット、第2ガイドスプロケット、第3ガイドスプロケットにより、上記コンベアチェーンをガイドする。このようにすることにより、各スプロケット間でコンベアチェーンを少しずつ弛ませ、従来技術のレールを廃した。したがって、コンベアチェーンがレール上を滑って移動する従来技術よりも、チェーンの摩耗が大幅に抑制される。したがって、コンベアチェーンの寿命が延び、交換周期を延長してそのコストを大幅に節減することができる。また、各スプロケット間でコンベアチェーンを少しずつ弛ませる弛みの分配により、コンベアチェーンが傾斜する部分の大きな弛みを防止する。これにより、コンベアチェーンの上側を移動する部分と下側を移動する部がすれ違うときに接触するのを防止し、接触に起因するコンベアチェーンの破断事故の発生を防止する。
【0014】
請求項2記載のろ過装置は、上記第2ガイドスプロケットと上記第3ガイドスプロケットのあいだで傾斜する上記コンベアチェーンの上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを規制する規制部材を含む。上記コンベアチェーンの上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを防止し、上記コンベアチェーンの上側移動部分がフィルタユニットに接触する事故の発生を防止する。
【0015】
請求項3記載のろ過装置は、上記第2ガイドスプロケットと上記第3ガイドスプロケットのあいだで傾斜する上記コンベアチェーンの上側移動部分にある上記スクレイパを下からガイドするガイドレールを含む。上記ガイドレールにより、コンベアチェーンの上側を移動する部分と下側を移動する部分がすれ違うときに接触するのを防止し、接触に起因するコンベアチェーンの破断事故の発生を防止する。上記ガイドレールがスクレイパをガイドし、コンベアチェーンとレールが接触しないため、コンベアチェーンの寿命を縮めない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
〔全体構造〕
図1は、本発明のろ過装置の一実施形態の全体構造を示す。
この装置は、フィルタ板17の板面に、粉粒状のろ過助剤の堆積層を形成させ、上記堆積層で液体をろ過するろ過装置である。この装置は、フィルタユニット1、ろ過槽2、吸引ポンプ3、助剤吐出手段15、剥離手段16、排出手段12を備えている。
【0019】
上記フィルタユニット1は、少なくとも表面の一部にフィルタ板17を備えた中空状のフィルタユニット1である。
上記ろ過槽2は、ろ過する液体が貯留されるとともに上記フィルタユニット1が収容される。上記ろ過槽2には、上記液体として、ろ過処理の対象となるダーティ液が貯留される。
上記吸引ポンプ3は、上記フィルタユニット1内を吸引する。
上記助剤吐出手段15は、上記フィルタ板17の板面近傍にろ過助剤を吐出する。
【0020】
上記剥離手段16は、上記フィルタ板17の板面から使用済みの上記堆積層を剥離する。
上記排出手段12は、上記フィルタ板17の板面から剥離された上記堆積層を上記ろ過槽2から排出する。
【0021】
上記ろ過槽2には、この例では2基のフィルタユニット1が収容されている。工作機械から排出された研削液等のダーティ液が、導入ライン11を通して上記ろ過槽2に、導入されるようになっている。
【0022】
そして、上記フィルタユニット1の表面に、粉粒状のろ過助剤の堆積層を形成させ、上記堆積層で液体をろ過するようになっている。上記堆積層でろ過されたクリーン液は、上記吸引ポンプ3で吸引されて、ポンプ連通路9および供給ライン13を通って、ふたたび工作機械等に供給される。
【0023】
一方、上記ろ過槽2の底部には、フィルタユニット1から剥離された使用済みのろ過助剤の堆積層を排出する排出手段12が設けられている。
【0024】
〔ろ過槽2〕
上記ろ過槽2は、上部が開放された金属製の缶体である。上記ろ過槽2には、複数(この例では2基)のフィルタユニット1が並べて収容されている。上記ろ過槽2は、上記複数並んだフィルタユニット1の列の一旦側(図の左側)に、底が徐々に浅くなる傾斜面2Aが設けられている。上記傾斜面2Aの上部には、排出手段12の一部が液面に露呈した排出部2Bが設けられている。
【0025】
上記ろ過槽2の底部に沿って上記排出手段12が設けられている。つまり、上記排出手段12は、複数並んだフィルタユニット1下側のフラット状底部2Cおよび上記傾斜面2Aの底部から、上記排出部2Bの近傍にわたって設けられている。
【0026】
〔助剤吐出手段15〕
上記助剤吐出手段15には、スラリータンク4からスラリーポンプ14を介してスラリー(クリーン液とろ過助剤の混合物である)としてろ過助剤が供給される。上記助剤吐出手段15により、上記フィルタユニット1の周辺にろ過助剤のスラリーを供給する。上記スラリータンク4には、あらかじめクリーン液とろ過助剤を所定の混合比率で混合して生成したスラリーが貯留される。上記スラリータンク4には、第1電磁開閉弁24を開弁して上記供給ライン13からクリーン液を補充される。また、上記スラリータンク4には、助剤タンク25に貯留されたろ過助剤がフィーダ26によって補充される。上記スラリータンク4には、第1フロースイッチ23が設けられている。上記第1フロースイッチ23が、スラリータンク4内のスラリーの液面低下を検知すると、第1電磁開閉弁24を開弁してクリーン液を補充し、フィーダ26を稼働して助剤タンク25からろ過助剤を補充する。
【0027】
〔剥離手段16〕
上記剥離手段16は、ブレイクタンク20、第2電磁開閉弁19、エアシリンダ10、圧力センサ18等を含んで構成されている。
【0028】
上記ブレイクタンク20は、クリーン液が収容されるとともに、その液面を検知する第2フロースイッチ21が設けられる。上記第2フロースイッチ21が、上記ブレイクタンク20内のクリーン液の液面低下を検知すると、第3電磁開閉弁22を開弁して供給ライン13からクリーン液が補充される。
【0029】
上記第2電磁開閉弁19は、上記ポンプ連通路9とブレイクタンク20の連通路を開閉する弁である。上記第2電磁開閉弁19を開弁することにより、上記ポンプ連通路9にクリーン液が供給される。これにより、上記ポンプ連通路9およびフィルタユニット1内の負圧が解除される。この負圧の解除により、使用済みの堆積層がフィルタ板17の表面から剥離される。
【0030】
上記エアシリンダ10は、上記フィルタユニット1の上部に取り付けられている。上記エアシリンダ10は、上記フィルタユニット1を上下に揺動しうるようになっている。つまり、上記ろ過助剤の堆積層のろ過能力が低下したときに、フィルタユニット1を揺動させて、使用済みの堆積層を剥離することができる。
【0031】
上記圧力センサ18は、上記ポンプ連通路9において、ポンプ連通路9内の圧力変化を検知する。上記フィルタパネル5に形成されたろ過助剤の堆積層が目詰まりしてくると、ポンプ連通路9およびフィルタユニット1内の負圧が上昇する。この負圧が上昇して所定値に達したことを上記圧力センサ18が検知すると、第2電磁開閉弁19を開弁してフィルタユニット1内の負圧を解除し、エアシリンダ10を稼動してフィルタユニット1を揺動させる。上記負圧の解除とフィルタユニット1の揺動とにより、使用済みの堆積層が剥がれ、ろ過槽2の底部に落下する。
【0032】
すなわち、上記剥離手段16では、上記ろ過助剤の堆積層のろ過能力は低下したときに、上記第2電磁開閉弁19を開弁してブレイクタンク20のクリーン液をポンプ連通路9に供給し、上記フィルタユニット1内の負圧を解除する。併せて、エアシリンダ10を稼動してフィルタユニット1を揺動させる。これにより、使用済みの堆積層を剥離する。剥離された使用済みの堆積層は、ろ過槽2の底部に落ちる。
【0033】
〔フィルタユニット1〕
図2は上記フィルタユニット1を示す図である。
【0034】
上記フィルタユニット1は、両面にフィルタ板17を供えた複数の薄箱状のフィルタパネル5が、相互に内部を連通させるよう平面視放射状に配設されて構成されている。この例では、上記フィルタユニット1は、平面視で放射状に配置された8つのフィルタパネル5と、それらの中心部に配置される筒体7とから構成されている。上記筒体7の周壁に対し、各フィルタパネル5の端部が、相互に中空状の内部が連通するように接続されている。
【0035】
上記各フィルタパネル5両面のフィルタ板17は、多数のパンチ孔6が穿設されたパンチング板に金網8が積層されて構成されている。上記フィルタユニット1は、上記フィルタ板17が横に向くよう(上記筒体7が縦になるよう)ろ過槽2に収容される。
【0036】
〔排出手段12〕
図3は、排出手段12の詳細を説明する縦断面図である。
図4は、上記排出手段12の詳細を説明するA−A断面図である。
図5は、コンベアチェーンとスクレイパの要部を説明する図であり、(a)は横から見た図、(b)は上から見た図である。
【0037】
上記排出手段12は、上記ろ過槽2の底部に沿って設けられている。具体的には、上述したように、上記排出手段12は、複数並んだフィルタユニット1下側のフラット状底部2Cおよび上記傾斜面2Aの底部から、上記排出部2Bの近傍にわたって設けられている。
【0038】
上記排出手段12は、コンベアチェーン31、スクレイパ35、駆動手段40、第1ガイドスプロケット51、第2ガイドスプロケット52、第3ガイドスプロケット53を含んで構成されている。また、上記排出手段12は、規制部材61、ガイドレール65をさらに含んで構成されている。
【0039】
〔コンベアチェーン31〕
上記コンベアチェーン31は、ろ過槽2の両側に一対となって配置される。上記コンベアチェーン31は、上記ろ過槽2の底部に沿って設けられる。具体的には、複数並んだフィルタユニット1下側のフラット状底部2Cおよび上記傾斜面2Aの底部から、上記排出部2Bの近傍にわたって設けられる。上記コンベアチェーン31は、上記排出部2Bの近傍に設けられた駆動スプロケット41と、上記ろ過槽2の上記排出部2Bと反対側の端部近傍に設けられた端部スプロケット42とのあいだにわたって掛け渡されている。
【0040】
〔スクレイパ35〕
上記スクレイパ35は、上記両コンベアチェーン31のあいだに掛け渡されて、上記剥離手段16によって剥離されて落下した堆積層を、ろ過槽2の底部から除去する。上記スクレイパ35は、この例では、上記スクレイパ35として、断面L字状のL型アングルを用いている。上記コンベアチェーン31に設けられた羽根状のアタッチメント31Aに、上記L型アングルの横片を固定することにより、上記スクレイパ35を形成する。上記スクレイパ35は、ろ過槽2の側壁内面によってその両方の端部35Aがガイドされるようになっている(
図4参照)。つまり、上記スクレイパ35の両方の端部35Aが、ろ過槽2の側壁内面に沿ってその近傍を移動するように構成されている。
【0041】
〔駆動手段40〕
上記駆動手段40は、上記ろ過槽2に貯留された液体の液上で上記コンベアチェーン31を駆動する。つまり、上記駆動手段40は、上記駆動スプロケット41を駆動することにより、上記コンベアチェーン31を、上記駆動スプロケット41と端部スプロケット42とのあいだで走行させる。つまり、上記駆動スプロケット41と端部スプロケット42に掛け渡されたコンベアチェーン31の底部側が、端部スプロケット42から駆動スプロケット41に向かって移動するように走行させる。上記コンベアチェーン31の上側は、駆動スプロケット41から端部スプロケット42に向かって移動するよう走行する。これにより、上記両コンベアチェーン31に取り付けられたスクレイパ35が、複数並んだフィルタユニット1下側のフラット状底部2Cおよび上記傾斜面2Aの底部に沿って移動し、底部に落下した堆積層を除去して上記排出部2Aから排出する。
【0042】
上記両排出手段12には、上記ろ過槽2のフラット状底部2Cと上記傾斜面2Aの底部との境界の屈曲部に、上記両コンベアチェーン31の浮き上がりを防止する押えスプロケット43が設けられている。
【0043】
〔第1〜第3スプロケット51,52,53〕
【0044】
上記両コンベアチェーン31は、端部スプロケット42から駆動スプロケット41に向かって走行する上側部分が、第1〜第3スプロケット51,52,53によって支持され、少しずつ弛みが分散されている。
【0045】
上記第1ガイドスプロケット51は、上記フィルタユニット1より下側のろ過槽2のフラット状底部2C近傍で上記コンベアチェーン31をガイドする。上記第1ガイドスプロケット51は、複数(この例では3つ)設けられている。
【0046】
上記第2ガイドスプロケット52は、上記駆動手段40近傍の液上で上記コンベアチェーン31をガイドする。上記第2ガイドスプロケット52は、上記ろ過槽2の側壁内面に両端が軸支されたシャフト55に取り付けられている(
図4参照)。第1スプロケット51および第2スプロケット52も同様である。
【0047】
上記第3ガイドスプロケット53は、上記ろ過槽2のフラット状底部2C近傍において、上記第2ガイドスプロケット52に向かって傾斜を始める位置で上記コンベアチェーン31をガイドする。
【0048】
〔規制部材61〕
上記規制部材61は、上記第2ガイドスプロケット52と上記第3ガイドスプロケット53のあいだで傾斜する上記コンベアチェーン31の上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを規制する。上記規制部材61は、上記押えスプロケット43と対面する位置に設けられている。つまり、上記ろ過槽2のフラット状底部2Cと上記傾斜面2Aの底部との境界の屈曲部と対面する位置である。
【0049】
上記規制部材61は、ろ過槽2の両側壁内面にレールを取り付けることによって形成することができる(
図4参照)。上記レールには、たとえばL字アングルを用いることができる。上記規制部材61は、上記両コンベアチェーン31の上側部分(端部スプロケット42から駆動スプロケット41に向かって走行する部分)において、スクレイパ35の動きを上側から規制することにより、上記コンベアチェーン31の上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを規制する。
【0050】
〔ガイドレール65〕
上記ガイドレール65は、上記第2ガイドスプロケット52と上記第3ガイドスプロケット53のあいだで傾斜する上記コンベアチェーン31の上側移動部分にある上記スクレイパ35を下からガイドする。上記ガイドレール65は、上記駆動スプロケット41と第2スプロケット52のあいだと、上記第2スプロケット52と第3スプロケットのあいだにわたって設けられている。
【0051】
上記ガイドレール65は、ろ過槽2の両側壁内面にレールを取り付けることによって形成することができる(
図4参照)。上記ガイドレール65は、
上記両コンベアチェーン31の上側部分(端部スプロケット42から駆動スプロケット41に向かって走行する部分)において、スクレイパ35の動きを下側から規制することにより、上記コンベアチェーン31の上側移動部分が下がりすぎるのを規制する。
【0052】
〔ろ過助剤〕
上記ろ過助剤としては、大略粉粒状を呈するものであれば、特に限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、珪藻土,セルロース繊維,ゼオライト,活性炭,シリカゲル,ガラス繊維,セラミック繊維等各種のものを用いることができる。これらのなかでも、特に、セルロース繊維は、網目上にブリッジしやすいうえろ過助剤同士がからみやすく、フィルタ板17の板面に極めて迅速に堆積層が形成されるため、好適に用いられる。なお、本発明において、「粉粒状」とは、液体と混合してスラリーを形成する程度のものであればよく、微視的な形状は、繊維状,塊状,片状等各種の形状を呈するものを含む趣旨である。
【0053】
〔実施形態の効果〕
本実施形態のろ過装置は、複数の第1ガイドスプロケット51、第2ガイドスプロケット52、第3ガイドスプロケット53により、上記コンベアチェーン31をガイドする。このようにすることにより、各スプロケット51,52,53間でコンベアチェーン31を少しずつ弛ませ、従来技術のレールを廃した。したがって、コンベアチェーン31がレール上を滑って移動する従来技術よりも、チェーンの摩耗が大幅に抑制される。したがって、コンベアチェーン31の寿命が延び、交換周期を延長してそのコストを大幅に節減することができる。また、各スプロケット51,52,53間でコンベアチェーン31を少しずつ弛ませる弛みの分配により、コンベアチェーン31が傾斜する部分の大きな弛みを防止する。これにより、コンベアチェーン31の上側を移動する部分と下側を移動する部分がすれ違うときに接触するのを防止し、接触に起因するコンベアチェーン31の破断事故の発生を防止する。
【0054】
本実施形態のろ過装置は、上記第2ガイドスプロケット52と上記第3ガイドスプロケット53のあいだで傾斜する上記コンベアチェーン31の上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを規制する規制部材61を含む。上記コンベアチェーン31の上側移動部分が持ち上がり過ぎるのを防止し、上記コンベアチェーン31の上側移動部分がフィルタユニット1に接触する事故の発生を防止する。
【0055】
本実施形態のろ過装置は、上記第2ガイドスプロケット52と上記第3ガイドスプロケット53のあいだで傾斜する上記コンベアチェーン31の上側移動部分にある上記スクレイパ35を下からガイドするガイドレール65を含む。上記ガイドレール65により、コンベアチェーン31の上側を移動する部分と下側を移動する部分がすれ違うときに接触するのを防止し、接触に起因するコンベアチェーン31の破断事故の発生を防止する。上記ガイドレール65がスクレイパ35をガイドし、コンベアチェーン31とレールが接触しないため、コンベアチェーン31の寿命を縮めない。
【0056】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。たとえば、ろ過槽2内に収容するフィルタユニット1は、2基に限らず、1基でもよいし3基以上でもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、工作機械の切削液をろ過するものを例示したが、これに限定するものではなく、ろ過する液体としては、圧延機等のクーラント液や、ボイラの復水,めっき液,ビールや果汁等の飲料等各種の液体を含む趣旨である。