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特開2021-45845校正可能なツールおよび校正可能なツールを操作する方法
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  • 特開2021045845-校正可能なツールおよび校正可能なツールを操作する方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-45845(P2021-45845A)
(43)【公開日】2021年3月25日
(54)【発明の名称】校正可能なツールおよび校正可能なツールを操作する方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/142 20060101AFI20210226BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20210226BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20210226BHJP
【FI】
   B25B23/142
   G08B31/00
   G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-152454(P2020-152454)
(22)【出願日】2020年9月11日
(31)【優先権主張番号】10 2019 125 116.8
(32)【優先日】2019年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520351945
【氏名又は名称】ホフマン エンジニアリング サービシーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】マルコ クンストラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンス メーリッヒ
【テーマコード(参考)】
3C038
3C100
5C087
【Fターム(参考)】
3C038BC01
3C038CA05
3C038CC08
3C038EA06
3C100AA27
3C100AA59
3C100AA63
3C100BB15
3C100BB19
3C100CC02
3C100CC14
5C087AA02
5C087AA19
5C087AA31
5C087AA51
5C087BB20
5C087DD08
5C087DD49
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】校正が不適正なツールが使用される危険が低減され、改善された校正可能なツール、および校正可能なツールを操作する改善された方法を提供する。
【解決手段】校正可能なツール2は、少なくとも1つのセンサ20、22、24、26と制御デバイス10とを備え、ツール2の次の校正日は、制御デバイス10の記憶媒体12に保存される。少なくとも1つのセンサ20、22、24、26は、少なくとも1つのセンサ20、22、24、26を用いて、ツール2に対する外的影響が測定値として測定可能であるように、ツール2上に配置される。制御デバイス10は、少なくとも1つのセンサ20、22、24、26が指定可能な範囲外の測定値を測定すると、次の校正日を新たな早めの校正日に設定するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)と制御デバイス(10)とを備える校正可能なツール(2)であって、
該ツール(2)の次の校正日が前記制御デバイス(10)の記憶媒体(12)に保存され、
前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が、該少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)を用いて、前記ツール(2)に対する外的影響が測定値として測定可能であるように、前記ツール(2)上または前記ツール(2)内に配置され、
前記制御デバイス(10)が、前記少なくとも1つのセンサの測定値を分析し、前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が指定可能な範囲外の測定値を測定すると、前記次の校正日を新たな早めの校正日に設定するように構成された、校正可能なツール(2)。
【請求項2】
前記制御デバイス(10)が、少なくとも2つのセンサからの前記測定値を分析し、前記少なくとも2つのセンサが、まだ前記指定可能な範囲内にあるが、それぞれ別の指定可能な範囲外にある測定値をそれぞれ測定すると、前記次の校正日を新たな早めの校正日に設定するように構成された、請求項1に記載のツール(2)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が、加速度センサ(20)、および/または温度センサ(22)、および/または水分量センサ(24)、および/または電磁波を検出するセンサ(26)である、請求項1または2に記載のツール(2)。
【請求項4】
前記外的影響が、前記ツール(2)に対する衝撃、および/または温度変動、および/または前記ツール(2)内もしくは前記ツール(2)上における水分の発生、および/または電磁波である、請求項1から3のいずれか一項に記載のツール(2)。
【請求項5】
前記制御デバイス(10)が、前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が前記指定可能な第1の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージを生成するように構成され、
前記警告メッセージが、特に、前記ツール(2)の表示デバイス(30)に表示され、ならびに/あるいは触覚および/または音響による前記ツール(2)の警告信号として出力される、請求項1から4のいずれか一項に記載のツール(2)。
【請求項6】
前記制御デバイス(10)が、前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が前記指定可能な範囲外の測定値を測定すると、校正不良により損なわれている前記ツール(2)の機能を遮断するように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のツール(2)。
【請求項7】
前記制御デバイス(10)が、前記新たな早めの校正日および、特に前記警告メッセージを、送信デバイス(40)によって外部データベース(50)に送信するように構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載のツール(2)。
【請求項8】
校正可能なツール(2)を操作する方法であって、
前記ツール(2)の次の校正日が前記ツール(2)の制御デバイス(10)の記憶媒体(12)に保存され、
前記ツール(2)内または前記ツール(2)上に配置された少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)によって測定値が測定され、
指定可能な第1の範囲外の測定値が、前記ツール(2)の校正を変化させる前記ツール(2)に対する外的影響を示すようにして、前記測定値の前記指定可能な第1の範囲が各センサ(20、22、24、26)に対して確立され、
測定値が前記指定可能な第1の範囲外にあるとき、前記次の校正日が新たな早めの校正日に設定される、方法。
【請求項9】
測定値が、前記ツール(2)内または前記ツール(2)上に配置された少なくとも2つのセンサ(20、22、24、26)によって測定され、
各センサ(20、22、24、26)に対して、前記それぞれの指定可能な第1の範囲内にある指定可能な第2の範囲が提供され、
測定値が前記指定可能な第1の範囲内であって前記指定可能な第2の範囲外にあるとき、前記次の校正日が新たな早めの校正日に設定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が、加速度センサ(20)、および/または温度センサ(22)、および/または水分量センサ(24)、および/または電磁波を検出するセンサ(26)である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記外的影響が、前記ツール(2)に対する衝撃、および/または温度変動、および/または前記ツール(2)内もしくは前記ツール(2)上における水分の発生、および/または電磁波である、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が前記指定可能な第1の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージが生成され、
該警告メッセージが、特に、前記ツール(2)の表示デバイス(30)に表示され、ならびに/あるいは触覚および/または音響による前記ツール(2)の警告信号として出力される、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサ(20、22、24、26)が前記指定可能な範囲外の測定値を測定すると、校正不良により損なわれている前記ツール(2)の機能が遮断される、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記新たな早めの校正日および特に前記警告メッセージが、送信デバイス(40)によって外部データベース(50)に送信される、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正可能なツール、および校正可能なツールを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
校正可能なツールでは、ツールを定期的に精密に校正することが非常に重要である。したがって、例えば、測定ツールは、検出された測定量が実際の測定量に対応するように、適正に調節しなければならない。例えばトルク・レンチなどの他のツールも同様に、締結具が適正なトルクでトルク・レンチによって締め付けられるように校正しなければならない。
【0003】
ツールの校正不良は損傷を引き起こす場合が多い。したがって、例えば、締付けが弱すぎるボルトは早く緩んでしまう恐れがあり、または不完全な測定ツールは誤った測定データを提供する恐れがある。これは、高い精度が求められる作業中には特に望ましくない。
【0004】
校正が不適正なツールが使用されないように、校正可能なツールは、対応する校正デバイスを用いて定期的な間隔で再校正しなければならない。しばしば、校正後に校正証明書が用意され、ツールに貼付される。かかる校正証明書は、その日まではツールが校正されているものと見なされる次の校正日を含む。使用したいツールの次の校正日が既に期限切れになっているか、もしくは間もなく期限が来るとユーザが気づいた場合、または品質管理システムなどからユーザが通知を受けた場合、ツールのユーザは使用前にツールを再校正しなければならない。
【0005】
しかしながら、この手順にかかわらず、ツールに対して発行された次の校正日がまだ来ていなくても、ツールの校正が十分でなくなっている場合を完全に除外することはできない。ツールを落下させるかまたは高温に晒した場合、校正が変化する、即ちツールの精度が許容できるレベルを下回る恐れがある。校正中に生成された次の校正日は、そのようなツールに対する外的影響に予防的に対応することができないので、校正証明書によれば校正されているはずのツールが、実際には不適正に校正されている危険がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に、校正が不適正なツールが使用される危険が低減され、改善された校正可能なツール、および校正可能なツールを操作する改善された方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、少なくとも1つのセンサと制御デバイスとを備える校正可能なツールであって、ツールの次の校正日が制御デバイスの記憶媒体に保存され、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つのセンサを用いて、ツールに対する外的影響が測定値として測定可能であるように、ツール上またはツール内に配置され、制御デバイスが、少なくとも1つのセンサの測定値を分析し、少なくとも1つのセンサが指定可能な範囲外の測定値を測定すると、次の校正日を新たな早めの校正日に設定するように構成された、校正可能なツールによって達成される。
【0008】
本発明の観点では、ツールに対する第1の効果は、環境的要因による影響、または不適切な使用もしくはその結果として生じたものではない外的影響であると理解される。
【0009】
有利には、本発明によるツールの校正日は、ツールの校正がもはや適正ではなくなるような、ツールに対する外的影響による危険が存在すると適合される。これにより、校正が不適正なツールが使用されることを防ぐことができる。
【0010】
次の校正日とは、その日まではツールが校正されているものと見なされる日にちである。その日にちは、制御デバイスの不揮発性記憶媒体に、したがってツールに直接保存される。これにより、校正日をツール内で直接新たな早めの校正日に適合させることができる。新たな早めの校正日を確立する際、特に、校正が外的影響によってどの程度損なわれているかが考慮される。特に、新たな早めの校正日は現在の日にち、即ち外的影響が起こった日である。換言すれば、この場合には、ツールはすぐに再校正しなければならない。これは、無視できる確率を超えてツールの校正が変更される強力な外的影響の場合に、特に有用である。
【0011】
少なくとも1つのセンサが制御デバイスに結合される。少なくとも1つのセンサの測定データは、制御デバイスによって連続的に読み出される。特に、少なくとも1つのセンサはそれぞれ異なる物理的変数を測定する。この場合、測定値がまだ次の校正日を維持するのに耐えられる、異なる範囲が各センサに対して指定される。
【0012】
範囲の上限値は、ツールの校正を変化させない弱い外的影響が、上限値未満の、またはせいぜい上限値と同じ程度の測定値として測定されるように指定される。これに対し、ツールの校正を変化させるほどの強い外的影響は、上限値を上回る、即ち指定可能な範囲外の測定値として測定される。換言すれば、測定値の指定可能な範囲は、指定可能な範囲外の測定値が、ツールの校正を変化させるかまたは校正の変化が起こる危険が大いにあるような、ツールへの外的影響を示すようにして、各センサに対して設定される。特に、ツールの指定可能な許容範囲外の測定値は、測定値が上限値を上回っているか、または下限値を下回っていることを意味する。
【0013】
好ましくは、少なくとも2つのセンサがそれぞれ、まだ指定可能な範囲内にあるが別の指定可能な範囲外にある測定値を測定すると、次の校正日が新たな早めの校正日に設定される。
【0014】
したがって、例えば、2つのセンサからの測定値は、限界値に近いが、まだ指定可能な範囲内にあることができ、これらを組み合わせることで新たな早めの校正日を設定することができる。
【0015】
本発明の観点では、指定可能な範囲は指定可能な第1の範囲とすることができ、別の指定可能な範囲は指定可能な第2の範囲とすることができる。
【0016】
指定可能な範囲は、特定の物理量または化学量について、一端では制限されない。この場合、限界値を確立することができ、限界値を超過するか、または限界値に満たない場合、次の校正日を新たな早めの校正日に設定することができる。例えば、ツールが過度に振動したときに、より早めの次の校正日を確実に設定するために、加速度の上限値を設定することができる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つのセンサは、加速度センサ、および/または温度センサ、および/または水分量センサ、および/または電磁波を検出するセンサである。
【0018】
好ましくは、外的影響は、ツールに対する衝撃、および/または温度変動、および/またはツール内もしくはツール上における水分の発生、および/または電磁波である。
【0019】
更に、例えば、限界値未満の、例えば限界値の80%の衝撃がツールに作用したときに新たな早めの校正日が設定され、また限界値未満の、即ち指定可能な範囲内の温度が測定されたときに、衝撃が測定されたのと組み合わせで、新たな早めの校正日が設定される。
【0020】
ツールに対する衝撃は、例えばツールが落下したときに生じる。温度変動は、例えば、ツールを加熱するか、または特に強力に冷却することによって起こり得る。ツール内またはツール上の水分は、ツールが水または別の液体と接触したときに生じ、それによってツールの電子部品も影響を受ける場合がある。電磁波は主に、ツールの電子構成要素に影響する。したがって、ツールの校正は、例えば、強力な磁界によって変動する場合がある。
【0021】
かかる外的影響を確実に検出するために、加速度センサ、および/または温度センサ、および/または水分量センサ、および/または電磁波を検出するセンサが、ツール内またはツール上に設けられる。電磁波を検出するセンサは、例えば、磁界強度を測定可能なホールセンサである。
【0022】
特に、ツールは、異なる物理量、または化学量もしくは生物学的量を測定可能な少なくとも2つのセンサを備える。例えば、ツールは、少なくとも1つの加速度センサと少なくとも1つの温度センサとを備える。更に、ツールは、特に、異なる物理量、または化学量もしくは生物学的量を測定可能な少なくとも3つまたは少なくとも4つのセンサを備える。その結果、ツールに対する全ての外的影響が記録されるので、ツールの校正が変化される可能性があるいずれの影響も即座に登録され、それに応じて校正日が適合されるという利点がある。
【0023】
好ましくは、制御デバイスは、少なくとも1つのセンサが指定可能な第1の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージを生成するように構成され、警告メッセージは、特に、ツールの表示デバイスに表示され、ならびに/あるいは触覚および/または音響によるツールの警告信号として出力される。少なくとも2つのセンサの測定値がそれぞれ第2の範囲外のとき、対応する警告メッセージを生成することができる。
【0024】
警告メッセージを通して、ツールの校正が適正ではなくなった可能性があることがツールのユーザに通知される。警告メッセージを表示デバイスに表示することによって、新たな早めの校正日をすぐにツール上で読み取ることができる。警告メッセージを音響信号として出力することは、新たな早めの校正日が現在の日にちに対応しているか、または期限切れになっている場合、即ちツールをすぐに再校正する必要がある場合に、特に有利である。この場合、音響による警告メッセージによって、ユーザが表示デバイスに注意を払っていなくても、校正が誤っている可能性があることをユーザに通知することができる。触覚による警告メッセージは、例えば、ツールの短い振動である。触覚による警告メッセージは、ユーザが音響による警告メッセージに気づかない場合、例えばユーザが聴力保護具を着用している場合であっても、知覚することができる。
【0025】
一実施形態によれば、制御デバイスは、少なくとも1つのセンサが指定可能な範囲外の測定値を測定すると、校正不良により損なわれているツールの機能を遮断するように構成される。
【0026】
どの機能が遮断されるかはツールのタイプに依存する。測定ツールでは、特に、測定値は表示されない。トルク・レンチは、例えば、最小トルクでもスリップしてしまい、トルク・レンチで締結具を締め付けることができなくなる。これにより、締め付けトルクが大きすぎるかまたは小さすぎることで締結具が締め付けられることを防ぐことができる。ツールが再校正されると、機能の遮断は解除される。
【0027】
制御デバイスは、好ましくは、新たな早めの校正日および特に警告メッセージを、送信デバイスを用いて外部データベースに送信するように構成される。
【0028】
外部データベースは、特に、業務における校正可能なツールを管理するデータベースである。特に、このデータベースには、業務内のツールの全ての校正データが保存されている。内部データベースに接続された、または外部データベースによって構成される表示デバイスを用いて、ツールの校正日を表示することができる。外部データベースは、特に、ツールのうち1つの校正日が期限切れになると、警告メッセージを出力する。新たな早めの校正日を外部データベースに送信することによって、新たな早めの校正日がツールによって直接チェックされるだけでなく、外部データベース、またはコンピュータなどの外部データベースに接続されたデバイスでもチェックすることができる。
【0029】
本発明の目的はまた、校正可能なツールを操作する方法によって達成される。この方法は、ツールの次の校正日がツールの制御デバイスの記憶媒体に保存され、ツール内またはツール上に配置された少なくとも1つのセンサによって測定値が測定され、指定可能な第1の範囲外の測定値が、ツールの校正を変化させるツールに対する外的影響を示すようにして、測定値の指定可能な第1の範囲が各センサに対して確立され、測定値が指定可能な第1の範囲外にあるとき、次の校正日が新たな早めの校正日に設定される。
【0030】
好ましくは、測定値は、ツール内またはツール上に配置された少なくとも2つのセンサによって測定され、各センサに対して、それぞれの指定可能な第1の範囲内にある指定可能な第2の範囲が提供され、測定値が指定可能な第1の範囲内であって指定可能な第2の範囲外にあるとき、次の校正日は新たな早めの校正日に設定される。
【0031】
これにより、測定値が第1の範囲外にはないが、少なくとも2つの測定値が特定の第2の範囲外にあるときも、新たな早めの校正日を設定することが可能になる。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つのセンサは、加速度センサ、および/または温度センサ、および/または水分量センサ、および/または電磁波を検出するセンサである。
【0033】
好ましくは、外的影響は、ツールに対する衝撃、および/または温度変動、および/またはツール内もしくはツール上における水分の発生、および/または電磁波である。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのセンサが指定可能な第1の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージが生成され、警告メッセージは、特に、ツールの表示デバイスに表示され、ならびに/あるいは触覚および/または音響によるツールの警告信号として出力される。それに応じて、好ましくは、少なくとも2つのセンサが指定可能な第2の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージが生成される。
【0035】
校正不良により損なわれているツールの機能は、好ましくは、少なくとも1つのセンサが指定可能な範囲外の測定値を測定すると遮断される。複数の測定値がそれぞれ指定可能な第2の範囲外にあるときも同様である。
【0036】
一実施形態によれば、新たな早めの校正日、および特に警告メッセージは、送信デバイスによって外部データベースに送信される。
【0037】
本発明の範囲において、「特に」または「好ましくは」によって指定される特徴は任意の特徴であるものと理解される。
【0038】
本発明による実施形態の説明を特許請求の範囲および添付図面と併せ読むことによって、本発明の更なる特徴が明白となるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せを満たすことができる。
【0039】
全体的な発明の概念を限定することなく、図面を参照して例示的実施形態を使用して、本発明について以下に記載する。本明細書中で更に説明しない発明による詳細に関しては、図面を明示的に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】校正可能なツールおよび外部データベースを示す簡略化した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1には、校正可能なツール2が簡略化して模式的に示されている。図1に示される例示的な実施形態は、校正可能なツール2の一例としてのトルク・レンチである。このトルク・レンチは、例えば、ツール・ヘッドおよびハンドルなど、かかるレンチの通常の特徴を有するので、これらの特徴についてはこれ以上説明しない。
【0042】
ツール2は、例えば不揮発性記憶媒体12を有する記憶媒体12を備えた制御デバイス10から構成されている。記憶媒体12には、次の校正日、即ちその日まではツール2が校正されているものと見なされる日にちが電子的に保存されている。更に、制御デバイス10は、少なくとも1つのセンサ20、22、24、26に接続される。図示される実施形態では、1つの加速度センサ20、1つの温度センサ22、1つの水分量センサ24、および1つの電磁波を検出するセンサ26という、合計4つのセンサ20、22、24、26が設けられている。電磁波を検出するセンサ26は、例えばホールセンサである。ホールセンサは、ツール2が磁界に反応しやすい場合、または強力な磁界の近くで使用される場合に推奨される。
【0043】
センサ20、22、24、26は、物理量および/または化学量、例えば加速度、温度、水分量、およびツール2が暴露される電磁波の強度の測定値を測定する。測定値の範囲は各センサ20、22、24、26に対して設定される。範囲外の測定値が、ツール2の校正が損なわれる可能性があるほど十分に大きい外的影響を示すように、範囲が選択される。例えば、落下があった場合、大きな温度変動があった場合、またはツール内への水分の侵入があった場合などである。異なるセンサからの測定値の組合せがある場合には、わずかな損失を与える個々の測定値の合計が全体的な損失につながる可能性もあり、それが校正日の変更につながることもある。
【0044】
センサ20、22、24、26は、センサ20、22、24、26のそれぞれが測定した測定値を制御デバイス10に継続的に送信し、制御デバイス10は、測定値を限界値と比較するか、またはそれぞれを各センサ20、22、24、26の指定可能な範囲と比較する。測定値の1つが、特定のセンサ20、22、24、26に対して確立した限界値を上回った場合、または測定値が指定可能な範囲外にある場合、制御デバイス10は、記録媒体12の校正日を早い校正日に変更する。例えば、制御デバイス10は次の校正日を現在の日にちに変更する。換言すれば、この場合、ツール2は外的影響を受けた直後に再校正しなければならない。
【0045】
変更された校正日は、例えば、表示デバイス30に表示される。さらに、または代替的に、ツール2は、再校正しなければならないことを表示するために、触覚信号または音響信号を発する。不適正に校正されたツール2がそのまま使用されることを防ぐため、一実施形態によれば、限界値の1つを超えると、不適正な校正によって損なわれている機能が遮断される。図1に一例として示されるトルク・レンチでは、かかる遮断は、例えば、トルク・レンチが再校正されるまで、トルク・レンチを用いて締結具を締め付けることができなくなるように、トルクごとにトルク・レンチが滑ることで実現される。
【0046】
図1に示されるツール2は、図示される実施形態では、送信デバイス40も備える。これは、例えば変更された校正日および特に警告メッセージを、無線で外部データベース50の受信デバイス52に送信する。外部データベース50は、例えば、業務の全ての校正可能なツール2を管理するために設けられる。業務のツール2の全ての校正日は、外部データベース50の記憶媒体54に保存されている。受信デバイス52が変更された校正日を受信すると、対応してデータベース50の記憶媒体54への入力が更新される。また、外部データベース50に接続された、または外部データベース50の一部である表示デバイス56に警告メッセージが出力される。このようにして、ツール2を再校正しなければならないときには、外部データベース50のユーザに直ちに通知される。
【0047】
挙げられた全ての特徴は、図面単独で得られるもの、および他の特徴と組み合わせて開示される個々の特徴を含めて、単独および組合せで、本発明に必須であると見なされる。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せによって満たすことができる。
【符号の説明】
【0048】
2 ツール
10 制御デバイス
12 不揮発性記憶媒体
20 センサ
22 センサ
24 センサ
26 センサ
30 表示デバイス
40 送信デバイス
50 外部データベース
52 受信デバイス
54 不揮発性記憶媒体
56 表示デバイス
図1
【外国語明細書】
2021045845000001.pdf