【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、少なくとも1つのセンサと制御デバイスとを備える校正可能なツールであって、ツールの次の校正日が制御デバイスの記憶媒体に保存され、少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つのセンサを用いて、ツールに対する外的影響が測定値として測定可能であるように、ツール上またはツール内に配置され、制御デバイスが、少なくとも1つのセンサの測定値を分析し、少なくとも1つのセンサが指定可能な範囲外の測定値を測定すると、次の校正日を新たな早めの校正日に設定するように構成された、校正可能なツールによって達成される。
【0008】
本発明の観点では、ツールに対する第1の効果は、環境的要因による影響、または不適切な使用もしくはその結果として生じたものではない外的影響であると理解される。
【0009】
有利には、本発明によるツールの校正日は、ツールの校正がもはや適正ではなくなるような、ツールに対する外的影響による危険が存在すると適合される。これにより、校正が不適正なツールが使用されることを防ぐことができる。
【0010】
次の校正日とは、その日まではツールが校正されているものと見なされる日にちである。その日にちは、制御デバイスの不揮発性記憶媒体に、したがってツールに直接保存される。これにより、校正日をツール内で直接新たな早めの校正日に適合させることができる。新たな早めの校正日を確立する際、特に、校正が外的影響によってどの程度損なわれているかが考慮される。特に、新たな早めの校正日は現在の日にち、即ち外的影響が起こった日である。換言すれば、この場合には、ツールはすぐに再校正しなければならない。これは、無視できる確率を超えてツールの校正が変更される強力な外的影響の場合に、特に有用である。
【0011】
少なくとも1つのセンサが制御デバイスに結合される。少なくとも1つのセンサの測定データは、制御デバイスによって連続的に読み出される。特に、少なくとも1つのセンサはそれぞれ異なる物理的変数を測定する。この場合、測定値がまだ次の校正日を維持するのに耐えられる、異なる範囲が各センサに対して指定される。
【0012】
範囲の上限値は、ツールの校正を変化させない弱い外的影響が、上限値未満の、またはせいぜい上限値と同じ程度の測定値として測定されるように指定される。これに対し、ツールの校正を変化させるほどの強い外的影響は、上限値を上回る、即ち指定可能な範囲外の測定値として測定される。換言すれば、測定値の指定可能な範囲は、指定可能な範囲外の測定値が、ツールの校正を変化させるかまたは校正の変化が起こる危険が大いにあるような、ツールへの外的影響を示すようにして、各センサに対して設定される。特に、ツールの指定可能な許容範囲外の測定値は、測定値が上限値を上回っているか、または下限値を下回っていることを意味する。
【0013】
好ましくは、少なくとも2つのセンサがそれぞれ、まだ指定可能な範囲内にあるが別の指定可能な範囲外にある測定値を測定すると、次の校正日が新たな早めの校正日に設定される。
【0014】
したがって、例えば、2つのセンサからの測定値は、限界値に近いが、まだ指定可能な範囲内にあることができ、これらを組み合わせることで新たな早めの校正日を設定することができる。
【0015】
本発明の観点では、指定可能な範囲は指定可能な第1の範囲とすることができ、別の指定可能な範囲は指定可能な第2の範囲とすることができる。
【0016】
指定可能な範囲は、特定の物理量または化学量について、一端では制限されない。この場合、限界値を確立することができ、限界値を超過するか、または限界値に満たない場合、次の校正日を新たな早めの校正日に設定することができる。例えば、ツールが過度に振動したときに、より早めの次の校正日を確実に設定するために、加速度の上限値を設定することができる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つのセンサは、加速度センサ、および/または温度センサ、および/または水分量センサ、および/または電磁波を検出するセンサである。
【0018】
好ましくは、外的影響は、ツールに対する衝撃、および/または温度変動、および/またはツール内もしくはツール上における水分の発生、および/または電磁波である。
【0019】
更に、例えば、限界値未満の、例えば限界値の80%の衝撃がツールに作用したときに新たな早めの校正日が設定され、また限界値未満の、即ち指定可能な範囲内の温度が測定されたときに、衝撃が測定されたのと組み合わせで、新たな早めの校正日が設定される。
【0020】
ツールに対する衝撃は、例えばツールが落下したときに生じる。温度変動は、例えば、ツールを加熱するか、または特に強力に冷却することによって起こり得る。ツール内またはツール上の水分は、ツールが水または別の液体と接触したときに生じ、それによってツールの電子部品も影響を受ける場合がある。電磁波は主に、ツールの電子構成要素に影響する。したがって、ツールの校正は、例えば、強力な磁界によって変動する場合がある。
【0021】
かかる外的影響を確実に検出するために、加速度センサ、および/または温度センサ、および/または水分量センサ、および/または電磁波を検出するセンサが、ツール内またはツール上に設けられる。電磁波を検出するセンサは、例えば、磁界強度を測定可能なホールセンサである。
【0022】
特に、ツールは、異なる物理量、または化学量もしくは生物学的量を測定可能な少なくとも2つのセンサを備える。例えば、ツールは、少なくとも1つの加速度センサと少なくとも1つの温度センサとを備える。更に、ツールは、特に、異なる物理量、または化学量もしくは生物学的量を測定可能な少なくとも3つまたは少なくとも4つのセンサを備える。その結果、ツールに対する全ての外的影響が記録されるので、ツールの校正が変化される可能性があるいずれの影響も即座に登録され、それに応じて校正日が適合されるという利点がある。
【0023】
好ましくは、制御デバイスは、少なくとも1つのセンサが指定可能な第1の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージを生成するように構成され、警告メッセージは、特に、ツールの表示デバイスに表示され、ならびに/あるいは触覚および/または音響によるツールの警告信号として出力される。少なくとも2つのセンサの測定値がそれぞれ第2の範囲外のとき、対応する警告メッセージを生成することができる。
【0024】
警告メッセージを通して、ツールの校正が適正ではなくなった可能性があることがツールのユーザに通知される。警告メッセージを表示デバイスに表示することによって、新たな早めの校正日をすぐにツール上で読み取ることができる。警告メッセージを音響信号として出力することは、新たな早めの校正日が現在の日にちに対応しているか、または期限切れになっている場合、即ちツールをすぐに再校正する必要がある場合に、特に有利である。この場合、音響による警告メッセージによって、ユーザが表示デバイスに注意を払っていなくても、校正が誤っている可能性があることをユーザに通知することができる。触覚による警告メッセージは、例えば、ツールの短い振動である。触覚による警告メッセージは、ユーザが音響による警告メッセージに気づかない場合、例えばユーザが聴力保護具を着用している場合であっても、知覚することができる。
【0025】
一実施形態によれば、制御デバイスは、少なくとも1つのセンサが指定可能な範囲外の測定値を測定すると、校正不良により損なわれているツールの機能を遮断するように構成される。
【0026】
どの機能が遮断されるかはツールのタイプに依存する。測定ツールでは、特に、測定値は表示されない。トルク・レンチは、例えば、最小トルクでもスリップしてしまい、トルク・レンチで締結具を締め付けることができなくなる。これにより、締め付けトルクが大きすぎるかまたは小さすぎることで締結具が締め付けられることを防ぐことができる。ツールが再校正されると、機能の遮断は解除される。
【0027】
制御デバイスは、好ましくは、新たな早めの校正日および特に警告メッセージを、送信デバイスを用いて外部データベースに送信するように構成される。
【0028】
外部データベースは、特に、業務における校正可能なツールを管理するデータベースである。特に、このデータベースには、業務内のツールの全ての校正データが保存されている。内部データベースに接続された、または外部データベースによって構成される表示デバイスを用いて、ツールの校正日を表示することができる。外部データベースは、特に、ツールのうち1つの校正日が期限切れになると、警告メッセージを出力する。新たな早めの校正日を外部データベースに送信することによって、新たな早めの校正日がツールによって直接チェックされるだけでなく、外部データベース、またはコンピュータなどの外部データベースに接続されたデバイスでもチェックすることができる。
【0029】
本発明の目的はまた、校正可能なツールを操作する方法によって達成される。この方法は、ツールの次の校正日がツールの制御デバイスの記憶媒体に保存され、ツール内またはツール上に配置された少なくとも1つのセンサによって測定値が測定され、指定可能な第1の範囲外の測定値が、ツールの校正を変化させるツールに対する外的影響を示すようにして、測定値の指定可能な第1の範囲が各センサに対して確立され、測定値が指定可能な第1の範囲外にあるとき、次の校正日が新たな早めの校正日に設定される。
【0030】
好ましくは、測定値は、ツール内またはツール上に配置された少なくとも2つのセンサによって測定され、各センサに対して、それぞれの指定可能な第1の範囲内にある指定可能な第2の範囲が提供され、測定値が指定可能な第1の範囲内であって指定可能な第2の範囲外にあるとき、次の校正日は新たな早めの校正日に設定される。
【0031】
これにより、測定値が第1の範囲外にはないが、少なくとも2つの測定値が特定の第2の範囲外にあるときも、新たな早めの校正日を設定することが可能になる。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つのセンサは、加速度センサ、および/または温度センサ、および/または水分量センサ、および/または電磁波を検出するセンサである。
【0033】
好ましくは、外的影響は、ツールに対する衝撃、および/または温度変動、および/またはツール内もしくはツール上における水分の発生、および/または電磁波である。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのセンサが指定可能な第1の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージが生成され、警告メッセージは、特に、ツールの表示デバイスに表示され、ならびに/あるいは触覚および/または音響によるツールの警告信号として出力される。それに応じて、好ましくは、少なくとも2つのセンサが指定可能な第2の範囲外の測定値を測定すると、警告メッセージが生成される。
【0035】
校正不良により損なわれているツールの機能は、好ましくは、少なくとも1つのセンサが指定可能な範囲外の測定値を測定すると遮断される。複数の測定値がそれぞれ指定可能な第2の範囲外にあるときも同様である。
【0036】
一実施形態によれば、新たな早めの校正日、および特に警告メッセージは、送信デバイスによって外部データベースに送信される。
【0037】
本発明の範囲において、「特に」または「好ましくは」によって指定される特徴は任意の特徴であるものと理解される。
【0038】
本発明による実施形態の説明を特許請求の範囲および添付図面と併せ読むことによって、本発明の更なる特徴が明白となるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せを満たすことができる。
【0039】
全体的な発明の概念を限定することなく、図面を参照して例示的実施形態を使用して、本発明について以下に記載する。本明細書中で更に説明しない発明による詳細に関しては、図面を明示的に参照する。