(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-46263(P2021-46263A)
(43)【公開日】2021年3月25日
    (54)【発明の名称】テープ巻付機
(51)【国際特許分類】
   B65H  81/06        20060101AFI20210226BHJP        
【FI】
   B65H81/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
      (21)【出願番号】特願2019-167906(P2019-167906)
(22)【出願日】2019年9月16日
    
      
        
          (71)【出願人】
【識別番号】719002344
【氏名又は名称】萩原  康史
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】萩原  康史
              
            
        
      
    (57)【要約】      (修正有)
【課題】テープの巻き付け開始時に、テープが対象物から外れないように緩くテープを巻き付け、その後、テープを対象物に強く巻きつけることのできるロールテープの巻き付け性能に優れたテープ巻付機を提供する。
【解決手段】回転プレート5に固定された回動軸4で連結されたアーム3に、ロールテープ1を保持するホルダー部2と、押圧部7とを備え、回転プレート5が回転し、ホルダー部2に保持されたロールテープ1からテープを対象物8に巻き付ける時、ロールテープ1からテープを引き出さずに、ロールテープ1から先に引き出されたテープを対象物8に巻き取りながら緩く巻き付けることで、テープの外れを抑制し、その後、押圧部7がロールテープ1と対象物8に張り渡されたテープを押圧しつつ、ロールテープ1からテープを引き出しながら、テープを対象物8に巻き付けることで、テープを対象物8に適正な強さで巻きつける。
【選択図】
図3
    
  【特許請求の範囲】
【請求項1】
  対象物を中心としてテープを回転させる旋回手段として、対象物と直交する面内で回転駆動する回転プレートを備えたテープ巻付装置において、回転プレートに固定された回動軸で連結されたアームに、ロールテープを保持するホルダー部と、押圧部とを備え、回転プレートが回転し、ホルダー部に保持されたロールテープからテープを対象物に巻き付ける時、ロールテープからテープを引き出さずに、ロールテープから先に引き出されたテープを対象物に巻き取りながら、アームが回転内方向に回動し、アームに設けられた押圧部が、ロールテープと対象物に張り渡されたテープを押圧する位置まで移動し、その後、押圧部がロールテープと対象物に張り渡されたテープを押圧しつつ、ロールテープからテープを引き出しながら、テープを対象物に巻き付けることを特徴としたテープ巻付装置。
【請求項2】
  ロールテープと対象物の間に張力が加わっていないとき、アームを回転外方向に回動させることで、ロールテープから対象物にテープを張り渡したときに、押圧部が張り渡されたテープを押圧しない位置まで、アームに備えられた押圧部が、退避することを特徴とした請求項1に記載のテープ巻付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、ロールテープを電線束などの対象物に巻き付けるテープ巻付機に関するものである。
 
【背景技術】
【0002】
  従来、車両用のワイヤーハーネスの製造の一部として、電線束やそれを覆う外装部材にテープを巻き付けるテープ巻付装置が提案されている。このテープ巻付装置に装備されているテープ巻付機は、対象物と直交する面内で回転する回転プレートに支持されたテープが、回転中心軸上に架け渡された対象物の周囲を回り、電線などの対象物にテープを巻き付けるものである。
【0003】
  テープ巻付装置は、対象物を中心としてテープを回転させる旋回手段として、対象物と直交する面内に配置された固定プレートと、隣接配置された回転プレートを備え、回転プレートは、対象物と直交する面内で回転駆動される。
【0004】
  テープ巻付機の回転中心軸上に対象物を挿抜するために、固定プレートと回転プレートに、外周縁から中心軸を含む中央領域に向けてU字状の切欠が設けられている場合がある。これらのテープ巻付機では、固定プレートの切欠と、回転プレートの切欠が揃った状態で、対象物が挿抜される。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−224123号公報
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
  従来のテープ巻付装置が備えるテープ巻付機では、テープ巻き付け開始時に、ロールテープの端部を引き出して、テープを対象物に貼り付けるが、テープと対象物との接着面積が小さいため粘着力が不足し、テープを対象物に巻き付け始めると、ロールテープと対象物との間に張り渡されたテープに生じる張力で、テープが対象物から外れる(分離する)ことがあった。
【0007】
  従来のテープ巻付装置が備えるテープ巻付機では、テープを巻き付ける強さは、テープの引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)によって、ロールテープと対象物との間に張り渡されたテープに生じる張力によるが、対象物(電線束やそれを覆う外装部材)によっては、対象物へのテープの巻き付けが緩くなり、巻きつけたテープに隙間が生じることで、適正な巻き付けができない場合があった。
【0008】
  本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、テープの巻き付け開始時に、テープが対象物から外れないように緩くテープを巻き付け、その後、テープを対象物に強く巻きつけることのできるロールテープの巻き付け性能に優れたテープ巻付機を提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  対象物を中心としてテープを回転させる旋回手段として、対象物と直交する面内で回転駆動する回転プレートを備えたテープ巻付装置において、回転プレートに固定された回動軸で連結されたアームに、ロールテープを保持するホルダー部と、押圧部とを備え、回転プレートが回転し、ホルダー部に保持されたロールテープからテープを対象物に巻き付ける時、ロールテープからテープを引き出さずに、ロールテープから先に引き出されたテープを対象物に巻き取りながら、アームが回転内方向に回動し、アームに設けられた押圧部が、ロールテープと対象物に張り渡されたテープを押圧する位置まで移動しながら、対象物にテープを巻き付ける。この時、テープを引き出さずに巻き付けることで、テープと対象物の間に加わる張力を抑制し、テープが対象物から外れる(分離する)ことを抑制する。
【0010】
  その後、ロールテープと対象物に張り渡されたテープを押圧する位置まで移動した押圧部が、ロールテープと対象物に張り渡されたテープを押圧しつつ、ロールテープからテープを引き出しながら、テープを対象物に巻き付ける。この時、ロールテープと対象物の間に張り渡されたテープには、テープの引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)による張力に加えて、押圧部による押圧力と、押圧部による摩擦力が加わり、テープが対象物に強く巻きつけられる。
 
【発明の効果】
【0011】
  本発明により、テープの巻き付け開始時に、テープが対象物から外れないように緩くテープを巻き付け、その後、テープを対象物に強く巻きつけることのできるロールテープの巻き付け性能に優れたテープ巻付機、及び、そのテープ巻付機を備えたテープ巻付装置を提供できる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明に係るテープ巻付機の斜視図である。
 
【
図2】
図2はテープを巻き付ける動作を示す斜視図である。
 
【
図3】
図3(a)はテープを巻き始める動作を示す概略図である。
図3(b)はテープを巻き付ける動作を示す概略図である。
図3(c)はテープを巻き終わった状態を示す概略図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0013】
  図1に示すように、回転プレート5に固定された回動軸4で連結されたアーム3の先端部にホルダー部2が設けられロールテープ1(粘着テープ)を保持している。アーム3には、押圧部7を備えている。
 
【0014】
  回動軸4は、ロールテープ1、ホルダー部2、アーム3、押圧部7の自重によって回動しないだけの保持力があり、且つ、ロールテープ1から対象物8に張り渡されたテープが対象物8に巻き取られ、ロールテープ1と対象物8との間に張力が加わった時には、ロールテープ1からテープを引き出さず、アーム3が容易に回動する範囲の保持力であること。
 
【0015】
  アーム3の回動範囲は、回転内方向へは、アーム3と、アーム3に備えられた押圧部7が対象物8を押圧しない範囲で規制する。回転外方向へは、ロールテープ1の中心が、回転中心軸と回動軸4の中心とを結ぶ線の延長線を、超えない範囲で規制する。
 
【実施例】
【0016】
  図1、
図2を参照しつつテープ巻付機の動作について説明する。
図3はテープ巻付動作を行う回転プレート5、アーム3、押圧部7を示す概略図である。
【0017】
  まず、対象物8(電線束等)を、作業者の手又は装置で保持し、回転プレート5の回転中心軸上に架け渡す。この時、
図1に示すように、押圧部7は、アーム3を回転外方向に回動させることで、ロールテープ1から対象物8にテープを張り渡したときに、押圧部7がロールテープ1と対象物8の間に張り渡されたテープを押圧しない位置まで退避している。
【0018】
  回転プレート5に回動軸4で連結されたアーム3の先端部に保持されたロールテープ1のテープ端部を引き出し、テープを対象物8の半周程度に貼り付ける。この時、
図3(a)に示すように、押圧部7は、ロールテープ1から対象物8に張り渡されたテープを押圧していない。
【0019】
  図3(a)に示すように、駆動装置からの駆動力を受けて回転プレート5が回転方向9の方向に回転を始めることで、ロールテープ1から対象物8に張られたテープが対象物8に巻き取られ、ロールテープ1と対象物8の間に張力が加わる。回転プレート5とアーム3を連結している回動軸4の保持力は、テープの引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)より小さいため、ロールテープ1からテープが引き出されることなく、回動軸4を軸として、アーム3がロールテープ1を対象物8に近づける方向である回動方向10(回転内方向)に回動する。この時、ロールテープ1からテープを引き出さず、テープを巻き付けるため、ロールテープ1と対象物8の間に加わる張力が抑制されることで、テープが緩く巻き付けられ、対象物8に張り付けたテープ端部が、対象物8から外れる(分離する)ことが抑制される。
【0020】
  回転プレート5が回転方向9の方向に回転することで、アーム3が回動方向10の方向に回動し、アーム3に備えられた押圧部7が、ロールテープ1と対象物8の間に張り渡されたテープの背面(非粘着面)を押圧する。この時、ロールテープ1と対象物8の間に張り渡されたテープには、テープの引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)による張力に加えて、押圧部7による押圧力と、押圧部7による摩擦力が加わり、引き剥がし粘着力による張力だけで巻き付けている時よりも、テープが対象物8に強く巻きつけられる。
【0021】
  図2、
図3(b)に示すように、テープ巻付動作中は、回転プレート5が回転方向9の方向に回転することで、ロールテープ1から対象物8に張られたテープが対象物8に巻き取られ、ロールテープ1と対象物8の間に張力が加わる。アーム3は、アーム3とアーム3に備えられた押圧部7が対象物8を押圧しない範囲で回動が規制されるため、アーム3に保持されているロールテープ1は、回転内方向への移動が規制され保持される。ロールテープ1が回転内方向に移動しないため、テープの張力によって、ロールテープ1からテープが引き出されながら、テープが対象物8に巻き付けられる。回転プレート5が回転している時は、ロールテープ1と対象物8との間にはテープの引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)による張力が加わっているため、アーム3は、押圧部7がロールテープ1と対象物8の間に張り渡されたテープの背面を押圧する位置に保たれる。この時、ロールテープ1と対象物8の間に張り渡されたテープには、テープの引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)による張力に加えて、押圧部7による押圧力と、押圧部7による摩擦力が加わり、引き剥がし粘着力による張力だけで巻き付けている時よりも、テープが対象物8に強く巻きつけられる。
【0022】
  図3(c)に示すように、テープを巻き終わり、回転プレート5が停止した状態では、ロールテープ1の引き剥がし粘着力(テープ自背面の非粘着面に対する粘着力)によって、テープは引き出されず、アーム3は回転内方向への回動が規制された位置に保たれる。
【0023】
  ロールテープ1から対象物8に張り渡されたテープを切断し、テープ巻付機から対象物8を取り外す。この時、アーム3は規制された範囲で容易に回動可能となる。
【0024】
  上述のように、巻き付け開始時には、ロールテープ1からテープを引き出さずに、先に引き出されたテープを対象物に巻き取ることで、テープ端が対象物8から外れる(分離する)ことを抑制し、テープ巻き付け時には、アーム3に備えられた押圧部7が、ロールテープ1と対象物8の間に張り渡されたテープの背面を押圧することで、テープが対象物8に強く巻きつけられ、好適な巻き付けが行われる。
【0025】
  なお本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、配置箇所などは本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、アーム、回転プレート、押圧部の形状である。
【0026】
  また、テープを巻き付ける位置は、同一位置での重ね巻に限らず、テープ巻付機と対象物を回転中心軸上に沿って相対移動させることで、対象物にテープを螺旋状に巻き付けることが出来る。
【0027】
  また、テープを巻き付ける対象物は電線束に限らず、本発明において、テープが巻き付けられる線状の材料であれば用いることができる。例えば、1本の電線や、電線を含まない線状の部材、チューブ状の材料であっても良い。
 
 
【符号の説明】
【0028】
  1    ロールテープ
  2    ホルダー部
  3    アーム
  4    回動軸
  5    回転プレート
  6    固定プレート
  7    押圧部
  8    対象物
  9    回転方向
10    回動方向