【実施例】
【0046】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、各特性の測定は以下の通りである。
【0047】
[得られた化合物の分析方法]
【0048】
(1)赤外線分光分析(IR分析)
FT−IR装置:商品名「Spectrum One」、パーキンエルマー社製、測定範囲:650〜4000cm
−1、測定方法:ATR法、積算回数:3回、分解能:4.00cm
−1
なお、測定はサンプルを装置のセル上に押し付けて分析を行った。
【0049】
(2)核磁気共鳴分光分析(NMR分析)
NMR分析装置:商品名「DRX−500」、Bruker社製
溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)
内部標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
試料管:5mm
1H−NMR・・・共鳴周波数:500.1MHz、積算回数4回
13C−NMR・・・共鳴周波数:125.8MHz、積算回数23回
なお、測定試料は、30mgの試料を0.8mlの溶媒で希釈して調製した。
【0050】
(3)誘導結合プラズマ分析(ICP分析)
ICP装置:商品名「iCAP 6500Duo」Thermo Fisher SCIENTIFIC社製、
スプレイチャンバ:サイクロン噴霧器
プラズマ条件:プラズマ/補助/キャリアー=15/1.0/0.6
プラズマ観測方向:アキシャル方向3回
なお、測定はマイクロウェーブ分解法による前処理を行い測定用試料とした。
マイクロウェーブ装置:Anton Paar社製Multiwave PRO
分解条件:試料 約0.05gと硝酸(特級)6mLを分解後、蒸留水で希釈して調製した。
【0051】
[ポリオレフィン系樹脂成形体の評価方法]
(4)結晶化温度
示差走査熱量分析装置(パーキンエルマー社製、DSC8500)を用い、JISK7121(1987)に従って測定した。評価用試料には、各実施例・比較例のポリオレフィン樹脂組成物約6mgを使用した。その試料を装置にセットし、200℃で3分間保持した後、10℃/分の冷却速度で冷却し、吸熱ピークの頂点を結晶化温度(℃)とした。
【0052】
(5)半結晶化時間(T
1/2)
示差走査熱量分析装置(同社製)を用い、JISK7121(1987)に従って測定した。評価用試料には、各実施例・比較例のポリオレフィン樹脂組成物約6mgを使用した。その試料を装置にセットし、200℃で3分間保持した後、750℃/分の冷却速度で140℃まで冷却し、その温度において等温結晶化を行った。等温結晶化工程開始から、時間と熱量との関係図において認められる結晶化に基づく発熱ピークの面積の 1/2 に到達するまでの所要時間を半結晶化時間(T
1/2、秒)とした。
【0053】
(6)曇り度(ヘイズ値)
日本電色工業(株)のヘイズメータ(NDH 7000)を用いて、JISK7136(2000)に準じた方法でヘイズ値(%)を測定した。評価試料には、0.5mm厚み射出成形品のオレフィン系樹脂成形体を使用した。得られたヘイズ値の数値が小さい程、透明性に優れていることを示す。
【0054】
(7)曲げ弾性率及び 応力
万能材料試験機(インストロン社製)を用い、JISK7171(2016)に準じた方法で曲げ弾性率及び 応力を測定した。なお、試験温度は25℃、試験速度は10mm/分とした。
【0055】
[製造例1]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、市販の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製、試薬)64g(0.39モル)と、水300ml、水酸化ナトリウム32g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、140℃で減圧乾燥して、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の二ナトリウム塩66g(化合物1)を得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物1の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0056】
[製造例2]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、市販の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製、試薬)64g(0.39モル)と、水300ml、水酸化リチウム19.2g(0.8モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、140℃で減圧乾燥して、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の二リチウム塩60g(化合物2)を得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物2の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0057】
[製造例3]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと水酸化カルシウム61g(0.81モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに市販の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製、試薬)133g(0.81モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸のカルシウム塩(化合物3)168gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物3の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0058】
[製造例4]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと酸化亜鉛66g(0.81モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに市販の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製、試薬)133g(0.81モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の亜鉛塩(化合物4)160gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物の構造が目的の化合物4の構造であることを確認した。
【0059】
[製造例5]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと水酸化アルミニウム30.4g(0.39モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製、試薬)64g(0.39モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩(化合物5)70gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物5の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0060】
[製造例6]
耐圧オートクレーブ中に、市販の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業(株)製、試薬)115g(0.69モル)、ジシクロペンタジエン46g(0.7モル)、トルエン160gを仕込み、撹拌下、190℃まで昇温し、3時間保持した後、反応器を25℃まで冷却した。
次に、上記反応液320gに対して、トルエン645gをガラス容器に仕込み、撹拌下、室温にて、5重量%水酸化ナトリウム水溶液420gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に20分間撹拌した後攪拌を停止し、10分間静置後、水層を除去した。更に、上記水洗操作を3回実施した。上記で得られたトルエン溶液を、ロータリーエバポレーターにてトルエンの存在量が50重量%になるまで濃縮した。
【0061】
続いて、ガラスの撹拌槽に、ヘプタン332gを仕込み、25℃にて上記で得られた濃縮液173gを滴下した。撹拌下、反応器の温度を5℃まで冷却し、更に2時間撹拌下で保持した後、得られたスラリーを濾過後、更に新たなヘプタンで洗浄した。最後に、得られた固体を減圧乾燥させ1,2,3,4,4a,5,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物(白色の固体)66gを得た。
【0062】
続いて、上記で得られた1,2,3,4,4a,5,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物50g、トルエン100gとパラジウム触媒(パラジウム5%/アルミナ95%)0.5gを耐圧オートクレーブ中に仕込み、水素圧1MPa、温度80℃で、攪拌下に4時間水素化反応した。反応終了後、反応物を遠心分離法で触媒と分離して、トルエン溶液150gを得た。ロータリーエバポレーターにてトルエンを濃縮し、白色の固体32gを得た。IR分析及びNMR分析により、得られた白色固体が1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物であることを確認した。
【0063】
続いて、攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、上記で得られた1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物11.6g(0.05モル)と、水50ml、水酸化ナトリウム4g(0.1モル)を仕込み、室温下で反応系が均一になるまで攪拌した(攪拌中、僅かに発熱)。得られた均一溶液をアセトン(6L)中へ注ぎ、析出した白色固体を濾別後、140℃で減圧乾燥して、1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸の二ナトリウム塩12g(化合物6)を得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物6の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0064】
[製造例7]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水50mlと水酸化カルシウム3.8g(0.05モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーに製造例6で得られた1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物11.6g(0.05モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物のカルシウム塩(化合物7)10gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物7の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0065】
[製造例8]
攪拌装置と温度計を備えた4つ口フラスコに、水500mlと水酸化カルシウム61g(0.81モル)を仕込み、室温下で攪拌してスラリー化した。得られたスラリーにシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドHH)125g(0.81モル)を加えて、50℃に加熱して、5時間攪拌し、反応を行った。反応終了後、スラリーを濾別し、更に十分な量の水で洗浄後、140℃で一晩減圧乾燥して、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸のカルシウム塩(化合物8)168gを得た。IR分析、ICP分析より、得られた化合物8の構造が目的の化合物の構造であることを確認した。
【0066】
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンホモポリマー(MFR=9g/10分(荷重2160g、温度230℃))100質量部、結晶化促進剤として上記製造例1で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の二ナトリウム塩(化合物1)0.2質量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05質量部、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05質量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0067】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業(株)製NS40−5A)にて射出成形温度(加熱温度)200℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0068】
[実施例2]
化合物1の代わりに製造例2で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の二リチウム塩(化合物2)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0069】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0070】
[実施例3]
化合物1の代わりに製造例3で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸のカルシウム塩(化合物3)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0071】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0072】
[実施例4]
化合物1の代わりに製造例4で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の亜鉛塩(化合物4)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1示した。
【0073】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0074】
[実施例5]
化合物1の代わりに製造例5で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸のヒドロキシアルミニウム塩(化合物5)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0075】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0076】
[実施例6]
化合物1の代わりに製造例6で得られた1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸の二ナトリウム塩(化合物6)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0077】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0078】
[実施例7]
化合物1の代わりに製造例7で得られた1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸のカルシウム塩(化合物7)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0079】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表1に示した。
【0080】
【表1】
【0081】
[比較例1]
化合物1の代わりに製造例8で得られたシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸のカルシウム塩(化合物8)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0082】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0083】
[比較例2]
化合物1の代わりに市販の2,2‘−メチレンビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩((株)ADEKA製、アデカスタブ NA−11、以下NA−11と略記する)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0084】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0085】
[比較例3]
化合物1の代わりに市販のp−tert−ブチル安息香酸のヒドロキシアルミニウム塩(以下AL−PTBBAと略記する)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0086】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0087】
[比較例4]
化合物1の代わりに市販の安息香酸のナトリウム塩(以下BA−Naと略記する)を用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0088】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0089】
[比較例5]
結晶化促進剤を配合しないで、実施例1と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度及び半結晶化時間を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0090】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片の曲げ弾性率及びヘイズ値を測定し、得られた結果を合わせて表2に示した。
【0091】
【表2】
【0092】
[実施例8]
ポリオレフィン系樹脂としてリニア低密度ポリエチレン(MFR=20g/10分(荷重2160g、温度190℃))100重量部、結晶化促進剤として上記製造例1で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の二ナトリウム塩(化合物1)0.2重量部、及びその他の添加剤としてテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGANOX1010」)0.05重量部、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名「IRGAFOS168」)0.05重量部をドライブレンドした。そのドライブレンド物を二軸押出機((株)テクノベル社製 L/D=45、スクリュー径15mm、ダイス径5mm)を用いてバレル温度200℃にて溶融混合後、押し出されたストランドを冷却し、ペレタイザーでカッティングして、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0093】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製NS40−5A)にて射出成形温度(加熱温度)200℃、金型温度(冷却温度)40℃の条件下で成形して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0094】
[実施例9]
化合物1の変わりに製造例2で得られた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸の二リチウム塩(化合物2)を用いた以外は、実施例8と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0095】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例8と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0096】
[実施例10]
化合物1の代わりに製造例6で得られた1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸の二ナトリウム塩(化合物6)を用いた以外は、実施例8と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を合わせて表3に示した。
【0097】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例8と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0098】
[比較例6]
化合物1の代わりにNA−11を用いた以外は、実施例8と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0099】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例8と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0100】
[比較例7]
結晶化促進剤を配合しないで、実施例8と同様に実施して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物の結晶化温度を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0101】
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、実施例8と同様に実施して、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体(試験片)を得た。得られた試験片のヘイズ値を測定し、得られた結果を表3に示した。
【0102】
【表3】
【0103】
表1の実施例1〜7と表2の比較例5の結晶化温度及び半結晶化時間の比較より、本発明の結晶化促進剤が非常に優れた結晶化促進効果を有することがわかる。また、ヘイズ値及び曲げ弾性率の比較より、本発明の結晶化促進剤が、結晶化が促進すると同時に、透明性や剛性の改善にも非常に効果があることがわかる。また、表2の比較例2〜4の従来公知の結晶化促進剤と比べても、その効果が非常に優れていることが明確に示されている。