【課題】本発明の課題は、フィルム基材との基材密着性、印刷品質や作業性に影響する印刷適性、及び印刷後の後加工のラミネート強度を十分保持しつつ蓄光性を兼備するリキッド印刷インキを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の解決手段は、バインダー樹脂、有機溶剤、及び着色剤を含有するリキッド印刷インキであって、平均粒径が1.0〜40μmの蓄光顔料をインキ固形分に対し40〜85質量%含有することを特徴とするリキッド印刷インキ。
バインダー樹脂、有機溶剤、及び着色剤を含有するリキッド印刷インキであって、平均粒径が1.0〜40μmの蓄光顔料をインキ固形分に対し40〜85質量%含有することを特徴とするリキッド印刷インキ。
前記バインダー樹脂が、重量平均分子量が10,000〜100,000且つウレタン結合濃度が0.2mmol/g以上2.5mmol/g以下であるポリウレタン尿素樹脂である請求項1又は2のいずれかに記載のリキッド印刷インキ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(言葉の定義)
本発明においてリキッド印刷インキとは、グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキを指し、好ましくはグラビアインキまたはフレキソインキである。また本発明のリキッド印刷インキは活性エネルギー硬化性の成分を含んでおらず、即ち活性エネルギー線非反応性のリキッドインキである。
なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示す。
【0016】
本発明のリキッド印刷インキは、蓄光顔料を着色剤として含有する蓄光性リキッド印刷インキである。
【0017】
前記蓄光顔料としては、硫酸カルシウム蛍光体(母体結晶がCaSで付活剤がBi)、硫酸亜鉛蛍光体(母体結晶がZnSで付活剤がCu 根本特殊化学株式会社製「GSS」)、アルミン酸ストロンチウムもしくはアルミン酸カルシウムを母体結晶とし、Eu、Dy、Ndなどを付活剤とする蛍光体(根本特殊化学株式会社製「N夜光(ルミノーバ)」G−300シリーズ、GLL−300シリーズ、BG−300シリーズ、V−300シリーズ 日亜化学工業株式会社製「ULTRA GLOW シリーズ」NP−2810、NP−2820、NP−2830 株式会社リード製「リーブライト」B、YG)、母体結晶がCaSrSで付活剤がBiの蛍光体または母体結晶がCaSで付活剤がEuもしくはTmの蛍光体などが挙げられる。
中でも、アルミン酸ストロンチウムを母体結晶としてユーロピウム(原子記号:Eu)とジスプロシウム(原子記号:Dy)がドーピングされた蛍光体(根本特殊化学株式会社製「N夜光(ルミノーバ)」であるG−300シリーズ(組成式:SrAl
2O
4:Eu,Dy)、GLL−300シリーズ(組成式:SrAl
2O
4:Eu,Dy)、BG300シリーズ(組成式:Sr
4Al
14O
25:Eu,Dy)や、アルミン酸カルシウムを母体結晶としてユーロピウム(原子記号:Eu)とネオジム(原子記号:Nd)がドーピングされた蛍光体であるV−300シリーズ(組成式:CaAl
2O
4:Eu,Nd)が好ましい。
また、株式会社菱晃の「クライトブライトシリーズ」が好ましい。
【0018】
本発明のリキッド印刷インキは、前記蓄光顔料の平均粒径が1.0〜40μmの範囲であり、蓄光顔料をインキ固形分に対し40〜85質量%含有することを必須とする。
【0019】
前記蓄光顔料の平均粒径としては、1.0〜40μmの範囲が好ましく、1.0〜30μmであればより好ましく、1.0〜15μmであれば更に好ましく、1.0〜3.0μmであれば最も好ましい。
【0020】
また、前記蓄光顔料の添加量としては、インキ固形分に対し40〜85質量%の範囲が好ましく50〜80質量%であればより好ましく、60〜80質量%であれば更に好ましい。
蓄光顔料の添加量がインキ固形分に対し40質量%以上であれば蓄光性が付与される一方、
インキ固形分に対し85質量%以下であれば蓄光性が十分付与された上で、高粘度とならず基材密着性、ラミネート強度を保持でき、インキ転移性の低下に伴う印刷適性の低下が抑制できる。
【0021】
(バインダー樹脂)
本発明で使用するバインダー樹脂は、通常グラビアインキまたはフレキソインキ等の、印刷版を使用する印刷方法に適用されるリキッド状のインキに使用されるバインダー樹脂であれば特に限定されないが、本発明の課題であるフィルム基材との基材密着性、印刷品質や作業性に影響する印刷適性、及び印刷後の後加工のラミネート強度が要求されることから、ポリウレタン樹脂を主バインダー樹脂として使用することが好ましい。
【0022】
前記バインダー樹脂としては、中でも、重量平均分子量が10,000〜100,000且つウレタン結合濃度が0.2mmol/g以上2.5mmol/g以下の範囲であるポリウレタン樹脂が好ましい。
また、ポリウレタン樹脂100質量%中、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を1〜50質量%含有する事が好ましく、より好ましくは1〜30質量%の範囲である。
【0023】
尚、前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8420GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel SuperHZ1000」(4.6mmΦ×15cm)×1本
「TSKgel SuperHZ2000」(4.6mmΦ×15cm)×1本
「TSKgel SuperHZ3000」(4.6mmΦ×15cm)×1本
「TSKgel SuperHZ4000」(4.6mmΦ×15cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.35mL/分
注入量:10μL(試料濃度0.3質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0024】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−380」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−850」
【0025】
本発明のリキッド印刷インキに使用されるポリウレタン樹脂のウレタン結合濃度は、0.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下が好ましく、1.2mmol/g以上であればより好ましい。本発明のリキッド印刷インキのウレタン結合濃度を0.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、フィルム基材との接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性が改善され、1.2mmol/g以上であればより好ましい。
ウレタン結合濃度が0.2mmol/gを以上であれば、本発明のリキッド印刷インキを使用したグラビア印刷物、又はフレキソ印刷物に対するポリエチレン押出しラミネート強度が十分保持される傾向にある。一方でウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下であれば、グラビア印刷の場合、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版カブリの現象」が生じる現象が抑制できる。
本発明のウレタン結合濃度が0.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、各種フィルムとの接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性に加えてグラビア印刷で不具合となりうる「版カブリ防止」をも兼備するものである。
また、ウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下とする事で、フレキソ版によるロングラン印刷時に版上でインキが乾く事で生じる絡み汚れを抑制する事ができる。
なお、ウレタン結合濃度は下記の式(1)により算出できる。
【0026】
ウレタン結合濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S) 式(1)
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2〜ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
【0027】
前記ポリエーテルポリオールとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど公知汎用のものでよい。ポリエーテルポリオールを上記の範囲で使用することにより、特に高機能バリアーフィルム上での接着性が大幅に向上し、結果として耐ブロッキング性、ラミネート強度が優れるようになる。高機能バリアーフィルム上にて、接着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度を特に良化させるには、ポリエーテルポリオールの中でポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0028】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が100〜3500であることが好ましい。なお、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、ポリウレタン尿素樹脂と同様にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、前述の条件で測定した。
【0029】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン樹脂の構成成分であるポリエーテルポリオールの数平均分子量が100以上であればポリウレタン樹脂の皮膜が硬くなることなく、ポリエステルフィルム等のフィルム基材への接着性も保持される傾向にある。数平均分子量が3500以下の場合、ポリウレタン樹脂の皮膜が脆弱になる事なくインキ皮膜の耐ブロッキング性が保持される傾向となる。
【0030】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン樹脂に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
【0031】
なお、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
【0032】
本発明のリキッド印刷インキにおけるポリウレタン樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
本発明のリキッド印刷インキにおけるポリウレタン樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどの他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ−n−ブチルアミン等のアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン樹脂は、例えば、ポリエチレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、ノントルエン系グラビアインキ用、又はフレキソインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール系有機溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリエチレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9〜1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。
【0035】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン樹脂のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキ固形分全量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6〜20質量%の範囲が好ましい。
【0036】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂)
更に、本発明のリキッド印刷インキでは、前記ポリウレタン樹脂に加えて、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を併用してもよく、好ましい。
【0037】
前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は特に限定なく公知のものが使用できるが、中でも水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂であることが好ましく、水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95重量%である水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂がなお好ましい。
【0038】
本発明に用いられる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
【0039】
また水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂のモノマー比率としては、例えば水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100質量部に対し、塩化ビニルは80〜95質量部であると、耐ブロッキング性と接着性のバランスがとれなお好ましい。80質量部以上であれば樹脂被膜の強靭さが保て、耐ブロッキング性が確保できる。95質量部以下であれば、樹脂被膜が硬くなりすぎず、接着性が低下し難い。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50〜200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g以上であれば極性溶媒への溶解性が良好であり、印刷適性も安定し易い。200mgKOH/g以下であれば、ラミネート適性も良好に保てる。
【0040】
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を併用する場合は、リキッド印刷インキの全樹脂固形分に対して1〜30%の範囲であることが好ましい。
【0041】
(その他の樹脂)
更に、本発明のリキッド印刷インキで必要に応じて併用される樹脂の例としては、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総質量に対して1〜25質量%が好ましく、更に好ましくは2〜15質量%である。
【0042】
(溶剤)
本発明のリキッド印刷インキには、例えば芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤及びケトン類の溶剤を用いないことが望ましい。
【0043】
本発明のリキッド印刷インキには、蓄光性が著しく低下しない範囲で着色剤を添加することができる。着色剤としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機、無機顔料や染料を使用することができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。
【0044】
前記無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)を使用できる。墨インキにはカーボンブラック、白インキには酸化チタン、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0045】
(その他の添加剤)
本発明では更に必要に応じて、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
【0046】
本発明のリキッド印刷インキは、バインダー樹脂、及び蓄光顔料等を有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。
【0047】
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0048】
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0049】
(印刷物)
本発明の印刷物は、基材上に、本発明のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物である。本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻、又は腐食凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明のリキッド印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させて印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0050】
前記基材としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1〜500μmの範囲であればよい。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【0051】
(積層体)
また本発明のリキッド印刷インキは、1層の印刷層のみならず、プラスチックフィルムに少なくとも第一の印刷層と第二の印刷層とをこの順に有する積層体も作成することができる。
前記第一の印刷層と第二の印刷層は、バインダー樹脂、有機溶剤、着色剤としての蓄光顔料を含有する本願発明のリキッド印刷インキから形成された印刷層であることを特徴とする。
更に、前記第二の印刷層がオーバープリントニスである場合は、着色剤を含まなくてもよいし、着色目的に種々顔料を用いてもよく、白色顔料を用いてもよい。
【0052】
前記バインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を第一の印刷層に用いる事で、塗膜に柔軟性があり、プラスチックフィルムに対する密着性が高くフィルム基材の変形に伴う追従性も高い。また、ポリウレタン樹脂は顔料分散性、印刷時の再溶解性、顔料を分散した際の発色性の点でも優れ、顔料との相性もよい。
【0053】
更に本発明のリキッド印刷インキは、前記第一の印刷層、第二の印刷層に隣接する更に第三の印刷層をこの順に有する積層体を形成する事が出来るものであり、例えばポリウレタン樹脂と蓄光顔料を含有する印刷インキより形成された第一の印刷層と、着色剤として白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の白印刷層とをこの順に有する積層体をも作製する事ができる。
プラスチックフィルムに、ポリウレタン樹脂と着色剤を含有する印刷インキにより形成された第一の印刷層は、蓄光顔料による蓄光性をもたせた絵柄を形成させる事ができ、白色顔料を含有するリキッド印刷インキにより形成された第二の白印刷層、及び第三の印刷層は、絵柄の背景として使用することができる。
第三の印刷層がオーバープリントニスである場合は、着色剤を含まなくてもよいし、着色目的に種々着色顔料を用いてもよく、中でも白色顔料が好ましい。
【実施例】
【0054】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。表中の空欄は未配合であることを示す。
【0055】
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による数平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC−8420GPCシステムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperHZを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:0.35ml/分。試料濃度:0.3質量%。試料注入量:10μL。
段落〔0023〕記載の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
蓄光顔料の平均粒子径は、日立製作所製操作型電子顕微鏡S−3400Nを用いて測定した。
尚、水酸基価は、ポリウレタン樹脂中の水酸基を過剰のアセチル試薬にてアセチル化した際の、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウム(KOH)のmg数で示したものであり、JISK0070に準じたものである。
【0056】
(合成実施例1)ポリウレタン樹脂溶液P−1の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール84.5部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール15.5部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.55部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.83部、ジ−n−ブチルアミン0.11部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液P−1を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液P−1は、樹脂固形分濃度30.4重量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は式(1)に従う算出方法により1.20mmol/gであった。
【0057】
ウレタン結合濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S) 式(1)
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2〜ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
【0058】
ポリウレタン樹脂(総計137.76部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(15.5部)を11.4質量%含有するものである。
【0059】
(合成実施例2)ポリウレタン樹脂溶液P−2
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール75部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール25部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート58.74部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.80質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン9.66部、ジ−n−ブチルアミン0.11部、酢酸エチル170.1部およびイソプロピルアルコール137.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液P−2を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液P−2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.50mmol/gであった。
ポリウレタン樹脂(総計168.51部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(25部)を14.8質量%含有するものである。
【0060】
(合成実施例3)ポリウレタン樹脂溶液P−3
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール80部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール20部(水酸基価:111mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート22.54部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル66.0部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.25部、ジ−n−ブチルアミン0.27部、酢酸エチル131.3部およびイソプロピルアルコール106.2部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液P−3を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液P−3は、樹脂固形分濃度30.2重量%、樹脂固形分のMwは50,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により0.93mmol/gであった。
【0061】
(合成実施例4)ポリウレタン樹脂溶液P−4
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール100部(水酸基価:30.1mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート13.78部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.60重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル61.3部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン6.06部、ジ−n−ブチルアミン0.45部、酢酸エチル121.1部およびイソプロピルアルコール98.2部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液P−4を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液P−4は、樹脂固形分濃度30.0重量%、樹脂固形分のMwは40,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により0.45mmol/gであった。
【0062】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液の調整)
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液として作製し、本発明では樹脂固形分を使用する。
【0063】
(実施例、比較例 蓄光性リキッド印刷インキの製造方法)
蓄光顔料としてユーロピウム(元素記号:Eu)とジスプロシウム(元素記号:Dy)をドーピングしたアルミン酸ストロンチウム(組成式SrAl
20
4:Eu,Dy)の平均粒径2.5μm品、25μm品、40μm品と、合成済みのポリウレタン樹脂溶液P−1、P−2の樹脂固形分、及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の各々樹脂固形分を用い、有機溶剤についてはN−プロピルアセテート/酢酸エチル/イソプロピルアルコールを適宜調整して表1〜7に記載の配合比率で混合した混合物を、マイティーミル(株式会社井上製作所製)を用いて混練し、実施例1〜48及び比較例1〜16に記載の蓄光性リキッド印刷インキを調製した。
調整した蓄光性リキッド印刷インキ各々について以下の評価を実施した。
【0064】
〔印刷物の製造方法〕
得られた蓄光性リキッド印刷インキを、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア校正機により、片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルム、東洋紡績株式会社製)、及び片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、PETフィルム、東洋紡績株式会社製 E−5100 厚さ12μm)へ印刷して、乾燥し、PETフィルム印刷物を得た。
【0065】
〔評価項目1:蓄光性〕
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物の蓄光性を暗室で目視評価した。
(評価基準)
5:非常に明るく、蓄光性は十分である。
4:明るく蓄光性がある。
3:蓄光性があり使用可能なレベルである。
2:蓄光性が十分であると言えない。
1:かなり暗く、蓄光性が不十分である。
【0066】
〔評価項目2:基材接着性〕
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視評価した。
(評価基準)
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の70%以上〜90%未満がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の50%以上〜70%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の30%以上〜50%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜が30%未満しか残らなかった。
【0067】
〔評価項目3:ラミネート適性〕
前記「印刷物の製造方法」により得られたPETフィルム印刷物の印刷面に、ウレタン系のドライラミネート接着剤ディックドライLX−703VL/KR−90(DIC製)にてドライラミネート機(DICエンジニアリング製)を塗工し、接着剤塗工面に無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R−CPP:東レ合成フィルム社製 ZK−75 50μm)を積層させた。その後40℃で5日間エージングを施しラミネート物を得た。
得られたラミネート物を15mm幅に切り出し、引っ張り速度300mm/分で90度の剥離試験を行った。 評価3以上が実用範囲である。
(評価基準)
5:ラミネート強度が5N/15mm以上である。
4:ラミネート強度が4N/15mm以上〜5N/15mm未満である。
3:ラミネート強度が3N/15mm以上〜4N/15mm未満である。
2:ラミネート強度が2N/15mm以上〜3N/15mm未満である 。
1:ラミネート強度が1N/15mm未満である。
【0068】
〔評価項目4:印刷適性〕
実施例、比較例で得られた蓄光性リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度25μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。
カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで200m/minの印刷速度した際のハイライト印刷部分(網点面積10%未満)におけるカスレの面積の割合と、非印刷部の汚れ具合を目視評価した。 評価3以上が実用範囲である。
(評価基準)
5:カスレが全くなく、非印刷部の汚れもない。
4:カスレが少し見られる 、若しくは非印刷部に汚れが少しみられる。
3:カスレが少し見られ 、且つ非印刷部に汚れが少し見られる。
2:カスレが見られ 、且つ非印刷部に汚れが見られる。
1:カスレが多く見られ、且つ非印刷部にも汚れが多く見られる。
【0069】
各蓄光性リキッド印刷インキの配合、及び評価結果を表1〜7に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
【表7】
【0077】
以上の結果から、本発明のリキッド印刷インキはフィルム基材との基材密着性、印刷品質や作業性に影響する印刷適性、及び印刷後の後加工のラミネート強度を十分保持しつつ蓄光性を兼備するリキッド印刷インキを提供する結果となった。