(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-4671(P2021-4671A)
(43)【公開日】2021年1月14日
(54)【発明の名称】非常用発電装置及びその設置方法
(51)【国際特許分類】
F16M 7/00 20060101AFI20201211BHJP
F16M 5/00 20060101ALI20201211BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20201211BHJP
E02D 27/44 20060101ALI20201211BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20201211BHJP
A62C 27/00 20060101ALN20201211BHJP
【FI】
F16M7/00 Q
F16M5/00 Z
H02J9/08
E02D27/44 Z
E02D27/00 A
E02D27/00 Z
A62C27/00 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-120223(P2019-120223)
(22)【出願日】2019年6月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 智哉
【テーマコード(参考)】
2D046
2E189
5G015
【Fターム(参考)】
2D046AA01
2D046AA11
2D046DA41
2E189AD03
5G015FA10
(57)【要約】
【課題】設置の際に、基礎に植設されたアンカーボルトとの位置合わせが容易で、かつ、設置作業の手間を軽減できる非常用発電装置及びその設置方法を提供する。
【解決手段】非常用発電装置11は、内部に機器を収容するケーシング12と、ケーシング12の下部に装着される、直方体状に枠組みされた支持枠13と、支持枠13を載せる台座である基台14とを備え、施設内の床面に敷設された基礎16上に設置されており、支持枠13の底部には基台14が取付具17によって取り付けられており、支持枠13の底部に、支持枠13と着脱可能でアンカーボルト19を挿通可能な据付孔18を備えた基台14を設けたものであり、基台14のみを先に基礎16に据え付けてから、基台14以外を組み立てた非常用発電装置本体11aを基台14に取り付ける方法により設置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状に枠組みされた支持枠と、該支持枠の上部に装着されたケーシングと、該ケーシング内に収容されたエンジン及び該エンジンによって駆動される発電機と、該支持枠の内部に収容された燃料タンクとを備えた常設型の非常用発電装置において、
前記支持枠に、基礎に植設されたアンカーボルトを挿通可能な据付孔を備え、前記支持枠と着脱可能な基台を設けたことを特徴とする非常用発電装置。
【請求項2】
前記基台は、矩形状に組まれた枠部材であることを特徴とする請求項1記載の非常用発電装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の非常用発電装置の設置方法であって、アンカーボルトが植設された基礎上に、前記基台のみを、前記据付孔に前記アンカーボルトが挿通されるように設置した後に、前記非常用発電装置の本体を前記基台に取り付けることを特徴とする非常用発電装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用発電装置及びその設置方法に関し、詳しくは、商用電源の停電時にエンジンを始動させ発電機を駆動することで送電を行う常設型の非常用発電装置及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
常設型の非常用発電装置を施設に設置する場合、設置する位置に基礎を設け、据付具によって基礎に据え付けて非常用発電装置を固定する必要がある。これに対しては、例えば、非常用発電装置の据付具となる複数のアンカーボルトをあらかじめ植設した基礎を形成しておくことで、設置工程の短縮を図る施工方法が提案されている。この場合、非常用発電装置には、基礎に植設されたアンカーボルトに対応するように、台座となる部材に複数の据え付け用の孔を設けておき、これらの孔に各アンカーボルトを挿通して固定することで、非常用発電装置の設置が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−13071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非常用発電装置を、あらかじめアンカーボルトが植設された基礎上に設置するには、基礎から突き出た複数のアンカーボルトのそれぞれが、対応する据え付け用の孔に嵌まるように、非常用発電装置を正確に位置合わせしながら慎重に動かす必要があり、作業に大きな手間が生じていた。しかも、土木工事と機械製作では要求される作業の精度が異なるため、土木工事によって基礎に植設されたアンカーボルトの位置が、非常用発電装置の基台の据え付け用の孔の位置とずれてしまい、設置の際に余分な修正作業が生じることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、設置の際に、基礎に植設されたアンカーボルトとの位置合わせが容易で、かつ、設置作業の手間を軽減できる非常用発電装置及びその設置方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非常用発電装置は、直方体状に枠組みされた支持枠と、該支持枠の上部に装着されたケーシングと、該ケーシング内に収容されたエンジン及び該エンジンによって駆動される発電機と、該支持枠の内部に収容された燃料タンクとを備えた常設型の非常用発電装置において、前記支持枠に、基礎に植設されたアンカーボルトを挿通可能な据付孔を備え、前記支持枠と着脱可能な基台を設けたことを特徴としている。
【0007】
また、前記基台は、矩形状に組まれた枠部材であることも特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の非常用発電装置の設置方法は、アンカーボルトが植設された基礎上に、前記基台のみを、前記据付孔に前記アンカーボルトが挿通されるように設置した後に、前記非常用発電装置の本体を前記基台に取り付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持枠の底部に支持枠と着脱可能な基台を備えていることによって、基台のみを先に基礎に据え付けてから、基台以外を組み立てた非常用発電装置本体を基台に取り付けるという設置工程を実施できるので、非常用発電装置の設置の際に、基礎に植設されたアンカーボルトの位置と基台の据付孔の位置とにずれが生じて修正作業が発生することを防止できる。また、据付孔を基準にしてアンカーボルトの位置決めをする際に、基台のみを動かせばよいので、据付孔の合わせ作業が容易になり設置作業の手間が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態例を示す非常用発電装置の正面図である。
【
図4】非常用発電装置を設置する手順の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図3に示されるように、非常用発電装置11は、内部に機器を収容するケーシング12と、ケーシング12の下部に装着される、直方体状に枠組みされた支持枠13と、支持枠13を載せる台座である基台14とを備えており、施設内の床面15に敷設された基礎16上に設置されている。支持枠13と基台14とは、取付具17によって互いに固定されている。また、基台14には、複数の据付孔18が設けられており、基礎16に植設された複数のアンカーボルト19が各据付孔18に挿通され、ナット20で締結されることで、基台14が基礎16上に固定される。
【0012】
ケーシング12の内部には、発電機(図示せず)と、この発電機を駆動するエンジン21とが設けられている。また、エンジン21の下方には、エンジン21の燃料を貯留する燃料タンク22が、支持枠13の内部に収まるように設けられている。
【0013】
支持枠13の内部には、支持枠13内の空間を仕切る仕切り板23が設けられるとともに、燃料タンク22の下方に平面視で矩形状の底板24が設けられている。底板24と、この底板24を囲む支持枠13の第一側面板25、第二側面板26及び第三側面板27並びに仕切り板23によって、支持枠13内に、非常用発電装置11内で漏出した液体を受け止める防油堤28が形成されている。
【0014】
図4に示されるように、非常用発電装置11は、取付具17を付け外しすることによって、非常用発電装置本体11aと基台14とが着脱可能に構成されている。基台14は、形鋼によって矩形状に組まれた枠部材であって、対向する2辺が山形鋼で形成され、対向する他の2辺が溝形鋼で形成されており、非常用発電装置本体11aを支持可能な強度を有する一方で、人手によって運搬可能な程度に軽量に形成されている。
【0015】
取付具17はボルト17a及びナット17bからなり、支持枠13の底面の四隅と、基台14の上面の四隅とには、それぞれ、ボルト17aを挿通可能な取付孔17c、17dが設けられている。したがって、取付孔17cと取付孔17dとが合わさるように基台14に支持枠13を重ね、取付孔17c及び取付孔17dにボルト17aを通し、ナット17bで締結することにより、基台14に支持枠13を取り付けることができる。また、ボルト17a及びナット17bを外すことで、基台14から支持枠13を取り外すこともできる。すなわち、支持枠13と基台14とは、取付具17の付け外しによって互いに着脱可能に構成されている。
【0016】
ところで、部品である基台14に据付孔18を設けるのは機械製作に属する作業であるが、基礎16にアンカーボルト19を植設するのは土木工事に属する作業である。土木工事では、要求される作業の精度が機械製作と異なるため、基台14の据付孔18の各位置と基礎16のアンカーボルト19の各位置とを合わせるように、誤差による位置ずれが生じて据付孔18に適切に嵌まらないアンカーボルト19が出ることがあり、非常用発電装置11の設置に支障が出るおそれがある。
【0017】
これに対し、本発明の非常用発電装置11では、非常用発電装置11を設置する前に、基台14のみを先に基礎16上に据え付けておくことが可能である。具体的には、次の通りである。
【0018】
まず、基台14のみを基礎16に仮置きし、基礎16の、基台14の据付孔18に合う位置に埋め込み穴を設けてアンカーボルト19を植設する。そして、基台14の据付孔18にアンカーボルト19を通し、ナット20で締結して基礎16に基台14を据え付ける。その後、非常用発電装置本体11aを基台14に載せ、取付具17によって支持枠13と基台14とを固定することにより、非常用発電装置11の設置が完了する。
【0019】
基礎16とアンカーボルト19とを一体的に製造する場合は、基礎16の打設現場に基台14を搬入して、基台14の据付孔18を基準にしてアンカーボルト19の位置決めをした後、アンカーボルト19付きの基礎16を打設し、このアンカーボルト19付きの基礎16に基台14を据え付ければよい。その後は上記と同様に、非常用発電装置本体11aを基台14に取り付ければ、非常用発電装置11の設置が完了する。
【0020】
このように、非常用発電装置本体11aと基台14とが取付具17によって着脱可能であるから、基台14のみを先に基礎16上に据え付け、その後に基台14に非常用発電装置本体11aの取付作業を行うことができるので、基礎16に植設されたアンカーボルト19の位置と基台14の据付孔18の位置とにずれが生じて修正作業が発生することを防止できる。また、据付孔18を基準にしてアンカーボルト19の位置決めをする際に、基台14のみを動かせばよいので、据付孔18の合わせ作業が容易になり設置作業の手間が軽減される。
【0021】
また、基台14が形鋼によって矩形状に組まれた枠部材であり、人手で運べる程度に軽量に構成されているので、アンカーボルト19と据付孔18との位置合わせ作業に重機を用いる必要がなく、設置作業の手間がより軽減される。
【符号の説明】
【0022】
11…非常用発電装置、11a…非常用発電装置本体、12…ケーシング、13…支持枠、14…基台、15…床面、16…基礎、17…取付具、17a…ボルト、17b…ナット、17c…取付孔、17d…取付孔、18…据付孔、19…アンカーボルト、20…ナット、21…エンジン、22…燃料タンク、23…仕切り板、24…底板、25…第一側面板、26…第二側面板、27…第三側面板、28…防油堤