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特開2021-47003等圧オープン冷凍LPG回収に対する分割供給添加
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-47003(P2021-47003A)
(43)【公開日】2021年3月25日
(54)【発明の名称】等圧オープン冷凍LPG回収に対する分割供給添加
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/02 20060101AFI20210226BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20210226BHJP
【FI】
   F25J3/02 B
   F25J3/06
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2020-193187(P2020-193187)
(22)【出願日】2020年11月20日
(62)【分割の表示】特願2016-522028(P2016-522028)の分割
【原出願日】2014年10月8日
(31)【優先権主張番号】61/888,901
(32)【優先日】2013年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】391011227
【氏名又は名称】ルマス テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマール、アイヤラソマヤジュラ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューベル、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マルサム、マイケル
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA10
4D047AB08
4D047CA03
4D047CA04
4D047CA12
4D047CA16
4D047DA01
4D047DA04
4D047DA05
4D047EA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】供給ガス流から天然ガス液を回収するためのプロセス、および対応する装置を提供する。
【解決手段】供給ガス流112の第一部分112a及び供給ガス流の第二部分112bを形成し、第一部分対第二部分の質量比は95:5〜5:95であり、熱交換器110において第一部分を冷却し、第一部分を少なくとも部分的に凝縮させ、及び第二部分と、冷却され、少なくとも部分的に凝縮された第一部分とを、蒸留塔120に供給すること、を含み、軽質成分をオーバーヘッド蒸気流114として蒸留塔から取り出し、重質成分を製品流118としてにおいて蒸留塔から取り出し、第二部分を、第一部分よりも下にある1つ以上の気液平衡段階のポイントで蒸留塔中に供給し、それによって、蒸留塔内において、冷却された第二部分の液体と、第二部分の蒸気との間で物質移動交換させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ガス流からの天然ガス液の回収プロセスであって:
(a)前記供給ガス流の第一部分及び前記供給ガス流の第二部分を形成すること、ここで、前記第一部分対前記第二部分の質量比は95:5〜5:95である;
(b)熱交換器において前記第一部分を冷却し、前記第一部分を少なくとも部分的に凝縮させること;
(c)前記第二部分と、冷却され、少なくとも部分的に凝縮された前記第一部分とを、蒸留塔に供給すること、ここで、軽質成分をオーバーヘッド蒸気流として前記蒸留塔から取り出し、重質成分を製品流として底部において前記蒸留塔から取り出すこと、ここで、前記第二部分を、前記第一部分よりも下にある1つ以上の気液平衡段階のポイントで前記蒸留塔中に供給し、それによって、前記塔内において、前記冷却された第一部分の液体と、前記第二部分の蒸気との間で物質移動交換させる;
(d)前記蒸留塔オーバーヘッド流を前記熱交換器に供給し、そして前記蒸留塔オーバーヘッド流を冷却して前記蒸留塔オーバーヘッド流を少なくとも部分的に液化させること;
(e)少なくとも部分的に液化された蒸留塔オーバーヘッド流を第一分離器に供給すること、
(f)前記第一分離器において蒸気と液体を分離して、セールスガスを含むオーバーヘッド蒸気流と、混合冷媒を含むボトムス流とを製造すること、
(g)前記混合冷媒流を前記熱交換器に供給して冷却を提供すること、ここで前記混合冷媒流は前記熱交換器を通過する際に気化する;
(h)前記気化された混合冷媒流を圧縮し、その圧縮された混合冷媒流を前記熱交換器中に通すこと;及び
(i)前記圧縮された混合冷媒流の少なくとも一部を還流の流れとして前記蒸留塔に供給すること、を含む前記プロセス。
【請求項2】
(i)の前に、第二分離器に前記圧縮された混合冷媒流を供給し、前記第二分離器からの前記ボトムスを還流の流れとして前記蒸留塔に供給することを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
調節弁を使用して前記混合冷媒の圧力を低下させることによって、前記混合冷媒流が前記熱交換器に入る前に、前記混合冷媒流の温度を低下させることを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第二分離器からのオーバーヘッド流を前記蒸留塔からのオーバーヘッド流と合わせ、その合わせた流れを前記第一分離器に供給することを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記圧縮された混合冷媒流を前記熱交換器に通す前に、冷却器で前記圧縮された混合冷媒を冷却することを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第一分離器が吸収塔である請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記供給ガス流が天然ガスまたは製油所ガスの1つである請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記蒸留塔が約100psia〜450psiaの圧力で作動する請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記供給ガス流の第一部分及び第二部分が同じ組成を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記供給ガス流の第一部分及び第二部分が95:5〜65:35の質量比を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記供給ガス流の第一部分及び第二部分が95:5〜70:30の質量比を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
圧縮された混合冷媒流の一部を追加の製品流として取り出す請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記分離器において蒸気と液体を分離することが、側部抜取留分を製造することを更に包含する請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記オーバーヘッド蒸気流が、窒素で富化されていて、且つプロパンが枯渇していて、ボトムス留分が、窒素が枯渇していて、且つプロパンが富化されていて、そして前記側部抜取留分が、中間のプロパン含量及び窒素含量を有している請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
蒸留塔リボイラーにおいて前記蒸留塔ボトムスの一部を再沸騰させること、ここで、前記蒸留塔リボイラーへのエネルギー入力は、前記の供給ガス流、製品流及びセールスガス流と同じ体積及び組成を有するプロセスのためのエネルギー入力に比べて少なくとも5%低く、そしてその場合、第二部分は前記供給ガス流から形成されない、を更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
蒸留塔リボイラーにおいて前記蒸留塔ボトムスの一部を再沸騰させること、ここで、前記蒸留塔リボイラーへのエネルギー入力は、前記の供給ガス流、製品流及びセールスガス流と同じ体積及び組成を有するプロセスのためのエネルギー入力に比べて少なくとも10%低い、そしてその場合、第二部分は前記供給ガス流から形成されない、を更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プロセスの全体的なコンプレッサー負荷が、前記の供給ガス流、製品流及びセールスガス流と同じ体積及び組成を有するプロセスのためのコンプレッサー負荷に比べて少なくとも5%低いが、その場合、第二部分は前記供給ガス流から形成されない請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセスの全体的なコンプレッサー負荷が、前記の供給ガス流、製品流及びセールスガス流と同じ体積及び組成を有するプロセスのためのコンプレッサー負荷に比べて少なくとも10%低いが、その場合、第二部分は前記供給ガス流から形成されない請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
供給ガス流から天然ガス液を分離するための装置であって:
(a)供給ガス流を送達するように構成された第一供給ガスライン;
(b)前記供給ガス流と、冷却された供給ガス流を形成する1つ以上のプロセス流との間の熱交換接触によって、供給ガス流から天然ガス液を分離するために必要な加熱及び冷却を提供するように作動可能な熱交換器;
(c)前記供給ガス流を受け入れ、そしてその供給ガス流を、前記供給ガス流の軽質炭化水素成分の実質量を含む蒸留塔オーバーヘッド流と、重質炭化水素成分の実質量を含む蒸留塔ボトム流とに分離するように構成された蒸留塔;
(d)蒸留塔オーバーヘッド流を受け入れ、そしてその蒸留塔オーバーヘッド流を、オーバーヘッドセールスガス流と、前記熱交換器においてプロセス冷却を提供するように構成された混合冷媒を含むボトムス流とに分離するように構成された第一分離器;
(e)前記混合冷媒流が前記熱交換器においてプロセス冷却を提供した後に、前記混合冷媒流を圧縮するように構成されたコンプレッサー;及び
(f)前記熱交換器に送られる前に、前記供給ガス流の一部を取り出すように構成された供給ガスバイパスライン、ここで、前記供給ガスバイパスラインは、前記熱交換器からの前記冷却された供給ガス流が流体的に接続されるポイントより下にある1つ以上の気液平衡段階のポイントで前記蒸留塔に流動的に接続され、それにより、前記熱交換器からの前記冷却された供給ガス流の液体と、前記塔内のバイパス供給ガス流の蒸気との間で物質移動交換させることができる、を含む前記装置。
【請求項20】
前記圧縮された混合冷媒流を受け入れ、そしてその圧縮された混合冷媒を、オーバーヘッド流と、還流の流れとして前記蒸留塔に供給されるボトムス流とに分離させるように構成される第二分離器を更に含む請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記供給ガスバイパスラインに入る流れが、前記熱交換器に送られる前記供給ガス流の一部と同じ組成を有するように構成されるスプリッターを更に含む請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記スプリッターを、前記バイパスラインが前記第一供給ガスラインからの前記供給ガスの約5〜35重量%を受け入れるように構成する請求項19に記載の装置。
【請求項23】
製品流として前記圧縮された混合冷媒の一部を取り出すように構成されるスプリッターを更に含む請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記第一分離器が吸収塔である請求項19に記載の装置。
【請求項25】
前記吸収塔が、側部抜取流を取り出すように構成される側部抜取ラインを有する請求項24に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/888,901号の優先権を主張する。
【0002】
分野
本明細書に記載される実施形態は、炭化水素を含有するガス供給流からの天然ガス液の改良された回収プロセス、特にガス供給流からのプロパン及びエタンの回収に関する。
【背景技術】
【0003】
天然ガスは、種々の炭化水素、例えばメタン、エタン及びプロパンを含有する。天然ガスは、通常は、過半比率のメタン及びエタンを有し、すなわち、メタン及びエタンを合わせると典型的には天然ガスの少なくとも50モル%を構成する。また、天然ガスは、比較的少量の重質炭化水素、例えばプロパン、ブタン、ペンタン等、ならびに水素、窒素、二酸化炭素及び他のガスも含有する。天然ガスに加えて、炭化水素を含有する他のガス流は、軽質炭化水素と重質炭化水素との混合物を含有することができる。例えば、精製プロセスで形成されたガス流は、分離されるべき炭化水素の混合物を含有することができる。これらの炭化水素の分離及び回収は、直接使用してもよく、または他のプロセスのための供給原料として使用してもよい有益な製品を提供することができる。これらの炭化水素は典型的には天然ガス液(NGL)として回収される。
【0004】
本明細書に記載される実施形態は、主に、炭化水素を含有するガス流中のC+成分を回収すること、特にこれらのガス流からプロパンを回収することを目的とする。以下に記載するプロセスにしたがって処理される代表的な天然ガス供給物は、典型的には、おおよそのモル%で、メタンを92.12モル%、エタン及び他のC成分を3.96モル%、プロパン及び他のC成分を1.05モル%、イソブタンを0.15モル%、ノルマルブタンを0.21モル%、ペンタンまたはより重質の成分を0.11モル%、そして窒素及び二酸化炭素から主に構成される残余を含有することができる。製油所ガス流は、少量のメタン及びより多量の重質炭化水素を含有することができる。
【0005】
ガス供給流からの天然ガス液の回収は、種々のプロセス、例えば、ガスの冷却及び冷凍、油吸収、冷凍油吸収を使用して、または多重蒸留塔の使用によって行なわれてきた。更に最近では、ジュール・トムソン弁またはターボエキスパンダーを利用する極低温膨張プロセスが、天然ガスからのNGLの回収に好ましいプロセスとなってきている。
【0006】
典型的な極低温膨張回収プロセスにおいて、加圧下の供給ガス流は、そのプロセスの他の流れ及び/または外部冷凍源との、例えばプロパン圧縮−冷凍システムとの熱交換によって冷却される。ガスが冷却される際に、液体は、1つ以上の分離器中で、所望の成分を含有する高圧液体として凝縮され、そして回収することができる。
【0007】
高圧液体は、より低い圧力に膨張させ、分別することができる。液体と蒸気の混合物を含む、膨張流は蒸留塔中で分別される。蒸留塔中で、揮発性ガス及び軽質炭化水素はオーバーヘッド蒸気として取り出され、重質炭化水素成分は塔底部において液体製品として出る。
【0008】
供給ガスは、典型的には、完全には凝縮されず、そして、部分凝縮から残っている蒸気は、より低圧へとジュール・トムソン弁またはターボエキスパンダーを通過することができ、その圧力において、その流れは、更に冷却され、その結果として更なる液体が凝縮される。その膨張流は、蒸留塔に供給流として供給される。
【0009】
蒸留塔には、典型的には、冷却後ではあるが、膨張前に、部分的に凝縮された供給ガスの一部である還流の流れが提供される。種々のプロセスでは、還流のための他の源が、例えば、加圧下で供給される残留ガスの循環流が使用されてきた。
【0010】
上記の一般的な極低温プロセスについて様々な改良が試みられているが、これらの改良は、蒸留塔への供給流を膨張させるために、ターボエキスパンダーまたはジュール・トムソン弁を使用し続けている。天然ガス供給流からのNGLの回収を増大させるための改良プロセスが望まれている。
【0011】
概要
本明細書に記載される実施形態は、供給ガス流からNGLを回収するための改良プロセスに関する。このプロセスは、高レベルのNGL回収に必要な低温を達成するために、オープンループ混合冷媒プロセスを利用する。単一の蒸留塔を利用して、セールスガスのような軽質成分から、重質の炭化水素を分離する。蒸留塔からのオーバーヘッド流を冷却して、そのオーバーヘッド流を部分的に液化させる。その部分的に液化されたオーバーヘッド流を、軽質の炭化水素、例えばセールスガスを含む蒸気流と、混合冷媒として役立つ液体成分とに分離する。その混合冷媒により、プロセス冷却が提供され、そして混合冷媒の一部は、蒸留塔が主要な成分で富化されるように、還流の流れとして使用される。蒸留塔で富化されたガスによって、蒸留塔のオーバーヘッド流は、より温かい温度で凝縮し、蒸留塔は、高レベルのNGL回収のために典型的に使用される温度によりも温かい温度で作動する。このプロセスは、ジュール・トムソン弁またはターボエキスパンダーに基づくプラントにおけるようなガスを膨張させることなく、ただ1つの蒸留塔を使用して、所望のNGL成分の高レベル回収を達成する。
【0012】
一実施形態では、C+炭化水素、特にプロパンが回収される。流入供給流の組成に基づいて、C+炭化水素の所望の回収率を達成するために要求される温度及び圧力を維持する。プロセスのこの実施形態では、供給ガスは、主熱交換器に入り、冷却される。冷却された供給ガスは、この実施形態では脱エタン塔として機能する蒸留塔に供給される。供給流の冷却は、主として、プロパンのような温かい冷媒によって提供することができる。蒸留塔からのオーバーヘッド流は、主熱交換器に入り、そこで、混合冷媒を生成し、システムからの所望のNGL回収を提供するために要求される温度に冷却される。
【0013】
蒸留塔からの冷却されたオーバーヘッド流を、還流ドラムからのオーバーヘッド流と合わせ、蒸留塔オーバーヘッドドラムにおいて分離する。蒸留塔オーバーヘッドドラムからのオーバーヘッド蒸気は、セールスガス(すなわち、メタン、エタン及び不活性ガス)であり、液体ボトムス(liquid bottom)は混合冷媒である。その混合冷媒は、供給ガスと比較してC及びより軽質の成分に富んでいる。セールスガスは、主熱交換器中に供給され、温められる。混合冷媒の温度は、主熱交換器において、必要な熱移動を容易にするように十分な低温まで下げる。冷媒の温度は、調節弁を通過する冷媒の圧力を低下させることによって、下げる。混合冷媒を主熱交換器に供給し、そこで、主熱交換器を通過する際に、混合冷媒は、気化し、そして過熱される。
【0014】
主熱交換器を通過した後、混合冷媒は圧縮される。好ましくは、コンプレッサー排出圧力は、蒸留塔圧力よりも高いので、還流ポンプは不要である。圧縮されたガスは、主熱交換器を通過し、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された混合冷媒は還流ドラムに送られる。還流ドラムからのボトム液は、蒸留塔のための還流の流れとして使用する。還流ドラムからの蒸気は、主熱交換器から出る蒸留塔オーバーヘッド流と合わせ、その合わせた流れは、蒸留塔オーバーヘッドドラムに送られる。この実施形態では、プロセスは、供給ガスからのプロパンの99%を超える回収率を達成できる。
【0015】
プロセスの他の実施形態では、供給ガスを上記のように処理し、混合冷媒の一部は、圧縮及び冷却の後に、プラントから取り出される。プラントから取り出された混合冷媒の一部はC回収ユニットに供給され、混合冷媒中のエタンが回収される。主熱交換器を通過し、圧縮及び冷却された後の混合冷媒流の一部の取り出しは、必要な冷凍を提供するのに十分なC成分がシステム内に残留している場合、プロセスに関する影響は極僅かである。いくつかの実施形態では、混合冷媒流の95%程度を、C回収のために取り出すことができる。その取り出された流れは、エチレンクラッキングユニットにおける供給流として使用することができる。
【0016】
プロセスの別の実施形態では、吸収塔(absorber column)を使用して蒸留塔オーバーヘッド流を分離する。吸収塔からのオーバーヘッド流はセールスガスであり、ボトムスは混合冷媒である。
【0017】
本発明の更に別の実施形態では、ただ1つの分離ドラム(separator drum)が使用される。この実施形態では、圧縮され冷却された混合冷媒は、還流の流れとして蒸留塔に戻される。
【0018】
上記のプロセスは、所望の任意の様式で、炭化水素の分離を達成するために変更することができる。例えば、プラントは、蒸留塔によって、C及びより軽質の炭化水素から、C+炭化水素が、主としてブタンが分離されるように、作動させることができる。別の実施形態では、プラントは、エタン及びプロパンの両方を回収するように作動させることができる。この実施形態では、蒸留塔は脱メタン塔として使用され、プラントの圧力及び温度は適宜調整される。この実施形態では、蒸留塔からのボトムスは主にC+成分を含有し、一方、オーバーヘッド流は主にメタン及び不活性ガスを含有している。この実施形態では、供給ガス中のC+成分の55%程度の回収を達成することができる。
【0019】
プロセスの利点は、中でも、蒸留塔への還流が、例えばエタンに富んでいて、それにより蒸留塔からのプロパンの損失が低減されることにある。また、還流は、蒸留塔におけるエタンのような軽質の炭化水素のモル分率を増大させ、オーバーヘッド流を凝縮させることがより容易になる。このプロセスは、蒸留塔オーバーヘッドにおいて凝縮された液体を2度使用するものであり、1度目は低温冷媒として使用し、2度目は蒸留塔のための還流の流れとして使用する。本明細書に記載されるプロセスの他の利点は、以下に提供される好ましい実施形態の詳細な説明に基づき、当業者には明らかであろう。
【0020】
更に別の実施形態では、供給ガス流の第一部分及び供給ガス流の第二部分を形成すること、ここで、その第一部分対第二部分の質量比は95:5〜5:95の範囲である;熱交換器において第一部分を冷却し、第一部分を少なくとも部分的に凝縮させること;及び第二部分と、冷却され、少なくとも部分的に凝縮された第一部分とを、蒸留塔に供給すること、ここで、軽質成分はオーバーヘッド蒸気流として蒸留塔から取り出され、重質成分は製品流としてボトムスにおいて蒸留塔から取り出され、また、ここで、第二部分は、第一部分よりも下にある1つ以上の気液平衡段階のポイントで蒸留塔中に供給され、それによって、前記塔内において、冷却された第一部分の液体と、第二部分の蒸気との間で物質移動交換させることができる、を含む、供給ガス流から天然ガス液を回収するためのプロセスを提供する。そのプロセスは、更に、蒸留塔オーバーヘッド流を熱交換器に供給し、そしてその蒸留塔オーバーヘッド流を冷却して蒸留塔オーバーヘッド流を少なくとも部分的に液化すること、少なくとも部分的に液化された蒸留塔オーバーヘッド流を第一分離器に供給すること、第一分離器において蒸気と液体を分離して、セールスガスを含むオーバーヘッド蒸気流と、混合冷媒を含むボトムス流とを製造すること、その混合冷媒流を熱交換器に供給して冷却を提供すること、ここで混合冷媒流は熱交換器を通過する際に気化し、その気化された混合冷媒流を圧縮し、そしてその圧縮された混合冷媒流を熱交換器中に通すこと、及びその圧縮された混合冷媒流の少なくとも一部を還流の流れとして蒸留塔に供給すること、を包む。実施形態では、エネルギー入力は、供給流が分割されず且つ全供給流が冷却のために熱交換器を通過するプロセスのためのエネルギー入力に比べて、約5〜30%、または約10〜20%低い。エネルギー入力の減少は、運転コストの有意な節約をもたらす。
【0021】
更なる実施形態では、供給ガス流から天然ガス液を分離するための装置を提供し、その装置は、供給ガス流を送達するように構成された第一供給ガスライン、供給ガス流と、冷却された供給ガス流を形成する1つ以上のプロセス流との間の熱交換接触によって、供給ガス流から天然ガス液を分離するために必要な加熱及び冷却を提供するように作動可能な熱交換器、及び供給ガス流を受け入れ、そしてその供給ガス流を、供給ガス流の軽質炭化水素成分の実質量を含む塔オーバーヘッド流と、重質炭化水素成分の実質量を含む塔ボトムス流とに分離するように構成された蒸留塔を含む。その装置は、更に、蒸留塔オーバーヘッド流を受け入れ、そしてその塔オーバーヘッド流を、オーバーヘッドセールスガス流と、熱交換器においてプロセス冷却を提供するように構成された混合冷媒を含むボトムス流とに分離するように構成された第一分離器、混合冷媒流が熱交換器でプロセス冷却を提供した後に、混合冷媒流を圧縮するように構成されたコンプレッサー、及び熱交換器に送られる前に、供給ガス流の一部を取り出すように構成された供給ガスバイパスライン、ここで、供給ガスバイパスラインは、熱交換器からの冷却された供給ガス流が流体的に接続されるポイントより下にある1つ以上の気液平衡段階のポイントで蒸留塔に流動的に接続され、それにより、熱交換器からの冷却された供給ガス流の液体と、前記塔内のバイパス供給ガス流の蒸気との間で物質移動交換させることができる、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】混合冷媒流を圧縮し、そして還流分離器へと戻す方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図2】圧縮された混合冷媒流の一部を、エタン回収のためのプラントから取り出す方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図3】吸収塔を使用して蒸留オーバーヘッド流を分離する実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図4】ただ1つの分離ドラムを使用する実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図5】蒸留塔への供給流を、分割し、蒸留塔の異なる位置に供給し、そして混合冷媒を圧縮し、還流分離器へと戻す方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図6】蒸留塔への供給流を、分割し、蒸留塔の異なる位置に供給し、そして圧縮された混合冷媒流を取り出し、その圧縮された混合冷媒流の一部をエタン回収のためのプラントから取り出す方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図7】蒸留塔への供給流を、分割し、蒸留塔の異なる位置に供給し、そして吸収塔を使用して蒸留塔オーバーヘッド流を分離する方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図8】蒸留塔への供給流を、分割し、蒸留塔の異なる位置に供給し、そこで、ただ1つの分離ドラムを使用する方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
図9】蒸留塔への供給流を、分割し、蒸留塔の異なる位置に供給する別の方法の実施形態を実行するためのプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載される実施形態は、炭化水素を含有するガス供給流から、例えば石油処理からの天然ガス流またはガス流を含有するガス供給流から、天然ガス液(NGL)を回収するための改良プロセスに関する。実施形態では、そのプロセスは、プラント中のガス圧を意図的に低減することなく、ほぼ一定の圧力で行われる。プロセスでは、軽質炭化水素及び重質炭化水素を分離するために単一蒸留塔を使用する。オープンループ混合冷媒は、プロセスの冷却を提供して、NGLガスの高レベルでの回収に必要な温度を達成する。混合冷媒は、供給ガス中の軽質及び重質の炭化水素の混合物から成り、一般的には、供給ガスと比較して、軽質炭化水素に富んでいる。
【0024】
また、オープンループ混合冷媒は、蒸留塔へ、富化された還流の流れを提供するためにも使用され、より高い温度で蒸留塔が作動することを可能にし、NGLの回収を増大させる。蒸留塔からのオーバーヘッド流を冷却して、そのオーバーヘッド流を部分的に液化させる。部分的に液化されたオーバーヘッド流を、セールスガスのような軽質炭化水素を含む蒸気流と、混合冷媒として役立つ液体成分とに分離する。
【0025】
実施形態では、プロセスを使用して、混合供給ガス流中の炭化水素の所望の分離を得ることができる。一実施形態では、本出願のプロセスを使用して、高レベルでのプロパン回収を得ることができる。供給ケース(feed case)中のプロパンの99%程度またはそれ以上を、このプロセスで回収することができる。また、プロセスは、プロパンと一緒に有意な量のエタンを回収する様式またはセールスガスと一緒にエタンの大部分を排除する様式で作動することもできる。あるいは、プロセスは、供給流の高い%のC+成分を回収し、C及びより軽質の成分を排出するように作動することができる。
【0026】
実施形態では、エネルギー使用の実質的な低減は、本明細書に記載の分割供給構成を使用して得ることができる。実施形態では、コンプレッサー能力を、分割供給が使用されないシステムと比較して、少なくとも5%だけ、または少なくとも10%だけ、または5〜20%だけ低下させることができる。実施形態では、リボイラー負荷は、分割供給を有していないシステムと比較して、少なくとも10%だけ、または少なくとも20%だけ、または少なくとも30%だけ低下させることができる。実施形態では、蒸留塔のサイズも縮小させることができ、その結果として資本コストが減少する。実施形態では、供給流の第一部分(蒸留塔に供給される前に、冷却され、部分的に凝縮される)と、供給流の第二部分(冷却されず、部分的に凝縮されない)の質量比は、95:5〜5:95、または95:5〜65:35、または95:5〜70:30の範囲である。
【0027】
いくつかの実施形態を実行するためのプラントを図1に概略示す。プラントに関する操作パラメーター、例えば温度、圧力、流量及び種々の流れの組成は、NGLの所望の分離及び回収を達成するように設定されることを理解すべきである。必要とされる操作パラメーターは、供給ガスの組成にも左右される。必要とされる操作パラメーターは、公知の技術、例えばコンピューターによるシミュレーションを使用して、当業者によって容易に決定される。したがって、下記に示す種々の操作パラメーターの記載及び範囲は、本発明の特定の実施形態を説明するものであり、それらは、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0028】
供給ガスは、ライン(12)を介して、主熱交換器(10)に供給される。供給ガスは、天然ガス、製油所ガスまたは分離を必要とする他のガス流であり得る。供給ガスは、典型的には、プラントに供給される前に、濾過及び脱水して、NGLユニットでの凍結を防止する。供給ガスは、典型的には、温度約110°F〜130°F及び圧力約100psia〜450psiaで主熱交換器に供給される。供給原料ガスは、より冷たいプロセス流及び冷媒(そのプロセスにとって必要な追加の冷却を提供するのに要する量でライン(15)を通して主熱交換器に供給することができる)との熱交換接触により、主熱交換器(10)中で冷却され、部分的に液化される。温かい冷媒、例えばプロパンを使用して、供給ガスに必要な冷却を提供することができる。供給ガスは、主熱交換器中で、約0°F〜−40°Fの温度に冷却することができる。
【0029】
冷たい供給ガス(12)は、主熱交換器(10)を出て、供給ライン(13)を通って蒸留塔(20)に入る。蒸留塔は、供給ガスの圧力に比べてわずかに低い圧力、典型的には供給ガスの圧力に比べて約5psi〜10psi低い圧力で作動する。蒸留塔では、重質炭化水素を、例えばプロパン及び他のC+成分を、軽質の炭化水素から、例えばエタン、メタン及び他のガスから分離する。重質炭化水素成分は、液体ボトムスとして蒸留塔からライン(16)を通って出て、一方、軽質成分は、蒸気オーバーヘッドライン(14)を通って出る。好ましくは、ボトムス流(16)は約150°F〜300°Fの温度で蒸留塔から出て、オーバーヘッド流(14)は約−10°F〜−80°Fの温度で蒸留塔から出る。
【0030】
蒸留塔からのボトムス流(16)は、製品流(18)と、熱入力(Q)を受けるリボイラー(30)に向けられるリサイクル流(22)とに分割される。任意には、製品流(18)を、冷却器において、約60°F〜130°Fの温度に冷却することができる。製品流(18)は、供給ガス流中の重質炭化水素が高度に富化されている。図1に示す実施形態では、製品流は、プロパン及びより重質の成分で高度に富化されることができ、エタン及びより軽質のガスは、下記のように、セールスガスとして取り出される。あるいは、プラントは、製品流がC+炭化水素で高度に富化され、そしてプロパンがセールスガス中のエタンと一緒に取り出されるように、作動させることができる。リサイクル流(22)を、リボイラー(30)で加熱して、熱を蒸留塔に提供する。蒸留塔のために典型的に使用される任意のタイプのリボイラーを使用することができる。
【0031】
蒸留塔オーバーヘッド流(14)は、主熱交換器(10)を通り、ここで、プロセスガスとの熱交換接触によって冷却されて、部分的に液化する。蒸留塔オーバーヘッド流は、ライン(19)を通って主熱交換器を出て、下記のように混合冷媒を生成するように十分に冷却されている。好ましくは、蒸留塔オーバーヘッド流は、主熱交換器において、約−30°F〜−130°Fの温度に冷却される。
【0032】
図1に示すプロセスの実施形態では、冷却され、部分的に液化された流れ(19)は、ミキサー(100)において、還流分離器(40)からのオーバーヘッド流(28)と合わせられ、次いで、ライン(32)を通って、蒸留塔オーバーヘッド分離器(60)に供給される。あるいは、流れ(19)を、還流分離器(40)からのオーバーヘッド流(28)と合わせることなく、蒸留塔オーバーヘッド分離器(60)に供給することができる。オーバーヘッド流(28)を蒸留塔オーバーヘッド分離器に直接に供給することができるか、またはプロセスの他の実施形態では、還流分離器(40)からのオーバーヘッド流(28)をセールスガス(42)と合わせることができる。任意には、還流分離器(40)からのオーバーヘッド流は、蒸留塔オーバーヘッド流(19)と混合させるためにライン(28a)を通して供給される前に、調節弁(75)を通過させることができる。使用される供給ガス及び他のプロセスパラメーターに応じて、調節弁(75)を使用して、エタンコンプレッサー(80)に関する圧力を保持し(この流れの凝縮を容易にすることができる)、そして蒸留塔の頂部へ液体を移動させるために圧力を提供することができる。あるいは、還流ポンプを使用して、蒸留塔の頂部へ液体を移動させるのに必要な圧力を提供することができる。
【0033】
図1に示す実施形態では、合わせられた蒸留塔オーバーヘッド流及び還流ドラムオーバーヘッド流(32)は、蒸留塔オーバーヘッド分離器(60)において、オーバーヘッド流(42)とボトムス流(34)に分離される。蒸留塔オーバーヘッド分離器(60)からのオーバーヘッド流(42)は、セールスガス(例えばメタン、エタン及びより軽質の成分)を含有している。蒸留塔オーバーヘッド分離器からのボトムス流(34)は、主熱交換器(10)における冷却に使用される液体混合冷媒である。
【0034】
セールスガスは、ライン(42)を介して主熱交換器(10)を通って流れ、加温される。典型的なプラントでは、セールスガスは、約−40°F〜−120°Fの温度及び約85psia〜435psiaの圧力で、脱エタン塔オーバーヘッド分離器を出て、そして約100°F〜120°Fの温度で、主熱交換器を出る。セールスガスは、ライン(43)を通って、更なる処理に送られる。
【0035】
混合冷媒は、蒸留塔オーバーヘッド分離器ボトムスライン(34)を通って流れる。混合冷媒の温度は、調節弁(65)を通る冷媒の圧力を低下させることによって、下げることができる。混合冷媒の温度を、主熱交換器(10)で必要な冷却を提供するのに十分に冷たい温度まで低下させる。その混合冷媒を、ライン(35)を通して、主熱交換器に供給する。主熱交換器に入る混合冷媒の温度は、典型的には、約−60°F〜−175°Fである。調節弁(65)を使用して混合冷媒の温度を低下させる場合、温度は、典型的には、約20°F〜50°Fだけ低下させ、圧力は約90psi〜250psiだけ低下させる。混合冷媒は、主熱交換器(10)を通過する時に気化、過熱され、そしてライン(35a)を通って出る。主熱交換器を出る混合冷媒の温度は、約80°F〜100°Fである。
【0036】
主熱交換器を出た後、混合冷媒はエタンコンプレッサー(80)に供給される。その混合冷媒は、約230°F〜350°Fの温度で、蒸留塔の作動圧力よりも約15psi〜25psi高い圧力に圧縮される。混合冷媒を蒸留塔の圧力を超える圧力に圧縮することにより、還流ポンプは不要となる。圧縮された混合冷媒は、ライン(36)を通って冷却器(90)中に流れ、そこで、約70°F〜130°Fの温度に冷却される。任意には、冷却器(90)は省略でき、下記のように、圧縮された混合冷媒は、主熱交換器(10)へと直接流れることができる。次いで、圧縮された混合冷媒は、ライン(38)を通って主熱交換器(10)へと流れ、そこで、更に冷却され、部分的に液化する。その混合冷媒は、主熱交換器において、約15°F〜−70°Fの温度に冷却される。部分的に液化された混合冷媒は、ライン(39)を通って還流分離器(40)に導入される。既に述べたように、図1の実施形態では、還流分離器(40)からのオーバーヘッド(28)は、蒸留塔からのオーバーヘッド(14)と合わせ、その合わせた流れ(32)は、蒸留塔オーバーヘッド分離器に供給される。還流分離器(40)からの液体ボトムス(26)は、還流の流れ(26)として蒸留塔にフィードバックされる。調節弁(75,85)を使用して、凝縮を促進するためにコンプレッサーに関する圧力を保持することができる。
【0037】
還流として使用されるオープンループ混合冷媒により、蒸留塔は、気相成分で富化される。富化された蒸留塔の中のガスにより、蒸留塔のオーバーヘッド流は、より温かい温度で凝縮し、蒸留塔は、NGLを高レベルで回収するために通常必要とされる温度に比べてより温かい温度で作動する。
【0038】
また、蒸留塔への還流は、蒸留塔からの重質炭化水素の損失も低減する。例えば、プロパンの回収プロセスでは、還流は、蒸留塔におけるエタンのモル分率を増加させ、それによりオーバーヘッド流を凝縮させることがより容易になる。プロセスは、蒸留塔オーバーヘッドドラムにおいて凝縮された液体を2回使用しており、1回目は低温冷媒としての使用であり、2回目は蒸留塔のための還流の流れとしての使用である。
【0039】
図2に示してある別の実施形態では、図において、同じ番号は上記したものと同じ成分及びフローストリームを示しており、プロセスを使用して、エタン及び軽質成分からプロパン及び他のC+炭化水素を分離する。混合冷媒を、戻しライン(45)及びエタン回収ライン(47)に分割するために、ライン(38)において、混合冷媒コンプレッサー(80)及び混合冷媒冷却器の後に、ティー(110)を設けている。戻しライン(45)は、上記したように、プロセススルー主熱交換器(10)に混合冷媒の一部を戻す。エタン回収ライン(47)は、混合冷媒の一部を、エタン回収のための別のエタン回収ユニットに供給する。混合冷媒流の一部の取り出しは、所望の冷凍を提供するのに十分なC成分がシステムに残留している場合には、プロセスに関する影響は極僅かである。いくつかの実施形態では、混合冷媒流の95%程度を、C回収のために取り出すことができる。取り出された流れは、例えば、エチレンクラッキングユニットにおける供給流として使用することができる。
【0040】
別の実施形態では、NGL回収ユニットは、プロパンと一緒に有意な量のエタンを回収することができる。プロセスのこの実施形態では、蒸留塔は脱メタン塔であり、オーバーヘッド流は、主として、メタン及び不活性ガスを含有し、一方、塔ボトムスは、エタン、プロパン及びより重質の成分を含有する。
【0041】
プロセスの別の実施形態では、脱エタン塔オーバーヘッドドラムは、吸収塔で置き換えることができる。図3に示すように、図において、同じ番号は上記したものと同じ成分及びフローストリームを示しており、この実施形態では、蒸留塔(20)からのオーバーヘッド流(14)は、主熱交換器(10)を通過し、冷却された流れ(19)は吸収塔(120)に供給される。還流分離器(40)からのオーバーヘッド流(28)も、吸収塔(120)に供給される。吸収塔からのオーバーヘッド流(42)はセールスガスであり、吸収塔からのボトムス流(34)は混合冷媒である。図3に示してある他の流れ及び成分は上記のものと同じ流路を有する。
【0042】
図4に示す更に別の実施形態では、図において、同じ番号は上記したものと同じ成分及びフローストリームを示しており、このプロセスでは、第二分離器及び冷却器は使用されない。この実施形態では、圧縮された混合冷媒(36)は、主熱交換器(10)を通して供給され、そしてライン(39)を通して蒸留塔に供給されて還流フローを提供する。
【0043】
図5に示してある実施形態では、ガス供給流(112)を分割して、第一供給流(112a)と第二供給流(112b)とする。第一供給流(112a)は、冷却のために熱交換器(110)に入り、そこで部分的に液化されて液体と蒸気の混合物を含有する流れ(113)を形成し、熱交換器(110)からの冷供給流(113)を形成する。第二供給流(112b)は、予冷されていない、典型的には、液体を有していない完全に気相の温かいガスバイパス供給流(warm gas by−pass feed stream)である。弁(195)は、プロセス管理目的のために、例えば、第一及び第二供給流(112a)及び(112b)の蒸留塔(120)への相対的な流量を制御するために、第二供給流(112b)に対して設けられている。液体が第一供給流(112a)において凝縮するとき、凝縮された液体の一部はメタン及びエタンである。通常は、メタン及びエタンは、プロセスからのオーバーヘッド蒸気製品である。第二供給流(112b)は、第一供給流(112a)と同じ全体的な組成を有するが、その冷却された供給流(113)は典型的には液体を含有していない。その結果として、冷供給流(113)中に比べて、第二供給流(112b)のバイパスガス中にはより高濃度のプロパン蒸気とブタン蒸気が存在する。冷供給流(113)より下にある蒸留塔の1つ以上、または1〜10、または1〜7、または1〜4つの気液平衡段階に対して第二供給流(112b)の温かいバイパスガスを供給することにより、蒸留塔(120)内で、液体のメタン及びエタンと、蒸気のプロパン及びブタンとの間で、物質移動を交換させることができる。これにより、メタン及びエタンは気化し、プロパン及びブタンは凝縮する。こうすることにより、冷凍負荷とリボイラー負荷を実質的に低下させることによって、プロセスの総合効率は予想外に増加する。実施形態では、蒸留塔のサイズは、第二供給流(112b)を包含しないシステムと比較して、縮小させることができる。
【0044】
供給ガス(112)は、天然ガス、製油所ガスまたは分離を必要とする他のガス流であり得る。供給ガスは、典型的には、プラント中に供給される前に、濾過及び脱水して、NGLユニットにおける凍結を防止する。第一供給流(112a)中の供給ガスは、典型的には、温度約110°F〜130°F及び圧力約100psia〜450psiaで主熱交換器に供給する。供給ガスは、より冷たいプロセス流及び冷媒(そのプロセスにとって必要な追加の冷却を提供するのに要する量でライン(115)を通して主熱交換器に供給することができる)との熱交換接触により、主熱交換器(110)中で冷却され、部分的に液化される。温かい冷媒、例えばプロパンを使用して、供給ガスに必要な冷却を提供することができる。供給ガスは、主熱交換器中で、約0°F〜−40°Fの温度に冷却される。
【0045】
冷供給ガス(112a)は、主熱交換器(110)を出て、そして供給ライン(113)を通って蒸留塔(120)に入る。蒸留塔は、供給ガスの圧力に比べてわずかに低い圧力、典型的には供給ガスの圧力に比べて約5psi〜10psi低い圧力で作動する。蒸留塔では、重質炭化水素は、例えばプロパン及び他のC+成分は、軽質炭化水素から、例えばエタン、メタン及び他のガスから分離される。重質炭化水素成分は、液体ボトムスとして蒸留塔からライン(116)を通って出て、一方、軽質成分は、蒸気オーバーヘッドライン(114)を通って出る。好ましくは、ボトムス流(116)は約150°F〜300°Fの温度で蒸留塔から出て、オーバーヘッド流(114)は約−10°F〜−80°Fの温度で蒸留塔から出る。
【0046】
蒸留塔からのボトムス流(116)は、製品流(118)と、熱入力(Q)を受けるリボイラー(130)に向けられるリサイクル流(122)とに分割される。任意には、製品流(118)は、冷却器において、約60°F〜130°Fの温度に冷却することができる。製品流(118)は、供給ガス流中の重質炭化水素が高度に富化されている。図5に示す実施形態では、製品流では、プロパン及びより重質の成分を高度に富化することができ、エタン及びより軽質のガスは、下記のように、セールスガスライン(143)におけるセールスガスとして取り出される。あるいは、プラントは、製品流がC+炭化水素で高度に富化され、そしてプロパンがセールスガス中のエタンと一緒に取り出されるように、作動させることができる。リサイクル流(122)は、リボイラー(130)で加熱されて、蒸留塔に熱を提供する。蒸留塔のために典型的に使用される任意のタイプのリボイラーを使用することができる。
【0047】
蒸留塔オーバーヘッド流(114)は、主熱交換器(110)を通り、ここで、プロセスガスとの熱交換接触によって冷却され、部分的に液化する。蒸留塔オーバーヘッド流は、ライン(119)を通って主熱交換器を出て、下記のように混合冷媒を生成するように十分に冷却されている。好ましくは、蒸留塔オーバーヘッド流は、主熱交換器において、約−30°F〜−130°Fの温度に冷却される。
【0048】
図5に示すプロセスの実施形態では、冷却され、部分的に液化された流れ(119)を、ミキサー(200)において、還流分離器(140)からのオーバーヘッド流(128)と合わせ、次いで、ライン(132)を通して、蒸留塔オーバーヘッド分離器(160)に供給する。あるいは、流れ(119)は、還流分離器(140)からのオーバーヘッド流(128)と合わせずに、蒸留塔オーバーヘッド分離器(160)に供給することができる。オーバーヘッド流(128)を、蒸留塔オーバーヘッド分離器に直接に供給することができるか、またはプロセスの他の実施形態では、還流分離器(140)からのオーバーヘッド流(128)は、セールスガス(142)と合わせることができる。任意には、還流分離器(140)からのオーバーヘッド流を、蒸留塔オーバーヘッド流(119)と混合させるためにライン(128a)を通して供給する前に、調節弁(175)を通過させることができる。使用される供給ガス及び他のプロセスパラメーターに応じて、調節弁(175)を使用して、エタンコンプレッサー(180)に関する圧力を保持し(この流れの凝縮を容易にすることができる)、そして蒸留塔の頂部へ液体を移動させるために圧力を提供することができる。あるいは、還流ポンプを使用して、蒸留塔の頂部へ液体を移動させるのに必要な圧力を提供することができる。
【0049】
図5に示す実施形態では、合わせた蒸留塔オーバーヘッド流及び還流ドラムオーバーヘッド流(132)を、蒸留塔オーバーヘッド分離器(160)において、オーバーヘッド流(142)とボトムス流(134)に分離する。蒸留塔オーバーヘッド分離器(160)からのオーバーヘッド流(142)は、セールスガス(例えばメタン、エタン及びより軽質の成分)を含有している。蒸留塔オーバーヘッド分離器からのボトムス流(134)は、主熱交換器(110)における冷却に使用される液体混合冷媒である。
【0050】
セールスガスは、ライン(142)を介して主熱交換器(110)を通って流れ、加温される。典型的なプラントでは、セールスガスは、約−40°F〜−120°Fの温度及び約85psia〜435psiaの圧力で、脱エタン塔オーバーヘッド分離器を出て、そして約100°F〜120°Fの温度で、主熱交換器を出る。セールスガスは、ライン(143)を通って、更なる処理に送られる。
【0051】
混合冷媒は、蒸留塔オーバーヘッド分離器ボトムスライン(134)を通って流れる。混合冷媒の温度は、調節弁(165)を通る冷媒の圧力を低下させることによって下げることができる。混合冷媒の温度は、主熱交換器(110)で必要な冷却を提供するのに十分に冷たい温度まで低下させる。その混合冷媒を、ライン(135)を通して、主熱交換器に供給する。主熱交換器に入る混合冷媒の温度は、典型的には約−60°F〜−175°Fである。調節弁(165)を使用して混合冷媒の温度を低下させる場合、温度は、典型的には、約20°F〜50°Fだけ低下させ、圧力は約90psi〜250psiだけ低下させる。混合冷媒は、主熱交換器(110)を通過する時に蒸発し、過熱され、そしてライン(135a)を通って出る。主熱交換器を出る混合冷媒の温度は、約80°F〜100°Fである。
【0052】
主熱交換器を出た後、混合冷媒はエタンコンプレッサー(180)に供給される。その混合冷媒は、約230°F〜350°Fの温度で、蒸留塔の作動圧力よりも約15psi〜25psi高い圧力に圧縮される。混合冷媒を蒸留塔の圧力を超える圧力に圧縮することにより、還流ポンプは不要となる。圧縮された混合冷媒は、ライン(136)を通って冷却器(190)中に流れ、そこで、約70°F〜130°Fの温度に冷却される。任意には、冷却器(190)は省略でき、下記のように、圧縮された混合冷媒は、主熱交換器(110)へと直接流れることができる。次いで、圧縮された混合冷媒は、ライン(138)を通って主熱交換器(110)へと流れ、そこで、更に冷却され、部分的に液化する。その混合冷媒は、主熱交換器において、約15°F〜−70°Fの温度に冷却される。部分的に液化された混合冷媒は、ライン(139)を通って還流分離器(140)に導入される。既に述べたように、図5の実施形態では、還流分離器(140)からのオーバーヘッド(128)は、蒸留塔からのオーバーヘッド(114)と合わせ、その合わせた流れ(132)は、蒸留塔オーバーヘッド分離器に供給される。還流分離器(140)からの液体ボトムス(126)は、還流の流れ(126)として蒸留塔にフィードバックされる。調節弁(175,185)を使用して、凝縮を促進するためにコンプレッサーの圧力を保持することができる。
【0053】
図6に示してある実施形態では、ガス供給流(212)は、分割されて、第一供給流(212a)と第二供給流(212b)となる。第一供給流(212a)は、冷却のために熱交換器(210)に入り、そこで部分的に液化されている、熱交換器(210)からの冷供給流(213)を形成する。第二供給流(212b)は、予冷されていない、典型的には、液体を有していない完全に気相の温かいガスバイパス供給流である。弁(295)は、プロセス管理目的のために第二供給流(212b)のために設けられている。液体が凝縮するとき、凝縮された液体の一部はメタン及びエタンである。通常は、メタン及びエタンは、プロセスからのオーバーヘッド蒸気製品である。第二供給流(212b)は、第一供給流(212a)と同じ組成を有するが、液体の含有は少ない(典型的には完全に気相である)。その結果として、冷供給流(213)中に比べて、第二供給流(212b)のバイパスガス中にはより高濃度のプロパン蒸気とブタン蒸気が存在する。冷供給流(213)より下にある1つ以上、または1〜10、または1〜7、または1〜4つの気液平衡段階に第二供給流(212b)の温かいバイパスガスを入れることにより、蒸留塔(220)内で、液体のメタン及びエタンと、蒸気のプロパン及びブタンとの間で物質移動を交換させることができる。これにより、メタン及びエタンは気化し、プロパン及びブタンは凝縮する。こうすることにより、冷凍負荷とリボイラー負荷を実質的に低下させることによって、プロセスの総合効率は予想外に増加する。実施形態では、蒸留塔のサイズは、流れ(212b)を包含しないシステムと比較して、縮小させることができる。
【0054】
図6の実施形態では、プロセスを使用して、エタン及びより軽質の成分から、プロパン及び他のC+炭化水素を分離する。混合冷媒を、戻しライン(245)とエタン回収ライン(247)に分割するために、ライン(238)において、混合冷媒コンプレッサー(280)及び混合冷媒冷却器の後に、ティー(310)を設けている。戻しライン(245)は、上記したように、プロセススルー主熱交換器(210)に混合冷媒の一部を戻す。エタン回収ライン(247)は、混合冷媒の一部を、エタン回収のための別のエタン回収ユニットに供給する。混合冷媒流の一部の取り出しは、所望の冷凍を提供するのに十分なC成分がシステムに残留している場合には、プロセスに関する影響は極僅かである。いくつかの実施形態では、混合冷媒流の95%程度を、C回収のために取り出すことができる。取り出された流れは、例えば、エチレンクラッキングユニットにおける供給流として使用することができる。
【0055】
図7に示してある実施形態では、ガス供給流(312)は分割されて、部分的に液化されている、熱交換器(310)からの冷供給流(313)を形成するための冷却用熱交換器(310)に入る第一供給流(312a)と、予冷されていない温かいガスバイパス供給流である第二供給流(312b)を生成する。弁(395)は、プロセス管理目的のために第二供給流(312b)に設けられている。液体が第一供給流(312a)で凝縮するとき、凝縮された液体の一部はメタン及びエタンである。通常は、メタン及びエタンは、プロセスからのオーバーヘッド蒸気製品である。第二供給流(312b)は、第一供給流(312a)と同じ組成を有するが、液体の含有は少ない。その結果として、冷供給流(313)中に比べて、第二供給流(312b)のバイパスガス中にはより高濃度のプロパン蒸気とブタン蒸気が存在する。冷供給流(313)より下にある1つ以上、または1〜10、または1〜7、または1〜4つの気液平衡段階に第二供給流(312b)の温かいバイパスガスを入れることにより、蒸留塔(320)内で、液体のメタン及びエタンと、蒸気のプロパン及びブタンとの間で物質移動を交換させることができる。これにより、メタン及びエタンは気化し、プロパン及びブタンは凝縮する。こうすることにより、冷凍負荷とリボイラー負荷を実質的に低下させることによって、プロセスの総合効率は予想外に増加する。実施形態では、蒸留塔のサイズは、流れ(312b)を包含しないシステムと比較して、縮小させることができる。
【0056】
図7に示してあるように、脱エタン塔オーバーヘッドドラムは、吸収塔で置き換えることができる。この実施形態では、蒸留塔(320)からのオーバーヘッド流(314)は主熱交換器(310)を通過し、他の冷却流(319)は吸収塔(321)に供給される。還流分離器(340)からのオーバーヘッド流(328)も、ライン(332)を通して吸収塔(321)に供給される。吸収塔(321)からのオーバーヘッド流(342)はセールスガスであり、吸収塔(321)からのボトムス流(334)は混合冷媒である。図7に示してある他の流れ及び成分は、上記したものと同じ流路を有する。
【0057】
図8に示してある更に別の実施形態では、第二分離器及び冷却器はプロセスで使用されない。この実施形態では、圧縮された混合冷媒(436)は、主熱交換器(410)を通して供給され、そしてライン(439)を通して蒸留塔(420)に供給されて還流フローを提供する。
【0058】
図8に示してある実施形態では、ガス供給流(412)は分割されて、部分的に液化されている、熱交換器(410)からの冷供給流(413)を形成するための冷却用熱交換器(410)に入る第一供給流(412a)と、予冷されていない温かいガスバイパス供給流である第二供給流(412b)を生成する。弁(495)は、プロセス管理目的のために第二供給流(412b)設けられている。液体が凝縮するとき、凝縮された液体の一部はメタン及びエタンである。通常は、メタン及びエタンは、プロセスからのオーバーヘッド蒸気製品である。第二供給流(412b)は、第一供給流(412a)と同じ組成を有するが、液体の含有は少ない。その結果として、冷供給流(413)中に比べて、第二供給流(412b)のバイパスガス中にはより高濃度のプロパン蒸気とブタン蒸気が存在する。冷供給流(413)より下にある1つ以上、または1〜10、または1〜7、または1〜4つの気液平衡段階に第二供給流(412b)の温かいバイパスガスを入れることにより、蒸留塔(420)内で、液体のメタン及びエタンと、蒸気のプロパン及びブタンとの間で物質移動を交換させることができる。これにより、メタン及びエタンは気化し、プロパン及びブタンは凝縮する。こうすることにより、冷凍負荷とリボイラー負荷を実質的に低下させることによって、プロセスの総合効率は予想外に増加する。実施形態では、蒸留塔のサイズは、流れ(412b)を包含しないシステムと比較して、縮小させることができる。
【0059】
図9に示してある更に別の実施形態では、分割供給システムが、参照によってその内容の全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,627,681号に記載されているプロセスにやや類似しているシステム中に組み込まれる。冷凍負荷規格の減少、脱エタン塔リボイラー負荷規格の減少、脱エタン塔の蒸気及び液体のトラフィックの減少(したがって蒸留塔サイズの縮小を提供する)、及び高圧供給による冷凍負荷規格及びリボイラー負荷規格の減少が存在する図9の実施形態の有益性が、驚くべきことに且つ予想外に発見される。全体的なプロパン及び混合冷媒コンプレッサー負荷は、分割供給を用いない場合には11%超高い。示しているように、全体として投下原価及び運転コストが減少するので相当な経済的利益が、これらの予想外の向上の結果として得ることができる。
【0060】
更に詳しくは、図9のプロセス全体を502として示す。供給流(512)は、分割されて、第一供給流(512a)及び第二供給流(512b)となる。第一供給流(512a)は、冷却のために熱交換器(510)に入り、そこで部分的に液化されて熱交換器(510)からの冷たいまたは高圧の流れ(513)を形成する。温かい蒸気バイパス流(512b)は、予冷されていない第二の流れである。流れ(512b)は、調節弁(605)を通ってその圧力が低下し、次いで、流れ513の入口点より下にある1つ以上、または1〜10、または1〜7、または1〜4つの気液平衡段階の位置で蒸留塔(520)の中央に供給される。
【0061】
マルチパス熱交換器(510)が図示してあるが、マルチパス熱交換器を使用して、図5〜8に示してある実施形態と同様な結果を達成することができる。供給流(512)は、天然ガス、製油所ガスまたは分離を必要とする他のガス流であり得る。供給ガスは、典型的には、プラント中に供給される前に、濾過及び脱水して、NGLユニットにおける凍結を防止する。実施形態では、第一供給流(512a)は、典型的には、温度約43℃〜54℃(110°F〜130°F)及び圧力約7バール〜31バール(100psia〜450psia)で主熱交換器に供給される。第一供給ガス流(512a)は、より冷たいプロセス流及び/または冷媒(そのプロセスにとって必要な追加の冷却を提供するのに要する量でライン(515)を経て主熱交換器に供給することができる)との間接熱交換接触により、主熱交換器(510)中で冷却され、そして部分的に液化される。例えば、プロパンのような温かい冷媒を使用して、供給ガスに必要な冷却を提供することができる。供給ガスは、主熱交換機中で、約−18℃〜−40℃(約0°F〜−40°F)の温度に冷却することができる。
【0062】
冷たい供給ガスは主熱交換器(510)を出て、供給ライン(513)を経て蒸留塔(520)に供給される。蒸留塔(520)は、供給ガスの圧力に比べてわずかに低い圧力、典型的には供給ガスの圧力に比べて約0.3バール〜0.7バール(5〜10psi)低い圧力で作動する。蒸留塔では、重質炭化水素を、例えばプロパン及び他のC+成分を、軽質炭化水素から、例えばエタン、メタン及び他のガスから分離する。重質炭化水素成分は、液体ボトムスとして蒸留塔からライン(516)を通って出、一方、軽質成分は、蒸気オーバーヘッドライン(514)を通って出る。実施形態では、ボトムス流516は約65℃〜149℃(150°F〜300°F)の温度で蒸留塔から出、オーバーヘッド流14は約−23℃〜−62℃(約−10°F〜−80°F)の温度で蒸留塔から出る。
【0063】
蒸留塔からのボトムス流(516)は、製品流(518)と、リボイラー(530)に向けられるリボイル流(522)に分割される。任意には、製品流(518)は、冷却器(図示されていない)で、約515℃〜554℃(約60°F〜130°F)の温度に冷却することができる。製品流(518)は、供給ガス流中の重質炭化水素が高度に富化されている。図9に示す実施形態では、製品流は、プロパン及びより重質の成分で高度に富化されることができ、エタン及びより軽質のガスは、下記のように更に処理される。あるいは、プラントは、製品流がC+炭化水素で高度に富化され、そしてプロパンが、製造されたセールスガス中のエタンと一緒に取り出されるように、作動させることができる。リサイクル流(522)は、リボイラー(530)で加熱されて、蒸留塔に対して熱を提供する。蒸留塔のために典型的に使用される任意のタイプのリボイラーを使用することができる。
【0064】
蒸留塔オーバーヘッド流(514)は、主熱交換器(510)を通り、ここで、プロセスガスとの間接的な熱交換によって冷却されて、少なくとも部分的に液化するか、または完全に(100%)液化する。蒸留塔オーバーヘッド流は、ライン(519)を通って主熱交換器(510)を出て、下記のように、混合冷媒を生成するのに十分に冷却されている。いくつかの実施形態では、蒸留塔オーバーヘッド流は、主熱交換器510において、約−34℃〜−90℃(約−30°F〜−130°F)の温度に冷却される。
【0065】
冷却され且つ部分的に液化された流れ(519)及び還流分離器(540)からのオーバーヘッド流(528)(調節弁575後の流れ532)は、蒸留塔オーバーヘッド分離器(585)に供給することができる。
【0066】
蒸留塔オーバーヘッド流(519)と還流ドラムオーバーヘッド流(532)の成分は、オーバーヘッド分離器(585)において、オーバーヘッド流(542)、側部抜取留分(551)、及びボトムス流(534)へと分離される。蒸留塔オーバーヘッド分離器(585)からのオーバーヘッド流(542)は、エタン、窒素、及び他の軽質成分を含有し、窒素含量が富化されている。側部抜取留分(551)は、中間の窒素含量であり得る。蒸留塔オーバーヘッド分離器(585)からのボトムス流(534)は、主熱交換器(510)での冷却のために使用される液体混合冷媒であり、それは窒素含量が枯渇していてもよい。側部抜取留分は、フロー弁(595)を通して圧力を低下させることができ、統合熱交換システムでの使用のために熱交換器(510)に供給され、そしてフローライン(552)により回収される。
【0067】
オーバーヘッド流(542)中の成分は、主熱交換器(510)に供給され、温められる。典型的なプラントでは、オーバーヘッド分離器(585)からの流れ(542)によって回収されるオーバーヘッド留分は、約−40℃〜−84℃(−40°F〜−120°F)の温度及び約5バール〜30バール(85psia〜435psia)の圧力である。主交換器(510)における熱交換後に、流れ(543)により熱交換器510から回収されたオーバーヘッド留分は、約37℃〜49℃(100°F〜120°F)の温度であり得る。オーバーヘッド留分は、窒素含量が富化され、低btu天然ガス流として流れ(543)により回収することができる。
【0068】
上記の混合冷媒は、ボトムスライン(534)により蒸留塔オーバーヘッド分離器(585)から回収される。混合冷媒の温度は、調節弁(565)を通る冷媒の圧力を低下させることによって低下させることができる。混合冷媒の温度は、主熱交換器(510)において必要な冷却を提供するのに十分に冷たい温度に低下される。混合冷媒はライン(535)を通って主熱交換機に供給される。主熱交換器に入る混合冷媒の温度は典型的には約−51℃〜−115℃(−60°F〜−175°F)である。
【0069】
調節弁565が混合冷媒の温度を低下させるのに使用される場合、温度は、典型的には、約6℃〜10℃(20°F〜50°F)だけ下げられ、圧力は約6バール〜17バール(90〜250psi)だけ下げられる。その混合冷媒は、主熱交換器510を通過するときに、気化され、そして過熱されて、ライン(535a)を通って出る。
【0070】
主熱交換器を出る混合冷媒の温度は約26℃〜38℃(80°F〜100°F)である。
【0071】
主熱交換機器(510)を出た後、混合冷媒はコンプレッサー(580)に供給される。混合冷媒は、約110℃〜177℃(230°F〜350°F)の温度で、蒸留塔の作動圧力を1バール〜2バール(15psi〜25psi)超える圧力に圧縮される。混合冷媒を蒸留塔の圧力を超える圧力に圧縮することにより、還流ポンプは不要となる。圧縮された混合冷媒は、ライン(536)を通って冷却器(590)に流れ、そこで、約21℃〜54℃(70°F〜130°F)の温度に冷却される。任意には、冷却器(590)は省略でき、圧縮された混合冷媒は、主熱交換器(510)へと直接流れることができる。次いで、圧縮された混合冷媒は、ライン(538)を通って主熱交換器(510)へと流れ、そこで、更に冷却され、部分的に液化する。
【0072】
その混合冷媒は、主熱交換器において、約−9℃〜−57℃(15°F〜−70°F)の温度に冷却される。部分的に液化された混合冷媒は、ライン(539)を通って還流分離器(540)に導入される。上記したように、還流分離器(540)からのオーバーヘッド(528)及び蒸留塔(520)からのオーバーヘッド(514)は、蒸留塔オーバーヘッド分離器(585)に供給される。還流分離器(540)からの液体ボトムス(526)は、還流の流れ(526)として蒸留塔(520)にフィードバックされる。調節弁(575)、(586)を使用して、凝縮を促進するためにコンプレッサーの圧力を保持することができる。
【0073】
還流(流れ526により供給される)として使用される混合冷媒は、気相成分で蒸留塔(520)を富化させる。富化された蒸留塔中のガスにより、蒸留塔のオーバーヘッド流は、より温かい温度で凝縮し、蒸留塔は、NGLを高レベルで回収するために通常必要とされる温度に比べてより温かい温度で作動する。
【0074】
蒸留塔(520)への還流は、オーバーヘッド留分中の重質炭化水素も低下させる。例えば、プロパンの回収プロセスでは、還流は、蒸留塔におけるエタンのモル分率を増加させ、それによりオーバーヘッド流を凝縮させることがより容易になる。プロセスは、蒸留塔オーバーヘッド分離器において凝縮された液体を2回使用しており、1回目は低温冷媒としての使用であり、2回目は蒸留塔のための還流の流れとしての使用である。
【0075】
非常に低い窒素含量を有する、フローライン(528)中の混合冷媒の少なくとも一部は、分離器(585)の前のフロー流(532ex)によって取り出すことができる。いくつかの実施形態では、フローストリーム(532ex)によって取り出された部分は、パイプラインセールスのために使用することができる。他の実施態様では、1モル%未満の窒素を有する、混合冷媒流(532ex)は、4%を超える窒素を有する高または中間btu天然ガスプロセス流と混合して、4%以下の窒素を有するパイプラインセールス流をもたらすことができる。
【0076】
例えば、混合冷媒流(532ex)は、流れ(551)(側部抜取)中の中間btu天然ガスと合わされて、パイプラインセールスに適した天然ガス流をもたらすことができる。流れ(532ex)及び(551)の流量は、得られる製品流(548)が4モル%未満の窒素(不活性)含量を有するようなものであり得る。いくつかの実施形態では、フロー流(532ex)は、主熱交換器(510)に供給することができ;そして熱移動後に、混合冷媒は、中間btu流(551)と混合するためにフローライン(541)によって熱交換器(510)から回収することができる。他のプロセス流も、他の実施態様で、混合冷媒流(532ex)と混合することができる。
【0077】
図9の実施形態によるプロセスは、実質的なプロセス融通性を可能にし、広範囲の窒素含量を有する供給ガス流を効率的に処理する能力を提供する。図9に関して記載された実施形態は、天然ガスセールス流としての供給ガスbtu値の大半の回収を可能にする。本明細書で開示される実施形態による等圧オープン冷凍法は、高または中間窒素含量流からの窒素の分離を更に包含することができ、btu値の追加の回収またはプロセス条件及び供給ガス窒素含量に関する追加の融通性を可能にする。
【0078】
プロセスの特定の実施形態の例を以下に記載する。これらの実施例を提供して、本明細書に記載されているプロセスを更に説明するが、いずれにしても、これらの実施例は、開示の全範囲を限定することを意図するものではない。
【0079】
対照実施例1
以下の実施例では、異なるタイプ及び組成の供給ガスを使用して、図1に示した処理プラントで行った操作を、Apsen HYSYSシミュレーターを使用して、コンピューターシミュレートした。この実施例では、比較的リーンな供給ガスを使用するC+回収に関する操作パラメーターを示す。表1には、リーンな供給ガスを使用するプロパン回収に関する操作パラメーターを示す。供給ガス、セールスガス流及びC+製品流、ならびに混合冷媒流の組成は、モル分率で表2に示してある。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約3.717×105Btu/時(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約459馬力(P)であった。
【0080】
表2で理解できるように、蒸留塔の底部からの製品流(18)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(43)は、C及びより軽質の炭化水素とガスをほぼ完全に含有している。供給ガス中のプロパンの約99.6%が製品流に回収される。混合冷媒は、主としてメタン及びエタンから成るが、セールスガスに比べてより多くのプロパンを含有している。
【0081】
対照実施例2
この実施例では、製品流中のC+成分を回収するために製油所供給ガスを使用する図1に示した処理プラントに関する操作パラメーターを提供する。表3は製油所供給ガスを使用する操作パラメーターを示している。供給ガス、セールスガス流及びC+製品流、ならびに混合冷媒流の組成は、モル分率で表4に示してある。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約2.205x10Btu/時(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約228馬力(P)であった。
【0082】
表4で理解できるように、蒸留塔の底部からの製品流(18)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(43)は、C及びより軽質の炭化水素とガス、特に水素をほぼ完全に含有している。この流れを使用して、膜ユニットまたはPSAに供給して、有用な水素へとアップグレードすることができた。供給ガス中のプロパンの約97.2%が製品流中に回収される。混合冷媒は、主としてメタン及びエタンから成るが、セールスガスに比べてより多くのプロパンを含有している。
【0083】
対照実施例3
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分と一緒に、製品流中C+成分を回収するために製油所供給ガスを使用する図1に示した処理プラントに関する操作パラメーターを提供する。表5はプロセスのこの実施形態に関する操作パラメーターを示している。供給ガス、セールスガス流及びC+製品流、ならびに混合冷媒流の組成は、モル分率で表6に示してある。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約2.512x10Btu/時(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約198馬力(P)であった。
【0084】
表6で理解できるように、この実施形態では、蒸留塔の底部からの製品流(18)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(43)は、C及びより軽質の炭化水素とガスをほぼ完全に含有している。供給ガス中のC+成分の約99.7%が製品流中に回収される。混合冷媒は、主としてC及びより軽質の成分から成るが、セールスガスに比べてより多くのブタンを含有している。
【0085】
対照実施例4
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分及びより軽質の成分と一緒に、製品流中のC+成分を回収するために製油所供給ガスを使用する図2に示した処理プラントに関する操作パラメーターを提供する。この実施形態では、混合冷媒の一部は、ライン(47)を通して取り出され、更なる処理のためにエタン回収ユニットに供給される。表7はプロセスのこの実施形態に関する操作パラメーターを示している。供給ガス、セールスガス流及びC+製品流、ならびに混合冷媒流の組成は、モル分率で表8に示してある。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約2.089x10Btu/時(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約391馬力(P)であった。
【0086】
表8で理解できるように、この実施形態では、蒸留塔の底部からの製品流(18)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(43)は、C及びより軽質の炭化水素とガスをほぼ完全に含有している。混合冷媒は、主としてC及びより軽質の成分から成るが、セールスガスに比べてより多くのプロパンを含有している。
【0087】
対照実施例5
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分及びより軽質の成分と一緒に、製品流中のC+成分を回収するためにリーン供給ガスを使用する図3に示した処理プラントに関する操作パラメーターを提供する。この実施形態では、吸収塔(120)を使用して、蒸留塔オーバーヘッド流と還流分離器オーバーヘッド流を分離して、混合冷媒を得る。表9はプロセスのこの実施形態に関する操作パラメーターを示している。供給ガス、セールスガス流及びC+製品流、ならびに混合冷媒流の組成は、モル分率で表10に示してある。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約3.734x10Btu/時(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約316馬力(P)であった。
【0088】
表10で理解できるように、この実施形態では、蒸留塔の底部からの製品流(18)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(43)は、C及びより軽質の炭化水素とガスをほぼ完全に含有している。混合冷媒は、主としてC及びより軽質の成分から成るが、セールスガスに比べてより多くのプロパンを含有している。
【0089】
対照実施例6
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分と一緒に、製品流中のC+成分を回収するためにリッチ供給ガスを使用する図1に示した処理プラントに関する操作パラメーターを提供する。表11はプロセスのこの実施形態に関する操作パラメーターを示している。供給ガス、セールスガス流及びC+製品流、ならびに混合冷媒流の組成は、モル分率で表12に示してある。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(30)に対して約1.458x10Btu/時(Q)及びエタンコンプレッサー(80)に対して約226馬力(P)であった。
【0090】
表12で理解できるように、この実施形態では、蒸留塔の底部からの製品流(18)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(43)は、C及びより軽質の炭化水素とガスをほぼ完全に含有している。混合冷媒は、主としてC及びより軽質の成分から成るが、セールスガスに比べてより多くのプロパンを含有している。
【0091】
実施例7
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分と一緒に、製品流中のC+成分を回収するために対照実施例6のリッチ供給ガスを使用する図5に示したシミュレートされた処理プラントに関して、前の実施例と類似の操作パラメーターを提供する。この実施形態に関するエネルギー入力は、リボイラー(130)に対しては約1.117x10Btu/時(Q)であり、エタンコンプレッサー(180)に対しては馬力を低下させた。この実施形態では、ガス供給流(112)の約15重量%がバイパス流(112b)を形成し、流れ(112)の残りは第一供給流(112a)を形成した。
【0092】
前の実施例と同様に、この実施形態では、蒸留塔の底部からの製品流(118)は、C+成分で高度に富化されており、一方、セールスガス流(143)は、C及びより軽質の炭化水素とガスをほぼ完全に含有している。混合冷媒は、主としてC及びより軽質の成分から成るが、セールスガスに比べてより多くのプロパンを含有している。示してあるように供給流(112b)を塔(120)へ入れるプロセスシミュレーションデータに基づいて、冷凍負荷規格の予想外で驚くべき減少、脱エタン塔リボイラー負荷規格の減少、脱エタン塔の蒸気及び液体のトラフィックの減少(したがって蒸留塔サイズの縮小を提供する)、及び高圧供給による冷凍負荷規格及びリボイラー負荷規格の減少が存在することを発見した。全体的なプロパン及び混合冷媒コンプレッサー負荷は、分割供給を用いない場合には12%超高い。これにより、プラントの総投下原価(TIC)と運転コストの両方で有意な経済的な節約がもたらされる。実例として、米国では、200MMSCFDガスプラントがかなり一般的である。そのようなプラントは、供給組成に応じて、約15,000馬力の冷凍コンプレッサーを有することができる。以下の計算に基づいて、構成は、約12%のコンプレッサー負荷の節約をもたらす。15,000HP x 0.12節約 x 0.746kw/hp x 0.1$/kwh = 134$/時、1年当たり100万ドルを超える電力の節約である。
【0093】
200MMSCFDプラントに関して、分割供給の無い場合のリボイラー負荷は約29.2MMBTU/時である。この実施例において、リボイラー負荷は約22.2MMBTU/時である。エネルギーコストをUS$5.00MMBTUと仮定すると、年間の費用節約は約307,000ドルである。
【0094】
実施例8
この実施例のセットでは、セールスガス流中に取り出されたC成分と一緒に、製品流中のC+成分を回収するために、対照実施例1で使用されたのと同じリーン供給ガス及び製品流組成を使用する図5に示したシミュレートされた処理プラントに関して、前の実施例と類似の操作パラメーターを提供する。バイパス供給流は供給ガス流112を約10〜15重量%含有していた。この実施形態のためのエネルギー入力は、対照実施例1のためのエネルギー入力に比べて約20〜27%低かった。実施例のこのセットは、プラントの総投下原価(TIC)と運転コストの両方で有意な経済的な節約をもたらした。
【0095】
想定実施例9
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分と一緒に、製品流中C+成分を回収するために、対照実施例4で使用されたのと同じリーン供給ガス及び製品流組成を使用する図6に示したシミュレートされた処理プラントに関して、前の実施例と類似の操作パラメーターを提供する。バイパス供給流は供給ガス流212を約10〜15重量%含有している。この実施形態のためのエネルギー入力は、対照実施例4のためのエネルギー入力に比べて低い。この実施形態により、プラントの総投下原価(TIC)と運転コストの両方で有意な経済的節約がもたらされる。
【0096】
想定実施例10
この実施例では、セールスガス流中に取り出されたC成分と一緒に、製品流中C+成分を回収するために、対照実施例5で使用されたのと同じリーン供給ガス及び製品流組成を使用する 図7に示したシミュレートされた処理プラントに関して、前の実施例と類似の操作パラメーターを提供する。バイパス供給流は供給ガス流312を約10〜15重量%含有している。この実施形態のためのエネルギー入力は、対照実施例5のためのエネルギー入力に比べて低い。この実施形態は、プラントの総投下原価(TIC)と運転コストの両方で有意な経済的節約をもたらした。
【0097】
特定の実施形態について以上説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載されている範囲から逸脱することなく、上記プロセスに対して数多くのバリエーション及び変更をなし得ることを認めるであろう。したがって、好ましい実施形態に関する上記の記載は、本発明を限定するためのものではなく、実施形態を例として説明することを意図している。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】

【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2020年11月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ガス流からの天然ガス液の回収プロセスであって:
(a)前記供給ガス流の第一部分及び前記供給ガス流の第二部分を形成すること、ここで、前記第一部分対前記第二部分の質量比は95:5〜5:95である;
(b)熱交換器において前記第一部分を冷却し、前記第一部分を少なくとも部分的に凝縮させること;
(c)前記第二部分と、冷却され、少なくとも部分的に凝縮された前記第一部分とを、蒸留塔に供給すること、ここで、軽質成分をオーバーヘッド蒸気流として前記蒸留塔から取り出し、重質成分を底部製品流として底部において前記蒸留塔から取り出その一部は蒸留塔リボイラーに向けられ、再沸騰され、そして蒸留塔に供給され、ここで、前記供給ガス流の前記第二部分を、前記第一部分よりも下で且つ再沸騰されたボトムス製品が蒸留塔に戻されるところより上で、1つ以上の気液平衡段階のポイントで前記蒸留塔中に供給し、それによって、前記塔内において、前記冷却された第一部分の液体と、前記第二部分の蒸気との間で物質移動交換させる;
(d)前記蒸留塔オーバーヘッド流を前記熱交換器に供給し、そして前記蒸留塔オーバーヘッド流を冷却して前記蒸留塔オーバーヘッド流を少なくとも部分的に液化させること;
(e)少なくとも部分的に液化された蒸留塔オーバーヘッド流を第一分離器に供給すること、
(f)前記第一分離器において蒸気と液体を分離して、セールスガスを含むオーバーヘッド蒸気流と、混合冷媒を含むボトムス流とを製造すること、
(g)前記混合冷媒流を前記熱交換器に供給して冷却を提供すること、ここで前記混合冷媒流は前記熱交換器を通過して気化する;
(h)前記気化された混合冷媒流を圧縮し、その圧縮された混合冷媒流を前記熱交換器中に通すこと
i)前記圧縮された混合冷媒流の少なくとも一部を還流の流れとして前記蒸留塔に供給すること;及び
(j)蒸留塔リボイラーにおいて前記蒸留塔ボトムスの一部を、再沸騰させて、冷凍負荷、脱エタン塔リボイラー負荷、及び脱エタン塔の蒸気及び液体のトラフィックの減少を提供し、冷凍及びリボイラー負荷規格の減少を提供すること、ここで、前記供給ガス流の前記第一部分及び第二部分は、前記蒸留塔中に供給され、前記第一部分は冷供給流であり、前記第二部分は温かいガスバイパス供給流であり、供給流の前記第二部分は、供給流の前記第一部分と同じ組成を有するが供給流の前記第一部分よりも液体の含有は少なく、供給流の前記第二部分は、前記第一部分よりも下にある1つ以上の気液平衡段階にある
を含む前記プロセス。
【請求項2】
(i)の前に、第二分離器に前記圧縮された混合冷媒流を供給し、前記第二分離器からの前記ボトムスを還流の流れとして前記蒸留塔に供給することを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
調節弁を使用して前記混合冷媒の圧力を低下させることによって、前記混合冷媒流が前記熱交換器に入る前に、前記混合冷媒流の温度を低下させることを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第二分離器からのオーバーヘッド流を前記蒸留塔からのオーバーヘッド流と合わせ、その合わせた流れを前記第一分離器に供給することを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記圧縮された混合冷媒流を前記熱交換器に通す前に、冷却器で前記圧縮された混合冷媒を冷却することを更に含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第一分離器が吸収塔である請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記供給ガス流が天然ガスまたは製油所ガスの1つである請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記蒸留塔が100psia〜450psiaの圧力で作動する請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記供給ガス流の第一部分及び第二部分が同じ組成を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記供給ガス流の第一部分及び第二部分が95:5〜65:35の質量比を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記供給ガス流の第一部分及び第二部分が95:5〜70:30の質量比を有する請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
圧縮された混合冷媒流の一部を追加の製品流として取り出す請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記分離器において蒸気と液体を分離することが、側部抜取留分を製造することを更に包含する請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記(f)に記載されたオーバーヘッド蒸気流が、窒素で富化されていて、且つプロパンが枯渇していて、ボトムス留分が、窒素が枯渇していて、且つプロパンが富化されていて、そして前記側部抜取留分が、中間のプロパン含量及び窒素含量を有している請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記プロセスの全体的なコンプレッサー負荷が、前記の供給ガス流、製品流及びセールスガス流と同じ体積及び組成を有するプロセスのためのコンプレッサー負荷に比べて少なくとも5%低い請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記プロセスの全体的なコンプレッサー負荷が、前記の供給ガス流、製品流及びセールスガス流と同じ体積及び組成を有するプロセスのためのコンプレッサー負荷に比べて少なくとも10%低い請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
供給ガス流から天然ガス液を分離するための装置であって:
(a)供給ガス流を送達するように構成された第一供給ガスライン;
(b)前記供給ガス流と、冷却された供給ガス流を形成する1つ以上のプロセス流との間の熱交換接触によって、供給ガス流から天然ガス液を分離するために必要な加熱及び冷却を提供するように作動可能な熱交換器;
(c)前記供給ガス流を受け入れ、そしてその供給ガス流を、前記供給ガス流の軽質炭化水素成分の実質量を含む蒸留塔オーバーヘッド流と、重質炭化水素成分の実質量を含む蒸留塔ボトム流とに分離するように構成された蒸留塔;
(d)蒸留塔オーバーヘッド流を受け入れ、そしてその蒸留塔オーバーヘッド流を、オーバーヘッドセールスガス流と、前記熱交換器においてプロセス冷却を提供するように構成された混合冷媒を含むボトムス流とに分離するように構成された第一分離器;
(e)前記混合冷媒流が前記熱交換器においてプロセス冷却を提供した後に、前記混合冷媒流を圧縮するように構成されたコンプレッサー
f)前記供給ガスが前記熱交換器に送られる前に、前記供給ガス流の一部を取り出すように構成された供給ガスバイパスライン、ここで、前記供給ガスバイパスラインは、前記熱交換器からの前記冷却された供給ガス流が流体的に接続されるポイントより下で且つ再沸騰された蒸留塔ボトムス流が蒸留塔に供給されるところより上で、1つ以上の気液平衡段階のポイントで前記蒸留塔に流動的に接続され、それにより、前記熱交換器からの前記冷却された供給ガス流の液体と、前記塔内のバイパス供給ガス流の蒸気との間で物質移動交換させることができる
(g)前記供給ガス流の第一部分及び第二部分の一部を再沸騰させて、冷凍負荷、脱エタン塔リボイラー負荷、及び脱エタン塔の蒸気及び液体のトラフィックの減少を提供し、冷凍及びリボイラー負荷規格の減少を提供する蒸留塔リボイラー、ここで、前記供給ガス流の前記第一部分及び第二部分は、前記蒸留塔中に供給され、前記第一部分は冷供給流であり、前記第二部分は温かいガスバイパス供給流であり、供給流の前記第二部分は、供給流の前記第一部分と同じ組成を有するが供給流の前記第一部分よりも液体の含有は少なく、供給流の前記第二部分は、前記第一部分よりも下にある1つ以上の気液平衡段階にある
を含む前記装置。
【請求項18】
前記圧縮された混合冷媒流を受け入れ、そしてその圧縮された混合冷媒を、オーバーヘッド流と、還流の流れとして前記蒸留塔に供給されるボトムス流とに分離させるように構成される第二分離器を更に含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記供給ガスバイパスラインに入る流れが、前記熱交換器に送られる前記供給ガス流の一部と同じ組成を有するように構成されるスプリッターを更に含む請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記スプリッターを、前記バイパスラインが前記第一供給ガスラインからの前記供給ガスの5〜35重量%を受け入れるように構成する請求項17に記載の装置。
【請求項21】
製品流として前記圧縮された混合冷媒の一部を取り出すように構成されるスプリッターを更に含む請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記第一分離器が吸収塔である請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記吸収塔が、側部抜取流を取り出すように構成される側部抜取ラインを有する請求項22に記載の装置。
【外国語明細書】
2021047003000001.pdf