(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-47890(P2021-47890A)
(43)【公開日】2021年3月25日
(54)【発明の名称】タクシーチケット発行システム及びタクシーチケット発行方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20210226BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-199874(P2020-199874)
(22)【出願日】2020年12月1日
(62)【分割の表示】特願2018-192358(P2018-192358)の分割
【原出願日】2017年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】517353758
【氏名又は名称】愛のタクシーチケットホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西出 宗麿
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発行されたタクシーチケットを個別に管理できかつチケット利用会社の所望する番号を識別番号として印字できるタクシーチケットを発行するタクシーチケット発行システム及びタクシーチケット発行方法を提供する。
【解決手段】タクシーチケット発行システムは、チケット利用会社に固有の会員番号が印字された印字用シートと、チケット利用会社に設けられる印刷装置3と、印字用シート毎に異なるチケット番号を設定し、チケット番号が印字用シートに印字されるように印刷装置3を動作させる発行装置2と、チケット利用会社によりチケット利用会社に提供した印字用シートの管理に用いられる管理装置4と、チケット発行会社により用いられる印刷装置5及び読取装置6と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートであって、チケット利用会社に固有の会員番号が印字された印字用シートと、
チケット利用会社に設けられる印刷装置と、
チケット利用会社に設けられる発行装置であって、前記印字用シート毎に異なるチケット番号を設定し、前記チケット番号が前記印字用シートに印字されるように前記印刷装置を動作させる発行装置と、を備え、
前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されるタクシーチケット発行システム。
【請求項2】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートと、
チケット利用会社に設けられる印刷装置と、
チケット利用会社に設けられる発行装置であって、前記印字用シート毎に異なるチケット番号を設定し、チケット利用会社に固有の会員番号及び前記チケット番号が前記印字用シートに印字されるように前記印刷装置を動作させる発行装置と、を備え、
前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されるタクシーチケット発行システム。
【請求項3】
チケット発行会社に設けられ、チケット利用会社に提供した前記印字用シートの管理に用いられる管理装置をさらに備え、
前記管理装置は、
提供した印字用シートの提供情報をチケット利用会社毎に作成する印字用シート提供情報作成部と、
回収したタクシーチケットに印字された情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成部と、
チケット利用会社毎の前記印字用シート提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収したタクシーチケットの枚数を比較した比較情報を作成する比較情報作成部と、有する請求項1又は2に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報に基づき、乗車指定日が印字されたタクシーチケットについて乗車指定日外に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成部をさらに有する請求項3に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報に基づき、利用限度額が印字されたタクシーチケットについて利用金額が利用限度額を超えるタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成部をさらに有する請求項3に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項6】
前記発行装置は、前記印字用シートのレイアウトを複数種記憶しており、複数種の前記印字用シートのレイアウトの中から選択されたレイアウトが前記印字用シートに印刷されるように前記印刷装置を動作させる請求項1〜5のいずれかに記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項7】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字
用シートであって、チケット利用会社に固有の会員番号が印字された印字用シート毎に、チケット利用会社に設けられる発行装置を用いて異なるチケット番号を設定するチケット番号設定ステップと、
前記チケット番号を、チケット利用会社に設けられる印刷装置を用いて前記印字用シートに印字する印刷ステップと、を有し、
前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されるタクシーチケット発行方法。
【請求項8】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シート毎に、チケット利用会社に設けられる発行装置を用いて異なるチケット番号を設定するチケット番号設定ステップと、
チケット利用会社に固有の会員番号及び前記チケット番号を、チケット利用会社に設けられる印刷装置を用いて前記印字用シートに印字する印刷ステップと、を有し、
前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されるタクシーチケット発行方法。
【請求項9】
チケット発行会社に設けられる管理装置を用いてチケット利用会社毎に提供した印字用シートの提供情報を作成する印字用シート提供情報作成ステップと、
前記管理装置を用いて、回収したタクシーチケットの印字情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成ステップと、
前記管理装置を用いて、チケット利用会社毎の前記印字用シート提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収したタクシーチケットの枚数を比較した比較情報を作成する比較情報作成ステップと、をさらに有する請求項7又は8に記載のタクシーチケット発行方法。
【請求項10】
前記管理装置を用いて、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報の基づき、乗車指定日が印字されたタクシーチケットについて乗車指定日外に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成ステップをさらに有する請求項7〜9のいずれかに記載のタクシーチケット発行方法。
【請求項11】
前記管理装置を用いて、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報の基づき、利用限度額が印字されたタクシーチケットについて利用金額が利用限度額を超えるタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成ステップをさらに有する請求項7〜9のいずれかに記載のタクシーチケット発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーチケット発行システム及びタクシーチケット発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タクシーチケットがタクシー料金の支払いに用いられている。このタクシーチケットは、一般的には、
図17に示すように、チケット発行会社100と契約を結ぶチケット利用会社(会員)101がチケット発行会社100に対してチケットの発注を行うことで、チケット発行会社100により作成され、チケット利用会社101へ発行される。チケット利用会社101は、発行されたタクシーチケットを実際に使用させる利用者102に配布し、利用者102は、タクシー103を利用した場合に、タクシーチケットを使用してタクシー料金の仮払いを行う。使用されたタクシーチケットは、タクシー会社104により回収され、タクシー会社104はタクシー料金を集計して、チケット発行会社100に請求する。チケット発行会社100は、チケット利用会社101に代わってタクシー料金をタクシー会社104に支払い、その後、支払ったタクシー料金をチケット利用会社102に請求している。
【0003】
タクシーチケットは、タクシーを利用した際にタクシー料金の支払いを現金で行う必要がなく便利である。そのため、例えば製薬会社などでは、医師などの医療関係者を対象とした催事や講演会などを開催することが多く、その際に、医療関係者に講演会などへの参加を促すために、会場までの交通手段としてタクシーチケットを配布することが慣例で行われている。そして、タクシーチケットを配布する際には、利用者が講演会参加以外の目的でタクシーチケットを使用することを抑制するために、乗車指定日や利用限度額などの情報をタクシーチケットに印字して利用者に配布することが従来から行われている。例えば特許文献1では、チケット発行会社がチケット利用会社の要望に従って、乗車指定日、利用限度額、講演会名などの情報をタクシーチケットに印字してチケット利用会社に発行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許平11−195143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、チケット発行会社からチケット利用会社に発行された複数のタクシーチケットは、各タクシーチケットに印字される識別番号により個別に管理される。そのため、この識別番号は、タクシーチケットの管理上、タクシーチケットを発行するチケット発行会社により必ず印字される。特許文献1においても、チケット発行会社によりタクシーチケットごとに固有の識別番号が設定され、当該識別番号がタクシーチケットに印字されている。
【0006】
しかしながら、チケット発行会社が独自に設定した識別番号をタクシーチケットに印字すると、チケット利用会社において所望の番号をタクシーチケットに印字したいとの要望がある場合には、そのためのスペースをわざわざタクシーチケットに設ける必要がある。また、チケット利用会社の中には、自社管理番号と識別番号との2つの番号が存在すると、2つの番号でタクシーチケットを管理する必要があり、チケット管理が複雑になるため、自社管理番号を識別番号に用いたいとの要望もある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、発行されたタクシーチケットを個別に管理でき、かつ、チケット利用会社の所望する番号を識別番号として印字できるタクシーチケット発行システム及びタクシーチケット発行方法を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るタクシーチケット発行システムは、チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートであって、チケット利用会社に固有の会員番号が印字された印字用シートと、チケット利用会社に設けられる印刷装置と、チケット利用会社に設けられる発行装置であって、前記印字用シート毎に異なるチケット番号を設定し、前記チケット番号が前記印字用シートに印字されるように前記印刷装置を動作させる発行装置と、を備え、前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るタクシーチケット発行システムは、チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートと、チケット利用会社に設けられる印刷装置と、チケット利用会社に設けられる発行装置であって、前記印字用シート毎に異なるチケット番号を設定し、チケット利用会社に固有の会員番号及び前記チケット番号が前記印字用シートに印字されるように前記印刷装置を動作させる発行装置と、を備え、前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るタクシーチケット発行システムは、チケット発行会社に設けられ、チケット利用会社に提供した前記印字用シートの管理に用いられる管理装置をさらに備え、前記管理装置は、提供した印字用シートの提供情報をチケット利用会社毎に作成する印字用シート提供情報作成部と、回収したタクシーチケットに印字された情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成部と、チケット利用会社毎の前記印字用シート提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収したタクシーチケットの枚数を比較した比較情報を作成する比較情報作成部と、有するように構成されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るタクシーチケット発行システムは、前記管理装置は、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報に基づき、乗車指定日が印字されたタクシーチケットについて乗車指定日外に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成部をさらに有するように構成されることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るタクシーチケット発行システムは、前記管理装置は、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報に基づき、利用限度額が印字されたタクシーチケットについて利用金額が利用限度額を超えるタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成部をさらに有するように構成されることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るタクシーチケット発行システムは、前記発行装置は、前記印字用シートのレイアウトを複数種記憶しており、複数種の前記印字用シートのレイアウトの中から選択されたレイアウトが前記印字用シートに印刷されるように前記印刷装置を動作させるように構成されることが好ましい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るタクシーチケット発行方法は、チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シート
であって、チケット利用会社に固有の会員番号が印字された印字用シート毎に、チケット利用会社に設けられる発行装置を用いて異なるチケット番号を設定するチケット番号設定ステップと、前記チケット番号を、チケット利用会社に設けられる印刷装置を用いて前記印字用シートに印字する印刷ステップと、を有し、前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されることを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るタクシーチケット発行方法は、チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シート毎に、チケット利用会社に設けられる発行装置を用いて異なるチケット番号を設定するチケット番号設定ステップと、チケット利用会社に固有の会員番号及び前記チケット番号を、チケット利用会社に設けられる印刷装置を用いて前記印字用シートに印字する印刷ステップと、を有し、前記会員番号及び前記チケット番号によりタクシーチケットに固有の識別番号が構成されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るタクシーチケット発行方法は、チケット発行会社に設けられる管理装置を用いてチケット利用会社毎に提供した印字用シートの提供情報を作成する印字用シート提供情報作成ステップと、前記管理装置を用いて、回収したタクシーチケットの印字情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成ステップと、前記管理装置を用いて、チケット利用会社毎の前記印字用シート提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収したタクシーチケットの枚数を比較した比較情報を作成する比較情報作成ステップと、をさらに有することが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るタクシーチケット発行方法は、前記管理装置を用いて、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報の基づき、乗車指定日が印字されたタクシーチケットについて乗車指定日外に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成ステップをさらに有することが好ましい。
【0018】
また、本発明に係るタクシーチケット発行方法は、前記管理装置を用いて、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報の基づき、利用限度額が印字されたタクシーチケットについて利用金額が利用限度額を超えるタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成ステップをさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るタクシーチケット発行システム及びタクシーチケット発行方法によれば、発行されたタクシーチケットを個別に管理でき、かつ、チケット利用会社の所望する番号を識別番号として印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】タクシーチケットの元となる印字用シートの平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態のタクシーチケット発行システムの概略構成図である。
【
図5】チケット利用会社側の各装置の斜視図である。
【
図7】チケット発行会社側の各装置の斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態のタクシーチケット発行システムのチケット発行の流れを示す。
【
図14】発行装置の表示手段に表示される受付画面の一例を示す。
【
図15】発行装置の表示手段に表示される、各種情報が入力された後の受付画面の一例を示す。
【
図16】チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるチケット利用状況情報の一例を示す。
【
図17】従来のタクシーチケット発行システムのチケット発行の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るタクシーチケット発行システムの一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、
図3に示すタクシーチケット10の元となる印字用シート11の外観図である。印字用シート11には、利用限度額や乗車指定日などの各種情報を印字するための各項目欄12〜19が適宜配置されたレイアウトが予め印刷されており、各項目欄12〜19に、必要に応じて所定の情報が印字されることでタクシーチケット10となる。
【0022】
印字用シート11は、ミシン目(図示せず)によって、本体11Aと、控え11Bとに切り離し可能である。印字用シート11は、チケット発行会社において用意され、チケット利用会社からの発注に応じて必要枚数が、チケット発行会社よりチケット利用会社に対して郵送などで提供される。
【0023】
印字用シート11の本体11Aに設けられた項目欄12〜19のうち、項目欄12には、タクシーチケット10を使用可能なタクシー料金の利用限度額を印字でき、例えば、3千、5千、8千、1万、3万などが印字される。
【0024】
項目欄13には、タクシーチケット10を使用可能な乗車指定日を印字できる。本実施形態では、所定の日(図示例では2016年9月30日)限り有効となっているが、所定の期間(例えば2016年9月15日〜2016年9月30日)限り有効としてもよい。
【0025】
項目欄14には、タクシーチケット10を実際に使用する利用者の名前を印字できる。
【0026】
項目欄15は、所望の情報を印字できるフリースペースである。本実施形態では、上下2段のフリースペースとなっている。例えば、上段のフリースペースにチケット利用会社名を印字できる一方で、下段のフリースペースにタクシーチケット10の使用目的とされる講演会や展示会などの各種イベント名を印字できる。このフリースペースには、必ずしも上述した情報だけが印字される必要はなく、チケット利用会社やチケット発行会社が所望する様々な情報を印字できる。
【0027】
項目欄16には、チケット利用会社側において利用者にタクシーチケット10を配布した責任者の名前を印字できる。
【0028】
本実施形態では、各項目欄12〜16の情報は、チケット利用会社より必要に応じて印字用シート11に印字される。
【0029】
項目欄17には、識別番号を印字できる。識別番号は、タクシーチケット10毎に付与される互いに異なる番号であり、発行されるタクシーチケット10を1枚ずつ区別することができるタクシーチケット10毎に固有のものである。識別番号により、チケット利用会社やチケット発行会社はタクシーチケット10を特定することができる。識別番号は、
例えば複数桁の数字、アルファベット、記号又はこれらの組み合わせなどにより構成することができる。
【0030】
本実施形態では、識別番号は、会員番号を含んで構成されており、所定の桁数(本実施形態では9桁)の会員番号に所定の桁数(本実施形態では8桁)の他の番号(チケット番号)が組み合わされることで識別番号が構成されている。そのため、印字用シート11の項目欄17には「会員番号」の表示がなされている。
【0031】
本実施形態では、印字用シート11の提供先のチケット利用会社の会員番号N1がチケット発行会社により印字用シート11に予め印字される。そして、この会員番号N1(
図3に示す)の後に、チケット利用会社によりチケット番号N2(
図3に示す)が印字されることで、識別番号となる。
【0032】
会員番号は、発行されたタクシーチケット10を利用したチケット利用会社を特定するためのものであり、チケット発行会社によりチケット利用会社に付与されるあるいはチケット発行会社とチケット利用会社との間の取り決めにより設定される。
【0033】
チケット番号は、チケット利用会社が希望する番号とすることができ、例えば、当該タクシーチケットの冊子番号である6桁の数字と、当該冊子のページ番号(何枚目のタクシーチケットであるかを示す番号)である2桁の数字とが組み合わされたものを用いることができる。これにより、ある1つのチケット利用会社で発行されるタクシーチケット10については、チケット番号により個々のタクシーチケット10を特定できる。なお、チケット番号は、必ずしも冊子番号及びページ番号で構成される必要はなく、ある1つのチケット利用会社において、発行するタクシーチケット10に固有のものであれば、特に限定されるものではなく、他にも、発行年月日に整理番号(その日に発行受付したタクシーチケット10に順番に付される番号)を組み合わせた番号、チケット利用会社独自の自社管理番号など、チケット利用会社における所望の番号を自由に設定することができる。
【0034】
会員番号とチケット番号とが組み合わされた識別番号によって、チケット利用会社が複数あっても、それぞれのチケット利用会社で発行されたタクシーチケット10を個々に特定できる。
【0035】
また、印字用シート11の本体11Aには、利用者によって記入される、利用者が実際にタクシーを使用した際のタクシー料金の記入欄18及び乗車区間(乗車地及び降車地)の記入欄19が設けられている他、チケット発行会社の名称やハウスマークなども印刷されている。
【0036】
印字用シート11の本体11Aの裏面には、図示は省略するが、タクシー会社により乗車日、乗車区間(乗車地、降車地)、タクシー会社名、乗務員名などの情報を記入するための記入欄が印刷されている。
【0037】
一方、印字用シート11の控え11Bは、利用者の控えとなるものであり、利用者が利用日及び利用金額などを記入できるようになっている。なお、この控え11Bは必ずしも設けられている必要はなく、本体11Aのみで印字用シート11を構成してもよい。
【0038】
上記構成の印字用シート11は、
図2に示すように、例えば8枚の印字用シート11が横2枚×縦4枚に連ねられてA4サイズのシートSとされており、汎用のプリンタ(印刷装置3)を用いて一括で各印字用シート11の項目欄などに各種情報などを印字可能となっている。また、各印字用シート11の間にはミシン目(図示せず)が設けられていて、印字後に各印字用シート11(タクシーチケット10)に分断しやすくなっている。
【0039】
次に、
図4は、本実施形態のタクシーチケット発行システム1の概略構成を示す。タクシーチケット発行システム1は、
図4に示すように、チケット利用会社によりタクシーチケット10の発行に用いられる発行装置2と、チケット利用会社により用いられる印刷装置3と、チケット利用会社によりチケット利用会社に提供した印字用シート11の管理に用いられる管理装置4と、チケット発行会社により用いられる印刷装置5及び読取装置6と、を備えている。各発行装置2と管理装置4とは、インターネットなどの通信ネットワークを介して所定のデータの送受信が可能である。
【0040】
チケット利用会社側の発行装置2は、
図5及び
図6に示すように、制御手段20、入力手段21及び表示手段22を備えている。制御手段20は、プロセッサ(CPU)及びCPUの制御下にあるメモリを含むコンピュータである。制御手段20は、ハードウェア構成として、CPU及びメモリの他、補助記憶装置(HDD)、他の装置(入力手段21、表示手段22、印刷装置3)との各インターフェースやインターネット接続のためのインターフェースなどを有している。HDDは、コンピュータ内に含まれていてもよいし、コンピュータの外部装置として置かれてもよく、また、コンピュータがHDDを含んだうえでさらに外部に別のHDDを有していてもよい。
【0041】
CPUは、入出力各部の動作を一連に制御するとともに、メモリ又はHDDに記憶されているコンピュータプログラムを実行する。メモリ又はHDDには、会員に固有の会員番号だけが印字された印字用シート11に基づいてタクシーチケット10を発行するためのチケット発行用のアプリケーションソフトウェアの他、各種データファイルを作成するためのアプリケーションソフトウェアや、管理装置4との間で所望のデータファイル・情報を送受信するためのアプリケーションソフトウェア、オペレーティングシステムなど、各種コンピュータプログラムが記憶されている。HDDには、また、各種のデータファイルが記憶される。チケット発行用のコンピュータプログラムは、チケットに印字する各種情報の入力を受け付けて印字用シート11に印字されるように印刷装置3を動作させるなど、以下に説明する手順をCPUに実行させるためのコンピュータプログラムである。CPUは、当該コンピュータプログラムに対応して各種手順を実行することで、表示手段22、印刷装置3、HDDなどの発行装置2全体の動作を制御する。当該コンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(フラッシュメモリ、SDカード、CD−ROMなど)を介して制御手段20に供給されてもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して制御手段20に供給されてもよい。
【0042】
入力手段21は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル装置などで構成される。また、表示手段22は、例えば液晶ディスプレイなどで構成される。なお、入力手段21及び表示手段22は、上述のようにそれぞれ別個の機器であってもよいが、一つのユニットとして構成されていてもよい。例えば、ディスプレイ上にタッチスクリーンを重ねて配置したタッチパネルを用いることもでき、その場合は、ディスプレイが表示手段22として機能し、タッチスクリーンが入力手段21として機能する。
【0043】
図6は、発行装置2のブロック図である。制御手段20は、記憶部200の他、機能ブロックとして、受付部201、設定部202、動作部203を少なくとも備えている。各機能ブロックは、CPUがコンピュータプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現される。
【0044】
受付部201は、印字用シート11に印字する各種情報の入力を受け付ける。設定部202は、受付順に自動的にチケット番号(会員番号の後に続くその他の番号)の採番を行う。動作部203は、印字用シート11毎に設定されたチケット番号及び受け付けた各種
情報などを印刷装置3に出力して順番に印字用シート11に印字されるように印刷装置3を動作させる。
【0045】
チケット利用会社側の印刷装置3は、チケット発行会社より提供されたタクシーチケット10の元となる印字用シート11に、受け付けた各種情報やチケット番号などを文字などで印字するものである。印刷装置3としては、任意のプリンタを用いることができる。
【0046】
一方で、チケット発行者側の管理装置4は、
図7及び
図8に示すように、制御手段40、入力手段41及び表示手段42を備えている。制御手段40は、プロセッサ(CPU)及びCPUの制御下にあるメモリを含むコンピュータである。制御手段40は、ハードウェア構成として、CPU及びメモリの他、補助記憶装置(HDD)、他の装置(入力手段41、表示手段42、印刷装置5、読取装置6)との各インターフェースやインターネット接続のためのインターフェースなどを有している。HDDは、コンピュータ内に含まれていてもよいし、コンピュータの外部装置として置かれてもよく、また、コンピュータがHDDを含んだうえでさらに外部に別のHDDを有していてもよい。
【0047】
CPUは、入出力各部の動作を一連に制御するとともに、メモリ又はHDDに記憶されているコンピュータプログラムを実行する。メモリ又はHDDには、チケット利用会社に提供した印字用シート11を管理するためのチケット管理用のアプリケーションソフトウェアの他、各種データファイルを作成するためのアプリケーションソフトウェアや、発行装置2との間で所望のデータファイル・情報を送受信するためのアプリケーションソフトウェア、オペレーティングシステムなど、各種コンピュータプログラムが記憶されている。HDDには、また、各種のデータファイルが記憶される。チケット管理用のコンピュータプログラムは、会員番号が印字用シート11に印刷されるように印刷装置5を動作させたり、使用済タクシーチケット10の券面を読み取るように読取装置6を動作させ、取得した情報をデータ化したりするなど、以下に説明する手順をCPUに実行させるためのコンピュータプログラムである。CPUは、当該コンピュータプログラムに対応して各種手順を実行することで、表示手段42、印刷装置5、読取装置6、HDDなどの管理装置4全体の動作を制御する。当該コンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(フラッシュメモリ、SDカード、CD−ROMなど)を介して制御手段40に供給されてもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して制御手段40に供給されてもよい。
【0048】
入力手段41は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル装置などで構成される。また、表示手段42は、例えば液晶ディスプレイなどで構成される。なお、入力手段41及び表示手段42は、上述のようにそれぞれ別個の機器であってもよいが、一つのユニットとして構成されていてもよい。例えば、ディスプレイ上にタッチスクリーンを重ねて配置したタッチパネルを用いることもでき、その場合は、ディスプレイが表示手段42として機能し、タッチスクリーンが入力手段41として機能する。
【0049】
図9は、管理装置4のブロック図である。制御手段40は、記憶部400の他、機能ブロックとして受付部401、動作部402、印字用シート提供情報作成部403、使用済チケット情報作成部404、比較情報作成部405、目的外使用チケット情報作成部406を備えている。各機能ブロックは、CPUがコンピュータプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現される。
【0050】
受付部401は、印字用シート11に印字する会員番号の入力を受け付ける。記憶部400には、チケット利用会社毎の会員番号が記憶されている。動作部402は、受け付けた会員番号(必要に応じてさらにチケット利用会社名)を印刷装置5に出力して印字用シート11に順次印字されるように印刷装置5を動作させる。
【0051】
印字用シート提供情報作成部403は、チケット利用会社に提供するために管理装置4により発行した印字用シート11について、チケット利用会社毎の印字用シート提供情報を作成する。印字用シート提供情報は、例えば
図9に示すように、印字用シート番号毎に、提供日、利用会社名、会員番号が関連付けられたものである。なお、印字用シート提供情報に含まれる項目(情報)は、必ずしもこれらに限られず、他の項目(情報)が付け加えられていてもよい。印字用シート提供情報作成部403によって生成された印字用シート提供情報は、記憶部400に記憶される。
【0052】
使用済チケット情報作成部404は、チケット発行会社がタクシー会社より回収した使用済タクシーチケット10について、読取装置6で読み取った複数のタクシーチケット10に記入の情報を、チケット利用会社毎に、識別番号毎の一連のデータとしてまとめた使用済チケット情報を作成する。使用済チケット情報は、例えば
図10に示すように、使用済タクシーチケット10の回収日、タクシーの乗車日、タクシーの利用金額、乗降地、タクシー会社名の他、タクシーチケット10に印字されていれば、利用限度額、乗車指定日、利用者、配布責任者、イベント名など、が識別番号毎に関連付けられている。なお、使用済チケット情報に含まれる項目(情報)は、必ずしもこれらに限られず、ある項目(情報)が省略されていたり、別の項目(情報)が付け加えられていてもよい。使用済チケット情報作成部404によって生成された使用済チケット情報は、記憶部400に記憶される。
【0053】
比較情報作成部405は、チケット利用会社毎の前記印字用シート提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収した使用済タクシーチケット10の枚数を比較した比較情報を作成する。比較情報は、例えば
図11に示すように、チケット利用会社毎に、チケット利用会社への印字用シート11の提供枚数と、チケット利用会社から発行の使用済タクシーチケット10の回収枚数とが、例えば1ヵ月を単位として集計されたものである。なお、比較情報に含まれる項目(情報)は、必ずしもこれらに限られず、他の項目(情報)が付け加えられていてもよい。比較情報作成部405によって生成された比較情報は、記憶部400に記憶される。
【0054】
目的外使用チケット情報作成部406は、前記使用済チケット情報に基づき、例えば、乗車指定日が印字されたタクシーチケット10について乗車指定日外(乗車指定日が所定の日(例えば2016年9月30日)であればその日(2016年9月30日)とは異なる日、乗車指定日が所定の期間(例えば2016年9月15日〜2016年9月30日)であればその期間外)に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する。目的外使用チケット情報は、例えば
図12に示すように、チケット利用会社毎に、回収した使用済タクシーチケット10のうち、実際の乗車日が乗車指定日(例えば2016/9/30)外のタクシーチケット10の識別番号、乗車指定日、乗車日、利用金額などの情報がまとめられたものである。なお、目的外使用チケット情報に含まれる項目(情報)は、必ずしもこれらに限られず、他の項目(情報)が付け加えられていてもよい。また、目的外使用チケット情報としては、乗車指定日内に使用されたタクシーチケット10であっても、実際にタクシーを利用した際の乗車地及び降車地が、タクシーチケット10に予め印字されたイベントの開催場所と明らかに異なるタクシーチケット10について、目的外使用として検出するようにしてもよい。さらに、利用限度額よりも実際の利用金額が超えるタクシーチケット10について、目的外使用として検出するようにしてもよい。目的外使用チケット情報作成部406によって生成された目的外使用チケット情報は、記憶部400に記憶される。
【0055】
なお、目的外使用チケット情報は、チケット利用会社の発行装置2において、発行したタクシーチケット10毎に、タクシーチケット10に印字した利用限度額、乗車指定日な
どの各種情報を識別番号と関連付けたチケット発行情報を作成している場合には、チケット利用会社の発行装置2から当該チケット発行情報を受け取り、当該チケット発行情報と使用済タクシーチケット情報とを照合することで作成することもできる。
【0056】
チケット発行会社側の印刷装置5は、タクシーチケット10の元となる印字用シート11に、会員番号(必要に応じてさらにチケット利用会社)を印字するものである。印刷装置5としては、任意のプリンタを用いることができる。
【0057】
チケット発行会社側の読取装置6は、回収された使用済タクシーチケット10の券面を読み取り、管理装置4で管理できるようにデータ化するものである。そのため、読取装置6は、タクシーチケット10に記入される文字や数字を認識してデータ化する文字認識機能を有している。また、読取装置6はタクシーチケット10の券面の画像データを作成する機能をさらに有していることが好ましい。
【0058】
次に、上述したタクシーチケット発行システム1を利用したタクシーチケット10の発行方法について、
図13を参照しつつ説明する。
【0059】
まず、チケット利用会社は、チケット発行会社に対して、タクシーチケット10の元となる印字用シート11を必要な枚数発注する。チケット発行会社では、印字用シート11の発注を受けると、担当者などが印刷装置5に印字用シート11(この実施形態では8枚分の印字用シート11を含むA4サイズのシートS)をセットする。そして、管理装置4を用いて、入力手段41により印字用シート11を提供するチケット利用会社や必要な印字用シート11の枚数の入力を受け付け(会員番号受付ステップ)、印刷装置5により印字用シート11に会員番号(必要に応じてさらにチケット利用会社名)を印字する(会員番号印刷ステップ)。制御手段40のCPUは、担当者などの所定の操作により、記憶部400に登録されているチケット利用会社の会員番号を読み出し、読み出した会員番号(必要に応じてさらにチケット利用会社名)が印字用シート11の所定位置に1枚ずつ印刷されるように印刷装置5に印刷動作を実行させる。会員番号(必要に応じてさらにチケット利用会社名)が印字された印字用シート11は、担当者などにより郵送などでチケット利用会社に提供される。また、チケット発行会社の管理装置4では、担当者などの所定の操作に基づき、制御手段40のCPUが、管理装置4により発行してチケット利用会社に提供された印字用シート11に関してチケット利用会社毎の印字用シート提供情報を作成し、記憶部400に保存する(印字用シート提供情報作成ステップ)。
【0060】
チケット利用会社では、会員番号(必要に応じてさらにチケット利用会社名)が印字された印字用シート11を受け取ると、担当者などが印刷装置3に印字用シート11をセットする。そして、発行装置2を用いて、入力手段21により利用限度額や乗車指定日などのタクシーチケット10に印字したい情報の入力を受け付けるとともに、チケット番号を設定し(チケット番号設定ステップ)、印刷装置3を用いて印字用シート11に入力を受け付けた各種情報やチケット番号などを印字する(印刷ステップ)。
【0061】
図14は、発行装置2の表示手段22に表示される受付画面7の表示例である。受付画面7の入力欄70に、各種情報が入力される。各種情報の入力は、受付画面7のファイル選択欄72より、記憶部200に保存されたチケット入力情報を選択し、これを読み出すことにより行われる。チケット入力情報は、チケット利用会社の担当者や申請者などが、予め、発行を希望するタクシーチケット毎に申請者、利用者、乗車指定日、配布責任者、イベント名などの情報を入力したデータファイルである。また、受付画面の利用限度額選択欄71は、例えばプルダウン方式で入力欄70の利用限度額の項目に、選択された利用限度額を一括して入力することができる。担当者などの所定の操作に基づき、チケット入力情報が選択されると、制御手段20のCPUは、当該チケット入力情報を読み出し、図
15に示すように、受付画面の入力欄70の各項目に受け付けた各種情報を表示させる。このとき、入力欄70の利用限度額の項目に選択された利用限度額を表示させるとともに、識別番号の項目に受付順に自動的に採番したチケット番号に会員番号を組み合わせた識別番号を表示させる。各種情報の入力が完了すると、印刷開始欄73の操作に伴い、制御手段20のCPUは、入力情報を印刷装置3に出力し、入力情報が印字用シート11の各項目欄に印刷されるように印刷装置3に印刷動作を実行させる。これにより、タクシーチケット10が発行される。
【0062】
チケット利用会社により発行されたタクシーチケット10は、チケット利用者に配布され、チケット利用者によりタクシーの乗車に際して使用されることで、タクシー会社に回収される。そして、タクシー会社からチケット発行会社に利用金額の請求とともに、使用済タクシーチケットが送付される。
【0063】
チケット発行会社では、使用済タクシーチケット10を回収すると、担当者などが使用済タクシーチケット10を読取装置6にセットする。使用済タクシーチケット10のセット後、管理装置4を用い、入力手段41によって、使用済タクシーチケット10に記入された情報の読み取りを行う。読み取り操作が行われると、制御手段40のCPUは、セットされた使用済タクシーチケット10の券面に記載の情報の読み取り動作が行われるように読取装置6に読み取り動作を実行させる。
【0064】
チケット発行会社の管理装置4においては、担当者などの所定の操作又は自動で、制御手段40のCPUが、読取装置6で使用済タクシーチケット10から読み取った情報に基づき、チケット利用会社毎に使用済チケット情報を作成し、記憶部400に保存する(チケット利用情報作成ステップ)。また、チケット発行会社の管理装置4においては、担当者などの指令に基づき、制御手段40のCPUが、使用済チケット情報から、比較情報、目的外使用チケット情報などの情報を作成し、記憶部400に保存する(比較情報作成ステップ、目的外使用チケット情報作成ステップ)。また、目的外使用チケット情報を、メールなどでネットワークを介してチケット利用会社の発行装置2に送信する。チケット利用会社では、発行装置2が受信した情報を制御手段20の記憶部200に保存する。また、チケット発行会社は、タクシーの利用金額を、所定期間単位、例えば1ヶ月単位でまとめて請求書を発行し、チケット利用会社に請求する。
【0065】
上述した本実施形態のタクシーチケット発行システム1(及びタクシーチケット発行方法)によると、タクシーチケット10に印字される識別番号が、チケット利用会社に応じた会員番号と、チケット利用会社が自由に設定したチケット番号とで構成されている。そのため、チケット利用会社にとっては、所望の番号をタクシーチケット10に印字できるので、タクシーチケット10にそのためのスペースを設ける必要がない。そのうえ、チケット番号を自社管理番号とすれば、識別番号が自社管理番号となるので、自社管理番号と識別番号との2つの番号でタクシーチケット10を管理する必要がなくなり、チケット管理が簡易になる。一方で、チケット発行会社にとっても、識別番号に会員番号が含まれていることで、その他の番号が自由に設定されても、複数のチケット利用会社で同じ識別番号がタクシーチケット10に印字されるおそれがない。よって、発行されたタクシーチケットを個別に確実に管理することができる。さらに、会員番号がタクシーチケットに印字されるので、仮に第三者がタクシーチケットをチケット利用会社から不正に入手して使用した場合でも、当該タクシーチケットを発行したチケット利用会社を特定できる。よって、チケット発行会社におけるチケット管理に問題が生じない。
【0066】
また、本実施形態のタクシーチケット発行システム1(及びタクシーチケット発行方法)では、チケット発行会社において、チケット利用会社毎に、所定期間内に提供した印字用シート11の枚数及び回収した使用済タクシーチケット10の枚数を比較した比較情報
を作成している。そのため、チケット利用会社から印字用シート11の発注が新たにあった際に、過去(例えば半年や1年)のタクシーチケット10の使用枚数を確認し、その期間に発注した発注枚数よりも使用された使用枚数が異常に少ない場合や、その期間に使用された使用枚数よりも新たに発注された発注枚数が異常に多い場合などに、印字用シートの11の提供を制限するなど、チケット利用会社によるタクシーチケット10の使用状況に応じて、印字用シート11の提供に規制をかけることができる。これにより、チケット発行会社は、チケット利用会社に預託したタクシーチケット11の元となる印字用シート11の管理を安全に行うことができる。なお、管理装置4において印字用シート11の発行を行う際に、この比較情報に基づき、所定期間(例えば過去半年や1年)内に提供した印字用シート11の枚数が回収した使用済タクシーチケット10の枚数よりも所定枚数以上多い場合に、制御手段40のCPUが表示手段42に警告を表示させるように構成してもよい。
【0067】
加えて、本実施形態のタクシーチケット発行システム1(及びタクシーチケット発行方法)では、チケット発行会社において、チケット利用会社毎に、乗車指定日外に使用されたタクシーチケット10あるいは利用限度額を超えて使用されたタクシーチケット10に関する目的外使用チケット情報を作成し、チケット利用会社に提供している。そのため、チケット利用会社では、発行したタクシーチケット10について、チケット利用者に過剰に配布されていないか、あるいは、チケット利用者に不適正に使用されていないかを確認することができる。これにより、チケット利用会社では、目的外使用チケットの申請を行った申請者や配布責任者に対して、適切な指導を行うことができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態では、チケット発行会社がチケット利用会社に提供する印字用シート11は、8枚一組のシートSとしているが、印字用シート11の提供の方法は、種々の方法を採用することができ、1枚ずつ分離して提供してもよいし、例えば30枚綴りにして提供してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、チケット発行会社がチケット利用会社に提供するタクシーチケット10の使途に関する情報として、管理装置4を用いて目的外使用チケット情報を作成し、発行装置2に送付している。これに加えて、
図16に示すように、タクシーチケット10の使用目的とされるイベント名毎に、チケット利用会社が発行したタクシーチケット10の発行枚数、過去何カ月(図示例では4カ月)の使用済タクシーチケット10の回収枚数を表示したチケット利用状況情報をチケット発行会社の管理装置4で作成して、チケット利用会社の発行装置2に送付してもよい。これにより、チケット利用会社では、各種イベントへの参加を促すためにチケット利用者に配布したタクシーチケット10の利用状況が一目で把握でき、チケット利用者に過剰に配布されていないか、あるいは、チケット利用者に不適正に使用されていないかを確認することができる。
【0071】
また、本実施形態では、印字用シート11の本体11Aには、各種情報を印字、記入するための各項目欄12〜19の他、チケット発行会社の名称やハウスマーク17などが適宜配置されたレイアウトが予め印刷されている。しかし、印字用シート11は、本体11Aについては、会員番号(必要に応じてさらにチケット発行会社の名称及びハウスマーク)だけが印刷されていれば、レイアウトが印刷されていない状態でチケット利用会社に提供することもできる。この場合には、チケット利用会社の発行装置2は、
図6の破線で示しているように、制御手段20の記憶部200に、印字用シート11のレイアウト情報を複数種記憶しており、制御手段20のCPU(動作部)は、複数種の印字用シート11のレイアウト情報の中から選択されたレイアウト情報が、印字用シート11に印字する各種
情報とともに印字用シート11のレイアウトとして印刷されるように印刷装置3を動作させるように構成される。
【0072】
また、本実施形態では、チケット発行会社により会員番号が予め印字された状態の印字用シート11がチケット利用会社に提供されている。しかしながら、チケット発行会社において会員番号を印字せずにレイアウト以外は空欄の状態の印字用シート11をチケット利用会社に提供し、チケット利用会社により印字用シート11に当該チケット利用会社に固有の会員番号をその他の情報とともに印字してもよい。この場合には、チケット利用会社の発行装置2は、
図6の破線で示しているように、制御手段20の記憶部200に、会員番号を記憶しており、制御手段20のCPU(動作部)は、利用限度額や乗車指定日などの各種情報、チケット番号とともに会員番号についても印字用シート11に印字されるように印刷装置3を動作させるように構成される。
【0073】
また、本実施形態では、会員番号以外の情報は何ら印字されない印字用シート11がチケット発行会社からチケット利用会社に提供されているが、チケット発行会社において、例えば利用限度額及び/又は当該印字用シート11(タクシーチケット10)の有効期限について印字用シート11にさらに印字したうえで、印字用シート11をチケット利用会社に提供してもよい。また、その他の情報(乗車指定日やイベント名など)についても予めチケット発行会社において印字用シート11に印字したうえで、印字用シート11をチケット利用会社に提供してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 タクシーチケット発行システム
2 発行装置
3 印刷装置
4 管理装置
5 印刷装置
6 読取装置
10 タクシーチケット
11 印字用シート
【手続補正書】
【提出日】2020年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートと、
チケット発行会社に設けられる印刷装置と、
チケット発行会社に設けられる管理装置であって、チケット利用会社毎に固有の会員番号を記憶する記憶部と、前記印字用シートに印字する会員番号の入力を受け付ける受付部と、受け付けた会員番号が前記印字用シートに印字されるように前記チケット発行会社の印刷装置を動作させる動作部と、を有する管理装置と、
チケット利用会社に設けられる印刷装置と、
チケット利用会社に設けられる発行装置であって、前記印字用シート毎に異なりかつ前記会員番号とによりタクシーチケットに固有の識別番号を構成するチケット番号を設定する設定部と、タクシーチケットに関する情報として利用限度額及び/又は乗車指定日の入力を受け付ける受付部と、前記チケット番号に加えて前記利用限度額及び/又は乗車指定日が前記印字用シートに印字されるように前記チケット利用会社の印刷装置を動作させる動作部と、を有する発行装置と、を備え、
前記管理装置は、
提供した印字用シートの提供情報をチケット利用会社毎に作成する印字用シート提供情報作成部と、
回収したタクシーチケットに印字された情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成部と、をさらに有するタクシーチケット発行システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
チケット利用会社毎の前記印字用シートの提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収したタクシーチケットの枚数を比較した比較情報を作成する比較情報作成部をさらに有する請求項1に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報に基づき、乗車指定日が印字されたタクシーチケットについて乗車指定日外に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成部をさらに有する請求項2に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報に基づき、利用限度額が印字されたタクシーチケットについて利用金額が利用限度額を超えるタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成部をさらに有する請求項2に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項5】
前記発行装置は、前記印字用シートのレイアウトを複数種記憶しており、複数種の前記印字用シートのレイアウトの中から選択されたレイアウトが前記印字用シートに印刷されるように前記印刷装置を動作させる請求項1に記載のタクシーチケット発行システム。
【請求項6】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートに、チケット利用会社に固有の会員番号をチケット発行会社に設けられる印刷装置によって印字するステップと、
前記会員番号が印字された印字用シート毎に、前記会員番号とによりタクシーチケットに固有の識別番号を構成するチケット番号を、チケット利用会社に設けられる発行装置によって前記印字用シート毎に異なるように設定するとともに、タクシーチケットに関する情報として利用限度額及び/又は乗車指定日の入力を前記発行装置を用いて受け付けるチケット番号設定ステップと、
前記チケット番号に加えて前記利用限度額及び/又は乗車指定日を、チケット利用会社に設けられる印刷装置によって前記印字用シートに印字する印刷ステップと、
チケット発行会社に設けられる管理装置によってチケット利用会社毎に提供した印字用シートの提供情報を作成する印字用シート提供情報作成ステップと、
前記管理装置によって、回収したタクシーチケットの印字情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成ステップと、を有するタクシーチケット発行方法。
【請求項7】
チケット発行会社からチケット利用会社に提供されるタクシーチケットの元となる印字用シートに、チケット利用会社に固有の会員番号、さらにタクシーチケットに関する情報として利用限度額及び/又は有効期限をチケット発行会社に設けられる印刷装置によって印字するステップと、
前記会員番号が印字された印字用シート毎に、前記会員番号とによりタクシーチケットに固有の識別番号を構成するチケット番号を、チケット利用会社に設けられる発行装置によって前記印字用シート毎に異なるように設定するチケット番号設定ステップと、
前記チケット番号を、チケット利用会社に設けられる印刷装置によって前記印字用シートに印字する印刷ステップと、
チケット発行会社に設けられる管理装置によってチケット利用会社毎に提供した印字用シートの提供情報を作成する印字用シート提供情報作成ステップと、
前記管理装置によって、回収したタクシーチケットの印字情報を前記識別番号毎にまとめた使用済チケット情報をチケット利用会社毎に作成する使用済チケット情報作成ステップと、を有するタクシーチケット発行方法。
【請求項8】
前記管理装置によって、チケット利用会社毎の前記印字用シートの提供情報及び前記使用済チケット情報を照合し、所定期間内に提供した印字用シートの枚数及び回収したタクシーチケットの枚数を比較した比較情報を作成する比較情報作成ステップをさらに有する請求項6又は7に記載のタクシーチケット発行方法。
【請求項9】
前記管理装置によって、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報の基づき、乗車指定日が印字されたタクシーチケットについて乗車指定日外に使用されたタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成ステップをさらに有する請求項8に記載のタクシーチケット発行方法。
【請求項10】
前記管理装置によって、チケット利用会社毎の前記使用済チケット情報の基づき、利用限度額が印字されたタクシーチケットについて利用金額が利用限度額を超えるタクシーチケットを検出した目的外使用チケット情報を作成する目的外使用チケット情報作成ステップをさらに有する請求項8に記載のタクシーチケット発行方法。