特開2021-4803(P2021-4803A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラリオン株式会社の特許一覧

特開2021-4803走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法
<>
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000003
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000004
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000005
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000006
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000007
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000008
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000009
  • 特開2021004803-走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-4803(P2021-4803A)
(43)【公開日】2021年1月14日
(54)【発明の名称】走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20201211BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20201211BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   G01C21/28
   G08G1/09 H
   B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-118887(P2019-118887)
(22)【出願日】2019年6月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕幸
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB20
2F129BB23
2F129BB33
2F129BB49
2F129EE02
2F129EE75
2F129FF02
2F129FF19
2F129FF57
2F129GG17
3D241BA11
3D241CE02
3D241CE04
3D241DB01
3D241DB20
3D241DC37
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF07
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】特定される走行レーンの信頼性を高めること。
【解決手段】地図データ20を取得する地図データ取得部34と、自車両C1の自車両情報E1を取得する自車両情報取得部30と、他車両C2の他車両情報E2を取得する他車両情報取得部32と、前記自車両C1と前記他車両C2とが同一の道路2を走行しており、かつ、前記自車両C1と他車両C2の間の道路区間の形状が直線状か否かを判定する状態判定部36と、前記自車両C1と前記他車両C2とが同一の道路2を走行しており、かつ前記自車両C1と前記他車両C2の間の道路区間の形状が直線状である場合に、前記地図データ20と、前記自車両情報E1と、前記他車両情報E2と、に基づいて、前記自車両C1が走行している走行レーンDを特定する走行レーン特定部38と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを取得する地図データ取得部と、
自車両の車両情報であり、少なくとも当該自車両の現在位置を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、
他車両の車両情報であり、少なくとも当該他車両の現在位置を含む他車両情報を取得する他車両情報取得部と、
前記地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ、前記自車両と他車両の間の道路区間の形状が直線状か否かを判定する状態判定部と、
前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両の間の道路区間の形状が直線状である場合に、前記地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを特定する走行レーン特定部と、
を備えることを特徴とする走行レーン特定装置。
【請求項2】
前記他車両情報取得部は、
無線通信により前記他車両情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の走行レーン特定装置。
【請求項3】
前記状態判定部は、
前記自車両、及び前記他車両の各現在位置に対応する地図データの情報に基づいて、同一の道路を走行しているか否か、及び、前記自車両と前記他車両の間の道路区間の形状が直線状であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の走行レーン特定装置。
【請求項4】
前記地図データには、道路が備える走行レーンの数である走行レーン数、及び、当該走行レーンの幅である走行レーン幅の情報が含まれており、
前記走行レーン特定部は、
前記道路の幅員方向における前記自車両と前記他車両の車間距離と前記走行レーン幅とに基づいて、前記他車両が走行している走行レーンから前記自車両が走行している走行レーンまでの走行レーンの数を示すレーンシフト量を求め、
当該レーンシフト量、前記道路の走行レーン数、及び、前記自車両からみた前記他車両の方向を示す他車両存在方向に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを特定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走行レーン特定装置。
【請求項5】
前記走行レーン特定部は、
前記他車両が走行している走行レーンが既知である場合、
当該他車両が走行している走行レーン、前記レーンシフト量、前記道路の走行レーン数、及び、前記他車両存在方向に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを一意に特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の走行レーン特定装置。
【請求項6】
前記走行レーン特定部は、
前記他車両が走行している走行レーンが既知でない場合、
前記レーンシフト量、前記道路の走行レーン数、及び、前記他車両存在方向に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンが一意に特定できないときには、前記自車両が走行している走行レーンの候補である候補走行レーンを特定する
ことを特徴とする請求項5に記載の走行レーン特定装置。
【請求項7】
前記走行レーン特定部は、
複数の前記他車両を対象にして、複数の前記候補走行レーンを特定し、複数の前記候補走行レーンに基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを絞りこむ
ことを特徴とする請求項6に記載の走行レーン特定装置。
【請求項8】
自車両の車両情報であり、少なくとも当該自車両の現在位置を含む自車両情報、及び、他車両の車両情報であり、少なくとも当該他車両の現在位置を含む他車両情報を取得するステップと、
地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ、前記自車両と他車両の間の道路区間の形状が直線状か否かを判定するステップと、
前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両の間の道路区間の形状が直線状である場合に、前記地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを特定するステップと、
を備えることを特徴とする走行レーン特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行レーン特定装置、及び走行レーン特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の走行レーンを有する道路を車両が走行している場合に当該車両の走行中の走行レーンを特定する技術として、特許文献1、及び特許文献2がある。
特許文献1には、「自車両と同一方向の車線上に存在し且つ自車両から所定距離以内に存在する周囲車両を位置検出用車両とし、この位置検出用車両及び自車両の位置情報から、前記周囲車両の自車両に対する相対位置関係を算出し、この相対位置関係と自車両と同一方向の車線の車線数とに基づいて、自車両が各車線位置に存在する信頼度を算出する。」ことが記載されている。
【0003】
特許文献2には、「情報処理部1は、車速が設定車速以上で、且つ、道路地図情報より複数の走行レーンが存在する道路上を走行している車車間通信が確立されている他車両の中から判定対象とする車両を選択し、判定対象が旋回走行状態の場合は、運転状態を基に判定対象の旋回半径を演算し、該旋回半径と予め設定しておいた閾値とを比較して走行レーンを判定する一方、判定対象が直進走行状態の場合は、過去に走行レーンを走行した車両位置の分布を基に判定対象の位置座標を座標変換し、該座標変換した位置座標の値と予め設定しておいた閾値とを比較して走行レーンを判定する。」ことが記載されている。判定対象の車両の走行状態は、その車両のハンドル角に基づいて判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−126086号公報
【特許文献2】特開2008−250488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、自車両と他車両が同一道路上を同一方向に走行していたとしても、その道路がカーブやS字を描き、道路の湾曲部が自車両と他車両の間に存在した場合には走行レーンの判定精度が悪くなる。
【0006】
またカーブやS字といった道路形状と、その道路を走行する際の車両のハンドル角とは必ずしも一致していない。このため、引用文献2において、車両が直進走行状態であるか否かをハンドル角に基づいて判定した場合、必ずしも正確な判定結果が得られるとは限らず、走行レーンの判定精度が悪くなる。
【0007】
本発明は、特定される走行レーンの信頼性を高めることができる走行レーン特定装置、走行レーン特定システム、及び走行レーン特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地図データを取得する地図データ取得部と、自車両の車両情報であり、少なくとも当該自車両の現在位置を含む自車両情報を取得する自車両情報取得部と、他車両の車両情報であり、少なくとも当該他車両の現在位置を含む他車両情報を取得する他車両情報取得部と、前記地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ、前記自車両と他車両の間の道路区間の形状が直線状か否かを判定する状態判定部と、前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両の間の道路区間の形状が直線状である場合に、前記地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを特定する走行レーン特定部と、を備えることを特徴とする走行レーン特定装置を提供する。
【0009】
本発明は、上記走行レーン特定装置において、前記他車両情報取得部は、無線通信により前記他車両情報を取得する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記走行レーン特定装置において、前記状態判定部は、前記自車両、及び前記他車両の各現在位置に対応する地図データの情報に基づいて、同一の道路を走行しているか否か、及び、前記自車両と前記他車両の間の道路区間の形状が直線状であるか否かを判定する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記走行レーン特定装置において、前記地図データには、道路が備える走行レーンの数である走行レーン数、及び、当該走行レーンの幅である走行レーン幅の情報が含まれており、前記走行レーン特定部は、前記道路の幅員方向における前記自車両と前記他車両の車間距離と前記走行レーン幅とに基づいて、前記他車両が走行している走行レーンから前記自車両が走行している走行レーンまでの走行レーンの数を示すレーンシフト量を求め、当該レーンシフト量、前記道路の走行レーン数、及び、前記自車両からみた前記他車両の方向を示す他車両存在方向に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを特定する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記走行レーン特定装置において、前記走行レーン特定部は、前記他車両が走行している走行レーンが既知である場合、当該他車両が走行している走行レーン、前記レーンシフト量、前記道路の走行レーン数、及び、前記他車両存在方向に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを一意に特定する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記走行レーン特定装置において、前記走行レーン特定部は、前記他車両が走行している走行レーンが既知でない場合、前記レーンシフト量、前記道路の走行レーン数、及び、前記他車両存在方向に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンが一意に特定できないときには、前記自車両が走行している走行レーンの候補である候補走行レーンを特定する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記走行レーン特定装置において、前記走行レーン特定部は、複数の前記他車両を対象にして、複数の前記候補走行レーンを特定し、複数の前記候補走行レーンに基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを絞りこむ、ことを特徴とする。
【0015】
本発明は、自車両の車両情報であり、少なくとも当該自車両の現在位置を含む自車両情報、及び、他車両の車両情報であり、少なくとも当該他車両の現在位置を含む他車両情報を取得するステップと、地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ、前記自車両と他車両の間の道路区間の形状が直線状か否かを判定するステップと、前記自車両と前記他車両とが同一の道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両の間の道路区間の形状が直線状である場合に、前記地図データと、前記自車両情報と、前記他車両情報と、に基づいて、前記自車両が走行している走行レーンを特定するステップと、を備えることを特徴とする走行レーン特定方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定される走行レーンの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す図である。
図2】複数の走行レーンを有した道路を自車両、及び他車両が走行している状況の一例を示す図である。
図3】制御装置の機能的構成を示す図である。
図4】地図データに用いられるノードとリンクの説明図である。
図5】走行レーン特定処理のフローチャートである。
図6】逆S字状の道路を自車両及び他車両が走行している状況を示す図である。
図7】カーブを描く道路を自車両及び他車両が走行している状況を示す図である。
図8】複数の他車両と自車両とが走行している状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の構成を示す図である。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載される車載装置の一態様であり、自身が搭載された車両を地図上に表示し、経路案内する装置であり、さらに、このナビゲーション装置1は、走行レーン特定装置の機能を備える。走行レーン特定装置は、図2に示すように、道路2が備える複数(図示例では3つ)の走行レーンDのうち、自身が搭載された車両が走行中の走行レーンDを特定する機能を有した装置である。ナビゲーション装置1は、走行レーンDの特定結果を経路案内に利用したり、自身が搭載された車両に設けられた自動運転制御装置や安全運転制御装置などの適宜の装置やアプリケーションに、その特定結果を出力したりする。
【0019】
なお、以下の説明では、本実施形態に係るナビゲーション装置1が搭載された車両を自車両C1と称し、他の車両を他車両C2と称する。また、自車両C1が走行中の走行レーンDを自車両走行レーンD1と称し、他車両C2が走行中の走行レーンDを他車両走行レーンD2と称する。
【0020】
前掲図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1は、車速センサ3と、ヨーレイトセンサ4と、GNSS6と、地図データ記憶部8と、通信装置10と、制御装置12と、表示装置14と、を備える。
【0021】
車速センサ3は、例えば車速パルスに基づいて自車両C1の車速を検出し、それを制御装置12に出力する。ヨーレイトセンサ4は、自車両C1のヨーレート(旋回方向への回転角の変化速度)を検出し、それを制御装置12に出力する。GNSS6は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を用いて自車両C1の現在位置を検出し、それを自車両位置情報P1として制御装置12に出力する。地図データ記憶部8は、経路誘導等に利用される地図データ20を記憶する。通信装置10は、自車両C1の周囲の他車両C2との間で適宜の通信規格にしたがって車車間通信する。表示装置14は、上記地図データ20に基づく地図などの各種の情報を表示する。
【0022】
制御装置12は、ナビゲーション装置1の各部を制御する装置であり、CPU21と、複数のI/F部22と、ROM24と、揮発性メモリ26と、不揮発性メモリ28と、を備える。
CPU21は、各種のプログラム25を実行するプロセッサの一態様であり、ROM24はプログラム25を格納するメモリデバイスである。揮発性メモリ26はCPU21のワークエリアとして用いられる例えばRAM等のメモリデバイスであり、不揮発性メモリ28は各種のデータを電源遮断後も保持するためのメモリデバイスである。
I/F部22は、車速センサ3、ヨーレイトセンサ4、GNSS6、地図データ記憶部8、及び通信装置10ごとに設けられたインターフェース回路である。
【0023】
図3は、制御装置12の機能的構成を示す図である。なお、同図には、走行レーンDを特定するための機能が主に示されている。
CPU21は、走行レーン特定機能を実現するためのプログラム25を実行することで、図3に示すように、自車両情報取得部30と、他車両情報取得部32と、地図データ取得部34と、状態判定部36と、走行レーン特定部38として機能する。
【0024】
自車両情報取得部30は、自車両C1の走行に係る情報である自車両情報E1を取得する。この自車両情報E1には自車両位置情報P1が少なくとも含まれている。なお、自車両情報E1には自車両位置情報P1に限らず、自車両C1が検出、又は取得可能な任意の情報を含めてもよい。
【0025】
他車両情報取得部32は、自車両C1の周囲に存在する他車両C2から他車両情報E2を車車間通信によって取得する。他車両情報E2は、その他車両C2の走行に係る情報であり、この他車両情報E2には、他車両C2の現在位置を示す他車両位置情報P2が少なくとも含まれている。また、他車両C2が、他車両走行レーンD2を検出、或いは取得する機能を備える場合には、他車両C2からは当該他車両走行レーンD2も他車両情報E2に含めて送信される。
【0026】
なお、他車両C2が自身の他車両走行レーンD2を検出、或いは取得する機能を実現する手法としては次のような既存の手法があり得る。
例えばGNSSを用いて高精度に自車位置を検出する第1手法や、他車両C2が自身の走行方向A2(図2)をカメラで撮影し、当該撮影画像に基づいて道路2の走行レーンDを認識する第2手法などである。
この第2手法において、走行レーンD同士を区画する境界線F(図2)の種類を画像認識し、当該境界線Fの種類に基づいて走行レーンDを特定することもできる。例えば日本国において、各走行レーンDにおいて、左右の境界線Fのいずれか一方が実線であり、他方が破線である場合、その走行レーンDは道路2の左端2L、又は右端2Rに位置すると特定できる。
また他車両C2において、他車両走行レーンD2を特定するために、特許文献1や特許文献2に開示された技術を用いてもよい。さらに、これらの既存の手法や技術に代えて、本実施形態の走行レーン特定装置を用いてもよいことは勿論である。
【0027】
地図データ取得部34は、自車両位置情報P1、及び他車両位置情報P2に基づいて、自車両C1、及び他車両C2の現在位置の各々に対応した地図データ20を地図データ記憶部8から取得する。
地図データ20が示す道路網70は、図4に示すように、ノード72とリンク74の組み合わせによって表現される。ノード72は、道路網における結節点ごとに設定される。結節点としては、例えば交差点や、道路の構造変化点、行政界との交点などが挙げられる。リンク74は、ノード72とノード72との間の区間ごとに設定される。これらノード72に係るノード情報、リンク74に係る情報が、前掲図1に示すように地図データ20に含まれている。なお、道路網70の表現においては、ノード72、及びリンク74だけでは表現し難い道路形状を再現するための形状補間点76(図4)も適宜に用いられる。
【0028】
ノード情報は、ノード72の各々を一意に特定する識別情報や、ノード72の各々の位置を示す位置情報、各ノード72に接続されているリンク74の識別情報を示す接続リンク情報などを含む情報である。
リンク情報は、次の情報を含む。すなわち、道路2が有する走行レーンDの数を示す走行レーン数Hや、その走行レーンDの幅を示す走行レーン幅W、リンク74の長さを示すリンク長、リンク74の両端のノード72の識別情報、リンク74が延びる方位を示すリンク方位Jなどである。
【0029】
図3に戻り、状態判定部36は、地図データ20、自車両情報E1、及び他車両情報E2に基づいて、自車両C1と他車両C2とが同一の道路2を走行しており、かつ、自車両C1と他車両C2の間の道路区間の形状が直線状か否かを判定する。なお、以下の説明では、自車両C1と他車両C2の間の道路区間を、以下では、二車両間道路区間G(図2)と称する。
走行レーン特定部38は、地図データ20、自車両情報E1、及び他車両情報E2に基づいて自車両走行レーンD1を特定する。
これら状態判定部36、及び走行レーン特定部38の動作については次の動作説明において詳細に説明する。
【0030】
図5は、走行レーン特定処理のフローチャートである。
この処理は、道路2における走行レーンDのレベルまで細かく自車両C1の現在位置を特定する必要がある間、制御装置12によって繰り返し実行される。
制御装置12において、先ず自車両情報取得部30が自車両情報E1を取得することで自車両位置情報P1を取得し、他車両情報取得部32が他車両情報E2を取得することで他車両位置情報P2を取得する(ステップS1)。このステップS1において、他車両情報取得部32は、車車間通信の通信エリア内に存在する各他車両C2から他車両情報E2を取得する。
【0031】
次いで状態判定部36が、自車両位置情報P1と他車両位置情報P2と地図データ20とに基づいて、自車両C1と他車両C2が同一の道路2を走行しており、かつ、その道路2における二車両間道路区間Gの形状が直線状か否かを判定する(ステップS2)。なお、ステップS1において複数台の他車両C2から他車両情報E2が取得されている場合、状態判定部36は、いずれか1つの他車両C2を選択し、当該他車両C2について判定を行う。他車両C2の選択基準は適宜であり、例えば、車間距離や車車間通信の受信電波強度などの適宜のパラメータを選択基準に用いることができる。
【0032】
ステップS2の判定動作について詳述すると、状態判定部36は、「自車両C1と他車両C2とが同一の道路2を走行しているか否か」を地図データ20の情報、すなわち自車両C1、及び他車両C2が位置する各リンク74に基づいて判定する。具体的には、状態判定部36は、次の場合に、自車両C1と他車両C2とが同一の道路2を走行していると判定する。すなわち、自車両C1、及び他車両C2が同一のリンク74に位置する場合、或いは自車両C1が位置するリンク74と他車両C2が位置するリンク74とが直接、又は1個以上のリンク74を介して繋がっている場合である。
【0033】
また状態判定部36は、「二車両間道路区間Gの形状が直線状か否か」を地図データ20の情報、すなわち、自車両C1が位置するリンク74から他車両C2が位置するリンク74までの各リンク74のリンク方位Jに基づいて判定する。各リンク74のリンク方位Jの差が所定の角度範囲内の場合、状態判定部36は、二車両間道路区間Gの形状は直線状であると判定する。この角度範囲は、各リンク74を繋げたときに直線と見做せる範囲であり、リンク長などに応じて適宜に設定される。
【0034】
図6に示すように、自車両C1が走行中の道路2の形状が逆S字状の場合や、図7に示すように道路2の形状がカーブを描く場合には、二車両間道路区間Gには湾曲部M(すなわちリンク方位Jが大きく異なるリンク74)が含まれる。このため、図6、及び図7の状況下では、ステップS2において二車両間道路区間Gは直線状でないと判定されることとなる。
【0035】
また、図7に示すように、自車両C1の走行方向A1と、他車両C2の走行方向A2とが異なる場合、すなわち両者のハンドル角が異なる場合であっても、両者が同一の道路2を走行している場合がある。このため、「自車両C1と他車両C2とが同一の道路2を走行しているか否か」を、車両のハンドル角に基づいて判定すると、誤判定を生じることがある。これに対して、本実施形態では、かかる判定が地図データ20のリンク方位J等の情報に基づいて行われるので、車両のハンドル角に基づく判定に比べ、判定結果の信頼性が高められる。
【0036】
前掲図5に戻り、ステップS2の判定結果が「No」である場合、制御装置12は、当該他車両C2に基づく走行レーンDの特定は行わず、未処理の他車両C2を選択して、ステップS2の判定を再度行うことを試みる。すなわち、未だステップS2の判定が行われていない他車両C2が存在する場合(ステップS3:Yes)、状態判定部36が、当該他車両C2を判定対象に選択してステップS2の判定を行う。一方、全ての他車両C2について判定が既に行われている場合(ステップS3:No)、制御装置12は、現時点での自車両走行レーンD1の特定を行わずに処理を終了する。
【0037】
一方、ステップS2において、その判定結果が「Yes」である場合、走行レーン特定部38は、自車両位置情報P1と、他車両位置情報P2と、地図データ20とに基づいて自車両走行レーンD1を特定するために、次の処理を実行する。
【0038】
すなわち、走行レーン特定部38は、走行レーン数H、走行レーン幅W、幅員方向垂線距離L、及び他車両存在方向を特定する(ステップS4)。なお、走行レーン数H、及び走行レーン幅Wは、自車両C1、及び他車両C2が走行中の道路2の走行レーンDに係る情報に相当し、幅員方向垂線距離L、及び他車両存在方向は、自車両C1と他車両C2の相対位置関係に係る情報に相当する。
【0039】
このステップS4において、走行レーン特定部38は、走行レーン数H、及び走行レーン幅Wを、自車両位置情報P1、及び他車両位置情報P2に基づいて地図データ20を参照することで取得する。
一方、幅員方向垂線距離Lは、道路2の幅員方向B(図2)における自車両C1と他車両C2の車両間距離に相当する。走行レーン特定部38は、図2に示すように、自車両C1を基点にして当該自車両C1が位置するリンク74のリンク方位Jに沿って延ばした直線Qaに、他車両C2から下ろした垂線Qbの長さを求めることで、幅員方向垂線距離Lを求める。なお、直線Qa、及び垂線Qbの基点の座標には、自車両位置情報P1(自車両C1の現在位置)、及び他車両位置情報P2(他車両C2の現在位置)のそれぞれが用いられる。
他車両存在方向は、道路2の幅員において自車両C1からみて他車両C2が位置する方向を示す。走行レーン特定部38は、自車両位置情報P1、及び他車両位置情報P2に基づいて、左方向、又は右方向のいずれか(図2の例では左方向)を他車両存在方向として特定する。
【0040】
次いで、走行レーン特定部38は、ステップS4で特定した各パラメータに基づいてレーンシフト量Nを算出する(ステップS5)。レーンシフト量Nは、他車両走行レーンD2から自車両走行レーンD1までの走行レーンDの数に相当し、走行レーン幅Wと幅員方向垂線距離Lとを用いて次式(1)によって求められる。
【0041】
N=L/W (1)
【0042】
本実施形態では、「L/W」で求められた値を切り上げた値がレーンシフト量Nに用いられる。なお、「L/W」の剰余(実数部分の値)に応じて、「L/W」で求められた値を切り上げるか否かを決定してもよい。例えば図2に示す状況においては、ステップS5の処理によってレーンシフト量Nが「2」であると算出される。
【0043】
次いで走行レーン特定部38は、他車両走行レーンD2(道路2における他車両2が走行中の走行レーンD)が既知か否かを判定する(ステップS6)。
具体的には、処理対象の他車両C2の他車両走行レーンD2が他車両情報E2に含まれている場合には、走行レーン特定部38は、他車両走行レーンD2が既知であると判定する(ステップS6:Yes)。この場合、他車両走行レーンD2と、他車両存在方向と、レーンシフト量Nと、によって自車両走行レーンD1が一意に特定されるため、走行レーン特定部38は、これらの情報に基づいて自車両走行レーンD1を特定する(ステップS7)。
例えば図2に示す状況において、他車両走行レーンD2が左端2Lから数えて1番目であるとことが既知であり、加えて、他車両存在方向が「左方向」、レーンシフト量Nが「2」であった場合を想定する。この場合、ステップS7においては、自車両走行レーンD1が左端2Lから数えて3番目の走行レーンDであると一意に特定される。
【0044】
そして制御装置12は、特定された自車両走行レーンD1に関する自車両走行レーン情報を更新し(ステップS8)、ステップS1に処理を戻す。かかる自車両走行レーン情報は、経路案内に利用され、また自車両C1が備える各種の装置に出力される。
【0045】
一方、ステップS6において、他車両走行レーンD2が既知でなかった場合(ステップS6:No)、走行レーン特定部38は、他車両存在方向、及びレーンシフト量Nに基づき、自車両走行レーンD1の候補走行レーンDkを特定する(ステップS9)。候補走行レーンDkは、自車両C1が位置する確度が高い複数の走行レーンDに相当する。
例えば、図2に示す状況において、他車両走行レーンD2が未知であるものの、他車両存在方向が「左方向」であり、かつレーンシフト量Nが「2」であるという相対位置関係が判明している場合を想定する。この場合には、ステップS9において、かかる相対位置関係を満足する候補走行レーンDkとして、左端2Lの走行レーンDから数えて3番目の走行レーンDが特定されることになる。なお、走行レーン数Hが4以上であれば、候補走行レーンDkとして、左端2Lの走行レーンDから数えて3番目以降の全ての走行レーンDが特定される。
【0046】
次いで、走行レーン特定部38は、これまでの処理で得られている他の情報と、ステップS9で新たに特定された候補走行レーンDkと、に基づいて、自車両走行レーンD1を一意に特定できたか否かを判定する(ステップS10)。他の情報としては、例えば、道路2の走行レーン数Hや、既に特定されている他の候補走行レーンDkといった、自車両走行レーンD1の特定に寄与し得る適宜の情報が挙げられる。
【0047】
自車両走行レーンD1を一意に特定できた場合(ステップS10:Yes)、処理手順を上記ステップS8に進め、自車両走行レーン情報を更新し(ステップS8)、ステップS1に処理を戻す。
例えば図2に示す状況において、道路2の走行レーン数Hが「3」と地図データ20に示されており、かつ、ステップS9において、候補走行レーンDkが、左端2Lの走行レーンDから数えて3番目以後の走行レーンDと特定された場合を想定する。この場合、この走行レーン数Hの道路2に候補走行レーンDkを適用することで、自車両走行レーンD1は、左端2Lから数えて3番目(右端2Rから数えて1番目)の走行レーンDであることが一意に特定されることになる。
【0048】
一方、ステップS10において、自車両走行レーンD1が未だ一意に特定できない場合(ステップS10:No)、制御装置12は、未処理の他車両C2を選択して、ステップS2からの一連の処理を再度行うことを試みる。すなわち、未だステップS2の判定が行われていない他車両C2が存在する場合(ステップS11:Yes)、制御装置12は処理手順をステップS2に戻す。
かかる繰り返し処理において、新たに選択された他車両C2の他車両走行レーンD2が既知であった場合(ステップS6:Yes)、続くステップS7において自車両走行レーンD1が特定されることとなる。また、新たに選択された他車両C2の他車両走行レーンD2が既知でなかった場合には(ステップS6:No)、ステップS9において、新たな候補走行レーンDkが特定される。そして、候補走行レーンDkが新たに特定されることで、ステップS10において、走行レーン特定部38は、自車両走行レーンD1が一意に特定できるか否かを再度、判定する。
【0049】
例えば図8に示す状況において、他車両C2−1、及び他車両C2−2のいずれの他車両走行レーンD2も既知でない場合には、ステップS9の処理が行われることで、2つの候補走行レーンDkが特定される。すなわち、他車両C2−1を選択したときの処理により候補走行レーンDkとして、左端2Lから数えて2番目から右端2Rまでの各走行レーンDが特定される。また他車両C2−2を選択したときの処理により候補走行レーンDkとして左端2Lから数えて3番目から右端2Rまでの各走行レーンDが特定される。そして、これら2つの候補走行レーンDkの重複範囲により、自車両走行レーンD1は、左端2Lから数えて3番目から右端2Rのいずれかに絞り込まれる。ただし、この場合、自車両走行レーンD1は未だ一意に特定されていないので(ステップS10:No)、処理手順がステップS11に進む。そして、ステップS2の判定対象となっていない他車両C2が未だ残っている場合は(ステップS11:Yes)、当該他車両C2を対象として、ステップS2からの一連の処理の実行が再度実行される。
この繰り返し処理により、仮に、全ての他車両C2の他車両走行レーンD2が既知でなかったとしても、各他車両C2を対象とした処理により候補走行レーンDkが順次に特定される。そして、それらの候補走行レーンDkによって、自車両走行レーンD1が絞り込まれることとなる。
【0050】
走行レーン特定部38は、ステップS10及びステップS11の判定結果がいずれも「No」であった場合、その時点で特定されている候補走行レーンDkで自車両走行レーン情報を更新する(ステップS12)。これにより、全ての他車両C2を対象とした処理によっても、その時点では、自車両走行レーンD1が一意に特定されていなくとも、自車両C1が位置する確度が高い走行レーンDの情報(自車両走行レーン情報)を取得できる。そして、ナビゲーション装置1は、自車両走行レーン情報を経路案内に利用したり、自車両C1が備える装置に出力したりすることができる。
【0051】
この走行レーン特定処理では、上述の通り、レーンシフト量Nを用いて自車両走行レーンD1の特定が行われる。レーンシフト量Nは、上式(1)に示されるように、走行レーン幅Wと幅員方向垂線距離Lとの2つの変数に基づいて求められる。これらの変数のうち、走行レーン幅Wについては、地図データ20から取得されるため、その値の正確性は高い。一方、幅員方向垂線距離Lは、その都度の算術演算によって求められる値であるため、誤差を含み易い。
【0052】
例えば、前掲図6に示すように、逆S字形状の道路2を自車両C1と他車両C2とが走行しており、両者の間の二車両間道路区間Gに逆S字による湾曲部Mが存在する場合、幅員方向垂線距離Lと、両者間の走行レーンDの数との間の相関に誤差が生じる。例えば図6の例では、他車両走行レーンD2からみて自車両走行レーンD1は2レーン分ずれた地点に位置するものの(すなわち、レーンシフト量N=「2」)、幅員方向垂線距離Lは1レーン分の値となっており、レーンシフト量Nが「1」と算出されてしまう。この事象は、前掲図7に示すように、カーブを描く道路2を自車両C1と他車両C2とが走行している場合にも当てはまる。
これに対して、本実施形態では、二車両間道路区間Gが直線状である場合(図5:ステップS2:Yes)にのみ、レーンシフト量Nが算出されるので、より正確に自車両走行レーンD1を特定できる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0054】
本実施形態のナビゲーション装置1は、自車両C1と他車両C2とが同一の道路2を走行しており、かつ、自車両C1と他車両C2の間の二車両間道路区間Gの形状が直線状である場合に、地図データ20と、自車両位置情報P1を含む自車両情報E1と、他車両位置情報P2を含む他車両情報E2と、に基づいて、自車両が走行している自車両走行レーンD1を特定する。
これにより、二車両間道路区間Gに湾曲部Mなどが含まれる等して、二車両間道路区間Gが非直線状である状況下で、不正確な自車両走行レーンD1が特定されることを防止でき、特定される自車両走行レーンD1の信頼性を高めることができる。
【0055】
本実施形態のナビゲーション装置1は、無線通信の一例である車車間通信により他車両情報E2を取得する。
これにより、車車間通信の通信範囲内であれば、他車両C2の位置にかかわらず、その他車両C2の他車両情報E2を用いて自車両走行レーンD1を特定できる。
なお、ナビゲーション装置1の通信装置10を、インターネットなどの電気通信回線を通じて通信可能に構成することで、ナビゲーション装置1が電気通信回線を通じて、各他車両C2、或いは、他車両情報E2を管理するサーバ−コンピュータから他車両情報E2を取得してもよい。
【0056】
本実施形態のナビゲーション装置1は、自車両C1、及び他車両C2の各現在位置に対応する地図データ20の情報に基づいて、両者が同一の道路2を走行しているか否か、及び、二車両間道路区間Gの形状が直線状であるか否かを判定する。
これにより、自車両情報E1、及び他車両情報E2に基づいて判定する場合に比べ、判定の確度を高めることができる。
【0057】
本実施形態のナビゲーション装置1は、道路2の幅員方向Bにおける自車両C1と他車両C2の車間距離(幅員方向垂線距離L)と走行レーン幅Wとに基づいて、他車両走行レーンD2から自車両走行レーンD1までの走行レーンDの数を示すレーンシフト量Nを求める。そしてナビゲーション装置1は、当該レーンシフト量N、走行レーン数H、及び、自車両C1からみた他車両C2の方向を示す他車両存在方向に基づいて、自車両走行レーンD1を特定する。
上述の通り、二車両間道路区間Gに湾曲部Mなどが含まれることなく、二車両間道路区間Gが直線状である場合に限り、レーンシフト量Nの算出が行われる。これにより、不正確なレーンシフト量Nが求められることで、不正確な自車両走行レーンD1が特定されてしまう、といった事を防止できる。
【0058】
本実施形態のナビゲーション装置1は、他車両走行レーンD2が既知である場合、当該他車両走行レーンD2、レーンシフト量N、道路2の走行レーン数H、及び、他車両存在方向に基づいて、自車両走行レーンD1を一意に特定する。
当該他車両走行レーンD2の位置を用いることで、簡単に自車両走行レーンD1を一意に特定できる。
【0059】
本実施形態のナビゲーション装置1は、他車両走行レーンD2が既知でない場合、レーンシフト量N、走行レーン数H、及び、他車両存在方向に基づいて、自車両走行レーンD1が一意に特定できなときには、当該自車両走行レーンD1の候補となる候補走行レーンDkを特定する。
これにより、自車両走行レーンD1が一意に特定されてなくとも、自車両C1が走行している確度が高い走行レーンDが特定され、経路案内や、自車両C1の各種の装置やアプリケーションに利用することができる。
【0060】
本実施形態のナビゲーション装置1は、複数の他車両C2を対象にして、複数の候補走行レーンDkを特定することで、これらの候補走行レーンDkに基づいて、自車両走行レーンD1を絞りこむ。
これにより、複数の他車両C2から他車両情報E2を取得可能な場合には、自車両走行レーンD1を精度良く絞りこむことができる。また、上述の通り、処理の対象となる他車両C2は、他車両情報E2が取得可能か否かだけに依存し、他車両C2の現在位置には依存しないため、より多くの他車両C2を処理の対象とすることができる。この結果、より多くの候補走行レーンDkが特定され、自車両走行レーンD1が1つに絞りこまれ易くなる。
【0061】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0062】
上述した走行レーン特定処理のステップS2において、ナビゲーション装置1は、複数の他車両C2が存在する場合(複数の他車両情報E2を取得した場合)、他車両走行レーンD2が既知の他車両C2を優先的に、判定対象として選択してもよい。
【0063】
上述した走行レーン特定処理のステップS2において、ナビゲーション装置1は、複数の他車両C2が存在する場合(複数の他車両情報E2を取得した場合)、判定対象とする他車両C2を自車両C1から所定距離内に存在する車両としてもよい。また、ナビゲーション装置1は、この所定距離を、自車両C1が走行中の道路2の種別(例えば高速道路や一般道路など)や、自車両C1の速度に応じて可変にしてもよい。
【0064】
上述した実施形態において、ナビゲーション装置1は、走行レーン特定処理を実行する頻度(時間間隔)を、自車両C1が走行中の道路2の種別(例えば高速道路や一般道路など)や、自車両C1の速度に応じて可変にしてもよい。
【0065】
上述した実施形態において、他車両走行レーンD2は他車両C2によって特定される場合を例示した。しかしながら、これに限らず、自車両C1は、他車両C2を撮影するカメラを備え、また、撮影画像を画像認識することで他車両C2の他車両走行レーンD2を特定する他車両走行レーン特定部を制御装置12が備えてもよい。
【0066】
上述した実施形態において、図2、及び図6から図8には、他車両C2として、自車両C1の走行方向A1と同じ方向に走行する車両のみを示した。しかしながら、他車両C2は、その走行方向A2が自車両C1の走行方向A1と同じである必要はない。すなわち、他車両C2は、自車両C1の走行レーンDの反対車線を走行している車両であってもよい。
【0067】
上述した実施形態において、ナビゲーション装置1は、既存の手法や技術を用いて自車両走行レーンD1を特定する機能を更に備え、当該機能による特定結果を用いて、上述した走行レーン特定処理による特定結果の精度を高めるなどしてもよい。
【0068】
上述した実施形態において、図3に示した機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、制御装置12の構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図である。すなわち、制御装置12の構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、制御装置12の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアにより実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
さらに、制御装置12の機能構成の一部又は全部を、ナビゲーション装置や自車両C1と無線などで通信可能な外部のコンピュータ(典型的にはサーバーコンピュータ)が実現してもよい。
【0069】
本発明は、ナビゲーション装置1に限らず、車両に搭載される任意の装置に適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 ナビゲーション装置(走行レーン特定装置)
2 道路
8 地図データ記憶部
10 通信装置
12 制御装置
20 地図データ
30 車両情報取得部
32 他車両情報取得部
34 地図データ取得部
36 状態判定部
38 走行レーン特定部
C1 自車両
C2 他車両
D 走行レーン
D1 自車両走行レーン
D2 他車両走行レーン
Dk 候補走行レーン
E1 自車両情報
E2 他車両情報
G 二車両間道路区間
H 走行レーン数
J リンク方位
L 幅員方向垂線距離
M 湾曲部
N レーンシフト量
P1 車両位置情報
P2 他車両位置情報
W 走行レーン幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8