特開2021-49112(P2021-49112A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021049112-練習用ゴルフクラブ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-49112(P2021-49112A)
(43)【公開日】2021年4月1日
(54)【発明の名称】練習用ゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20210305BHJP
【FI】
   A63B69/36 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-173862(P2019-173862)
(22)【出願日】2019年9月25日
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】519345955
【氏名又は名称】篠塚 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 武久
(57)【要約】
【課題】ゴルフクラブの正しいスイング軌道を簡単かつ正確に体得することができる練習用ゴルフクラブを提供することを目的とする。
【解決手段】練習用ゴルフクラブ1は、シャフト部2、ヘッド部3、及び支持部4から主に構成されている。シャフト部2とヘッド部3は分離されたうえで、シャフト部2の軸線L1とヘッド部3のホーゼル部32の軸線L2が略平行をなすように、支持部4により締結されている。支持部4はボルト部41、及びナット部42から構成され、ヘッド部3はシャフト部2に対して、シャフト部2の軸線L1と略直交する軸を回転軸Rとして揺動自在となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にグリップ部を有するシャフト部と、
ゴルフボールを打撃するフェース面を含む本体部を有するヘッド部と、
前記シャフト部の他端側において、該シャフト部の長さ方向と略垂直な軸を回転軸として前記ヘッド部を揺動自在に支持する支持部と、を備える
練習用ゴルフクラブ。
【請求項2】
前記ヘッド部は、前記本体部のネック部分から延出するホーゼル部を含み、
前記支持部は、前記シャフト部の軸線と前記ホーゼル部の軸線が互いに略平行をなすように、前記ヘッド部と前記シャフト部を支持する
請求項1に記載の練習用ゴルフクラブ。
【請求項3】
前記支持部は、
前記ホーゼル部に形成された第1の貫通孔、及び前記シャフト部に形成された第2の貫通孔を貫通するボルト部と、
該ボルト部に螺合するナット部から構成されてる
請求項2に記載の練習用ゴルフクラブ。
【請求項4】
前記ナット部は、
前記ホーゼル部と前記シャフト部の間に介在する第1のナット部と、
前記ボルト部の一端側であって、前記第1のナット部とともに前記シャフト部を挟持する第2のナット部と、を有する
請求項3に記載の練習用ゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練習用ゴルフクラブに関する。詳しくは、ゴルフクラブの正しいスイング軌道を簡単かつ正確に体得することができる練習用ゴルフクラブに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフは老若男女問わず人気が高く、広く楽しまれているスポーツの一つであり、正しいスイングフォームやコースマネジメントを習得することでスコアの向上を図ることができるスポーツであると認識されている。
【0003】
ゴルファーは正しいスイングフォームの習得のため、レッスン書やレッスンビデオを見ながら独学でスイング理論を学んだうえで、ゴルフ練習場で繰り返し練習をしたり、或いはゴルフスクールに出向いてインストラクターによる直接的な指導を受けながら、自分に合ったゴルフフォームの体得を目指し、日々スコアアップに努めている。
【0004】
一方で、アマチュアゴルファーの大半は、日々の練習の成果も虚しく、壁となる「100」のスコアを切ることさえできないのが現状である。近年のように、ゴルフクラブやゴルフボールといった道具の目まぐるしい技術進歩の結果、プロゴルファーのドライバーの平均飛距離が300ヤードを超えることが当たり前の事実となり、さらにはインターネットの発達により欧米を中心とする最新のゴルフスイング理論等を自宅にいながらも容易に取得できる状況であっても、一般のアマチュアゴルファーのスキルはゴルフが一般スポーツとして普及し始めた数十年前の水準と何ら進歩が見られない。
【0005】
一般的にゴルフは、一定の基本的なスイングを身に着け、ゴルフクラブの番手毎の飛距離を出すことができれば、多少、ショットが左右に曲がったとしても、あとはコースマネジメント次第で「100」のスコアはもちろん、平均的なスコアとして80代でのラウンドは可能とされている。しかしながら、前記した通り、100前後のスコアで伸び悩んでいるアマチュアゴルファーが多いという現実に基づけば、コースマネジメント以前の問題として、基本的なゴルフスイングさえも身に着けていないゴルファーが圧倒的に多いということができる。
【0006】
このように、アマチュアゴルファーにとって、ゴルフスイングを難しくしている要因の一つとしてゴルフクラブの構造の特殊性によるところが大きいとされている。即ち、ゴルフクラブは、シャフトの先端に重量の重いヘッドが取り付けられているため、スイング中はシャフト軸回りの慣性モーメントにより、常にヘッドがシャフト軸を基点としてヘッドのフェース面が開閉する方向の挙動となる。
【0007】
そのため、ゴルフクラブの自然な挙動に基づけば、テイクバックでフェース面が開き、トップからのダウンスイングで徐々に閉じ、ボールとコンタクトする位置でフェース面が目標とする飛球線方向を向いたスクエア状態であることが理想とされ、その後、フォローに向かってフェース面が徐々に閉じていく動作が自然である。
【0008】
しかしながら、近年のヘッドは、スイートスポットを広げるために大型化の傾向にあり、ドライバーをはじめとするウッド系のクラブはもちろん、アイアンにおいてすら大型化したヘッドが主流となりつつある。このような大型化したヘッドにおいては、テイクバックからトップ、及びトップからダウンスイング、そしてインパクトを迎えるまでのスイング中にフェース面を可能な限りスクエアな状態(シャットな状態)にキープすることが、狙った位置にボールを飛ばすために非常に重要となる。
【0009】
しかしながら、多くのアマチェアゴルファーは、スイング中の手首(コック)の使いすぎや、テイクバックが極端にインサイド軌道であったり、或いは極端にアウトサイド軌道であったり等に起因して、フェース面をスクエアな状態にキープすることが困難な場合が多い。そのため、インパクトゾーンにおけるフェース面が一定にならず、多くの場合、アマチュアゴルファーの代表的な弾道であるスライス、プッシュアウト、及びシャンクを頻発してしまうという事態に陥る。
【0010】
そのため、アドレス時やスイング中にフェース面がスクエアになっているかどうかをチェックするための練習器具が提案されている。例えば、特許文献1には、ヘッドに対して着脱可能であって、ヘッドのフェース面より一回り広い面積のヘッドのフェース面の形状を模した板状体からなるゴルフ練習器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2016−137113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記した特許文献1に係る発明においては、スイング中のフェース面を視覚的に確認しながらスイング練習を行うことができる。しかしながら、特許文献1に係る練習器具においては、フェース面が常に目標方向を向くように、肩、腰、ひざ、ひじ、手などの身体の配置や動作をひたすら確認しながら理想とするスイングに近づける練習とならざるを得なかった。
【0013】
この点、本願の発明者は、一般のアマチュアゴルファーが練習量に対してなかなか上達できない原因の一つとして、理想のスイングプレーンに近づけるための身体の使い方を憶えさせようとする昨今のゴルフレッスンの在り方に問題があると考えた。
【0014】
即ち、体格は人それぞれ異なるものであって、同一人物であっても加齢とともに筋肉量や柔軟性は常に変化しているものである。そのような人それぞれが異なる身体であるにもかかわらず、理想となるスイングを行うための画一化された身体の使い方をレッスンで教示したとしても、万人が毎回同じ動きを行うことは非常に困難である。また、ゴルファーはスイング中、常に身体の動きのチェックポイントを脳で確認しながらスイングすることになり、非常にぎこちない運動とならざるを得ない。
【0015】
そこで本願の発明者は、常に変化する身体を中心としたスイングづくりに注力をするよりも、変化しないゴルフクラブを中心としたスイングづくりに注力することで、複雑な身体の動きを頭の中で考える必要がなく、よりシンプルな考えに基づいて再現性の高いスイングを習得できるのではないかと考えた。
【0016】
そして、ゴルフクラブを中心としたスイングづくりを目指すうえで、ゴルフクラブは前記の通り特殊な構造であるため、ゴルフクラブを1本の道具であると考えると、従来の通り身体の動かし方を中心としたスイングづくりとならざるを得ない。一方で、ゴルフクラブをシャフトとヘッドという2つのパーツから構成され、シャフトは振る役割、ヘッドはボールを打撃する役割というように、それぞれのパーツの役割を明確化させ、スイング中のゴルファーの思考をシンプルなものとすることで、老若男女、及び身体能力の有無を問わず、万人が理想とするスイングを習得することができるという考えに到達した。
【0017】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、ゴルフクラブの正しいスイング軌道を簡単かつ正確に体得することができる練習用ゴルフクラブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明の練習用ゴルフクラブは、一端側にグリップ部を有するシャフト部と、ゴルフボールを打撃するフェース面を含む本体部を有するヘッド部と、前記シャフト部の他端側において、該シャフト部の長さ方向と略垂直な軸を回転軸として前記ヘッド部を揺動自在に支持する支持部とを備える。
【0019】
ここで、一端側にグリップ部を有するシャフト部を備えることにより、練習用ゴルフクラブをスイングする際に、ユーザーはグリップ部を把持してシャフト部の撓りを感じながらスイングすることができる。
【0020】
また、ゴルフボールを打撃するフェース面を含む本体部を有するヘッド部を備えることにより、ユーザーは、練習用ゴルフクラブでスイングする際に、ヘッド部の回転を感じながらスイングすることができるとともに、ヘッド部のフェース面でボールを打撃することができる。
【0021】
また、シャフト部の他端側において、該シャフト部の長さ方向と略垂直な軸を回転軸としてヘッド部を揺動自在に支持する支持部を備えることにより、スイング中の動作におけるユーザーの思考として、シャフト部は振るためのパーツ、ヘッド部はボールを打撃するためのパーツというように、シャフト部とヘッド部の役割を明確化することができるため、再現性の高いゴルフスイングを習得することができる。
【0022】
即ち、ゴルフスイングの挙動に従って、シャフト部の先端(他端)に取り付けられたヘッド部が揺動するが、例えば、スイングの始動時に、飛球線に対してヘッド部を極端にインサイド、或いはアウトサイドにテイクバックしてしまうと、ヘッド部が固定されて揺動しない。
【0023】
この点、ユーザーは、ヘッド部を効率的に揺動させるためには、どのようにゴルフクラブを動かせば良いのかを感覚的に理解することができるため、スイング中は複雑な身体の使い方に気を取られることなく、ゴルフクラブを中心としたスイングに集中し、ゴルフスイングをよりシンプルなものとして捉えることができる。
【0024】
さらにユーザーは、ヘッド部の挙動に注意しながらテイクバック、ダウンスイング、フォローに至るまで、ヘッド部のフェース面を一定に保つようなスイングを心がけるため、スイング軸を中心とした回転運動からインパクトゾーンを中心とする直線運動へと、ゴルフクラブの運動をよりシンプルに捉えることが可能となる。
【0025】
また、ヘッド部は、本体部のネック部分から延出するホーゼル部を含み、支持部は、シャフト部の軸線とホーゼル部の軸線が互いに略平行をなすように、ヘッド部とシャフト部を支持する場合には、視覚的にヘッド部とシャフト部が分離した構造となるため、ユーザーに対してより明確にヘッド部とシャフト部の各パーツを意識させることができる。
【0026】
また、支持部は、ホーゼル部に形成された第1の貫通孔、及びシャフト部に形成された第2の貫通孔を貫通するボルト部と、ボルト部に螺合するナット部から構成されてる場合には、シャフト部とヘッド部はボルト、ナットにより締結することができるため、シャフト部とヘッド部を簡単な締結構造でもって締結することができる。
【0027】
また、ナット部は、ホーゼル部とシャフト部の間に介在する第1のナット部と、ボルト部の一端側であって、第1のナット部とともに前記シャフト部を挟持する第2のナット部とを有する場合には、シャフト部は第1のナット部と第2のナット部により狭持されるため、スイング中にシャフト部がボルト部に対して揺動することを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る練習用ゴルフクラブは、ゴルフクラブの正しいスイング軌道を簡単かつ正確に体得することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る練習用ゴルフクラブの全体外観図である。
図2】ヘッド部の揺動状態を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る練習用ゴルフクラブを用いてスイングをした際のヘッドの挙動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、説明の便宜上、練習用ゴルフクラブは右利き用とし、ヘッド部を設置面に対して所定のライ角、及びロフト角通りに設置した基準状態において、ヘッド部の設置面から上方に向かう方向を上方向、上方向の反対方向を下方向、上方向および下方向により表される軸方向を鉛直方向と定義し、さらに基準状態においてヘッド部を平面視した際に飛球線方向を左右方向、飛球線方向と略垂直な方向を前後方向とそれぞれ定義する。
【0031】
まず、本発明の実施形態に係る練習用ゴルフクラブ1について図1、及び図2を用いて説明する。練習用ゴルフクラブ1は、シャフト部2、ヘッド部3、及び支持部4から主に構成されている。
【0032】
シャフト部2はスチール製の本体部21と、本体部21の一端側には、ユーザーがスイングする際に把持するためのゴム製のグリップ部22が装着されている。
【0033】
ここで、必ずしも、シャフト部2の本体部21はスチール製である必要はない。例えばカーボン製やその他の材質から適宜選択することができる。
【0034】
また、必ずしも、グリップ部22はゴム製である必要はない。例えばゴム製以外の樹脂素材やその他の材質から適宜選択することができる。
【0035】
ヘッド部3は、所定のロフト角、及びライ角を有しており、横長の溝であるスコアライン31aが鉛直方向に複数本形成されたフェース面31b、フェース面31bの背面であるバックフェース(符合を付さない)からなる本体部31と、本体部31から延出されたホーゼル部32から構成されている。
【0036】
ここで、必ずしも、ヘッド部3は各図に示す通りアイアン型形状である必要はない。ヘッド部3は、例えばウッド型形状(ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ)であってもよい。
【0037】
また、必ずしも、フェース面31bにはスコアライン31aが形成されている必要はない。例えば、練習用ゴルフクラブ1について、ボールの打撃を前提とせず素振り専用のゴルフクラブとする場合は、スコアライン31aを形成する必要はない。
【0038】
ヘッド部3は、シャフト部2の軸線L1とヘッド部3のホーゼル部32の軸線L2が互いに平行をなすように、シャフト部2に支持部4を介して取り付けられており、ヘッド部3はシャフト部の軸線L1と略垂直な軸線を回転軸Rとして、図2中の矢印で示す方向に揺動自在となっている。
【0039】
ここで、必ずしも、ヘッド部3は、シャフト部2の軸線L1とホーゼル部32の軸線L2が互いに平行をなすように取り付けられている必要はない。例えば、シャフト部2の軸線L1とホーゼル部32の軸線L2が一致するように取り付けられていてもよい。その場合、ヘッド部3はネック部33において本体部31とホーゼル部32に分離され、本体部31がホーゼル部32に対して揺動自在に支持される構成となる。
【0040】
なお、シャフト部2の軸線L1とホーゼル部32の軸線L2が互いに平行をなすように取り付けられている場合には、練習用ゴルフクラブ1がヘッド部3とシャフト部2の2つのパーツから構成されていることを視覚的に認識させることができる。そのため、スイング中の動作におけるユーザーの思考として、シャフト部2は振るためのパーツ、ヘッド部3はボールを打撃するためのパーツというように、シャフト部2とヘッド部3の役割を明確に認識させることができるため、再現性の高いゴルフスイングを習得することが期待できる。
【0041】
このとき、練習用ゴルフクラブ1を用いてアドレスした際の基準状態において、ユーザーの視点から見た際に、ホーゼル部32の軸線L2は、シャフト部2の軸線L1に対してボール側(前側)、或いはその反対側である後側の何れの位置で取り付けられてもよい。但し、図1、及び図2に示すように、ホーゼル部32の軸線L2がシャフト部2の軸線L1に対してボール側に位置することにより、練習用ゴルフクラブ1がヘッド部3とシャフト部2の2つのパーツから構成されていることの視覚的効果がより高まる。
【0042】
支持部4はシャフト部2に対してヘッド部3を揺動自在に取り付けるための取付具であり、主にボルト部41とボルト部41に螺合するナット部42から構成されている。
【0043】
ボルト部41は一端に頭部(符合を付さない)を有し、螺子部(符合を付さない)がホーゼル部32とシャフト部2に挿通されている。具体的には、ホーゼル部32の軸線L2と略直交する方向に形成された第1の貫通孔43とシャフト部2の軸線L1と略直交する方向に形成された第2の貫通孔44に螺子部が挿通されている。
【0044】
ナット部42は、ホーゼル部32とシャフト部2の間に介在する第1のナット部42aと、ボルト部41の他端側に螺合して設けられた第2のナット部42bを有し、第1のナット部42aと第2のナット部42bによりシャフト部2が狭持されることで、シャフト部2がボルト部41に対して揺動しないように強固に固定されている。
【0045】
一方、ホーゼル部32はボルト部41に対して遊嵌されている。そのため、ヘッド部3はシャフト部2の軸線L1と略垂直な軸を回転軸Rとして揺動自在となるように支持されている。ホーゼル部32とボルト部41の頭部の間に位置調整、或いはスペーサーとしての第3のナット部42cを設けてもよい。
【0046】
ここで、必ずしも、支持部4として、ボルト部41とナット部42から構成されている必要はない。シャフト部2に対して、ヘッド部3が揺動可能なように取り付けることができれば、どのような締結構造であってもよい。
【0047】
以上のように構成された練習用ゴルフクラブ1の使用例について図3に基づいて説明する。まずユーザーは、アドレス時において、フェース面31bのスコアライン31a(又はリーディングエッジ)が目標方向を向くように練習用ゴルフクラブ1をセットする。
【0048】
アドレスの状態からバックスイングに移行する際、ヘッド部3は飛球線後方に向けて徐々に移動するが、例えばヘッド部3を極端にインサイド(アウトサイド)に引く動作や、フェース面31bを開く(フェース面31bを鉛直上方向に向ける)動作をしてしまうと、ヘッド部3が揺動しないか、或いはヘッド部3がバックスイングの回転方向と同一方向に回転してしまう。
【0049】
そして、フェース面31bを極端に開く動作をすると、スイング中のユーザーの右手が左手に対して鉛直下方向に位置する関係となる。これにより、ユーザーの右手側にヘッド部3の重みを強く感じることになり、ユーザーの右手が甲側に折れてしまい、フェース面31bはさらに開く方向に挙動する。
【0050】
フェース面31bが開いた状態でダウンスイングを行うと、インパクトゾーンにおいてフェース面31bが開いた状態(飛球線後方から見た場合に打ち出し方向に対して右を向く)でボールにコンタクトする。その結果、打撃したボールにはスライス回転がかかってしまい、スライスボール、或いはヘッド部3のネック部33にボールが当たりプッシュアウトが発生してしまう。
【0051】
一方、バックスイングにおいて、図3に示すように、ユーザーがヘッド部3を飛球線後方に向けて水平方向に引くことを意識すると、シャフト部2に対して揺動自在に支持されているヘッド部3は、重力の作用によりバックスイングの回転方向とは反対方向(ユーザー側)に受かって揺動し、フェース面31bは閉じた状態、即ちフェース面31bが地面を向く方向となる。
【0052】
そして、シャフト部2が地面と略平行となる位置においては、ユーザーの右手は左手よりも鉛直上方向に位置するため、ヘッド部3の重みはユーザーの右手の掌に対して直接的に作用することがない。従って、ユーザーの右手は甲側に折れることなく腕と手の甲の角度がつかないスクエアな状態、或いは掌側に若干折れる状態となる。
【0053】
このような状態で、バックスイングからダウンスイングに移行すると、ヘッド部3はスイング方向に回転するとともに、フェース面31bはボールに対しスクエアな状態、或いはやや閉じた状態でコンタクトする。その結果、打撃したボールにはストレート回転、或いはややドロー回転がかかるため、飛球線方向に対して真っ直ぐで曲がりの少ないボールを打撃することが可能となる。
【0054】
以上のように、練習用ゴルフクラブ1を使用した一連のスイングにより、ユーザーはスイングの過程において、身体をどのように使うかという従来の身体中心のスイングづくりから、ヘッド部3を効率的に挙動させるにはゴルフクラブをどのように操作するかというゴルフクラブ中心のスイングづくりへと、ゴルフスイングに対する意識をシフトさせることができる。
【0055】
その際、練習用ゴルフクラブ1は、ヘッド部3とシャフト部2が分離された構造であるため、ゴルフクラブを1本の道具としてではなく、ヘッド部3とシャフト部2の2つのパーツから構成された道具であると認識させることができる。そのため、シャフト部2は振る役割、ヘッド部3はボールを打撃する役割というように、それぞれのパーツの役割を明確化させることで、ゴルフスイングをよりシンプルな思考で捉えさせることができる。
【0056】
以上、本発明に係る練習用ゴルフクラブは、ゴルフクラブの正しいスイング軌道を簡単かつ正確に体得することができるものとなっている。
【符号の説明】
【0057】
1 練習用ゴルフクラブ
2 シャフト部
21 本体部
22 グリップ部
3 ヘッド部
31 本体部
31a スコアライン
31b フェース面
32 ホーゼル部
33 ネック部
4 支持部
41 ボルト部
42 ナット部
42a 第1のナット部
42b 第2のナット部
42c 第3のナット部
43 第1の貫通孔
44 第2の貫通孔
L1、L2 軸線
R 回転軸
図1
図2
図3