【解決手段】AEI構造、及びモレキュラーシーブ材料の全重量に基づいて約1から約5重量パーセントの助触媒金属で担持された約20から約30のシリカ対アルミナのモル比を有するアルミノシリケートモレキュラーシーブを含む触媒組成物であって、NOxの選択的接触還元(SCR)及びアンモニアの酸化等の用途に使用される。
AEI構造、約20から約30のシリカ対アルミナのモル比、及びアルミノシリケートモレキュラーシーブ材料の全重量に基づいて約1から約5重量パーセントの助触媒金属を有する、前記モレキュラーシーブを含む、触媒組成物。
前記助触媒金属は、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、スズ、ビスマス、アンチモン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金、金、銀、又はこれらの2以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の触媒組成物。
前記モレキュラーシーブが少なくとも90モルパーセントのAEIであるとした場合に、前記モレキュラーシーブは、AEI構造及びFAU構造の物理的混合物である、請求項1に記載の触媒組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適な実施態様では、本発明は、環境大気の質を改善するための触媒物品、特に、発電所、ガスタービン、リーンバーン内燃機関等により生じた燃焼ガス又は他の排気ガスの排出を改良するための触媒物品を対象とする。排気ガスの排出は、幅広い作動温度の範囲にわたり、NO
x及び/又はNH
3が濃縮されたリーンバーン排気ガスを還元することによって、少なくとも部分的に、改良される。有用な触媒は、選択的に、NO
xを還元し、及び/又は酸化雰囲気の中でアンモニアを酸化する触媒(すなわち、SCR触媒及び/又はAMOX触媒)である。
【0014】
特定の実施態様では、AEI構造、約20から約30のシリカ対アルミナのモル比(SAR)、及びゼオライト材料の全重量に基づいて、約1から約10重量パーセントの助触媒金属を含む、触媒組成物が提供される。
【0015】
好適なゼオライトは、結晶質又は擬結晶構造のAEI構造を有するアルミノケイ酸塩である。本明細書で使用されるように、「AEI」という用語は、国際ゼオライト協会(IZA)の構造委員会によって認められたAEI骨格タイプを言及する。アルミノケイ酸塩のゼオライト構造の大部分は、アルミナ及びシリカから構成されるが、アルミニウム以外の骨格金属(すなわち、金属置換したゼオライト)を含み得る。本明細書で使用されるように、ゼオライトに関する「金属置換された」という用語は、ゼオライトの骨格が、置換金属によって置換された一又は複数のアルミニウム又はシリコンの骨格原子を有することを意味する。対照的に、「金属交換された」という用語は、ゼオライトが、骨格構造に関連して骨格外又は遊離金属イオンを有するが、それらが骨格自身の部分を形成しないことを意味する。金属交換されたAEI骨格の例は、骨格鉄原子及び/又は骨格銅原子を有するものを含む。AEIの任意のアルミノケイ酸塩のアイソタイプは、本発明に対して適切である。
【0016】
好ましくは、モレキュラーシーブの主要な結晶相はAEIであるが、FAU等の他の結晶相もまた存在し得る。特定の実施態様では、主要な結晶相は、少なくとも約90重量パーセントのAEI、好ましくは、少なくとも約95重量パーセントのAEI、及び更に好ましくは、少なくとも約98重量パーセント若しくは約99重量パーセントのAEIを含む。モレキュラーシーブは、少量のFAUを含み得、それは、好ましくは、5重量パーセント未満であり、かつ更により好ましくは、約2重量パーセント未満であり、又は更に約1重量パーセント未満である。好ましくは、AEIモレキュラーシーブは、他の結晶相を実質的に含まず、かつ2以上の骨格タイプの連晶ではない。他の結晶相に関して「実質的に含まない」ことによって、モレキュラーシーブは、少なくとも99重量パーセントのAEIを含むことになる。
【0017】
好適なゼオライトは、約20から約30、より好ましくは、約20から約25、例えば、約20から約22、約22から約25、又は約25から約30のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。ゼオライトのシリカ対アルミナの比は、通常の解析手段によって決定され得る。この比は、ゼオライト結晶の硬い原子骨格における比をできるだけ近く表し、かつ流路内の結合剤又は陽イオン又は他の形態のシリコン又はアルミニウムを排除することを意味する。結合剤材料、特にアルミナ結合剤と組み合わされた後に、ゼオライトのシリカ対アルミナの比を直接的に測定することは困難であり得るため、これらのシリカ対アルミナの比は、ゼオライト自身のSARによって表現され、すなわち、それはゼオライトが他の触媒成分と組み合される前である。
【0018】
AEIゼオライトに加えて、触媒組成は、骨格外金属としてゼオライト材料上及び/又はゼオライト材料内に配置された少なくとも1つの助触媒金属を含む。本明細書で使用されるように、「骨格外金属」は、好ましくはイオン種として、モレキュラーシーブ内及び/又はモレキュラーシーブ表面の少なくとも一部分に存在するものであり、アルミニウムを含まず、かつモレキュラーシーブの骨格を構成する原子を含まない。好ましくは、助触媒金属の存在は、NO
x還元、NH
3酸化、及びNO
x吸蔵等のプロセスを含んで、ディーゼルエンジンからの排気ガス等の排気ガスの処理を容易にする。
【0019】
助触媒金属は、金属交換されたゼオライトを生成するために触媒産業において使用される任意の一般に認められた触媒活性金属であり得、特に、燃焼プロセスから得られた排気ガスを処理するための触媒活性を有するとして知られている金属であり得る。特に好ましいのは、NO
x還元及び貯蔵プロセスにおいて使用される金属である。助触媒金属は、広義に解釈されるべきであり、かつ具体的には、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、更に、スズ、ビスマス、及びアンチモン、並びに、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金、及び金や銀等の貴金属等の白金族金属を含む。好適な遷移金属は卑金属であり、かつ好適な卑金属は、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅、並びにそれらの混合物を含む。好適な実施態様では、助触媒金属のうちの少なくとも1つは銅である。他の好適な助触媒金属は、鉄、特に銅と組み合わされた鉄を含む。
【0020】
特定の実施態様では、助触媒金属は、ゼオライトの全重量に基づいて、約0.1から約10重量パーセント(wt%)、例えば、約0.5wt%から約5wt%、約0.5から約1wt%、約1から約5wt%、約2.5wt%から約3.5wt%、及び約3wt%から約3.5wt%の濃度で、ゼオライト材料中に存在する。銅、鉄、又はそれらの組み合わせを使用する実施態様に対して、ゼオライト材料中のこれらの遷移金属の濃度は、好ましくは、約1から約5重量パーセント、より好ましくは約2.5から約3.5重量パーセントである。
【0021】
特定の実施態様では、銅等の助触媒金属は、約80から約120g/ft
3の量で、ゼオライト又はウォッシュコート担持中に存在し、例えば、約85から約95g/ft
3、又は約90から約95g/ft
3を含む。
【0022】
特定の実施態様では、助触媒金属は、ゼオライト中のアルミニウム、すなわち骨格アルミニウムの量に相当する量で存在する。本明細書で使用されるように、助触媒金属対アルミニウム(M対Al)の比は、対応するゼオライト中のモル骨格Alに対する助触媒金属の相対的なモル量に基づく。特定の実施態様では、触媒材料は、約0.1から約1.0、好ましくは、約0.2から約0.5のM対Alの比を有する。約0.2から約0.5のM対Alの比は、Mが銅である場合に有用であり、Mが銅であり、かつゼオライトのSARが約20から約25の場合に特に有用である。
【0023】
一例において、金属交換ゼオライトは、ゼオライトを、触媒活性金属の可溶性前駆体を含んだ溶液の中に混合することによって生成される。溶液のpHは、ゼオライト構造(しかし、ゼオライト骨格は含まない)の上又は中で触媒活性金属陽イオンの沈殿を引き起こすように調整され得る。例えば、好適な実施態様では、AEIゼオライト材料は、イオン交換によって触媒活性銅陽イオンのモレキュラーシーブ構造中への組み込みを可能にするために十分な時間、硝酸銅を含む溶液中に浸される。非交換銅イオンは沈殿する。用途に応じて、非交換イオンの一部は、遊離銅としてモレキュラーシーブ材料中に残り得る。その後、金属交換ゼオライトは、洗浄され、乾燥され、かつか焼される。
【0024】
一般的に、モレキュラーシーブ中への又はその上での触媒金属陽イオンの交換は、約7のpHにおいて約1から24時間にわたり、室温又は約80℃までの温度において実施され得る。結果として得られる触媒モレキュラーシーブ材料は、好ましくは、約100から120℃までの範囲内に含まれる温度において一晩乾燥され、かつ少なくとも500℃の温度においてか焼される。
【0025】
特定の実施態様では、触媒組成物は、少なくとも1つの助触媒金属、及び少なくとも1つのアルカリ若しくはアルカリ土類金属の組み合わせを含み、ここで、遷移金属及びアルカリ若しくはアルカリ土類金属は、ゼオライト材料の上に又はその範囲内に配置される。アルカリ又はアルカリ土類金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はそれらの何らかの組み合わせから選択され得る。本明細書で使用されるように、「アルカリ又はアルカリ土類金属」という表現は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が代替的に使用されることを意味しないが、代わりに一又は複数のアルカリ金属が単独で若しくは一又は複数のアルカリ土類金属と組み合せて使用される得ること、及び一又は複数のアルカリ土類金属が単独で若しくは一又は複数のアルカリ金属と組み合せて使用され得ることを意味する。特定の実施態様では、アルカリ金属が好適である。特定の実施態様では、アルカリ土類金属が好適である。好適なアルカリ又はアルカリ土類金属は、カルシウム、カリウム、及びそれらの組み合わせを含む。特定の実施態様では、触媒組成物は、マグネシウム及び/又はバリウムを実質的に含まない。特定の実施態様では、触媒は、カルシウム及びカリウムを除く任意のアルカリ又はアルカリ土類金属を実質的に含まない。特定の実施態様では、触媒は、カルシウムを除く任意のアルカリ又はアルカリ土類金属を実質的に含まない。更に、特定の実施態様では、触媒は、カリウムを除く任意のアルカリ又はアルカリ土類金属を実質的に含まない。本明細書で使用されるように、「実質的に含まない」という用語は、材料が、測定できるのに十分な量の特定の金属を有しないことを意味する。すなわち、特定の金属は、特にNO
xを選択的に還元又は吸蔵する材料の容量に関して、材料の基本的な物理的及び/又は化学的特性に影響を与える量で存在しない。
【0026】
特定の実施態様では、ゼオライト材料は、3重量パーセント未満、より好ましくは、1重量パーセント未満、かつ更により好ましくは、0.1重量パーセント未満のアルカリ含有量を有する。
【0027】
特定の実施態様では、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属(一括してAM)は、ゼオライト中の助触媒金属(M)の量に相当する量において、ゼオライト中に存在する。特に、Mが銅でありAMがカルシウムである場合に、好ましくは、M及びAMは、それぞれ、約15:1から約1:1、例えば、約10:1から約2:1、約10:1から約3:1、又は約6:1から約4:1のモル比で存在する。カルシウム等のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属を含む特定の実施態様では、存在する銅の量は、ゼオライトの重量に基づいて、2.5重量パーセント未満、例えば、2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満である。
【0028】
特定の実施態様では、助触媒金属(M)並びにアルカリ及び/又はアルカリ土類金属(AM)の相対的な累積量は、ゼオライト中のアルミニウム、すなわち骨格アルミニウムの量に相当する量でゼオライト材料中に存在する。本明細書で使用されるように、(M+AM)対Alの比は、対応するゼオライト中のモル骨格Alに対するM+AMの相対的なモル量に基づく。特定の実施態様では、触媒材料は、約0.6以下の(M+AM)対Alの比を有する。特定の実施態様では、(M+AM)対Alの比は、0.5以下、例えば、約0.05から約0.5、約0.1から約0.4、又は約0.1から約0.2である。
【0029】
助触媒金属及びアルカリ/アルカリ土類金属は、イオン交換、含浸、同形置換等の任意の既知の技術を介して、モレキュラーシーブに加えられ得る。助触媒金属及びアルカリ若しくはアルカリ土類金属は、任意の順序で(例えば、金属は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属の前に、後に、又は同時に)ゼオライト材料に加えられ得るが、好ましくは、アルカリ又はアルカリ土類金属は、アルカリ土類金属がカルシウムであり、かつ助触媒金属が銅である場合は特に、助触媒金属の前に又は同時に加えられる。
【0030】
特定の実施態様では、本発明の金属活性化ゼオライト触媒が、また、比較的大量のセリウム(Ce)を含む。特定の実施態様では、触媒材料中のセリウム濃度は、ゼオライトの全重量に基づいて、少なくとも約1重量パーセントの濃度で存在する。好適な濃度の例は、ゼオライトの全重量に基づいて、少なくとも約2.5重量パーセント、少なくとも約5重量パーセント、少なくとも約8重量パーセント、少なくとも約10重量パーセント、約1.35から約13.5の重量パーセント、約2.7から約13.5重量パーセント、約2.7から約8.1の重量パーセント、約2から約4重量パーセント、約2から約9.5重量パーセント、及び約5から約9.5の重量パーセントを含む。特定の実施態様では、触媒材料中のセリウムの濃度は、約50から約550g/ft
3である。Ceの他の範囲は、100g/ft
3より上、200g/ft
3より上、300g/ft
3より上、400g/ft
3より上、500g/ft
3より上、約75から約350g/ft
3、約100から約300g/ft
3、及び約100から約250g/ft
3を含む。
【0031】
特定の実施態様では、Ceの濃度は、金属活性化ゼオライトでの交換に対して利用可能な理論的最大量を超える。したがって、幾つかの実施態様では、Ceは、例えば、Ceイオン、単量体セリア、オリゴマーセリア、及びそれらの組み合わせ等の複数の状態で存在し、ここで、前記オリゴマーセリアは、5μm未満、例えば、1μm未満、約10nmから約1μm、約100nmから約1μm、約500nmから約1μm、約10から約500nm、約100から約500nm、及び約10から約100nmの平均結晶サイズを有する。本明細書で使用されるように、「単量体セリア」という用語は、ゼオライト上及び/又はその中に自由に存在し、若しくはゼオライトに弱く結合された、個別の分子又はその部分としてのCeO
2を意味する。本明細書で使用されるように、「オリゴマーセリア」という用語は、ゼオライト上及び/又はその中に自由に存在し、若しくはゼオライトに弱く結合された、ナノ結晶のCeO
2を意味する。
【0032】
本発明の触媒は、不均一触媒反応システム(すなわち、反応ガスと接触した固体の触媒)に対して適用可能である。接触表面領域、機械的安定性、及び/又は流体の流れの特性を改良するために、触媒は、基材、好ましくは多孔質基材上及び又はその範囲内に配置され得る。特定の実施態様では、触媒を含んだウォッシュコートが、波形金属板、又はハニカムコーディエライトブリック等の不活性基材に塗布される。代替的に、触媒は、充填剤、結合剤、及び強化剤等の他の化合物と共に練られて、その後に、ハニカムブリックを形成するためにダイを通して押し出される、押し出し可能なペーストになる。したがって、特定の実施態様では、基材上に被覆され及び/又は基材中に組み込まれた、本明細書で説明される金属活性化AEIゼオライト触媒を含む、触媒物品が提供される。
【0033】
本発明の特定の態様は、触媒ウォッシュコートを提供する。本明細書で説明されるAEI触媒を含むウォッシュコートは、好ましくは、溶液、懸濁液、又はスラリーである。適切なコーティングは、表面コーティング、基材の一部分を貫通するコーティング、基材に浸透するコーティング、又はそれらの組み合わせを含む。
【0034】
特定の態様では、本発明は、フッ素等のハロゲン元素から自由又は実質的に自由な触媒に対して特に、約0.5μmより大きい、好ましくは約0.1と約15μmとの間、例えば、約0.5から約5μm、約0.7から約1.5μm、約1から約5μm、又は約1μmから約10μmまでの範囲内に含まれる、平均結晶サイズ(すなわち、双晶を含んだ個別の結晶の)を有するAEIアルミノシリケートモレキュラーシーブ触媒を含む、触媒組成物である。結晶サイズは、結晶面の一端部の長さ、好ましくは、結晶が針状ではない最も長い端部の長さである。結晶サイズの直接測定は、SEM及びTEM等の顕微鏡観察方法を使用して実施され得る。例えば、SEMによる測定は、高い倍率(典型的には、1000倍から10000倍)において材料の形態を検査することを含む。SEM法は、個別の粒子が満足のいく程度に均等に1000倍から10000倍の視野にわたって広げられるように、ゼオライト粉末の代表的な部分を適切なスライド上に分布させることによって実施され得る。この個体群から、ランダムな個別の触媒(例えば、50から200)の統計的に満足できる重要なサンプルが検査され、かつ直線的な端部の水平線と平行な個別の触媒の最も長い寸法が、測定され、かつ記録される。(明らかに大きい多結晶の集合体である粒子は、測定に含まれるべきではない。)これらの測定値に基づいて、サンプルの結晶サイズの算術平均が計算される。
【0035】
平均結晶サイズに加えて、結晶組成物は、その結晶サイズの大部分が、好ましくは、約0.5μmより大きく、好ましくは、約0.5と約15μmとの間、例えば、約0.5から約5μm、約0.7から約5μm、約1から約5μm、約1.5から約5.0μm、約1.5から約4.0μm、約2から約5μm、又は約1μmから約10μmである。
好ましくは、結晶サイズのサンプルの4分の1の一番目及び三番目が、約0.5μmよりも大きく、好ましくは、約0.5と約15μmとの間、例えば、約0.5から約5μm、約0.7から約5μm、約1から約5μm、約1.5から約5.0μm、約1.5から約4.0μm、約2から約5μm、又は約1μmから約10μmである。
【0036】
特定の態様では、触媒は、そのような触媒がフッ素等のハロゲン元素を含まない又は実質的に含まない場合に特に、約15から約25、例えば、約15から約17のSAR有し、かつ約0.1から約10μm、例えば、約0.5から5μm、又は0.5から1.5μmの平均結晶サイズを有する、金属活性化AEIゼオライトである。そのような触媒に対して好適な助触媒金属は、銅及び鉄を含む。好ましくは、そのようなAEIゼオライトは、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムの水酸化物のテンプレートを使用して合成される。そのような触媒は、SCR触媒として使用された場合に、高い耐水熱性を示し、かつまた、高いNO
x変換を生じる。
【0037】
特定の態様では、本発明は、分離された区域内に配置され、又はブレンドとして構造化された2以上の触媒材料を含むSCR触媒である。例えば、特定の態様では、SCR触媒は、本明細書で定義されたような金属活性化AEIゼオライトを含む第1の区域、及びSCR触媒等の第2の触媒を含んだ第2の区域を含む。第1及び第2の区域は、ウォールフロー型フィルター、又はフロースルーハニカム、又は分離された基材等の単一の基材上に存在し得るが、好ましくは、基材の単一のユニット上又はその範囲内に配置される。第2の触媒の例は、小さい孔のモレキュラーシーブ、中程度の孔のモレキュラーシーブ、及び大きい孔のモレキュラーシーブを含んだ、アルミノケイ酸塩、シリコアルミノリン酸塩、及びケイ酸鉄等の、モレキュラーシーブを含む。特定の用途に対して、小さい孔のゼオライト及びSAPOが好適である。小さい孔のモレキュラーシーブの例は、CHAである。小さい孔のモレキュラーシーブの別の例は、AFXである。他の小さい孔のモレキュラーシーブは、AEI、DDR、LEV、ERI、RHO、AFX、AFT、及びKFIを含む。他の有用なモレキュラーシーブは、BEA、MFI、MOR、及びFERを含む。
第2の触媒キャブ(cab)のモレキュラーシーブは、H
+の状態にあり得、及び/又はCu、Fe、Ni、Co、及びMn等の遷移金属、Au、Ag、Pt、Pd、及びRu等の貴金属、又はそれらの何らかの組み合わせと交換され得る。特に有用な金属は、Fe及びCuを含む。第2の触媒の他の例は、シリカ、チタニア、又はアルミナ上に支持された、並びにタングステン及び/又はモリブデン等の他の金属と随意に組み合わされた、V
2O
5等のバナジウム触媒を含む。第1の区域は、排気ガスの流れに関して第2の区域の上流又は下流であり得るが、好ましくは、下流である。上流の区域及び下流の区域は、それぞれ、フロースルーハニカム基材の前端部及び後端部に対応し得、又はそれぞれ、ウォールフロー型フィルターの入口側及び出口側に対応し得る。2つの区域は、互いに部分的に又は完全に重なり得る。部分的な重なりに対して、重なっているセクションは第3の中間区域を生成する。代替的に、2つの区域は互いに隣接し得、それらの間に間隙はほとんどないか又は全くない(すなわち、0.2インチ未満)。代替的に、第1及び第2の触媒は、一緒に混合され得、かつ単一の触媒層としてウォッシュコートされ得、又は一様なハニカム基材として押し出され得る。特定の態様では、触媒は、第1及び第2の触媒材料の一方と若しくは両方と混合され、又は第3の区域内に配置された第3の触媒材料を更に含み、ここで、第3の区域は、第1及び/又は第2の触媒の下流又は上流であるが、好ましくは、同じ基材上である。
【0038】
ウォッシュコートは、また、アルミナ、シリカ、非ゼオライトのシリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアのうちの一又は複数を含んだ、充填剤、結合剤、安定剤、レオロジー重合調整剤、及び他の添加物等の非触媒成分を含み得る。特定の実施態様では、触媒成分は、グラファイト、セルロース、デンプン、ポリアクリル酸塩、及びポリエチレン等の細孔形成剤を含み得る。これらの付加的な成分は、必ずしも望ましい反応を触媒しないが、代わりに、例えば、その作動温度範囲を増大すること、触媒の接触表面領域を増大すること、基材に対する触媒の付着性を増大すること等によって、触媒材料の効率を改良する。好適な実施態様では、ウォッシュコートローディングは、0.3g/in
3より大きく、例えば、1.2g/in
3より大きく、1.5g/in
3より大きく、1.7g/in
3より大きく、又は2.00g/in
3より大きく、かつ好ましくは、3.5g/in
3より小さく、例えば、2.5g/in
3より小さい。特定の実施態様では、ウォッシュコートは、約0.8から1.0g/in
3、1.0から1.5g/in
3、又は1.5から2.5g/in
3の担持で、基材に塗布される。
【0039】
最も一般的な基材のデザインの2つは、プレート及びハニカムである。特に移動用途に対して、好適な基材は、両端が開口し、かつ一般的に基材の入口面から出口面に延伸し、かつ高い表面面積対容積の比をもたらす、複数の隣接した平行流路を含むいわゆるハニカム構造を有するフロースルーモノリスを含む。特定の用途に対して、ハニカムフロースルーモノリスは、好ましくは、例えば、約600から800平方インチ当たりのセル数までの範囲内に含まれる高いセル密度、及び/又は約0.18から0.35mm、好ましくは、約0.20から0.25mmの内部壁の平均厚さを有する。特定の他の用途に対して、ハニカムフロースルーモノリスは、好ましくは、約150から600平方インチ当たりのセル数、より好ましくは、約200から400平方インチ当たりのセル数の低いセル密度を有する。好ましくは、ハニカムモノリスは多孔質である。コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、セラミック、及び金属に加えて、基材に対して使用され得る他の材料は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、αアルミナ、ムライト、例えば、アシキュラームライト、ポルサイト、サーメット、例えば、Al
2OsZFe、Al
2O
3/Ni、若しくはB
4CZFe、又はそれらの任意の2以上のセグメントを含む混合物を含む。好適な材料は、コーディエライト、炭化ケイ素、及びチタン酸アルミナを含む。
【0040】
プレートタイプの触媒は、より低い圧力降下を有し、かつ目詰り及び汚れに対してハニカムタイプよりも影響を受け難く、高い効率の静的な用途において有利であるが、プレート構造はより大きく成り得、かつより高価であり得る。ハニカム構造は、典型的には、プレートタイプよりも小さく、移動用途において有利であるが、より高い圧力降下を有し、かつより容易に詰まる。特定の実施態様では、プレートの基材は、金属、好ましくは、波形金属から構成される。
【0041】
特定の実施態様では、本発明は、本明細書で説明されるプロセスによって作られた触媒物品である。特定の実施態様では、触媒物品は、金属活性化AEIゼオライト組成物を、好ましくは、ウォッシュコートとして、排気ガスを処理するための別の組成物の少なくとも1つの付加的な層が基材に塗布される前又はその後のいずれかに、層として基材に塗布するステップを含むプロセスによって生産される。金属活性化AEI触媒層を含んだ、基材上の一又は複数の触媒層が、連続的な層内に配置される。本明細書で使用されるように、基材上の触媒層に関する「連続的」という用語は、各々の層が、その隣接する層と接触し、かつ触媒層は全体として基材上の別の層の上端上に配置されることを意味する。
【0042】
特定の実施態様では、金属活性化AEI触媒が、第1の層として基材上に配置され、かつ酸化触媒、還元触媒、捕集成分、又はNO
x吸蔵成分等の別の組成物が第2の層として基材上に配置される。特定の実施態様では、金属活性化AEI触媒が、第2の層として基材上に配置され、かつ酸化触媒、還元触媒、捕集成分、又はNO
x吸蔵成分等の別の組成物が第1の層として基材上に配置される。本明細書で使用されるように、「第1の層」及び「第2の層」という用語は、触媒物品に流入する、それを通り過ぎる、及び/又はそれを覆う排気ガスの通常の向きに関する、触媒物品内の触媒層の相対的な位置を表すために使用される。通常の排気ガス流状態の下で、排気ガスは、第2の層と接触することに先立って第1の層に接触する。特定の実施態様では、第2の層は、最下層として不活性基材に塗布され、かつ第1の層は、副層の連続的なシリーズとして第2の層上に塗布される上端層である。そのような実施態様では、排気ガスは、第2の層と接触する前に、第1の層を貫通し(かつそれ故、接触し)、かつ次に、触媒成分から抜け出るために第1の層を通って戻る。他の実施態様では、第1の層は、基材の上流部分上に配置された第1の区域であり、かつ第2の層は、第2の区域として基材上に配置され、ここで、第2の区域は第1の区域の下流である。
【0043】
別の実施態様では、触媒物品は、金属活性化AEIゼオライト触媒組成物を、好ましくはウォッシュコートとして、第1の区域として基材に塗布し、かつ次に、排気ガスを処理するための少なくとも1つの付加的な組成物を第2の区域として基材に塗布するステップを含むプロセスによって生産され、ここで、第1の区域の少なくとも一部分は、第2の区域の下流である。代替的に、金属活性化AEIゼオライト触媒組成物は、付加的な組成物を含んだ第1の区域の下流である第2の区域内の基材に塗布され得る。付加的な組成物の例は、酸化触媒、還元触媒、掃気成分(例えば、硫黄、水等)、又はNO
x吸蔵成分を含む。
【0044】
排気システムのために必要とされる空間の量を低減するために、特定の実施態様内の個々の排気成分が、複数の機能を実行するように設計される。例えば、フロースルー基材の代わりにウォールフローフィルター基材にSCR触媒を塗布することは、1つの基材が2つの機能を果たすことを可能にすることによって、すなわち、排気ガス中のNO
x濃度を触媒で還元すること、及び排気ガスから煤を機械的に除去することによって、排気処理システムの全体のサイズを低減するように働く。したがって、特定の実施態様では、基材は、ハニカムウォールフロー型フィルター又はパーシャルフィルターである。ウォールフロー型フィルターは、複数の隣接する平行な流路を含んだフロースルーハニカム基材に類似する。しかしながら、フロースルーハニカム基材の流路は両端部で開いており、一方、ウォールフロー基材の流路は一方の端部に蓋が被せられ、ここで、蓋を被せることは交互パターンにおいて隣接する流路の対向する端部上で行われる。流路の交互の端部を被蓋することは、基材の入口面に入るガスが、流路を直線的に通り抜け、かつ出て行くことを妨げる。代わりに、排気ガスは、流路の後半に入り、かつ基材の後面から出る前に、基材の前面に入り、かつ流路の約半分まで移行して、そこで、流路壁を通るように強いられる。
【0045】
基材の壁は、ガス透過性であるが、ガスが壁を通過する際に、ガスから煤等の粒子状物質の大部分を捕捉することを可能にする、気孔率及び細孔径を有している。好適なウォールフロー基材は、高効率フィルターである。本発明で使用されるウォールフロー型フィルターは、好ましくは、少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%の効率を有する。特定の実施態様では、効率は、約75から約99%、約75から約90%、約80から約90%、又は約85から約95%であろう。ここで、効率は、煤及び他の同様の粒径の粒子、及び通常のディーゼル排気ガス中に典型的に見出される微粒子濃度に関するものである。例えば、ディーゼル排気中の微粒子は、0.05ミクロンから2.5ミクロンまでの範囲に及び得る。それ故、効率は、この範囲又は部分的範囲、例えば、0.1から0.25ミクロン、0.25から1.25ミクロン、又は1.25から2.5ミクロンまでの範囲に基づき得る。
【0046】
空隙率は、多孔質の基材内の隙間のパーセンテージの測定値であり、かつ排気システムにおける背圧に関係し、概して、空隙率が低くなれば背圧が高くなる。好ましくは、多孔質の基材は、約30から約80%、例えば、約40から約75%、約40から約65%、又は約50から60%の空隙率を有する。
【0047】
基材の全空隙容量のパーセンテージとして測定される細孔の相互接続性は、多孔質の基材を通る連続的な経路、すなわち、入口面から出口面までを形成するために、細孔、隙間、及び/又は流路が繋がれる程度(度合い)である。細孔の相互接続性とは対照的に、閉じた空隙容量及び細孔の容積の合計は、基材の表面のうちのただ1つに対する導管を有する。好ましくは、多孔質の基材は、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%の細孔の相互接続容量を有する。
【0048】
多孔質の基材の平均孔径は、また、濾過にとって重要である。平均孔径は、水銀圧入法を含む受け入れ可能な任意の手段によって決定され得る。多孔質の基材の平均孔径は、基材自体によって、基材の表面上の煤ケーキ層の助触媒作用によって、又は両方の組み合わせによって、妥当な効率を提供する一方で、低背圧を促進するのに十分な大きさを有する値であるべきである。好適な多孔質の基材は、約10から約40μm、例えば、約20から約30μm、約10から約25μm、約10から約20μm、約20から約25μm、約10から約15μm、及び約15から約20μmの平均孔径を有する。
【0049】
概して、金属活性化AEI触媒を含んだ押し出された固形物の生産は、AEIゼオライト及び助触媒金属(金属交換されたゼオライトとして別々に又は一緒に)、結合剤、任意の有機粘性向上化合物を、一様なペーストへと混ぜ合わせることを含み、その後、それは、結合剤/マトリクス成分又はそれらの前駆体及び任意に安定化セリアのうちの1以上、並びに無機繊維に加えられる。混合物は、混合若しくは混練装置又は押出機内で圧密される。混合物は、湿潤を高め、かつそれ故、一様な一まとまりを生成するための加工助剤として、結合剤、細孔形成剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤等の有機添加物を有する。その後、結果としての可塑材料は、特に、押出ダイを含んだ押出プレス又は押出機を使用して成形され、かつ結果としての成形物は乾燥され、かつか焼される。有機添加物は、押し出された固形物のか焼の間に「燃え尽きる」。金属活性化AEIゼオライト触媒は、また、ウォッシュコートされ、又はさもなければ、表面上に存在し、又は押し出された固形物へ完全に若しくは部分的に貫通する一又は複数の副層として、押し出された固形物に塗布される。代替的に、金属活性化AEIゼオライトは、押し出しに先立ってペーストに加えられ得る。
【0050】
本発明による金属活性化AEIゼオライトを含んだ押し出された固形物は、概して、一様なサイズを有するハニカムの形態の一体構造、及びそれの第1の端部から第2の端部へ延伸する平行な流路を備える。流路を画定する流路壁は、多孔質である。典型的に、外側の「被膜」が、押し出された固形物の複数の流路を取り囲む。押し出された固形物は、円形、矩形、卵型等の任意の望ましい断面を有するように形成され得る。複数の流路内の個別の流路は、四角形、三角形、六角形、円形等であり得る。第1の上流端部における流路は、例えば、適切なセラミックセメントを用いてブロックされ得、かつ第1の上流端部においてブロックされない流路は、また、第2の下流端部においてブロックされ得、ウォールフロー型フィルターを形成する。典型的には、第1の上流端部におけるブロックされた流路の配置は、ブロックされ、かつオープンな下流流路端部の同様な配置を有するチェッカーボードに似ている。
【0051】
結合剤/マトリクス成分は、好ましくは、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、金属間化合物、アルミノケイ酸リチウム、スピネル、任意にドープされたアルミナ、シリカ源、チタニア、ジルコニア、チタニア−ジルコニア、ジルコン、及びそれらの任意の2以上の混合物から成る群から選択される。ペーストは、任意に、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、及びセラミック繊維から成る群から選択された強化用無機繊維を含み得る。
【0052】
アルミナ結合剤/マトリクス成分は、好ましくは、ガンマアルミナであるが、任意の他の遷移アルミナ、すなわち、アルファアルミナ、ベータアルミナ、カイアルミナ、イータアルミナ、ローアルミナ、カッパアルミナ、シータアルミナ、デルタアルミナ、ランタンベータアルミナ、及び任意の2以上のそのような遷移アルミナの混合物であり得る。アルミナは、アルミナの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非アルミニウム元素を用いてドープされる。適切なアルミナドーパントは、シリコン、ジルコニウム、バリウム、ランタニド系元素、及びそれらの任意の2以上の混合物を含む。適切なランタニドドーパントは、La、Ce、Nd、Pr、Gd、及びそれらの任意の2以上の混合物を含む。
【0053】
シリカ源は、シリカゾル、クオーツ、石英ガラス若しくはアモルファスシリカ、ケイ酸ナトリウム、アモルファスアルミノケイ酸塩、アルコキシシラン、例えば、メチルフェニルシリコン樹脂、粘土、タルク、又はそれらの任意の2以上の混合物等のシリコン樹脂結合剤を含み得る。この項目から、シリカは、SiO
2であり得、例えば、長石、ムライト、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、三元シリカ−アルミナ−ジルコニア、三元シリカ−アルミナ−マグネシア、三元シリカ−マグネシア−ジルコニア、三元シリカ−アルミナ−トリア、及びそれらの任意の2以上の混合物等である。
【0054】
好ましくは、金属活性化AEIゼオライトは、押し出された触媒体の全体を通して分散され、かつ好ましくは、押し出された触媒体の全体を通して均一に分散される。
【0055】
任意の上述の押し出された固形物がウォールフロー型フィルターへと作られる場合に、ウォールフロー型フィルターの気孔率は、30から80%、例えば、40から70%であり得る。空隙率及び空隙容量及び孔半径は、例えば、水銀圧入多孔度測定を使用して測定され得る。
【0056】
本明細書で説明される金属活性化AEI触媒は、窒素(N
2)及び水(H
2O)の元素を選択的に生成するために、窒素酸化物を用いて、還元剤、好ましくはアンモニアの反応を促進し得る。それ故、一実施態様では、触媒は、還元剤(すなわち、SCR触媒)を用いた窒素酸化物の還元に有利となるように構造化され得る。そのような還元剤の例は、炭化水素(例えば、C3からC6炭化水素)及び窒素を含んだ還元剤、例えば、アンモニア及びアンモニアヒドラジン又は任意の適切なアンモニア前駆体、例えば、尿素((NH
2)
2CO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、又はギ酸アンモニウムを含む。
【0057】
本明細書で説明される金属活性化AEI触媒は、また、アンモニアの酸化を促進し得る。それ故、別の実施態様では、触媒は、酸素を用いたアンモニアの酸化特に、典型的にSCR触媒(例えば、アンモニアスリップ触媒(ASC)等のアンモニア酸化(AMOX)触媒)の下流におけるアンモニアの濃度を有利にするように構造化され得る。特定の実施態様では、金属活性化AEIゼオライト触媒は、酸化下層上の最上層として配置され、ここで、下層は、白金族金属(PGM)触媒又は非PGM触媒を含む。好ましくは、下層内の触媒成分は、アルミナを含んだ高い表面領域担体上に配置されるが、それに限定されるものではない。
【0058】
更に別の実施態様では、SCR及びAMOXの作動が連続的に実施され、ここで、両方のプロセスは、本明細書で説明される金属活性化AEIゼオライトを含む触媒を使用し、かつSCRプロセスは、AMOXプロセスの上流で生じる。例えば、触媒のSCR構造は、フィルターの入口側に配置され得、かつ触媒のAMOX構造はフィルターの出口側に配置され得る。
【0059】
したがって、ガス中のNO
x化合物の還元又はNH
3の酸化のための方法が提供され、方法は、ガス中のNO
x化合物及び/又はNH
3のレベルを還元するのに十分な時間NO
x化合物を触媒で還元するために、ガスを本明細書で説明される触媒組成物と接触させることを含む。特定の実施態様では、選択的接触還元(SCR)の下流側に配置されたアンモニアスリップ触媒を有する触媒物品が提供される。そのような実施態様では、アンモニアスリップ触媒は、選択的接触還元プロセスによっては消費されない窒素を含んだ任意の還元剤の少なくとも一部を酸化する。例えば、特定の実施態様では、アンモニアスリップ触媒は、ウォールフロー型フィルターの出口側に配置され、かつSCR触媒は、フィルターの上流側に配置される。特定の他の実施態様では、アンモニアスリップ触媒は、フロースルー基材の下流側端部に配置され、かつSCR触媒は、フロースルー基材の上流側端部に配置される。他の実施態様では、アンモニアスリップ触媒及びSCR触媒は、排気システム内の別々のブリック上に配置される。これらの別々のブリックは、互いに隣接し、かつ接触し、又は特定の距離によって分離され、それらは互いに流体連通し、かつSCR触媒ブリックはアンモニアスリップ触媒ブリックの上流に配置される。
【0060】
特定の実施態様では、SCR及び/又はAMOXプロセスは、少なくとも100℃の温度において実行される。別の実施態様では、プロセスは、約150℃から約750℃の温度において生じる。特定の実施態様では、温度範囲は、約175から約550℃である。別の実施態様では、温度範囲は、175から400℃である。更に別の実施態様では、温度範囲は、450から900℃、好ましくは500から750℃、500から650℃、450から550℃、又は650から850℃である。450℃よりも高い温度を使用する実施態様は、例えば、フィルターの上流の排気システム中へ炭化水素を注入することによって、活発に再生される(随意に触媒作用が生じる)ディーゼルパーティキュレートフィルターを備えた排気システムが装備された大型及び小型ディーゼル車のエンジンからの排気ガスを処理するために特に有用であり、ここで、本発明で使用されるゼオライト触媒は、フィルターの下流に配置される。
【0061】
本発明の別の態様によると、ガス中のNO
x化合物の濃度を低減させるのに十分な時間の間に、ガスを本明細書で説明される触媒と接触させることを含んだ、ガス中のNO
x化合物の還元及び/又はNH
3の酸化のための方法が提供される。本発明の方法は、以下のステップの1以上を含み得る。すなわち、(a)触媒フィルターの入口と接触している煤を蓄積及び/又は燃焼すること、(b)触媒フィルターと接触する前に、好ましくはNO
x及び還元剤の処理を含んだ触媒化ステップの介在なく、窒素を含んだ還元剤を排気ガス流中に導入すること、(c)NO
x吸収触媒又はリーンNO
xトラップ上でNH
3を生成すること、及び好ましくは下流のSCR反応において還元剤としてそのようなNH
3を使用すること、(d)排気ガス流をDOCと接触し、炭化水素系可溶性有機成分(SOF)及び/又は一酸化炭素をCO
2へと酸化し、及び/又はNOをNO
2へと酸化し、次に、それらを使用してパーティキュレートフィルター内の粒子状物質を酸化し、及び/又は排気ガス中の粒子状物質(PM)を還元すること、(e)還元剤の存在下で、排気ガスを一又は複数のフロースルーSCR触媒装置(類)と接触し、排気ガス中のNO
x濃度を低減させること、及び(f)排気ガスを大気中に放出する前、又は排気ガスがエンジンに入る/再度入るのに先立って排気ガスを再循環ループに通す前に、アンモニアのほとんど、全てではなくても、を酸化するために、好ましくはSCR触媒の下流で、排気ガスをアンモニアスリップ触媒と接触することである。
【0062】
別の実施態様では、窒素系還元剤、特にNH
3の全て又は少なくとも一部分は、SCRプロセス内での消費のために、SCR触媒、例えば、ウォールフロー型フィルター上に配置された本発明のSCR触媒の上流に配置された、NO
x吸収触媒(NAC)、リーンNO
xトラップ(LNT)、又はNO
x吸蔵/還元触媒(NSRC)によって供給され得る。本発明に有用なNAC成分は、塩基性材料(例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びこれらの組み合わせを含んだアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属等)及び貴金属(白金等)、及び任意にロジウムのような還元触媒成分の触媒の組み合わせを含む。NACにおいて有用な塩基性材料の具体的な種類は、酸化セシウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、及びこれらの組み合わせを含む。貴金属は、好ましくは、約10から約200g/ft
3、例えば、20から60g/ft
3存在する。代替的に、触媒の貴金属は、約40から約100グラム/ft
3であり得る平均濃度によって特徴付けられる。
【0063】
特定の条件下、周期的リッチ再生イベントの間、NH
3は、NO
x吸収触媒上で生成され得る。NO
x吸収触媒の下流のSCR触媒は、NO
x還元効率のシステム全体を改善し得る。複合システムでは、SCR触媒は、リッチ再生イベントの間に、NAC触媒から放出されるNH
3を吸蔵することが可能であり、通常のリーン作動状態の間に、NAC触媒をすり抜けるNO
xの幾らか又は全てを選択的に還元するために吸蔵されたNH
3を利用する。
【0064】
本明細書で説明される排気ガスを処理するための方法は、燃焼プロセス、例えば、内燃エンジンン(移動式又は固定式)、ガスタービン、及び石炭若しくは石油の火力発電所から放出された排気ガスに対して実施され得る。方法は、精錬することのような工業プロセスから、精錬所のヒーター及びボイラー、燃焼炉、化学プロセス工業、コークス炉、都市廃棄物プラント、及び焼却炉等からの、ガスを処理するためにも使用され得る。特定の実施態様では、方法は、車両のリーンバーン内燃機関、例えば、ディーゼルエンジン、リーンバーンガソリンエンジン、又は液化石油ガス若しくは天然ガスにより駆動されるエンジンからの排気ガスを処理するために使用される。
【0065】
特定の態様では、本発明は、燃焼プロセス、例えば、内燃機関(移動式又は固定式)、ガスタービン、石炭若しくは石油の火力発電所などから発生した排気ガスを処理するためのシステムである。そのようなシステムは、本明細書で説明される金属活性化AEIゼオライトを含んだ触媒物品、及び排気ガスを処理するための少なくとも1つの付加的な成分を含み、ここで、触媒物品及び少なくとも1つの付加的な成分は、一体的ユニットとして機能するように設計される。
【0066】
特定の実施態様では、システムは、本明細書で説明される金属活性化AEIゼオライトを含んだ触媒物品、流れている排気ガスを方向付けるための導管、触媒物品の上流に配置された窒素を含んだ還元剤の源を含む。システムは、ゼオライト触媒が、例えば、100℃より高く、150℃より高く、又は175℃より高く、望ましい効率以上で、NO
x還元を触媒することができると決定された時のみに、窒素を含んだ還元剤を流れている排気ガスの中へメーターを介して供給するための制御装置を含み得る。窒素を含む還元剤の供給は、60%から200%の理論的なアンモニアが、1:1のNH
3/NO及び4:3のNH
3/NO
2と見積もられたSCR触媒に入る排気ガス中に存在するように構成され得る。
【0067】
別の実施態様では、システムは、排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒(例えば、ディーゼル用酸化触媒(DOC))を含み、それは、窒素を含んだ還元剤を排気ガスの中へ供給する地点の上流に配置され得る。一実施態様では、酸化触媒は、例えば、250℃から450℃の酸化触媒の入口での排気ガス温度で、約4:1から約1:3のNO
2に対するNOの体積比を有するSCRゼオライト触媒に入るガス流を生じるために適合される。酸化触媒は、フロースルーモノリス基材上に被覆された白金、パラジウム、又はロジウム等の少なくとも1つの白金族金属(又はこれらの何らかの組み合わせ)を含み得る。一実施形態では、少なくとも1つの白金族金属は、白金、パラジウム、又は、白金とパラジウムの両方の組み合わせである。白金族金属は、アルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライトのようなゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、又はセリアとジルコニアの両方を含有する混合酸化物若しくは複合酸化物といった、高表面積ウォッシュコート成分上で担持されることが可能である。
【0068】
更なる実施態様では、適切なフィルター基材は、酸化触媒とSCR触媒との間に配置される。フィルター基材は、上記のどれからでも、例えば、ウォールフロー型フィルターから選択され得る。例えば、上述の種類の酸化触媒を用いてフィルターが触媒化される所で、好ましくは、窒素を含んだ還元剤を供給する地点は、フィルターとゼオライト触媒との間に配置される。代替的に、フィルターが触媒化されない場合に、窒素を含んだ還元剤を供給するための手段は、酸化触媒とフィルターとの間に配置され得る。
【実施例】
【0069】
実施例1 AEIゼオライトの合成(SAR=22)
60部のSiO
2、1.2部のAl
2O
3、13.41部のNa
2O、9.5部のN,N−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウム水酸化物(22.23wt%溶液)、及び2721部のH
2Oの(モル)組成の反応ゲルが、以下のように準備された。すなわち、約130.6グラムのシリカ源(30wt%のSiO
2)は、300rpmで回転するために設定された撹拌機を用いて、1リットルのステンレス鋼製のオートクレーブに入れられた。約341.4gの1N NaOHが、98.3gのテンプレートとビーカー内で混合された。約7.6gのアンモニウム交換されたYゼオライトが、この混合物に加えられた。混合物は、オートクレーブ内のコロイダルシリカに加えられる前に、10から15分の間、室温でかき混ぜられた。オートクレーブは密封され、かつ135℃まで加熱される前に更なる10分の間、室温でかき混ぜが継続された。温度は、12日の間、維持され、その後、オートクレーブは室温まで冷却され、製品は、放出され、その後、ろ過され、脱塩水を用いて洗浄され、かつ110℃で一晩乾燥された。
【0070】
結果として生じる製品は、粉末X線回析によって解析され、高度に結晶化したAEIタイプのゼオライトであることが分かった。この材料に対するXRDパターンが、
図1に示されている。
【0071】
その後、材料の一部は、通常のか焼及びイオン交換法によって活性化された。サンプルは、最初に、空気中で、毎分2℃の速度で室温から110℃までサンプルを加熱することによってか焼され、その温度で10時間維持され、その後、毎分5℃の速度で450℃まで上げられ、その温度で16時間維持され、その後に、毎分5℃の速度で550℃まで加熱され、かつ室温まで冷却される前にその温度で16時間維持された。イオン交換は、室温において、か焼されたゼオライトを、か焼されたゼオライトのグラム当たり10ccの溶液を使用した塩化アンモニウム溶液の1M溶液と接触することによって実施された。一時間後、撹拌が停止され、ゼオライトは沈殿することを可能にし、上澄みが吸い上げられた。塩化アンモニウム溶液の新しいバッチを使用して手順が繰り返され、その後、ゼオライトは、フろ過され、脱塩水で洗われ、その後、一晩110℃で乾燥され、NH
4−AEIゼオライトを生成した。
【0072】
この材料をH−AEIに変換するために、材料は、空気中で、毎分2℃の速度で150℃まで加熱され、その後、150℃で10時間維持され、その後、毎分5℃の速度で450℃まで上げられ、その温度で16時間維持されることにより、か焼された。XRFによる材料の解析は、22のSARの組成を示した。
【0073】
実施例2−AEIゼオライトの合成(SAR=20)
テンプレートが22.23wt%の溶液であることを除いて、反応ゲルは、実施例1で説明されたものと同様な方法によって調製され、実施例1で説明されたものと同様の試薬を使用した。この場合において、反応ゲルは、すなわち、60部のSiO
2、1.21部のAl
2O
3、15.0部のNa
2O、9.5部のテンプレート、及び2721部のH
2Oの(モル)組成を有した。反応は、300rpmで撹拌する1.5Lのオートクレーブ内で実行された。反応は、135℃で8日間実施された後に、室温まで冷却され、オートクレーブから放出され、ろ過され、洗浄され、110℃で一晩乾燥された。
【0074】
その後、材料は、実施例1で記載された方法で活性化され、高度の結晶性がXRDで示され、20のSARを有することがXRFで示されたH−AEIをもたらした。
【0075】
比較例1−AEIゼオライトの合成(SAR=14)
60部のSiO
2、1.704部のAl
2O
3、15.7部のNa
2O、9.5部のテンプレート(N,N−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウム水酸化物(19.34%w/wの溶液))、及び2721部のH
2Oを有する(モル)組成の反応ゲルが、以下のように準備された。すなわち、約123.9gのシリカ源(30wt%のSiO
2)が、1Lのステンレス鋼製オートクレーブに入れられ、300rpmで回転するように撹拌機が設定された。約399.65gの1NのNaOHが、113.09gのテンプレートとビーカー内で混合された。この混合物に対して、10.7gのアンモニア変換されたYゼオライトが加えられた。混合物は、オートクレーブ内のコロイドダルシリカに加えられる前に、およそ10分間、室温で撹拌された。オートクレーブは密封され、135℃まで加熱される前に更に10分間、室温で撹拌が継続された。温度は、およそ7日の間、維持され、その後、オートクレーブは室温まで冷却され、製品は、放出され、その後、ろ過され、脱塩水を用いて洗浄され、110℃で一晩乾燥された。
【0076】
結果として得られる製品は、粉末X線回析によって解析され、大部分がAEIタイプのゼオライトであることが分かった。XRFによる解析は、14のSARを有する製品を示した。
【0077】
その後、材料の一部は、通常のか焼及びイオン交換法によって活性化された。サンプルは、最初に、空気中で、毎分2℃の速度で室温から110℃までサンプルを加熱することによってか焼され、その温度で10時間維持され、その後、毎分5℃の速度で450℃まで上げられ、その温度で16時間維持され、その後に、毎分5℃の速度で550℃まで加熱され、室温まで冷却される前に再びその温度で16時間維持された。イオン交換は、室温において、か焼されたゼオライトを、か焼されたゼオライトのグラム当たり10ccの溶液を使用した塩化アンモニウム溶液の1M溶液と接触することによって実施された。一時間後、撹拌が停止され、ゼオライトは沈殿することを可能にし、上澄みが吸い上げられた。塩化アンモニウム溶液の新しいバッチを使用して手順が繰り返され、その後、ゼオライトは、ろ過され、脱塩水で洗浄され、その後、一晩110℃で乾燥され、NH
4−AEIゼオライトを生成した。
【0078】
この材料をH−AEIに変換するために、材料は、空気中で、毎分2℃の速度で室温から150℃まで加熱され、その後、150℃で10時間維持され、その後、毎分5℃の速度で450℃まで上げられ、その温度で16時間維持されることにより、か焼された。結果としての材料は、粉末XRDによって示されるように、高度に結晶化した。
【0079】
比較例2−AEIゼオライトの合成(SAR=17)
上述の比較例1で説明されたものと同様な方法によって、反応ゲルが準備された。この場合において、反応ゲルは、60部のSiO
2、1.34部のAl
2O
3、15.7部のNa
2O、9.5部のテンプレート、及び2721部のH
2Oの(モル)組成を有し、テンプレートが19.34%w/wの水溶液であることを除いて、同様な試薬を使用して準備された。使用された試薬の量は、128.8gのシリカ源、8.42gのゼオライトY、399.6gの1Mの水酸化ナトリウム溶液、113gのN,N−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウム水酸化物のテンプレート、及び33.1gの脱塩水である。
【0080】
実施例1と同様に、1Lのステンレス鋼オートクレーブが採用され、300rpmにおいて撹拌された。一旦、全ての試薬が加えられると、オートクレーブは密封され、室温で30分間撹拌され、その後、135℃まで加熱され、7日間その温度で維持され、その後、室温まで冷却され、オートクレーブから放出され、ろ過され、洗浄され、110℃で一晩乾燥された。その後、材料は、実施例1で説明された方法で活性化され、高度の結晶性がXRDで示され、17のSARを有することがXRFで示されたH−AEIをもたらした。
【0081】
比較例3−AEIゼオライトの合成(SAR=18)
上述の比較例1で説明されたものと同様な方法によって、比較例1で説明されたものと同様な試薬を使用して、反応ゲルが調製された。この場合において、反応ゲルは、60部のSiO
2、1.34部のAl
2O
3、15.08部のNa
2O、9.5部のテンプレート、及び2721部のH
2O(モル)組成を有した。
【0082】
反応は、1Lのオートクレーブ内で実施され、135℃で7日間反応された後に、室温まで冷却され、オートクレーブから放出され、ろ過され、洗浄され、110℃で一晩乾燥された。その後、材料は、実施例1で説明された方法で活性化され、高度の結晶性がXRDで示され、18のSARを有することがXRFで示されたH−AEIをもたらした。
【0083】
実施例3−高温度エージング後のNO
x変換性能
実施例1で説明されたものと同様なAEI(SAR=22)アルミノケイ酸塩の粉末の5グラムのサンプルが、インシピエントウェットネス法を使用して、酢酸銅を用いて処理され、3重量パーセントの銅が担持した触媒を生成した。AEI(SAR18)、AEI(SAR19)、及びAEI(SAR20)の銅が担持したサンプルが、同様な技術を使用して調製された。更に、CHA構造(SAR=16)を有するアルミノケイ酸塩の3重量パーセントの銅が担持したサンプル、及びCHA構造(SAR=22)を有するアルミノケイ酸塩の銅が担持したサンプルが、また、同様な技術を使用して調製された。
【0084】
各々の触媒サンプルからの材料の部分は、空気中で500℃/4.5%の水において2時間、水熱的にエージングされた。エージング後、粉末サンプルは、合成触媒活性試験(SCAT)の反応器の中へ別々に積み込まれ、かつ以下のものを含んだ合成ディーゼル排気ガス混合物(入口で)を使用して試験された。すなわち、60000h
−1の空間速度において、500ppmのNO、385ppmのNH
3、10%のO
2、10%のH
2O、残りのN
2である。各々のサンプルのNO
x変換性能が、広い範囲内の温度にわたって試験された。これらの実験の結果は、
図2aに示される。
【0085】
上述の各々の触媒サンプルからの材料の別の部分は、空気中で900℃/4.5%の水において3時間の間、水熱的にエージングされた。エージング後、粉末サンプルは、合成触媒活性試験(SCAT)の反応器の中へ別々に積み込まれ、以下のものを含んだ合成ディーゼル排気ガス混合物(入口で)を使用して試験された。すなわち、60000h
−1の空間速度において、500ppmのNO、385ppmのNH
3、10%のO
2、10%のH
2O、残りのN
2である。各々のサンプルのNO
x変換性能が、広い範囲内の温度にわたって試験された。これらの実験の結果は、
図2bに示される。
【0086】
結果は、高温でのエージング(すなわち、900℃)の後に、AEI触媒に対するNO
x変換は、20未満のSARを有するサンプルと比較して、少なくとも20のSARを有するサンプルに対してはるかに優れていたことを示している。更に、少なくとも20のSARを有する高温でエージングされたAEIアルミノケイ酸塩触媒は、同等なSAR及び銅の担持を有する高温でエージングされたCHAアルミノケイ酸塩触媒と比較して、優れた性能を有した。
【0087】
実施例4−高温度エージング後のNH
3変換性能
実施例1で説明されたものと同様なAEI(SAR=22)の粉末の5グラムのサンプルが、インシピエントウェットネス法を使用して、酢酸銅を用いて処理され、3重量パーセントの銅が担持した触媒を生成した。AEI(SAR18)、AEI(SAR19)、及びAEI(SAR20)の銅が担持したサンプルは、同様な技術を使用して調製された。
【0088】
各々の触媒サンプルからの材料の一部分は、空気中で900℃/4.5%の水で3時間、水熱的にエージングされた。エージング後、粉末のサンプルは、合成触媒活性試験(SCAT)の反応器の中へ別々に積み込まれ、以下のものを含んだ合成ディーゼル排気ガス混合物(入口で)を使用して試験された。すなわち、60000h
−1の空間速度において、500ppmのNO、385ppmのNH
3、10%のO
2、10%のH
2O、残りのN
2である。各々のサンプルのNH
3変換性能が、広い範囲内の温度にわたって試験された。これらの実験の結果は、
図3において提供される。
【0089】
これらの試験の結果は、触媒のSARが少なくとも20である場合に、高温でエージングされたAEIアルミノケイ酸塩触媒に対するNH
3変換において重要な改良を示す。
【0090】
実施例5−リッチ/リーンエージング後の触媒性能
実施例1で説明されたものと同様なAEI(SAR=20)アルミノケイ酸塩の粉末のサンプルが、インシピエントウェットネス法を使用して、酢酸銅を用いて処理され、3重量パーセントの銅が担持した触媒を生成した。3重量パーセントの銅が担持したCHA(SAR=26)及びBEAアルミノケイ酸塩のサンプルが、また、同様な技術を使用して調製された。
【0091】
各々の触媒サンプルからの材料の一部分は、空気中で500℃/4.5%の水で2時間、水熱的にエージングされた。サンプルの各々の別の部分が、粉末を、600℃の温度及び30000hr
−1の空間速度における以下のガス組成物に晒すことによって、12時間、交互のリーン及びリッチエージング状態(5秒リーン/15秒リッチ)に委ねられた。
【0092】
リーン/リッチエージングした後、粉末のサンプルは、合成触媒活性試験(SCAT)の反応器の中へ別々に積み込まれ、実施例3で説明されたものと同様な合成ディーゼル排気ガス混合物(入口で)を使用して試験された。各々のサンプルのNO
x及びNH
3変換性能が、広い範囲内の温度にわたって試験された。これらの実験の結果は、
図4a、
図4b、及び
図4cに示される。
【0093】
これらの試験からのデータは、20のSARを有する銅が担持したAEIアルミノケイ酸塩触媒が、26のSARを有するAEIアルミノケイ酸塩触媒と同等なNO
x及びNH
3変換性能を有することを示す。
【0094】
実施例6−銅が担持したAEIアルミノケイ酸塩
AEIアルミノケイ酸塩のサンプルは、インシピエントウェットネス法を使用して銅が担持され、以下の担持、すなわち、2.5重量%の銅、3.0重量%の銅、3.5重量%の銅、及び4.0重量%の銅の担持をもたらした。これらのサンプルの各々の一部は、各々、500℃において2時間、水熱的にエージングされた。これらのサンプルの各々の別の部分は、750℃において80時間、水熱的にエージングされた。これらのサンプルの各々の別の部分は、900℃において2時間、水熱的にエージングされた。
【0095】
サンプルの各々は、実施例3で説明されたものと同様な条件の下で、SCATリグで試験された。試験は、約2.5から約3.5重量パーセントの銅の担持が、200℃及び475℃の両方において優れた収率のNO
x変換を提示することを示す。
AEI構造、20から30のシリカ対アルミナのモル比、及びアルミノシリケートモレキュラーシーブ材料の全重量に基づいて1から5重量パーセントの助触媒金属を有する、モレキュラーシーブを含む、排気ガスを処理するための触媒組成物。
助触媒金属が、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ニオブ、スズ、ビスマス、アンチモン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、インジウム、白金、金、銀、又はこれらの2以上の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の触媒組成物。
モレキュラーシーブが少なくとも90モルパーセントのAEIであるとした場合に、モレキュラーシーブが、AEI構造及びFAU構造の物理的混合物である、請求項1に記載の触媒組成物。