【実施例】
【0032】
先ず、
図3は本発明の第1実施形態となるシームレス金網円筒体30を製造する編機の斜視図、
図4は編機の作用図、
図5はシームレス金網円筒体30の外観図、
図6は3つの編地の拡大図である。上記から成るシームレス金網砥石30は、1本または複数本の金属線1,2・・を任意の筒状編地に編込んで伸縮自在なシームレス金網円筒体30Aとなし、上記シームレス金網円筒体30Aの外周面は、
図12に示すように、外周面5を削った平坦面6が形成されており、該平坦面に砥粒Gを電着させたシームレス金網砥石30の構成としたものである。
【0033】
上記シームレス金網円筒体30Aの生成は、例えば、
図3と
図4に示す編機(原始的な編機の構成を簡潔に説明する)MOの実施形態で作られる。その構成は、円盤33の中央位置の穴33Aには倣い中子34が配置され、上記円盤33の四方に起立させた4本の支柱37の頂部に丸台35を備え、この周囲に各ボビン36に巻かれた金属線1,2・・・を引出して引っ掛け、倣い中子34の頂部で各ボビンを交差させて金属線1,2・・・を絡み合わせて編物(30)を作りあげる。この時、
図4に示すように、倣い中子34により寸法及び形状が
図4と
図5の如く、重ね合わせなく全周囲が均一な厚みとなり、高精度 のシームレス金網円筒体30が連続し長く生成される。従って、シームレス金網円筒体30Aの長さは、製編後に適宜の長さに切断される。尚、
図6(a)はパイル編地を示し、
図6(b)は横編地を示すが、これ以外の任意な各種編物組織であっても勿論良い。
【0034】
尚、編機MOに替えて、
図15に示すように、リリアン編機L0により、シームレス金網円筒体30Aを生成しても良い。上記リリアン編機L0は、シームレスストッキングの編物製品を生産する機器として公知であるから、その詳細構成は省略します。今回は金属線によりシームレス金網円筒体30Aを生成することに活用した。尚、編み方次第で、任意に固くも柔らかくもは、線材により決まり、ステンレスから非鉄まで選択可能で、単一または複数材質を、ワイヤーに編み、その上で更に円筒状に編むことが可能なシームレス金網砥石である。
【0035】
上記シームレス金網円筒体30Aは、
図12に示すように、予めマスキングされた金属線1,2・・・の外周側を削り取って平面部6を形成し、ここに砥粒Gを電着させてシームレス金網円筒体30Aの外周部5に砥粒Gが電着されてシームレス金網砥石30が製造される。しかして、このシームレス金網砥石30により、柔軟にして高精度(スクラッチ傷無く)と高効能率に研削・ホーニング加工に、このシームレス金網円筒体30Aが利用できる。尚、
図11に後記するように、シームレス金網円筒体30Aは単体又は外径が僅かに異なるシームレス金網円筒体30Aを複数重ね合わせると共に軸心方向Oに任意寸法だけプレス成形して円盤体30Bとし、
図12のごとく、この外周部5に砥粒Gを電着させたシームレス金網円筒体30としても良い。
【0036】
しかして、上記シームレス金網砥石30によると、金網線1・2・・・が伸縮自在な編物組織であるから、柔軟性があり、例えば、シームレス金網砥石による研削・ホーニング方法の加工が高効率にして、高精度な研削・ホーニング加工が実施できる。
【0037】
上記シームレス金網砥石30について、
図13に示す最適円筒内面加工例で、具体的に説明する。クーラントポンプ(図示なし)の脈動圧P1〜P3をシームレス金網円筒砥石30の内径全面を支持筒40で支持し、この間に内張りしたゴム袋(図示なし)が支持筒40の孔からのクーラントの圧力を受圧して膨張すると、シームレス金網砥石30は増径され減圧で減径し、研削物となる円筒内面(図示なし)の全長全面を一度に研削するバルーン研削加工が行える。特に、シームレス金網砥石30は、外径が増減する伸縮性・柔軟性に優れているから、スムーズな増減径をクーラントポンプ(
図17に図示する)からの脈動圧P1〜P3で繰り返し行われ、従来のハード金網砥石やソフト金網砥石では得られない「研削」「研磨」「ホーニング」加工が柔軟にして高能率にして、高精度(スクラッチ傷無く)が得られる。
【0038】
上記最適円筒内面加工例において、シームレス金網砥石30による研削・ホーニング方法を実施するには、
図14のクーラント供給装置50によって制御される。その詳細について、クーラント供給装置50と、NC制御装置60と、シームレス金網砥石30との関係構成を以下で詳細に説明する。
【0039】
上記クーラント供給装置50は、駆動源のモーターMOによりタンクT内のクーラント液CKを供給する2気筒プランジャーポンプP(単筒AC、BC)と、該プランジャーポンプPから吐出する脈動圧のクーラント液CKを多種多様に切替える逆止弁V1〜V5と切替弁V6、V7を備えている。上記逆止弁V1〜V5の切り替えで、4種類のクーラント液CKをシームレス金網砥石30まで配管・供給する経路を形成している。尚、吐出されるクーラント液CKは、NC制御装置60からのNCプログラムPGの制御により、単 筒ACの圧力P1、単筒BCの圧力P2、両方の合成圧力(P1+P2)P3と、該合成圧力(P1+P2)P3をアキュームレーターAQに入れて一定圧P0とする4種類に切替えられる。以上の如く、上記4種類の脈動圧によるシームレス金網砥石30の膨張・縮小動作を行い、従来のトリノス(金網)砥石10,20では得られない「研削」「研磨」「ホーニング」加工の効果が得られる。その作用は、
図13のシームレス金網円筒砥石30に示す。即ち、クーラント液CKは主軸Sの孔hから先端に取付けた空気噴出保持部40に導かれる。空気噴出保持部(支持筒)40にゴム袋(図示なし)を介して嵌められた外周にシームレス金網円筒砥石30を嵌める。即ち、ゴム袋を内装したシームレス金網砥石30が脈動空気圧「P1,P2,P3」により、増減径しながら穴の研削加工やホーニング加工高効率に行なわれる。
【0040】
本発明の第2実施態様は、
図7と
図8に示す知能AI・シームレス金網砥石31であって、複数本の金属線1,2‥の中にセンサーとなる熱電対線3を混在させて編地内に編込まれて知能AI・シームレス金網円筒砥石31とした。該シームレス金網砥石31内の研削面の熱・音・振動等の異常検出を可能とした。具体的には、上記異常検出は上記シームレス金網砥石内を支持筒40で支持し、この間に内貼したゴム袋(図示なし)が主軸Sの孔hを介して支持筒40の孔(図示無し)からのクーラントCKの圧力を受圧して膨張すると、知能AI・シームレス金網砥31は増径され減圧で減径し、研削物となる円筒内面(図示なし)の全長全面を一度に研削するバルーン研削加工が行える。
【0041】
上記支持筒40内に備えた無線伝達手段MEから外部検出器OEに検出情報を伝送される構成とするか、又は砥石軸S内の導線Lを介して外部検出器OEに伝送される構成としたものである。上記無線伝達手段Mは、熱電対線3から増幅器AMPを介して中央処理器CPUに導かれ、発信器Hにより外部検出部OEに繋がれている。外部検出部OEは、アンテナATと中央処理器CPU2と判定表示器H0からなり、正常又はアラームを表示する。従って、研削・ホーニング作業が効率良く、研削ミス(例えばスクラッチ傷無く)高精度に自動生成できる。
【0042】
上記知能AI・シームレス金網砥石31の製造方法の一つの実施例は、
図3,4と
図7とで、その概要を説明する。上記シームレス金網砥石31を製造する編機M0の中心に置かれた倣い中子34内の熱電対線3と、上記倣い中子の上部に配置した丸台35に複数本の金属糸1・2・・の中に熱電対線3を混在させてパイル編地他の円筒状に編み上げる。上記知能AI・シームレス金網円筒体31Aは、
図12に示すように、予めマスキングされた金属線1,2・・・の外周側を削り取って平面部6を形成し、ここに砥粒Gを電着させてシームレス金網円筒体31の外周部5に砥粒Gが電着させることで知能AI・シームレス金網砥石31が生成される。
【0043】
続いて、本発明の第3実施態様は、
図9と
図10に示すシームレス金網砥石32において、従来における縦横の金属線1・2の織物交点を固着せず、
図9の如く、1本の金属線1で平編(a)・ゴム編(b)・パール編(c)等のニット編みに編んだ金網平面体400を形成し、この金網平面体を、
図10に示す凹凸の一対の金型K1とK2により、プレス成形して円筒状に絞り、予めマスキングされた金属線1の外周側を削り取って平面部6を形成し、ここに砥粒Gを電着させてシームレス金網円筒体32の外周部5の平面部6に砥粒Gが電着させることでシームレス金網砥石32が生成される。
【0044】
この第3実施態様によるシームレス金網砥石32は、上記第1,第2実施態様のいずれかに記載のシームレス金網砥石30,31と同様に、クーラント液の脈動圧をシームレス金網砥石32の内径全面に内張りしたゴム袋(図示なし)に受圧、脈動圧が高い膨張時に シームレス金網砥石を増径させ、脈動圧が低い縮小時にシームレス金網砥石を減径させる増減率が高く成り、円筒内面を風船状に研削可能なシームレス金網砥石による研削・ホーニング方法が実施される。特に、このシームレス金網砥石32は、砥石全体の伸縮性・柔軟性が高いから、短寸砥石とし、これに対応した被加工ワーク(図示無し)の研削・ホーニング加工が飛躍的に優れた効果を発揮する。
【0045】
続いて、シームレス金網砥石30,31、32を生成する前の段階の各シームレス金網円筒体30A,31A、32Aを、第4実施態様となる円盤体30B・・にプレス加工したシームレス金網砥石30‥について、
図11でその実施例を説明する。先ず、
図11(a)に示すように、上記各シームレス金網円筒体30A,31A、32Aは、単体又は外径が僅かに異なるシームレス金網円筒体を複数入れ子状に重ね合わせると共に軸心方向Oに任意寸法だけプレス成形して円盤体30A,31A、32Aと成し、上記円盤体の外周面は平坦面に形成され、該平坦面に砥粒Gを電着させてなる構成とした。
【0046】
上記シームレス金網円筒体は、1本又は数本の金属線を編機によりシームレス金網円筒体に編み上げる工程と、上記シームレス金網円筒体は単体又は外径が僅かに異なるシームレス金網円筒体を複数入れ子状に重ね合わせると共に軸心方向Oに任意寸法だけプレス成形して円盤体30B・・とする工程と、上記円盤体の外周面を平坦面に形成する工程と、該平坦面に砥粒Gを電着させる工程と、からなるシームレス金網円筒砥石の製造方法が実施される。
【0047】
上記シームレス金網砥石30,31、32を具体的に生成する工程図は、
図11(b)に示す。先ず、各シームレス金網円筒体30A(31A、32A)は、圧縮機PPのベースK6の上に載せられ、加圧体K5により加圧してプレス成形する。この後に、加圧体K5を上昇させ、円盤体30B(31B、32B)を取り出す。取出した円盤体30B(31B、32B)は、この外周超砥粒電着をすべく、電着槽70内の電着液Jに浸けてシームレス金網砥石30,31、32を生成・製造する。実際のシームレス金網砥石30,31、32を、写真で示す。
【0048】
これにより、従来から存在する円盤体砥石と同じ作用が得られるシームレス金網砥石となる。しかも、被削材の外周面に対してシームレス金網砥石による強制的な押付力に対しても、金網体全体の柔軟性により押付力が緩和・低減排除され、スクラッチ傷も皆無となり研磨面の繊細で高精度な研削・ホーニングが可能となる。
【0049】
しかして、シームレス金網円筒砥石による研削・ホーニング方法は、上記記載のシームレス金網砥石において、クーラント液の脈動圧をシームレス金網砥石の内径全面に内張りしたゴム袋に受圧、脈動圧が高い膨張時にシームレス金網砥石を増径させ、脈動圧が低い縮小時にシームレス金網砥石を減径させる増減率を高く成し、円筒内面を風船状に増減して研削可能とした。
【0050】
これにより、効率の良い増径と減径作用が円滑に得られるシームレス金網円筒砥石となり、形状剛性の低いシームレス金網砥石であっても、形状を歪ませることなく、脈動圧が高い膨張時にシームレス金網砥石を増径させ、脈動圧が低い縮小時にシームレス金網砥石を減径させる増減率が高く、円筒内面の全長全面を高効率に高精度にバルーン研削できる。
また、円盤体のシームレス金網砥石では、同様の作用・効果が得られる上に、編み込まれた数百、数千、数万の線材の絡み合う接触交点は、摩擦で外部エネルギーを吸収して相殺して形状復元するから、この円盤体のシームレス金網砥石には、圧倒的な衝撃吸収特性を具備し、砥石内の空隙は優れた透水性と切粉ポケットとしての機能を発揮する弾性砥石 である。また、プレス成形は、型成形も可能であって、形状研削で精度を高め超砥粒電着を行うと高精度な外形・平面・内径・溝・形状砥石となる。
【0051】
更に、シームレス金網円筒砥石による研削・ホーニング方法は、上記シームレス金網砥石による研削・ホーニング方法において、クークーラント液は、ラント供給装置からNC制御装置及びNCプログラムで制御された静圧乃至脈動圧のクーラント液を砥石取付主軸に明けたセンタースルー穴からシームレス金網円筒砥石を支持する軸芯部内に送り込まれ、当該クーラント液はシームレス金網砥石内のゴム袋に供給される。
【0052】
しかして、形状剛性の低い上記各種シームレス金網砥石であっても、形状を歪ませることなく、脈動圧が高い膨張時にシームレス金網砥石を増径させ、脈動圧が低い縮小時にシームレス金網砥石を減径させる任意な増減率に自動制御できるから、予め理想的なワークの研削・研磨・ホーニング精度が得られる自動設定が可能である。
【0053】
以上のように、シームレス金網砥石とその製造方法及び研削・ホーニング方法について、総括的にその作用・効果・効能を纏めると、クーラント液の脈動圧をシームレス金網砥石の内径全面に内張りしたゴム袋に受圧、脈動圧が高い膨張時にシームレス金網砥石を増径させ、脈動圧が低い縮小時にシームレス金網砥石を減径させる増減率を高く出来、円筒内面を風船状に研削可能としたから、形状剛性の低いシームレス金網砥石であっても、形状を歪ませることなく、脈動圧が高い膨張時にシームレス金網砥石を増径させ、脈動圧が低い縮小時にシームレス金網砥石を減径させる増減率が非常に高く成し得るから、既存の研削砥石では、実現できない多くの新規な作用・効果が得られること、上記した如くである。