ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布が、分子量500,000〜150,000の高分子領域、及び、分子量120,000〜50,000の低分子領域に、それぞれ1つ以上のピークを有し、
(式(1)中、Mp(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピーク高さを表し、nは、ピークの番号を表す。また、Mp(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピーク高さを表し、mは、ピークの番号を表す。)
スチレン系ブロック共重合体は、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)及びスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のホットメルト組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.ホットメルト組成物
本発明のホットメルト組成物は、(A)スチレン系ブロック共重合体、及び、(B)可塑剤を含有するホットメルト組成物であって、180℃での粘度が2,000〜60,000mPa・sであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布が、分子量500,000〜150,000の高分子領域、及び、分子量120,000〜50,000の低分子領域に、それぞれ1つ以上のピークを有し、下記式(1)を満たすホットメルト組成物である。
式(1):{ΣMp(H)n×h(H)n}/{ΣMp(L)m×h(L)m}>1.5
ここで、式(1)中、Mp(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピーク高さを表し、nは、ピークの番号を表す。また、Mp(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピーク高さを表し、mは、ピークの番号を表す。本発明のホットメルト組成物は、上記構成を備えるので、伸張性および伸張後の伸縮回復性に優れ、通常用いられるホットメルト接着塗布装置で塗布可能である。
【0014】
なお、上記n及びmで表わされるピークの番号は、それぞれ、ピークトップ値を示す分子量が高い方から順に、1、2、・・・のように、1から番号を付与する。また、後述する
図1及び
図2において、横軸の分子量は、紙面に向かって左側が高分子量側であり、右側が低分子量側である。すなわち、上記式(1)中、Mp(H)nは、分子量500,000〜150,000の領域のピークのうち、高分子量側からn番目のピークのピークトップ値を示す分子量を表す。また、上記式(1)中、h(H)nは、分子量500,000〜150,000の領域のピークのうち、高分子量側からn番目のピークのピーク高さを表す。また、上記式(1)中、Mp(L)mは、分子量120,000〜50,000の領域のピークのうち、高分子量側からm番目のピークのピークトップ値を示す分子量を表す。更に、上記式(1)中、h(L)mは、分子量120,000〜50,000の領域のピークのうち、高分子量側からm番目のピークのピーク高さを表す。
【0015】
上記本発明のホットメルト組成物は、衛生材料等に設けられる伸縮性積層体に用いられる部材として好適に用いることができる。一般に、伸縮性積層体に用いられる部材としては、天然ゴムや合成高分子を糸状にした糸ゴムが知られている。従来の衛生材のギャザー部位に用いられる伸縮性部材は、不織布などの基材と、複数本の糸ゴムを接合することで形成される。このように形成された伸縮性部材は良好な伸縮性を有するため、吸収性物品に用いることで、着用時のずれがおきにくく、着用者に安心感を与えることができる。しかし、上述のようにして形成された伸縮性積層体は、線状の糸ゴムによる線圧が着用者の胴回りにかかるため、強い締め付け感を感じる場合がある。
【0016】
面圧で胴回りを締め付ける、伸縮性フィルムを用いた伸縮性部材を用いることにより、着用者にかかる圧力が分散されるため、良好な締め付け感を達成することができる。しかしながら、伸縮性フィルムは高粘度であり、且つ、ホットメルト型ではないため、通常用いられるホットメルト塗布装置を用いて塗布することができず、衛生材料の製造工程が煩雑化する。
【0017】
ホットメルト伸縮性接着剤組成物を伸縮性部材として用いることにより、通常のホットメルト塗布装置を用いて面圧で締め付ける伸縮性積層体を作成することができる。しかし、従来のホットメルト伸縮性接着剤組成物では着脱時に必要な伸びが提供できず、また当該伸縮性接着剤組成物は、伸長後の伸縮回復性が十分でないため、着用中に応力が低下し、紙おむつのズレが生じるという問題がある。
【0018】
これに対し、本発明のホットメルト組成物を衛生材料の伸縮性積層体の伸縮性部材に用いれば、通常用いられるホットメルト塗布装置で塗布可能であるため、衛生材料の製造工程は煩雑にならず、且つ、着用後も応力を維持するため、当該ホットメルト組成物を伸縮部材として用いた伸縮性積層体を搭載した衛生材料は、着用時のずれ落ちが抑制されており、着用者に安心感を与えることができる。
【0019】
以下、本発明のホットメルト組成物について詳細に説明する。
【0020】
(A)スチレンブロック共重合体
本発明のホットメルト組成物は、スチレン系ブロック共重合体を含む。スチレン系ブロック共重合体とは、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体をいう。
【0021】
ビニル系芳香族炭化水素は、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物である。ビニル系芳香族炭化水素としては、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。ビニル系芳香族炭化水素は、単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されて用いられてもよい。
【0022】
共役ジエン化合物は、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物である。共役ジエン化合物としては、具体的には、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(又はイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの中でも1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。共役ジエン化合物は、単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されて用いられてもよい。
【0023】
スチレン系ブロック共重合体としては特に限定されず、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン/ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶共重合体(SEBC)が挙げられる。上記スチレン系ブロック共重合体を用いることにより、本発明のホットメルト組成物がより良好な伸長性を示し、伸長後の伸縮回復性もより一層優れたものとなる。これらの中でも、より一層伸長後の伸縮回復性に優れ、より一層伸長性を両立できる観点から、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)及びスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)を含むことが更に好ましい。
【0024】
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン−イソプレン−スチレン共重合体を100質量%として、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。また、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン−イソプレン−スチレン共重合体を100質量%として、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0025】
なお、本明細書において、スチレン系ブロック共重合体の「スチレン含有量」とは、スチレン系ブロック共重合体中のスチレンブロックの含有割合(質量%)をいう。
【0026】
また、本明細書における、スチレン系ブロック共重合体中のスチレン含有量の算出方法は特に限定されず、例えば、JIS K6239に準じたプロトン核磁気共鳴法や赤外分光法を用いる方法が挙げられる。
【0027】
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体としては市販されている製品を用いることができる。市販品としては、日本ゼオン社製Quintac3390、日本ゼオン社製Quintac3520、クレイトンポリマー社製D1161、TSRC社製VECTOR4411などが挙げられる。
【0028】
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン−イソプレン−スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン−イソプレン−スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。
【0029】
上記スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を100質量%として、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。また、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を100質量%として、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0030】
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体としては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、旭化成社製のタフプレン126等が挙げられる。
【0031】
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。
【0032】
本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、40質量%以上が好ましく、43質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。また、本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、65質量%以下が好ましく、63質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。スチレン系ブロック共重合体の含有量が上記範囲内であると、本発明のホットメルト組成物が、より一層十分な伸張性及び伸張後の伸縮回復性を発現することができる。
【0033】
本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン系ブロック共重合体を100質量%として、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましい。スチレン含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。また、本発明のホットメルト組成物中のスチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン系ブロック共重合体を100質量%として、35質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。スチレン含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物がより柔らかくなり、より一層良好な伸長性を発現することができる。
【0034】
(B)可塑剤
本発明のホットメルト組成物は、可塑剤を含む。可塑剤(B)は、25℃で液状、すなわち、25℃で流動性を示すものが好ましい。また、可塑剤(B)の流動点は、23℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
【0035】
本明細書において、流動点は、JIS K2269に準拠した測定方法により測定される値である。
【0036】
(B)可塑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル等が挙げられる。なかでも、加熱安定性が優れる観点から、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、流動パラフィン、及び炭化水素系合成オイルが好ましく、上記ポリマーとの相溶性の観点から、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルがより好ましい。
【0037】
パラフィン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製PW−32、出光興産社製PS−32等が挙げられる。
【0038】
ナフテン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製ダイアナフレシアN28、出光興産社製ダイアナフレシアU46、Nynas社製Nyflex222B等が挙げられる。
【0039】
流動パラフィンとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、MORESCO社製P−100、Sonneborn社製Kaydol等が挙げられる。
【0040】
炭化水素系合成オイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学社製ルーカントHC−10、三井化学社製ルーカントHC−40等が挙げられる。
【0041】
上記可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
本発明のホットメルト組成物中の可塑剤(B)の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。可塑剤(B)の含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の粘度上昇がより一層抑制され、通常用いられるホットメルト塗布装置で塗布可能である。また、本発明のホットメルト組成物中の可塑剤(B)の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましい。可塑剤(B)の含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物が柔らかくなり過ぎず、より一層良好な伸長性を発現する。
【0043】
他の添加剤
本発明のホットメルト組成物は、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、他の添加剤を含有していてもよい。上記他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、液状ゴム、ワックス、微粒子充填剤等が挙げられる。
【0044】
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
本発明のホットメルト組成物中の酸化防止剤の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。酸化防止剤の含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の熱安定がより一層向上する。また、本発明のホットメルト組成物中の酸化防止剤の含有量は、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。酸化防止剤の含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の臭気がより一層低減される。
【0046】
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
本発明のホットメルト組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の耐候性がより一層向上する。また、本発明のホットメルト組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%が更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の臭気がより一層低減する。
【0048】
粘着付与樹脂としては、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体;C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂、また、それら石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂としては、ホットメルト組成物の臭気、熱安定性に優れている点で、石油樹脂、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂が好ましく、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂がより好ましい。これら粘着付与樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0049】
粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、ホットメルト組成物の伸縮性、熱安定性がより一層優れる点で、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、ホットメルト組成物により一層柔軟性を持たせ、より一層脆弱化を抑制することができる点で、125℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。なお、本明細書において、粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、JIS K2207に準拠して測定される値である。
【0050】
本発明のホットメルト組成物中の粘着付与樹脂の含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。粘着付与樹脂の含有量が30質量%以下であるとホットメルト組成物が硬くなりすぎず、伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。
【0051】
ワックスとしては、パラフィンワックス、フィッシャートロプスワックス、酢酸ビニルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アクリル酸ワックス、マレイン酸変成ワックス等が挙げられる。ワックスとしては、ホットメルト組成物との相溶性の観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプスワックスが好ましい。これらワックスは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
ワックスの軟化点は25℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。本明細書において、軟化点は、ASTM D−3954に準拠した測定方法により測定される値である。
【0053】
本発明のホットメルト組成物中のワックスの含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。ワックスの含有量が30質量%以下であるとホットメルト組成物が硬くなりすぎず、伸長後の伸縮回復性がより一層向上する。
【0054】
液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。液状ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
本発明のホットメルト組成物中の液状ゴムの含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。液状ゴムの含有量の下限が上記範囲であると、ホットメルト組成物の溶融粘度が低下し、塗工適性がより一層向上する。また、本発明のホットメルト組成物中の液状ゴムの含有量は、ホットメルト組成物を100質量%として、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%が更に好ましい。液状ゴムの含有量の上限が上記範囲であると、ホットメルト組成物が柔らかくなりすぎず、より一層良好な伸長性を発現する。
【0056】
微粒子充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。微粒子充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0057】
ホットメルト組成物の物性
本発明のホットメルト組成物は、180℃における溶融粘度が2,000〜60,000mPa・sである。溶融粘度が2,000mPa・s未満であると、使用後の伸縮回復性が十分に発現されない。溶融粘度が60,000mPa・sを超えると、通常用いられるホットメルト塗布装置で塗布することが困難となる。ホットメルト組成物の180℃における溶融粘度は、3,000mPa・s以上が好ましく、5,000mPa・s以上がより好ましく、8,000mPa・s以上が更に好ましい。また、ホットメルト組成物の180℃における溶融粘度は、50,000mPa・s以下が好ましく、45,000mPa・s以下がより好ましく、40,000mPa・s以下が更に好ましい。
【0058】
本明細書において、「溶融粘度」は、一定の温度で加熱溶融状態となったホットメルト組成物の粘度である。180℃における溶融粘度の測定方法としては、例えば、ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定する測定方法が挙げられる。
【0059】
本発明のホットメルト組成物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布が、分子量500,000〜150,000の高分子領域、及び、分子量120,000〜50,000の低分子領域に、それぞれ1つ以上のピークを有し、下記式(1)を満たす。
式(1):{ΣMp(H)n×h(H)n}/{ΣMp(L)m×h(L)m}>1.5
【0060】
上記式(1)中、Mp(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピーク高さを表し、nは、ピークの番号を表す。また、Mp(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピーク高さを表し、mは、ピークの番号を表す。
【0061】
なお、上記n及びmで表わされるピークの番号は、それぞれ、ピークトップ値を示す分子量が高い方から順に、1、2、・・・のように、1から番号を付与する。また、後述する
図1及び
図2において、横軸の分子量は、紙面に向かって左側が高分子量側であり、右側が低分子量側である。すなわち、上記式(1)中、Mp(H)nは、分子量500,000〜150,000の領域のピークのうち、高分子量側からn番目のピークのピークトップ値を示す分子量を表す。また、上記式(1)中、h(H)nは、分子量500,000〜150,000の領域のピークのうち、高分子量側からn番目のピークのピーク高さを表す。また、上記式(1)中、Mp(L)mは、分子量120,000〜50,000の領域のピークのうち、高分子量側からm番目のピークのピークトップ値を示す分子量を表す。更に、上記式(1)中、h(L)mは、分子量120,000〜50,000の領域のピークのうち、高分子量側からm番目のピークのピーク高さを表す。
【0062】
上記式(1)の右辺は、2.0が好ましく、2.5がより好ましい。上記式(1)の右辺が上記値であることにより、より一層伸長性及び伸長後の伸縮回復性が向上する。また、一般的なホットメルト組成物の場合、式(1)の右辺の値は50以下である。
【0063】
本発明のホットメルト組成物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
【0064】
本発明における分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APCXT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APCXT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APCXT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266〜1,800,000)
カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
【0065】
上記式(1)の計算の例を図を用いて以下に示す。
【0066】
例1(図1)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布が、高分子領域(分子量500,000〜150,000)に2つピークを有し、低分子領域(分子量120,000〜50,000)に1つピークを有するホットメルト組成物であって、それぞれのピークトップ値を示す分子量及びピーク高さが以下の場合。
Mp(H)1=220,000、Mp(H)2=160,000、Mp(L)1=100,000、h(H)1=1,500、h(H)2=2,000、h(L)1=1,750
式(1)の左辺の値は、
(220,000×1,500+160,000×2,000)/(100,000×1,750)=3.71
となる。なお、
図1において、横軸の分子量は、紙面に向かって左側が高分子量側であり、右側が低分子量側である。
【0067】
例2(図2)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布が、高分子領域(分子量500,000〜150,000)に1つピークを有し、低分子領域(分子量120,000〜50,000)に1つピークを有するホットメルト組成物であって、それぞれのピークトップ値を示す分子量及びピーク高さが以下の場合。
Mp(H)1=180,000、Mp(L)1=105,000、h(H)1=2,200、h(H)1=3,000
式(1)の左辺の値は、
(180,000×2,200)/(105,000×3,000)=1.26となる。なお、
図2において、横軸の分子量は、紙面に向かって左側が高分子量側であり、右側が低分子量側である。
【0068】
なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量分布が、高分子領域(分子量500,000〜150,000)、又は、低分子領域(分子量120,000〜50,000)のいずれかの領域にピークを有しないホットメルト組成物では、式(1)の左辺の値は算出することができない。
【0069】
本発明のホットメルト組成物の伸長性は500%以上が好ましく、600%以上がより好ましく、750%以上が更に好ましい。ホットメルト組成物の伸長性が500%以上であると、衛生材料着用時にホットメルト組成物が伸長された際の破断が抑制される。また、ホットメルト組成物を延伸させて伸縮性積層体を作成する場合、ホットメルト組成物の破断を抑制しつつ、延伸率を好適に変更することができる。
【0070】
本発明のホットメルト組成物の伸長性は、以下の方法によりホットメルト組成物の塗工サンプルを調製した上で、当該塗工サンプルを用いて以下の測定方法により測定される。
【0071】
ホットメルト組成物の塗工サンプル作成方法
ホットメルト組成物を180℃の塗工温度で、離型処理されたPETフィルム上にスロット塗工で塗布する。塗布量は50g/m
2、塗布幅は100mmとする。次いで、離型処理された別のPETフィルムを積層し、室温下で圧着させることで積層体を作成する。得られた積層体を23℃、相対湿度50%雰囲気下で24時間保管し、ホットメルト組成物を室温に冷却して、ホットメルト組成物の塗工サンプルを調製する。
【0072】
伸長性の測定方法
ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製する。次いで、治具幅50mmに設定した引張試験機へホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片が破断する点まで引っ張る。試験片が破断した変位を破断伸び(%)とし、ホットメルト組成物の伸長性の評価基準とする。
【0073】
本発明のホットメルト組成物の永久歪みは60%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。ホットメルト組成物の永久歪みが60%以上であると、ホットメルト組成物の伸長後の伸縮回復性がより一層良好となる。
【0074】
本発明のホットメルト組成物の永久歪みは、上記ホットメルト組成物の塗工サンプルを用いて、以下の測定方法により測定される。
【0075】
永久歪みの測定方法
ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製する。次いで、治具幅50mmに設定した引張り試験機に、ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで引張る。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻す。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置に戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返す。横軸を歪み変位(%)、縦軸を応力(N/mm
2)としたグラフにおいて、1サイクル目の引張り時における積分値をS1、2サイクル目の引張時における積分値をS2とし、以下の式により永久歪み(%)を算出する。
永久歪み(%)=(S2/S1)×100
【0076】
ホットメルト組成物の製造方法および用途
本発明のホットメルト組成物は公知の方法で製造される。例えば、(A)スチレン系ブロック共重合体、(B)可塑剤、各種添加剤等を150℃に加熱した双腕型混練機へ投入し、加熱しながら溶融混練することによって製造される。
【0077】
当該ホットメルト組成物の用途としては特に限定されず、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、病院用ガウンなどいわゆる衛生材料等が挙げられる。
【0078】
本発明のホットメルト組成物は、伸縮性フィルム、及び、伸縮部材を含む伸縮性積層体の伸縮部材として好適に用いられる。このような伸縮性積層体としては、例えば、不織布の少なくとも片面側に、上記ホットメルト組成物を有する伸縮性積層体が挙げられる。
【0079】
積層体の用途としては特に限定されず、例えば、紙おむつ、生理用ナプキンなどいわゆる衛生材料に好適に用いることができる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0081】
なお、実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。
【0082】
(A)スチレン系ブロック共重合体:
・(A1)スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体:日本ゼオン社製 Quintac3390(スチレン含有量48質量%、Mp=105,000、172,000)
・(A2)スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体:TSRC社製 VECTOR4411(スチレン含有量44質量%、Mp=79,000)
・(A3)スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体:クレイトンポリマー社製 D1161(スチレン含有量15質量%、Mp=96,000、214,000)
・(A4)スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体:日本ゼオン社製 Quintac3520(スチレン含有量15質量%、Mp=144,000、350,000)
【0083】
(B)可塑剤:
・(B1)パラフィン系プロセスオイル:出光興産社製 PS−32(流動点−17.5℃)
・(B2)ナフテン系プロセスオイル:Nynas社製 Nyflex222B(流動点−35℃)
【0084】
酸化防止剤:
・フェノール系酸化防止剤 BASF社製 IRGANOX1010
【0085】
実施例及び比較例
上述した原料を、それぞれ表1に示した配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した。150℃で90分間加熱しながら混練して、ホットメルト組成物を製造した。
【0086】
得られたホットメルト組成物について、以下の測定条件により特性を評価した。
【0087】
(180℃溶融粘度)
ホットメルト組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定し、下記評価基準に従って評価した。
○:180℃溶融粘度が2,000〜60,000mPa・sである
×:180℃溶融粘度が60,000mPa・sを超えるか、又は、2,000mPa・s未満である
【0088】
(分子量)
ホットメルト組成物の0.1wt%テトラヒドロフラン溶液を作製し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより測定した。測定装置および測定条件は以下の通りである。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APCXT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APCXT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APCXT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266〜1,800,000)
カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
【0089】
得られた分子量ピークデータより、下記式(1)の左辺を算出した。
式(1):{ΣMp(H)n×h(H)n}/{ΣMp(L)m×h(L)m}>1.5
式(1)中、Mp(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(H)は、分子量500,000〜150,000の領域のピーク高さを表し、nは、ピークの番号を表す。また、Mp(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピークトップ値を示す分子量を表し、h(L)は、分子量120,000〜50,000の領域のピーク高さを表し、mは、ピークの番号を表す。なお、上記n及びmのピークの番号は、それぞれ、ピークトップ値を示す分子量が高い方から順に、1、2、・・・のように、1から番号を付与する。
【0090】
ホットメルト組成物の塗工サンプルの調製方法
ホットメルト組成物を180℃の塗工温度で、離型処理されたPETフィルム上にスロット塗工で塗布した。塗布量は50g/m
2、塗布幅は100mmとした。次いで、離型処理された別のPETフィルムを積層し、室温下で圧着させることで積層体を作成した。得られた積層体を23℃、相対湿度50%雰囲気下で24時間保管し、ホットメルト組成物を室温に冷却して、ホットメルト組成物の塗工サンプルを調製した。
【0091】
(伸長性)
ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製した。次いで、治具幅50mmに設定した引張試験機へホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片が破断する点まで引っ張った。試験片が破断した変位を破断伸び(%)とし、ホットメルト組成物の伸長性の評価基準とした。測定結果に基づいて、下記評価基準に従って評価した。
◎:破断伸びが750%以上である
○:破断伸びが600%以上750%未満である
△:破断伸びが500%以上600%未満である
×:破断伸びが500%未満である
【0092】
(永久歪み)
ホットメルト組成物の塗工サンプルを、塗工方向に対して幅50mm、塗工方向に対して垂直な方向に100mmの短冊状に切断し、試験片を調製した。次いで、治具幅50mmに設定した引張り試験機に、ホットメルト組成物の塗工方向と垂直な方向が上下に位置するように試験片を治具で固定し、引張速度500mm/分で試験片の歪み変位が300%となる点まで引張った。次いで、速度500mm/分で初期の位置まで戻した。歪み変位が300%となる点まで引張り、初期の位置に戻す工程を1サイクルとして、同一の試験片について2サイクル繰り返した。横軸を歪み変位(%)、縦軸を応力(N/mm
2)としたグラフにおいて、1サイクル目の引張り時における積分値をS1、2サイクル目の引張時における積分値をS2とし、以下の式により永久歪み(%)を算出した。
永久歪み(%)=(S2/S1)×100
測定結果に基づいて、下記評価基準に従って評価した。
◎:永久歪みが95%以上である
○:永久歪みが85%以上95%未満である
△:永久歪みが60%以上85%未満である
×:永久歪みが60%未満である
【0093】
結果を表1に示す。
【表1】