(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-5082(P2021-5082A)
(43)【公開日】2021年1月14日
(54)【発明の名称】駆動装置、カメラモジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20201211BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20201211BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20201211BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B17/02
G02B7/02 Z
H04N5/225 100
H04N5/225 700
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-106088(P2020-106088)
(22)【出願日】2020年6月19日
(31)【優先権主張番号】201910554720.5
(32)【優先日】2019年6月25日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】汪 東明
(72)【発明者】
【氏名】周 聚鶴
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ01
2H044AJ06
2H044BE01
2H044BE06
2H044BE09
2H044BE17
2H100BB06
2H100BB11
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】本発明は、大きい収縮量及び変位転化率を有する駆動装置、カメラモジュール及び電子機器を提供する。
【解決手段】駆動装置は、ベース、キャリア及び駆動部材を備え、キャリアはベースに設けられ、且つベースに対し上下に移動可能になっており、駆動部材は、第一端がベースに固定的に連結され、第一端と反対の第二端がキャリアに固定的に連結され、第一端と第二端との間の中間部分はキャリアに連結され、中間部分は上下方向において第一端と高低差を有し、駆動部材は伸縮することで、キャリアをベースに対し上下に移動するように駆動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(10)、キャリア(12)及び駆動部材(14)を備え、前記キャリア(12)は前記ベース(10)に設けられ、且つ前記ベース(10)に対し上下に移動可能になっている駆動装置であって、
前記駆動部材(14)は、第一端が前記ベース(10)に固定的に連結され、前記第一端と反対の第二端が前記キャリア(12)に固定的に連結され、前記第一端と前記第二端との間の中間部分は前記キャリア(12)に連結され、前記中間部分は、上下方向において前記第一端と高低差を有しており、
前記駆動部材(14)は伸縮することで、前記キャリア(12)を前記ベース(10)に対し上下に移動するように駆動する
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記駆動部材(14)は形状記憶合金線材である
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ベース(10)は、第一端子(102)と第二端子(104)を備え、前記第一端子(102)と前記第二端子(104)は互いに離間して設けられ、前記駆動部材(14)の前記第一端は前記第一端子(102)に固定的に連結される
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
第一線挟持端子(22)と第二線挟持端子(24)を更に備え、
前記第一線挟持端子(22)と前記第二線挟持端子(24)は、それぞれ前記駆動部材(14)の前記第一端と前記第二端を挟持して固定し、
前記第一線挟持端子(22)は、前記第一端子(102)に連結され、前記第二線挟持端子(24)は前記キャリア(12)に固定的に連結される
ことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
下側スプリング(16)を更に備え、
前記第一端子(102)と前記第二端子(104)は導電材により作られ、
前記第一線挟持端子(22)は前記第一端子(102)に電気的に接続され、前記第二線挟持端子(24)は前記下側スプリング(16)に電気的に接続され、前記下側スプリング(16)は前記第二端子(104)に電気的に接続される
ことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記キャリア(12)は2つの掛けブロック(122)を備え、
前記駆動部材(14)は2つ設けられ、
一方の前記駆動部材(14)の前記中間部分は、一方の前記掛けブロック(122)の底部に掛けられて前記キャリア(12)に上向きの力を提供し、
他方の前記駆動部材(14)の前記中間部分は、他方の前記掛けブロック(122)の頂部に掛けられて前記キャリア(12)に下向きの力を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
2つの前記駆動部材(14)は、前記キャリア(12)の互いに対向する両側の外側辺縁にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
上側スプリング(18)及びハウジング(20)を更に備え、
前記上側スプリング(18)は、前記キャリア(12)と前記ハウジング(20)との間に弾性的に設けられ、
前記ハウジング(20)は、前記キャリア(12)の上方に設けられ、前記ベース(10)、前記キャリア(12)、前記駆動部材(14)及び前記上側スプリング(18)を内蔵するように覆設される
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の駆動装置を備えたことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラモジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結像技術分野に関し、特に、駆動装置、カメラモジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、カメラモジュールの応用がますます広くなり、現在、カメラ、携帯電話、パソコンなどの電子製品にはカメラモジュールが搭載されている。このため、ユーザーはいつでもどこでも簡単に写真を撮ることができ、生活上の利便性や楽しみを高めている。カメラモジュールには、固定焦点カメラモジュールとフォーカスカメラモジュールが含まれ、フォーカスカメラモジュールでは、駆動装置によりレンズを駆動し移動させて、焦点を合わせることができる。
【0003】
通常、駆動装置はベース、キャリア及び形状記憶合金(SMA)部材を備え、キャリアは移動可能にベースに設けられ、形状記憶合金部材は、両端がベースに固定され、中間部位がキャリアに掛けられる。形状記憶合金部材は、通電されると、その長さが短縮され、これによりキャリアを引っ張って上下に移動させて、キャリアに搭載されているレンズが上下に移動するように駆動し、焦点合わせを実現することができる。
【0004】
このような駆動装置において、
図1に示すように、キャリアの変位(STROKE)がHである場合、形状記憶合金部材の線長変化が2×(L1−L2)となる。ここで、L1は形状記憶合金部材の収縮前の一端からキャリアへの掛け位置までの距離であり、L2は形状記憶合金部材の収縮後の一端からキャリアの掛け位置までの距離である。このように、形状記憶合金部材の収縮量からキャリアの変位Hに転化する場合の転化率は低くなっている。
【0005】
従って、形状記憶合金部材の収縮量からキャリアの変位Hへの転化率が低いため、かなり長い形状記憶合金部材が必要となるが、これは、大きなスペースを占用してしまうので、駆動装置の小型化に悪影響を与える。一方、形状記憶合金部材は、収縮が長ければ長いほど使用寿命が短くなるが、形状記憶合金部材の収縮量からキャリアの変位Hへの転化率が低い場合は、形状記憶合金部材の収縮量を大きくする必要があって、駆動装置の使用寿命に悪影響を与える。
【0006】
なお、この説明は一般的な背景情報であり、従来技術を構成するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に鑑みて、本発明の目的は、大きい収縮量及び変位転化率を有する駆動装置、カメラモジュール及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による駆動装置は、ベース、キャリア及び駆動部材を備え、前記キャリアは前記ベースに設けられ、且つ前記ベースに対し上下に移動可能になっている駆動装置であって、
前記駆動部材は、第一端が前記ベースに固定的に連結され、前記第一端と反対の第二端が前記キャリアに固定的に連結され、前記第一端と前記第二端との間の中間部分は前記キャリアに連結され、前記中間部分は、上下方向において前記第一端と高低差を有しており、前記駆動部材は伸縮することで、前記キャリアを前記ベースに対し上下に移動するように駆動する。
【0009】
本発明の実施形態において、前記駆動部材は形状記憶合金線材である。
【0010】
本発明の実施形態において、前記ベースは、第一端子と第二端子を備え、前記第一端子と前記第二端子は互いに離間して設けられ、前記駆動部材の前記第一端は前記第一端子に固定的に連結されている。
【0011】
本発明の実施形態において、駆動装置は、第一線挟持端子と第二線挟持端子を更に備え、前記第一線挟持端子と前記第二線挟持端子は、それぞれ前記駆動部材の前記第一端と前記第二端を挟持して固定し、前記第一線挟持端子は、前記第一端子に連結され、前記第二線挟持端子は前記キャリアに固定的に連結されている。
【0012】
本発明の実施形態において、駆動装置は、下側スプリングを更に備え、前記第一端子と前記第二端子は導電材により作られ、前記第一線挟持端子は前記第一端子に電気的に接続され、前記第二線挟持端子は前記下側スプリングに電気的に接続され、前記下側スプリングは前記第二端子に電気的に接続されている。
【0013】
本発明の実施形態において、前記キャリアは2つの掛けブロックを備え、前記駆動部材は2つ設けられ、一方の前記駆動部材の前記中間部分は、一方の前記掛けブロックの底部に掛けられて前記キャリアに上向きの力を提供し、他方の前記駆動部材の前記中間部分は、他方の前記掛けブロックの頂部に掛けられて前記キャリアに下向きの力を提供する。
【0014】
本発明の実施形態において、2つの前記駆動部材は、前記キャリアの互いに対向する両側の外側辺縁にそれぞれ設けられている。
【0015】
本発明の実施形態において、駆動装置は、上側スプリング及びハウジングを更に備え、前記上側スプリングは、前記キャリアと前記ハウジングとの間に弾性的に設けられ、前記ハウジングは、前記キャリアの上方に設けられ、前記ベース、前記キャリア、前記駆動部材及び前記上側スプリングを内蔵するように覆設される。
【0016】
本発明によるカメラモジュールは、上述した駆動装置を備える。
【0017】
本発明による電子機器は、上述したカメラモジュールを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の駆動装置、カメラモジュール及び電子機器によれば、駆動部材の第一端がベースに固定され、第二端がキャリアと共に移動するので、駆動装置において駆動部材の収縮量をキャリアの変位に転化するとき、その転化率が高くなっている。
【0019】
そして、駆動部材の収縮量をキャリアの変位に転化するときの転化率が高いため、必要な駆動部材の線長が短く、占用スペースを縮小し、従って、駆動装置の小型化に有利である。更に、駆動部材の収縮量が小さいので、その使用寿命が長くなって、駆動装置の使用寿命の延長に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の駆動装置における形状記憶合金線材の収縮状況を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による駆動装置の組立構成の斜視図である。
【
図3】
図2に示す駆動装置の一方向からみた分解構成図である。
【
図4】
図2に示す駆動装置の他の方向からみた分解構成図である。
【
図5】
図2に示す駆動装置からハウジングを外した状態の構成図である。
【
図7】
図2に示す駆動装置における駆動部材の収縮状況を示す図である。
【
図8】
図1に示す駆動装置における形状記憶合金線材の収縮原理の説明図である。
【
図9】
図2に示す駆動装置における駆動部材の収縮原理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。下記実施形態は、本発明を説明するためであり、本発明を限定するものではない。
【0022】
図2〜
図6に示すように、本発明の一実施形態による駆動装置は、ベース10、キャリア12、駆動部材14、下側スプリング16、上側スプリング18及びハウジング20を備えている。キャリア12は、ベース10に対し上下に移動可能にベース10に設けられている。駆動部材14は、その第一端がベース10に固定的に連結され、第一端と反対の第二端がキャリア12に固定的に連結され、駆動部材14の第一端と第二端との間の中間部分はキャリア12に連結され、駆動部材14が伸縮することにより、キャリア12がベース10に対して上下に移動するように駆動することができる。詳しくは、中間部分は、上下方向において第一端と高低差が形成される。
【0023】
また、下側スプリング16は、ベース10とキャリア12との間に弾性的に設けられ、上側スプリング18は、キャリア12とハウジング20との間に弾性的に設けられている。ハウジング20は、キャリア12の上方に設けられ、ベース10、キャリア12、駆動部材14、下側スプリング16及び上側スプリング18を内蔵するように覆設している。そして、ハウジング20は、さらにベース10に固定的に連結される。
【0024】
本実施形態において、ベース10は、第一端子102と第二端子104を備え、第一端子102と第二端子104は、導電材により作られ、且つ互いに離間して設けられる。第一端子102と第二端子104は、インサート成形(insert−molding)方式によってベース10に嵌設される。詳しくは、ベース10には第一突出柱106が設けられている。ベース10には、突出ブロック107がさらに設けられ、突出ブロック107には第二突出柱108が設けられている。本実施形態では、第一端子102と第二端子104が外部電源に接続され、第一端子102と第二端子104が2つずつ設けられている。
【0025】
本実施形態において、キャリア12には、掛けブロック122、第三突出柱124及び第四突出柱126が設けられている。詳しくは、掛けブロック122は、2つ設けられ、それぞれ、キャリア12の2つの互いに対向する外側面の中央部から外に向いて突出している。第四突出柱126はキャリア12の底部に設けられる。キャリア12は、中央の貫通孔にレンズ(図示せず)を搭載するために使われ、レンズを上下に連動させて、焦点合わせを実現する。
【0026】
本実施形態において、駆動部材14は、形状記憶合金線材である。具体的に、本実施形態では、駆動部材14は2つ設けられる。駆動部材14の中間部分は、キャリア12の掛けブロック122に掛けられる。詳しくは、一方の駆動部材14の中間部分は、掛けブロック122の底部に掛けられて、収縮時にキャリア12に上向きの力を提供する。具体的に、当該駆動部材14の中間部分は、第一端の下方に位置して、駆動部材14の全体が下向きの曲線状を呈している。他方の駆動部材14の中間部分は、掛けブロック122の頂部に掛けられて、収縮時にキャリア12に下向きの力を提供する。具体的に、当該駆動部材14の中間部分は、第一端の上方に位置して、駆動部材14の全体が上向きの曲線状を呈している。
【0027】
このように、一方の駆動部材14は収縮時にキャリア12を上に向かって移動させ、他方の駆動部材14は収縮時にキャリア12を下に向かって移動させる。更に、駆動部材14は移動中でも上記した曲線状を維持している。具体的に、2つの駆動部材14は、キャリア12の2つの互いに対向する外側の辺縁にそれぞれ設けられる。
【0028】
もちろん、駆動部材14は1つのみであってもよい。この場合、駆動部材14は移動した後、下側スプリング16と上側スプリング18の力を借りて元に戻す必要がある。なお、駆動部材14の中間部分をキャリア12に固定してもよい。
【0029】
本実施形態において、駆動装置は、第一線挟持端子22と第二線挟持端子24を更に備える。第一線挟持端子22と第二線挟持端子24は、それぞれ駆動部材14の第一端と第二端を挟持して固定する。第一線挟持端子22は、第一端子102に連結され、且つ第一端子102に電気的に接続され、第二線挟持端子24は、下側スプリング16に電気的に接続され、下側スプリング16は第二端子104に電気的に接続され、第二線挟持端子24はキャリア12に固定的に連結される。これにより、駆動部材14と第一端子102、第二端子104とが電気的に接続され、駆動部材14に通電でき、形状記憶合金線材は通電時に収縮し、形状記憶合金線材の伸縮を実現する。同時に、駆動部材14の第一端がベース10に固定的に連結され、第二端がキャリア12に固定的に連結される。
【0030】
詳しくは、第二線挟持端子24は、接続部材25を介して下側スプリング16に電気的に接続される。第一線挟持端子22には、第一固定用孔と第二固定用孔が設けられ、第一端子102の一端が第一固定用孔に挿入され、第二突出柱108が第二固定用孔に挿入される。第二線挟持端子24には第三固定用孔が設けられ、第三突出柱124が第三固定用孔に挿入される。
【0031】
具体的に、本実施形態では、2組の第一線挟持端子22と第二線挟持端子24が設けられ、それぞれ駆動部材14を挟持し、これに対応して、下側スプリング16も2つ設けられ、2つの駆動部材14と第一線挟持端子22、第二線挟持端子24との連結態様も同じであるため、ここでは再び説明しない。
【0032】
具体的に、それぞれの下側スプリング16は、第一部分と第二部分と下側弾性変形部分とを備える。第一部分には第一連結孔162が設けられ、ベース10の第一突出柱106が第一連結孔162に挿入されて、下側スプリング16の第一部分をベース10に固定的に連結する。第二部分には第二連結孔164が設けられ、キャリア12の第四突出柱126が第二連結孔164に挿入されて、下側スプリング16の第二部分をキャリア12に固定的に連結する。下側弾性変形部分は、第一部分と第二部分を弾性的に連結する。
【0033】
本実施形態において、上側スプリング18は第三部分と第四部分と上側弾性変形部分とを備える。第三部分はキャリア12に固定的に連結され、第四部分はハウジング20に固定的に連結され、上側弾性変形部分が第三部分と第四部分を弾性的に連結することによって、キャリア12とハウジング20を弾性的に連結する。
【0034】
本実施形態の駆動装置において、駆動部材14は、第一端がベース10に固定され、第二端がキャリア12と共に動くことができる。
図7に示すように、キャリア12の変位(STROKE)がHである場合、駆動部材14の線長変化は(L1−L2)であり、ここで、L1は、収縮前の駆動部材14の第一端から中間部分がキャリア12と連結する位置までの距離であり、L2は、収縮後の駆動部材14の第一端からの中間部分がキャリア12と連結する位置までの距離である。従来の駆動装置に比べ、キャリアが同じストロークを移動するのに、駆動部材14の線長変化が半分に縮小されるため、本実施形態による駆動装置では、駆動部材14の収縮量をキャリアの変位に転化する際、その転化率が高くなる。
【0035】
従って、駆動部材14の収縮量をキャリアの変位に転化するときの転化率が高いため、必要な駆動部材14の線長は短く、占用スペースを縮小し、駆動装置の小型化に有利である。更に、駆動部材14の収縮量が小さいので、その使用寿命が長くなり、駆動装置の使用寿命の延長に有利である。
【0036】
図8には、従来の駆動装置におけるキャリア12の上向きの移動量を高さHとした場合の、形状記憶合金線材の収縮量の原理を説明する図が示されている。形状記憶合金線材の中間部分(キャリアと連結する部分)の上向きの移動量が高さHであるとき、形状記憶合金線材の左側と右側はそれぞれH分だけ収縮し、全体収縮量が2Hとなる。
【0037】
図9には、本発明の実施形態の駆動装置におけるキャリア12の上向きの移動量を高さHとした場合の、形状記憶合金線材の収縮量の原理を説明する図が示されている。形状記憶合金線材の中間部分(キャリアと連結する部分)の上向きの移動量が高さHであるとき、形状記憶合金線材の左側でも高さH分の上向き移動が発生する。即ち、形状記憶合金線材の左側には収縮が発生しない。そして、形状記憶合金線材の右側ではH分だけ収縮され、全体収縮量がHとなる。このように、本実施形態による駆動装置では、駆動部材14の収縮量のキャリアの変位への転化率が高くなる。
【0038】
本実施形態において、ベース10とキャリア12のいずれか一方にガイドレール(図示せず)を設け、他方にガイドレールとフィットする案内溝を設けてもよい。駆動部材14の第二端と中間部分が可動となり、第一端が固定されているため、駆動部材14はキャリア12に対して垂直方向と所定の夾角になる力を発生し、この力でキャリア12が回動されるが、ガイドレールと案内溝を設置することで、キャリア12のベース10に対する回動を避けることができる。もちろん、ガイドレールと案内溝を、ベース10ではなくハウジング20に設けることもできる。また、キャリア12に回動防止用の止め具を設けてもよい。
【0039】
また、本発明の一実施形態として、上述した駆動装置を備えたカメラモジュールを提供する。
【0040】
また、本発明の他の実施形態として、上述したカメラモジュールを備えた電子機器を提供する。
【0041】
図面において、各層及び領域のサイズ及び相対サイズを実際よりも拡大して作図したが、これは図面中の構成をより見やすくするためである。本文において、層、領域又は基板などの部材が他の部材に「形成する/される」、「設ける/られる」或いは「位置する/される」という説明は、該当する構成が他の構成に直接設けられること、あるいは、中間構成を利用することも含む。一方、他の部材に「直接形成する/される」、「直接設ける/られる」と説明した場合は、中間構成を使わないことを意味する。
【0042】
本明細書において、他の規定、限定がない限り、「装着」、「互いに連結」、「接続」という用語は、一般化意味で理解すればよい。例えば、固定的な連結、取り外し可能な連結、一体的な連結、機械的な連結、電気的な連結、直接的な連結、中間構成による連結、両構成の内部連通による連結など、いろいろなものが含まれる。本分野の当業者であれば、上記用語の意味を具体的に理解することができる。
【0043】
なお、本明細書において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「垂直」、「水平」などの用語が表す方向又は位置関係は、図面に基づいた方向又は位置関係で、本発明の技術手段をより明確化し、説明の利便性を図るためのものであり、本発明を限定する表現ではない。
【0044】
本明細書において、構成の順番を示す「第一」、「第二」などの用語は単純に類似の構成を区別するためであって、該当する構成が必ず決められた順番、時間、空間、レベル又はその他の制限に従わなければならないとの意味はない。
【0045】
本明細書において、他の説明がある場合を除き、「複数」、「若干」という表現は、2つ又は2つ以上を指す。
【0046】
また、本発明の実施形態で説明した各技術特徴は任意組み合わせが可能であり、説明を簡単化するために、本文では上記実施形態における各技術特徴のすべての可能な組み合わせについて説明しない。しかし、これら技術特徴の組み合わせに特に矛盾がない限り、すべて本明細書に記載の範囲として理解すべきである。
【0047】
本明細書において、「備える」、「含む」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を含むように意図され、挙げられた構成の以外にも、他の説明していない構成を含むことができる。
【0048】
以上のように、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本発明が開示する技術的範囲内で当業者であれば容易に変更又は置き換えすることができ、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に従うべきである。
【符号の説明】
【0049】
10 ベース
12 キャリア
14 駆動部材
16 下側スプリング
18 上側スプリング
20 ハウジング
22 第一線挟持端子
24 第二線挟持端子
25 接続部材
102 第一端子
104 第二端子
106 第一突出柱
107 突出ブロック
108 第二突出柱
122 掛けブロック
124 第三突出柱
126 第四突出柱
162 第一連結孔
164 第二連結孔