特開2021-51282(P2021-51282A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-51282(P2021-51282A)
(43)【公開日】2021年4月1日
(54)【発明の名称】レンズ装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 35/10 20210101AFI20210305BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20210305BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20210305BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20210305BHJP
   G03B 19/12 20210101ALI20210305BHJP
   G02B 7/06 20210101ALI20210305BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20210305BHJP
   G02B 7/10 20210101ALI20210305BHJP
   G03B 9/00 20210101ALI20210305BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210305BHJP
   H04N 13/218 20180101ALI20210305BHJP
【FI】
   G03B35/10
   G03B17/14
   G03B37/00 A
   G03B15/00 W
   G03B19/12
   G02B7/06
   G02B7/04 D
   G02B7/10 B
   G03B9/00 Z
   H04N5/225 400
   H04N5/225 100
   H04N13/218
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-103751(P2020-103751)
(22)【出願日】2020年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2019-170173(P2019-170173)
(32)【優先日】2019年9月19日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】上原 匠
(72)【発明者】
【氏名】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】野田 豊人
【テーマコード(参考)】
2H044
2H054
2H059
2H080
2H101
5C061
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BD01
2H044CA02
2H044CA04
2H054BB02
2H054BB05
2H059AA09
2H059BA02
2H080AA87
2H101EE08
5C061AB03
5C061AB06
5C122DA03
5C122DA04
5C122DA30
5C122EA47
5C122EA54
5C122FA02
5C122FA04
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB04
5C122FB08
5C122FB11
5C122FB15
5C122FC00
5C122FD02
5C122FE02
5C122FL01
5C122GE03
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】基線長を適切に設定して自然な立体感を得ることが可能な小型のレンズ装置を提供する。
【解決手段】レンズ装置(200)は、第一光学系(201R)と、第一光学系と並列に配置された第二光学系(201L)と、カメラ本体に取り付け可能なレンズマウント部(202)とを有し、第一光学系および第二光学系はそれぞれ、物体側から像側へ順に、第一光軸(OA1)、第二光軸(OA2)、および、第三光軸(OA3)を有し、第一光学系および第二光学系の第一光軸の間の距離(L1)は、レンズマウント部の直径(φD)よりも長く、第一光学系および第二光学系の第三光軸の間の距離(L2)は、レンズマウント部の直径よりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一光学系と、
前記第一光学系と並列に配置された第二光学系と、
カメラ本体に取り付け可能なレンズマウント部と、を有し、
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、物体側から像側へ順に、第一光軸、第二光軸、および、第三光軸を有し、
前記第一光学系および前記第二光学系の前記第一光軸の間の距離は、前記レンズマウント部の直径よりも長く、前記第一光学系および前記第二光学系の前記第三光軸の間の距離は、前記レンズマウント部の直径よりも短いことを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、第一反射面および第二反射面を有する屈曲光学系であり、
前記第一反射面は、前記第一光軸の光束を反射して前記第二光軸の光束に屈曲させ、
前記第二反射面は、前記第二光軸の光束を反射して前記第三光軸の光束に屈曲させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記第三光軸は、前記第一光軸と平行であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記第二光軸は、前記第一光軸と直交していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれにおいて、前記第一光軸には第一レンズ、前記第二光軸には第二レンズ、および、前記第三光軸には第三レンズが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれにおいて、前記第三レンズは、前記レンズマウント部の直径の範囲内に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれにおいて、前記第三レンズの少なくとも一部は、前記レンズマウント部のフランジ面よりも像側に配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれにおいて、前記第二光軸は、前記レンズマウント部のフランジ面よりも物体側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記第一光学系および前記第二光学系は対称に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記レンズ装置は、前記第一光学系および前記第二光学系により視差のある二つの像を結像可能な立体撮影用のレンズ装置であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、広角の魚眼レンズであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項12】
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、全周魚眼レンズであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項13】
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、独立にピント調整可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレンズ装置と、
撮像素子を保持するカメラ本体と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
前記撮像素子は、前記第一光学系により形成される第一像および前記第二光学系により形成される第二像を並列に結像する一つの撮像素子であることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記レンズ装置は、前記カメラ本体に着脱可能であることを特徴とする請求項14または15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記第一反射面よりも像面側に配置された操作部材を更に有することを特徴とする請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項18】
前記操作部材は、前記第一光軸に沿って見たときに前記第一反射面と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項17に記載のレンズ装置。
【請求項19】
前記操作部材の内周に前記第一光学系と前記第二光学系の両方の第三光軸が配置されていることを特徴とする請求項17または18に記載のレンズ装置。
【請求項20】
前記操作部材は、前記レンズマウント部と同軸に回転可能であることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項21】
前記操作部材は、フォーカス調整用の操作部材であることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項22】
前記操作部材を操作すると前記第一光学系および前記第二光学系の両方のピント調整が可能であることを特徴とする請求項17乃至21のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項23】
前記第一光学系および前記第二光学系はレンズ支持部材に固定され、
前記操作部材を操作すると前記レンズ支持部材が前後に進退することを特徴とする請求項22に記載のレンズ装置。
【請求項24】
前記操作部材には、回転位相に応じて厚みの異なるカム形状が形成され、
前記レンズ支持部材と前記レンズマウント部との間に前記操作部材のカム形状が挟まれることで、前記操作部材の回転に応じて前記レンズ支持部材が進退することを特徴とする請求項23に記載のレンズ装置。
【請求項25】
前記操作部材は、画角調整用の操作部材であることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項26】
前記操作部材は、絞り調整用の操作部材であることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項27】
請求項17乃至26のいずれか一項に記載のレンズ装置と、
撮像素子を保持するカメラ本体と、を有し、
前記操作部材は、前記カメラ本体の底面よりも下方に突出していないことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体撮影が可能なレンズ装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二つの光学系が所定の距離(基線長)だけ離間して並列に配置され、一つの撮像素子に二つのイメージサークルが並列に結像する立体撮像光学系が開示されている。映像の鑑賞者は、基線長が長いほど立体感を強く感じることができる。また、自然な立体感を感じることができる基線長は、物体までの距離に応じて決定され、物体までの距離の1/20〜1/100程度の範囲の基線長で撮影すると、自然な立体感が得られる。基線長がこの範囲よりも長いと立体感が強すぎ、一方、基線長がこの範囲よりも短いと立体感が弱くなる。基線長を変えるには、二つの光学系を互いに近づけまたは離す必要がある。しかし、一つの撮像素子上に二つの光学系の像を並べて結像させる場合、撮像素子の受光範囲を超えて像を離すことはできず、一方、二つの像が重なるほど近付けることもできない。
【0003】
そこで特許文献2には、右眼と左眼の光学系の絞りを各々の光軸に対して偏らせて絞ることによって、撮像素子上に並んだ二つの像の位置を動かすことなく基線長を変更することが可能な立体撮像光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−3022号公報
【特許文献2】特開2012−113281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示された立体撮像光学系は、絞りを開放させた状態で基線長を変更することができない。また、この立体撮像光学系において基線長を変更可能な範囲は、絞りの開放径の範囲内に限定される。また、特許文献1および特許文献2に開示された立体撮像光学系では、レンズマウントの中に二つの独立した光学系を入れるため、二つの光学系の間の距離である基線長を長くするには、レンズマウントの口径を大きくする必要がある。
【0006】
人間の両目の間隔の平均は60〜65mm程度であり、人間の目と同様のより自然な立体感を得るには、それと同じ程度の基線長の光学系を用いる必要がある。しかし、これを実現するには、レンズマウントの口径を60mmよりも大きくする必要があるため、レンズ装置および撮像装置が大型化してしまう。
【0007】
そこで本発明は、基線長を適切に設定して自然な立体感を得ることが可能な小型のレンズ装置および撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としてのレンズ装置は、第一光学系と、前記第一光学系と並列に配置された第二光学系と、カメラ本体に取り付け可能なレンズマウント部とを有し、前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、物体側から像側へ順に、第一光軸、第二光軸、および、第三光軸を有し、前記第一光学系および前記第二光学系の前記第一光軸の間の距離は、前記レンズマウント部の直径よりも長く、前記第一光学系および前記第二光学系の前記第三光軸の間の距離は、前記レンズマウント部の直径よりも短い。
【0009】
本発明の他の側面としての撮像装置は、前記レンズ装置と、撮像素子を保持するカメラ本体とを有する。
【0010】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基線長を適切に設定して自然な立体感を得ることが可能な小型のレンズ装置および撮像装置を提供するレンズ装置および撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態におけるレンズ装置の断面図である。
図2】本実施形態における光学系の分解斜視図である。
図3】本実施形態におけるレンズ装置の分解斜視図である。
図4】本実施形態におけるレンズ装置の分解斜視図である。
図5】本実施形態におけるレンズ装置とイメージサークルとの位置関係を示す図である。
図6】本実施形態における撮像装置の概略図である。
図7】本実施形態における撮像装置のフォーカス調整部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本実施形態のレンズ装置(交換レンズ)は、互いに並列に(対称に)配列された二つの光学系(第一光学系および第二光学系)を有し、一つの撮像素子に二つのイメージサークルが並列に結像するように構成されている。二組の光学系は、所定の距離(基線長)だけ離間して水平方向に並べられる。像側から見て、右の光学系(第一光学系)で結像する像を右眼用の動画または静止画として記録し、左の光学系(第二光学系)で結像する像を左眼用の動画または静止画として記録する。動画または静止画(映像)の再生の際には、既知の3DディスプレイやいわゆるVRゴーグルなどを用いて鑑賞することで、鑑賞者の右眼には右眼用の映像が映り、左眼には左眼用の映像が映る。このとき、レンズ装置の基線長によって、右眼と左眼には視差のある映像が投影されるため、鑑賞者は立体感を得ることができる。このように本実施形態のレンズ装置は、第一光学系および第二光学系により視差のある二つの像を結像可能な立体撮影用のレンズ装置である。
【0015】
まず、図1乃至図4を参照して、本実施形態におけるレンズ装置(交換レンズ)200の構成について説明する。図1は、レンズ装置200の断面図であり、レンズ装置200の右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lの概略構成を示す。図2は、右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lの一方(片目部分)の光学系の分解斜視図である。図3は、被写体側から見たレンズ装置200の分解斜視図である。図4は、像側から見たレンズ装置200の分解斜視図である。ここからの説明には、右眼光学系についての記述には符号の末尾にRを付け、左眼光学系についての記述には符号の末尾にLを付ける。また、右眼光学系と左眼光学系の両方に共通する記述には符号の末尾にRもLも付けない。
【0016】
レンズ装置200は、右眼光学系(第一光学系)201Rおよび左眼光学系(第二光学系)201Lを有する。右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lは、互いに並列に(対称に)配置された二つの光学系である。右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、被写体側(物体側)から像側へ順に、第一光軸OA1R、OA1L、第一光軸と略直交する第二光軸OA2R、OA2L、第一光軸と略平行な第三光軸OA3R、OA3Lを有する。ここで、略直交または略平行とは、厳密に直交または平行な構成だけでなく、実質的に直交または平行であると評価される構成を含む意味である。
【0017】
また右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、各光軸に沿って、1群レンズ(第一レンズ)210R、210L、2群レンズ(第二レンズ)220R、220L、および、3群レンズ(第三レンズ)230R、230Lを有する。1群レンズ210R、210Lは、第一光軸OA1R、OA1Lに配置され、2群レンズ220R、220Lは第二光軸OA2R、OA2Lに配置され、3群レンズ230R、230Lは第三光軸OA3R、OA3Lに配置されている。
【0018】
また右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、第一プリズム(第一反射面)211R、211Lおよび第二プリズム(第二反射面)221R、221Lを有する。第一プリズム211R、211Lはそれぞれ、第一光軸OA1R、OA1Lの光束を折り曲げて第二光軸OA2R、OA2Lに導く。第二プリズム221R、221Lはそれぞれ、第二光軸OA2R、OA2Lの光束を折り曲げて第三光軸OA3R、OA3Lに導く。このように右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、屈曲光学系である。第一プリズム211R、211Lは、第一光軸OA1R、OA1Lの光束を反射して第二光軸OA2R、OA2Lの光束に屈曲させる。第二プリズム221R、221Lは、第二光軸OA2R、OA2Lの光束を反射して第三光軸OA3R、OA3Lの光束に屈曲させる。
【0019】
右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、1群レンズ保持部材212R、212L、2群レンズ保持部材222R、222L、および、3群レンズ保持部材231R、231Lを有する。1群レンズ保持部材212R、212Lはそれぞれ、1群レンズ210R、210Lと第一プリズム211R、211Lとを保持する。2群レンズ保持部材222R、222Lはそれぞれ、2群レンズ220R、220Lと第二プリズム221R、221Lとを保持する。3群レンズ保持部材231R、231Lはそれぞれ、3群レンズ230R、230Lを保持する。
【0020】
右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、レンズベース(レンズ支持部材)203に固定されている。レンズベース203は、レンズ装置200をカメラ本体110に接続するためのレンズマウント部202に固定される。本実施形態では、3群レンズ保持部材231R、231Lの外周部231aR、231aLをレンズベース203の第三光軸OA3R、OA3Lを中心とした円周面203aR、203aLに嵌合させる。右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lの2群レンズ保持部材222R、222L同士は、2群レンズ保持部材222R、222Lにそれぞれ設けられた連結部222aR、222aLを介して連結されている。
【0021】
L1は、右眼光学系201Rの第一光軸OA1Rと左眼光学系201Lの第一光軸OA1Lとの間の距離、すなわち基線長である。基線長L1が長いほど、画像鑑賞の際の立体感が増す。L2は、右眼光学系201Rの第三光軸OA3Rと左眼光学系201Lの第三光軸OA3Lとの間の距離である。φDは、カメラ本体に取り付け可能なレンズマウント部202の直径(口径、マウント径)であり、レンズマウント部202とカメラマウント部122との嵌合径に相当する。202Fは、レンズマウント部202のフランジ面である。
【0022】
図2に示されるように、右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、1群レンズ210を保持する1群レンズ保持部材212を有する。1群レンズ保持部材212は、押さえ環215で固定され、押さえ環215の上からごみの侵入を防止するための防塵部材216で覆われる。1群レンズ210は、1群レンズ保持部材212の倒れ偏芯を光学調整可能となるように、2種類の3つずつのコロ214aおよびコロ214bを介して1群レンズベース213に取り付けられる。
【0023】
第一プリズム211は、第二光軸OA2に沿った方向からプリズムベース217に取り付けられて接着される。また第一プリズム211のプリズム面にプリズムマスク224を貼り付けて、光路外の光線を遮光する。プリズムベース217と1群レンズベース213は、不図示のビスでビス止めされる。2群レンズ保持部材222には、第二光軸OA2に沿った方向から2群レンズ220が取り付けられて接着される。また2群レンズ保持部材222には、第三光軸OA3に沿った方向から第二プリズム221が取り付けられて接着される。また、第二プリズム221のプリズム面にプリズムマスク233を貼り付けて、光路外の光線を遮光する。
【0024】
2群レンズ保持部材222とプリズムベース217との間には、絞りユニット223が配置されている。プリズムベース217は、2群レンズ保持部材222にビス締めされ固定される。3群レンズ230は、3群レンズ保持部材231により保持され、2群レンズ保持部材222にビス締め固定される。
【0025】
図3および図4に示されるように、右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、レンズベース203にビス締め固定される。右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lの二つの光学系のそれぞれとレンズベース203との間には、二種類のスペーサー209a、209bおよびワッシャ218が挟み込まれている。スペーサー209a、209bおよびワッシャ218のそれぞれの厚みを調整することにより、左右の二つの光学系のばらつきによるピント変動を抑制し、二つの光学系がともに同じピント位置になるように調整することができる。
【0026】
図7は、撮像装置100のフォーカス調整部の模式図である。図7に示されるように、レンズベース203は、フォーカスフランジ204およびフォーカスリング(操作部材)205を挟んで、カメラ本体110のカメラマウント部122に装着するためのレンズマウント部202に固定される。フォーカスリング205は、回転する角度により厚みがカム状に変化している部材である。フォーカスリング205を回転させることにより、フォーカスフランジ204とレンズベース203との間の距離を変化させることができる。
【0027】
このようにフォーカスリング205には、回転位相に応じて厚みの異なるカム形状が形成されている。右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはレンズベース203に固定されており、フォーカスリング205を操作するとレンズベース203が前後に進退する。すなわちレンズベース203とレンズマウント部202との間にフォーカスリング205のカム形状が挟まれることで、フォーカスリング205の回転に応じてレンズベース203が進退する。
【0028】
このような構成により、レンズ装置200の右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lの全体の繰り出し、または繰り込みを行うことができる。すなわちフォーカスリング205を操作すると右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lの両方のピント調整が可能である。これにより、焦点調節(フォーカシング)を行うことができ、右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lを同時にピント合わせすることが可能となる。右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lはそれぞれ、独立にピント調整可能である。
【0029】
本実施形態のレンズ装置200の1群レンズ210は、物体側のレンズほどレンズの直径が大きいため、レンズ装置200の幅方向サイズも物体側に向けてラッパ型に広がっている。そのため、フォーカスリング205を左右の光学系の1群レンズの外側に配置すると、フォーカスリング205の直径は大きくなる。フォーカスリング205の外径がカメラの底面よりも下にはみ出すと、三脚への取り付けに支障をきたす可能性がある。また、光学系を魚眼レンズなどの広角レンズで構成する場合、フォーカスリング205をレンズ装置200の物体寄りに配置すると、フォーカスリング205を操作する手が画角内に映り込む可能性がある。一方、フォーカスリング205の直径が大きいと、操作トルクを伝えやすく操作感が向上するメリットや、微小な操作が容易になるメリットがある。
【0030】
そこで本実施形態のレンズ装置200では、フォーカスリング205は第一プリズム211の反射面よりも像面側に配置され、第一光軸に沿って見たときに、第一プリズム211R、211Lの反射面と重なる位に配置される。また、フォーカスリング205は、レンズマウント部202と同軸に回転可能に配置される。さらにフォーカスリング205の内径より内側に、3群レンズ230R、230Lが配置される。本実施形態において、フォーカスリング205は、第一光軸に沿って見たときに、第一プリズム211R、211Lと重なる位置に配置されている。その結果、1群レンズ210R、210Lの近傍にフォーカスリング205を配置するよりも小型にでき、フォーカスリング205の外径がカメラ本体の底面よりも下方にはみ出すことを回避している(カメラ本体の底面よりも下方に突出していない)。またフォーカスリング205をレンズマウント部202と同軸に配置し、第三光軸のレンズをフォーカスリング205の内径の内側に配置することで、従来の単眼の交換レンズと同等の操作感を確保することができる。
【0031】
なおフォーカスリング205は、ピント調整機能(フォーカス調整用の操作部材)に限定されるものではなく、ズームリング(画角調整用の操作部材)や絞りリング(絞り調整用の操作部材)など、他の機能を有する操作リングへの置き換えも可能である。その場合、レンズベース203は、フォーカスリング205を間に挟むことなく直接フォーカスフランジ204とレンズマウント部202に固定される。
【0032】
第三光軸OA3に配置された3群レンズ230R、230Lは、レンズマウント部202のフランジ面202Fをまたいで取り付けるカメラマウント部122のフランジ面の内部側にも入り込むように配置されている。特に、本実施形態のレンズ装置200をカメラ本体110としてのミラーレスカメラに用いる場合、一眼レフカメラとは異なり、ミラー等の光学屈折部材とミラーアップなどに必要な動作スペース等が必要ない。このため、フランジ面よりもカメラ本体110の内側にもレンズ装置200が大きく入り込む設計が可能になる。
【0033】
次に、図5を参照して、レンズ装置200の各光軸の位置およびレンズマウント部202と、カメラ本体110の撮像素子111上のイメージサークルとの位置関係について説明する。図5は、レンズ装置200とイメージサークルとの位置関係を示す図である。
【0034】
カメラ本体110の撮像素子111上には、右眼光学系201Rにより結像する右眼イメージサークルICRおよび左眼光学系201Lによって結像する左眼イメージサークルICLの二つのイメージサークルが並列に像を結ぶ。二つのイメージサークル同士ができるだけ重ならないように、イメージサークルのサイズとイメージサークル同士の離間距離を設定することが好ましい。例えば、撮像素子111の受光範囲を中央で左右に半分に分けた領域を考え、受光範囲の右領域の略中央に右眼イメージサークルICRの中心、受光範囲の左領域の略中央に左眼イメージサークルICLの中心がそれぞれ位置するように設定することが好ましい。なお本実施形態の光学系(右眼光学系201Rおよび左眼光学系201L)は全周魚眼レンズ(広角の魚眼レンズ)であり、撮像面に結像される像は略180°の画角の範囲を写した円像になり、左右にそれぞれ二つの円像が結像される。
【0035】
次に、図6を参照して、本実施形態における撮像装置の構成について説明する。図6は、撮像装置100の概略図である。撮像装置100は、立体像の撮影が可能である。撮像装置100は、カメラ本体110とレンズ装置200とを有する。レンズ装置200は、カメラ本体110に対して着脱可能な交換レンズである。ただし本発明は、これに限定されるものではなく、カメラ本体110とレンズ装置200とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
【0036】
レンズ装置200は、右眼光学系201R、左眼光学系201L、および、システム制御部(レンズシステム制御部)227を有する。カメラ本体110は、撮像素子111、A/D変換器112、画像処理部113、表示部114、操作部115、記憶部116、システム制御部(カメラシステム制御部)117、および、カメラマウント部122を有する。レンズ装置200を、レンズマウント部202を介してカメラ本体110のカメラマウント部122に装着すると、カメラ本体110のシステム制御部117とレンズ装置200のシステム制御部227とが電気的に接続される。
【0037】
被写体の像は、右眼光学系201Rを介して形成される右眼像(第一像)と、左眼光学系201Lを介して形成される左眼像(第二像)とが並んで撮像素子111に結像される。撮像素子111は、結像された被写体の像(光信号)をアナログ電気信号に変換する。A/D変換器112は、撮像素子111から出力されたアナログ電気信号をデジタル電気信号(画像信号)に変換する。画像処理部113は、A/D変換器112から出力されたデジタル電気信号(画像信号)に対して種々の画像処理を行う。
【0038】
表示部114は、各種の情報を表示する。表示部114は、例えば、電子ビューファインダや液晶パネルを用いることにより実現される。操作部115は、撮像装置100に対する指示をユーザが行うためのユーザインタフェースとしての機能を有する。なお、表示部114がタッチパネルを有する場合、タッチパネルも操作部115の一つを構成する。記憶部116は、画像処理部113で画像処理が行われた画像データ等の各種のデータを記憶する。また記憶部116は、プログラムを記憶する。記憶部116は、例えば、ROM、RAM、および、HDDを用いることにより実現される。システム制御部117は、撮像装置100の全体を統括制御する。システム制御部117は、例えば、CPUを用いることにより実現される。
【0039】
例えば、撮像素子111の大きさ(センサーサイズ)を縦24mm×横36mm、イメージサークルの直径をφ17mm、左右の第三光軸OA3同士の成す離間距離を18mm、左右の第二光軸OA2の長さを21mmとする。第二光軸OA2が水平方向に延びるように右眼光学系201Rおよび左眼光学系201Lを配置すると、基線長L1は60mmとなり、成人の眼幅と略等しくなる。また、レンズマウント部202の直径ΦDを基線長L1よりも短くすることができる。また、左右の第三光軸OA3間の距離L2をレンズマウント部202の直径ΦDよりも短くすることにより、第三光軸OA3上の3群レンズ230R、230Lをレンズマウント部202の内側(内周)に配置することが可能となる。
【0040】
このように本実施形態において、二つの光学系の第一光軸OA1R、OA1Lの間の距離(基線長L1)はレンズマウント部202の直径φDよりも長く、二つの光学系の第三光軸OA3R、OA3Lの間の距離L2はレンズマウント部202の直径φDよりも短い。好ましくは、二つの光学系のそれぞれにおいて、第三レンズ(3群レンズ230)は全て、レンズマウント部の直径の範囲内に配置されている。より好ましくは、二つの光学系のそれぞれにおいて、第三レンズの少なくとも一部は、レンズマウント部のフランジ面202Fよりも像側に配置されている。また好ましくは、二つの光学系のそれぞれにおいて、第二光軸は、レンズマウント部のフランジ面202Fよりも物体側に配置されている。
【0041】
本実施形態によれば、基線長を適切に設定して自然な立体感を得ることが可能な小型のレンズ装置および撮像装置を提供するレンズ装置および撮像装置を提供することができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
200 レンズ装置
201R 右眼光学系(第一光学系)
201L 左眼光学系(第二光学系)
202 レンズマウント部
OA1R、OA1L 第一光軸
OA2R、OA2L 第二光軸
OA3R、OA3L 第三光軸
L1 基線長(第一光軸の間の距離)
L2 第三光軸の間の距離
ΦD レンズマウント部の直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7