【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6は、従来技術による同軸コネクタ組立体の構成を示す図であり、
図6(A)は、同軸コネクタ組立体の右側面図、
図6(B)は、同軸コネクタ組立体の背面図、
図6(C)は、
図6(B)のX−X矢視断面図である。
【0006】
図7は、従来技術による同軸コネクタ組立体を構成するプラグの内部構成を示す斜視分解組立図である。なお、本願の
図6と
図7は、特許文献1の
図5と
図2に相当している。
【0007】
図6を参照すると、従来技術による同軸コネクタ組立体CNは、プラグ8とリセプタクル9で構成している。プラグ8は、複数の同軸ケーブルCbの端末に接続している。リセプタクル9は、図示しないプリント基板に実装できる。リセプタクル9に対して、プラグ8を着脱できる。なお、
図6は、リセプタクル9とプラグ8が接続した状態を示している。
【0008】
図6を参照すると、プラグ8は、直方体状のハウジング8h、複数の中心コンタクト81、及び、中心コンタクト81と同数の円筒状のシェル82を備えている。ハウジング8hは、一端面から他端面に向けて貫通したケーブル挿入孔を開口している。ケーブル挿入孔は、二段二列に配列されている。ケーブル挿入孔には、中心コンタクト81及びシェル82付きの同軸ケーブルCbを一端面から挿入できる。
【0009】
図7を参照すると、同軸ケーブルCbは、単線又は撚線からなる円形の中心導体Wc、中心導体Wcの包囲するフッ素系樹脂などの誘電体Di、誘電体Diの周囲を覆う編組線などの外部導体Wb、及び、外部導体Wbを被覆保護する絶縁シースWiで構成している。なお、
図7では、同軸ケーブルCbの端末を端末処理した状態で示している。
【0010】
図6又は
図7を参照すると、中心コンタクト81は、雌端子81tを先端部に有している。中心コンタクト81は、その他端部を圧着により、中心導体Wcに固定している。更に、中心コンタクト81は、円筒状の誘電体81dを中間部に保持している。
【0011】
図6又は
図7を参照すると、プラグ8は、クリンプバレル83を更に備えている。クリンプバレル83は、一端部側にインシュレータバレル83iを有し、他端部側に導電バレル83cを有している。
【0012】
図6又は
図7を参照して、インシュレータバレル83iを絶縁シースWiの外周方向から圧着することで、同軸ケーブルCbの端末にクリンプバレル83を固定できる。シェル82の一端部側を外部導体Wbに被せ、シェル82の一端部側の外周方向から導電バレル83cを圧着することで、シェル82を同軸ケーブルCbの端末に固定できると共に、外部導体Wbとシェル82を電気的に接続できる。
【0013】
図6を参照すると、中心コンタクト81とシェル82は、同軸上に配置されている。中心コンタクト81の中間部に誘電体81dを備えることで、中心コンタクト81とシェル82の同軸度を担保できる。
【0014】
図6を参照すると、リセプタクル9は、直方体状のハウジング9hとメタルシェル92を備えている。又、リセプタクル9は、一組のL形の棒状の中心コンタクト91a・91bと一組の誘電体93a・93bを備えている。誘電体93aは、中心コンタクト91aの中間部を一体成形している。誘電体93bは、中心コンタクト91bの中間部を一体成形している。
【0015】
図6を参照すると、ハウジング9hは、メタルシェル92を内部に保持している。ハウジング9hには、その他端部側から一端部側に向けて、メタルシェル92が挿入されている。メタルシェル92は、一端面から他端面に向けて貫通した支持孔を開口している。支持孔は、二段二列に配列されている。
【0016】
図6を参照すると、メタルシェル92の下段の支持孔には、中心コンタクト91a付き誘電体93aが挿入されている。又、メタルシェル92の上段の支持孔には、中心コンタクト91b付き誘電体93bが挿入されている。これらの誘電体93a・93bは、メタルシェル92の他端部側(背面側)から挿入されている。
【0017】
図6を参照すると、中心コンタクト91aは、雄端子91tを先端部に有している。同様に、中心コンタクト91bは、雄端子91tを先端部に有している。雄端子91tは、雌端子81tの内部に進入でき、雌端子81tと電気的に接続できる。中心コンタクト91a・91bは、リード部を他端部に有している。これらのリード部は、図示しないプリント基板に設けたスルーホールにはんだ接合できる。
【0018】
図6を参照すると、リセプタクル9は、複数の円筒状のシェル94を備えている。シェル94の他端部側は、メタルシェル92と接触可能に、メタルシェル92の支持孔に圧入されている。シェル94の一端部側は、雄端子91tを同軸上に囲っている。リセプタクル9とプラグ8を接続すると、シェル94とシェル82を電気的に接続できる。
【0019】
図6を参照すると、リセプタクル9は、第1シールド板95と第2シールド板96を更に備えている。第1シールド板95は、メタルシェル92の背面を覆うように配置されている。第1シールド板95は、誘電体93bを介して、中心コンタクト91bを電磁遮蔽している。第2シールド板96は、誘電体93aと誘電体93bの間に配置されている。第2シールド板96は、誘電体93a・93bを介して、中心コンタクト91aと中心コンタクト91bを電磁遮蔽している。
【0020】
図6を参照すると、ハウジング8hは、ロックレバー81rを有している。ロックレバー81rは、ハウジング8hの上面に片持ち支持されている。ロックレバー81rは、ハウジング8hに一端部側(前方)から他端部側(後方)に向かって、ハウジング8hの上面に沿って延出している。ロックレバー81rは、ロック用の係止凸部811を中間部から突出している(
図6(C)参照)。
【0021】
図6を参照すると、ハウジング9hは、ロックレバー81rを導入できるラッチ部91rを有している。ラッチ部91rは、実体として、ロックレバー81rを導入できる受入開口である。
【0022】
図6(C)を参照して、プラグ8をリセプタクル9に向かって移動すると、ロックレバー81rをラッチ部91rに内部に進入できる。そして、ロックレバー81rが弾性復帰することで、係止凸部811をラッチ部91rの内壁に係止できる。これにより、プラグ8をリセプタクル9にロックできる。ロックレバー81rの後端部を押すことで、プラグ8とリセプタクル9のロックを解除できる。
【0023】
図7を参照すると、特許文献1によるプラグ8は、中心コンタクト81の先端部側に設けた雌端子81tの挿入口をスリット81sで分割した、いわゆる、接触ばねで構成している。接触ばねは、棒状の雄端子91tなどを挿入することによって発生する「こじり」などを緩和できる。
【0024】
しかしながら、
図7に示した従来技術による接触ばね形の雌端子81tは、その外径が先端部側で拡径している。このため、
図6(C)を参照すると、雌端子81tの周囲を囲うシェル82又はメタルシェル92と雌端子81tの間に介在する空気層に変動を生じている。このため、特性インピーダンスの整合に支障が発生することが心配される。又、従来技術による中心コンタクト81は、構成部品が多く、プラグ8が高コストになることが心配される。
【0025】
同軸ケーブルの中心導体と接続する中心コンタクトを有する同軸コネクタであって、中心コンタクトの先端部側に設けた雌端子の構造を工夫することで、特性インピーダンスの整合を向上でき、かつ、簡易な構成の中心コンタクトを有する同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0026】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、特性インピーダンスの整合を向上でき、かつ、簡易な構成の中心コンタクトを有する同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明者らは、接触ばねを設けた雌端子を有する中心コンタクトを略同じ外径で形成することで、特性インピーダンスの整合を向上できると考え、これに基づいて、以下のような新たな同軸コネクタを発明するに至った。
【0028】
(1)本発明による同軸コネクタは、中心導体、前記中心導体を包囲する誘電体、前記誘電体を覆う外部導体、及び、前記外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した同軸コネクタであって、一端面を開口すると共に、一端部を相手側同軸コネクタに導入でき、他端部を前記外部導体に接続した円筒状のシェルと、一端面から他端面に向けて貫通した支持孔を中心部に有し、前記シェルの内部に保持した誘電体筒と、前記誘電体筒の支持孔の内部に支持され、相手側の雄端子と接続できる雌端子を一端部側に有し、前記中心導体に接続した接続端子を他端部側に有する、筒状の中心コンタクトと、を備え、前記雌端子は、一つ以上のスリットで分割した接触ばねを有し、前記中心コンタクトは、相手側の雄端子と接触時に、前記接続端子を除き、前記雌端子を含んで略同じ外径で形成している。
【0029】
(2)前記接触ばねは、その挿入口の内壁が膨出していることが好ましい。
【0030】
(3)前記中心コンタクトは、金属板を円筒状に成形した円筒状コンタクトからなり、前記円筒状コンタクトは、前記接触ばねの挿入口が外周から内周に折り返していてもよい。
【0031】
(4)本発明による同軸コネクタは、前記絶縁シースを介して、前記シェルの他端部を前記外部導体に圧着により接続する圧着スリーブを更に備えていることが好ましい。