(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-52750(P2021-52750A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】食用製品をテンパリングするためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A23G 1/18 20060101AFI20210312BHJP
A23G 1/20 20060101ALI20210312BHJP
A23G 1/26 20060101ALI20210312BHJP
【FI】
A23G1/18
A23G1/20
A23G1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-161607(P2020-161607)
(22)【出願日】2020年9月28日
(31)【優先権主張番号】10 2019 126 354.9
(32)【優先日】2019年9月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2019 134 989.3
(32)【優先日】2019年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520310861
【氏名又は名称】カーヴェー パテンテ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クノーベル、グイド
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GP27
4B014GQ06
4B014GQ12
4B014GQ17
4B014GT20
(57)【要約】
【課題】食用製品をテンパリングするためのデバイスを提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの流し型6内に食用製品、特にチョコレート品が充填される前及び/又は充填された後でその流し型6内の食用製品をテンパリングするためのデバイスであり、流し型6のためのトレイ5が壁4に設けられるデバイスにおいて、テンパリング媒体が漏出することを可能にするために、流し型の上方及び下方で壁4にスロット11.1、11.2;13.1、13.2が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流し型(6)内に食用製品、特にチョコレート品が充填される前及び/又は充填された後で前記流し型(6)内の前記食用製品をテンパリングするためのデバイスであり、前記流し型(6)のためのトレイ(5)が壁(4)に設けられるデバイスであって、
テンパリング媒体が漏出することを可能にするために前記流し型の上方及び下方で前記壁(4)にスロット(11.1、11.2;13.1、13.2)が設けられることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記トレイ(5)が、プロファイルとして設計されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記トレイ(5)が、チャネル・セクション(7)を有し、前記チャネル・セクション(7)から、前記流し型(6)が上に載る縁部ストリップ(9.1、9.2)が、いずれの場合にも側方に突出し、また、前記チャネル・セクション(7)が、前記壁(4)に向かって開口していることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記流し型(6)の下方で前記チャネル・セクション(7)の高さに下部スロット(11.1、11.2)が設けられることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記下部スロット(11.1、11.2)の下縁部(14)が、チャネル底部(8)のレベルに位置することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
Z形状のレール・プロファイル(12)が、前記チャネル・セクション(7)の少なくとも1つの側方縁部ストリップ(9.1)に接続されることを特徴とする、請求項3から5までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記上部スロット(13.1、13.2)が、基本的に前記流し型(6)の幅にわたって延在する、請求項3から6までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記トレイ(5)が、前記壁(4)に当接し、且つ、おおよそ90°の角度で前記壁(4)から突出し、それにより前記トレイ(5)と前記壁(4)との間の隙間が閉塞されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記壁(4)が、前記テンパリング媒体が導入され得る閉鎖された壁箱(1)の一部であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの吸気ファン(3.1〜3.3)が、前記壁箱(1)に割り当てられることを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの流し型内に食用製品、特にチョコレート品が充填される前及び/又は充填された後でその流し型内の食用製品をテンパリングするためのデバイスであって、流し型のためのトレイが壁に設けられる、デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
加工ステーションにおいて個々の分離したトレイが流し型のために提供される上述のタイプのデバイスが、DE102018103736.8から知られている。これらの流し型は、ロボットによって取り扱われる。トレイは、点において又は線においてのみ、流し型と接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE102018103736.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述のデバイスを、特に必要とされる衛生状態に関して改良することであり、またそれに加えて、テンパリング媒体による処理を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
目的に対する解決策は、テンパリング媒体が漏出することを可能にするために流し型の上方及び下方で壁にスロットを設けることである。
【0006】
流し型の上方及び下方でのスロットの配置は、流し型へのテンパリング媒体の特異的な適用をもたらす。後で説明されるように、スロットの形状及び配置は、本発明において重要な役割を果たす。
【0007】
トレイは、プロファイルとして設計されるべきである。トレイは任意の材料で作られ得るが、当然ながら、ステンレス鋼などの手入れしやすい材料が好ましい。トレイを作製するために材料が使用される場合、対応する金属ストリップを所望に応じて折り畳むことが勧められる。好ましい実施例では、プロファイルは、チャネル・セクションを有するべきであり、このチャネル・セクションから、流し型が上に載る縁部ストリップが、各側において突出し、また、チャネル・セクションは、壁に向かって開口している。これは、流し型の主要部分がテンパリング媒体にとってアクセスしやすいままであるように流し型が縁部ストリップによってのみ支持されることを意味する。前方にのみ開口する、横方向に閉じられた空間が、流し型の下に形成され、この空間内には、壁に成形された下部及び上部のスロットが開く。これは、テンパリング媒体が、流し型の下方でこの空間内にある程度捕捉され、したがって流し型の底部及び頂部を集中的に洗うことを意味する。冷却用テンパリング媒体が使用される場合、冷却用テンパリング媒体は、即座に沈み込むのではなく、流し型の底部に接触するように上方に押される。そこで、冷却用テンパリング媒体は、その冷却効果を十分な程度まで高めることができる。流し型の下の空間はまた、開口していてよい。
【0008】
本発明の好ましく且つ本質的な特徴は、下部スロットの下側縁部がチャネル底部のレベルに位置することである。これは、例えば、プロファイル全体また特にプロファイルの底部を洗浄するために使用される洗浄剤が、壁を通って逆流することができ、且つ、一般に壁から直角に突出する壁とプロファイルとの間の移行領域に残らないことを意味する。これは、プロファイルの完全且つ集中的な洗浄を可能にする。
【0009】
Z形状のレール・プロファイルがチャネル・セクションの少なくとも1つの側方縁部ストリップに接続されることが、好ましい。このレール・プロファイルは、望ましい所定の配置において流し型がトレイ上に保持されるように、流し型の移動範囲を制限する。
【0010】
上部スロットは、好ましくは、基本的に流し型の幅にわたって延在するべきである。冷却用テンパリング媒体が使用される場合、冷却用テンパリング媒体は、上部スロットの幅により、規則的な分布で上側のスロットから流し型上に落ち、その結果、流し型の冷却は一様になる。
【0011】
本発明の好ましい実施例では、下部スロットは、上側のスロットよりも狭い幅を有するであろう。これは、テンパリング媒体が漏出するのが上部スロットからよりも下部スロットからの方が少ないことを意味する。これは、流し型の下方の下部スロットからのテンパリング媒体はプロファイル及び流し型によって形成された空間内に捕捉され、一方で、上部スロットからのテンパリング媒体は流し型上を自由に流れるという事実を考慮に入れる。そのため、流し型のテンパリングを均一にするために、流し型の下方よりも流し型の上方により多くのテンパリング媒体が必要とされる。上部及び下部のスロットは、同じサイズであってもよい。
【0012】
本発明は、上述のように、トレイが壁に当接し且つおおよそ90°の角度で壁から突出し、それによりトレイと壁との間の隙間が閉塞されることを実現する。金属製のプロファイル・ストリップがトレイとして使用される場合、トレイを壁に直接溶接することが勧められ、それにより、溶接継ぎ目は、汚れ又は洗浄剤がトレイと壁との間の領域に集積しないように設計され得る。例えば、溶接継ぎ目は、壁からプロファイルに向かって傾斜され得る。
【0013】
1つの実施例では、壁は、テンパリング媒体が導入され得る閉鎖された壁箱(wall box)の一部とされ得る。これは、閉鎖された壁箱内のテンパリング媒体が、僅かに圧力をかけられ、したがって低圧下でスロットから現れもすることを意味する。上部スロットの幅は下部スロットの幅よりも大きいので、上部スロットからテンパリング媒体が出て行くのは、下部スロットから出て行くのよりも遅い。これは、テンパリング媒体が上部スロットから流し型の上により円滑に落ちる一方で、流し型の底部は下部スロットからのテンパリング媒体によってより集中的に洗い流されることを意味する。この目的のために、下部スロットを流し型底部に向けてより上向きに配向することも実現することができ、そのために、追加の案内要素が配置されてもよい。上部及び下部のスロットは、同じサイズであってもよい。
【0014】
壁箱内の過剰圧力、及び、出口スロットの的確な寸法決めにより、僅かな過剰圧力の維持が、スロットを通過する空気のほぼ一様な流出を空気バッフルなしで確実にする。壁箱は、空気バッフルを伴わずに完全に中空である。そのため、洗浄するのがより容易であり、これは、衛生状態を相当に向上させる。
【0015】
壁箱内にテンパリング媒体を導入する方法には多くのものが考えられ、それらの方法は本発明によってカバーされる。好ましい実施例では、少なくとも1つの吸気ファンが壁箱に割り当てられることが意図されている。この吸気ファンは、テンパリング媒体を吸い込んで、壁箱内に押し込む。
【0016】
本発明のさらなる利点、特徴、及び詳細は、好ましい実施例に関する以下の説明から、また、図面から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による食用製品をテンパリングするためのデバイスの正面斜視図である。
【
図2】
図1によるデバイスの真正面図(direct front view)からの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1によれば、本発明による食用製品をテンパリングするためのデバイスが、壁箱1を有し、壁箱1は、この例示的な実施例では直方体として示されている。壁箱1の内側は中空であり、基本的に全体にわたって閉鎖されている。
【0019】
3つのファン3.1、3.2、及び3.3が、上部カバー2に組み込まれる。これらのファンは、例えば、テンパリング媒体を吸い込んで壁箱1内に押し込む吸気ファンであってよい。当然ながら、テンパリング媒体は、別の方法で壁箱1内に充填されてもよい。例えば、より多い又はより少ないファンが組み込まれてもよい。
【0020】
壁箱1は、複数のトレイ5が配置される壁4を有する。使用位置では、これらのトレイ5は、処理されるべき流し型6を支持する。
【0021】
図2では、トレイ5は、よりよく目に見える。示された実施例では、トレイ5は、隣接する2つの流し型6.1及び6.2を担持するために使用される。当然ながら、トレイは、1つだけの流し型又は幾つかの流し型を担持してもよい。
【0022】
各トレイ5は、所望の態様で折り畳まれたプロファイルから構成される。実施例では、チャネル・セクション7が、チャネル底部8及び少なくとも1つの縁部ストリップ9を有して形成される。流し型6は、前方に開口する空間10が縁部ストリップ9.1及び9.2、チャネル底部8、並びに流し型6によって形成されるように、縁部ストリップ9の上に載る。幅b1を有する2つのスロット11.1及び11.2が、この空間10内へ開く。
【0023】
流し型6の側方境界として機能するZ形状のレール・プロファイル12が、縁部ストリップ9.1の脇に取り付けられる。
【0024】
流し型6の上方には、幅b1よりも大きい幅b2を有する2つの上部スロット13.1及び13.2が設けられる。
【0026】
テンパリングのために、流し型6は、手作業で又は取扱デバイスを用いて、トレイ5上に配置される。次いで、ファン3.1〜3.3は、テンパリング媒体として空気を吸い込み、それを壁箱1に押し込む。このテンパリング媒体は、下部スロット11.1及び11.2から、並びに上部スロット13.1及び13.2から出て行く。上部スロット13.1及び13.2から現れるテンパリング媒体は、流し型6の表面上に落ちて、テンパリングのために均一に分配される。このことは、流し型の幅のほぼ全体にわたって延在する上部スロット13.1及び13.2のより大きな幅b1によっても支持される。
【0027】
下部スロット11.1及び11.2からのテンパリング媒体は、前方にのみ開口している空間10に入り、したがって、この空間10内にある程度まで捕捉され、その結果、テンパリング媒体は、流し型6の底部に接触するように上方に押される。これは、そこでのテンパリングプロセスを支持する。上部スロット13.1及び13.2の幅b2と比較してより小さな下部スロット11.1及び11.2の幅b1を選択することにより、テンパリング媒体は、下方から流し型6の底部にぶつかって均一に流れるように、空間10内へ僅かに加速されて出て行く。このこともまた、流し型のテンパリングの一様性に貢献する。一般に、このことは冷却に関与する。
【0028】
下部スロット11.1及び11.2の下縁部14がチャネル底部8の表面15と同じレベルに位置することも分かる。これは、汚れ又は洗浄剤が、チャネル・セクション7が壁4に突き当たるチャネル・セクション7の領域に残り得ず、その代わりに下部スロット11.1又は11.2を通って逆流することを意味する。これは、トレイ5の洗浄能力を相当に向上させる。
【外国語明細書】