【解決手段】配列番号3、又は配列番号3と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒト重鎖可変免疫グロブリンドメイン(V
配列番号3、又は配列番号3と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒト重鎖可変免疫グロブリンドメイン(VH)を含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
前記CDR1配列が配列番号1又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含み、前記CDR2配列が配列番号2、又は配列番号2と少なくとも70%、80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む、請求項1又は2に記載の結合分子。
前記CDR1が配列番号1、5、9、13、17、21、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161、165、169、173、177、181、185、189、193、197、201、205、209、213、217、221、225、229、233、237、241、245、438、442、446、450、454、458又は462のアミノ酸配列を含む又はのみからなり、
前記CDR2が配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、74、78、82、86、90、94、98、102、106、110、114、118、122、126、130、134、138、142、146、150、154、158、162、166、170、174、178、182、186、190、194、198、202、206、210、214、218、222、226、230、234、238、242、246、439、443、447、451、455、459又は463のアミノ酸配列を含む又はのみからなり、
前記CDR3が配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、55、59、63、67、71、75、79、83、87、91、95、99、103、107、111、115、119、123、127、131、135、139、143、147、151、155、159、163、167、171、175、179、183、187、191、195、199、203、207、211、215、219、223、227、231、235、239、243、247、440、444、448、452、456、460又は464のアミノ酸配列を含む又はのみからなる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の結合分子。
前記結合分子中、前記CDR1が配列番号1であり、前記CDR2が配列番号2であり、前記CDR3が配列番号3である、又は前記CDR1が配列番号5であり、前記CDR2が配列番号6であり、前記CDR3が配列番号7である、又は前記CDR1が配列番号9であり、前記CDR2が配列番号10であり、前記CDR3が配列番号11である、又は前記CDR1が配列番号13であり、前記CDR2が配列番号14であり、前記CDR3が配列番号15である、又は前記CDR1が配列番号17であり、前記CDR2が配列番号18であり、前記CDR3が配列番号19である、又は前記CDR1が配列番号21であり、前記CDR2が配列番号22であり、前記CDR3が配列番号23である、又は前記CDR1が配列番号25であり、前記CDR2が配列番号26であり、前記CDR3が配列番号27である、又は前記CDR1が配列番号29であり、前記CDR2が配列番号30であり、前記CDR3が配列番号31である、又は前記CDR1が配列番号33であり、前記CDR2が配列番号34であり、前記CDR3が配列番号35である、又は前記CDR1が配列番号37であり、前記CDR2が配列番号38であり、前記CDR3が配列番号39である、又は前記CDR1が配列番号41であり、前記CDR2が配列番号42であり、前記CDR3が配列番号43である、又は前記CDR1が配列番号45であり、前記CDR2が配列番号46であり、前記CDR3が配列番号47である、又は前記CDR1が配列番号49であり、前記CDR2が配列番号50であり、前記CDR3が配列番号51である、又は前記CDR1が配列番号53であり、前記CDR2が配列番号54であり、前記CDR3が配列番号55である、又は前記CDR1が配列番号57であり、前記CDR2が配列番号58であり、前記CDR3が配列番号59である、又は前記CDR1が配列番号61であり、前記CDR2が配列番号62であり、前記CDR3が配列番号63である、又は前記CDR1が配列番号65であり、前記CDR2が配列番号66であり、前記CDR3が配列番号67である、又は前記CDR1が配列番号69であり、前記CDR2が配列番号70であり、前記CDR3が配列番号71である、又は前記CDR1が配列番号73であり、前記CDR2が配列番号74であり、前記CDR3が配列番号75である、又は前記CDR1が配列番号77であり、前記CDR2が配列番号78であり、前記CDR3が配列番号79である、又は前記CDR1が配列番号81であり、前記CDR2が配列番号82であり、前記CDR3が配列番号83である、又は前記CDR1が配列番号85であり、前記CDR2が配列番号86であり、前記CDR3が配列番号87である、請求項5に記載の結合分子。
配列番号251、又は配列番号251と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
前記CDR1配列が配列番号249又はこれと少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含み、CDR2配列が配列番号250又はこれと少なくとも70%、80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を有する、請求項9又は10に記載の結合分子。
前記CDR1が配列番号249、253、257、261、265、269、273、277又は281のアミノ酸配列を含み、前記CDR2が配列番号250、254、258、262、266、270、274、278又は282のアミノ酸配列を含み、前記CDR3が配列番号251、255、259、263、267、271、275、279又は283のアミノ酸配列を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の結合分子。
前記結合分子中、前記CDR1が配列番号249であり、CDR2が配列番号250であり、CDR3が配列番号251である、又はCDR1が配列番号253であり、CDR2が配列番号254であり、CDR3が配列番号255である、又はCDR1が配列番号257であり、CDR2が配列番号258であり、CDR3が配列番号259である、又はCDR1が配列番号261であり、CDR2が配列番号262であり、CDR3が配列番号263である、又はCDR1が配列番号265であり、CDR2が配列番号266であり、CDR3が配列番号267である、又はCDR1が配列番号269であり、CDR2が配列番号270であり、CDR3が配列番号271である、又はCDR1が配列番号273であり、CDR2が配列番号274であり、CDR3が配列番号275である、又はCDR1が配列番号277であり、CDR2が配列番号278であり、CDR3が配列番号279である、又はCDR1が配列番号281であり、CDR2が配列番号282であり、CDR3が配列番号283である、請求項9から12のいずれか一項に記載の結合分子。
配列番号287、又は配列番号287と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
前記CDR1配列が配列番号285又はこれと少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含み、前記CDR2配列が配列番号286又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む、請求項16又は17に記載の結合分子。
前記結合分子中、前記CDR1が配列番号289、293、297、301、305、309、313、317、321、325、329、333又は337のアミノ酸配列を含む又はのみからなり、CDR2が配列番号290、294、298、302、306、310、314、318、322、326、330、334又は338のアミノ酸配列を含む又はのみからなり、CDR3が配列番号291、295、299、303、307、311、315、319、323、327、335又は339のアミノ酸配列を含む又はのみからなる、請求項16から18のいずれか一項に記載の結合分子。
配列番号343、又は配列番号343と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
配列番号341又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を有するCDR1配列と、配列番号342又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を有するCDR2配列とを含む、請求項23又は24に記載の結合分子。
配列番号347、又は配列番号347と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
配列番号345又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を有するCDR1配列と、配列番号346又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を有するCDR2配列とを含む、請求項27又は28に記載の結合分子。
自己免疫疾患、炎症性状態、アレルギー及びアレルギー状態、過敏反応、重度感染症、及び臓器又は組織移植拒絶を治療するための方法であって、有効量の請求項1から37のいずれか一項に記載の結合分子又は請求項38若しくは39に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
自己免疫疾患、炎症性状態、アレルギー及びアレルギー状態、過敏反応、重度感染症、及び臓器又は組織移植拒絶の治療に使用するための、請求項1から37のいずれか一項に記載の結合分子又は請求項38若しくは39に記載の医薬組成物。
自己免疫疾患、炎症性状態、アレルギー及びアレルギー状態、過敏反応、重度感染症、及び臓器又は組織移植拒絶を治療するための医薬品の製造における請求項1から37のいずれか一項に記載の結合分子又は請求項38若しくは39に記載の医薬組成物の使用。
前記疾患が乾癬、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、骨関節炎、若年性関節リウマチ、脊椎関節症、全身硬化症、突発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少症、甲状腺炎、糖尿病、免疫媒介腎疾患、中枢神経系及び末梢神経系の脱髄性疾患、例えば、多発性硬化症、突発性脱髄性多発性ニューロパチー又はギランバレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー、肝胆道疾患、例えば、感染性、自己免疫慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎及び硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、グルテン過敏性腸疾患及びウィップル病、水泡性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎等の自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患、アレルギー性疾患、例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー及び蕁麻疹、肺の免疫疾患、例えば、好酸球性肺炎、突発性肺線維症及び過敏性肺炎、自己免疫血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び突発性血小板減少症を含む)、自己免疫炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸症候群を含む)、移植関連疾患(移植片拒絶及び移植片対宿主病を含む)から選択される、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法、請求項44から46のいずれか一項に記載の結合分子、又は請求項47から49のいずれか一項に記載の使用。
ヒトIL-17A活性を低下させるインビボ又はインビトロ方法であって、ヒトIL-17Aを請求項1から37のいずれか一項に記載の結合分子と接触させる工程を含むインビボ又はインビトロ方法。
免疫測定法によって試験試料中のIL-17Aの存在を判定する方法であって、前記試料を請求項1から37のいずれか一項に記載の結合分子及び少なくとも1つの検出可能な標識と接触させる工程を含む方法。
請求項1から36のいずれか一項に記載の結合分子を製造する方法であって、宿主細胞中で前記結合分子をコードする核酸を発現させる工程と、前記宿主細胞培養物から前記結合分子を単離する工程とを含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明をここで更に説明する。以下の一節で、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。明らかに反対の指示がない限り、こうして定義される各態様を任意の他の態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴を、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴と組み合わせることができる。
【0046】
一般に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、病理学、腫瘍学、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質及び核酸化学、並びにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、及びそれらの技術は当分野で周知であり、一般的に使用されるものである。本開示の方法及び技術は一般的に、特に指示しない限り、当分野で周知の従来方法に従って、及び本明細書の全体にわたって引用され、論じられる種々の一般的でより具体的な参考文献に記載されるように、行われる。例えば、Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))を参照されたい。酵素反応及び精製技術は、当分野で一般的に達成される又は本明細書で記載されるように、製造業者の仕様書に従って行われる。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、医薬及び製薬化学に関連して使用される命名法、並びにそれらの実験室手順及び技術は当分野で周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術が化学合成、化学分析、医薬調製、製剤、及び送達、及び患者の治療に使用される。
【0047】
サイトカインのIL-17ファミリーは6つのメンバー、IL-17/IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E/IL-25及びIL-17Fを含み、これらは複数の細胞型によって産生されている。このファミリーのメンバーは、システインノットフォールド(cysteine-knot fold)構造を含む高度に保存されたC末端を有する。非共有結合ホモ二量体として分泌されるIL-17Bを除いて、ほとんどのIL-17タンパク質がジスルフィド結合二量体として分泌される。
【0048】
IL-17ファミリーサイトカインによるシグナル伝達は、IL-17受容体ファミリー、IL-17 R/IL-17 RA、IL-17 B R/IL-17 RB、IL-17 RC、IL-17 RD及びIL-17 REのメンバーによって媒介される。これらの受容体の活性化によって、炎症促進性サイトカイン及び抗微生物ペプチドの産生を誘導する細胞内経路が誘因される。IL-17A、IL-17F及びIL-17A/Fは、主に活性化T細胞によって産生され、IL-17 RA及びIL-17 RCからなるオリゴマー形成受容体複合体を通してシグナルを伝達する。この複合体に結合したリガンドが、細胞内アダプタータンパク質、Act1及びTRAF-6の動員、並びに転写因子、NFκB、AP-1及びC/EBPの下流活性化をもたらす。IL-17Eは、IL-17 RA及びIL-17 B R/IL-17RBによって形成される受容体複合体を通して同様のシグナル伝達経路を活性化する。IL-17Eによるシグナル伝達は、Th2型免疫反応を誘導し、喘息の発病の促進に関与し得る。他のIL-17ファミリーサイトカインによって活性化されるシグナル伝達経路についてはあまり知られていない。近年の研究により、IL-17Cが主に上皮細胞によって産生され、IL-17 RA及びIL-17 REからなる受容体複合体に結合することが示唆されている。上皮細胞におけるIL-17Cによる自己分泌シグナル伝達は、抗菌ペプチド及び炎症促進性サイトカインの産生を刺激するが、IL-17Aのように、IL-17Cの過剰発現は自己免疫疾患の発症に寄与し得る。IL-17Eと同様に、IL-17BはIL-17 B R/IL-17 RBに結合するが、IL-17Bシグナル伝達の主な標的細胞及び効果は報告されていない。更に、IL-17Dの受容体及びIL-17 RDのリガンドは現在知られていない。
【0049】
本発明は、全てヒトIL-17Aに結合することができる単離されたIL-17A結合分子、前記結合分子を含む、特に局所投与用の医薬組成物及び製剤、並びに前記結合分子をコードする単離された核酸、前記結合分子を生成するための前記核酸を含む組換え発現ベクター及び宿主細胞を提供する。ヒトIL-17Aを検出するため、インビトロ又はインビボでヒトIL-17Aを阻害するため、及び疾患を治療する方法において、本明細書に開示される結合分子を使用する方法も本発明によって提供される。本発明の一態様は、単離されたヒト抗ヒトIL-17A結合分子、具体的には高い親和性、遅い解離速度(off rate)及び高い中和能でヒトIL-17Aに結合する少なくとも1つの単一ドメイン抗体を含む又はからなるものを提供する。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、結合分子が、ヒトIL-17Aに特異的に結合することができ、ヒトIL-17ファミリーのメンバーと交差反応せず、実質的な結合も示さない。望ましくない交差反応性による副作用が低減されるので、本発明の結合分子によって示されるヒトIL-17Aホモログとのこの限られた交差反応性はその治療及び/又は診断用途にとっての利点を提供する。これは、治療的施用のための投与における利点も提供する。よって、本発明の結合分子は、ヒトIL-17Aに結合することができる/ヒトIL-17Aに関する。
【0051】
本発明のIL-17A結合分子は、ヒトIL-17A(シグナルペプチドを含む全長前駆体IL-17Aを示す登録番号Q16552(Swiss-Prot)、配列番号465)及び/又はカニクイザルIL-17(Uniprot G7P4U9)に結合する。ヒトIL-17Aは、2本の155アミノ酸鎖からなるホモ二量体である。各ポリペプチド鎖が、切断されて132残基の成熟ポリペプチドを産生する23アミノ酸N末端ペプチドを含む。IL-17AはIL-17受容体A及びCに結合し、これらの活性化を介してその効果を及ぼす。
【0052】
配列番号465
MTPGKTSLVSLLLLLSLEAIVKAGITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVA
【0053】
「IL-17結合分子」、「IL-17結合タンパク質」、「抗IL-17単一ドメイン抗体」又は「抗IL-17抗体」という用語は全て、ヒトIL-17A抗原に結合することができる分子を指す。よって、本明細書で使用される場合、IL-17は通常、特に明言しない限り又は文脈上別段の解釈が必要でない限り、IL-17Aを指す。結合反応は、例えば、関連のない特異性の抗体での陰性対照試験を参照したIL-17とその受容体の結合の阻害を測定するための結合アッセイ、競合アッセイ若しくはバイオアッセイ又は任意の種類の結合アッセイを含む、標準的な方法(定量的アッセイ)によって示され得る。「IL-17結合分子」という用語は、ヒトIL-17Aに結合することができるIL-17結合タンパク質又はその一部を含む。
【0054】
本発明は、Table 1(表1)〜Table 5(表5)を参照して
図1〜
図5のいずれかに示されるCDR3配列又はこれと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%若しくはそれ超の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変免疫グロブリンドメイン(V
H)を含む、ヒトIL-17Aに結合することができる単離された結合分子に関する。一実施形態では、結合分子が、Table 1(表1)〜Table 5(表5)を参照して
図1〜
図5のいずれかのクローンのいずれかについて示されるCDR1、2及び3配列のセットから選択されるCDR1、2及び3配列のセットを含む。一実施形態では、結合分子が、Table 1(表1)〜Table 5(表5)を参照して
図1〜
図5のいずれかのクローンのいずれかについて示されるCDR1、2及び3配列のセットから選択されるCDR1、2及び3配列のセットを有するV
Hドメインを含む。一実施形態では、結合分子が重鎖のみの抗体である。
【0055】
別の態様では、本発明は、ヒトIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む単離された結合分子であって、前記ドメインはV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子は少なくとも1つの抗原結合部位を含む結合分子に関する。
【0056】
一実施形態では、結合分子が、ヒトIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体であって、前記ドメインはTable 1(表1)〜Table 5(表5)を参照して
図1〜
図5のいずれかに示されるCDR3配列又は前記CDR配列と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%若しくはそれ超の配列同一性を有するCDR3配列を含むV
Hドメインである免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含み得る。
【0057】
一実施形態では、前記少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体が、Table 1(表1)〜Table 5(表5)を参照して
図1〜
図5のいずれかのクローンのいずれかについて示されるCDR1、2及び3配列のセットから選択されるCDR1、2及び3のセット又はCDR1、2及び3配列のセットを有するV
Hドメインを含む。別の実施形態では、結合分子が、クローン1.1〜1.69、2.1〜2.9、3.1〜3.14、4.1又は5.1から選択されるクローンについて示されるV
Hドメインを含む又はからなる。
【0058】
一実施形態では、前記配列相同性又は同一性が少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%である。
【0059】
「相同性」とは、一般的に、配列の整列後、いくつかの実施形態では、必要な場合、最大の相同性%を達成するためにギャップ導入後に比較するポリペプチドの残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合を指し、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない。N若しくはC末端伸長も、タグも挿入も、同一性又は相同性を減少されると解釈されないものとする。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは周知である。
【0060】
「抗体」という用語は、広義に、4本のポリペプチド鎖、2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖で構成される任意の免疫グロブリン(Ig)分子若しくはその抗原結合部分、又はIg分子の必須のエピトープ結合特徴を保持するその任意の機能的断片、突然変異体、変異体若しくは誘導体を指す。このような突然変異体、変異体又は誘導体抗体フォーマットは当分野で公知である。全長抗体では、各重鎖が重鎖可変領域(本明細書でHCVR又はV
Hと略される)及び重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は3つのドメイン、C
H1、C
H2及びC
H3で構成される。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書でLCVR又はV
Lと略される)及び軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は1つのドメイン、C
Lで構成される。V
H及びV
L領域は、より保存されたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域が点在している相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に更に細分することができる。各V
H及びV
Lは、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端まで配列された3つのCDR及び4つのFRで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。免疫グロブリン分子は任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスであり得る。
【0061】
一定の実施形態では、本発明の単離された結合分子が、少なくとも1つの単一ドメイン抗体を含む又はからなり、前記ドメインがV
Hドメインである。よって、一態様では、本発明の結合分子が、V
Hドメインを有するが、V
Lドメインがない少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変重鎖ドメイン抗体(sVD、sdAB又はISV)を含む又はからなる。
【0062】
単一ドメイン抗体は当分野で記載されている;これらはその相補性決定領域が単一ドメインポリペプチド、例えば、V
Hドメインポリペプチドの一部である抗体である。
【0063】
本明細書で更に記載されるように、結合分子は2つ以上のV
Hドメインを含み得る。このような結合分子は更に詳細に説明されるように単一特異性又は多特異性、一価又は多価であり得る。
【0064】
単一ドメイン抗体を含む結合分子であって、前記ドメインがV
Hドメインである結合分子はHumabody(登録商標)V
Hとも呼ばれる。
【0065】
よって、本発明のいくつかの実施形態では、結合分子が軽鎖を含まない。いくつかの実施形態では、結合分子が重鎖ドメインC
H2及びC
H3を含まない。いくつかの実施形態では、結合分子がヒンジ領域と重鎖ドメインC
H2及びC
H3を含まない。いくつかの実施形態では、結合分子が重鎖ドメインC
H1、C
H2及びC
H3を含まない。いくつかの実施形態では、結合分子が重鎖ドメインC
H1、ヒンジ領域重鎖ドメインC
H2及び重鎖ドメインC
H3を含まない。いくつかの実施形態では、結合分子が軽鎖、重鎖ドメインC
H1、ヒンジ領域重鎖ドメインC
H2及び重鎖ドメインC
H3を含まない。
【0066】
各V
Hドメインは、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端まで配列された3つのCDR及び4つのFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。V
Hフレームワークへの修飾を行って結合特性を改善することができる。例えば、V
HドメインはC又はN末端伸長を含み得る。本発明の結合分子の一実施形態では、V
Hドメインが1〜10、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の追加のアミノ酸のC末端伸長を含む。一実施形態では、V
Hドメインが、C
H1ドメインの1〜12個のアミノ酸残基、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の追加のアミノ酸のC末端伸長を含む。一実施形態では、前記伸長が少なくとも1個のアラニン残基、例えば、単一アラニン残基、アラニン残基のペア又はアラニン残基のトリプレットを含む。このような伸長V
Hドメインは本発明の範囲内にある。追加のC又はN末端残基、例えば、リンカー残基及び/又はHisタグ、例えば、ヘキサ-Hisを含むV
Hドメインも本発明の範囲内にある。
【0067】
好ましくは、1つ又は複数のV
HドメインがヒトV
Hドメインである。本明細書で使用される場合、ヒトV
Hドメインは、ヒトV
Hドメインアミノ酸又は核酸配列に由来する又は基づくV
Hドメインを含む。よってこの用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変重鎖領域を含む。本明細書で使用される場合、ヒトV
Hドメインという用語は、特に対象となる抗原による免疫化に反応して、ヒト免疫グロブリンV遺伝子を発現するトランスジェニックマウスから単離されたV
Hドメインを含む。本発明のヒトV
Hドメインは、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロで、例えば、ランダム若しくは部位特異的突然変異誘発によって導入される、又はインビボで体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含み得る。そのため、「ヒトV
Hドメイン」という用語は、修飾されたヒトV
H配列も含む。
【0068】
よって、本発明は、IL-17Aに結合することができる/に対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む結合分子であって、前記ドメインはヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子は少なくとも1つの抗原結合部位を含む結合分子を提供する。単一ドメイン抗体は特異的にヒトIL-17Aに対するものである。
【0069】
本明細書で使用される場合、V
H又は「可変ドメイン」という用語は、Kabat等、Sequences of Immunological Interest、第5版、U.S. Dept. Health & Human Services、Washington, D.C.(1991)によって定義される免疫グロブリン可変ドメインを指す。可変ドメイン内のCDRアミノ酸残基の番号付け及び位置決めは、周知のKabat番号付け慣習による。
【0070】
より具体的には、本発明は、本明細書に更に記載される親和性、Kon速度、Koff速度及び/又はKAでヒトIL-17に結合することができるV
H免疫グロブリンドメインを提供する。
【0071】
本発明の結合分子は、本明細書に示されるアミノ酸配列を含む又はからなり、その好ましい配列及び/又は部分、例えば、CDRが本明細書に定義される。
【0072】
「CDR」という用語は、抗体可変配列中の相補性決定領域を指す。可変領域のそれぞれについて、CDR1、CDR2及びCDR3と示される重鎖及び軽鎖の可変領域の各々の中の3つのCDRが存在する。「CDRセット」という用語は、抗原に結合することができる単一可変領域中に生じる3つのCDRのグループを指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムによって異なって定義されている。Kabatによって記載されるシステムが本明細書で使用される。「Kabat番号付け」、「Kabat定義」及び「Kabat標識」という用語は、本明細書で互換的に使用される。当分野で認識されているこれらの用語は、抗体又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域中の他のアミノ酸残基よりも可変性(すなわち、超可変性)であるアミノ酸残基を番号付けするシステムを指す(Kabat等(1971) Ann. NY Acad. Sci. 190:382〜391及びKabat等(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No.93-3242)。
【0073】
実験部でより詳細に記載されるように、5つの親結合分子を単離した(5つのクローンファミリーが得られた:クローン1.1は
図1に示されるファミリー1のついての親クローンであり、クローン2.1は
図2に示されるファミリー2についての親クローンであり、クローン3.1は
図3に示されるファミリー3についての親クローンであり、クローン4.1は
図4に示されるファミリー4についての親クローンであり、クローン5.1は
図5に示されるファミリー5についての親クローンである);各親分子は
図1、
図2、
図3、
図4及び
図5に示されるCDR配列(CDR1、2及び3)のセットを有している。最適化の工程を通して、親CDR3配列に由来するCDR3配列を有するクローンのパネルを、ファミリー1、2、3、4及び5の各々について作成した。最適化V
Hドメイン配列は、実施例に示される親分子と比較して、改善したIL-17Aに対する親和性及び改善したIL-17細胞ベースのアッセイにおける効力を示す。
【0074】
一態様では、本発明は、ファミリー1又はファミリー1様配列を含むヒトV
Hドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子に関する。
【0075】
一実施形態では、結合分子が、IL-17A、好ましくはヒトIL-17Aに結合することができる/に対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなり、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子がファミリー1又はファミリー1様配列を含む。これらは、親クローン(クローン1.1、配列番号4)又はその一部の配列、例えば、CDR3配列、及び最適化の工程を通して親クローン1.1から得られるクローンの配列、例えば、
図1に示される配列を含む。ファミリー1のクローンのCDR配列又はその一部、及び全長V
H配列は以下に示されるTable 1(表1)に従って番号付けされる。
【0078】
一態様では、本発明は、配列番号3、又は配列番号3と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトV
Hドメインを含むファミリー1又はファミリー1様結合分子に関する。
【0079】
一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様結合分子がIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体であって、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記ヒトV
Hドメインが配列番号3、又は配列番号3と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む。
【0080】
これらの態様の一実施形態では、相同性が配列番号3と少なくとも90%の相同性である。
【0081】
一実施形態では、V
Hドメインが、配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、55、59、63、67、71、75、79、83、87、91、95、99、103、107、111、115、119、123、127、131、135、139、143、147、151、155、159、163、167、171、175、179、183、187、191、195、199、203、207、211、215、219、223、227、231、235、239、243又は247、440、444、448、452、456、460又は464から選択されるアミノ酸配列を含む又はからなるCDR3配列を含む。
【0082】
一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様結合分子が、CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含み、前記CDR1がアミノ酸配列、配列番号1又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含み、前記CDR2がアミノ酸配列、配列番号2又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含み、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号3又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む。例えば、CDR配列は、
図1に示される配列の1つから選択されるCDR配列であり得る。
【0083】
一実施形態では、前記CDR1が、配列番号1又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列に示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、配列番号2又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列に示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR3が、配列番号3又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性を有する配列に示されるアミノ酸配列を含む又はからなる。
【0084】
一実施形態では、V
HドメインのCDR配列が
図1に示されるクローン1.1〜1.69について示される通りである又はその組み合わせである。一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号1、5、9、13、17、21、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161、165、169、173、177、181、185、189、193、197、201、205、209、213、217、221、225、229、233、237、241、245、438、442、446、450、454、458又は462を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、74、78、82、86、90、94、98、102、106、110、114、118、122、126、130、134、138、142、146、150、154、158、162、166、170、174、178、182、186、190、194、198、202、206、210、214、218、222、226、230、234、238、242、246、439、443、447、451、455、459又は463を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、55、59、63、67、71、75、79、83、87、91、95、99、103、107、111、115、119、123、127、131、135、139、143、147、151、155、159、163、167、171、175、179、183、187、191、195、199、203、207、211、215、219、223、227、231、235、239、243、247、440、444、448、452、456、460又は464を含む又はからなる。
【0085】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号1を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号2を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号3を含む又はからなる。
【0086】
一態様では、本発明はまた、
図1にクローン1.1〜1.69について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有するV
Hドメインに関する。一実施形態では、結合分子が
図1にクローン1.1〜1.22について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。よって、一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号1であり、CDR2が配列番号2であり、CDR3が配列番号3である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号5であり、CDR2が配列番号6であり、CDR3が配列番号7である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号9であり、CDR2が配列番号10であり、CDR3が配列番号11である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号13であり、CDR2が配列番号14であり、CDR3が配列番号15である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号17であり、CDR2が配列番号18であり、CDR3が配列番号19である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号21であり、CDR2が配列番号22であり、CDR3が配列番号23である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号25であり、CDR2が配列番号26であり、CDR3が配列番号27である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号29であり、CDR2が配列番号30であり、CDR3が配列番号31である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号33であり、CDR2が配列番号34であり、CDR3が配列番号35である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号37であり、CDR2が配列番号38であり、CDR3が配列番号39である。別の実施形態では、CDR1が配列番号41であり、CDR2が配列番号42であり、CDR3が配列番号43である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号45であり、CDR2が配列番号46であり、CDR3が配列番号47である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号49であり、CDR2が配列番号50であり、CDR3が配列番号51である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号53であり、CDR2が配列番号54であり、CDR3が配列番号55である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号57であり、CDR2が配列番号58であり、CDR3が配列番号59である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号61であり、CDR2が配列番号62であり、CDR3が配列番号63である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号65であり、CDR2が配列番号66であり、CDR3が配列番号67である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号69であり、CDR2が配列番号70であり、CDR3が配列番号71である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号73であり、CDR2が配列番号74であり、CDR3が配列番号75である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号77であり、CDR2が配列番号78であり、CDR3が配列番号79である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号81であり、CDR2が配列番号82であり、CDR3が配列番号83である。別の実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号85であり、CDR2が配列番号86であり、CDR3が配列番号87である。
【0087】
一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様配列が、配列番号4又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。一実施形態では、相同性が少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%である。このようなV
H配列のCDR配列は
図1に示される。例えば、V
Hドメインは配列番号4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、192、196、200、204、208、212、216、220、224、228、232、236、240、244又は248、441、445, 449、453、457、461又は466を含む又はからなる。
【0088】
別の実施形態では、V
Hドメインが上記の配列の1つから選択されるが、1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がフレームワーク領域の1つ又は複数の中にある。別の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がCDRの1つ又は複数の中にある。一実施形態では、アミノ酸置換がフレームワーク及びCDR配列中にある。一実施形態では、V
Hドメインが配列番号4若しくは8又は1個若しくは複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換を含む配列を含む又はからなる。
【0089】
別の態様では、本発明は、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなる結合分子であって、前記ドメインはヒトV
Hドメインであり、前記のV
Hドメインは配列番号4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、192、196、200、204、208、212、216、220、224、228、232、236、240、244、248、441、445、449、453、457、461若しくは466又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる結合分子に関する。
【0090】
別の態様では、本発明は、配列番号4に示されるV
Hドメイン又は配列番号4と比べて以下の置換を有するその変異体を含む又はからなる結合分子に関する:残基1がQであり、残基11がM又はWであり、残基13がL又はRであり、残基24がTであり、残基33がG、R、N又はQであり、残基50がE、K、S、N、G又はRであり、残基52がK、E、G、D又はRであり、残基53がPであり、残基54がTであり、残基57がQ、E又はKであり、残基61がAであり、残基62がS又はGであり、残基77がKであり、及び/又は残基13がYである。
【0091】
ファミリー1又はファミリー1様結合分子は、好ましくは本明細書で更に記載され、実施例で示され、以下で更に示されるKD、Koff、KA、Kd及びIC
50値を有する。
【0092】
「KD」という用語は、「平衡解離定数」を指し、平衡での滴定測定で、又は解離速度定数(Koff)を会合速度定数(Kon)で割ることによって得られる値を指す。「KA」は親和定数を指す。会合速度定数、解離速度定数及び平衡解離定数は、抗原に対する抗体の結合親和性を表すために使用される。会合及び解離速度定数を決定する方法は当分野で周知である。蛍光ベースの技術を用いると、平衡での生理的緩衝液中の試料を試験するための高い感度及び能力が提供される。BIAcore(登録商標)(生体分子相互作用分析)アッセイ等の他の実験手法及び機器を使用することができる。
【0093】
一態様では、本発明は、ファミリー2又はファミリー2様配列を含むヒトV
Hドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子に関する。
【0094】
一実施形態では、結合分子が、IL-17A、好ましくはヒトIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなり、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子がファミリー2又はファミリー2様配列を含む。これらは、親配列(クローン2.1;配列番号252)又はその一部、及び親クローン(クローン2.1)又はその一部に由来するクローンの配列、例えば、CDR3配列、及び例えば、
図2に示される最適化の工程を通して親クローン2.1から得られるクローン又はその一部のV
H配列を含む。ファミリー2のクローンのCDR2配列及び全長配列は以下に示されるTable 2(表2)に従って番号付けされる。
【0096】
一態様では、本発明は、配列番号251、又は配列番号251と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトV
Hドメインを含むファミリー2又はファミリー2様結合分子に関する。
【0097】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様結合分子が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記ヒトV
Hドメインが配列番号251、又は配列番号251と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0098】
これらの態様の一実施形態では、相同性が少なくとも90%である。
【0099】
一実施形態では、V
Hドメインが配列番号251、255、259、263、267、271、275、279又は283から選択されるCDR3を含む又はからなる。
【0100】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様配列が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなる結合分子を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17結合分子がCDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含み、前記CDR1がアミノ酸配列、配列番号249又はこれと少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR2がアミノ酸配列、配列番号250又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号251又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0101】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号249又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号250又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号251又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0102】
一実施形態では、V
HドメインのCDR配列が
図2に示されるクローン2.1〜2.9について示される通りである又はその組み合わせである。一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号249、253、257、261、265、269、273、277又は281を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号250、254、258、262、266、270、274、278又は282を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号251、255、259、263、267、271、275、279又は283を含む又はからなる。
【0103】
一態様では、本発明は、
図2の2.1〜2.9について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有するV
Hドメインに関する。よって、一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号249であり、CDR2が配列番号250であり、CDR3が配列番号251である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号253であり、CDR2が配列番号254であり、CDR3が配列番号255である。よって、一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号257であり、CDR2が配列番号258であり、CDR3が配列番号259である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号261であり、CDR2が配列番号262であり、CDR3が配列番号263である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号265であり、CDR2が配列番号266であり、CDR3が配列番号267である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号269であり、CDR2が配列番号270であり、CDR3が配列番号271である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号273であり、CDR2が配列番号274であり、CDR3が配列番号275である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号277であり、CDR2が配列番号278であり、CDR3が配列番号279である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号281であり、CDR2が配列番号282であり、CDR3が配列番号283である。
【0104】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様配列が、配列番号252又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、86%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。一実施形態では、相同性が少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%である。このような配列のCDR配列を
図2に示す。例えば、V
Hドメインは配列番号252、256、260、264、268、272、276、280又は284を含む又はからなる。
【0105】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様配列が、配列番号252、256、260、264、268、272、276、280若しくは284又はこれと少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。このような配列のCDR配列を以下に列挙する。
【0106】
別の実施形態では、V
Hドメインが上記の配列の1つから選択されるが、1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がフレームワーク領域の1つ又は複数の中にある。別の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がCDRの1つ又は複数の中にある。一実施形態では、アミノ酸置換がフレームワーク及びCDR配列中にある。一実施形態では、V
Hドメインが配列番号252又は1個若しくは複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換を含む配列を含む又はからなる。
【0107】
別の態様では、本発明は、配列番号252に示されるV
Hドメイン又は配列番号252と比べて以下の置換を有するその変異体を含む又はからなる結合分子に関する:残基1がQであり、31がA又はGであり、残基がWであり、残基43がAであり、残基50がNであり、残基77がNであり、及び/又は残基78がAである。
【0108】
ファミリー2又はファミリー2様結合分子は、本明細書で更に記載され、実施例で示され、以下で更に論じられるKD、Koff、KA、Kd及びIC
50値を有する。
【0109】
一態様では、本発明は、ファミリー3又はファミリー3様配列を含むヒトV
Hドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子に関する。
【0110】
一実施形態では、結合分子が、IL-17A、好ましくはヒトIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなり、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子がファミリー3又はファミリー3様配列を含む。これらは、親クローン配列(配列番号288)又はその一部、及び親クローン3.1又はその一部に由来するクローンの配列、例えば、CDR3配列、及び例えば、
図3に示される最適化の工程を通して親クローン3.1から得られるクローン又はその一部のV
H配列を含む。ファミリー3のクローンのCDR配列及び全長配列は以下に示されるTable 3(表3)に従って番号付けされる。
【0112】
一態様では、本発明は、配列番号287、又は配列番号287と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトV
Hドメインを含むファミリー3又はファミリー3様結合分子に関する。
【0113】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様結合分子が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記ヒトV
Hドメインが配列番号287、又は配列番号287と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0114】
これらの態様の一実施形態では、相同性が少なくとも90%である。
【0115】
一態様では、CDR3配列が、配列番号287、291、295、299、303、307、311、315、319、323、327、335又は339から選択されるアミノ酸配列を含む又はからなる。
【0116】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなる結合分子を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子がCDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含み、前記CDR1がアミノ酸配列、配列番号285又はこれと少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR2がアミノ酸配列、配列番号286又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号287又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0117】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号285又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号286又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号287又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0118】
一実施形態では、V
HドメインのCDR配列が
図3のようにクローン3.1〜3.14について示される通りである又はその組み合わせである。
【0119】
一態様では、本発明は、
図3のクローン3.1〜3.14について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有するV
Hドメインに関する。
【0120】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号285、289、293、297、301、305、309、313、317、321、325、329、333又は337を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列286、290、294、298、302、306、310、314、318、322、326、330、334又は338を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列287、291、295、299、303、307、311、315、319、323、327、335又は339を含む又はからなる。
【0121】
一態様では、本発明は、
図3の3.1〜3.14について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有するV
Hドメインに関する。よって、一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号285であり、CDR2が配列番号286であり、CDR3が配列番号287である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号289であり、CDR2が配列番号290であり、CDR3が配列番号291である。よって、一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号293であり、CDR2が配列番号294であり、CDR3が配列番号295である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号297であり、CDR2が配列番号298であり、CDR3が配列番号299である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号301であり、CDR2が配列番号302であり、CDR3が配列番号303である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号305であり、CDR2が配列番号306であり、CDR3が配列番号307である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号309であり、CDR2が配列番号310であり、CDR3が配列番号311である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号313であり、CDR2が配列番号314であり、CDR3が配列番号315である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号317であり、CDR2が配列番号318であり、CDR3が配列番号319である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号321であり、CDR2が配列番号322であり、CDR3が配列番号323である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号325であり、CDR2が配列番号326であり、CDR3が配列番号327である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号329であり、CDR2が配列番号330であり、CDR3が配列番号331である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号333であり、CDR2が配列番号334であり、CDR3が配列番号335である。一実施形態では、結合分子がCDR1、2及び3配列を含み、CDR1が配列番号337であり、CDR2が配列番号338であり、CDR3が配列番号339である。
【0122】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、配列番号288又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。このような配列のCDR配列を
図3に列挙する。例えば、V
Hドメインは、配列番号292、296、300、304、308、312、316、320、324、328、332、336又は340を含む又はからなる。
【0123】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、配列番号288、292、296、300、304、308、312、316、320、324、328、332、336若しくは340又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%若しくは90%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。一実施形態では、相同性が少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、86%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%又は99%である。このような配列のCDR配列を以下に列挙する。
【0124】
別の実施形態では、V
Hドメインが上記の配列の1つから選択されるが、1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がフレームワーク領域の1つ又は複数の中にある。別の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がCDR領域の1つ又は複数の中にある。一実施形態では、アミノ酸置換がフレームワーク及びCDR配列中にある。一実施形態では、V
Hドメインが配列番号288又は1個若しくは複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換を含む配列を含む又はからなる。
【0125】
別の態様では、本発明は、配列番号288に示されるV
Hドメイン又は配列番号288と比べて以下の置換を有するその変異体を含む又はからなる結合分子に関する:残基23がAであり、残基28がNであり、残基29がA又はLであり、残基31がA又はDであり、残基33がHであり、残基34がI又はLであり、残基35がNであり、残基50がSであり、残基52がKであり、残基55がTであり、残基57がA又はTであり、残基58がKであり、残基62がRであり、残基63がEであり、残基65がEであり、残基50がI又はTであり、残基99がLであり、残基103がT、Qであり、残基104がR、F又はWであり、残基105がY、S又はDであり、残基106がP又はFであり、残基107がH、N又はGであり、残基108がD又はSであり、及び/又は残基110がY又はA又はWである。
【0126】
ファミリー3又はファミリー3様結合分子は、本明細書で更に記載され、実施例で示されるKD、Koff、KA、Kd及びIC
50値を有する。
【0127】
一態様では、本発明は、ファミリー4又はファミリー4様配列を含むヒトV
Hドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子に関する。
【0128】
一実施形態では、結合分子が、IL-17A、好ましくはヒトIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなり、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子がファミリー4又はファミリー4様配列を含む。これらは、
図4に示される親クローン配列(4.1;配列番号288)又はその一部、例えば、CDR3配列、及び例えば、
図4に示される最適化の工程を通して親クローン4から得られるクローン又はその一部のV
H配列を含む。ファミリー4のクローンのCDR配列及び全長配列は以下に示されるTable 4(表4)に従って番号付けされる。
【0130】
一態様では、本発明は、配列番号343、又は配列番号343と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトV
Hドメインを含むファミリー4又はファミリー4様結合分子に関する。
【0131】
一実施形態では、ファミリー4又はファミリー4様結合分子が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記ヒトV
Hドメインが配列番号343、又は配列番号343と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0132】
一実施形態では、ファミリー4又はファミリー4様配列が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなる結合分子を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17結合分子が超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含み、前記CDR1がアミノ酸配列、配列番号341又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR2がアミノ酸配列、配列番号342又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号343又はこれと少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0133】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号341又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号342又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号343又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0134】
一実施形態では、ファミリー4又はファミリー4様配列が、配列番号344又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。このような配列のCDR配列を以下に列挙する。一実施形態では、相同性が少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%である。別の実施形態では、V
Hドメインが上に示される配列を含むが、1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がフレームワーク領域の1つ又は複数の中にある。別の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がCDRの1つ又は複数の中にある。一実施形態では、アミノ酸置換がフレームワーク及びCDR配列中にある。一実施形態では、V
Hドメインが配列番号344又は1個若しくは複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個のアミノ酸置換を含む配列を含む又はからなる。
【0135】
ファミリー4又はファミリー4様結合分子は、本明細書で更に記載され、実施例で示されるKD、Koff、KA、Kd及びIC
50値を有する。
【0136】
一態様では、本発明は、ファミリー5又はファミリー5様配列を含むヒトV
Hドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子に関する。
【0137】
一態様では、本発明は、IL-17A、好ましくはヒトIL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなる結合分子であって、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17が5又はファミリー5様配列に結合する結合分子に関する。これらは、
図5に示される親クローン配列(5.1;配列番号348)又はその一部、及び親クローン5又はその一部から得ることができるクローンの配列、例えば、CDR3配列、及び例えば、
図5に示される最適化の工程を通して親クローン5から得られるクローン又はその一部のV
H配列を含む。ファミリー5のクローンのCDR配列及び全長配列は以下に示されるTable 5(表5)に従って番号付けされる。
【0139】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様結合分子が、配列番号287、又は配列番号347と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトV
Hドメインを含む。
【0140】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様結合分子が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記ヒトV
Hドメインが配列番号347、又は配列番号287と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0141】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様配列が、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む又はからなる結合分子を含み、前記ドメインがヒトV
Hドメインであり、前記IL-17結合分子が超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含み、前記CDR1がアミノ酸配列、配列番号345又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR2がアミノ酸配列、配列番号345又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなり、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号347又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0142】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号345又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、86%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号346又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号347又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0143】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様配列が、配列番号348又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%若しくは90%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。一実施形態では、相同性が少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%又は99%である。このような配列のCDR配列を以下に列挙する。別の実施形態では、V
Hドメインが配列番号348を含むが、1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がフレームワーク領域の1つ又は複数の中にある。別の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換がCDRの1つ又は複数の中にある。
【0144】
ファミリー5又はファミリー5様結合分子は、本明細書で更に記載され、実施例で示されるKD、Koff、KA、Kd及びIC
50値を有する。
【0145】
一態様では、本発明による結合分子が、本明細書に列挙される別のファミリーのCDR1及び/又はCDR2配列と組み合わせて、ファミリー1若しくはファミリー1様、ファミリー2若しくはファミリー2様、ファミリー3若しくはファミリー3様、ファミリー4若しくはファミリー4様、又はファミリー5若しくはファミリー5様CDR3配列から選択されるCDR3配列を含む。
【0146】
例えば、本発明による結合分子は、Table2(表2)、Table 3(表3)、Table 4(表4)又はTable 5(表5)に示される1つ又は2つの他のファミリーのCDR1及び/又はCDR2配列と組み合わせて、例えば、
図1に示されるファミリー1又はファミリー1様CDR3配列を含む。
【0147】
別の態様では、本発明による結合分子が、Table 1(表1)、Table 3(表3)、Table 4(表4)又はTable 5(表5)に示される1つ又は2つの他のファミリーのCDR1及び/又はCDR2配列と組み合わせて、例えば、
図2に示されるファミリー2又はファミリー2様CDR3配列を含む。
【0148】
別の態様では、本発明による結合分子が、Table 1(表1)、Table 2(表2)、Table 4(表4)又はTable 5(表5)に示される1つ又は2つの他のファミリーのCDR1及び/又はCDR2配列と組み合わせて、例えば、
図3に示されるファミリー3又はファミリー3様CDR3配列を含む。
【0149】
別の態様では、本発明による結合分子が、Table 1(表1)、Table 2(表2)、Table 3(表3)又はTable 5(表5)に示される1つ又は2つの他のファミリーのCDR1及び/又はCDR2配列と組み合わせて、例えば、
図4に示されるファミリー4又はファミリー4様CDR3配列を含む。
【0150】
別の態様では、本発明による結合分子が、Table 1(表1)、Table2 (表2)、Table 3(表3)又はTable 4(表4)に示される1つ又は2つの他のファミリーのCDR1及び/又はCDR2配列と組み合わせて、例えば、
図5に示されるファミリー5又はファミリー5様CDR3配列を含む。
【0151】
本明細書に記載される結合分子は、1つ又は複数の追加のタンパク質部分との融合タンパク質として提供され得る。例えば、本明細書に記載される結合分子は、第2の部分との融合体として提供され得る。
【0152】
第2の部分は、同様にヒトIL-17Aに特異的であるV
Hドメインを含み得るので、二価結合分子を提供し得る。一実施形態では、結合分子が二重パラトープである。二重パラトープ結合分子は異なるエピトープに結合する。本発明の二重パラトープ結合分子は、当分野で公知の方法を用いて構築することができる。
【0153】
例えば、二価結合分子を生成するために、ファミリー1又はファミリー1様結合分子をファミリー2、3、4若しくは5又はファミリー2、3、4若しくは5様結合分子に結合することができる。これを実施例及び
図29〜
図33で更に例示する。本発明の一実施形態では、クローン1.2について定義されるV
Hが、ファミリー2又はファミリー3の別のV
H、例えば、クローン3.2について定義されるV
Hに結合される。2つ以上のV
Hはリンカー、例えば、ポリペプチドリンカーによって結合される。例えば、リンカーを含む適当なリンカーは、(Gly
4Ser)
n(n=1〜10、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)等のGS残基を含む。
【0154】
一実施形態では、本発明は、以下の二重パラトープ結合分子3.2-2(G
4S)-1.2、3.2-6(G
4S)-1.2、3.2-4(G
4S)-1.2の1つに関する。よって、本発明はまた、配列番号430、432、434又は436と、このような結合分子をコードする核酸とを含む結合分子に関する。
【0155】
別の実施形態では、第2の部分が、二重特異性結合分子を提供するために異なる抗原に特異的なV
Hドメイン又は別の抗体断片を含む。例えば、本明細書で使用される場合、「二重特異性結合分子」という用語は、IL-17Aに対する結合特異性を有する結合部位を有する本明細書に記載される結合分子と、第2の標的に対する結合特異性を有する結合部位を有する第2のポリペプチドドメインとを含むポリペプチドを指す、すなわち、薬剤は2つの標的に対する特異性を有する。第1の標的と第2の標的は同じでない、すなわち、異なる標的、例えば、タンパク質であるが、共に細胞上に存在する。従って、本明細書に記載される二重特異性ポリペプチド剤は、第1の標的及び第2の標的を発現する(又は細胞表面上で示す)細胞に選択的且つ特異的に結合することができる。別の実施形態では、結合分子が3つ以上のタンパク質部分を含む。
【0156】
別の実施形態では、3つ以上の部分が結合されて多特異性結合分子を提供する。本明細書に記載される多特異性ポリペプチド剤は更に、1つ又は複数の追加の標的に結合することができる、すなわち、多特異性ポリペプチドは少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ又はそれ超の標的に結合することができ、多特異性ポリペプチド剤はそれぞれ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ又はそれ超の標的結合部位を有する。
【0157】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、結合部位を有するポリペプチドドメインが選択的に結合することができる生物学的分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物)を指す。標的は、例えば、細胞内標的(例えば、細胞内タンパク質標的)又は細胞表面標的(例えば、膜タンパク質、受容体タンパク質)であり得る。好ましくは、標的が細胞表面タンパク質等の細胞表面標的である。好ましくは、第1の細胞表面標的と第2の細胞表面標的が共に細胞上に存在する。
【0158】
本発明の多特異性抗体は、当分野で公知の方法を用いて構築することができる。
【0159】
二重パラトープ又は多特異性結合分子では、部分が一般的にリンカー、例えば、ポリペプチドリンカーによって結合される。例えば、(Gly
4Ser)
n(n=1〜10、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)等のGS残基を含むリンカーを含む適当なリンカーが当分野で知られている。
【0160】
所望であれば、二重特異性又は多特異性結合分子を、C
H2及びC
H3ドメインの一方又は両方と、場合によりヒンジ領域とを含む抗体Fc領域又はその断片に結合することができる。例えば、Fc領域又はその断片に単一ヌクレオチド配列として結合する二重特異性又は多特異性結合分子をコードするベクターを使用してこのようなポリペプチドを調製することができる。
【0161】
代表的な第2の抗原標的は、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD4、CD45、CD58、CD80、CD86又はこれらのリガンド;TNF、IL-1、IL-15、IL-23、IL-6又はCD20を含む。この列挙は言及される薬剤に限定されない。
【0162】
一実施形態では、第2(又は第3、第4、第5等)の部分が結合分子の半減期を延長するのに役立ち得る。第2又は第3の部分は、タンパク質、例えば、血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する抗体又はその一部を含み得る。第2の部分は、血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合するV
Hドメインを含み得る。
【0163】
第2の部分は、血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、又はその変異体、例えば、C34Sを含み得る。V
Hドメインと、Fcドメイン又はその断片と(例えば、V
HドメインはFcドメイン又はその断片と結合している)を含む本明細書に記載される結合分子が更に提供される。ヒトIL-17A以外の抗原である第2の抗原に特異的に結合する第2の可変ドメインを含む結合分子が更に提供される。第2の抗原は、表面抗原分類(CD)分子又は主要組織適合複合体(MHC)クラスII分子であり得る。
【0164】
本発明は更に、本発明の結合メンバーをコードする単離された核酸を提供する。核酸はDNA及び/又はRNAを含み得る。一態様では、本発明は、上に定義されるCDR、CDRのセット、V
Hドメイン又は結合分子をコードする単離された核酸を提供する。一態様では、本発明はまた、ファミリー1のV
Hドメインをコードする配列番号349〜410を含む又はからなる核酸配列に関し、前記V
Hドメインはそれぞれ、配列番号4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、192、196、200、204、208、212、216、220、224、228、232、236、240、244又は248 440、444、448、452、456、460又は464を含む又はからなる。
【0165】
このような核酸の例を以下に示す。
配列番号349 V
H 1.1をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATTCGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAACATAAAGCAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCCACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCA
配列番号350 V
H 1.2をコードする核酸
GAGGTTCAGTTGGTGGAAAGCGGCGGTGGCCTGGTCCAGCCGGGTGGTAGCCTGCGCCTGTCCTGCGCGGCTAGCGGTTTCACGTTTAGCAGCTACAGCATGTACTGGGTGCGTCAAGCGCCAGGCAAAGGTCTGGAATGGGTTGCCGAGATTAAGCAAGACGGTTCTGTTCAGTATTATGTCAGCGACGTGAAGGGTCGTTTTACCATCAGCCGTGACAACGCGAAAAACAGCCTGTATTTGCAGATGAATTCCCTGCGCGCTGAAGATACCGCGGTGTATTACTGTGCGAAAGGTGAGATTCTGCCGCTGTACTTCGATTACTGGGGCCAAGGCACCCTGGTTACTGTCTCGAGC
配列番号351 V
H 1.3をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAGCAAGATGGAAGTGTGCAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号352 V
H 1.4をコードする核酸
GAGGTTCAGTTGGTGGAAAGCGGCGGTGGCCTGGTCCAGCCGGGTGGTAGCCTGCGCCTGTCCTGCGCGGCTAGCGGTTTCACGTTTAGCAGCTACAGCATGTACTGGGTGCGTCAAGCGCCAGGCAAAGGTCTGGAATGGGTTGCCGAGATTAAGCAAACCGGTTCTGTTCAGTATTATGTCGACAGCGTGAAGGGTCGTTTTACCATCAGCCGTGACAACGCGAAAAACAGCCTGTATTTGCAGATGAATTCCCTGCGCGCTGAAGATACCGCGGTGTATTACTGTGCGAAAGGTGAGATTCTGCCGCTGTACTTCGATTACTGGGGCCAAGGCACCCTGGTTACTGTCTCGAGC
配列番号353 V
H 1.5をコードする核酸
GAGGTTCAGTTGGTGGAAAGCGGCGGTGGCCTGGTCCAGCCGGGTGGTAGCCTGCGCCTGTCCTGCGCGGCTAGCGGTTTCACGTTTAGCAGCTACAGCATGTACTGGGTGCGTCAAGCGCCAGGCAAAGGTCTGGAATGGGTTGCCGAGATTAAGCCGACCGGTTCTGTTCAGTATTATGTCGACAGCGTGAAGGGTCGTTTTACCATCAGCCGTGACAACGCGAAAAACAGCCTGTATTTGCAGATGAATTCCCTGCGCGCTGAAGATACCGCGGTGTATTACTGTGCGAAAGGTGAGATTCTGCCGCTGTACTTCGATTACTGGGGCCAAGGCACCCTGGTTACTGTCTCGAGC
配列番号354 V
H 1.6をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAGCAAGATGGAAGTGAGCAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号355 V
H 1.7をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAAGATAGAGCAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号356 V
H 1.8をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGTATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAAGATAGAGCAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号357 V
H 1.9をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGAATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAACAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号358 V
H 1.10をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATCGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAGCATAGAACAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号359 V
H 1.11をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATCAGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAGCATAAAACAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号360 V
H 1.12をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAAGATAGAGCAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCA
配列番号361 V
H 1.13をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAGCATAGAACAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号362 V
H 1.14をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCGTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATCGGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAGCATAGAACAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号363 V
H 1.15をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAGGCAAGATGGAAGTGAGCAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号364 V
H 1.16をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAGCAAGATGGAAGTGAGCAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATGGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTGCCCCTCTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号365 V
H 1.17をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAGCCAACCGGGAGTGTGCAATACTATGTGTCCGACGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号366 V
H 1.18をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAGCAAGACGGCAGTGTGCAATACTATGTGGGGGGCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号367 V
H 1.19をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAACCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGAATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAACAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号368 V
H 1.20をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCCTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAAGATAGAGCAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGCGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号369 V
H 1.21をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCTGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCGGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATAGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCGAGATAAAGCAAGATGGAAGTGAGCAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
配列番号370 V
H 1.22をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCGGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATGGGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAAGATAGAGCAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTATCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCTTCA
【0166】
一態様では、本発明はまた、配列、例えば、ファミリー2のV
Hドメインをコードする配列番号371を含む核酸配列に関し、前記V
Hドメインは配列番号252、256、260、264、268、272、276、280又は284を含む又はからなる。
配列番号371 V
H 2.1をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGCTATGGGATGGGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAAAATAAAACAAGATGGAAGTGAGAAAGACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTATTGTGCGAGAGAGAGTATATTTGGAATCCCCGAGGACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
【0167】
一態様では、本発明はまた、例えば、ファミリー3のV
Hドメインをコードする配列番号372〜381から選択される配列を含む核酸配列に関し、前記V
Hドメインは配列番号288、292、296、300、304、308、312、316、320、324、328、332、336又は340を含む又はからなる。
配列番号372 V
H 3.1をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTAACAGTGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTATGGATCGGGATTATTATGATACTAGTGGTTACTTTGGCTGGTTCGACTCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
配列番号373 V
H 3.2をコードする核酸
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTAAAGAAGCCTGGGGCCTCGGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACGCGGACGCCTATTATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGTCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATACCGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATACGTGGTACCCGCACTCCTACGCGGGGTGGTTCGACGCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
配列番号374 V
H 3.3をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCGCAGCTTCCGGATACACCTTCACCGACTACTATCTGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGGTGGATCAACCCTAACACTGGCACCACAAAGTATGCACGGGAGTTTGAGGGCAGAGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTATGGATCGGGATTATTATGATACTAGTGGTTACTTTGGCTGGTTCGACTCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
配列番号375 V
H 3.5をコードする核酸
CAGGTCCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCGCAGCTTCCGGATACACCTTCACCGACTACTATCTGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGGTGGATCAACCCTAACACTGGCACCACAAAGTATGCACGGGAGTTTGAGGGCAGAGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATTGGCGCTCGCCCAACGACTACTTTGGCTGGTTCGACTCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
配列番号376 V
H 3.6をコードする核酸
CAGGTCCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCGCAGCTTCCGGATACACCTTCACCGACTACTATCTGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGGTGGATCAACCCTAACACTGGCACCACAAAGTATGCACGGGAGTTTGAGGGCAGAGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATTGGCGCTCGCCCAACGACTACTACGGGTGGTTCGACTCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
配列番号377 V
H 3.9をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACTTCGACGCCTATCATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATAGTGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTATGGATCGGGATTACTATGATACTAGTGGTTACTTTGGCTGGTTCGACTCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号378 V
H 3.11をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACTTCGACGCCTATCATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGTCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATAGTGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATACGTGGTACCCGCACTCCTACTTTGGCTGGTTCGACTCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
配列番号379 V
H 3.13をコードする核酸
CAGGTCCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACTTCGACGCCTATCATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGTCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATAGTGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATACGTGGTACCCGCACTCCTACGCGGGGTGGTTCGACTCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
【0168】
一態様では、本発明はまた、例えば、ファミリー4のV
Hドメインをコードする配列、配列番号380を含む核酸配列に関し、前記V
Hドメインは配列番号344を含む又はからなる。
配列番号380 V
H 4.1をコードする核酸
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGCTATTGGATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAATGGGTGGCCACCATAAAACAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCACGAACTCACTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGGGGAGATACGATTTTCGACGGTGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGGACAATGGTCACTGTCTCCTCA
【0169】
一態様では、本発明はまた、例えば、ファミリー5のV
Hドメインをコードする配列、配列番号381を含む核酸配列に関し、前記V
Hドメインは配列番号348を含む又はからなる。
配列番号381 V
H 5.1をコードする核酸
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGCTATTGGATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAACATAAAGCAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGCATCAGTGGCCCTTCTTTGACTACTGGGGCCAAGGGACAATGGTCACTGTCTCCTCA
【0170】
本発明による核酸はDNA又はRNAを含んでよく、完全に若しくは部分的に合成であっても、又は組換え的に生成されていてもよい。文脈上別段の解釈を要する場合を除き、本明細書に示されるヌクレオチド配列への言及は、指定された配列を有するDNA分子を包含し、指定された配列(UはTに置き換わる)を有するRNA分子を包含する。
【0171】
更に、本発明は、上に定義される少なくとも1つの核酸を含む核酸構築物に関する。構築物は、プラスミド、ベクター、転写又は発現カセットの形態であり得る。
【0172】
本発明はまた、上記の1つ又は複数の核酸構築物を含む単離された組換え宿主細胞に関する。
【0173】
本発明はまた、競合アッセイで上に記載される本発明の結合分子と、IL-17Aとの結合について競合するIL-17Aに結合することができる結合剤に関する。
【0174】
本発明の結合分子は、以下に記載される一定の機能的特性を有する。
【0175】
特に、本発明の結合分子は、その標的細胞上でIL-17Aの効果を遮断するので、例えば、本明細書に記載されるIL-17A媒介疾患の治療に使用するために示される。本発明の結合分子のこれらの及び他の薬理学的活性は、例えば、当分野で記載される標準的な試験方法: Neutralization of IL-17A dependent production of interleukin-6 by primary human fibroblasts: The production of IL-6 in primary human (dermal) fibroblasts is dependent on IL- 17 (Hwang SY等(2004) Arthritis Res Ther;6:R120〜128))及び本明細書の実施例で証明され得る。よって、実施例により詳細に記載されるように、本発明による結合分子は、高い効力でIL-17Aを中和する。よって、「中和する」という用語は、結合タンパク質がIL-17に特異的に結合する場合の、Il-17の生物学的活性の中和を指す。中和結合タンパク質によるIL-17の生物学的活性の阻害は、実施例に記載されるように、当分野で周知のIL-17生物学的活性の1つ又は複数の指標を測定することによって評価することができる。
【0176】
例えば、受容体に結合したIL-17Aは、例えば、HT1080細胞、軟骨細胞又は他の適当な細胞若しくは組織型において、適当なアッセイを用いて測定することができる生物学的分子、例えば、MMP13、PGE2又はサイトカイン、例えば、IL-6又はIL-8の細胞放出を誘導するので、受容体に結合しているIL-17Aの中和を、生物学的アッセイでこれらの分子の細胞放出として測定することができる。
【0177】
生物学的活性の阻害は部分的であっても完全であってもよい。具体的な実施形態では、IL-17A生物学的活性に結合メンバーの非存在下での活性の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%又は少なくとも50%、阻害する結合メンバーが提供される。結合メンバーがIL-17Aを中和する程度は中和効力と呼ばれる。効力は、当業者に公知の1つ若しくは複数のアッセイを用いて、及び/又は本明細書に記載若しくは言及されるように、決定又は測定することができる。例えば、効力は、
- HTRF(登録商標)(均一性時間分解蛍光測定)受容体-リガンド結合アッセイ
- IL-17及びTNFαに反応した相乗的IL-6放出を用いるHT1080細胞アッセイ
- 軟骨移植片における軟骨細胞IL-6/IL-8/MMP13/PGE2放出アッセイIL-6放出アッセイ
- 例えば、IL-17及びTNFαに対する相乗的IL-6反応を用いる、滑膜線維芽細胞(例えば、RA又はOA患者から)におけるIL-6放出アッセイ
で分析することができる。
アッセイ方法を実施例で詳細に記載する。
【0178】
2つの種のIL-17についての結合メンバーの交差反応性の程度を評価するために、第1の種(例えば、ヒト)からのIL-17Aを用いるアッセイで計算される結合メンバーの中和効力を、第2の種(例えば、カニクイザル)からのIL-17を用いる同じアッセイでの結合メンバーの中和効力と比較することができる。
【0179】
効力は通常、特に明言しない限り、IC
50値(nM)として表される。機能的アッセイでは、IC
50は、生物学的反応をその最大の50%低下させる結合メンバーの濃度である。IC
50は、結合メンバー濃度の対数の関数として最大生物学的反応の%をプロットし、ソフトウェアプログラムを用いてシグモイド関数をデータにあてはめてIC
50値を作成することによって計算することができる。
【0180】
よって、別の態様では、本発明は、ヒトIL-17Aに対する少なくとも1つのV
Hドメインを含む、又は少なくとも1つの免疫グロブリン単一V
Hドメイン抗体を含む若しくはからなる結合分子に関し、前記V
Hドメインは、実施例に記載されるように、すなわち、IL-17結合V
Hが細胞株HT1080からのIL-17誘導IL-6放出を阻害する能力を測定することによって試験すると、約0.2〜約1000nM又は更に、例えば、0.2〜900、0.2〜800、0.2〜700、0.2〜600、0.2〜500、0.2〜400、0.2〜300、0.2〜200、0.2〜100、0.2〜50、0.2〜40、0.2〜30、0.2〜20、0.2〜10、0.2〜9、0.2〜8、0.2〜7、0.2〜6、0.2〜5、0.2〜4.0、0.2〜3、0.2〜2又は0.2〜1の、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有する。例えば、本発明の結合分子は、典型的には約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4 3.5、3. 6、3.7、3.8、3.9又は4.0nMの、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有する。本発明の結合分子は、IL-17結合V
Hが細胞株HT1080からのIL-17誘導IL-6放出を阻害する能力を測定することによって評価される、約4nM未満、好ましくは約2nM未満の、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有し得る。このアッセイは反応したIL-6放出を測定するものであり、詳細な方法を以下の実施例に示す。これらの結合特性を有する結合分子、例えば、V
Hドメインは、本明細書に開示される配列の1つから選択され得る。別の実施形態では、V
Hドメインが本明細書に記載されるCDR3配列又はV
H配列を含む。
【0181】
例えば、一実施形態では、前記IL-17A結合分子が、実施例に記載されるように、すなわち、IL-17結合V
Hが細胞株HT1080からのIL-17誘導IL-6放出を阻害する能力を測定することによって試験すると、約0.2〜約13、例えば、0.2〜4.0nMの、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有するファミリー1様配列を含む。本発明の結合分子は、約13未満、好ましくは約10、9、8、7、6又は4nM、好ましくは約2nM未満の、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有し得る。一実施形態では、IC
50が0.2〜2.0nM、例えば、0.2〜1.0nM、例えば、約0.4nMである。一実施形態では、IC
50が実施例に示される通りである。
【0182】
一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様配列が、CDR3配列 配列番号3又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号3又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0183】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号1、5、9、13、17、21、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161、165 169、173、177、181、185、189、193、197、201、205、209、213、217、221、225、229、233、237、241、245、438、442、446、450、454、458又は462を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、74、78、82、86、90、94、98、102、106、110、114、118、122、126、130、134、138、142、146、150、154、158、162、166、170、174、178、182、186、190、194、198、202、206、210、214、218、222、226、230、234、238、242、246、439、443、447、451、455、459、463を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、55、59、63、67、71、75、79、83、87、91、95、99、103、107、111、115、119、123、127、131、135、139、143、147、151、155、159、163、167、171、175、179、183、187、191、195、199、203、207、211、215、219、223、227、231、235、239、243、247 440、444、448、452、456、460又は464を含む又はからなる。
【0184】
一実施形態では、結合分子が、
図1のクローン1.1〜1.69について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。一実施形態では、結合分子が、
図1のクローン1.1〜1.22について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。
【0185】
一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様配列が、配列番号4又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、86%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例を
図1に示す。一実施形態では、V
Hドメインが、配列番号8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、192、196、200、204、208、212、216、220、224、228、232、236、240、244、248、441、445、449、453、457、461又は466を含む又はからなる。
【0186】
別の実施形態では、前記IL-17結合分子がファミリー2又はファミリー2様配列を含む。一実施形態では、前記ファミリー2様が、実施例に記載されるように、すなわち、V
Hを含むIL-17結合分子が細胞株HT1080からのIL-17誘導IL-6放出を阻害する能力を測定することによって試験すると、約9nM以下の、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有する。
【0187】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様配列が、CDR3配列、配列番号251又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号251又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0188】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号249又はこれと少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号250又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0189】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号249、253、257、261、265、269、273、277又は281を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号250、254、258、262、266、270、274、278又は282を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号251、255、259、263、267、271、275、279又は283を含む又はからなる。
【0190】
一実施形態では、結合分子が、
図2のクローン2.1〜2.9について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。
【0191】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様配列が、配列番号252又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例をtable 2(表2)に示す。一実施形態では、ファミリー2配列が、配列番号256、260、264、268、272、276、280又は284を含む又はからなるV
Hドメインを有する。
【0192】
別の実施形態では、前記IL-17A結合分子が、実施例に記載されるように、すなわち、V
Hを含むIL-17結合分子が細胞株HT1080からのIL-17誘導IL-6放出を阻害する能力を測定することによって試験すると、約0.2〜約1000nM、例えば、0.2〜200の、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有するファミリー3様配列を含む。本発明の結合分子は、IL-17結合V
Hが細胞株HT1080からのIL-17誘導IL-6放出を阻害する能力を測定することによって評価される約200nM未満、好ましくは約100nM未満、好ましくは約10nM未満の、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有し得る。
【0193】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、CDR3配列 配列番号287又はこれと少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号287又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0194】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号285又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号286又はこれと少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0195】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号285、289、293、297、301、305、309、313、317、321、325、329、333又は337を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列286、290、294、298、302、306、310、314、318、322、326、330、334又は338を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列287、291、295、299、303、307、311、315、319、323、327、335又は339を含む又はからなる。
【0196】
一実施形態では、結合分子が、
図3のクローン3.1〜3.14について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。
【0197】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、配列番号288又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、86%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。このような配列のCDR配列を
図3に示す。例えば、V
Hドメインは、配列番号292、296、300、304、308、312、316、320、324、328、332、336又は340を含む又はからなる。
【0198】
別の実施形態では、本発明はまた、IL-17Aに対する少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む結合分子であって、前記ドメインはヒトV
Hドメインであり、前記IL-17A結合分子はファミリー4又はファミリー4様配列を含む結合分子に関する。
【0199】
一実施形態では、ファミリー4又はファミリー4様配列が、CDR3配列 配列番号343又はこれと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号343又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0200】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号341又はこれと少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号342又はこれと少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0201】
一実施形態では、ファミリー4又はファミリー4様配列が、配列番号344又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例を
図4に示す。
【0202】
別の実施形態では、前記IL-17A結合分子がファミリー5又はファミリー5様配列を含む。
【0203】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様配列が、CDR3配列 配列番号347又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号347又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0204】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号345又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、95%、94%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号346又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0205】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様配列が、配列番号348又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例を
図5に示す。
【0206】
更に、IL-17Aとの結合についての本発明のIL-17A結合分子の結合速度論及び親和性(平衡解離定数、KDとして表される)を、例えば、BIAcore(登録商標)等の表面プラズモン共鳴を用いて測定することができる、又はKDをpA2分析から推定することができる。
【0207】
別の態様では、本発明は、BIAcore(登録商標)を用いて計算される5×10-9〜1×10-11、例えば、5×10-9〜2×10-10のKD(M)値を有する結合分子に関する。「KD」という用語は、「平衡解離定数」を指し、平衡での滴定測定で、又は解離速度定数(Koff)を会合速度定数(Kon)で割ることによって得られる値を指す。一実施形態では、KDが実施例に示される通りであり得る。
【0208】
一実施形態では、結合分子がファミリー1又はファミリー1様配列である。一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様配列が、CDR3配列 配列番号3又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3がアミノ酸配列、配列番号3又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0209】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号1、5、9、13、17、21、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161、165 169、173、177、181、185、189、193、197、201、205、209、213、217、221、225、229、233、237、241、245、438、442、446、450、454、458又は462を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、74、78、82、86、90、94、98、102、106、110、114、118、122、126、130、134、138、142、146、150、154、158、162、166、170、174、178、182、186、190、194、198、202、206、210、214、218、222、226、230、234、238、242、246、439、443、447、451、455、459、463を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、55、59、63、67、71、75、79、83、87、91、95、99、103、107、111、115、119、123、127、131、135、139、143、147、151、155、159、163、167、171、175、179、183、187、191、195、199、203、207、211、215、219、223、227、231、235、239、243、247 440、444、448、452、456、460又は464を含む又はからなる。
【0210】
一実施形態では、結合分子が、
図1のクローン1.1〜1.62について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。一実施形態では、結合分子が、
図1のクローン1.1〜1.22について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。
【0211】
一実施形態では、ファミリー1又はファミリー1様配列が、配列番号4又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例を
図1に示す。例えば、V
Hドメインが、配列番号8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172、176、180、184、188、192、196、200、204、208、212、216、220、224、228、232、236、240、244又は248を含む又はからなる。
【0212】
一実施形態では、結合分子がファミリー2又はファミリー2様配列である。一実施形態では、ファミリー2様配列が、CDR3配列、配列番号251又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号251又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0213】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号249又はこれと少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号250又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0214】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号249、253、257、261、265、269、273、277又は281を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列、配列番号250、254、258、262、266、270、274、278又は282を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列、配列番号251、255、259、263、267、271、275、279又は283を含む又はからなる。
【0215】
一実施形態では、結合分子が、
図2のクローン2.1〜2.9について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。
【0216】
一実施形態では、ファミリー2又はファミリー2様配列が、配列番号252又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、95%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例をtable 2(表2)に示す。一実施形態では、ファミリー2配列が、配列番号256、260、264、268、272、276、280又は284を含む又はからなるV
Hドメインを有する。
【0217】
一実施形態では、結合分子がファミリー3様配列である。一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、CDR3配列 配列番号287又はこれと少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号287又はこれと少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0218】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号285又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号286又はこれと少なくとも70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0219】
一実施形態では、CDR1がアミノ酸配列、配列番号285、289、293、297、301、305、309、313、317、321、325、329、333又は337を含む又はからなり、CDR2がアミノ酸配列286、290、294、298、302、306、310、314、318、322、326、330、334又は338を含む又はからなり、CDR3がアミノ酸配列287、291、295、299、303、307、311、315、319、323、327、335又は339を含む又はからなる。
【0220】
一実施形態では、結合分子が、
図3のクローン3.1〜3.14について示されるCDR1、CDR2及びCDR3の組み合わせを有する。
【0221】
一実施形態では、ファミリー3又はファミリー3様配列が、配列番号288又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。このような配列のCDR配列を
図3に示す。例えば、V
Hドメインは、配列番号292、296、300、304、308、312、316、320、324、328、332、336又は340を含む又はからなる。
【0222】
一実施形態では、結合分子がファミリー4又はファミリー4様配列である。一実施形態では、これがCDR3配列 配列番号343又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号343又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0223】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号341又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号342又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0224】
一実施形態では、ファミリー4配列が、配列番号344又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例を
図4に示す。
【0225】
別の実施形態では、前記IL-17結合分子がファミリー5又はファミリー5様配列を含む。
【0226】
一実施形態では、ファミリー5又はファミリー5様配列が、CDR3配列 配列番号347又はこれと少なくとも80%、85%、90%、95%の相同性を有する配列を含む。一実施形態では、前記CDR3が、アミノ酸配列、配列番号347又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0227】
一実施形態では、前記CDR1が、アミノ酸配列、配列番号345又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。一実施形態では、前記CDR2が、アミノ酸配列、配列番号346又はこれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性を有する配列を含む又はからなる。
【0228】
一実施形態では、ファミリー5配列が、配列番号348又はこれと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する配列を含む又はからなるV
Hドメインを有する。例を
図5に示す。
【0229】
一実施形態では、結合分子が、上に定義されるKD及び上に定義される、IL-6産生の阻害についてのIC
50を有する。
【0230】
本発明はまた、ヒトV
H生殖系列配列、例えば、ヒトV
H3-07又はV
H1-02生殖系列配列の又はこれに由来するアミノ酸産物を含む単離されたV
Hドメインに関する。
【0231】
当業者であれば、インビトロ及びインビボ発現ライブラリーを含む、本明細書に記載される抗原結合分子を同定し、得るための異なる方法が存在することが分かるだろう。このことを実施例で更に記載する。ディスプレイ(例えば、リボソーム及び/又はファージディスプレイ)及び/又は突然変異誘発(例えば、エラープローン突然変異誘発)等の当分野で公知の最適化技術を使用することができる。
【0232】
インビトロ発現ライブラリーを用いて本明細書に記載されるポリペプチド、核酸、宿主細胞、生成物及び組成物を調製又は生成する方法は、
a)アミノ酸配列をコードする核酸配列のセット、コレクション又はライブラリーを用意する工程と;
b)前記セット、コレクション又はライブラリーを、IL-17Aに結合することができる/IL-17Aに対する親和性を有するアミノ酸配列についてスクリーニングする工程と、
c)IL-17Aに結合することができる/IL-17Aに対する親和性を有するアミノ酸配列を単離する工程と
を含むことができる。
【0233】
上記方法では、配列のセット、コレクション又はライブラリーを、例えば、スクリーニングを容易にするために、ファージ、ファージミド、リボソーム又は適当な微生物(酵母等)上にディスプレイすることができる。配列(のセット、コレクション又はライブラリー)をディスプレイ及びスクリーニングするのに適した方法、技術及び宿主生物は当業者に明らかであるだろう(例えば、Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual、Academic Press;第1版(1996年10月28日) Brian K. Kay、Jill Winter、John McCafferty参照)。
【0234】
V
Hドメインを含む本明細書に記載される結合分子は、トランスジェニック齧歯動物で発現することができる。トランスジェニック齧歯動物、例えば、マウスは、内在性抗体遺伝子を発現する能力が低い。よって、一実施形態では、齧歯動物が、内在性軽及び/又は重鎖抗体遺伝子を発現する能力が低い。そのため、齧歯動物は、機能的軽及び/重鎖が産生されないように、内在性軽及び/又は重鎖抗体遺伝子の発現を妨害するための追加の修飾を含むことができる。
【0235】
本発明はまた、ヒトIL-17Aに結合することができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含む結合分子を製造する方法であって、前記ドメインはヒトV
Hであり、前記方法が、
d)トランスジェニックマウスをIL-17A抗原で免疫化する工程であって、前記マウスはヒト重鎖V遺伝子を含む核酸構築物を発現し、機能的内在性軽鎖又は重鎖を生成することができない工程と、
e)前記マウスからV
Hドメイン配列を含む配列のライブラリーを作成する工程と、
f)前記ライブラリーからV
Hドメイン配列を含む配列を単離する工程と
を含む、方法に関する。
【0236】
本発明はまた、例えば、上記の方法を通して、機能的内在性軽鎖又は重鎖を生成することができないマウスから得た又は得ることができるV
Hドメインを含む結合分子に関する。
【0237】
一実施形態では、齧歯動物がマウスである。マウスは、非機能的λ軽鎖遺伝子座を含み得る。よって、マウスは機能的内在性λ軽鎖を生成しない。一実施形態では、λ軽鎖遺伝子座が部分的若しくは完全に欠失されている、又は挿入、転置、組換え事象、遺伝子編集若しくは遺伝子サイレンシングを通して非機能的にされている。例えば、少なくとも定常領域遺伝子C1、C2及びC3が非機能的にされ得る。一実施形態では、マウスが機能的内在性λ軽鎖を生成しないように遺伝子座が機能的にサイレンシングされる。
【0238】
更に、マウスは、非機能的κ軽鎖遺伝子座を含み得る。よって、マウスは機能的内在性κ軽鎖を生成しない。一実施形態では、κ軽鎖遺伝子座が部分的若しくは完全に欠失されている、又は挿入、転置、組換え事象、遺伝子編集若しくは遺伝子サイレンシングを通して非機能的にされている。一実施形態では、マウスが機能的内在性κ軽鎖を生成しないように遺伝子座が機能的にサイレンシングされる。
【0239】
機能的にサイレンシングされた内在性λ及びκL鎖遺伝子座を有するマウスは、例えば、これにより全体が参照により組み込まれる国際公開第2003/000737号に開示されるように作製することができる。
【0240】
更に、マウスは非機能的重鎖遺伝子座を含み得る。よって、マウスは機能的内在性重鎖を生成しない。一実施形態では、重鎖遺伝子座が部分的若しくは完全に欠失されている、又は挿入、転置、組換え事象、遺伝子編集若しくは遺伝子サイレンシングを通して非機能的にされている。
【0241】
例えば、(これにより全体が参照により組み込まれる)国際公開第2004/076618号に記載されるように、全8つの内在性重鎖定常領域免疫グロブリン遺伝子(μ、δ、γ3、γ1、γ2a、γ2b、ε及びα)がマウス中に存在しない、若しくはこれらが非機能的となる程度に部分的に存在しない、又は遺伝子δ、γ3、γ1、γ2a、γ2b及びεが存在せず、隣接遺伝子μ及びαが、これらが非機能的となる程度に部分的に存在しない、又は遺伝子μ、δ、γ3、γ1、γ2a、γ2b及びεが存在せず、αが、これが非機能的となる程度に部分的に存在しない、又はδ、γ3、γ1、γ2a、γ2b、ε及びαが存在せず、μが、これが非機能的となる程度に部分的に存在しない。一実施形態では、マウスが機能的内在性重軽鎖を生成しないように、遺伝子座が機能的にサイレンシングされている。
【0242】
欠失とは、一部は、例えば、挿入によって、機能的内在性遺伝子産物が遺伝子座によってコードされない、すなわち、機能的産物が遺伝子座から発現されない程度に、内在性遺伝子座遺伝子配列が欠失又は破壊されていることを意味する。別の実施形態では、遺伝子座が機能的にサイレンシングされている。
【0243】
一実施形態では、マウスが非機能的内在性重鎖遺伝子座、非機能的内在性λ軽鎖遺伝子座及び非機能的内在性κ軽鎖遺伝子座を含む。そのため、マウスはいかなる機能的内在性軽鎖も重鎖も生成しない。よって、マウスはトリプルノックアウト(TKO)マウスである。
【0244】
トランスジェニックマウスは、ベクター、例えば、異種重鎖遺伝子座を発現するための酵母人工染色体(YAC)を含む。YACは酵母で極めて大きなDNAインサートをクローニングするために使用され得るベクターである。天然酵母染色体のようにふるまうのに必須である全3つのシス作用性構造要素(自律複製配列(ARS)、セントロメア(CEN)及び2つのテロメア(TEL))を含むのはもちろん、大きなDNAインサートを受け入れる能力により、これらが、染色体のように安定になり、酵母細胞中で忠実に伝達されるのに必要な最小サイズ(150kb)に達することが可能である。YACの構築及び使用は当分野で周知である(例えば、Bruschi, C.V.及びGjuracic, K. Yeast Artificial Chromosomes, Encyclopaedia of Life Sciences 2002 Macmillan Publishers Ltd、Nature Publishing Group/www.els.net)。
【0245】
例えば、YACはC
H1ドメインを欠くマウス免疫グロブリン定常領域遺伝子、マウスエンハンサー及び調節領域と組み合わせて、過剰なヒトV
H、D及びJ遺伝子を含み得る。このようなYACの例を実施例節で提供する。
【0246】
内在性マウス又はラット免疫グロブリン遺伝子を欠失又は不活性化し、C
H1ドメインを欠くマウス免疫グロブリン定常領域遺伝子、マウスエンハンサー及び調節領域と組み合わせて、ヒトV
H、D及びJ遺伝子を導入するために、当分野で公知の代替方法を使用することができる。
【0247】
トランスジェニックマウスは、実施例に例示される標準的な技術により作製することができる。トランスジェニックマウスを作製するための2つの最も一般的な特徴づけられた経路は、遺伝物質の新たに受精した卵母細胞への前核微量注入法を介する、又は安定にトランスフェクトした胚性幹細胞の桑実胚若しくは胚盤胞段階の胚への導入を介する。遺伝物質をどのように導入するかにかかわらず、操作された胚が偽妊娠雌レシピエントに移され、妊娠が継続し、候補トランスジェニックの子が生まれる。
【0248】
これらの広範な方法間の主な差異は、トランスジェニック動物を作製するために使用する前に、ESクローンを広くスクリーニングすることができるということである。対照的に、前核微量注入法は、導入後の宿主ゲノムへの遺伝物質組み込みに依拠し、一般的に言えば、導入遺伝子の組み込み成功を子が生まれた後まで確認することができない。
【0249】
導入遺伝子の取り込みが成功するのを助けるとともに、成功したかどうかを判定するための多くの方法が当分野で公知である。構築物のゲノムへのランダム組み込み、部位特異的組み込み又は相同組換えを含む複数の手段によってトランスジェニック動物を作製することができる。組換えの効率を改善するための薬物耐性マーカー(正の選択)、リコンビナーゼ、組換え媒介カセット交換、負の選択技術及びヌクレアーゼの使用を含む、導入遺伝子組み込み及びその後の修飾を駆動するとともに選択するために使用することができる種々のツール及び技術が存在する。これらの方法のほとんどがES細胞の修飾に一般的に使用されている。しかしながら、これらの技術のいくつかは、前核注入を介して媒介される遺伝子組換えを増強するための有用性を有し得る。
【0250】
所望の背景内でトランスジェニック系列をより効率的に作製するためにさらなる精密化を用いることができる。上記のように、好ましい実施形態では、内在性マウス免疫グロブリン発現をサイレンシングして、創薬のために活用され得る重鎖のみのレパートリーを発現するための導入された導入遺伝子の単独使用を可能にする。遺伝子操作マウス、例えば、全ての内在性免疫グロブリン遺伝子座(マウス重鎖、マウスκ鎖及びマウスλ鎖)についてサイレンシングされたTKOマウスを上記のように使用することができる。導入された導入遺伝子のこのTKO背景移入は、交配(従来の又は過程の効率的なスケーリングを得るためのIVF工程を含めたもの)を介して達成することができる。しかしながら、遺伝子組換え手順中にTKO背景を含めることも可能である。例えば、微量注入法については、卵母細胞をTKOドナーから得てもよい。同様に、TKO胚からのES細胞を遺伝子組換えに使用するために得ることができる。
【0251】
本発明の結合分子を別の部分に結合することができる。これは、毒素、酵素、放射性同位体、他の検出可能な標識、ペプチド、タンパク質及び目的の化学部分から選択され得る。
【0252】
例えば、本発明の結合分子は、検出可能な又は機能的標識で標識され得る。標識は、それだけに限らないが、蛍光体、放射性標識、酵素、化学発光体(chemiluminescer)又は光増感剤を含む、シグナルを生成する又はシグナルを生成するよう誘導され得る任意の分子であり得る。よって、蛍光又は発光、放射能、酵素活性又は光吸光度を検出することによって、結合を検出及び/又は測定することができる。
【0253】
本発明の結合分子の半減期を、化学修飾、特にペグ化又は血清アルブミン、例えば、HAS若しくは抗HAS結合分子との結合、又はリポソームへの組み込みによって延長することができる。
【0254】
一実施形態では、本発明の結合分子が共有結合的に修飾されている。「共有結合的に修飾されている/共有結合修飾」という用語は、例えば、指定された配列の本発明による抗体及び結合分子の有機タンパク質性又は非タンパク質性誘導体化剤による修飾、異種ポリペプチド配列との融合、並びに翻訳後修飾を含む。例えば、指定された配列の共有結合修飾ポリペプチドは、本明細書に記載される機能的特性、例えば、ヒトIL-17に結合する又は例えば、架橋によってIL-17誘導ヒト皮膚線維芽細胞のIL-6産生を中和する能力をまだ有している。共有結合修飾は、一般的に、標的アミノ酸残基を、選択された側若しくは末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることによって、又は選択された組換え宿主細胞中で機能する翻訳後修飾の機序を利用することによって導入される。一定の翻訳後修飾は、発現したポリペプチドへの組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル及びアスパラギニル残基がしばしば対応するグルタミル及びアスパルチル残基に翻訳後に脱アミド化される。或いは、これらの残基が温和な酸性条件下で脱アミノ化される。他の翻訳後修飾には、プロリン及びリジンの水酸化、セリル、チロシン又はスレオニル残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニン及びヒスチジン側鎖の[α]-アミノ基のメチル化が含まれる。例えば、共有結合修飾は、例えば、指定された配列の本発明による結合分子及びそのアミノ酸配列変異体、例えば、イムノアドヘシンと、異種シグナル配列とのN末端融合とを含む融合タンパク質を含む。
【0255】
本発明の別の態様では、本発明によるIL-17A結合分子と、場合により薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。本発明の結合分子又は組成物は、任意の簡便な経路によって投与することができ、本発明の結合分子又は組成物の投与形態の例としては、限定されないが、局所、特に、経皮、非経口及び鼻腔内が挙げられる。非経口投与は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術を含む。組成物は単回又は複数回投与単位の形態をとることができる。
【0256】
本発明の組成物は液体、例えば、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形態であり得る。液体は注射による送達に有用となり得る。本発明の液体組成物は、それが溶液、懸濁液又は他の同様の形態のいずれであれ、以下の1つ又は複数を含むこともできる:滅菌希釈剤、例えば、水、食塩水溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、不揮発性油、例えば、合成モノ若しくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン又は他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン;及び張度を調整するための薬剤、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロース。組成物を、ガラス、プラスチック又は他の材料でできたアンプル、使い捨て注射器又は複数回用量バイアルに封入することができる。
【0257】
具体的な実施形態では、1種又は複数の本発明の結合分子又は組成物を、治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましいだろう。
【0258】
よって、本発明の全ての態様の好ましい実施形態では、本発明の組成物又は結合分子の投与が、健康な又は病気の皮膚への局所投与による。結合分子は少なくとも皮膚の外層に浸透することができるので、皮膚的又は経皮的に送達させることができる。従って、本発明の種々の態様の一実施形態では、本発明の組成物又は結合分子の皮膚への局所送達が、局所的非全身暴露のための皮膚への直接送達である。別の実施形態では、本発明の組成物又は結合分子の皮膚への局所送達が、皮膚の全ての層を通って浸透した後に全身暴露を提供するための皮膚への直接送達である。
【0259】
治療される皮膚は、病気の皮膚であっても健康な皮膚であってもよい。好ましい実施形態では、皮膚疾患が乾癬又はアトピー性皮膚炎である。
【0260】
好ましくは、施用される表面積が体表面液の1%〜30%、例えば、1%〜10%又は1%〜20%である。よって、投与は体表面液の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、27%、26%、28%、29%又は30%までであり得る。一実施形態委では、疾患状態が軽度である。別の実施形態では、疾患状態が中等度である。別の実施形態では、疾患状態が重度である。乾癬を治療するために、投与は患部、典型的には肘、膝、手のひら、頭皮、足底、生殖器、上腿、鼠径部、臀部、顔及び胴体から選択される1つ又は複数の領域に対する。アトピー性皮膚炎を治療するために、投与は幹部、典型的には顔、前腕及び手首から選択される1つ又は複数の領域に対する。
【0261】
結合分子は、クリーム、ローション、スプレー、溶液、ゲル、軟膏、ペースト、硬膏剤、パッチ、生体接着剤、懸濁剤等の形態で病気の又は健康な皮膚に直接施用することができる、並びに/或いはリポソーム、ミセル及び/又はマイクロスフェアを含有するように調製することができる。一実施形態では、結合分子が、液剤(例えば、スプレー)、硬膏剤、パッチ又は生体接着剤の形態で病気の皮膚に直接施用される。一実施形態では、結合分子がマイクロエマルジョンの形態で病気の皮膚に直接施用される。
【0262】
マイクロエマルジョンは一般的に、2〜500nmの範囲内の液滴径を有すると定義されるので、活性剤の皮膚への有効な送達を可能にする。マイクロエマルジョンは、一定の範囲の化合物の経皮送達の増強への使用について提案されてきた。これは、全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0243132号に記載されている。
【0263】
具体的には、本明細書で使用される場合、マイクロエマルジョンという用語は油相、水相及び界面活性剤を含む配合物を指し、マイクロエマルジョンは、例えば、本明細書に記載されるヒトV
Hドメインを含む結合分子の経皮送達が可能である。好ましくは、本発明のマイクロエマルジョンが2〜500nmの範囲内の液滴径を有する。一実施形態では、マイクロエマルジョンが、共界面活性剤、共溶媒又はこれらの組み合わせを更に含む。
【0264】
本発明のマイクロエマルジョンは、界面活性剤が優先的に水溶性である水中油型マイクロエマルジョン;界面活性剤が主に油相中にある油中水型マイクロエマルジョン;界面活性剤に富む中相が水相及び油相と共存する三相マイクロエマルジョン;両連続単相;十分な量の両親媒性物質(界面活性剤+アルコール)を添加すると形成する単相ミセル溶液;又は膨潤ミセル溶液であり得る。
【0265】
本発明のマイクロエマルジョンは当分野で公知の方法によって製造することができる。一般に、マイクロエマルジョンは、典型的には、必要な分散レベル、伝導率、粘度、浸透性(percolativity)又は他の分散特性を生み出すために十分な力又は必要な温度を含む条件下で成分を乳化することによって製造される。
【0266】
マイクロエマルジョン形成は、中性子散乱、時間平均散乱、準電子光散乱、すなわち、高分解能超音波分光法又は光子相関分光法等の散乱及び分光法技術を用いて評価することができる。マイクロエマルジョンの分配係数はクロマトグラフ的に測定することもできる。特定の配合の選択は、所望の用途に応じていくつかの異なるパラダイムに基づく。例示的なパラダイムには、親水性-親油性バランス、転相温度又は凝集エネルギー比が含まれる。マイクロエマルジョンは、広範囲の非混和性液体及び他の追加の薬剤を用いて配合することができる。
【0267】
本発明のマイクロエマルジョンは、50〜99重量%、最も好ましくは50〜90重量%の範囲の油相と;2〜50重量%、最も好ましくは1〜50重量%の範囲の水相と;0.1〜90重量%の界面活性剤、好ましくは1〜90重量%の界面活性剤とを含み得る。マイクロエマルジョンは、0.1〜90重量%の共界面活性剤又は共溶媒、好ましくは1〜90重量%の共界面活性剤又は共溶媒を更に含み得る。
【0268】
油相は、植物又は動物由来の天然油(植物油、ヒマワリ油、ヤシ油、アーモンド油等);精製した合成又は天然のジ又はトリグリセリド(Crodamol GTCC(登録商標)及びCapmul MCM(登録商標)等);リン脂質及びその誘導体(レシチン又はリゾレシチン等);脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オレイン酸エチルエステル等);炭化水素(ヘキサン、n-デカン〜n-オクタデカンシリーズ等);及び/又はグリセリン分解(glycerolysed)脂肪及び油(グリセリルモノオレエート、グリセリルモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート等)を含み得る。
【0269】
他の油相成分には、それだけに限らないが、Labrafil M 1944 CS(登録商標)、ベンゼン、テトラヒドロフラン及びn-メチルピロリドン又はハロゲン化炭化水素(塩化メチレン又はクロロホルム等)が含まれる。特定の実施形態では、油相がCrodamol GTCC(登録商標)及びCapmul MCM(登録商標)を3:1比で含む。油成分は単独で又は別の油成分と組み合わせて使用される。各油又は油の固有の混合物は、当業者によって日常的に決定され得るように、水相を有するマイクロエマルジョンを形成するために、異なる界面活性剤又は界面活性剤の混合物又は界面活性剤と共界面活性剤を要し得る。水相成分は水と、1種又は複数の医薬品を含む水中の任意の水溶性成分とを含み得る。
【0270】
本発明のマイクロエマルジョンは、溶媒又はエマルジョン形成若しくは安定性を増強するための他の剤を更に含み得る。他の剤を導入してpH、イオン含量、重合、味覚、芳香、無菌性、色、粘度等等の機能を提供することができる。
【0271】
本発明のマイクロエマルジョンを、任意の適当な合成プラスチック、又はポリマー性、モノマー性若しくはハイブリッドコロイド材料を用いて生成することもできる。
【0272】
上に示される方法及び使用によると、結合分子を1種又は複数の化学的皮膚浸透促進剤と一緒に投与することができる。皮膚浸透促進剤の例を以下に示す。
【0273】
別の実施形態では、結合分子が吸蔵を用いて投与される。一実施形態では、結合分子が化学的皮膚浸透促進剤と一緒に、吸蔵を用いて、健康な又は病気の皮膚に投与される。一実施形態では、結合分子がマイクロエマルジョンとして及び吸蔵を用いて健康な又は病気の皮膚に投与される。
【0274】
本発明の種々の態様の別の実施形態では、投与が非化学的皮膚浸透促進剤、例えば、フォノフォレーシス、ソノフォレーシス、電気穿孔を用いて、又はマイクロニードル技術を用いて改善され得る。これは、薬物リザーバーと接続された小型針(高さ10〜200μm及び幅10〜50μm)を使用する。マイクロニードル送達装置は、上部真皮の神経終末に達することなく皮膚表面に適用される。
【0275】
上に示されるように投与される結合分子は、少なくとも皮膚の外層に浸透することができるので、疾患を治療するために有効な治療量の結合分子を送達する。本明細書に示されるように投与される結合分子は、好ましくは6時間以下、例えば、1時間以下で皮膚に浸透することができる。
【0276】
一態様では、本発明は、本発明の結合分子と、皮膚浸透を促進又は改善する皮膚浸透促進剤とを含む医薬組成物に関する。特に指定されない限り、本明細書で使用される皮膚浸透促進剤という用語は、化学的皮膚浸透促進剤を指す。多数の化学的浸透促進剤が当分野で公知であり、本発明の組成物に使用することができる。これらには、それだけに限らないが、水、アルコール、好ましくは最大6個の炭素原子を有するアルコール、例えば、エタノール、グリコール、例えば、アルコールジエチレングリコール(Transcutol(登録商標))、アルキル-N,N-二置換アミノアセテート、例えば、ドデシル-N,N-ジメチルアミノアセテート、エステル、例えば、酢酸エチル、Azone(登録商標)及び誘導体、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テルペン及びテルペノイド、例えば、d-リモネン、脂肪酸、例えば、オレイン酸、尿素及び誘導体、例えば、1,3-ジフェニル-尿素、ピロリドン、例えば、N-メチル-2-ピロリドン及び2-ピロリドン-5-カルボン酸、シクロデキストリン、例えば、β-シクロデキストリン、スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシドが含まれる。他の皮膚浸透促進剤は当業者に公知である。一実施形態では、促進剤が水でない。一実施形態では、皮膚浸透促進剤がプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル及びアゾンの1つ又は複数から選択される。好ましい浸透促進剤は、例えば、Table 13(表13)及びTable 14(表14)、並びに実施例に示される、DMSO、アゾン、Transcutol(登録商標)、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸又はこれらの組み合わせである。
【0277】
一実施形態では、浸透促進剤が水、エタノール、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレン誘導体(ポリソルベート等)、脂肪アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール又はセロステアリルアルコール等)、グリセロール及びプロピレングリコールの1つ又は複数ではない。
【0278】
特定の障害又は状態の治療に有効/活性である本発明の結合分子の量は、障害又は状態の性質に依存し、標準的な臨床技術によって決定することができる。更に、インビトロ又はインビボアッセイを場合により使用して最適な投与量範囲を同定することができる。組成物に使用するための正確な用量は、投与経路及び疾患又は障害の重篤度にも依存し、専門家の判断及び各患者の状況により決定すべきである。
【0279】
本発明の組成物は、適当な投与量が得られるように有効量の本発明の結合分子を含む。化合物の正確な投与量は、特定の配合、施用様式及びその特定の部位、受容者及び治療している疾患により変化するだろう。年齢、体重、性別、食事、投与時間、排泄率、受容者の状態、薬物組み合わせ、反応感受性及び疾患の重症度等の他の因子も考慮すべきである。投与は、最大耐容用量内で連続的又は周期的に行うことができる。
【0280】
典型的には、この量は組成物の少なくとも約0.01重量%の本発明の結合分子である。
【0281】
本発明の好ましい組成物は、非経口投与単位が約0.01重量%〜約2重量%の本発明の結合分子を含有するよう調製される。
【0282】
静脈内投与については、組成物は典型的には約0.1mg/kg〜約250mg/kg動物体重、好ましくは約0.1mg/kg〜約20mg/kg動物体重の間、より好ましくは約1mg/kg〜約10mg/kg動物体重を構成し得る。
【0283】
本組成物は適当な担体、例えば、エアロゾル、スプレー、懸濁液又は使用に適した他の形態の形態をとることができる。適当な医薬担体の他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martinに記載されている。
【0284】
リポソーム及びミセルを本発明により使用することもできる。
【0285】
リポソームは、脂質二重層を含む脂質壁を有する微細小胞であり、本文脈では、本発明の重鎖のみの抗体又は組成物をカプセル化する。本明細書中のリポソーム調製物は、カチオン性(正に帯電)、アニオン性(負に帯電)及び中性調製物を含む。カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[1-2,3-ジオレイルオキシ]プロピル]-N,N,N-トリエチル-アンモニウム(DOTMA)リポソームが商品名Lipofectin(GIBCO BRL社、Grand Island、NY)で入手可能である。同様に、アニオン性及び中性リポソームも容易に入手可能であり、容易に入手可能な材料を用いて容易に調製することができる。このような材料には、特にホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が含まれる。これらの材料を適当な比でDOTMAと混合することもできる。これらの材料を用いてリポソームを生成する方法は当分野で周知である。
【0286】
ミセルは、その極性頭部が外部球形シェルを形成する一方、疎水性炭化水素鎖が球の中心に向かって配向されて、コアを形成するように配置された界面活性剤分子で構成されたものとして当分野で知られている。ミセルは十分高濃度で界面活性剤を含有する水溶液中で形成するので、結果としてミセルは自然に生じる。ミセルを形成するために有用な界面活性剤には、それだけに限らないが、ラウリン酸カリウム、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルアンモニウムクロリド、ポリオキシル-8ドデシルエーテル、ポリオキシル-12ドデシルエーテル、ノノキシノール10及びノノキシノール30が含まれる。
【0287】
同様に、マイクロスフェアを本製剤に組み込むことができる。リポソーム及びミセルと同様に、マイクロスフェアは本質的に本製剤の1つ又は複数の成分をカプセル化する。これらは一般的に、必ずしもそうであるとは限らないが、脂質、好ましくは荷電脂質、例えば、リン脂質から形成される。脂質マイクロスフェアの調製は当分野で周知であり、関連テキスト及び文献に記載されている。
【0288】
医薬組成物は、製薬分野で周知の方法論を用いて調製することができる。例えば、注射によって投与することを意図した組成物は、本発明の結合分子を水と組み合わせて溶液を形成することによって調製することができる。界面活性剤を添加して均質な溶液又は懸濁液の形成を促進することができる。
【0289】
本発明は更に、本発明の結合分子を患者に投与する工程を含む、疾患を予防及び/又は治療する方法であって、薬学的活性量の本発明の結合分子及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法に関する。より具体的には、本発明は、本明細書に列挙される疾患及び障害からなる非限定的群から選択される疾患を予防及び/又は治療する方法であって、薬学的活性量の本発明の結合分子又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法に関する。本発明により治療することができる免疫関連疾患の例は、本明細書の開示に基づいて当業者に明らかであり、例えば、自己免疫疾患、炎症性状態、アレルギー及びアレルギー状態、過敏反応、重度感染症、及び臓器又は組織移植拒絶が挙げられる。
【0290】
本発明はまた、疾患の治療に使用するための本発明の結合分子に関する。別の態様では、本発明は、疾患、例えば、自己免疫疾患、炎症性状態、アレルギー及びアレルギー状態、過敏反応、重度感染症、及び臓器又は組織移植拒絶の治療に使用するための本発明の結合分子に関する。
【0291】
別の態様では、本発明は、疾患、例えば、自己免疫疾患、炎症性状態、アレルギー及びアレルギー状態、過敏反応、重度感染症、及び臓器又は組織移植拒絶を治療するための医薬品の製造における本発明の結合分子の使用に関する。異なる上記態様によると、疾患は以下の非限定的一覧から選択され得る:乾癬、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、骨関節炎、若年性関節リウマチ、脊椎関節症、全身硬化症、突発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少症、甲状腺炎、糖尿病、免疫媒介腎疾患、中枢神経系及び末梢神経系の脱髄性疾患、例えば、多発性硬化症、突発性脱髄性多発性ニューロパチー又はギランバレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー、肝胆道疾患、例えば、感染性、自己免疫慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎及び硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、グルテン過敏性腸疾患及びウィップル病、自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患(水泡性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む)、アレルギー性疾患、例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー及び蕁麻疹、肺の免疫疾患、例えば、好酸球性肺炎、突発性肺線維症及び過敏性肺炎、自己免疫血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び突発性血小板減少症を含む)、自己免疫炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸症候群を含む)、移植関連疾患(移植片拒絶及び移植片対宿主病を含む)。
【0292】
本発明の結合分子はまた、喘息、気管支炎、塵肺症、肺気腫及び他の気道の閉塞性又は炎症性疾患の治療、予防又は改善にも有用である。
【0293】
好ましい実施形態では、疾患が乾癬、脊椎関節症、ブドウ膜炎、アトピー性皮膚炎及び喘息から選択される。
【0294】
本発明の抗体は、IL-17によって媒介される又はIL-17産生若しくはIL-17によるTNF放出の促進を伴う望ましくない急性及び超急性炎症反応、例えば、急性感染症、例えば、敗血症性ショック(例えば、エンドトキシンショック及び成人呼吸促迫症候群)、髄膜炎、肺炎;及び重症熱傷の治療;並びに感染症、がん又は臓器機能不全の結果としての病的TNF放出に関連する悪液質又は消耗症候群、特に、例えば、HIV感染に関連する又はHIV感染の結果としてのAIDS関連悪液質の治療に有用である。
【0295】
本発明の結合分子は、骨関節炎、骨粗鬆症を含む骨代謝の疾患並びに他の炎症性関節炎及び骨減少(一般に、加齢性骨減少を含む)及び特に歯周病を治療するのに特に有用である。
【0296】
本発明の結合分子を、単独有効成分として又は1種若しくは複数の他の薬物、例えば、上記疾患を治療又は予防するための免疫抑制若しくは免疫調節剤又は他の抗炎症剤と組み合わせて投与することができる。例えば、本発明の結合分子を、免疫抑制モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86又はそのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4又はその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部、例えば、非CTLA4タンパク質配列、例えば、CTLA4Ig(例えば、ATCC68629と呼ばれる)又はその変異体、例えば、LEA29Yと結合したCTLA4又はその変異体の少なくとも細胞外部分を有する組換え結合分子;接着分子阻害剤、例えば、LFA-Iアンタゴニスト、ICAM-I若しくは-3アンタゴニスト、VCAM-4アンタゴニスト又はVLA-4アンタゴニスト;又は化学療法薬、例えば、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ドキソルビシン又は5-フルオロウラシル;抗TNF剤、例えば、TNFに対するモノクローナル抗体、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、CDP870又はTNF-RI若しくはTNF-RIIに対する受容体構築物、例えば、Etanercept(登録商標)、PEG-TNF-RI;炎症促進性サイトカインの遮断薬、IL-I遮断薬、例えば、アナキンラ又はIL-Iトラップ、AAL160、ACZ885、IL-6遮断薬;ケモカイン遮断薬、例えば、プロテアーゼの阻害剤又は活性化因子、例えば、メタロプロテアーゼ、抗IL-15抗体、抗IL-6抗体、抗CD20抗体、NSAID(アスピリン等)又は抗感染症薬と組み合わせて使用することができる。この一覧は言及される薬剤に限定されない。
【0297】
本発明の結合分子は、他の薬物と同時に、又は異なる時間に、例えば、同時に、別々に又は順次投与することができる。
【0298】
本発明はまた、疾患を診断する方法に関する。代表的な疾患は上に列挙される。一実施形態では、疾患が乾癬である。本方法は、試料中の本明細書に記載される結合分子の結合を検出することによってIL-17A発現のレベルを測定する工程と、試験試料中のIL-17Aの発現のレベルを、乾癬でない対象からの対照試料中の発現のレベル又は乾癬でない対象についての標準値若しくは標準値範囲と比較する工程とを含む。対照又は標準に対する試験試料中のIL-17A発現の上昇は、疾患の存在を示す。
【0299】
別の態様では、本発明は、上記疾患の治療に有用な本発明の結合分子と、場合により取扱説明書とを含むキットを提供する。
【0300】
本発明はまた、本発明の結合分子を用いる検出方法に関する。ヒトIL-17Aに結合する能力があれば、本明細書に開示されるヒトIL-17A結合分子を使用して、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は組織免疫組織化学等の従来の免疫測定法を用いて、IL-17A(例えば、血清又は血漿等の生体試料中)を検出することができる。生体試料を本明細書に開示される結合分子と接触させる工程と、IL-17Aに結合した結合分子又は結合していない結合分子のいずれかを検出し、それによって生体試料中のIL-17Aを検出する工程とを含む、生体試料中のIL-17Aを検出する方法が提供される。結合分子を検出可能な物質で直接的又は間接的に標識して、結合している又は結合していない抗体の検出を容易にする。適当な検出可能な物質には、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質及び放射性物質が含まれる。
【0301】
結合タンパク質を標識する代わりに、検出可能な物質で標識したIL-17標準及び未標識ヒトIL-17結合分子を利用する競合免疫測定法によって、生体液においてヒトIL-17Aを分析することができる。このアッセイでは、生体試料、標識IL-17A標準及びヒトIL-17A結合分子を合わせ、未標識結合分子に結合した標識IL-17A標準の量を測定する。生体試料中のヒトIL-17Aの量は、IL-17結合分子に結合した標識IL-17標準の量に反比例する。同様に、検出可能な物質で標識したIL-17標準及び未標識ヒトIL-17結合分子を利用する競合免疫測定法によって、生体液においてヒトIl-17を分析することもできる。
【0302】
本明細書で説明されるように、本発明の結合分子は、インビトロとインビボの両方でIL-17活性、例えば、ヒトIL-17活性を中和することができる。
【0303】
従って、例えば、ヒト対象又は本明細書に開示される結合分子が交差反応するIL-17を有する他の哺乳動物対象において、IL-17を含む細胞培養液で、本明細書に開示されるこのような結合分子を使用してIL-17活性を阻害することができる。一実施形態では、IL-17活性が阻害又は増加されるようにIL-17を本明細書に開示される結合分子と接触させる工程を含む、IL-17活性を阻害又は増加させる方法が提供される。例えば、IL-17を含む又は含むことが疑われる細胞培養液で、本明細書に開示される結合分子を培養培地に添加して培養液中のIL-17活性を阻害することができる。
【0304】
本明細書で特に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。前記開示は本発明の方法、並びに本発明を生成及び使用するベストモードを含む、本発明の範囲内に含まれる主題の一般的な説明を提供するが、以下の実施例を提供して、当業者が本発明を実施するのを更に可能にし、その完全な書面による明細を提供する。しかしながら、当業者であれば、これらの実施例の詳細が本発明に対する限定として読まれるべきでなく、本発明の範囲は本開示に添付される特許請求の範囲及びその同等物から理解されるべきであることを認識するだろう。本開示に照らして、本発明の種々のさらなる態様及び実施形態が当業者に明らかになるだろう。
【0305】
遺伝子登録番号への言及を含む本明細書で言及される全ての文書は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0306】
「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、他を含む又は含まない2つの指定される特徴又は成分の各々の具体的な開示とみなされるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、あたかも各々が本明細書で個別に示されているように、(i)A、(ii)B及び(iii)AとBの各々の具体的な開示とみなされるべきである。文脈上別段の指示がない限り、上に示される特徴の説明及び定義は、本発明の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載されている全ての態様及び実施形態に等しく準用する。
【0307】
本発明を非限定的実施例で更に説明する。
【実施例】
【0308】
(実施例1)
Tg/TKOマウスの構築
内在性重及び軽鎖抗体発現についてサイレンシングされた(トリプルノックアウト又はTKO)背景内の生殖系列配置の重鎖抗体トランスジェニック遺伝子座を有するマウスを、前記(国際公開第2004/076618号及び国際公開第2003/000737号、Ren等、Genomics、84、686、2004;Zou等、J. Immunol.、170、1354、2003)のように作製した。手短に言えば、C
H1ドメインを欠くマウス免疫グロブリン定常領域遺伝子、マウスエンハンサー及び調節領域と組み合わせて過剰のヒトV
H、D及びJ遺伝子を含む酵母人工染色体(YAC)を新たに受精した卵母細胞に前核微量注入した後、トランスジェニックマウスを得た。酵母人工染色体(YAC)は酵母で極めて大きなDNAインサートをクローニングするために使用され得るベクターである。天然酵母染色体のようにふるまうのに必須である全3つのシス作用性構造要素(自律複製配列(ARS)、セントロメア(CEN)及び2つのテロメア(TEL))を含むのはもちろん、大きなDNAインサートを受け入れる能力により、これらが、染色体のように安定になり、酵母細胞中で忠実に伝達されるのに必要な最小サイズ(150kb)に達することが可能である。YACの構築及び使用は当分野で周知である(例えば、Bruschi, C.V.及びGjuracic, K. Yeast Artificial Chromosomes, Encyclopaedia of Life Sciences 2002 Macmillan Publishers Ltd、Nature Publishing Group/www.els.net)。
【0309】
使用するYACは、その天然配置の10個のヒト重鎖V遺伝子、ヒト重鎖D及びJ遺伝子、マウスCγ1遺伝子及びマウス3'エンハンサー遺伝子を含む約340kbとした。これはC
H1エクソンを欠いていた。具体的には、YACは、(5'から3'まで):テロメア-酵母TRP1マーカー遺伝子-セントロメア-10個のヒトV遺伝子-ヒトD遺伝子-ヒトJ遺伝子-マウスμエンハンサー及びスイッチ-マウスCγ1(C
H1Δ)遺伝子-マウス3'エンハンサー-ハイグロマイシン耐性遺伝子-酵母マーカー遺伝子HIS3-テロメアを含んでいた。
【0310】
トランスジェニックファウンダーマウスを、内在性免疫グロブリン発現を欠いた動物と戻し交雑して、記載される免疫化試験に使用するTg/TKO系列を作製した。
【0311】
(実施例2)
免疫化のための抗原
免疫化は組換え精製タンパク質を使用した。組換えヒトIL-17AをPeprotech社から購入した(Peprotech社、カタログ番号AF-200-17)。
【0312】
(実施例3)
免疫化プロトコル
本ケースでは、組換えタンパク質をTg/TKOに投与した。手短に言えば、それぞれ8〜12週齢のマウスに、完全フロイントアジュバント中で乳化した組換えタンパク質合計10μgを受けさせ、皮下送達し、引き続いて不完全フロイントアジュバント中で乳化した組換えタンパク質1〜10μgのブーストも皮下投与し、初期プライミング後、種々の間隔で与えた。最終用量の抗原を、アジュバントの非存在下、リン酸緩衝生理食塩中で、腹腔内投与した。
【0313】
代替の免疫化経路及び手順を使用することもできる。例えば、フロイントアジュバントの代わりに、異なるアジュバント又は免疫強化手順を使用することができる。DNA免疫化は通常、筋肉内又は遺伝子銃を介して送達する。トランスフェクト細胞又はこのような細胞からの膜調製物は通常、排他的ではないが、腹腔内投与する。
【0314】
(実施例4)
血清ELISA
免疫化中及び後、血清をマウスから回収し、ELISAによって、免疫原に対する重鎖抗体反応の存在について確認した。Nunc社のMaxisorpプレート(Nunc社カタログ番号443404)を50μl/ウェルの5μg組換え抗原/ml PBS溶液で、4℃で一晩コーティングした。抗原溶液をデカントした後、プレートを、0.05%Tween(登録商標)20(sigma社P1379)を補足したPBS(PBS錠剤から調製、Oxoid社カタログ番号BR0014G)を用いて洗浄し、引き続いてTween(登録商標)を添加していないPBSで洗浄した。非特異的タンパク質相互作用を遮断するために、PBS中3%脱脂粉乳(Marvel社)の溶液をウェルに添加し、プレートを室温で少なくとも1時間インキュベートした。血清の3%脱脂粉乳/PBS中希釈液をポリプロピレンチューブ又はプレート中で調製し、室温で少なくとも1時間インキュベートした後、ブロッキングELISAプレートに移し、ここで少なくとも1時間の更なるインキュベーションを行った。次いで、結合していないタンパク質を、PBS/Tween(登録商標)、引き続いてPBSによる繰り返しの洗浄を用いて洗い流した。次いで、PBS/3%μ中に調製したビオチン結合ヤギ抗マウスIgG、Fcγサブクラス1特異抗体(Jackson社115-065-205)を各ウェルに添加し、室温で少なくとも1時間の更なるインキュベーションを行った。結合していない検出抗体を、PBS/Tween(登録商標)及びPBSを用いた繰り返しの洗浄によって除去した。次いで、3%Marvel/PBS中ニュートラアビジン-HRP溶液(Pierce社31030)をELISAプレートに添加し、少なくとも30分間結合させた。更なる洗浄後、TMB基質(Sigma社カタログ番号T0440)を用いてELISAを展開し、0.5M H
2SO4溶液(Sigma社カタログ番号320501)を添加することによって反応を10分後に停止した。450nmで読み取ることによって吸光度を測定した。血清ELISAデータの例を
図7に示す。ELISPOTアッセイ等の代替アッセイを使用して免疫化誘導重鎖抗体反応を確認することもできる。
【0315】
(実施例5)
免疫化マウスからのライブラリーの作成
a.組織の処理、RNA抽出及びcDNA製造
脾臓、鼠径及び上腕リンパ節を各免疫化動物からRNAlaterに回収した。各動物について、脾臓の1/3及び4つのリンパ節を別々に処理した。最初に、組織をホモジナイズした;組織をLysingマトリックスDビーズチューブ(MP Bio社カタログ番号116913100)に移した後、β-メルカプトエタノールを含有するRLT緩衝液600μL (Qiagen社製、RNeasy(登録商標)キットカタログ番号74104)を添加した後、6m/s 40秒サイクルを用いてMP Bio社Fastprepホモジナイザー(カタログ番号116004500)でホモジナイゼーションを行った。ホモジナイズした組織を含有するチューブを氷に移し、細片を10gで5分間微量遠心分離によってペレット化した。上清400μlを取り出し、RT-PCRに使用した。
【0316】
最初に、製造業者の指示に従って、Qiagen社RNeasy(登録商標)キットカタログ番号74104を用いてRNAを抽出した。次いで、各RNA試料を使用して、Superscript III RT-PCR高忠実度キット(Invitrogen社カタログ番号12574-035)を用いてcDNAを作製した。各脾臓及びLN RNA試料について、それぞれV
H1、V
H2、V
H3、V
H4又はV
H6ファミリー用のプライマーと組み合わせてV
H_J/F(長)プライマーを用いて、5回のRT-PCR反応を行った。プライマーの詳細は以下である;
【0317】
【表6】
【0318】
以下のチューブ反応成分に基づいて、RT-PCR反応のためにマスターミックスを調製した。
12.5μl 2×反応ミックス
0.5μl 順方向プライマー(10μM)
0.5μl 逆方向プライマー(10μM)
0.5μl 酵素ミックス
500ng〜1μg RNA
25μlまでの水
【0319】
以下の条件を用いて、サーマルサイクラーでRT-PCR反応を行った;
50℃20分
94℃2分
35サイクルの94℃ 15秒
58℃30秒
68℃30秒
68℃5分
4℃で維持
370bpの範囲の産物をゲル電気泳動によって確認した。
【0320】
次いで、各マウスについて、1/3脾臓及び4つのリンパ節の各々から所与のファミリーについて増幅したV
H産物を、産物を水50μlに溶出する、Thermo/Fermentas社のGeneJet PCR精製キット(カタログ番号K0702)(製造業者の指示に従って使用した)を用いた精製のためにプールした。
【0321】
b.ファージミドベクターへのクローニング
ファージミドベクター、pUCG3をこれらの試験に使用した。示されるように、NcoI及びXhoIによる制限酵素消化、ライゲーション及び形質転換を含む従来法を用いて、V
HをpUCG3にクローニングすることができる。或いは、PCRに基づく方法を使用してV
Hファージミドライブラリーを構築することができる。これらの手順の両方を使用して増幅V
H配列からライブラリーを作製した。前者の方法が当分野で広く使用されている。PCRに基づく方法について、以下の手順を使用した:
【0322】
以下のプライマーで、PCRを用いてpUCG3の線状版を作製した:
pUCG3-F3 CTCGAGGGTGGCGGTAGCCATCACCACCATC 配列番号388
pUCG3-R3 TCCATGGCCATCGCCGGCTGGGCCGCGAG 配列番号389
【0323】
以下の試薬を含むPCR反応にGC緩衝液(カタログ番号F532L、NEB)を含むPhusion High fidelity PCRマスターミックスを使用した;
Phusion GC 2×ミックス 25μl
pUCG3 5〜10ng
プライマー(10μM) それぞれ1.25μl
DMSO 1.5μl
ヌクレアーゼフリーH
2O 50μlの最終体積まで
使用したサイクリング条件は、
98℃30秒
10サイクルの
98℃10秒
58℃20秒
68℃2分30秒
20サイクルの
98℃10秒
58℃20秒
68℃3分
68℃5分
4℃維持
【0324】
PCR産物(3152bp)を、溶出緩衝液40μlに最終溶出して、製造業者の指示により、Fermentas社のGeneJetゲル精製キット(カタログ番号K0691)を用いてゲル精製した。以下のに反応に基づき、精製したV
H RT-PCR産物を線状pUCG3と共にメガプライマーとして使用して、形質転換及びライブラリー作製のためのファージミド産物を得た;
Phusion GC 2×ミックス 25μl
線状pUCG3 700ng
V
HPCR産物 250ng
DMSO 1.5μl
ヌクレアーゼフリーH
2O 50μlの最終体積まで
PCRを以下の通り行った;
【0325】
【化1】
【0326】
PCR産物を1%アガロースゲル上で分析した。
【0327】
種々のファミリーのV
H/ファージミド産物を、最終溶出をH
2O25μl中にして、製造業者の指示により、FermentをPCR精製キット(カタログ番号K0702)として使用して精製し、BioRad(登録商標)10×1mmキュベット(BioRad(登録商標)カタログ番号165-2089)、Eppendorf(登録商標)Eporator及び予熱回収培地(Lucigen社、専売ミックス)を用いる電気穿孔によるTG1大腸菌(E.coli)(Lucigen社、カタログ:60502-2)の形質転換に使用した。精製した産物2μlを電気穿孔のために細胞25μlに添加し、最大10回の電気穿孔を1800Vで各V
H/ファージミド産物について行った。電気穿孔した細胞を50ml Falconチューブにプール及び回収し、150rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。形質転換物の一定分量の10倍希釈系列を行い、2%(w/v)グルコース及び100μg/mlアンピシリンを補足した2×TY寒天を含有するペトリ皿に蒔いた。これらの皿上に得られたコロニーを使用してライブラリーサイズを推定した。形質転換の残りを、2%(w/v)グルコース及び100μg/mlアンピシリンを補足した2×TY寒天を含有する大型フォーマットBioassay板に蒔いた。全ての寒天平板を30℃で一晩インキュベートした。2×TYブロス10mlを大型フォーマットバイオアッセイ板に添加し、コロニーをこすり取り、OD600を測定した(OD1.0=5×10
8個細胞/ml)。一定分量を、50%v/vグリセロール溶液(50%)を添加した後に冷結保存バイアル中-80℃で保存した、又はファージ選択工程に直接使用した。
【0328】
いくつかの例では、クローンを直接選抜し、配列を決定してライブラリーの多様性を推定した。典型的には、各マウスについて、1e8超の組換え体を含むファージディスプレイライブラリーを構築してそのマウスにおけるV
H多様性を完全にとらえた。
【0329】
(実施例6)
ナイーブVHライブラリー
ナイーブインビトロヒトV
H1ライブラリーの構築
ヒトV
H1-02足場を以下の通りPCR(Finnzymes社F-531L)によって増幅した: 2×Phusion PCRミックス25μl;V1a/B(10μM)2.5μl;VH3-93/F/C-(10μM) 2.5μl;V
H1-02をコードするプラスミド10ng及びdH
2O 50μlの最終体積まで。次いで、反応物を1分間95℃に加熱し、引き続いて30サイクルのPCR:98℃10秒、54℃30秒、72℃30秒を行った。次いで、PCR産物を1%(w/v)アガロースゲル上での電気泳動、引き続いて臭化エチジウムによる染色によって分析した。PCR増幅産物を約300bpの正確なサイズで観察した(
図6A)。
【0330】
脾臓、リンパ節、骨髄及び末梢血リンパ球からのヒトcDNAを商業的供給業者(Invitrogen社、Clontech)から購入した。オリゴヌクレオチドプライマーV
HCDR3/B/G-及びV
HJ/Fを合成して、以下の通りB細胞cDNAからのV
H-CDR3+V
Hフレームワーク4配列のPCR増幅を促進した:2×Phusion PCRミックス25μl(Finnzymes社F-531L);V
HCDR3/B/G-(10μM)2.5μl; V
HJ/F(10μM)2.5μl;cDNA3ng及びdH
2O最終50μlまで。次いで、反応物を1分間95℃に加熱し、引き続いて30サイクルのPCR:98℃10秒、54℃30秒、72℃30秒を行った。30サイクル後、次いで、PCR反応物を72℃で8分間加熱し、引き続いて10℃で維持した。次いで、PCR産物を1%(w/v)アガロースゲル上での電気泳動、引き続いて臭化エチジウムによる染色によって分析した。PCR増幅産物を約50〜100bpの正確なサイズで観察した(
図6B)。
【0331】
次いで、ヒトV
H-CDR3 PCR産物をV
H1-02足場と組み立てて、全長V
H結合分子をコードするDNA産物を作製した。V
H1-02足場を、以下を添加することによって増幅ヒトV
H-CDR3配列と組み立てた:2×Phusion PCRミックス12.5μl(Finnzymes社F-531L);V
H1-02PCR産物40ng;各V
H-CDR3 PCR産物10ng及び dH
2O最終25μlまで。次いで、反応物を1分間95℃に加熱し、引き続いて8サイクルのPCR:98℃10秒、54℃30秒、72℃30秒を行った。8サイクル後、次いで、PCR反応物を72℃で8分間加熱し、引き続いて10℃で維持した。次いで、全長V
H産物をプルスルーPCRによって組み立て産物から増幅した: 2×Phusion PCRミックス100μl(Finnzymes社F-531L);オリゴヌクレオチドV1a/B(10μM)10μl;オリゴヌクレオチドV
HJ/F(10μM)10μl;V
H1-02組み立て産物10μl及びdH
2O200μlの最終体積まで。次いで、反応物を1分間95℃に加熱し、引き続いて30サイクルのPCR:98℃10秒、54℃30秒、72℃30秒を行った。30サイクル後、次いで、PCR反応物を72℃で8分間加熱し、引き続いて10℃で維持した。次いで、PCR産物を1%(w/v)アガロースゲル上での電気泳動、引き続いて臭化エチジウムによる染色によって分析した。全長V
H産物を約400bpの正確なサイズで観察した(
図6C)。PCR産物を、Fermentas社のPCR精製カラム(K0701)を用いて精製し、dH
2Oに再懸濁した。
【0332】
ファージディスプレイ用のライブラリーを調製するために、全長V
H産物を、制限消化及びライゲーションによってファージミドベクターpUCG3にクローニングした。pUCG3 DNA及びV
H1-02プルスルーPCR産物をNcoI(Fermentas社FD0574)及びXhoI(Fermentas社FD0694)制限酵素を用いて37℃で一晩消化した。全ての消化物を5分間80℃に加熱し、次いで、各産物を、Fermentas社のPCR精製カラム(K0701)を用いて精製し、最後にdH
2Oに再懸濁した。
【0333】
消化したV
H産物を、製造業者の指示に従ってNEB T4 DNAリガーゼ(M0202M)を用いて同様に消化したpUCG3を連結した。手短に言えば、NcoI/XhoI二重消化pUCG3 DNAとV
H産物を1:2のモル比で混合し、T4リガーゼと共に16℃で一晩インキュベートした。70℃で30分間インキュベーションした後、ライゲーション産物を、Fermentas社のPCR精製カラムを用いて精製し、最後にdH
2Oに再懸濁した。次いで、Biorad(登録商標)キュベット(165-2089)及びBiorad(登録商標)Micropulserを用いて、精製したライゲーション産物2μlを、製造業者の指示に従って、エレクトロコンピテント(electrocompetent)TG1細胞(Lucigen社60502-1)25μlに電気穿孔した。電気穿孔TG1細胞を、100μg/mlのアンピシリン及び20%(w/v)のグルコースを補足した2×TY寒天平板に蒔き、30℃で一晩インキュベートした。同様に、電気穿孔TG1細胞の希釈系列を蒔いて、ライブラリーサイズを決定すると、これは7.7e9組換え体であると計算された。
配列
【0334】
【表7】
【0335】
足場配列
V
H 1-02 アミノ酸配列 配列番号394
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYMHWVRQAPGQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCAR
V
H 1-02 核酸配列 配列番号395
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTAACAGTGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGA
【0336】
(実施例7)
IL-17A結合VHを単離するための選択戦略
ライブラリーファージストックの調製及びファージディスプレイ選択を公開されている方法(Antibody Engineering、編者Benny Lo、第8章、161〜176頁、2004)に従って行った。ほとんどの場合で、パンニング手法と組み合わせたファージディスプレイを用いて結合V
Hドメインを単離した。しかしながら、(a)可溶性選択;(b)ストレス(ファージを選択前に2時間70℃に加熱する)下で行う選択;及び(c)競合的選択(過剰な抗原又は抗原反応性V
Hドメインを競合として添加して高親和性V
Hドメインの回収を促進する又は特定のエピトープから離れた選択をそらす)を含む、種々の異なる選択法を使用することができる。免疫化マウスからのライブラリーについては、1ラウンドの選択を行った。しかしながら、ナイーブライブラリーについては、2〜3ラウンドの選択を行った。
【0337】
(実施例8)
標的結合についてのアッセイ
異なる選択からのV
Hを以下のアッセイの1つ又は複数でスクリーニングして、中和特性を有する具体的なV
Hを同定した。
【0338】
a)結合ELISA
ライブラリーの選択後、公開されている方法(Antibody Engineering、編者Benny Lo、第8章、161〜176頁、2004)に従って、ファージELISAによって具体的なV
H抗体を同定した。標的タンパク質及び対照としての関連のない抗原に対してファージELISAを行った。いくつかの場合で、ファージELISAを用いる代わりに、ELISAによって、V
Hドメインの精製した抽出物又は粗抽出物を分析した。これらの場合、細菌周辺質抽出物又は精製V
Hを使用した。
【0339】
ディープウェルプレートで培養した培養液1mlから小規模細菌周辺質抽出物を調製した。種菌を使用して、250rpmで振盪しながら、37℃で0.1%(w/v)グルコース+100μg/mlアンピシリンを補足した2XTYブロス(Melford社、M2130)を含有する96ウェルのディープウェルプレート(Fisher社、カタログ番号MPA-600-030X)に植え付けた。OD600が0.6〜1に達したら、IPTG(最終濃度1mM)及びアンピシリンを補足した2XTY 100μlを添加することによってV
H産生を誘導し、培養液を250rpmで振盪しながら30℃で一晩培養した。大腸菌を3200rpmで10分間遠心分離によってペレット化し、上清を捨てた。細胞ペレットを、穏やかにピペット操作することによって、氷冷抽出緩衝液(20%(w/v)スクロース、1mM EDTA及び50mM Tris-HCl pH8.0)30〜100μlに再懸濁した。細胞を氷上で30分間インキュベートし、次いで、4500rpmにおいて4℃で15分間遠心分離した。上清をポリプロピレンプレートに移し、脱脂粉乳/PBSブロッキング溶液中でインキュベーションした後、ELISAに使用した。
【0340】
精製したV
Hを、周辺質抽出物のニッケル-アガロースアフィニティクロマトグラフィー精製のためにV
HC末端6×HISタグを用いることによって得た。各V
Hの種菌を、250rpmで振盪しながら、30℃で2%(w/v)グルコース+100μg/mlアンピシリンを補足した2XTYブロス(Melford社、M2103)5ml中で一晩培養した。次いで、この一晩培養液50μlを使用して2%(w/v)グルコース+100μg/mlアンピシリンを補足した2XTY 50mlに植え付け、250rpmで振盪しながら、37℃で約6〜8時間(OD600=0.6〜1.0まで)インキュベートした。次いで、培養液を3200rpmで10分間遠心分離し、細胞ペレットを、100μg/mlアンピシリン+1mM IPTGを含有する新鮮な2XTYブロス50mlに再懸濁した。次いで、振盪フラスコを30℃及び250rpmで一晩インキュベートした。培養液を再度3200rpmで10分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞ペレットを、穏やかにピペット操作することによって、氷冷抽出緩衝液(20%(w/v)スクロース、1mM EDTA及び50mM Tris-HCl pH8.0)1mlに再懸濁し、次いで、1:5希釈氷冷抽出緩衝液を更に1.5ml添加した。細胞を氷上で30分間インキュベートし、次いで、4500rpmにおいて4℃で15分間遠心分離した。上清を、PBS緩衝液で前平衡化したイミダゾール(Sigma社、12399-最終濃度10mM)及びニッケルアガロースビーズ0.5ml(Qiagen社、Ni-NTA50%溶液、30210)を含有する50ml Falconチューブに移した。ニッケルアガロースビーズとのV
Hの結合を、穏やかに振盪しながら4℃で2時間進めさせた。次いで、ニッケルアガロースビーズをポリプレップカラム(BioRad(登録商標)、731-1550)に移し、重力流によって上清を捨てた。次いで、カラムをPBS+0.05%Tween(登録商標)5mlで3回洗浄し、引き続いて20mMの濃度でイミダゾールを含有するPBS5mlで3回洗浄した。次いで、250mMの濃度でイミダゾールを含有するPBS250μlを添加することによって、V
Hをカラムから溶出した。次いで、NAP-5カラム(GE Healthcare社、17-0853-01)との緩衝液交換を行い、次いで、PBS1mlで溶出することによって、精製したV
H調製物からイミダゾールを除去した。精製したV
Hの収率を分光光度測定により推定し、SDS PAGEを用いて純度を評価した。
【0341】
粗V
H又は精製V
Hについての結合ELISAは、前記の血清ELISA及びファージELISAと類似であり、大部分は最終検出ステップが異なっていた。手短に言えば、抗原を、PBS中0.1〜1μg/mlの50μl体積を添加し、4℃で一晩インキュベートすることによって、抗原をmaxisorbプレート(Nunc社443404)上に固定した。コーティング後、抗原溶液を吸引し、プレートを、0.05%Tween(登録商標)20(sigma社P1379)を補足したPBS(PBS錠剤から調製、Oxoid社カタログ番号BR0014G)を用いて洗浄し、引き続いてTween(登録商標)を添加していないPBSで洗浄した。非特異的タンパク質相互作用を遮断するために、PBS中3%脱脂粉乳(Marvel社)の溶液をウェルに添加し、プレートを室温で少なくとも1時間インキュベートした。周辺質抽出物又は精製V
Hの3%脱脂粉乳/PBS中希釈液をポリプロピレンチューブ又はプレート中で調製し、室温で少なくとも1時間インキュベートした後、ブロッキングELISAプレートに移し、ここで少なくとも1時間の更なるインキュベーションを行った。次いで、結合していないタンパク質を、PBS/Tween(登録商標)、引き続いてPBSによる繰り返しの洗浄を用いて洗い流した。次いで、PBS/3%脱脂粉乳中1:1000希釈で調製したHRP結合抗His Ab(Miltenyi Biotec社、130-092-785)を各ウェルに添加し、室温で少なくとも1時間の更なるインキュベーションを行った。結合していない検出抗体を、PBS/Tween(登録商標)及びPBSを用いた繰り返しの洗浄によって除去した。次いで、TMB基質(Sigma社カタログ番号T0440)を用いてELISAを展開し、0.5M H
2SO
4溶液(Sigma社カタログ番号320501)を添加することによって反応を10分後に停止した。450nmで読み取ることによって吸光度を測定した。実施例ELISAデータを
図8に示す。
【0342】
b)R/L生化学的阻害アッセイ
精製したものと粗周辺質抽出物の両方のV
HをIL-17Aと組換えIL-17RA-Fcの相互作用を阻害する能力についても試験した。Maxisorb 96Fウェルマイクロタイタープレートを2nM IL-17-RA 50μl(R&D systems社、カタログ番号177-IR-100)溶液とインキュベートし、4℃で一晩インキュベートした。上記の過剰のコーティング抗原を洗浄した後、プレートのウェルを3%脱脂粉乳/PBSとインキュベートして非特異的タンパク質相互作用を遮断した。V
H調製物、粗周辺質抽出物若しくは精製V
H、又は適当な対照を、ポリプロピレンプレート又はチューブ中で、3%marvel/PBS溶液中1nM組換えIL-17A(Peprotech社、カタログ番号AF-200-17)と共に室温で少なくとも1時間インキュベートした。次いで、混合物をアッセイプレートに移し、室温で1時間インキュベートした。過剰なタンパク質を洗浄によって除去し、ビオチン化抗IL-17A Mab(R&D Systems社、カタログBAF317)とインキュベートし、引き続いてニュートラアビジン-HRP(Pierce社、カタログ番号31030)及びTMB基質(Sigma社、カタログ番号T0440)を添加することによって結合IL-17Aを検出した。0.5M H
2SO
4を添加することによってTMB反応を停止し、吸光度をプレートリーダーにおいて450nmで測定した。
【0343】
適当であれば、PRISMの曲線当てはめを使用して阻害V
HのEC
50を決定した。生化学的アッセイにおけるIL-17A反応の阻害を示す実施例のデータを
図9に示す。V
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0344】
c)R/L細胞ベースの阻害アッセイ
IL-17A結合V
Hが細胞株、HT1080(ECACC社カタログ番号85111505)からのIL-17A誘導IL6放出を阻害する能力を測定するためのアッセイを開発した。細胞株を非必須アミノ酸、10%FBS、2mM L-グルタミン及びペニシリン/ストレプトマイシンを補足した、アール塩を含むMEM中で指数増殖に維持し、37℃、5%CO
2の加湿チャンバー中でインキュベートした。アッセイのために、50000個の細胞/ウェルを96平底組織培養プレートに蒔き、一晩培養した。精製V
Hの系列希釈を調製し、10ng/ml IL-17A(Peprotech社カタログ番号AF200-17)を補足した培養培地/PBSと37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、V
H/IL-17A混合物(又は適当な対照)をHT1080細胞(その培養培地から吸引した)に移し、CO
2インキュベーター中で更に5時間インキュベートした。細胞培養液上清を回収し、製造業者の指示に従って、IL-6 Duoset(R&D Systems社、カタログ番号DY206)を用いてIL6について分析した。細胞ベースのアッセイにおけるIL-17A反応の阻害を示す実施例のデータを
図10に示す。V
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0345】
d)Biocore(登録商標)
抗IL-17A V
H抗体の結合速度論をBIAcore(登録商標)T200機器で測定した。組換えIL-17A(Peprotech社AF-200-17)を酢酸緩衝液、pH5.5(BIAcore(登録商標)、カタログ番号BR-100-52)中に1μg/mlまで希釈し、アミンカップリング化学(NHS-EDCアミンカップリングキット、カタログ番号BR-1000-50)及びBIAcore(登録商標)固定化Wizard(登録商標)ソフトウェアを用いてCM5 Series Sチップ(カタログ番号BR-1006-68)にカップリングした。このようにして、IL-17Aの100RUを固定化し、ブランク表面(IL-17A無し)も基準減算用に調製した。
【0346】
抗IL-17A V
H抗体の結合速度論を単一サイクル速度論によって決定した。V
H抗体を希釈系列(典型的には最高濃度の100nM V
Hで始まる1:3希釈系列)で調製し、次いで、最低濃度のV
Hで始めて、抗原コーティング表面及びブランク表面上にも注射し、次いで、最高濃度まで漸進的に作業した。次いで、V
H結合速度論を、1:1結合モデル及びBIA評価ソフトウェアを用いて(ブランク減算)センサーグラムトレースから決定した。実施例のBIAcore(登録商標)結合トレースを
図11に示す。V
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0347】
上記スクリーニングカスケードの後、阻害特性を示すいくつかのIL-17Aに対するV
Hを同定した。これらをTable 8(表8)で以下に要約する。クローンは最適化のための親クローンである。
【0348】
【表8】
【0349】
(実施例9)
VHのリード最適化
a.免疫化マウスから単離したV
Hの最適化
必要に応じて、新規な最適化戦略を使用して免疫化マウスから単離したV
Hの結合親和性を増加させた。リードV
Hを同じ系列の他のメンバーと整列して、免疫反応中に標的化した体細胞突然変異ホットスポットを同定した(
図9)。これらの位置のアミノ酸の選択が新たな組換えライブラリー手法の基礎を形成し、各突然変異ホットスポットで最適なアミノ酸を有する高親和性V
Hを選択することを目指した新たなライブラリーの設計をもたらした。
【0350】
IL-17Aの例として、クローン1.1を免疫化マウスから直接単離した。このV
Hは高い親和性でIL-17Aと結合することが示され(
図11)、IL-17Aと受容体の結合を遮断することが示された。クローン1.1と同じ系列の他のメンバーを整列すると、免疫反応中に突然変異したいくつかのアミノ酸位置が同定され、V
H-CDRとV
H-フレームワーク領域の両方が影響を受けた(
図12)。次いで、この情報を利用して、クローン1.1の高親和性変異体を同定することを目的とした新たなクローン1.1組換えライブラリーを設計した。
【0351】
【表9】
【0352】
HF緩衝液を含むPhusion High FidelityPCRマスターミックス(カタログ番号F531L、NEB)を、以下の通り各プライマー対形成のために設定したPCR反応に使用した:
Phusion HF 2×ミックス 25μl
プライマー(10μM) それぞれ1.25μl(表のように対形成)
53F9プラスミドDNA(34ng/μl) 0.5μl
ヌクレアーゼフリーH
2O 50μlの最終体積まで
PCRを以下の通り行った;
【0353】
【化2】
【0354】
各PCR産物を1%アガロースゲルで分析した。次いで、各産物を、Fermentas社のPCR精製キット(K0701)を用いて40μl溶出緩衝液中で精製した。次いで、アセンブリPCRを設定して全V
H配列を再構成した:
Phusion HF 2×ミックス 25μl
精製PCR産物1 5μl
精製PCR産物2 5μl
精製PCR産物3 5μl
精製PCR産物4 5μl
精製PCR産物5 5μl
【0355】
PCRを以下の通り行った;
【0356】
【化3】
【0357】
プライマーV3/peIB(長)及びV
H_J/F(長)(共に10μM)0.5μlを反応物に添加し、次いで、上記条件で更に10PCRサイクル続けた。PCR産物を1%アガロースゲルで分析し、Fermentas社のPCR精製キットを用いて溶出緩衝液40μl中で精製した。次いで、PCR産物を実施例5、パートbで上記のようにライブラリー構築のためのメガプライマーとして使用した。次いで、ファージディスプレイ選択及びV
Hスクリーニングを実施例7及び8に記載されるように行い、この後、最大10倍改善した親和性を有するクローン1.1のいくつかの新たな変異体を単離した(クローン1.10、1.6、1.7)。
【0358】
b.ナイーブインビトロライブラリーから単離したV
Hの最適化
ナイーブインビトロファージディスプレイライブラリーから単離した抗IL-17A V
Hのために、いくつかの異なる戦略を使用して抗原に対するV
H親和性を増加させ、その選択及び組み合わせを当のV
Hの出発効力によって駆動した。使用した投与戦略のいくつかは当分野で既に記載されており、それには以下が含まれる:
a)シャフリング(Antibody Engineering、編者Benny Lo、第19章、327〜343頁、2004)、但し、本発明者らの場合、CDR1及びCDR2ドメインをシャッフルした一方で、V
H CDR3配列を保持した。V
H CDR1及びCDR2ドメインをPCRによってヒトCDNA(Clontech社)から増幅し、次いで、V
H配列と組み立てて、同一のCDR3ドメインを有するが、様々なCDR1及びCDR2領域を有するV
Hのライブラリーを作製した。次いで、ファージディスプレイ技術を利用して、典型的には上記第7節に記載されるのと同じ選択法に従って、高親和性V
Hを単離した。
b)ランダム化オリゴヌクレオチド及びファージディスプレイ技術(Main等、J Pharmacol Exp Ther.2006年12月;319(3):1395〜404)を用いたCDR3領域の標的化ランダム化。
【0359】
c.エラープローン突然変異誘発及びリボソームディスプレイによるV
Hの最適化
エラープローン突然変異誘発及びリボソームディスプレイを使用して、ナイーブインビトロファージディスプレイライブラリーから単離したV
H及び必要に応じて、免疫化マウスからのV
Hの親和性を最適化した。エラープローンPCR反応、cK断片とのアセンブリ及びリボソームディスプレイのためのRNA鋳型の調製を前記(Edwards BM、He M、Methods Mol. Biol.2012;907:281〜929)のように行った。次いで、この方法を、溶液選択を促進し、選択中の抗原濃度のより大きな制御をもたらすよう適合させた。
【0360】
【表10】
【0361】
溶液ベースのリボソームディスプレイ選択を、以下の通りプレブロッキングした(pre-blocked)ストレプトアビジン磁気ビーズ(Dynabeads M280、Invitrogen社)を用いて行った。必要な体積のビーズ(典型的には、1選択当たり100μl)をシリコン処理した1.5mlチューブ(Sigma社T3406)に移し、次いで、洗浄緩衝液(0.05%Tween(登録商標)20及び5mM MgAc、4℃で保管)、次いで、再びPBS中で洗浄した後、最後に、PBS中1%BSA 100μl+出芽酵母(S.cerevisiae)RNA 2μl(Sigma社の83847、RNaseフリー水中10mg/mlで調製、-20℃で保管)+ヘパリン20μl(Sigma社、カタログ番号H3393、250mg/mlストック溶液、-20℃で保管)に再懸濁し、回転板上4℃で1時間超混合することによってインキュベートした。
【0362】
1選択当たりmRNA鋳型5μgを用いて、リボソーム複合体を調製するためのライブラリーRNA鋳型のインビトロ翻訳を記載されるように行った(Edwards BM、He M、Methods Mol. Biol.2012;907:281〜92)。インビトロ翻訳ステップが完了した後、反応物をブロッキング緩衝液に希釈して、選択前にリボソーム複合体を安定化するのを助けた。ブロッキング緩衝液を、10×BPM(10%BSA、10×PBST中10mM MgAc)100μlを、ヘパリンストック溶液10μl及び出芽酵母RNAストック溶液1μlを含有する希釈緩衝液(5mM還元型グルタチオン、5mM酸化型グルタチオン及び13mM AgAc)400μlに添加することによって調製した。
【0363】
次いで、氷上で5分間ブロッキング緩衝液とインキュベーションした後、反応物を14000gにおいて4℃で5分間遠心分離し、上清を選択用の予冷した0.5mlシリコン処理チューブに移した。第1ラウンドの選択のために、ビオチン化抗原を200mMの最終濃度についてミックスに添加し、回転板上4℃で2時間混合することによってインキュベートした。
【0364】
抗原結合複合体を、プレブロッキングしたストレプトアビジンビーズを添加して選択ミックスから回収し、4℃で15分間回転によってインキュベーションし、次いで、磁石を用いて結合複合体をプルダウンした。次いで、磁気ビーズを1洗浄当たり400μlの洗浄緩衝液で5回洗浄し、4℃で最大30分間インキュベートした。氷冷5mM MgAc400μlの最後の迅速な洗浄を行った後、ビーズを5mM MgAc100μlに再懸濁した。ビーズからのRNAの溶出及び精製を、RNeasy(登録商標)Mineluteキット(Qiagen社74204)を用いて行い、緩衝液RLT350μlをビーズに添加し、十分混合し、次いで、100%エタノールを添加し、ピペット操作によって十分混合した。次いで、ビーズを磁石によって片側に引っ張り、残っている上清を2ml回収チューブ中のminieluteカラムに添加し、直ちに8000gで15秒間遠心分離した。カラムを新たな回収チューブに入れ、緩衝液RPEの添加からカラム以降の残りのステップを製造業者の指示に従って行った。
【0365】
溶出したRNAを、Revertaid H Minus逆転写酵素(Fermentas社EP0451)を用いてcDNAに変換した:
溶離液 6μl
CKF/fプライマー(10μM) 1.6μl
dNTP(10mM) 2μl
水 2.9μl
反応物を65℃で5分間インキュベートした後、3分間超氷に移した。次いで、以下の混合物8μlをミックスに添加した:
5×反応緩衝液 4μl
水 2μl
Rnasein Plus 1μl(Promega社、カタログ番号2611)
RevertAid H Minus RT 1μl
【0366】
反応物を混合し、短時間遠心沈殿した後、42℃で60分間、引き続いて70℃で10分間インキュベートした。次いで、cDNAのPCR回収を、以下の通りTaqポリメラーゼPCRキット(Qiagen社201203)を用いて行った:
10×緩衝液 80μl
5×Q 160μl
dNTPS(2.5mM) 64μl
Gaga2Gプライマー 38.4μl
Ck/Fプライマー 38.4μl
RT 8μl
Taqポリメラーゼ 4μl
水 407.2μl
反応物をそれぞれ50μlの16本のPCRチューブに分け、反応物を以下の通りサイクリングした:
【0367】
【化4】
【0368】
700bpの範囲の産物をゲル電気泳動によって確認し、PCR反応物をプールし、Wizard(登録商標)SV PCR精製カラム(Promega社A9281)を用いて精製した。PCR産物を直接使用して、上記のその後の選択ラウンドのためのRNA鋳型を調製した。
【0369】
その後の選択ラウンドを、増加したストリンジェンシーで、例えば、抗原濃度を低下させ、時間の長さを短縮することによって行い、複合体をビオチン化抗原とインキュベートした。更に、洗浄ステップの持続時間若しくは回数のいずれか、又は両方を増加させた。解離速度選択も洗浄ステップ後に用いて、複合体及びビーズを100〜1000倍モル過剰の非ビオチン化抗原と4℃で2時間超インキュベートした。
【0370】
その後の選択ラウンドのためのプロトコルに対する他の修正は、ストレプトアビジンビーズに非特異的に結合するリボソーム複合体を排除するための予備選択ステップを含んでいた。これは、選択前にインビトロ翻訳ミックスをストレプトアビジンビーズとインキュベートすることによって達成した(ビーズは上記のように調製、4℃で1時間結合)。次いで、ビーズを捕捉し、翻訳ミックスを清潔な1.5mlシリコン処理チューブに移し、ビオチン化抗原を選択のために添加した。
【0371】
リード最適化ステップの後、改善したV
Hの効力は以下の通りであった:
【0372】
【表11】
【0373】
【表12】
【0374】
最適化V
Hは、より遅い解離速度(
図11)のために、IL-17に対する改善した親和性及びIL-17細胞ベースのアッセイにおける改善した効力を示す。V
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0375】
(実施例10)
VHの特性評価
a.抗IL-17Aの特異性
個々のV
Hの標的抗原に対する特異性を、実施例8(a)に記載される方法に従って、ELISAによって確認した。V
HをIL-17Aとの結合について試験すると、IL-17C及びIL-17F等のクローン類縁体と交差反応しないことが示された。更に、種の相同体(マウスIL-17A)との結合も証明された(
図13)。V
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0376】
b.エピトープマッピング
BIAcore(登録商標)T200機器を用いて、V
HがIL-17Aの固有のエピトープに結合することが示された。マニュアルセンサーグラムをHBS緩衝液中30μl/分で開始し、V
Hを適当にIL-17A結合CM5チップ及び基準減算用のブランク表面に注射した(
図14)。V
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0377】
IL-17Aについては、V
H試料をHBS緩衝液中4μg/mlで調製し、次いで、第1のV
HをIL-17A結合表面上に120秒間注射した。第1のV
Hの結合後、HBS緩衝液のみを表面上に60秒間注射し、その後、第2のV
Hを120秒間注射した。V
Hが同じエピトープについて競合する場合、第2のv抗体では結合は観察されないだろう。非競合V
Hは共にIL-17A結合表面に同時に結合することができるだろう。エピトープ競合データを示す(
図14)。グリシンpH1.5を10秒間注射することによって表面を再生し、次いで、この工程を異なる抗体対について繰り返した。
【0378】
c.HPLCサイズ排除クロマトグラフィー
精製したV
Hをサイズ排除クロマトグラフィーに供した。手短に言えば、精製したV
Hを、Waters(登録商標)2487 Dual λ#吸光度検出器-(280nMで検出)及びTSKgel G2000SWXL(TOSOH社)カラムと共にWaters(登録商標)2795 Separation Moduleを用いて分析した。試料を10〜50μl体積で注入し、10%イソプロパノール/90%PBS又は100mMリン酸緩衝液、pH6.8、150mM NaClのいずれかの移動相中0.5ml/分〜0.7ml/分の流量で流した。データを最大35分間収集し、V
H分画のサイズを公知の標準と比較した(
図15参照)。分析したV
Hはファージミドベクターから発現させ、以下のC末端伸長LEGGGSHHHHHH(配列番号396)を有する。
【0379】
(実施例11)
皮膚浸透試験
実験に使用したV
Hドメインはクローン1.10.2であった。クローン1.10.2は
図1に示されるV
H配列を有するが、追加のC末端残基(配列番号409)を含む。標準的な大腸菌組換え発現ベクターを用いて、タンパク質発現を25L発酵槽の富栄養培地中標準的なバッチモード条件下で行った。発現をIPTG誘導プロモーターによって駆動し、OmpAシグナル配列によって培地に分泌させた。V
Hを、C末端Hisタグ(6×His)を有するよう修飾し、これをその後のIHCイメージング及びウエスタンブロットでの精製及び検出に使用した。
【0380】
発酵培地中のV
Hを遠心分離によって清澄化し、Ni2
+-アフィニティクロマトグラフィー、引き続いてタンパク質濃縮及びSuperdex(登録商標)75での最終的なSEC精製ステップを用いて精製した。V
HをPBS、pH7.4に緩衝液交換し、20mg/mlに濃縮した。
【0381】
予備試験で、(特に、凍結工程の潜在的な影響を評価するための)その後の試験に使用するための皮膚ディスクの品質を評価した。2つの潜在的なビヒクル製剤(PBS及び35%DMSO)の各々を、無傷の皮膚及び擦りむいた(テープを剥がした)皮膚ディスク上32℃で24時間インキュベートし、次いで、10%ホルマリン中で固定し、70%エタノール中室温で保管した。更に、無傷の皮膚及びテープを剥がした皮膚のそれぞれ1試料を、ビヒクルと予めインキュベーションすることなく固定した(上記)。その後、固定した皮膚試料の構造をIHCによって評価した。
【0382】
プロトコル:
組織のホルマリン固定
10%ホルマリン(v/v)1Lを調製するため:
37%ホルムアルデヒド 100ml
PBSc 900ml
PBSc(PBS、0.5mM MgCl2、0.9mM CaCl2)1Lを調製するため:
PBS 1L
1M MgCl2 0.5ml
1M CaCl2 0.9ml
固定プロトコル:
1)各試料をバイアルに入れ、標本の少なくとも1cm上の高さまで10%ホルマリンで覆った。
2)次いで、試料を、その大きさに応じて(以下参照)一定期間室温で固定させた。
1cm3未満 18時間
1〜3cm3 48時間
3)固定直後に、固定液を同体積の70%エタノールで置換した。この段階で、即時の処理が必要でない場合、組織を無期限に保存することができるだろう。
【0383】
免疫組織化学(IHC)
皮膚ディスクのインキュベート領域を露出するために、各ディスクを半分に切断し、両半分を包埋カセット(Cell Path社、番号EAD-0107-03A及び番号EAD-0102-03A)に入れた。試料を、一連のアルコール(70%及び100%エタノール(VWR社番号20821.330)、100%プロパン-2-オール(Fisher社、番号P/7500/PB17))及びキシレン(100%キシレン(Fisher社番号X/0250/PB17))に通すことによって脱水し、その後、パラフィンワックスを浸潤させた。試料をパラフィンワックスに包埋し、各半分の切り口が最初の露出組織となるように配向した。各ブロックの5μm切片をスライドガラス上で切断した。市販の通常のヒト皮膚(AMSBio社番号500041022)の5μ切片も切断した。この試料は固定前に凍結しなかった。前に凍結した試験試料の組織構造を、この対照皮膚と比較した。切片を、以下のプロトコルを用いてヘマトキシリン-エオシン(H&E)で染色して組織構造を可視化した。皮膚試料の画像を2つの倍率で撮った。
【0384】
ヘマトキシリン及びエオシン染色プロトコル
スライド切片を脱パラフィンし、以下の通り一連のキシレン及びエタノール洗浄で脱水した:
キシレン 10分
キシレン 10分
キシレン 1分
キシレン 1分
100%エタノール 1分
100%エタノール 1分
100%エタノール 1分
70%エタノール 1分
スライドを水道水で1分間洗浄し、次いで、マイヤーのヘマトキシリンに2分間移し、水道水で1分間洗浄した。スライドをScottの水に入れることによって「青色にし」、水道水で1分間洗浄した。その後、スライドをエオシン(Raymond A Lamb社;LAMB/100-D)に30秒間移し、水道水で1分間洗浄し、その後、これらを以下の通り一連のエタノール及びキシレン洗浄を通して脱水及び清澄化した:
70%エタノール 1分
無水エタノール 1分
無水エタノール 1分
無水エタノール 1分
キシレン 1分
キシレン 1分
【0385】
スライドをHistoclear(Fisher Scientific社;H/0468/17)に浸漬し、DPX封入剤(Cell Path社;SEA-0304-00A)に直ちに封入した。
【0386】
マイヤーのヘマトキシリン
溶液1:無水エタノール20ml中ヘマトキシリン(BDH社;340374T)3g
溶液2:ヨウ素酸ナトリウム(Sigma社S-4007)0.3g クエン酸(Fisher Scientific社C/6200/53)1g 抱水クロラール(Fisher Scientific社C/4280/53)50g 硫酸カリウムアルミニウム(Sigma社237086) dH
2O 850ml。試薬を順次添加し、十分混合して確実に全て溶解させた。溶液1を溶液2に添加し、十分混合した。最後に、グリセロール120mlを添加し(Fisher Scientific社G/0650/17)、十分混合し、暗色ボトルで保管した。最終ミックスを常に使用直前に濾過した。Scottの水道水:水道水と2%MgSO4(Sigma社M7506)及び0.35%NaHCO3(Sigma社S-6297)。
【0387】
結果:
試料1 無傷の対照
試料2 テープを剥がした対照
試料3 無傷のPBS
試料4 テープを剥がしたPBS
試料5 無傷のDMSO
試料6 テープを剥がしたDMSO
【0388】
低拡大率と高拡大率の両方で、表皮及び真皮の構造は、前に凍結した試料と凍結していない対照試料との間で有意に異なるように見えなかった。真皮からの表皮の分離はなく、コラーゲンは、凍結していない対照のように、凍結試料の真皮内に高密度に詰まっているのが観察された。
【0389】
ビヒクルとインキュベートしなかった皮膚試料及びPBS又はDMSOとインキュベートした試料(試料3〜6)は全て、凍結していない対照試料と比較して正常な構造を示した。テープを剥がした皮膚のIHCは、無傷の試料と比べた角質層の程度の予想される減少を明らかに確認した。
【0390】
上記の結果は、皮膚浸透試験に使用するための治療が、無傷の組織構造を保持するのに適していることを示唆していた。
【0391】
浸透実験はBronaughフロースルー拡散セルシステムを使用した。このシステムでは、皮膚採取したヒト皮膚の小ディスクを、上部(「ドナー」)チャンバーと下部(「レシーバー」)チャンバー(後者は皮膚試料の下側と接したままであるレシーバー流体を含有する)との間にクランプした。皮膚の上部(角質層)面に施用したV
Hを含有する試験製剤は、最初に進入し、次いで、皮膚試料の全厚さを横切った場合にのみ、ドナーチャンバーからレシーバーチャンバーに移動することができた。他の同様の装置(例えば、Franzセル)に優る、Bronaughシステムを使用することの利点は、このシステムが、皮膚に浸透する薬物を評価する際に、皮膚試料の下側を新鮮な受容流体で連続灌流して、シンクの状態を維持するという優位性を提供するという点である。
【0392】
種々のプロトタイプ製剤がV
Hの皮膚試料(無傷及びテープを剥がした)への浸透を促進する能力の評価。この試験の一次成果物は皮膚中のV
Hを示すIHC画像であった。
【0393】
全てのヒト皮膚は、待機手術後に得て、切除の24時間以内に調製した。その後、調製した組織を使用前に密閉真空包装中で凍結保存(-20℃)した。皮膚採取した皮膚の実際の厚さを、スナップゲージマイクロメータを用いて使用時に測定及び記録した。局所的に施用されるV
Hの対象となる1つの潜在的な臨床適応症は、乾癬の患者の治療である。乾癬の患者は、日常的に斑を単剤療法としての又は他の療法、例えば、局所ステロイドと配合した角質溶解薬(例えば、サリチル酸)で治療している。角質溶解薬は、鱗屑又は過角化症を除去するのを助け、他の局所薬剤の浸透を促進することができる。角質溶解薬で前処理した乾癬皮膚を模倣する最良の方法は、角質層の一部を除去するために皮膚を軽くすり減らす(テープを剥がす)ことである。これを、角質層バリア機能を損なうために、セロハンテープの小片を皮膚に繰り返し貼って、除去する(20〜30回)ことによって達成した。
【0394】
インビトロ皮膚浸透試験は、Bronaughフロースルーセルを用いて、以下の表中の製剤の各々がV
Hの無傷又はテープを剥がした皮膚への浸透を促進する相対的能力を評価した。
【0395】
単一ドナーから皮膚採取したヒト皮膚を用いて試験を行った。皮膚を以下に詳述されるように得て、調製した。各製剤の試料を試験の使用直前に調製した。
【0396】
【表13】
【0397】
試験設計/製剤
組織型:単一ドナーから皮膚採取したヒト皮膚
細胞型:54フロースルー拡散セル(直径0.9cm又は面積0.64cm
2のBronaugh設計)
セル温度:32℃
レシーバー相(RP):PBS、pH7.4、0.1%(w/v)アジ化ナトリウムを含む
RP回収点:0〜6、6〜12、12〜18及び18〜24時間
RP流量:0.25mL/時間
用量レベル:無限用量:1セル当たり製剤500mg
【0398】
【表14】
【0399】
組織調製
正常な皮膚:ヒト皮膚を待機手術後に得て、切除の24時間以内に調製した。その後、調製した組織を、使用前に密閉真空包装中で凍結保存(-20℃)した。皮膚厚さの範囲を決定するために、皮膚採取した皮膚の実際の厚さを、スナップゲージマイクロメータを用いて複数のランダム部位で使用時に測定及び記録した。
【0400】
テープを剥がした皮膚:上記のように調製した正常な皮膚の試料を、角質層バリア機能を損なうために、セロハンテープの個々の片で繰り返し剥がした(30回)。
【0401】
使用直前に、皮膚試料を正確なサイズのディスクに切断し、角質層最上部とBronaughセル中で組み立てた。
【0402】
実験詳細
試験材料の投与:
各試験製剤及び対照(Table 13(表13)に詳述)の試料を、試験への使用直前に調製した。プロトタイプ製剤の投与を、拡散セルマニホールドシステムを横切って互い違いにした。各製剤約500mgを皮膚上に分配し、正確な質量を重量により測定した。投与後、セルをパラフィンで塞ぎ、32℃で24時間の暴露期間分配しないままとした。
【0403】
試料調製及び分析:
各Bronaughセル中の皮膚試料を、0.1%(w/v)アジ化ナトリウムを含むPBS、pH7.4で構成されるレシーバー流体と接触した下部表面と維持した。レシーバー流体をポンピングして0.25ml/時間で各レシーバーチャンバーに流した。レシーバー相試料を6時間間隔で連続回収により自動的に回収した。6時間ごとに、自動分画回収装置が回転して新たな20mLシンチレーションバイアルをセルの下に整列させ、次の6時間の試料を回収した。全ての試料を予め秤量したシンチレーションバイアルに回収し、回収後重量を量り、差を回収したレシーバー相の重量として記録した。
【0404】
24時間の暴露期間後、レシーバー流体をドナー流体で汚染することなく、ドナー溶液の除去後にBronaughチャンバーを解体し、皮膚試料をそれぞれのBronaughチャンバーから取り出し、それぞれ予備試験に記載されるようにホルマリンに固定した。
【0405】
全てのレシーバー相試料をプラスチックシンチレーションバイアルに包装し、後のELISA分析まで-80℃で凍結した。
【0406】
ELISA:
使用したELISA法は、レシーバー流体の各試料を2つの濃度:(a)ニート(レシーバー流体+18%Marvel 10μl、6×PBS)及び(b)1:100希釈(レシーバー流体2μl+3%Marvel 198μl/PBS)で調製した。
【0407】
レシーバー流体分析の結果
レシーバー流体を浸透試験中、各Bronaughセルから4つの時点で(6時間、12時間、18時間及び24時間)サンプリングした。全てをELISAによって試験して、皮膚の上面(角質層)に施用したV
Hが皮膚試料に進入し、通過したかしなかったかを決定した。ELISAの結果を無傷の皮膚については
図17に示し、テープを剥がした皮膚については
図18に示す。陽性ELISAシグナルを記録する場合、異なる製剤でV
Hを含有するセルから得たELISAシグナルの大きさの変動は、各プロトタイプ製剤中の異なる浸透促進剤が、V
Hが角質層を横切り、更に表皮及び真皮に浸透するのを促進する能力が異なっていることを示した。
【0408】
皮膚試料中のV
HのIHCイメージングの結果
プロトタイプ(prototype)製剤中のV
Hで処理した皮膚からのIHC画像の例を
図19〜
図28に示す。皮膚試料の深さ全体に渡ってV
Hの標識を見ることができた。更に、IHC画像上で観察されたV
H標識のスケールと対応するBronaughセルから得たレシーバー流体で測定したELISAシグナルとの間には一般的な正の相関があった。重要なことに、サイズコントロールIgGは、正常な無傷の皮膚でもテープを剥がした皮膚でも、全く角質層を横切って皮膚に更に浸透せず、ずっと小さなV
Hドメインのみが角質層を横切って表皮に浸透することができた。
【0409】
(実施例12)
2つの同一の又は2つの異なる抗IL-17A V
Hを直接直列に又はタンパク質リンカーを介して連結することができる。2つの連結したV
HそれぞれがIL-17Aの同じエピトープ上に作用する場合、連結したV
H-V
Hを二価と呼ぶ。連結した2つのV
HそれぞれがIL-17Aの異なるエピトープ上に作用する場合、連結したV
H-V
Hを二重パラトープと呼ぶ。
【0410】
標準的な分子生物学クローニング技術を使用して、C末端HIS6タグを有するV
H-リンカー-V
Hフォーマットの2つのV
H及びリンカーのコードDNA配列を、大腸菌又は酵母(ピキア・パストリス(Pichia Pastoris))発現ベクターにクローニングした。HIS6タグ付きV
H-V
H産物の発現及び精製は、標準的なタンパク質発現及び精製方法に従う。
いくつかの構築物を作製し、結果を図に示す。構築物はクローン1.1、1.10、1.2及び3.2を使用する。
二価:1.10-3(G
4S)-1.1
リンカー配列: GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号426)
DNA配列:
二重パラトープ:3.2-2(G
4S)-1.2;3.2-4(G
4S)-1.2;3.2-6(G
4S)-1.2;
リンカー配列: AAGGGGSGGGGS(配列番号427)
AAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
(配列番号428)
AAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号429)
精製したV
H-V
Hを、IL1A7結合親和性についてBIAcore(登録商標)で試験した。機能性をIL6放出アッセイで分析した。
【0411】
配列情報
配列番号409 1.10.2(C末端伸長及びHisタグを有するクローン1.10)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYRMYWVRQAPGKGLEWVASIEQDGSEEYYVDSVKGRFTISRDNAKKSLFLQMNSLRAEDTAVYYCAK GEILPLYFDY WGQGTLVTVSSAAA HHHHHH
配列番号410 1.2.2(C末端伸長及びHisタグを有するクローン1.2)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVSDVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSSAAA HHHHHH
配列番号411 1.2.3(C末端伸長を有するクローン1.2)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVSDVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSSA
配列番号412 1.3.2(C末端伸長及びHisタグを有するクローン1.3)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS AAA HHHHHH
配列番号413 1.3.3(C末端伸長を有するクローン1.3)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSSA
配列番号414 1.6.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.6:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSEQYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSSLEGGGS HHHHHH
配列番号415 1.7.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.7:リンカー残基及びHisタグを有する)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYGMYWVRQAPGKGLEWVAKIEQDGSEEYYVDSVKGRFTISRDNAKKSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号416 1.10.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.10:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYRMYWVRQAPGKGLEWVASIEQDGSEEYYVDSVKGRFTISRDNAKKSLFLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号417 1.3.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.3:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号418 3.2.1(ファージミドベクターから発現したクローン3.2:リンカー残基及びHisタグを有する)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYNADAYYINWVRQAPGQGLEWMGSIKPNTGATKYAQKFQGRVTITRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCASLDRDTWYPHSYAGWFDAWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号419 1.1.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.1:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLHFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号420 1.16.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.16:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSEQYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNGLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号421 1.20.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.20:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYGMYWVRQAPGKGLEWVAKIEQDGSEEYYADSVKGRFTISRDNAKKSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号422 1.19.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.19:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCATSGFTFSSYGMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号423 1.17.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.17:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKPTGSVQYYVSDVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
配列番号424 1.18.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.18:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVGGVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSSLEGGGS HHHHHH
配列番号425 1.21.1(ファージミドベクターから発現したクローン1.21:リンカー残基及びHisタグを有する)
EVQLVESGGGLVLPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSEQYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS LEGGGS HHHHHH
二価:1.10-3(G
4S)-1.1(E1/6Q)
配列番号430
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYRMYWVRQAPGKGLEWVASIEQDGSEEYYVDSVKGRFTISRDNAKKSLFLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLHFDYWGQGTLVTVSS
配列番号431
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATCGCATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAGCATAGAACAAGATGGAAGTGAGGAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAAGTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGGTGGAGGAGGTAGTGGTGGAGGAGGTAGTGGTGGAGGAGGTAGTCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGTAGTTATTCGATGTACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCCAACATAAAGCAAGATGGAAGTGAGAAATACTATGTGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTTTCTGCAAATGAATAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAAAGGGGAAATACTACCCCTCCACTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCA
二重パラトープ:3.2-2(G
4S)-1.2
配列番号432
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYNADAYYINWVRQAPGQGLEWMGSIKPNTGATKYAQKFQGRVTITRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCASLDRDTWYPHSYAGWFDAWGQGTLVTVSSAAGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVSDVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS
配列番号433
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTAAAGAAGCCTGGGGCCTCGGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACGCGGACGCCTATTATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGTCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATACCGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATACGTGGTACCCGCACTCCTACGCGGGGTGGTTCGACGCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCAGCGGCCGGTGGTGGCGGTTCAGGTGGAGGTGGTAGTGAGGTTCAGTTGGTGGAAAGCGGCGGTGGCCTGGTCCAGCCGGGTGGTAGCCTGCGCCTGTCCTGCGCGGCTAGCGGTTTCACGTTTAGCAGCTACAGCATGTACTGGGTGCGTCAAGCGCCAGGCAAAGGTCTGGAATGGGTTGCCGAGATTAAGCAAGACGGTTCTGTTCAGTATTATGTCAGCGACGTGAAGGGTCGTTTTACCATCAGCCGTGACAACGCGAAAAACAGCCTGTATTTGCAGATGAATTCCCTGCGCGCTGAAGATACCGCGGTGTATTACTGTGCGAAAGGTGAGATTCTGCCGCTGTACTTCGATTACTGGGGCCAAGGCACCCTGGTTACTGTCTCGAGC
二重パラトープ3.2-4(G
4S)-1.2
配列番号434
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYNADAYYINWVRQAPGQGLEWMGSIKPNTGATKYAQKFQGRVTITRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCASLDRDTWYPHSYAGWFDAWGQGTLVTVSSAAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVSDVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS
配列番号435
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTAAAGAAGCCTGGGGCCTCGGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACGCGGACGCCTATTATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGTCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATACCGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATACGTGGTACCCGCACTCCTACGCGGGGTGGTTCGACGCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCAGCGGCCGGTGGTGGCGGTTCAGGAGGTGGAGGTTCAGGAGGTGGTGGTTCTGGTGGAGGTGGTAGTGAGGTTCAGTTGGTGGAAAGCGGCGGTGGCCTGGTCCAGCCGGGTGGTAGCCTGCGCCTGTCCTGCGCGGCTAGCGGTTTCACGTTTAGCAGCTACAGCATGTACTGGGTGCGTCAAGCGCCAGGCAAAGGTCTGGAATGGGTTGCCGAGATTAAGCAAGACGGTTCTGTTCAGTATTATGTCAGCGACGTGAAGGGTCGTTTTACCATCAGCCGTGACAACGCGAAAAACAGCCTGTATTTGCAGATGAATTCCCTGCGCGCTGAAGATACCGCGGTGTATTACTGTGCGAAAGGTGAGATTCTGCCGCTGTACTTCGATTACTGGGGCCAAGGCACCCTGGTTACTGTCTCGAGC
二重パラトープ3.2-6(G
4S)-1.2
配列番号436
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYNADAYYINWVRQAPGQGLEWMGSIKPNTGATKYAQKFQGRVTITRDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCASLDRDTWYPHSYAGWFDAWGQGTLVTVSSAAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMYWVRQAPGKGLEWVAEIKQDGSVQYYVSDVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKGEILPLYFDYWGQGTLVTVSS
配列番号437
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTAAAGAAGCCTGGGGCCTCGGTGAAGGTCTCCTGTAAGGCTTCCGGATATAACGCGGACGCCTATTATATAAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGTCTTGAGTGGATGGGAAGTATCAAGCCTAATACCGGTGCCACAAAATATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGAGTCACCATAACCAGGGACACGTCCATCAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGTCTGGATCGGGATACGTGGTACCCGCACTCCTACGCGGGGTGGTTCGACGCGTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCTTCAGCGGCCGGTGGTGGCGGTTCAGGCGGAGGTGGCTCTGGAGGTGGAGGTTCAGGAGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGTGGATCGGGTGGAGGTGGTAGTGAGGTTCAGTTGGTGGAAAGCGGCGGTGGCCTGGTCCAGCCGGGTGGTAGCCTGCGCCTGTCCTGCGCGGCTAGCGGTTTCACGTTTAGCAGCTACAGCATGTACTGGGTGCGTCAAGCGCCAGGCAAAGGTCTGGAATGGGTTGCCGAGATTAAGCAAGACGGTTCTGTTCAGTATTATGTCAGCGACGTGAAGGGTCGTTTTACCATCAGCCGTGACAACGCGAAAAACAGCCTGTATTTGCAGATGAATTCCCTGCGCGCTGAAGATACCGCGGTGTATTACTGTGCGAAAGGTGAGATTCTGCCGCTGTACTTCGATTACTGGGGCCAAGGCACCCTGGTTACTGTCTCGAGC
配列番号3、又は配列番号3と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒト重鎖可変免疫グロブリンドメイン(VH)を含み、
場合により、少なくとも1つの免疫グロブリン単一ドメイン抗体を含んでもよく、
場合により、CDR1配列が配列番号1又はこれと少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含み、前記CDR2配列が配列番号2、又は配列番号2と少なくとも70%、80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含してもよい、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
CDR1が配列番号1、5、9、13、17、21、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161、165、169、173、177、181、185、189、193、197、201、205、209、213、217、221、225、229、233、237、241、245、438、442、446、450、454、458又は462のアミノ酸配列を含む又はのみからなり、
CDR2が配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、74、78、82、86、90、94、98、102、106、110、114、118、122、126、130、134、138、142、146、150、154、158、162、166、170、174、178、182、186、190、194、198、202、206、210、214、218、222、226、230、234、238、242、246、439、443、447、451、455、459又は463のアミノ酸配列を含む又はのみからなり、
CDR3が配列番号3、7、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、55、59、63、67、71、75、79、83、87、91、95、99、103、107、111、115、119、123、127、131、135、139、143、147、151、155、159、163、167、171、175、179、183、187、191、195、199、203、207、211、215、219、223、227、231、235、239、243、247、440、444、448、452、456、460又は464のアミノ酸配列を含む又はのみからなる、
請求項1に記載の結合分子。
配列番号251、又は配列番号251と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
前記結合分子中、CDR1が配列番号249であり、CDR2が配列番号250であり、CDR3が配列番号251である、又はCDR1が配列番号253であり、CDR2が配列番号254であり、CDR3が配列番号255である、又はCDR1が配列番号257であり、CDR2が配列番号258であり、CDR3が配列番号259である、又はCDR1が配列番号261であり、CDR2が配列番号262であり、CDR3が配列番号263である、又はCDR1が配列番号265であり、CDR2が配列番号266であり、CDR3が配列番号267である、又はCDR1が配列番号269であり、CDR2が配列番号270であり、CDR3が配列番号271である、又はCDR1が配列番号273であり、CDR2が配列番号274であり、CDR3が配列番号275である、又はCDR1が配列番号277であり、CDR2が配列番号278であり、CDR3が配列番号279である、又はCDR1が配列番号281であり、CDR2が配列番号282であり、CDR3が配列番号283である、請求項5又は6に記載の結合分子。
配列番号287、又は配列番号287と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
配列番号343、又は配列番号343と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
配列番号347、又は配列番号347と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%若しくは少なくとも95%の相同性を有する配列を含むCDR3配列を含むヒトVHドメインを含む、ヒトIL-17Aに結合することができる結合分子。
前記疾患が乾癬、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、骨関節炎、若年性関節リウマチ、脊椎関節症、全身硬化症、突発性炎症性筋疾患、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少症、甲状腺炎、糖尿病、免疫媒介腎疾患、中枢神経系及び末梢神経系の脱髄性疾患、例えば、多発性硬化症、突発性脱髄性多発性ニューロパチー又はギランバレー症候群、及び慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー、肝胆道疾患、例えば、感染性、自己免疫慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎及び硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、グルテン過敏性腸疾患及びウィップル病、水泡性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎等の自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患、アレルギー性疾患、例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー及び蕁麻疹、肺の免疫疾患、例えば、好酸球性肺炎、突発性肺線維症及び過敏性肺炎、自己免疫血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び突発性血小板減少症を含む)、自己免疫炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸症候群を含む)、移植関連疾患(移植片拒絶及び移植片対宿主病を含む)から選択される、請求項20又は21に記載の結合分子。