(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-53263(P2021-53263A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/04 20060101AFI20210312BHJP
A23L 3/22 20060101ALI20210312BHJP
A61K 9/08 20060101ALN20210312BHJP
A61K 9/10 20060101ALN20210312BHJP
【FI】
A61L2/04
A23L3/22
A61K9/08
A61K9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-181431(P2019-181431)
(22)【出願日】2019年10月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000190677
【氏名又は名称】新光産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 均
(72)【発明者】
【氏名】前田 一豊
【テーマコード(参考)】
4B021
4C058
4C076
【Fターム(参考)】
4B021LA42
4B021LP04
4B021LT03
4B021LW07
4C058AA21
4C058AA22
4C058BB03
4C058DD04
4C058DD13
4C058EE26
4C076AA11
4C076AA16
4C076GG43
(57)【要約】
【課題】従来よりも、水の昇温時間や熱水の冷却時間を短縮でき、装置負荷も低減可能な自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置を提供する。
【解決手段】内管12とこれを囲む外管13を備えた加熱器11と、外管13に接続された循環用配管18及び外管13に取付けられた逃がし弁19と、循環用配管18に設けられた水供給手段26及び蒸気供給手段28を用い、内管12に液体を流し外管13及び循環用配管18に100℃超の熱水を流す液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置10であり、外管13及び/又は循環用配管18に設けられた外部と連通可能にする開閉弁34を使用し、蒸気供給手段28から蒸気を供給して熱水の温度を100℃超に昇温させる際には、熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で開閉弁34を閉状態にし、水供給手段26から水を供給して熱水の温度を低下させる際には、開閉弁34を開状態にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲形成された内管、及び、該内管を囲む外管を備えた加熱器と、
前記外管に接続され、熱水を循環供給する循環用配管、及び、前記外管に取付けられ、該外管を所定圧力に維持する逃がし弁と、
前記循環用配管に設けられた水供給手段及び蒸気供給手段とを用い、
前記内管に液体を流し、前記外管及び前記循環用配管に温度が100℃超の熱水を流して、前記内管を流れる液体を加熱殺菌する方法において、
前記外管及び前記循環用配管のいずれか一方又は双方に設けられ、外部と連通可能にする開閉弁を使用し、
前記蒸気供給手段から前記循環用配管に蒸気を供給して熱水の温度を100℃超に昇温させる際には、該熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で前記開閉弁を閉状態にし、
前記水供給手段から前記循環用配管に水を供給して熱水の温度を低下させる際には、前記開閉弁を開状態にすることを特徴とする自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法。
【請求項2】
請求項1記載の自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法において、前記液体は医薬品又は食品であることを特徴とする自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法。
【請求項3】
加熱殺菌しようとする液体を流す内管、及び、該内管を囲み、温度が100℃超の熱水を流す外管を備えた加熱器と、
前記外管に接続され、熱水を循環供給する循環用配管、及び、前記外管に取付けられ、該外管を所定圧力に維持する逃がし弁と、
前記循環用配管に設けられ、該循環用配管に水を供給する水供給手段、及び、該循環用配管に蒸気を供給する蒸気供給手段とを有する自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置において、
前記外管及び前記循環用配管のいずれか一方又は双方には、外部と連通可能にする開閉弁が設けられ、
前記蒸気供給手段から前記循環用配管に蒸気を供給して熱水の温度を100℃超に昇温させる際に、該熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で前記開閉弁は閉状態になり、
前記水供給手段から前記循環用配管に水を供給して熱水の温度を低下させる際に、前記開閉弁は開状態になることを特徴とする自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置。
【請求項4】
請求項3記載の自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置において、前記液体は医薬品又は食品であることを特徴とする自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置に係り、更に詳細には、例えば、医薬品や食品等の液体を製造するのに適した自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医薬品や食品等の液体の製造においては、液体に対し熱交換器を用いた加熱処理が行われ、100℃超で液体を連続的に加熱殺菌している(例えば、特許文献1参照)。
上記した液体は、たんぱくを含む等によって熱変性が起こり易いため、熱交換器の熱媒には加熱した水(以下、熱水とも記載)が用いられている。また、100℃超の熱水を製造するため、熱交換器に接続された熱水が循環して流れる配管は密閉構造となっており、この配管内を蒸気等で加圧している(配管に設けられたインラインヒーターに蒸気を吹き込んでいる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−30745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体を加熱殺菌する際は、まず常温の水に蒸気を吹き込み昇温することで熱水をつくるが、熱交換器や配管には逃がし弁が設置されているため、逃がし弁の設定圧力以上の蒸気圧でなければ、蒸気を配管に供給できない。即ち、配管への蒸気の流入速度は、逃がし弁の能力に依存するため、水(温水)を昇温するのに時間を要していた。
また、液体の生産完了や設備の緊急停止の際は、配管に水を供給することで熱水の温度を下げるが、配管への水の流入速度も上記した昇温時と同様、逃がし弁の能力に依存するため、熱水を冷却するのに時間を要していた。
更に、逃がし弁は、液体の加熱殺菌中のみならず、上記したように、水の昇温時や熱水の冷却時にも動作するため、逃がし弁に負荷がかかって寿命の低下を招いていた。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも、水の昇温時間や熱水の冷却時間を短縮でき、装置負荷も低減可能な自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法は、屈曲形成された内管、及び、該内管を囲む外管を備えた加熱器と、
前記外管に接続され、熱水を循環供給する循環用配管、及び、前記外管に取付けられ、該外管を所定圧力に維持する逃がし弁と、
前記循環用配管に設けられた水供給手段及び蒸気供給手段とを用い、
前記内管に液体を流し、前記外管及び前記循環用配管に温度が100℃超の熱水を流して、前記内管を流れる液体を加熱殺菌する方法において、
前記外管及び前記循環用配管のいずれか一方又は双方に設けられ、外部と連通可能にする開閉弁(即ち、自動開放弁)を使用し、
前記蒸気供給手段から前記循環用配管に蒸気を供給して熱水の温度を100℃超に昇温させる際には、該熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で前記開閉弁を閉状態にし、
前記水供給手段から前記循環用配管に水を供給して熱水の温度を低下させる際には、前記開閉弁を開状態にする。
【0007】
第1の発明に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法において、前記液体を医薬品又は食品とすることができる。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置は、加熱殺菌しようとする液体を流す内管、及び、該内管を囲み、温度が100℃超の熱水を流す外管を備えた加熱器と、
前記外管に接続され、熱水を循環供給する循環用配管、及び、前記外管に取付けられ、該外管を所定圧力に維持する逃がし弁と、
前記循環用配管に設けられ、該循環用配管に水を供給する水供給手段、及び、該循環用配管に蒸気を供給する蒸気供給手段とを有する自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置において、
前記外管及び前記循環用配管のいずれか一方又は双方には、外部と連通可能にする開閉弁(即ち、自動開放弁)が設けられ、
前記蒸気供給手段から前記循環用配管に蒸気を供給して熱水の温度を100℃超に昇温させる際に、該熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で前記開閉弁は閉状態になり、
前記水供給手段から前記循環用配管に水を供給して熱水の温度を低下させる際に、前記開閉弁は開状態になる。
【0009】
第2の発明に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置において、前記液体を医薬品又は食品とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置は、外管及び/又は循環用配管に設けられた開閉弁により、外部と連通可能になっているので、状況に応じて、外管及び循環用配管を流れる熱水、温水、及び、水を外部へ排出できる。
ここで、熱水の温度を100℃超に昇温させる際には、熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で開閉弁を閉状態にするため、所定温度までは開閉弁が開状態になっている。これにより、逃がし弁が取付けられていても、循環用配管への蒸気の供給をスムーズに実施できるため、開閉弁が設けられていない場合と比較して、蒸気の流入速度を上昇させることができる。
また、熱水の温度を低下させる際には、開閉弁を開状態にするため、逃がし弁が取付けられていても、循環用配管への水の供給をスムーズに実施でき、開閉弁が設けられていない場合と比較して、水の流入速度を上昇させることができる。
なお、これにより、逃がし弁は、液体の加熱殺菌中に主として動作することになる。
従って、従来よりも、水の昇温時間や熱水の冷却時間を短縮でき、装置負荷(逃がし弁の損耗)も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置(以下、単に加熱殺菌装置とも記載)10は、液体(液状の流体)を温度が100℃超の熱水(熱媒)で加熱殺菌処理する加熱器11を有している。ここで、液体には、例えば、医薬品や食品(ソース、醤油、調味液、ドレッシング等)がある。
以下、詳しく説明する。
【0013】
加熱器11は、加熱殺菌しようとする液体を流す内管12と、その主要部の外側を囲み、100℃超の熱水を流す外管13とを備えた従来公知の熱交換器であり、ここでは1つの熱交換器で構成されているが、例えば、2つ以上の複数の熱交換器を直列又は並列に接続して構成することもできる。なお、加熱器11は、内管12と、これを囲む外管13を備え、液体を加熱殺菌可能な構成であれば、特に限定されるものではない。
加熱器11で液体を加熱殺菌処理する際は、内管12に液体が流れ、外管13に100℃超の熱水が流れるが、外管13には、状況に応じて100℃以下(60℃超)の熱水や温水(例えば、40〜60℃程度の水)、又は、水が流れる場合もある。
【0014】
内管12は、隙間を有して平行に配置された複数の直管部と、各直管部の一方側及び他方側に設けられる複数のUベンド、入口管、及び、出口管とを有し、液体が移動する一本の連続した通路となって、ジグザグ状に折り返し配置(屈曲形成)されている。なお、
図1では簡略化して、直管部を2本示している。
外管13は筒状となって両端部に複数の端板を有し、一側端板には、内管12の入口管、出口管、及び、Uベンドが設けられて接続フランジ14を形成し、他側端板には、内管12の複数のUベンドが設けられて接続フランジ15を形成している。
【0015】
この外管13の入口側(
図1では上位置)16と出口側(
図1では下位置)17にはそれぞれ、循環用配管18の両側端部(下流側端部と上流側端部)が接続され、熱水の循環経路が形成されている。なお、外管13と循環用配管18は共に耐圧性を備えており、液体の加熱殺菌処理の際は、外部から遮断された状態(密閉状態)となる。
外管13には、循環用配管18とは異なる位置に逃がし弁(リリーフ弁)19が取付けられ、外管13の内圧が予め設定した所定圧力(例えば、ゲージ圧で0.2MPa程度)に調整され、内容液が100℃を超える場合、液体の沸点が上昇し、これにより、100℃以上の熱水を保有することができる。この外管13の内圧は、バルブ20を介して取付けられた圧力計21によって測定される。
【0016】
また、循環用配管18にも安全弁(リリーフ弁)22が取付けられ、循環用配管18の内圧が予め設定された所定圧力(例えば、ゲージ圧で0.5MPa程度)を超えることを防止している(熱交換器の保護目的)。なお、循環用配管18の内圧は、バルブ23を介して取付けられた圧力計24によって測定される。更に、循環用配管18(下流側位置)には温度センサ25が取付けられ、循環用配管18を流れる(外管13に供給される)熱水の温度が測定される。
熱水を外管13に循環供給する循環用配管18には、熱水の流れ方向(外管13の出口側17から出た熱水が外管13の入口側16へ向けて流れる方向)に、水供給手段26、循環用ポンプ27、及び、蒸気供給手段28が順次設けられている。
【0017】
水供給手段26は、給水用バルブ29と逆止弁30を有し、外部から循環用配管18への水の供給が可能な構成となっている。
蒸気供給手段28は、インラインヒーター31を有し、外部から循環用配管18への蒸気の供給が可能な構成となっている。
循環用ポンプ27は、循環用配管18内の熱水を、外管13内と循環用配管18内で循環させるものである。なお、循環用ポンプ27とインラインヒーター31との間の循環用配管18の内圧は、バルブ32を介して取付けられた圧力計33により測定される。
【0018】
更に、液体の加熱殺菌装置10には制御手段(PL制御)が設けられている。
この制御手段には、各圧力計21、24、33、及び、温度センサ25の測定データ(測定圧力と測定温度)が送信され、この測定データ(予め設定されたプログラム)に基づき、水供給手段26、循環用ポンプ27、及び、蒸気供給手段28を動作させるものであり、また、加熱器11の内管12への液体の供給と停止も行うものである。
なお、例えば、緊急時(液体の加熱殺菌装置10の緊急停止時等)には、作業者等が加熱殺菌装置10を手動で操作することもできる。
【0019】
以上のように構成することで、液体の加熱殺菌装置10は以下のように動作する。
循環用配管18及び外管13内を流れる熱水の温度を100℃超に昇温させる際に、蒸気供給手段28から循環用配管18に蒸気を供給する。また、循環用配管18及び外管13内を流れる熱水の温度を低下させる際に、水供給手段26から循環用配管18に水を供給する。
しかしながら、循環用配管18への蒸気や水の供給は、前記したように、逃がし弁19によって時間を要していた。
【0020】
そこで、外管13に更に、外部と連通可能にする開閉弁34(即ち、自動開放弁)を取付けた。
この開閉弁34は、逃がし弁19とは並列に配置されて外部と連通可能になっているが、逃がし弁19とは異なる位置に設けることもできる。
開閉弁34は、熱水の温度を100℃超に昇温させる際に、熱水の温度が大気中における沸点に近くなった所定温度(例えば、100℃以下の90〜95℃程度)に到達した時点で閉状態(即ち、所定温度に到達するまでは開状態)になり、熱水の温度を低下させる際には、開状態になるものである。
この開閉弁34は、前記した制御手段により、予め設定されたプログラムにより自動で動作するが、例えば、作業者が手動で動作させることもできる。
【0021】
続いて、本発明の一実施の形態に係る自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法について、
図1を参照しながら説明する。
ここでは、液体の加熱殺菌装置10を用いて、液体を、例えば、130℃程度の熱水で加熱殺菌処理する方法について説明する。
なお、加熱殺菌装置10は、温度センサ25の測定温度が130℃程度となるように制御され、逃がし弁19には、ゲージ圧が0.2MPa程度で開状態になるものを使用している。
【0022】
まず、加熱殺菌装置10を作動する。
具体的には、循環用配管18内及び外管13内の水を循環用ポンプ27で循環させながら、蒸気供給手段28から循環用配管18に蒸気を供給して水を昇温する。
このとき、開閉弁34を開状態にするため、循環用配管18への蒸気の供給に伴い、開閉弁34を介して循環用配管18内の水(更には温水)が外部へ排出される。従って、逃がし弁19の影響を受けることなく、循環用配管18への蒸気の供給をスムーズに実施できる。
【0023】
そして、熱水の温度が100℃以下の所定温度に到達した時点で、開閉弁34を閉状態にする。ここで、所定温度とは、例えば、90℃以上95℃以下程度であるが、これに限定されるものではなく、例えば、90℃未満(80℃以上、更には85℃以上)でもよく、また、95℃超(100℃未満)でもよい。
これにより、循環用配管18は密閉状態となり、循環用配管18と外管13の内圧が上昇して、熱水の温度を100℃超に昇温でき、最終的に130℃程度まで上昇させることができる。従って、外管13及び循環用配管18に100℃超の熱水が流れることになる。
【0024】
続いて、液体を内管12に連続的に流す。
このとき、加熱器11では、内管12を流れる液体と、外管13を流れる熱水との間で熱交換が行われ、液体は加熱殺菌処理され、熱水は冷やされる。
なお、冷やされた熱水には、蒸気供給手段28から蒸気が供給され、130℃程度まで昇温される。
上記した方法により、液体を加熱殺菌処理できる。
【0025】
液体の加熱殺菌処理が終了した後は、加熱殺菌装置10を停止する(加熱殺菌装置10を緊急停止する場合も同様)。
まず、液体の内管12への供給を停止する。
次に、蒸気供給手段28から循環用配管18への蒸気の供給を停止し、循環用配管18内及び外管13内の熱水を循環用ポンプ27で循環させながら、水供給手段26から循環用配管18へ水を供給して熱水の温度を低下させる。
【0026】
このとき、閉状態の開閉弁34を開状態にするため、循環用配管18への水の供給に伴い、開閉弁34を介して循環用配管18内の熱水及び蒸気が外部へ排出される。従って、逃がし弁19の影響を受けることなく、循環用配管18への水の供給をスムーズに実施できる。
なお、開閉弁34を開状態にするタイミングは、特に限定されるものではないが、水の供給開始前、供給開始と同時、又は、供給開始後(熱水の温度が、例えば、1〜10℃程度低下した時点)のいずれでもよい。
【0027】
以上のことから、本発明の自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置のように、開閉弁を設けることで、従来よりも蒸気の流入速度を上昇させることができるため、水の昇温時間を短縮でき、また、従来よりも水の流入速度を上昇させることができるため、熱水の冷却時間を短縮でき、更に、逃がし弁が主として液体の加熱殺菌中に動作するため、装置負荷(逃がし弁の損耗)を低減できる。
【0028】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌方法及びその加熱殺菌装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、液体の加熱殺菌処理を行う熱水の温度を130℃程度とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、液体の種類によって種々変更できる。この場合、温度に応じて外管と循環用配管の内圧を調整する(逃がし弁と安全弁の仕様を変更する)。
また、前記実施の形態においては、外管に、外部と連通可能にする開閉弁を設けた場合について説明したが、この開閉弁を、更に循環用配管に設けることもでき、また、循環用配管のみに設ける(外管には設けない)こともできる。
【符号の説明】
【0029】
10:自動開放弁を用いた液体の加熱殺菌装置、11:加熱器、12:内管、13:外管、14、15:接続フランジ、16:入口側、17:出口側、18:循環用配管、19:逃がし弁、20:バルブ、21:圧力計、22:安全弁、23:バルブ、24:圧力計、25:温度センサ、26:水供給手段、27:循環用ポンプ、28:蒸気供給手段、29:給水用バルブ、30:逆止弁、31:インラインヒーター、32:バルブ、33:圧力計、34:開閉弁