(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-55195(P2021-55195A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】抄紙用フェルトおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D21F 7/08 20060101AFI20210312BHJP
【FI】
D21F7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-176941(P2019-176941)
(22)【出願日】2019年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000180597
【氏名又は名称】イチカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】荻原 泰之
(72)【発明者】
【氏名】村岡 勇登
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CE36
(57)【要約】
【課題】 接合部分の平滑性(溶着部のマーク、基布マークが発生しないこと)に優れる抄紙用フェルト、およびその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】 フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、MD方向端部領域およびCD方向端部領域を有する少なくとも1枚の基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルトであって、各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、少なくとも1枚の基布のxとyとの関係が下記式(1)を満たす、前記抄紙用フェルト。
0.5≦x/y≦0.95 (1)
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域とからなるMD方向端部領域、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域とからなるCD方向端部領域を有する少なくとも1枚の基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルトであって、
各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、少なくとも1枚の基布のxとyとの関係が下記式(1)を満たす、前記抄紙用フェルト。
0.5≦x/y≦0.95 (1)
【請求項2】
溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、少なくとも1枚の基布のxとyとの関係が下記式(2)を満たす、請求項1に記載の抄紙用フェルト。
0.6≦x/y≦0.8 (2)
【請求項3】
1枚の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、請求項1または2に記載の抄紙用フェルト。
【請求項4】
2枚以上の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、請求項1または2に記載の抄紙用フェルト。
【請求項5】
2枚以上の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士をそれぞれ重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材またはMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、請求項1または2に記載の抄紙用フェルト。
【請求項6】
1枚の基布の第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、請求項1または2に記載の抄紙用フェルト。
【請求項7】
2枚以上の基布の第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、請求項1または2に記載の抄紙用フェルト。
【請求項8】
MD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代(MD方向長さ)またはCD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代(CD方向長さ)が、1.0mm〜3.0mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の抄紙用フェルト。
【請求項9】
MD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代を溶着した時の溶着幅(MD方向長さ)またはCD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代を溶着した時の溶着幅(CD方向長さ)が、1.0mm〜5.0mmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抄紙用フェルト。
【請求項10】
少なくとも一枚の基布のMD糸材またはCD糸材の少なくとも一方の糸材が、耐熱温度60℃〜200℃、融点80℃〜300℃の熱可塑性樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抄紙用フェルト。
【請求項11】
少なくとも一枚の基布の目付が、100g/m2〜500g/m2である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の抄紙用フェルト。
【請求項12】
(a)フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域とからなるMD方向端部領域、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域とからなるCD方向端部領域を有する基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせる工程、
(b)工程(a)で重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分の全部を溶着し、各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、xとyとの関係が下記式(1)を満たすように重ね合わせた端部領域同士を接合する工程、
0.5≦x/y≦0.95 (1)
(c)必要により工程(a)および(b)を繰り返して、少なくとも1枚の基布を閉じたループの形状とする工程、
を含む、抄紙用フェルトの製造方法。
【請求項13】
工程(b)において、溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、xとyとの関係が下記式(2)を満たすように重ね合わせた端部領域同士を接合する工程、
0.6≦x/y≦0.8 (2)
を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項12〜13のいずれか一項の方法により製造された抄紙用フェルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙用フェルトおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙の原料から水分を除去する抄紙機は、一般的にワイヤーパートとプレスパートとドライヤーパートとを備えている。これらワイヤーパート、プレスパートおよびドライヤーパートは、湿紙の搬送方向に沿ってこの順番に配置されている。湿紙は、抄紙機の進行方向(MD方向:Machine Direction)に垂直な方向(CD方向:Cross Machine Direction)に一定の幅をもって帯状に抄紙機内を移動し、ワイヤーパート、プレスパート、およびドライヤーパートそれぞれに取り付けられた抄紙用具に次々と受け渡されながら搬送されるとともに搾水され、最終的にはドライヤーパートで乾燥される。
【0003】
プレスパートに配置されたプレス装置は、湿紙の搬送方向に沿って直列に並設された複数のプレス装置を具備する。各プレス装置は、無端状のフェルト、あるいは有端状のフェルトを抄紙機上で連結し無端状にしたフェルトと、当該フェルトそれぞれの一部を間に挟むように上下に対向配置される一対のロール(即ち、ロールプレス)あるいはロールおよびシューを内包する円筒ベルト(即ち、シュープレス)とを有しており、略同一速度で同一方向に走行するフェルトにより搬送されてくる湿紙を、該フェルトと共にロールとロールあるいはロールとシューを内包する円筒ベルトとでプレス・加圧することにより、該湿紙から水分を連続的に脱水する。
【0004】
プレス装置に用いられるフェルトの要求機能としては、搾水性、平滑性、走行安定性等がある。搾水性とは、湿紙に含まれる水分を除去することである。この機能を果たすためには、フェルトが優れた圧縮回復特性を有すること、即ち、フェルト無加圧時に、フェルト中にこの水分を除去するための空間(ボイドボリューム)が存在し、フェルト加圧時に、フェルトの密度が最大となって、この空間の容積が減少することによって、水分がフェルト外に放出されることが重要である。また、この搾水性はフェルトの使用期間中維持され、更に除去された水分が再び湿紙に戻らないこと(再湿防止)も重要である。
【0005】
平滑性とは、湿紙表面、フェルト表面(加圧下のフェルト表面も含む)の平滑性のことである。湿紙はフェルトを介して加圧されるため、フェルト表面状態が、湿紙表面に転写される。従って、湿紙の表面を平滑にするためには、フェルトの表面(加圧下のフェルトの表面も含む)を平滑にしなければならない。
【0006】
走行安定性とは、プレス装置に配置された無端状のフェルトが、破断、片寄りおよび蛇行、並びに振動、波打ち等が発生せずに、安定して走行することである。
【0007】
新聞紙、上質紙、板紙、家庭紙などのように、紙には様々な種類があり、またこれらを製造する抄紙機にも様々な種類がある。現在、これらの紙や抄紙機に合わせて、様々な種類の抄紙用フェルトが製造されているが、一般的にこのフェルトは、基布層に不織繊維材料のバット層を一体化させることによって形成される。基布層は、例えば、モノフィラメント糸、モノフィラメント撚糸、マルチフィラメント糸またはマルチフィラメント撚糸から構成される織布でもよく、この織布は、一重品でも、多重品でもよく、またこれらを積層したラミネート構造でもよい。この意図は、一般に、抄紙用具技術分野の当業者がこの目的のために使用するポリアミド樹脂やポリエステル樹脂などの合成高分子樹脂のいずれかの押し出し成型されたもの、羊毛等の動物性繊維、綿、麻等の植物性繊維を使用する。
【0008】
上記基布層には、様々な種類の織布があり、例えば、織機上で無端状となるように製織したり(袋織)、平織された有端状の織布の端部同士を縫合して無端状としたり、また、有端状織布の二つの機械横断方向または機械方向の端部同士をつなぎ合わせて無端状としたものがある。
【0009】
これらのうち、袋織により製造された基布層(抄紙用フェルト)は、つなぎ目のない連続的な表面を有するため、平滑性に優れる。しかしながら、各抄紙機は種々の寸法を備えているため、それぞれに対応する基布層は完全なオーダーメードで製造される必要がある。このため、袋織による基布層の製造のためには、寸法を変更するたびに細かな織機の設定変更が必要となり、非常に生産性が悪く、また歩留まりも悪い。
【0010】
これに対し、効率的な抄紙用フェルトの製造方法として、基布のMD方向の端部同士を重ね合わせ、当該重ね合わせ部分が他の部分の厚さに実質的に対応するように、互いに対してプレスして接合する方法が提案されている(特許文献1)。具体的には、基布のMD方向の重ね合わせ部分を他の部分の厚さに実質的に対応させるために、当該重ね合わせ部分の一方の基布から横ヤーンを除去して、横ヤーンの密度を小さくした態様が開示されている。
【0011】
また、効率的な抄紙用フェルトの他の製造方法として、基布のCD方向の端部同士を重ね合わせ、当該重ね合わせ部分が他の部分の厚さに実質的に対応するように、互いに対して溶着して接合する方法が提案されている(特許文献2)。具体的には、帯状体の基布を螺旋状に巻回し、基布のCD方向の重ね合わせ部分を他の部分の厚さに実質的に対応させるために、当該重ね合わせ部分の少なくとも一方の基布から縦方向糸を除去して、フリンジを形成した態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2006−510812号公報
【特許文献2】特開平10−226978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記先行技術に開示される製造方法により得られる抄紙用フェルトは、効率的に抄紙用フェルトを製造することは可能であるが、抄紙用フェルトの要求機能、特に平滑性については、必ずしも十分に満たしていなかった。特に先行技術に開示される溶着部は、地部に対して圧縮性が乏しく、基布の製造時に溶着部と地部(溶着部周りの非溶着部を含む)とで厚みが同等となるように基布を製造した場合、フェルト使用時の加圧下で溶着部のマーク(基布マーク)が顕著に発生してしまうおそれがあった。
【0014】
したがって、本発明の目的は、接合部分の平滑性(溶着部のマーク、基布マークが発生しないこと)に優れる抄紙用フェルト、およびその効率的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討の結果、加圧下において溶着部の厚みと地部の厚み(非溶着部の厚み)が同等となるように、溶着部の厚みを地部の厚みよりも薄くすることで本願発明の課題が解決されることを見出した。
【0016】
(1)フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域とからなるMD方向端部領域、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域とからなるCD方向端部領域を有する少なくとも1枚の基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルトであって、
各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、少なくとも1枚の基布のxとyとの関係が下記式(1)を満たす、前記抄紙用フェルト。
0.5≦x/y≦0.95 (1)
【0017】
(2)溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、少なくとも1枚の基布のxとyとの関係が下記式(2)を満たす、請求項1に記載の抄紙用フェルト。
0.6≦x/y≦0.8 (2)
【0018】
(3)1枚の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、(1)または(2)に記載の抄紙用フェルト。
【0019】
(4)2枚以上の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、(1)または(2)に記載の抄紙用フェルト。
【0020】
(5)2枚以上の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士をそれぞれ重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材またはMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、(1)または(2)に記載の抄紙用フェルト。
【0021】
(6)1枚の基布の第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、(1)または(2)に記載の抄紙用フェルト。
【0022】
(7)2枚以上の基布の第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている、(1)または(2)に記載の抄紙用フェルト。
【0023】
(8)MD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代(MD方向長さ)またはCD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代(CD方向長さ)が、1.0mm〜3.0mmである、(1)から(7)のいずれか一つに記載の抄紙用フェルト。
【0024】
(9)MD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代を溶着した時の溶着幅(MD方向長さ)またはCD方向端部領域同士を重ね合わせたときの重ね合わせ代を溶着した時の溶着幅(CD方向長さ)が、1.0mm〜5.0mmである、(1)から(8)のいずれか一つに記載の抄紙用フェルト。
【0025】
(10)少なくとも一枚の基布のMD糸材またはCD糸材の少なくとも一方の糸材が、耐熱温度60℃〜200℃、融点80℃〜300℃の熱可塑性樹脂である、(1)から(9)のいずれか一つに記載の抄紙用フェルト。
【0026】
(11)少なくとも一枚の基布の目付が、100g/m
2〜500g/m
2である、(1)から(10)のいずれか一つ記載の抄紙用フェルト。
【0027】
(12)(a)フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域とからなるMD方向端部領域、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域とからなるCD方向端部領域を有する基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせる工程、
(b)工程(a)で重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分の全部を溶着し、各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、xとyとの関係が下記式(1)を満たすように重ね合わせた端部領域同士を接合する工程、
0.5≦x/y≦0.95 (1)
(c)必要により工程(a)および(b)を繰り返して、少なくとも1枚の基布を閉じたループの形状とする工程
を含む、抄紙用フェルトの製造方法。
【0028】
(13)工程(b)において、溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、xとyとの関係が下記式(2)を満たすように重ね合わせた端部領域同士を接合する工程、
0.6≦x/y≦0.8 (2)
を含む、(12)に記載の製造方法。
【0029】
(14)(12)〜(13)のいずれか一つの方法により製造された抄紙用フェルト。
【発明の効果】
【0030】
以上の構成により、接合部分の平滑性(溶着部のマーク、基布マークが発生しないこと)に優れる抄紙用フェルト、および、その効率的な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図2は、本発明の製造過程で形成される、少なくとも1枚の基布を閉じたループの形状としたものの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の製造過程で形成される、少なくとも1枚の基布を閉じたループの形状としたものの概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の溶着方法を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の基布の溶着の態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の抄紙用フェルト用基布およびその製造方法の態様について、図面を用いて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願および他の出版物(インターネットから入手可能な情報を含む)は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0033】
本発明の抄紙用フェルトに用いられる基布は、フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなる。
基布(有端状の状態)におけるMD/CD方向は、
図1の矢印(MD/CD)で示され、抄紙機で抄紙用フェルトが使用される際、MD方向はフェルトの走行方向(回転方向)、CD方向はフェルトの走行方向(回転方向)を横切る方向として定義される。当該基布は、
図1に示すように第1のMD方向端部領域1、第2のMD方向端部領域2、第1のCD方向端部領域3、第2のCD方向端部領域4および第1/第2のMD方向端部領域と第1/第2のCD方向端部領域で囲まれる中央領域5を有する。
【0034】
本発明の抄紙用フェルトは、
フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域とからなるMD方向端部領域、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域とからなるCD方向端部領域を有する少なくとも1枚の基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の少なくともいずれかの糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分を溶着して得られる抄紙用フェルトであって、各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、少なくとも1枚の基布のxとyとの関係が下記式(1)を満たすように端部領域同士が接合された基布を含む。
0.5≦x/y≦0.95 (1)
【0035】
なお、xは、1枚の基布における溶着されたすべての部分の平均厚みを示し、yは、当該基布の溶着前の平均厚みを示す。本発明の抄紙用フェルトは、1枚の基布のみを用いた場合は、当該基布が上記式(1)の関係を満たし、複数枚の基布を用いた場合は、x/yは基布ごとに計算し、少なくとも1枚の基布が上記式(1)を満たす。
【0036】
本発明の抄紙用フェルトは、基布のMD方向端部領域同士および/またはCD方向端部領域同士が溶着された部分を含み、この溶着された部分の平均厚みを溶着前の平均厚みの50%以上95%以下、好ましくは60%以上80%以下とすること、すなわち、上記式(1)、好ましくは下記式(2)を満たすこと、を特徴とする。
0.6≦x/y≦0.8 (2)
【0037】
この結果フェルト使用時(加圧下)において、溶着された部分と溶着されない部分の厚みが同等となり、フェルトの平滑性(溶着部のマーク、基布マークが発生しないこと)、ひいては紙の平滑性が向上する。これは、溶着された部分の圧縮性は溶着されない部分の圧縮性よりも低いことに由来する。
また、本発明の抄紙用フェルトは、重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材を除去する必要がない構成も含むため、この場合当該工程が不要となり効率的に抄紙用フェルトを製造することができる。
【0038】
本発明の抄紙用フェルトは、1枚の基布を接合して製造してもよいし、2枚以上の基布を接合して製造してもよい。
【0039】
本発明の抄紙用フェルトの具体的態様としては、以下の態様(a)〜(e)が例示される。
(a)1枚の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルト。
(b)2枚以上の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルト。
(c)2枚以上の基布の第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域同士、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士をそれぞれ重ね合わせ、該重ね合わせた部分のCD糸材またはMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルト。
(d)1枚の基布の第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルト。
(e)2枚以上の基布の第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域同士を重ね合わせ、該重ね合わせた部分のMD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分が溶着されている抄紙用フェルト。
【0040】
1枚の基布を接合して抄紙用フェルトを製造する場合、例えば
図2(A)のように、基布Bの第1のMD方向端部領域1および第2のMD方向端部領域を重ね合わせて接合することができる。
【0041】
また
図3(A)のように、基布Bを螺旋状に巻回し、基布Bの第1のCD方向端部領域3および第2のCD方向端部領域4を重ね合わせて接合することができる。
【0042】
2枚以上の基布を接合して抄紙用フェルトを製造する場合、例えば
図2(B)にように、3枚の基布B、B’、B’’を接合して抄紙用フェルトを製造する場合、基布Bの第2のMD方向端部領域2と基布B’の第1のMD方向端部領域1’、基布B’の第2のMD方向端部領域2’と基布B’’の第1のMD方向端部領域1’’、基布B’’の第2のMD方向端部領域2’’と基布Bの第1のMD方向端部領域1とをそれぞれ重ね合わせて接合することができる。
【0043】
また
図2(C)のように、2枚の基布B、B’を接合して抄紙用フェルトを製造する場合、基布Bの第1のMD方向端部領域1および第2のMD方向端部領域2を重ね合わせ接合し、基布B’の第1のMD方向端部領域1’および第2のMD方向端部領域2’を重ね合わせ接合し、基布Bの第1のCD方向端部領域3および基布B’の第2のCD方向端部領域4’を重ね合わせ接合することができる。
【0044】
更に
図3(B)のように、2枚の基布B、B’を螺旋状に巻回し、接合して抄紙用フェルトを製造する場合、基布Bの第1のCD方向端部領域3および第2のCD方向端部領域4を重ね合わせて接合し、基布Bの第2のMD方向端部領域2および基布B’の第1のMD方向端部領域1’を重ね合わせて接合し、基布Bの第1のCD方向端部領域3および基布B’の第2のCD方向端部領域4’を重ね合わせて接合し、基布B’の第1のCD方向端部領域3’および基布B’の第2のCD方向端部領域4’を重ね合わせて接合することができる。
【0045】
MD方向端部同士またはCD方向端部同士を重ね合わせる際の重ね代(MD方向端部同士を重ね合わせる場合、重ね合わせるMD方向長さをいい、CD方向端部同士を重ね合わせる場合、重ね合わせるCD方向長さをいう)は、1.0mm以上3.0mm以下が好ましく、接合後(溶着後)の接合幅(溶着幅)は、重ね代以上5.0mm以下が好ましい。重ね代が1.0mmよりも小さいと、接合条件(溶着条件)によっては、接合幅(溶着幅)も小さくなり、接合後の強力が十分維持できなくなるおそれがあり、また重ね代が3.0mmよりも大きいと、接合条件(溶着条件)によっては、接合幅が5.0mmよりも大きくなり、表面平滑性(溶着部のマークや基布マークが発生すること)の問題が生じるおそれがある。
なお、本明細書において、用語「接合」とは、重ね合わせたMD方向端部領域同士の全部、および/または、重ね合わせたCD方向端部領域同士の全部が溶着されることにより、前記重ね合わせた端部領域同士が固定された状態を指す。また、溶着時に重ね合わせ部内の溶着材の一部が重ね合わせ部からはみ出しすことによって、重ね合わせ部周辺も固定された状態も含み、この場合、溶着幅は重ね代よりも大きくなる。
【0046】
MD糸材およびCD糸材を構成する繊維の構成材料としては、耐熱温度が60℃〜200℃、融点が80℃〜300℃の熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、等をMD糸材、CD糸材として使用することができるが、中でもポリアミド樹脂が好ましい。
【0047】
MD糸材およびCD糸材を構成する繊維の形態は、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンヤーンや、捲縮加工、嵩高加工等が施されたテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーン等の加工糸、更には、これらの糸を撚り合わせてなる撚糸とすることができる。繊維の断面形状は、円形、略楕円形、多角形、略星型、略矩形等とすることができる。
【0048】
MD糸材およびCD糸材を構成する繊維の繊度は、特に限定されないが、モノフィラメントの場合、好ましくは89〜2240dtex(0.10〜0.50mm)、より好ましくは200〜1440dtex(0.15〜0.40mm)とすることができる。なお、マルチフィラメントの場合、このマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの繊度は、通常、20〜90dtexであり、好ましくは40〜60dtexである。マルチフィラメントを構成する繊維の本数は、通常、5〜20本であり、好ましくは7〜15本である。また、これらの糸を撚り合わせて撚糸とする場合、これらの糸の本数は、通常、2〜15本、好ましくは3〜10本である。
【0049】
基布を構成するMD糸材およびCD糸材は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
基布は1重織構造、多重織構造のいずれの組織であってもよく、また、織組織も特に限定されず、例えば、平織、綾織、朱子織、及び変織等のその他の組織、並びにこれらの組合せの何れであってもよい。
【0050】
基布の目付は、特に限定されないが、通常100〜500g/m
2、好ましくは、150〜400g/m
2とすることができる。基布の厚みは、特に限定されないが、通常0.4〜1.3mm、好ましくは0.6〜1.1mmとすることができる。基布の密度は、特に限定されないが、通常0.25〜0.55g/cm
3、好ましくは0.35〜0.45g/cm
3とすることができる。基布の目付を基布の厚みで除することにより基布の密度が決定されるが、この密度が小さすぎると溶着時のエネルギーが糸材に伝わりにくいことにより溶着不良を引き起こす可能性があり、また密度が大きすぎても溶着時のエネルギーが不足し、これも溶着不良を引き起こす可能性がある。
【0051】
基布の寸法は、特に限定されないが、基布の各端部同士を重ね合わせ溶着し、最終製品(抄紙用フェルト)の寸法を満足できる寸法であればよい。
【0052】
基布の溶着方法は特に限定されないが、例えば
図4に示すようにホーン10とアンビル11を備えた超音波溶着を利用することが好ましい。ホーン10とアンビル11間に基布の重ね合わせ部を配置し、ホーン10から超音波を発し、ホーン10をアンビル11に向けて圧力を加え、重ね合わせ部に沿う方向に基布を移動させることよって、基布の重ね合わせた部分が溶着される。
例えば、
図4の超音波溶着により1枚の基布の第1のMD方向端部領域1と第2のMD方向端部領域2とが溶着される場合、接合された基布は点線部を含む無端状となる。
【0053】
本発明の抄紙用フェルトは、基布に溶着された部分を含み、この溶着された部分の平均厚みを溶着前の平均厚みの50%以上95%以下、好ましくは60%以上80%以下とすること、すなわち、上記式(1)、好ましくは上記式(2)を満たすこと、を特徴とするが、これは溶着条件(超音波エネルギー、ホーンアンビル間距離(ギャップ)、ホーン圧力、基布送り速度、基布の重ね合わせ部の長さ(基布の重ね代))を適宜設定することによって達成できる。
【0054】
なお、
図5(A)(溶着前)および(B)(溶着後)に示されるように、溶着部6は少なくとも基布の重ね合わせ部全てを含み、溶着幅および溶着厚みが略同等に線状に溶着されることが好ましく、これにより、溶着部の強度が維持され、かつ表面平滑性(溶着部マーク、基布マークが発生しないこと)が優れる。
基布の重ね合わせ部を溶着するための方法には特に制限がないが、例えば、超音波溶着、高周波溶着、熱溶着、等が挙げられる。なお、超音波溶着を利用した場合、ホーンで基布の重ね合わせ部分に圧力をかけると、重ね合わせ部分の密度が高いことから、特にこの重ね合わせ部分に超音波エネルギーが伝達される。従って、ホーン幅が基布の重ね代の幅よりも大きくても、重ね合わせ部分を超えたホーンエッジ部で溶着が促進されることはない。
【0055】
また、本発明は、(a)フェルト走行方向(MD方向)のMD糸材およびフェルト横断方向(CD方向)のCD糸材からなり、第1のMD方向端部領域と第2のMD方向端部領域とからなるMD方向端部領域、および、第1のCD方向端部領域と第2のCD方向端部領域とからなるCD方向端部領域を有する基布のMD方向端部領域同士およびCD方向端部領域同士から選択される少なくとも一つを重ね合わせる工程、
(b)工程(a)で重ね合わせた部分のMD糸材またはCD糸材の一部または全部を除去することなく、前記重ね合わせた部分の全部を溶着し、各基布における溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、xとyとの関係が下記式(1)を満たすように重ね合わせた端部領域同士を接合する工程、
0.5≦x/y≦0.95 (1)
(c)必要により工程(a)および(b)を繰り返して、少なくとも1枚の基布を閉じたループの形状とする工程、を含む、抄紙用フェルトの製造方法にも関する。
【0056】
本発明の製造方法は、前記工程(b)において、溶着された部分の平均厚みをx(mm)、溶着前の平均厚みをy(mm)としたとき、xとyとの関係が下記式(2)を満たすように重ね合わせた端部領域同士を接合する工程、
0.6≦x/y≦0.8 (2)
を含むことが好ましい。
【0057】
更に、本発明は、前記製造方法により製造された抄紙用フェルトにも関する。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の抄紙用フェルト用基布について、実施例を用いて詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
以下に示すMD糸材およびCD糸材を用いて、実施例1〜5、比較例1、2の基布を作製した。製作した基布のMD方向端部同士を表1に記載される溶着条件で溶着した。溶着は、ホーン幅 5mm(直方体状、回転機構なし)、アンビル幅 30mm(円筒形状、回転機構あり)の超音波溶着機を用いて行った。
溶着後の溶着部の溶着幅、溶着部厚みx、地部厚みy、地部厚みに対する溶着部厚みの割合x/y、マーク指数、強力について表2に示す。
・MD糸材:ポリアミド6線径550dtexのモノフィラメント単糸
100本/5cm
・CD糸材:ポリアミド6線径500dtexのモノフィラメント単糸
40本/5cm
・組織:綾織り(31崩し)1重組織
・目付:200g/m
2
・溶着前厚み(地部厚み):0.63mm
・基布寸法:長さ(MD方向)3m×巾(CD方向)1m
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
更に以下に示すMD糸材およびCD糸材を用いて、実施例6〜10、比較例3、4の基布を作製した。製作した基布のMD方向端部同士を表3に記載される溶着条件で溶着した。溶着は、ホーン幅 5mm(直方体状、回転機構なし)、アンビル幅 30mm(円筒形状、回転機構あり)の超音波溶着機を用いて行った。
溶着後の溶着部の溶着幅、溶着部厚みx、地部厚みy、地部厚みに対する溶着部厚みの割合x/y、マーク指数、強力について表4に示す。
・MD糸材:ポリアミド6線径330dtexのモノフィラメント単糸を2本撚り合わせたものを更に2本撚り合わせたモノフィラメント撚糸
35本/5cm
・CD糸材:ポリアミド6線径330dtexのモノフィラメント単糸を3本撚り合わせたモノフィラメント撚糸
40本/5cm
・組織:平織り(11平)1重組織
・目付:250g/m
2
・地部厚み:0.82mm
・基布寸法:長さ(MD方向)3m×巾(CD方向)1m
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
表2、4中のマーク指数とは、表面平滑性を評価したものである。評価方法は、溶着部を有する基布上にニードリングされたバット層(繊度22dtex、100g/m
2)を配置し、更にその上に、カーボン紙、PPC用紙を配置したものを、2本のロール間(ロール間圧力:50kgf/cm)に通過させ、PPC用紙に溶着部のマーク(基布マーク)を転写させたもので、この溶着部のマーク(基布マーク)が確認できなくなるまで、100g/m
2単位のバット層の枚数を増加させて評価する。これは、ある加圧下のものでは、基布上に配置されたバット層の目付が小さい程、マーク性(表面平滑性)は良好であることを示す。
【0065】
なお、実施例1〜5、比較例1、2では、比較例1の溶着部のマーク(基布マーク)が確認できなくなったバット層目付1800g/m
2を100%とし、実施例6〜10、比較例3、4では、比較例3の溶着部のマーク(基布マーク)が確認できなくたったバット層目付2600g/m
2を100%とし、それぞれ相対評価を実施した。
【0066】
表2、4中の強力とは、丈30cm、巾5cmで丈方向の中央部に溶着部が巾方向に平行となるようにサンプリングした基布を丈方向に200mm/minで伸長した時の切断強力を示す。
【0067】
表から理解できる通り、溶着部厚みを地部厚みの50%〜95%とすることによって、マーク指数が改善され、抄紙用フェルトの表面平滑性が向上することがわかる。また、溶着部において端部領域のMD糸材またはCD糸材を除去していない為、溶着部の密度が高くなることから実施例の強力が比較例の強力よりも高いことがわかる。
【符号の説明】
【0068】
B、B’、B’’ 基布
1、1’、1’’ 第1のMD方向端部領域
2、2’、2’’ 第2のMD方向端部領域
3、3’ 第1のCD方向端部領域
4、4’ 第2のCD方向端部領域
5 中央領域(地部)
6 溶着部
10 ホーン
11 アンビル