空調衣服と身体との間に配されて、空調衣服の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服の内部に通気路を確保する空調衣服用の通気スペーサー111であって、形状保持テープの折り曲げ加工品からなり、ウラ面側が通気路となる山部111aと、オモテ面側が通気路となる谷部111bとが、前記形状保持テープの長手方向に繰り返し形成されたものとした。
空調衣服と身体との間に配されて、空調衣服の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服の内部に通気路を確保する空調衣服用の通気スペーサーであって、
形状保持テープの折り曲げ加工品からなり、
ウラ面側が通気路となる山部と、オモテ面側が通気路となる谷部とが、前記形状保持テープの長手方向に繰り返し形成された
ことを特徴とする空調衣服用の通気スペーサー。
空調衣服と身体との間に配されて、空調衣服の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服の内部に通気路を確保する空調衣服用の通気スペーサー構造体であって、
形状保持テープの折り曲げ加工品からなり、ウラ面側が通気路となる山部と、オモテ面側が通気路となる谷部とを、前記形状保持テープの長手方向に繰り返し形成した複数本の通気スペーサーと、
複数本の通気スペーサーの一端部同士及び他端同士を互いに連結することによって、複数本の通気スペーサーを並列に位置決めする連結材と
を備えたことを特徴とする空調衣服用の通気スペーサー構造体。
【背景技術】
【0002】
熱い日中での作業は、熱中症を招くおそれがある。このため、腰部周辺にファンが取り付けられた空調機能付きの衣服(以下「空調衣服」という。)を着用する作業員も多い。この空調衣服を着用してファンを駆動すると、周囲の空気が空調衣服内に取り込まれて背中や胸を通って首元から送出されるようになるため、作業員は涼しさを感じながら作業することができる。
【0003】
ところが、空調衣服は、その外面を締め付けると、腰部から首元へ向かう空気の流れが遮断され、所望の機能を発揮できなくなるという問題を有していた。例えば、作業員は、「フルハーネス型安全帯」と呼ばれる安全帯を着用する場合があるが、このフルハーネス型安全帯を空調衣服の上側(外面側)に装着すると、フルハーネス型安全帯を構成する帯材等で空調衣服の外面(特に、背中や胸)が締め付けられ、空調衣服内に取り込まれた空気の流れがその部分で止まってしまう。
【0004】
このような実状に鑑みて、これまでには、フルハーネス型安全帯を上側(外側)に装着するのではなく、下側(内側)に装着できるタイプの空調衣服も提案されている。例えば、特許文献1の
図2(a)には、服本体10の背上部にワイヤー貫通手段2を設けた空調衣服が記載されている。これにより、同文献の
図4(b)に示されるように、空調衣服の下側(内側)にフルハーネス型安全帯を装着しても、フルハーネス型安全帯の背中側に連結される命綱(同図における「ワイヤーWR41」)をワイヤー貫通手段2を通じて空調衣服の外側に出すことが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の空調衣服を着用する際には、ワイヤーWR41(命綱)をワイヤー貫通手段2へ通す必要がある。また、フルハーネス型安全帯のみを取り外そうとした場合でも、空調衣服を一旦脱がなくてはならない。このため、同文献の空調衣服は、着用や脱衣に手間を要するものとなっている。空調衣服の着用や脱衣を容易にすることを考慮すれば、フルハーネス型安全帯を空調衣服の上側に装着することが望ましい。
【0007】
この点、空調服の内側に通気スペーサーを設けると、フルハーネス型安全帯を空調衣服の上側に着用しても、空調衣服内の空気の流れが遮断されないようにすることができる。この通気スペーサーは、フルハーネス型安全帯の締め付けによって変形しないよう、補強された立体的形状にする必要がある。このような形状を有する通気スペーサーは、例えば、射出成形によって製造することができる。しかし、そうすると、通気スペーサーの剛性が高くなって、通気スペーサーが着用者の身体の動きを阻害しやすくなる。また、射出成形の通気スペーサーは、製造コストが高くつきやすいという欠点も有している。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、着用者の身体の動きに追従しやすい構造の空調衣服用の通気スペーサーを提供するものである。また、この通気スペーサーの製造コストを抑えることも本発明の目的である。さらに、この通気スペーサーを用いた通気スペーサー構造体と通気路形成上衣を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、
空調衣服と身体との間に配されて、空調衣服の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服の内部に通気路を確保する空調衣服用の通気スペーサーであって、
形状保持テープの折り曲げ加工品からなり、
ウラ面側が通気路となる山部と、オモテ面側が通気路となる谷部とが、前記形状保持テープの長手方向に繰り返し形成された
ことを特徴とする空調衣服用の通気スペーサー
を提供することによって解決される。
【0010】
これにより、着用者の身体の動きに追従しやすい構造の通気スペーサーを安価で提供することが可能になる。
【0011】
上記課題は、
空調衣服と身体との間に配されて、空調衣服の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服の内部に通気路を確保する空調衣服用の通気スペーサー構造体であって、
形状保持テープの折り曲げ加工品からなり、ウラ面側が通気路となる山部と、オモテ面側が通気路となる谷部とを、前記形状保持テープの長手方向に繰り返し形成した複数本の通気スペーサーと、
複数本の通気スペーサーの一端部同士及び他端同士を互いに連結することによって、複数本の通気スペーサーを並列に位置決めする連結材と
を備えたことを特徴とする空調衣服用の通気スペーサー構造体
を提供することによっても解決される。
【0012】
このように、山部と谷部とが繰り返し形成された通気スペーサーを複数本並列に配置することで、空調衣服内の広い範囲で通気路を確保することが可能となる。
【0013】
本発明の空調衣服用の通気スペーサー構造体においては、
複数本の通気スペーサーの一端部及び他端部を、ウラ面側に折り返された折り返し部とし、
当該折り返し部を、通気スペーサー構造体を対象箇所に取り付けるための取り付け基部とする
ことも好ましい。
【0014】
これにより、通気スペーサーを踏ん張りが効く構造とし、その山部に荷重がかかったときに山部が潰れないようにすることができる。
【0015】
本発明の空調衣服用の通気スペーサー構造体においては、複数本の通気スペーサーのオモテ面側を覆うカバー部材を設けることも好ましい。
【0016】
というのも、フルハーネス型安全帯を構成する帯材等が通気スペーサーの谷部に食い込むことがあると、その両側の山部が押されて通気スペーサーが潰されるおそれがある。この点、上記の構成を採用することによって、通気スペーサー構造体における空調衣服と接する側の面を平坦にし、前述の帯材等が通気スペーサーの谷部に食い込みにくくすることができるからである。
【0017】
本発明の空調衣服用の通気スペーサー構造体においては、前記カバー部材を熱吸収素材とすることも好ましい。
【0018】
これにより、通気路を通過する空気を冷却し、着用者が涼しさをより感じやすくすることができる。
【0019】
上記課題は、
空調衣服よりも内側に着用し、空調衣服の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服の内部に通気路を確保する空調衣服用の通気路形成上衣であって、
形状保持テープの折り曲げ加工品からなり、ウラ面側が通気路となる山部と、オモテ面側が通気路となる谷部とを、前記形状保持テープの長手方向に繰り返し形成した通気スペーサーが設けられたことを特徴とする空調衣服用の通気路形成上衣
を提供することによっても解決される。
【0020】
これにより、通気路形成スペーサーが複雑に配置される場合であっても、着用者は、この通気路形成上衣を着用することで、その身体に通気路スペーサーを装着した状態とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によって、着用者の身体の動きに追従しやすい構造の空調衣服用の通気スペーサーを提供することが可能になる。また、この通気スペーサーの製造コストを抑えることも可能になる。さらに、この通気スペーサーを用いた通気スペーサー構造体と通気路形成上衣を提供することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の通気路形成上衣の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る通気路形成上衣100を示した展開図である。
図2及び
図3は、本発明に係る通気路形成上衣100を着用した状態を示した図であり、
図2は、正面から見た状態を、
図3は、背面から見た状態をそれぞれ示している。本発明の通気路形成上衣100は、
図1に示すように、基礎地120と、基礎地120に設けられた通気スペーサー構造体110とで構成されている。この通気路形成上衣100は、
図2及び
図3に示すように、上半身に着用するものとなっており、空調衣服の下側(内側)に着用するものとなっている。
【0025】
本発明の通気路形成上衣100を着用することによって、
図4及び
図5に示すように、空調衣服200の上側(外側)にフルハーネス型安全帯300(同図で網掛けハッチングで示した部分)を装着する場合でも、空調衣服200に所望の機能を発揮させることが可能になる。
図4及び
図5は、空調衣服200の上側(外側)にフルハーネス型安全帯300を装着した状態を示した図であり、
図4は、正面から見た状態を、
図5は、背面から見た状態をそれぞれ示している。
【0026】
すなわち、空調衣服200は、
図5に示すように、着用者の背中側の腰部付近となる箇所に、左右一対のファン201を備えており、このファン201によって空調衣服200の内側に取り込んだ空気を首元から送出させることによって、着用者に涼しさを感じさせるものであるところ、空調衣服200の上側(外側)にフルハーネス型安全帯300を装着すると、フルハーネス型安全帯300の帯材301が、空調衣服200の外面を締め付けて、腰部から首元へ向かう空気の流れを遮断してしまう。しかし、本発明の通気路形成上衣100を空調衣服200の下側(内側)に着用しておくことで、その空気の流れが遮断されないようにすることができる。
【0027】
この点、本実施態様の通気路形成上衣100においては、
図1に示すように、基礎地120を、前身頃120aと、後身頃120bとで構成しているところ、前身頃120aの4箇所に通気スペーサー構造体110を取り付け、後身頃120bの3箇所に通気スペーサー構造体110を取り付けている。前身頃120a側の4個の通気スペーサー構造体110は、それぞれ、
図4における部分P
1,P
2,P
3,P
4と重なる箇所に配され、後身頃120b側の3個の通気スペーサー構造体110は、それぞれ、
図5における部分P
5,P
6,P
7と重なる箇所に配されている。これらの部分P
1〜P
7はいずれも、フルハーネス型安全帯300の帯材301で締め付けられる箇所であるところ、その下側(内側)に通気スペーサー構造体110を位置させることで、帯材301で締め付けられる箇所でも空調衣服200の生地が着用者の身体に密着しないようにして通気路を確保することができるようになっている。
【0028】
このように、基礎地120に複数の通気スペーサー構造体110を取り付けた通気路形成上衣100を提供することによって、その通気路形成上衣100を着用しただけで、必要な箇所に通気スペーサー構造体110を位置させることができる。本実施態様の通気路形成上衣100は、
図1に示す開口部120cに首を通し、横ベルト140を連結し、縦ベルト130の下端部に設けたクリップを下衣(ズボン等)のウエスト部分に取り付けるだけで容易に着用することができるものとなっている。また、それぞれの通気スペーサー構造体110は、後述するように、複数本の通気スペーサー111(
図1の紙面右下の通気スペーサー構造体110を参照。)に分割された構造となっており、着用者の身体の動きに追従しやすいものとなっている。
【0029】
以下、本実施態様の通気路形成上衣100を構成する部材についてより詳細に説明する。
【0030】
1.通気スペーサー構造体
図6は、
図1の通気路形成上衣100における通気スペーサー構造体110を拡大して示した斜視図である。
図7は、
図1の通気路形成上衣100における通気スペーサー構造体110を通気スペーサーの長手方向に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。図示の便宜上、
図6では、
図7におけるカバー部材113を省略している。また、
図7では、通気路形成上衣100の基礎地120も示している。
【0031】
通気スペーサー構造体110は、空調衣服200と身体との間に配されて、空調衣服200の生地が身体に密着しないようにすることによって、空調衣服200の内側に通気路を確保するものである。本実施態様の通気路形成上衣100において、通気スペーサー構造体110は、
図6及び
図7に示すように、複数本の通気スペーサー111と、連結材112と、カバー部材113とで構成されている。通気スペーサー111は、空調衣服200の内側に隙間(通気路)を確保するためのものとなっている。連結材112は、複数本の通気スペーサー111の一端部同士及び他端同士を互いに連結することによって、複数本の通気スペーサー111を並列に位置決めするものとなっている。カバー部材113は、複数本の通気スペーサー111のオモテ面側を覆うものとなっている。
【0032】
図6に示すように、それぞれの通気スペーサー111は、山部111aと谷部111bとが長手方向に繰り返し形成された帯状の部材となっている。上記の通気路は、山部111aのウラ面(
図6において下側を向く面)側と、谷部111bのオモテ面(
図6において上側を向く面)側に形成され、通気スペーサー111の幅方向に空気の流れを通すものとされる。
【0033】
この通気スペーサー111は、形状保持テープによって形成されており、この形状保持テープに折り曲げ加工を施すことによって、上記の山部111aと谷部111bとを形成している。ここで、「形状保持テープ」とは、折り曲げ変形させることができ、且つ、折り曲げ変形させた後の形状を維持することができるテープのことをいう。形状保持テープは、「セットアップテープ」と呼ばれることもある。「形状保持テープ」という語は、狭義には、形状保持性を有する樹脂フィルムからなるテープを意味することもあるが、本発明の通気路形成上衣100で通気スペーサー111を形成するのに用いる形状保持テープは、これに限定されない。形状保持テープとしては、形状保持樹脂フィルムからなるテープの他、形状保持樹脂フィラメントを生地の中に織り込んだテープや、金属フィルムからなるテープ等が例示される。本実施態様の通気路形成上衣100では、形状保持樹脂フィラメントを生地の中に織り込んだテープで通気スペーサー111を形成している。
【0034】
通気スペーサー111を形成する形状保持テープの厚さは、形状保持テープの種類等によっても異なり、特に限定されない。しかし、形状保持テープが薄すぎると、通気スペーサー111の剛性が低くなり、通気スペーサー111の形状が保たれにくくなる。このため、形状保持テープの厚さは、0.1mm以上とすることが好ましい。形状保持テープの厚さは、0.3mm以上とすることがより好ましく、0.5mm以上とすることがさらに好ましい。
【0035】
一方、形状保持テープが厚すぎると、形状保持テープを折り曲げ加工しにくくなるおそれがある。このため、形状保持テープの厚さは、3mm以下とすることが好ましい。形状保持テープの厚さは、2mm以下とすることがより好ましく、1.5mm以下とすることがさらに好ましい。本実施態様の通気路形成上衣100においては、形状保持テープの厚みを1mmとしている。
【0036】
通気スペーサー111を形成する形状保持テープの幅も特に限定されない。しかし、形状保持テープの幅が狭すぎると、通気スペーサー111の剛性が低くなり、通気スペーサー111の形状が保たれにくくなる。このため、形状保持テープの幅は、5mm以上とすることが好ましい。形状保持テープの幅は、10mm以上とすることがより好ましく、15mm以上とすることがさらに好ましい。
【0037】
一方、形状保持テープの幅が広すぎると、それを組み合わせて構成される通気スペーサー構造体110が着用者の動きに追従しにくくなるおそれがある。山部111a及び谷部111bを有する通気スペーサー111は、長手方向(長さ方向)には比較的変形しやすいものの、短手方向(幅方向)には変形しにくいからである。このため、形状保持テープの幅の広さは、50mm以下とすることが好ましい。形状保持テープの幅の広さは、40mm以下とすることがより好ましく、30mm以下とすることがさらに好ましい。本実施態様の通気路形成上衣100においては、形状保持テープの幅の広さを20mmとしている。
【0038】
形状保持テープの具体的な長さも特に限定されないが、本実施態様の通気路形成上衣100においては、
図1に示した7個の通気スペーサー構造体のうち、
図4の部分P
1,P
2及び
図5の部分P
7に重なって配される通気スペーサー構造体110を構成する通気スペーサー111の長さを10cmとし、
図4の部分P
3,P
4及び
図5の部分P
5,P
6に重なって配される通気スペーサー構造体110を構成する通気スペーサー111の長さを14cmとしており、部分P
3,P
4,P
5,P
6に重なる通気スペーサー構造体110を構成する通気スペーサー111を、部分P
1,P
2,P
7に重なる通気スペーサー構造体110を構成する通気スペーサー111よりも長くしている。
【0039】
また、山部111a(
図7)の高さ(谷部111bの深さ)も特に限定されない。しかし、山部111aが低すぎる(谷部111bが浅すぎる)と、通気路となるスペースが小さくなってしまう。このため、山部111aの高さ(谷部111bの深さ)は、5mm以上とすることが好ましい。山部111aの高さ(谷部111bの深さ)は、10mm以上とすることがより好ましい。
【0040】
一方、山部111aが高すぎる(谷部111bが深すぎる)と、山部111aがぐらつきやすくなり、通気スペーサー構造体110の形状安定性が低下するおそれがある。このため、山部111aの高さは、50mm以下とすることが好ましい。山部111aの高さは、40mm以下とすることがより好ましく、30mm以下とすることがさらに好ましい。本実施態様の通気路形成上衣100においては、山部111aの高さは、15mmとしている。
【0041】
ところで、本実施態様の通気路形成上衣100では、
図6に示すように、通気スペーサー111の、山部111aの頂部に貫通孔111cを設けている。これにより、後述するように、カバー部材113(
図7)を熱吸収素材としたとき、山部111aのウラ面側を通過する空気が貫通孔111cを通じてカバー部材113に触れることで冷却されるようになり、着用者がより一層涼しさを感じることができる。
【0042】
基礎地120に対する通気スペーサー111の取り付け方法は、特に限定されない。本実施態様の通気路形成上衣100では、それぞれの通気スペーサー111の一端部と他端部をウラ面側に折り返しており、この折り返した部分(折り返し部111d)で通気スペーサー111を基礎地120に取り付けている。つまり、折り返し部111dは、通気スペーサー構造体110を基礎地120に取り付けるための取り付け基部となっている。これにより、通気スペーサー111を踏ん張りが効く構造とすることができ、その山部111aに荷重がかかったときでも、山部111aの形状を保持することが可能となっている。本実施態様の通気路形成上衣100においては、連結材112を111dに取り付けるとともに、基礎地120に通気スペーサー構造体取り付け部材121(
図7)を取り付けており、折り返し部111dは、連結材112と通気スペーサー構造体取り付け部材121を介して基礎地120に取り付けられた状態となっている。
【0043】
連結材112は、複数本の通気スペーサー111を連結できるのであれば、その素材を特に限定されない。本実施態様の通気路形成上衣100においては、連結材112として、通気スペーサー111と同じ形状保持テープを用いている。これにより、通気スペーサー構造体110を使用者の身体の起伏に沿った形状で維持できる。
【0044】
通気スペーサー構造体取り付け部材121に対する連結材112の取り付け方法は、特に限定されないが、本実施態様の通気路形成上衣100では、連結材112及び通気スペーサー構造体取り付け部材121の幅方向中央部(
図7における部分β)に設けたスナップボタンで連結材112と通気スペーサー構造体取り付け部材121とを互いに取り付けている。これにより、フルハーネス型安全帯300を使用しないとき等、通気スペーサー111が必要ないときには、通気スペーサー111を基礎地120から取り外すことが可能となっている。
【0045】
カバー部材113は、既に述べたように、複数本の通気スペーサーのオモテ面側を覆うものとなっている。このカバー部材113によって、
図7に示すように、通気スペーサー構造体110における空調衣服と接する側の面を平坦にし、帯材301(
図4及び
図5)が通気スペーサーの谷部111bに食い込みにくくすることができる。したがって、通気スペーサー111の形状が崩れないようにすることができる。
【0046】
カバー部材113は、面状の部材であればその素材を特に限定されないが、熱吸収素材とすることが好ましい。これにより、カバー部材113は通気スペーサー構造体110を通過する空気を冷却することができ、着用者はより一層涼しさを感じることができる。本実施態様の通気路形成上衣100において、カバー部材113を、その内側に熱吸収素材を収容したバッグとしている。
【0047】
カバー部材113に用いる熱吸収素材としては、保水材や保冷材や冷却材等が挙げられる。保水材としては、保水綿等の不織布が挙げられる。この保水材に保持された水分が気化する際の吸熱作用によって、通気スペーサー構造体110を通過する空気が冷却される。保冷材としては、予め冷却又は凍結させて使用するもの等が挙げられる。冷却材としては、ドライアイス等が例示される。
【0048】
本実施態様の通気路形成上衣100においては、東洋紡株式会社製の超吸水性繊維「ランシール」(登録商標)を用いた保水綿をアルミシートからなるバッグに収容したものをカバー部材113とした。この他、保水材としては、帝人フロンティア株式会社製の吸水吸湿繊維「ベルオアシス」(登録商標)や、クレトイシ株式会社製の吸水素材「サーモメイト」等も好適に使用することができる。これらの保水材を用いる場合には、カバー部材113を構成するバッグにおける通気スペーサー111が配される側の面に多数の微細孔を設けることが好ましい。これにより、保水材に保持された水分を気化しやすくすることができる。
【0049】
通気スペーサー111に対するカバー部材113の取り付け箇所や取り付け方法は、特に限定されないが、本実施態様の通気路形成上衣100では、通気スペーサー111及びカバー部材113の側部(
図7における部分α)に設けたスナップボタンで通気スペーサー111とカバー部材113とを互いに取り付けている。
【0050】
2.基礎地
基礎地120は、その具体的な構造を特に限定されないが、本実施態様の通気路形成上衣100において、基礎地120は、メッシュ素材で構成されている。これにより、通気性を確保することができ、蒸れによる着用者の不快感を和らげることが可能となる。