着用者の身体を覆う衣服本体10と、衣服本体10に設けられた通気口11から衣服本体10の内部に空気を取り込むための送風手段20とを備えた空調衣服1において、送風手段20によって取り込まれる空気を冷却するための冷却手段30を設けた。冷却手段30は、送風手段20の空気導入側又は空気送出側を覆って衣服本体10との間に冷却用空間αを形成する冷却用カバー部材31と、冷却用カバー部材31の内部に収容された保水材32とで構成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、近年の日本では、気温が40℃前後となることも珍しくない。このように暑さの厳しい日に空調衣服を着用すると、着用者は、涼しさではなく、逆に暑さを感じる場合もあった。というのも、高温下では、送風手段を通じて衣服の内部に取り込まれる空気も高温となるところ、その暖かい空気が送風手段で空調衣服の内部に行きわたるようになる。このため、空調衣服の着用者は、まるでドライヤーの熱風を浴びているような状況になるからである。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、暑さが厳しい状況下で着用しても着用者が涼しさを感じることができる空調衣服を提供するものである。また、この空調衣服の技術を応用した身体装着型の冷却・保温装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、
着用者の身体を覆う衣服本体と、
衣服本体に設けられた通気口から衣服本体の内部に空気を取り込むための送風手段と
を備えた空調衣服であって、
送風手段によって取り込まれる空気を冷却するための冷却手段を備えた
ことを特徴とする空調衣服
を提供することによって解決される。
【0007】
ここで、「送風手段によって取り込まれる空気を冷却する」という記載における「送風手段によって取り込まれる空気」とは、送風手段によって衣服本体の内部に取り込まれる直前の空気、又は、送風手段によって衣服本体の内部に取り込まれた直後の空気を意味する。このように、送風手段によって取り込まれる空気を冷却することによって、衣服本体と身体との間に冷却された空気が流れるようになる。このため、気温が高い場合であっても、空調衣服の着用者は涼しさを感じることができる。
【0008】
本発明の空調衣服においては、
冷却手段を、
送風手段の空気導入側又は空気送出側を覆って衣服本体との間に冷却用空間を形成する冷却用カバー部材と、
冷却用カバー部材の内部に収容された保水材と、
で構成する
ことが好ましい。
【0009】
これにより、冷却用空間にある空気(送風手段によって衣服本体の内部に取り込まれる直前の空気、又は、送風手段によって衣服本体の内部に取り込まれた直後の空気)を、保水材に保持された水(冷却水)を利用して冷却することが可能になる。
【0010】
本発明の空調衣服において、冷却手段を冷却用カバー部材と保水材とで構成する場合には、冷却用カバー部材における、冷却用空間の側を向く面に、多数の微細孔を形成することが好ましい。これにより、保水材に保持された冷却水の気化熱による吸熱作用によって、空気を冷却することが可能になる。
【0011】
また、本発明の空調衣服において、冷却手段を冷却用カバー部材と保水材とで構成する場合には、冷却用カバー部材の内部に冷却水を供給するための冷却水供給路を設けることが好ましい。これにより、冷却用カバー部材の内部の冷却水の量が減った場合であっても、冷却用カバー部材の内部に冷却水を容易に補充することができるようになる。
【0012】
さらに、本発明の空調衣服において、冷却手段を冷却用カバー部材と保水材とで構成する場合には、冷却用カバー部材を支持して冷却用空間の潰れを防止するカバー用保形材をさらに備えたものとすることが好ましい。これにより、所望の冷却効果がより確実に奏されるようにすることができる。
【0013】
本発明の空調衣服においては、冷却手段を、衣服本体に対して着脱可能なものとすることも好ましい。これにより、暑さが厳しい状況では、冷却手段を装着した状態で空調衣服を着用し、暑さがそれ程厳しくない状況では、冷却手段を取り外した状態で空調衣服を着用することが可能になる。
【0014】
また、上記課題は、
身体又は衣服に取り付けることによって身体を冷却又は保温する身体装着型の冷却・保温装置であって、
冷却材又は保温材を収容するための冷却用カバー部材と、
冷却用カバー部材を支持して冷却用カバー部材のウラ側に冷却用空間又は加熱用空間を形成するカバー用保形材と
を備えたことを特徴とする身体装着型の冷却・保温装置
を提供することによっても解決される。
【0015】
この身体装着型の冷却・保温装置は、上述した本発明の空調衣服における冷却手段の技術を応用したものとなっている。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によって、暑さが厳しい状況下で着用しても着用者が涼しさを感じることができる空調衣服を提供することが可能になる。また、この空調衣服の技術を応用した身体装着型の冷却・保温装置を提供することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
0.空調衣服の概要
本発明の空調衣服の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、第一実施態様から第三実施態様迄の3つの実施態様を例に挙げて本発明の空調衣服を説明するが、本発明の空調衣服の技術的範囲は、これらに実施態様に限定されない。
【0019】
1.第一実施態様の空調衣服
まず、第一実施態様の空調衣服について説明する。
図1は、第一実施態様の空調衣服1を背面側から見た状態を示した斜視図である。第一実施態様の空調衣服1は、
図1に示すように、衣服本体10と、送風手段20と、冷却手段30とを備えている。
【0020】
衣服本体10は、着用者の身体を覆う部分となっており、その生地には、衣服本体10の外部から内部へと空気を取り込むための通気口11が設けられている。通気口11を設ける箇所や個数は、特に限定されない。しかし、一般的な空調衣服において、通気口11は、衣服本体10の背面側における左腰を覆う部分と右腰を覆う部分とに左右一対で設けられることが多い。このため、第一実施態様の空調衣服1においても、通気口11は、その部分に左右一対で設けている。
【0021】
送風手段20は、衣服本体10の通気口11から衣服本体10の内部に空気を取り込むためのものとなっている。このため、送風手段20は、通気口11に取り付けられる。第一実施態様の空調衣服1においては、上述したように、通気口11を左右一対に設けているところ、双方の通気口11に送風手段20を取り付けている。
【0022】
空調衣服1を着用した状態で送風手段20を駆動すると、着用者の身体と衣服本体10との間に空気の流れを強制的に生じさせることができる。送風手段20によって衣服本体10の内部に取り込まれた空気は、通常、衣服本体10の襟の部分から送出される。これにより、衣服本体10の内部に熱が籠らないようにするだけでなく、着用者の首元に風を当てることができる。このため、空調衣服1の着用者は、涼しさを感じることができる。
【0023】
送風手段20は、衣服本体10の外部にある空気(外気)を衣服本体10に導入できるものであればその種類を特に限定されない。第一実施態様の空調衣服1においては、ファンの回転によって空気を圧送するファンユニットを送風手段20として用いている。この種のファンユニットは、通常、バッテリーによって駆動されるところ、そのバッテリーは、衣服本体10に設けられたバッテリー収容部(図示省略)に収容される。
【0024】
冷却手段30は、送風手段20によって衣服本体10の内部に取り込まれる空気を冷却するためのものとなっている。冷却手段30は、送風手段20の空気導入側(衣服本体10の外面側)と空気送出側(衣服本体10の内面側)のいずれに設けてもよい。第一実施態様の空調衣服1では、
図1に示すように、送風手段20の空気導入側(衣服本体10の外面側)に冷却手段30を設けている。
【0025】
また、冷却手段30は、空冷以外の手段によって空気を冷却できるものであれば特に限定されない。第一実施態様の空調衣服1においては、
図2〜5に示すように、冷却手段30を、冷却用カバー部材31と、保水材32(
図5のみに示す。)とで構成しており、保水材32に保持された冷却水による作用によって空気を冷却するものとしている。冷却用カバー部材31は、後述するカバー用保形材40で支持されるようになっている。
【0026】
図2〜4は、第一実施態様の空調衣服1における送風手段20の周辺を拡大した斜視図であって、
図2は、カバー用保形材40を衣服本体10に対して取り付けている様子を、
図3は、衣服本体10に取り付けたカバー用保形材40に対して冷却用カバー部材31を取り付けている様子を、
図4は、衣服本体10に取り付けたカバー用保形材40に対して冷却用カバー部材31を取り付けた状態をそれぞれ示したものとなっている。また、
図5は、第一実施態様の空調衣服1における冷却手段30を衣服本体10の生地に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
【0027】
冷却用カバー部材31は、
図4に示すように、送風手段20(第一実施態様の空調衣服1では、送風手段20の空気導入側)を覆って衣服本体10との間に冷却用空間αを形成するものとなっている。この冷却用カバー部材31は、
図5に示すように、冷却用カバー部材31のオモテ面(冷却用空間αとは反対側を向く面)側を形成するオモテ面材31aと、冷却用カバー部材31のウラ面(冷却用空間αを向く面)側を形成するウラ面材31bとで形成した袋状のものとなっており、冷却用カバー部材31の内部には、保水材32を収容している。冷却用カバー部材31には、冷却水供給路50(給水チューブ)が接続されており、この冷却水供給路50を通じて冷却用カバー部材31の内部に冷却水を供給できるようになっている。
【0028】
冷却用カバー部材31を構成するオモテ面材31a及びウラ面材31bとしては、布地や樹脂フィルム等を用いてもよいが、放熱性に優れた金属フィルムを用いることが好ましい。第一実施態様の空調衣服1においては、オモテ面材31a及びウラ面材31bとして、アルミフィルム(アルミニウム製のフィルム)を用いている。オモテ面材31aは、開口部等を有さない連続面状のものとしているが、冷却用空間α側を形成するウラ面材31bには、多数の微細孔31b
1を形成している。
【0029】
このように、ウラ面材31bに微細孔31b
1を形成したことによって、保水材32に保持された冷却水を気化させることができるようになる。したがって、冷却水が気化する際の吸熱作用によって、冷却用空間αの空気を効果的に冷却することができるようになる。ウラ面材31bに微細孔31b
1を形成すると、冷却用カバー部材31の内部の冷却水が、微細孔31b
1を通じて冷却用空間αに漏れるおそれがあるが、微細孔31b
1の大きさや個数を、冷却水が冷却用空間αに漏れても送風手段20からの風によってすぐに乾く程度に抑えておくことで、冷却水の漏れによる不具合の発生を抑えることができる。
【0030】
具体的には、それぞれの微細孔31b
1の直径を0.5〜1.5mmの範囲に制限し、単位面積(1cm
2)当たりの微細孔31b
1の数を0.1〜5個の範囲に制限することで、冷却水の気化による所望の吸熱作用が得られるようにしながら、漏れた冷却水を乾燥させることができる。第一実施態様の空調衣服1においては、それぞれの微細孔31b
1の直径を約1mmとしており、単位面積(1cm
2)当たりの微細孔31b
1の数を約1個としている。
【0031】
保水材32は、冷却用カバー部材31に供給された冷却水を保持させるものとなっている。保水材32は、冷却水を保持できるものであれば、特に限定されないが、通常、保水綿(不織布)とされる。第一実施態様の空調衣服1では、東洋紡株式会社製の超吸水性繊維「ランシール」(登録商標)で形成した保水綿を保水材32として用いている。この「ランシール」を用いた保水綿のほか、帝人フロンティア株式会社製の吸水・吸湿繊維「ベルオアシス」(登録商標)で形成した保水綿や、クレトイシ株式会社製の吸水素材「サーモメイト」等も保水材32として好適に用いることができる。ベルオアシスを用いた保水綿は、水を含むと粒状の滑りのあるセルになるという特徴を有している。
【0032】
ところで、第一実施態様の空調衣服1では、上記のように、冷却手段30に保水材32を用いたが、保水材32を用いない構成も可能である。例えば、冷却用カバー部材31の内部に、保水材32の代わりに保冷材や冷却材(ドライアイス等)を収容することも可能である。これにより、冷却水を用いなくても空気を冷却することが可能になる。したがって、冷却水供給路50を設ける必要もなくなる。
【0033】
カバー用保形材40は、冷却用カバー部材31を支持して冷却用空間αの潰れを防止するものとなっている。このカバー用保形材40を設けることで、冷却用カバー部材31の外面側に押圧力が加わることがあっても、冷却用空間αを維持することができ、所望の冷却効果が奏されるようにすることができる。
【0034】
カバー用保形材40の形態は、特に限定されないが、第一実施態様の空調衣服1では、
図2に示すように、複数本の帯状材を囲枠状に組んだフレーム形態としている。カバー用保形材40を構成する帯状材の素材は、必要な剛性を有するものであれば特に限定されず、樹脂製テープや金属製テープ等を用いることができる。第一実施態様の空調衣服1では、上記の帯状材として形状保持テープを用いている。形状保持テープとしては、形状保持樹脂を帯状に成形したフィルムを帯状に裁断したものや、形状保持樹脂からなる繊維を織り込んだ生地を帯状に裁断したもの等が例示される。
【0035】
第一実施態様の空調衣服1では、このカバー用保形材40に第一取付部A
1を設けており、
図3に示すように、冷却用カバー部材31に設けた第一被取付部A
2に対して、第一取付部A
1を取り付けることで、
図4に示すように、カバー用保形材40に冷却用カバー部材31を取り付けることができるようにしている。第一取付部A
1及び第一被取付部A
2は、互いに取り付けできるものであれば特に限定されないが、第一実施態様の空調衣服1では、第一取付部A
1及び第一被取付部A
2を、それぞれスナップブタンの雄部材及び雌部材で構成している。
【0036】
また、カバー用保形材40には、第二取付部B
1も設けており、
図2に示すように、衣服本体10の通気口11の周辺に設けた第二被取付部B
2に対して、第二取付部B
1を取り付けることで、
図3に示すように、衣服本体10にカバー用保形材40を取り付けることができるようにしている。第二取付部B
1及び第二被取付部B
2も、互いに取り付けできるものであれば特に限定されないが、第一実施態様の空調衣服1では、第二取付部B
1及び第二被取付部B
2を、それぞれスナップブタンの雄部材及び雌部材で構成している。
【0037】
これにより、冷却手段30(保水材32が収容された冷却用カバー部材31)を、衣服本体10から取り外すことが可能になる。したがって、暑さが厳しい状況では、冷却手段30を装着した状態で空調衣服1を着用し、暑さがそれ程厳しくない状況では、冷却手段30を取り外した状態で空調衣服1を着用することが可能になる。また、空調衣服1を洗濯等する際に、冷却手段30を取り外すことも可能になる。
【0038】
図6は、第一実施態様の空調衣服1を広げて内面側から見た状態を示した図である。既に述べたように、第一実施態様の空調衣服1では、冷却用カバー部材31に冷却水供給路50を接続していたところ、
図6に示すように、衣服本体10の前側に設けた通し孔12を通じて衣服本体10の内側に導き入れ、内側に導き入れられた冷却水供給路50を2本の分岐路51に分岐させた後、一方の分岐路51を、衣服本体10における一方の通気口11の近傍に設けた通し孔12を通じて衣服本体10の外側に再度引き出して一方の冷却用カバー部材31に接続し、他方の分岐路51を、衣服本体10における他方の通気口11の近傍に設けた通し孔12を通じて衣服本体10の外側に再度引き出して他方の冷却用カバー部材31に接続している。
【0039】
これにより、冷却水を入れたノズル容器のノズル部分を冷却水供給路50の一端部50aに連結し、ノズル容器を押し潰す等して冷却水供給路50に冷却水を供給すると、一方の冷却用カバー部材31の内部と他方の冷却用カバー部材31の内部に、略等しい量の冷却水が供給されるようになる。冷却用カバー部材31の内部に冷却水を供給した後、冷却スプレー(いわゆる「コールドスプレー」)のノズル部分を冷却水供給路50の一端部に連結し、冷却スプレーを噴射すると、冷却用カバー部材31の内部の保水材32を凍らせ、より優れた冷却作用を得ることもできる。
【0040】
2.第二実施態様の空調衣服
続いて、第二実施態様の空調衣服1について説明する。第二実施態様の空調衣服1については、第一実施態様の空調衣服1と異なる構成に絞って説明する。第二実施態様の空調衣服1で特に言及しない構成については、第一実施態様の空調衣服1と同様の構成を採用することができる。
図7は、第二実施態様の空調衣服1を広げて内面側から見た状態を示した図である。
【0041】
既に述べた第一実施態様の空調衣服1では、
図6に示すように、1本の冷却水供給路50を2本の分岐路51に分岐させ、それぞれの分岐路51をそれぞれの冷却用カバー部材31に接続していた。これに対し、第二実施態様の空調衣服1では、
図7に示すように、一方の冷却用カバー部材31に接続する冷却水供給路50と、他方の冷却用カバー部材31に接続する冷却水供給路50とを独立させている。これにより、一方の冷却用カバー部材31及び他方の冷却用カバー部材31に、それぞれ独立して冷却水を供給できるようになる。
【0042】
3.第三実施態様の空調衣服
続いて、第三実施態様の空調衣服1について説明する。第三実施態様の空調衣服1については、第一実施態様の空調衣服1と異なる構成に絞って説明する。第三実施態様の空調衣服1で特に言及しない構成については、第一実施態様の空調衣服1と同様の構成を採用することができる。
図8は、第二実施態様の空調衣服1における冷却手段30を衣服本体10の生地に垂直な平面で切断した状態を示した断面図である。
【0043】
既に述べた第一実施態様の空調衣服1では、
図5に示すように、送風手段20の空気導入側(衣服本体10の外面側)にのみ冷却手段30を設けていた。これに対し、第三実施態様の空調衣服1では、
図8に示すように、送風手段20の空気導入側だけでなく、送風手段20の空気送出側(衣服本体10の内面側)にも冷却手段30を設けている。これにより、送風手段20によって衣服本体10の内部に取り込まれる空気をより効果的に冷却し、空調衣服1の着用者が涼しさをより感じやすくなる。
【0044】
ただし、第三実施態様の空調衣服1では、冷却手段30が4つになるため、冷却用カバー部材31も4つになる。したがって、冷却用カバー部材31に冷却水を供給する冷却水供給路50は、独立した4本を設けるか、1本の冷却水供給路50を4本に分岐させる必要がある。しかし、独立した4本の冷却水供給路50を設けると、冷却水供給路50をすっきりと配線することが難しくなる。また、1本の冷却水供給路50を4本に分岐させると、その分岐のさせ方によっては、4つの冷却用カバー部材に冷却水が均等に行き渡らなくなるおそれがある。よって、第三実施態様の空調衣服1においては、1本の冷却水供給路50を同じ箇所で同時に4本に分岐させるか、2本の独立した冷却水供給路50を2本に分岐させることが好ましい。
【0045】
4.第四実施態様の空調衣服
最後に、第四実施態様の空調衣服1について説明する。第四実施態様の空調衣服1については、第一実施態様の空調衣服1と異なる構成に絞って説明する。第四実施態様の空調衣服1で特に言及しない構成については、第一実施態様の空調衣服1と同様の構成を採用することができる。
図9は、第四実施態様の空調衣服1における冷却手段30及びカバー用保形材40を冷却用カバー部材31のウラ面側から見た状態を示した斜視図である。
【0046】
既に述べた第一実施態様の空調衣服1では、
図2に示すように、冷却手段30における冷却用カバー部材31とカバー用保形材40とは別体に設けたものを組み合わせるようにしていた。また、カバー用保形材40は、複数本の帯状材を囲枠状に組んだフレーム形態としていた。このため、第一実施態様の空調衣服1では、カバー用保形材40を囲枠状に組む手間を要していた。加えて、衣服本体10に冷却用カバー部材31を装着しようとすると、衣服本体10にカバー用保形材40を取り付ける工程と、カバー用保形材40に冷却用カバー部材31を取り付ける工程とが必要であった。
【0047】
これに対し、第四実施態様の空調衣服1では、
図9に示すように、カバー用保形材40を冷却用カバー部材31に対して予め一体化させた構造としている。具体的には、冷却用カバー部材31の縁部に沿ってカバー用保形材40(形状保持テープ)を縫着している。カバー用保形材40(形状保持テープ)は、その幅方向略中央で折り返しており、カバー用保形材40の縁部をカバー用保形材40(形状保持テープ)で包むようにしている。これにより、カバー用保形材40を囲枠状に組む必要がないだけでなく、衣服本体10に冷却用カバー部材31を装着する場合に、1つの工程で済むようになっている。
【0048】
5.身体装着型の冷却・保温装置
以上では、冷却手段30を空調衣服1に取り付ける場合について説明した。しかし、上述した冷却手段30を取り付ける対象は、空調衣服1に限定されない。例えば、空調衣服1の下側(内側)や上側(外側)に着用するベストに対して冷却手段30を取り付けることもできる。さらに、冷却手段30は、冷却用カバー部材31に収容する保水材32や保冷材を発熱材(カイロ等)や保温材に置き換えることで、加温手段として利用することもできる。これにより、空調衣服1の内部に暖かい空気が行きわたるようにすることができ、冬期等の寒い時期に空調衣服1を着用することも可能になる。