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特開2021-55827潤滑チューブ及び潤滑チューブを備えたリニアレール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-55827(P2021-55827A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】潤滑チューブ及び潤滑チューブを備えたリニアレール装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20210312BHJP
【FI】
   F16C29/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-19433(P2020-19433)
(22)【出願日】2020年2月7日
(31)【優先権主張番号】108135547
(32)【優先日】2019年10月1日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518435873
【氏名又は名称】東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】曾 坤成
(72)【発明者】
【氏名】陳 向緯
(72)【発明者】
【氏名】陳 重儒
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA23
3J104AA34
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA75
3J104AA76
3J104BA24
3J104BA25
3J104BA55
3J104DA05
3J104EA01
(57)【要約】
【課題】潤滑油を補充する頻度を抑えることができる潤滑チューブの提供。
【解決手段】多孔質材料により所定の中心軸線Lに沿って延伸する管内空間31を囲むように管状に成形された潤滑チューブであって、管内空間31に臨む内周面32と、内周面32の反対側にある外周面33とを有しており、内周面32には、前記中心軸線Lと平行に延伸し、且つ、前記中心軸線Lに向かって開口するように形成された複数の第1の凹部と、隣り合う2つの前記第1の凹部の間に画成されて相対的に突起し、且つ、前記中心軸線Lと平行に延伸する複数の第1の突起部と、が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質材料により所定の中心軸線に沿って延伸する管内空間を囲むように管状に成形された潤滑チューブであって、前記管内空間に臨む内周面と、当該内周面の反対側にある外周面とを有しており、
前記内周面には、前記中心軸線と平行に延伸し、且つ、前記中心軸線に向かって開口するように形成された複数の第1の凹部と、隣り合う2つの前記第1の凹部の間に画成されて相対的に突起し、且つ、前記中心軸線と平行するように延伸する複数の第1の突起部と、が形成されていることを特徴とする潤滑チューブ。
【請求項2】
前記外周面には、前記第1の突起部の位置及び形状に対応して凹陥する第2の凹部と、前記第1の凹部の位置及び形状に対応して突起する第2の突起部と、が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑チューブ。
【請求項3】
前記外周面に形成された1つの前記第2の突起部から、当該1つの前記第2の突起部が対応する前記第1の凹部まで貫通する潤滑油通過孔が更に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の潤滑チューブ。
【請求項4】
高密度ポリエチレン粉末材料により熱圧成形されて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の潤滑チューブ。
【請求項5】
所定の軸線方向に沿って延伸する側壁を有すると共に、該側壁に前記軸線方向に沿って延伸する第1の案内溝が凹設されているリニアレールと、
前記軸線方向に沿って移動可能に前記リニアレールに取り付けられていると共に、前記軸線方向上の一側にある第1の端面と、該第1の端面の反対側にある第2の端面と、前記第1の端面から前記第2の端面まで延伸するビーズ収容孔と、前記ビーズ収容孔に連通する潤滑油通路と、前記側壁に形成された前記第1の案内溝と向かい合って開口し、前記軸線方向に沿って延伸するビーズ通路を共に画成するように形成された第2の案内溝とを有するように形成されたスライディングブロックと、
前記ビーズ収容孔内に挿し込まれる中空管状の潤滑チューブと、
前記ビーズ収容孔の前記第1の端面及び前記第2の端面における開口にそれぞれに取り付けられる一対の案内ユニットと、を有するリニアレール装置であって、
前記潤滑チューブは、多孔質材料により所定の中心軸線と平行に延伸する管内空間を囲むように管状に成形されていると共に、前記管内空間に臨む内周面と、当該内周面の反対側にある外周面とを有しており、前記内周面には、前記中心軸線と平行に延伸し、且つ、前記中心軸線に向かって開口するように形成された複数の第1の凹部と、隣り合う2つの前記第1の凹部の間に画成されて相対的に突起し、且つ、前記中心軸線と平行に延伸する複数の第1の突起部と、が形成されており、
前記一対の案内ユニットは、いずれも前記ビーズ通路に向かって開口する第1の開口と、前記ビーズ収容孔内に挿し込まれる前記潤滑チューブの管内空間に向かって開口する第2の開口と、前記第1の開口から前記第2の開口まで連通するビーズ通過路と、を有するように形成されていることを特徴とするリニアレール装置。
【請求項6】
前記潤滑チューブの前記外周面には、前記第1の突起部の位置及び形状に対応して凹陥する第2の凹部と、前記第1の凹部の位置及び形状に対応して突起する第2の突起部と、が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のリニアレール装置。
【請求項7】
前記潤滑チューブの前記外周面に形成された1つの前記第2の突起部から、当該1つの前記第2の突起部が対応する前記第1の凹部まで貫通する潤滑油通過孔が更に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のリニアレール装置。
【請求項8】
前記潤滑チューブは、高密度ポリエチレン粉末材料により熱圧成形されて形成されたものであることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載のリニアレール装置。
【請求項9】
前記一対の案内ユニットは、いずれも
前記スライディングブロック外に露出するように取り付けられている本体部と、
前記本体部から突起して前記ビーズ収容孔内に挿し込まれるプラグと、を有しており、
前記プラグは、前記本体部から突起して前記ビーズ収容孔内に挿し込まれて前記ビーズ収容孔内にある前記潤滑チューブに当接する第1の挿入部と、前記第1の挿入部の先端から延伸して前記潤滑チューブの外周面と前記スライディングブロックの前記ビーズ収容孔に臨む壁面との間にある空間内に挿し込まれる第2の挿入部と、を有し、
前記第1の挿入部の前記潤滑チューブに当接する当接端面に、前記潤滑チューブの管内空間に向かって開口する前記第2の開口が形成されていることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載のリニアレール装置。
【請求項10】
前記一対の案内ユニットは、いずれも前記当接端面に、前記潤滑チューブ側へ突起する係合突起が形成されており、
前記潤滑チューブの前記案内ユニットの前記第1の挿入部に当接する両端面に、それぞれに前記係合突起に対応して受け入れられる係合スロットが形成されていることを特徴とする請求項9に記載のリニアレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑チューブ及び潤滑チューブを備えたリニアレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機械に用いられる従来のリニアレール装置は、主にリニアレールと、リニアレールに沿って移動可能に取り付けられるスライディングブロックと、2対のビーズ(球状部材)案内手段と、リニアレールとスライディングブロックと2対のビーズ案内手段との間に設置される2セットのビーズとを備え、駆動力をスライディングブロックに提供してリニアレールに沿って移動させる仕組みになっている。
【0003】
従来のリニアレール装置において、2セットのビーズはベアリングとしての役割を果たしており、2セットのビーズが設置される場所に定期的に潤滑油を補充しなければならない。従って、潤滑油の利用効率をいかに高めることが重要である。
【0004】
例えば、特許文献1には潤滑油を含ませたポリマー材料からなる潤滑手段が提案されており、ポリマー材料の多孔質特性を利用することで、潤滑油を多く貯蔵することができる。また、潤滑手段とボールナットとの間にも潤滑油を貯蔵することが可能であるが、潤滑手段とボールナットとの間にある隙間はボールナットが回転するのに必要な遊びに過ぎず、潤滑油を貯蔵する容量は限られている。更に、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5にも潤滑油を含ませたポリマー材料を利用する潤滑手段が提案されているが、これらのいずれも潤滑油を貯蔵する容量が限られているため、やはり潤滑油を頻繁に補充しなければならない問題はいまだに解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-41304号明細書
【特許文献2】特許第3733654号明細書
【特許文献3】特許第3950540号明細書
【特許文献4】特許第4502290号明細書
【特許文献5】特許第6196128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、潤滑油を頻繁に補充しなければならない問題を解決し、潤滑油を補充する頻度を抑えることができる潤滑チューブ及び潤滑チューブを備えたリニアレール装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、多孔質材料により所定の中心軸線に沿って延伸する管内空間を囲むように管状に成形された潤滑チューブであって、前記管内空間に臨む内周面と、内周面の反対側にある外周面とを有しており、前記内周面には、前記中心軸線と平行に延伸し、且つ、前記中心軸線に向かって開口するように形成された複数の第1の凹部と、隣り合う2つの前記第1の凹部の間に画成されて相対的に突起し、且つ、前記中心軸線と平行に延伸する複数の第1の突起部と、が形成されていることを特徴とする潤滑チューブを提供する。
【0008】
また、本発明は所定の軸線方向に沿って延伸する側壁を有すると共に、側壁に前記軸線方向に沿って延伸する第1の案内溝が凹設されているリニアレールと、前記軸線方向に沿って移動可能に前記リニアレールに取り付けられていると共に、前記軸線方向上の一側にある第1の端面と、第1の端面の反対側にある第2の端面と、前記第1の端面から前記第2の端面まで延伸するビーズ収容孔と、前記ビーズ収容孔に連通する潤滑油通路と、前記側壁に形成された前記第1の案内溝と向かい合って開口し、前記軸線方向に沿って延伸するビーズ通路を共に画成するように形成された第2の案内溝とを有するように形成されたスライディングブロックと、前記ビーズ収容孔内に挿し込まれる中空管状の潤滑チューブと、前記ビーズ収容孔の前記第1の端面及び前記第2の端面における開口にそれぞれに取り付けられる一対の案内ユニットと、を有するリニアレール装置であって、前記潤滑チューブは、多孔質材料により所定の中心軸線と平行に延伸する管内空間を囲むように管状に成形されていると共に、前記管内空間に臨む内周面と、内周面の反対側にある外周面とを有しており、前記内周面には、前記中心軸線と平行に延伸し、且つ、前記中心軸線に向かって開口するように形成された複数の第1の凹部と、隣り合う2つの前記第1の凹部の間に画成されて相対的に突起し、且つ、前記中心軸線と平行に延伸する複数の第1の突起部と、が形成されており、前記一対の案内ユニットは、いずれも前記ビーズ通路に向かって開口する第1の開口と、前記ビーズ収容孔内に挿し込まれる前記潤滑チューブの管内空間に向かって開口する第2の開口と、前記第1の開口から前記第2の開口まで連通するビーズ通過路と、を有するように形成されていることを特徴とするリニアレール装置をも提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、本発明の潤滑チューブは多孔質材料により管状に成形された上、その管内空間に臨む内周面には、複数の第1の突起部と、隣り合う2つの前記第1の突起部の間に画成されて相対的に凹陥する複数の第1の凹部と、が形成されているので、複数の第1の凹部に多量の潤滑油を貯蔵することが可能であり、潤滑油を補充する頻度を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の潤滑チューブを備えたリニアレール装置の全体構成が示される斜視図
図2】本発明の潤滑チューブを備えたリニアレール装置の構成が示される分解斜視図
図3】本発明の潤滑チューブを備えたリニアレール装置の断面図
図4】本発明の潤滑チューブ及び潤滑チューブに対応する1対の案内ユニットの構成が示される斜視図
図5図3の一部拡大図
図6図3の一部拡大図
図7図3におけるVII‐VII線に沿った断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は各図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。図1図2に示されているように、本発明の潤滑チューブを備えたリニアレール装置は、リニアレール10と、スライディングブロック20と、2本の本発明の潤滑チューブ30と、2対の案内ユニット40と、2セットのビーズ50と、複数のネジ60とを有している。
【0012】
リニアレール10は所定の軸線方向Xに沿って延伸し、且つ互いに向かい合う1対の側壁11と、1対の側壁11を繋ぐ底壁12と、を有すると共に、1対の側壁11それぞれの互いに向かい合う面に軸線方向Xに沿って延伸する第1の案内溝13が凹設されている。
【0013】
図2及び図3に示されているように、スライディングブロック20は軸線方向Xに沿って移動可能にリニアレール10の1対の側壁11の間に取り付けられていると共に、軸線方向X上の一側にある第1の端面21aと、第1の端面21aの反対側にある第2の端面21bと、第1の端面21aから第2の端面21bまで延伸するビーズ収容孔22と、第1の端面21a及び第2の端面21bにそれぞれに形成されていると共に、ビーズ収容孔22の近くに配置されている第1のネジ孔23と、ビーズ収容孔22に連通する潤滑油通路24と、各側壁11に形成された第1の案内溝13と向かい合って開口し、且つ、軸線方向Xに沿って延伸するビーズ通路を第1の案内溝13と共に画成するように形成された第2の案内溝25とを有するように形成されている。
【0014】
各ビーズ収容孔22は、それぞれに第1の端面21aまたは第2の端面21bに接し、且つ、内径が比較的に広い2つの大径部223と、2つの大径部223の間に介在し、且つ、内径が大径部223より狭い小径部222と、を有するように形成されている。
【0015】
図4に示されているように、潤滑チューブ30は、多孔質材料により所定の中心軸線Lと平行に延伸する管内空間31を囲むように、管状に成形されていると共に、管内空間31に臨む内周面32と、内周面32の反対側にある外周面33とを有している。また、図5及び図6に示されているように、内周面32には、中心軸線Lと平行に延伸し、且つ、中心軸線Lに向かって開口するように形成された複数の第1の凹部321と、隣り合う2つの第1の凹部321の間に画成されて相対的に突起し、且つ、中心軸線Lと平行に延伸する複数の第1の突起部322と、が形成されている。更に、外周面33には、内周面32に形成される第1の凹部321の位置及び形状に対応して突起する第2の突起部331と、内周面32に形成される第1の突起部322の位置及び形状に対応して凹陥する第2の凹部332と、が形成されている。
【0016】
更に、外周面33に形成された1つの第2の突起部331から、1つの第2の突起部331が対応する第1の凹部321まで貫通する潤滑油通過孔36が形成されている。
【0017】
図5及び図6に示されているように、各潤滑チューブ30は、各ビーズ収容孔22内にそれぞれに挿入され、ビーズ収容孔22内に挿入されると、各潤滑チューブ30のそれぞれの中心軸線Lがリニアレール10の軸線方向Xと平行になり、更に、各潤滑チューブ30の中心軸線Lに沿った長さが対応するビーズ収容孔22の小径部222より長くなっているため、対応するビーズ収容孔22内に挿入される際、潤滑チューブ30の中心軸線L上にある両端部は対応するビーズ収容孔22の小径部222から2つの大径部223へ突出するようにビーズ収容孔22内に設置される。更に、各潤滑チューブ30が対応するビーズ収容孔22内に挿入される際、潤滑チューブ30に形成されている潤滑油通過孔36は、スライディングブロック20に形成されてビーズ収容孔22に連通する潤滑油通路24に向かって開口するように配置される。
【0018】
ちなみに、潤滑チューブ30に使用される多孔質材料としては、例えば高密度ポリエチレン粉末材料により熱圧成形されて形成されたものを使用することができる。
【0019】
図4に示されているように、各案内ユニット40は、いずれもスライディングブロック20の第1の端面21a及び第2の端面21b外にそれぞれに露出するように取り付けられている本体部41と、本体部41から突起して対応のビーズ収容孔22内に挿し込まれるプラグ42と、を有している上、リニアレール10の側壁11に形成される第1の案内溝13とスライディングブロック20に形成される第2の案内溝25とにより画成されるビーズ通路に向かって開口する第1の開口431と、ビーズ収容孔22内に挿し込まれる潤滑チューブ30の管内空間31に向かって開口する第2の開口432と、第1の開口431から第2の開口432まで連通するビーズ通過路43と、を有するように形成されている。
【0020】
本体部41には、スライディングブロック20に形成される第1のネジ孔23に対応する第2のネジ孔44が形成されており、各ネジ60は、案内ユニット40の本体部41に形成される第2のネジ孔44を経由してスライディングブロック20に形成される第1のネジ孔23にねじ込まれることにより、案内ユニット40をスライディングブロック20に固定することができる。
【0021】
プラグ42は、本体部41から突起して対応のビーズ収容孔22内の大径部223に挿し込まれてビーズ収容孔22内にある潤滑チューブ30に当接する第1の挿入部421と、第1の挿入部421の先端から延伸して潤滑チューブ30の外周面33とスライディングブロック20のビーズ収容孔22の大径部223に臨む壁面との間にある空間内に挿し込まれる第2の挿入部422と、を有する。なお、潤滑チューブ30の管内空間31に向かって開口する第2の開口432は、第1の挿入部421の潤滑チューブ30に当接する当接端面423に形成されている。
【0022】
また、潤滑チューブ30と案内ユニット40との係合のため、案内ユニット40の当接端面423には、潤滑チューブ30側へ突起する係合突起424が形成され、潤滑チューブ30の案内ユニット40の第1の挿入部421に当接する両端面34には、それぞれに係合突起423に対応して受け入れられる係合スロット35が形成されている。
【0023】
図5及び図7に示されているように、この構成により、リニアレール10の側壁11に形成される第1の案内溝13とスライディングブロック20に形成される第2の案内溝25とにより画成されるビーズ通路は、各案内ユニット40に形成されるビーズ通過路43を経由してビーズ収容孔22内に挿し込まれる潤滑チューブ30の管内空間31と繋がるようになって1つのサーキットを形成し、1セットのビーズ50はこのサーキット内に設置されてベアリングとしての役割を果たすことができる。更に、ビーズ収容孔22内に挿し込まれる潤滑チューブ30の位置は、その両端側にそれぞれに取り付けられている1対の案内ユニット40によって動かないように固定されるようになる。
【0024】
このように、2本の潤滑チューブ30が2つのビーズ収容孔22内にそれぞれ挿し込まれた状態で、各ビーズ収容孔22に対してそれぞれに1対の案内ユニット40を取り付けて潤滑チューブ30を固定することにより、潤滑チューブ30に形成される潤滑油通過孔36を、スライディングブロック20に形成された潤滑油通路24の開口に確実にあわせることができる。また、案内ユニット40はネジ60によりスライディングブロック20に固定され、リニアレール10の側壁11に形成される第1の案内溝13とスライディングブロック20に形成される第2の案内溝25とにより画成されるビーズ通路からのビーズ50をビーズ通過路43で潤滑チューブ30の管内空間31へ案内することができる。
【0025】
潤滑油通路24を経由して潤滑油をビーズ収容孔22内に注入すると、潤滑油はビーズ収容孔22の内周壁と潤滑チューブ30の外周面33に形成される第2の凹部332との間の空間を充満すると共に、潤滑チューブ30に形成される潤滑油通過孔36及び潤滑チューブ30の多孔質材料により、潤滑チューブ30の内周面32に形成される第1の凹部321と潤滑チューブ30の管内空間31内にあるビーズ50との間の空間を充満するようになり、これによりスライディングブロック20がリニアレール10に沿って移動する際、ビーズ50は確実にベアリングとしての役割を果たすことができると共に、リニアレール装置の使用寿命も延び、潤滑油を頻繁に補充する必要もなくなる。
【0026】
また、本発明のリニアレール装置では、ビーズ収容孔22の内周壁とビーズ50の間に潤滑チューブ30が介在するため、ビーズ50のサイズに合わせてビーズ収容孔22を形成する必要がなく、ビーズ収容孔22を広めに形成することができるため、製造のコストを節約することができる。
【0027】
更に、潤滑チューブ30に使用される多孔質材料としては、例えば高密度ポリエチレン粉末材料により熱圧成形されて形成されたものを使用するので、潤滑チューブ30自体が大量の潤滑油を吸収することができ、潤滑チューブ30を通過するビーズ50に潤滑油を供給し続けることができる。
【0028】
そして、潤滑チューブ30に形成される潤滑油通過孔36は、外周面33に形成された第2の突起部331から、1つの第2の突起部331が対応する第1の凹部321まで貫通するように形成されるので、潤滑油通過孔36を形成する際にばりが生じても、それが内周面33の第1の凹部321にあるため、ビーズ50の作動に干渉することはない。
【0029】
ビーズ50として直径4.7mmのものを使用し、そして潤滑チューブの厚さが1mmの場合、従来では潤滑油を貯蔵可能な空間の断面積は5.609mmであるが、本発明の潤滑チューブ30は外周面33に第2の突起部331と第2の凹部332が形成され、内周面32に第1の凹部321と第1の突起部322が形成されるため、潤滑油を貯蔵可能な空間の断面積は10.128mmとなり、即ち従来の約1.8倍の潤滑油を貯蔵することができる。また、潤滑チューブ30とビーズ50の間に隙間が存在するため、潤滑油による潤滑効果を最適化することができる。
【0030】
本発明において案内ユニット40のプラグ42に係合突起423が形成され、そして潤滑チューブ30側にも係合突起423に対応して受け入れられる係合スロット35が形成されているので、この構成により潤滑チューブ30は回転不能にビーズ収容孔22内に保持されるようになり、潤滑油通過孔36を確実にスライディングブロック20に形成された潤滑油通路24の開口にあわせることができる。更に、1対の案内ユニット40がそれぞれに有するプラグ42でビーズ収容孔22内に挿し込んで潤滑チューブ30を挟むので、潤滑チューブ30とビーズ収容孔22との加工誤差、および案内ユニット40が取り付けられる際の誤差を吸収し、案内ユニット40の第2の開口432と潤滑チューブ30の管内空間との間に段差が生じないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
上記構成により、本発明の潤滑チューブは多孔質材料により管状に成形された上、その管内空間に臨む内周面には、複数の第1の突起部と、隣り合う2つの前記第1の突起部の間に画成されて相対的に凹陥する複数の第1の凹部と、が形成されているので、複数の第1の凹部に多量な潤滑油を貯蔵することが可能であり、潤滑油を補充する頻度を抑えることにより、メンテナンスのコストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 リニアレール
11 側壁
12 底壁
13 第1の案内溝
20 スライディングブロック
21a 第1の端面
21b 第2の端面
22 ビーズ収容孔
222 小径部
223 大径部
23 第1のネジ孔
24 潤滑油通路
25 第2の案内溝
30 潤滑チューブ
31 管内空間
32 内周面
321 第1の凹部
322 第1の突起部
33 外周面
331 第2の突起部
332 第2の凹部
34 端面
35 係合スロット
36 潤滑油通過孔
40 案内ユニット
41 本体部
42 プラグ
421 第1の挿入部
422 第2の挿入部
423 当接端面
424 係合突起
43 ビーズ通過路
431 第1の開口
431 第2の開口
44 第2のネジ孔
50 ビーズ
60 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7