特開2021-56448(P2021-56448A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-56448開口絞り駆動装置、カメラ装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-56448(P2021-56448A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】開口絞り駆動装置、カメラ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20210101AFI20210312BHJP
【FI】
   G03B9/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-181382(P2019-181382)
(22)【出願日】2019年10月1日
(71)【出願人】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 厚吉
【テーマコード(参考)】
2H080
【Fターム(参考)】
2H080AA21
2H080AA63
(57)【要約】
【課題】小型化、薄型化を実現することができる開口絞り駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】開口絞り駆動装置10は、レンズの光軸を基準軸として該基準軸回りに仮想円を設けた場合、前記仮想円と平行をなす少なくとも二組以上の絞り羽根18,20と、前記絞り羽根18,20を前記仮想円の径方向に移動自在に支持するベース12と、前記仮想円の接線方向に延びる形状記憶合金部40を含み、前記形状記憶合金部40の変形により前記絞り羽根18,20を駆動する駆動ユニット32,34と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの光軸を基準軸として該基準軸回りに仮想円を設けた場合、前記仮想円と平行をなす少なくとも二組以上の絞り羽根と、
前記絞り羽根を前記仮想円の径方向に移動自在に支持するベースと、
前記仮想円の接線方向に延びる形状記憶合金部を含み、前記形状記憶合金部の変形により前記絞り羽根を駆動する駆動ユニットと、
を有する開口絞り駆動装置。
【請求項2】
前記駆動ユニットは、前記形状記憶合金部と平行に延び、弾性を有し、且つ前記形状記憶合金部を支持する支持部をさらに有する請求項1記載の開口絞り駆動装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記仮想円の径方向の外側及び内側のいずれか一方又は両側に前記形状記憶合金部が配置されている請求項2記載の開口絞り駆動装置。
【請求項4】
前記形状記憶合金部は、前記形状記憶合金部の両端が前記支持部に固定されている請求項3記載の開口絞り駆動装置。
【請求項5】
前記支持部は複数のリング部材を有し、前記形状記憶合金部は前記リング部材に挿入されている請求項2記載の開口絞り駆動装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記支持部の両端が前記ベースに形成された係合部に回転自在に係合している請求項2記載の開口絞り駆動装置。
【請求項7】
前記絞り羽根が固定され、前記ベースの径方向に移動自在であるホルダをさらに有する請求項1記載の開口絞り駆動装置。
【請求項8】
前記ホルダは、前記駆動ユニットが変形した場合に前記駆動ユニットが押接する突出部を有する請求項7記載の開口絞り駆動装置。
【請求項9】
前記駆動ユニットの中央は前記ホルダに連結されている請求項7記載の開口絞り駆動装置。
【請求項10】
前記絞り羽根は、前記基準軸方向に少なくとも2枚重ねられている請求項1記載の開口絞り駆動装置。
【請求項11】
請求項1から10いずれか記載の開口絞り装置を有するカメラ装置。
【請求項12】
レンズと、
このレンズを支持するレンズ支持部を有するムーバを移動自在に支持するベースと、
前記ムーバの移動方向とは直交する方向に延びる形状記憶合金部を含み、前記形状記憶合金部の変形によりムーバを駆動する駆動ユニットと、
を有するカメラ装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載のカメラ装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口絞り駆動装置、カメラ装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開口絞り装置は、例えば特許文献1に記載されているように、回転軸を回転させることにより絞り羽根を直線移動させる構造であるから、この回転軸を回転させるためには大トルクが必要であり、その大トルクを発生させるための構造が大型化するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−167186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小型化、薄型化を実現することができる開口絞り駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様は開口絞り駆動装置であり、この開口絞り駆動装置は、レンズの光軸を基準軸として該基準軸回りに仮想円を設けた場合、前記仮想円と平行をなす少なくとも二組以上の絞り羽根と、前記絞り羽根を前記仮想円の径方向に移動自在に支持するベースと、前記仮想円の接線方向に延びる形状記憶合金部を含み、前記形状記憶合金部の変形により前記絞り羽根を駆動する駆動ユニットと、を有する。
【0006】
前記駆動ユニットは、前記形状記憶合金部と平行に延び、弾性を有し、且つ前記形状記憶合金部を支持する支持部材をさらに有するようにしてもよい。この支持部材は、前記仮想円の径方向の外側及び内側のいずれか一方に前記形状伊記憶合金部が配置されるようにしてもよいし、両側に前記形状記憶合金部が配置されるようにしてもよい。この支持部材には取付けリングを介して前記形状記憶合金部を支持するようにしてもよい。
【0007】
また、前記絞り羽根が固定されるホルダを設けるようにしてもよい。このホルダは、前記駆動ユニットが変形した場合に前記駆動ユニットが押接する突出部を設けるようにしてもよい。さらに駆動ユニットの中心をホルダに連結してホルダを駆動させるようにしてもよい。
【0008】
また、前記絞り羽根は、一枚でもよいが、少なくとも二枚重ねるようにしてもよい。
【0009】
本発明の他の態様は、カメラ装置であり、このカメラ装置は、上記の開口絞り駆動装置を有する。また、開口絞り駆動装置ではなく、レンズを駆動するレンズ駆動装置に応用してもよい。
【0010】
さらに、本発明の他の態様は、上記カメラ装置を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば基準円の接線方向に延びる形状記憶合金部を含む駆動ユニットにより、絞り羽根を駆動するように構成したので、小型化、薄型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す平面図である。
図4】本発明の第一実施形成に係る開口絞り駆動装置に用いた第二絞り羽根、第二ホルダ、開口部拡大用駆動ユニット及び開口部縮小用駆動ユニットを示す斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る開口絞り駆動装置に用いた開口部拡大用駆動ユニットを示す分解斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る開口絞り駆動装置の作用を示す概略図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す斜視図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す平面図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る開口絞り装置に用いた第二絞り羽根、第二ホルダ及び駆動ユニットを示す斜視図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る開口絞り駆動装置に用いた駆動ユニットを示す分解斜視図である。
図11】本発明の第三実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す斜視図である。
図12】本発明の第三実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す分解斜視図である。
図13】本発明の第三実施形態に係る開口絞り駆動装置を示す平面図である。
図14】本発明の第三実施形態に係る開口絞り装置に用いた第一絞り羽根、第一ホルダ及び駆動ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1から図6には、本発明の第一実施形態が示されている。本発明の第一実施形態に係る開口絞り駆動装置10は、カメラ装置において、光を絞ってレンズに入射させるようにしたもので、開口絞り駆動装置10の後段にレンズ駆動装置が設けられる。この第一実施形態の説明にあっては、このレンズの光軸を基準軸Zとし、この基準軸Zと直交する方向の軸をX軸、Y軸とする。
【0015】
開口絞り駆動装置10は、ベース12を有する。ベース12は、XY方向に広がる四角形状の部材であり、樹脂等からなる。図2に示すように、このベース12の中央には、ベース側開口部14が形成されている。このベース側開口部14は円形であり、図3に示すように、このベース側開口部14の中心を基準軸が通る。
【0016】
また、ベース12の+Z側の面には、基準軸を中心とする仮想円の径方向(Y軸方向)に延びる案内溝16が形成されている。この案内溝16には、第一絞り羽根18と第二絞り羽根20が摺動自在に嵌められている。この案内溝16は、第一絞り羽根18と第二絞り羽根20とがZ方向に重なるように案内する。
【0017】
第一絞り羽根18と第二絞り羽根20とは、基準軸側がV字状に切り欠かれて、この切り欠かれた部分の周囲がZ方向に重ねられている。第一絞り羽根18と第二絞り羽根20のV字状に切り欠かれた部分により四角形状の絞り側開口部22が形成されている。
【0018】
第一絞り羽根18の+Z側面には四角形状の第一ホルダ24が固着され、第二絞り羽根20の+Z側面には四角形状の第二ホルダ26が固着されている。この第一ホルダ24及び第二ホルダ26は、案内溝16に摺動可能なように収納されている。
【0019】
第一ホルダ24及び第二ホルダ26の+Z側面の±Y側端には、それぞれ外側突出部28,28及び内側突出部30,30がX方向に延び、且つ+Z方向に突出するように形成されている。外側突出部28と内側突出部30は、それぞれY方向において内側面同士が対向している。
【0020】
第一ホルダ24及び第二ホルダ26には、開口部拡大用駆動ユニット32,32及び開口部縮小用駆動ユニット34,34が配設されている。開口部拡大用駆動ユニット32及び開口部縮小用駆動ユニット34は、単に駆動ユニット32,34と称する場合がある。
【0021】
上記駆動ユニット32,34はY方向の取付けが逆にしただけで構造は同じになっている。上記駆動ユニット32,34は、図5に示すように、取付け部材36と支持部材38で構成される支持部と、形状記憶合金部40とから構成されている。取付け部材36、支持部材38及び形状記憶合金部40はいずれもX方向に延びている。
【0022】
取付け部材36は、樹脂等から構成され、直線状の取付け部材本体部42を有し、この取付け部材本体部42のY方向側面に複数の、この実施形態においては5つのリング部材44が一端から他端まで予め定められた距離を隔てて形成されている。このリング部材44には、X方向に開口する挿入孔46がそれぞれ形成されている。この挿入孔46には、丸棒状に形成された形状記憶合金部40が挿入される。
【0023】
また、取付け部材36の取付け部材本体部42には、支持部材挿入溝48がX方向に貫いて形成されている。この支持部材挿入溝48には、支持部材38の支持部材本体部50が埋め込まれている。支持部材38は、リン青銅等の弾性を有する材料から構成される。また、支持部材38は、支持部材本体部50の両端でY方向へ直線的に折り曲げられ、さらに逆方向へ半円形状に折り曲げられた被係合部52,52が形成されている。この被係合部52,52は、ベース12の+Z面から突出して形成された係合部54,54(図2に示す)に回転自在であるように係合している。
【0024】
形状記憶合金部40は、形状記憶合金である、ニッケルチタンや、銅亜鉛アルミニウム等の合金から構成され、ある温度以上になると、元の形状に戻るようになっている。この実施形態においては、両端のリング部材44に位置固定するように拘束され、他のリング部材44は、形状記憶合金部40が取付け部材36から逸脱しないように嵌められている。形状記憶合金部40は、元の形状が図示の形状よりも短くなっており、ある温度以上になると、形状記憶合金部40は縮むように変形する。この実施形態にあっては、形状記憶合金部40に電流を流すと、この流れる電流により発生したジュール熱により加熱され、長さが短くなる。形状記憶合金部40の長さが短くなると、駆動ユニット32,34は、取付け部材本体部42及び支持部材本体部50の弾性に抗して取付け部材36側が凸となる弓状に変形する。
【0025】
開口部拡大用駆動ユニット32,32は、取付け部材36が外側突出部28,28のY方向内側面に対向している。開口部縮小用駆動ユニット34,34は、取付け部材36が内側突出部30,30のY方向内側面に対向している。
【0026】
次に上記第一実施形態の作用について説明する。
図6(a)には開口径を拡大する場合が示されている。
開口部拡大用駆動ユニット32,32の形状記憶合金部40に通電すると、開口部拡大用駆動ユニット32,32は、図6(a)のA1に示すように、仮想円の径方向外向きに湾曲する。そして、取付け部材36の中央部が外側突出部28,28を外側へ押接して、第一絞り羽根18及び第二絞り羽根20をベース12との間に生じる摩擦力に抗して外側へ押しやる。このとき、図6(a)のA2に示すように、それぞれの内側突出部30,30が変形していない開口部縮小用駆動ユニット34,34に当接して移動を停止する。
【0027】
開口部拡大用駆動ユニット32,32の形状記憶合金部40への通電を停止すると、開口部拡大用駆動ユニット32,32は直線状態に復帰するが、第一絞り羽根18及び第二絞り羽根20は、それぞれ第一ホルダ24及び第二ホルダ26とともに移動を停止した位置に留まり、絞り径は拡大した状態が維持される。
【0028】
図6(b)には開口径を縮小する場合が示されている。
開口部縮小用駆動ユニット34,34の形状記憶合金部40に通電すると、開口部縮小用駆動ユニット34,34は、図6(b)のB1に示すように、仮想円の径方向内向きに湾曲する。そして、取付け部材36の中央部が内側突出部30,30を内側へ押接して、第一絞り羽根18及び第二絞り羽根20をベース12との間に生じる摩擦力に抗して内側へ押しやる。このとき、図6(b)のB2に示すように、それぞれの外側突出部28,28が変形していない開口部拡大用駆動ユニット32,32に当接して移動を停止する。
【0029】
開口部縮小用駆動ユニット34,34の形状記憶合金部40への通電を停止すると、開口部拡大用駆動ユニット34,34は直線状態に復帰するが、第一絞り羽根18及び第二絞り羽根20は、それぞれ第一ホルダ24及び第二ホルダ26とともに移動を停止した位置に留まり、絞り径は縮小した状態が維持される。
【0030】
このようにして、本発明の第一実施形態によれば開口絞り径の大きな状態と小さな状態(F値小とF値大の2状態)を設定可能な、小型化、薄型化を実現することができる簡単な構造の開口絞り駆動装置を提供できる。
【0031】
図7から図10には、本発明の第二実施形態に係る開口絞り駆動装置10が示されている。この第二実施形態は、第一実施形態とは駆動ユニットの構造とその取付け位置とが異なる。
【0032】
駆動ユニット32,32は、開口部拡張用と開口部縮小用とを兼ねており、図10に示すように、支持部は第一実施形態の取付け部材36と支持部材38を兼ねた支持部材38で構成されている。支持部材38のY方向両側に第一形状記憶合金部56と第二形状記憶合金部58とが設けられている。支持部材38は、リン青銅等の弾性を有する部材から構成され、この支持部材38の支持部材本体部50のY方向両側面には、樹脂等の絶縁性の材料から構成された例えば5つのリング部材44が一端から他端まで予め定められた距離を隔てて形成されている。このリング部材44には、X方向に開口する挿入孔46がそれぞれ形成されている。この挿入孔46には、丸棒状に形成された第一形状記憶合金部56と第二形状記憶合金部58とが挿入される。第一形状記憶合金部56及び第二形状記憶合金部58は、X方向両端にあるリング部材44により拘束されている。
【0033】
また、支持部材38は、支持部材本体部50の両端でY方向へ半円形に折り曲げられ、その先端には円筒状の被係合部52,52が形成されている。この被係合部52,52は、ベース12の+Z面から突出して形成された係合部54,54に回転自在であるように係合している。
【0034】
駆動ユニット32は、第一形状記憶合金部56がY方向内側に、第二形状記憶合金部58がY方向外側になるように配置される。また、第一ホルダ24及び第二ホルダ26には、Y方向に突出する凸部60が形成されている。この凸部60には、X方向中央にあるリング部材44がY方向の内側から連結している。
【0035】
上記構成において、第一形状記憶合金部56の端部間に電流を流すと、通電に伴う昇温量に応じて第一形状記憶合金部56は長手方向に所定量収縮する。第二形状記憶合金部58と支持部材38は収縮しないので駆動ユニット32は第二形状記憶合金部58側を凸にして弓形に湾曲する。また、第二形状記憶合部58の端部間に電流を流すと、通電に伴う昇温量に応じて第二形状記憶合部58は長手方向に所定量収縮する。第一形状記憶合金部56と支持部材38は収縮しないので駆動ユニット32は第一形状記憶合金部56を凸にして弓形に湾曲する。
【0036】
即ち、第一形状記憶合金部56に通電すると、当該駆動ユニット32は外向きに湾曲して、中央のリング部材44が第一ホルダ24及び第二ホルダ26の凸部60,60を外側に引っ張る。第一絞り羽根18は、第一絞り羽根18及び第一ホルダ24とベース12との間に生じる摩擦力に抗して外側に移動し、第二絞り羽根20は、第二絞り羽根20及び第二ホルダ26とベース12との間に生じる摩擦力に抗して外側に移動する。絞り用開口部22は第一形状記憶合金部56の収縮力と支持部材38及び第二形状記憶合金部58の湾曲たわみに対する復元力とが釣り合った位置まで広がる。
【0037】
次に第一形状記憶合金部56への通電を停止すると第一形状記憶合金部56は収縮前の長さに戻って駆動ユニット32は直線状態になり、絞り側開口部22は初期状態に復帰する。
【0038】
一方、第二形状記憶合金部58に通電すると、当該駆動ユニット32は内向きに湾曲して、中央のリング部材44が第一ホルダ24及び第二ホルダ26の凸部60,60を内側に押す。第一絞り羽根18は、第一絞り羽根18及び第一ホルダ24とベース12との間に生じる摩擦力に抗して内側に移動し、第二絞り羽根20は、第二絞り羽根20及び第二ホルダ26とベース12との間に生じる摩擦力に抗して内側に移動する。絞り用開口部22は第二形状記憶合金部58の収縮力と支持部材38及び第一形状記憶合金部56の湾曲たわみに対する復元力とが釣り合った位置まで広がる。
【0039】
次に第二形状記憶合金部58への通電を停止すると第二形状記憶合金部58は収縮前の長さに戻って駆動ユニット32は直線状態になり、絞り側開口部22は初期状態に復帰する。
【0040】
このようにして、本発明の第二実施形態によれば開口絞り径を任意の大きさ(F値小からF値大の間の任意径)を設定可能な、小型化、薄型化を実現することができる簡単な構造の開口絞り駆動装置を提供できる。
【0041】
図11から図14には、本発明の第三実施形態に係る開口絞り駆動装置10が示されている。この第三実施形態は、第二実施形態とは駆動ユニット32が同じであるが、第二実施形態とは絞り羽根のスライド方向と絞り羽根の数、絞り羽根の構造が異なり、六角形の絞り側開口部を形成する。
【0042】
この第三実施形態においては、基準軸をZとし、Zと直角をなし互いに120度の角度をなす3方向をP,Q,Rとする。駆動ユニット32は、第一絞り羽根18、第二絞り羽根20及び第三絞り羽根62に固定された第一ホルダ24、第二ホルダ26及び第三ホルダ64に連結されている。第一形状記憶合金部56及び第二形状記憶合金部58を備えた駆動ユニット32は、第一絞り羽根18、第二絞り羽根20及び第三絞り羽根62をそれぞれP,Q,R方向にスライドさせるようになっている。
【0043】
また、第一絞り羽根18、第二絞り羽根20及び第三絞り羽根62は、前側羽根片66と後側羽根片68との2枚重ねで構成されている。
【0044】
前側羽根片66と後側羽根片68とはZ方向に重ねられて、六角形の絞り側開口部22のV字状の2辺を形成する。
【0045】
第一絞り羽根18、絞り羽根20及び第三絞り羽根62の前側羽根片66は、それぞれ隣の絞り羽根18〜20における後側羽根片68の前側に位置するように配設される。
【0046】
第一実施形態及び第二実施形態においては、機械加工やエッチング等によって1枚の板材にV字状の2辺を形成している。そのため、V字の開口角部分にはある程度の丸みが残る。この丸みの存在を回避したい場合にこの第三実施形態の2枚重ねの羽根片を使用する。
【0047】
なお、絞り側開口部22の開口面積の設定値をより狭くする必要のある場合には、前側羽根片66と後側羽根片68との一部を切欠いて羽根片同士の干渉を避けるようにすればよい。
【0048】
このようにして、本発明の第三実施形態によれば開口絞り径を任意の大きさ(F値小からF値大の間の任意径)を設定可能な、小型化、薄型化を実現することができる簡単な構造の開口絞り駆動装置を提供できる。
【0049】
上記実施形態にあっては、本発明を開口絞り駆動装置に適用した例について説明したが、レンズ駆動装置にも適用することができる。即ち、絞り羽根の代わりにレンズを支持するレンズ保持部をムーバに設け、このムーバを上述した形状記憶合金部を有する駆動ユニットにより駆動してもよい。さらに開口絞り駆動装置について説明したが、この開口絞り装置を用いたカメラ装置、さらにはカメラ装置を備えた電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 開口絞り駆動装置
12 ベース
14 ベース側開口部
16 案内溝
18 第一絞り羽根
20 第二絞り羽根
22 絞り側開口部
24 第一ホルダ
26 第二ホルダ
28 外側突出部
30 内側突出部
32 開口部拡大用駆動ユニット(駆動ユニット)
34 開口部縮小用駆動ユニット(駆動ユニット)
36 取付け部材
38 支持部材
40 形状記憶合金部
42 取付け部材本体部
44 リング部材
46 挿入孔
48 支持部材挿入溝
50 支持部材本体部
52 被係合部
54 係合部
56 第一形状記憶合金部
58 第二形状記憶合金部
60 凸部
62 第三絞り羽根
64 第三ホルダ
66 前側羽根片
68 後側羽根片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14