【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成31年2月24日FPVドローンレースでの発表、平成31年3月21日湯処あべの橋ドローンレースでの発表、平成31年4月9日慶應義塾大学での発表
【解決手段】映像処理システムSは、撮影装置を搭載した無人移動体1と、無人移動体1と無線通信で接続され、撮影装置が撮影した映像を表示する映像処理装置30と、を備えている。映像処理装置30は、当該映像を示す映像データを取得する映像データ取得部と、映像データが示す映像を表示ディスプレイ40上に表示する画面表示部と、映像内において検出マーク60が存在することを検出するマーク検出部と、映像内において検出マーク60が所定の条件で検出されたときに、検出された検出マーク60が設けられた通過ゲート50内を無人移動体1が通過したものと判定するゲート通過判定部と、を有している。画面表示部は、映像とともに、当該判定結果に基づく内容を表示ディスプレイ40上に表示する。
前記ゲート通過判定部は、前記映像の中心部分において前記通過ゲート内の通過領域よりも小さい領域を検出対象外領域として設定した上で、所定の映像内において前記検出対象外領域とは異なる領域において前記検出マークが検出され、かつ、所定の映像よりも後の映像内において前記検出マークが検出されなくなったときに、前記無人移動体が通過したものと判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無人移動体を用いた映像処理システム。
前記ゲート通過判定部は、前記映像に対して4象限に区画された4つの検出対象領域を設定した上で、所定の映像内において第1象限となる第1検出対象領域、第2象限となる第2検出対象領域、第3象限となる第3検出対象領域、及び第4象限となる第4検出対象領域の全ての検出対象領域において前記検出マークが検出され、かつ、所定の映像よりも後の映像内において前記検出マークが検出されなくなったときに、前記無人移動体が通過したものと判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無人移動体を用いた映像処理システム。
前記映像処理装置は、前記ゲート通過判定部による前記判定結果から、前記無人移動体が所定のスタート位置から所定の通過ゲートを通過するまでに要した経過時間を算出する経過時間算出部を有し、
前記画面表示部は、前記映像とともに、前記経過時間算出部によって算出された経過時間に関する内容を前記表示画面上に表示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無人移動体を用いた映像処理システム。
撮影装置を搭載し、外部の映像を撮影しながら移動する無人移動体と無線通信によって接続されたコンピュータが、前記撮影装置が撮影した映像を処理する映像処理方法であって、
前記コンピュータが、
前記撮影装置が撮影した外部の映像を示す映像データを取得する映像データ取得工程と、
取得した前記映像データが示す映像を表示画面上に表示する第1画面表示工程と、
取得した前記映像データが示す映像内において検出対象となる検出マークが存在することを検出するマーク検出工程と、
前記映像内において前記検出マークが所定の条件で検出されたときに、検出された前記検出マークが設けられた通過ゲートを前記無人移動体が通過したものと判定するゲート通過判定工程と、
前記映像とともに、前記無人移動体が前記通過ゲートを通過したものと判定した判定結果に基づく内容を前記表示画面上に表示する第2画面表示工程と、を実行することを特徴とする無人移動体を用いた映像処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドローンレースの運営にあたっては、操縦者及び閲覧者が、ドローンに搭載された撮影装置から送信されるリアルタイム映像を観賞できるところ、エンターテイメント性を高めるべく、臨場感あふれる演出態様が求められている。
詳しく述べると、従来のドローンレースでは、複数のドローンのラップタイムをそれぞれ計測するにあたって、通常、電波強度を計測する計測機器が利用されている。具体的には、各ドローンにはアンテナが搭載されており、予め割り当てられた固有の電波を発信するように設定されている。そして、ゴール地点に設置したループアンテナによって受信した電波の電波強度を当該計測機器が計測することで、いずれのドローンが周回したのかを判別し、また各ドローンのラップタイムを計測している(例えば、特許文献2に記載のラジコン移動体のラップタイム計測システム等がある)。
しかしながら、当該レースの運営にあたって、当該計測機器を設置することや当該計測機器のキャリブレーションを行うことには比較的時間を要し、またレース会場が比較的狭い室内であった場合には電波干渉が発生してしまい、ラップタイムを正確に計測できないという事情があった。しかも、当該計測機器を利用しても、計測点はせいぜいゴール時のタイム計測用1点であることが多かった。
また、ドローンが飛行しながら複数の通過ゲートを通過していくところ、ドローンが通過ゲート内を通過したか否かを判定することも困難であった。
そのため、ドローンレースの運営にあたって、電波干渉による影響がなくラップタイムを計測し、ドローンが通過ゲート内を通過したか否かを判定することで、ドローンのラップタイムや現在位置等をリアルタイム表示することが可能な技術が求められていた。
【0007】
また、ドローンレースの運営にあたっては、閲覧者が大型の表示ディスプレイ上で、ドローンに搭載された撮影装置から送信されるリアルタイム映像を観賞できるところ、エンターテイメント性を高めるべく、表示ディスプレイ上において臨場感あふれる演出態様が求められていた。
【0008】
そのほか、ドローンレースにおける演出態様に特に限定されることなく、所定位置に設置された通過ゲートを利用して、飛行するドローンの位置を精度良く検出することや、所定位置を通過したタイミングを精度良く計測することが可能な解析技術を、ドローンを活用したビジネスに応用させることも求められていた。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、無人移動体(ドローン)の位置を精度良く検出し、所定位置を通過したタイミングを精度良く計測することが可能な無人移動体を用いた映像処理システム、映像処理方法及び映像処理装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、無人移動体レース(ドローンレース)の運営にあたって、エンターテイメント性を高めるべく、臨場感あふれる演出態様が可能な無人移動体を用いた映像処理システム、映像処理方法及び映像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明の無人移動体を用いた映像処理システムによれば、撮影装置を搭載し、外部の映像を撮影しながら移動する無人移動体と、該無人移動体と無線通信によって接続され、前記撮影装置が撮影した映像を処理する映像処理装置と、を備えた映像処理システムであって、前記映像処理装置は、前記撮影装置が撮影した外部の映像を示す映像データを取得する映像データ取得部と、取得した前記映像データが示す映像を表示画面上に表示する画面表示部と、取得した前記映像データが示す映像内において検出対象となる検出マークが存在することを検出するマーク検出部と、前記映像内において前記検出マークが所定の条件で検出されたときに、検出された前記検出マークが設けられた通過ゲートを前記無人移動体が通過したものと判定するゲート通過判定部と、を有し、前記画面表示部は、前記映像とともに、前記無人移動体が前記通過ゲートを通過したものと判定した判定結果に基づく内容を前記表示画面上に表示すること、により解決される。
上記構成により、検出マークを利用して無人移動体が通過ゲートを通過したか否かを判定することで、無人移動体の位置を精度良く検出し、所定位置を通過したタイミングを精度良く計測することが可能な、無人移動体を用いた映像処理システムを実現することができる。
また例えば、無人移動体レースの運営にあたって、よりエンターテイメント性を高めるべく、無人移動体が通過ゲートを通過したものと判定した判定結果に基づく内容を表示画面上に表示することで、臨場感あふれる演出態様が可能な無人移動体を用いた映像処理システムを実現できる。
【0011】
このとき、前記無人移動体は、小型の無人航空機であって、所定の空間内において予め定められたコースを移動し、前記映像処理装置は、複数の前記無人移動体毎に搭載された前記撮影装置によって撮影された映像を前記表示画面上に同時表示すると良い。
上記構成により、例えば、小型無人航空機(ドローン)のレースの運営にあたって、よりエンターテイメント性を高めるべく、臨場感あふれる演出態様が可能な映像処理システムを実現することができる。
【0012】
このとき、所定の空間内に設置された前記通過ゲートに設けられる前記検出マークをさらに備え、該検出マークは、前記通過ゲートにおいて該通過ゲート内の通過領域を囲むようにして複数取り付けられていると良い。
上記のように、複数の検出マークの配置を工夫することで、当該検出マークを利用した無人移動体による通過ゲートの通過判定の精度をより高めることができる。
特に、通過ゲートがループ形状(トーラス形状)である場合には、無人移動体が当該通過ゲートの枠内を通過したか否かを判定するにあたって、好適な検出マークの配置パターンとなる。
【0013】
このとき、所定の空間内に設置された前記通過ゲートに設けられる前記検出マークをさらに備え、該検出マークは、2次元バーコードであって、前記所定の空間内に複数設置された前記通過ゲートのうち、いずれの通過ゲートであるかを特定するための識別データを格納していると良い。
上記のように、検出マークとして2次元バーコードを採用することで、製造コストを抑えながらも、比較的容易に検出することが可能となる。
また、検出マークには識別データが格納されているため、無人移動体の現在位置をより精度良く検出することが可能となる。
【0014】
このとき、前記ゲート通過判定部は、前記映像の中心部分において前記通過ゲート内の通過領域よりも小さい領域を検出対象外領域として設定した上で、所定の映像内において前記検出対象外領域とは異なる領域において前記検出マークが検出され、かつ、所定の映像よりも後の映像内において前記検出マークが検出されなくなったときに、前記無人移動体が通過したものと判定すると良い。
また、前記ゲート通過判定部は、前記映像に対して4象限に区画された4つの検出対象領域を設定した上で、所定の映像内において第1象限となる第1検出対象領域、第2象限となる第2検出対象領域、第3象限となる第3検出対象領域、及び第4象限となる第4検出対象領域の全ての検出対象領域において前記検出マークが検出され、かつ、所定の映像よりも後の映像内において前記検出マークが検出されなくなったときに、前記無人移動体が通過したものと判定すると良い。
上記構成により、検出マークを利用した無人移動体による通過ゲートの通過判定の精度をより一層高めることができる。
【0015】
このとき、前記映像処理装置は、前記ゲート通過判定部による前記判定結果から、前記無人移動体が所定のスタート位置から所定の通過ゲートを通過するまでに要した経過時間を算出する経過時間算出部を有し、前記画面表示部は、前記映像とともに、前記経過時間算出部によって算出された経過時間に関する内容を前記表示画面上に表示すると良い。
また、前記映像処理装置は、前記ゲート通過判定部による前記判定結果から、前記所定の空間内において前記無人移動体の現在位置を算出する現在位置算出部を有し、前記画面表示部は、前記映像とともに、前記現在位置算出部によって算出された現在位置に関する内容を前記表示画面上に表示すると良い。
上記構成により、例えば、無人移動体レースの運営にあたって、電波干渉による影響なくラップタイムを計測し、無人移動体が通過ゲートを通過したか否かを判定した上で、無人移動体のラップタイムや、現在位置、そして通過ゲートの判定可否に基づく内容を表示ディスプレイ上においてリアルタイムで表示することが可能となる。その結果、表示ディスプレイ上において一層臨場感あふれる演出画面を提供することができる。
【0016】
また、撮影装置を搭載し、外部の映像を撮影しながら移動する無人移動体と無線通信によって接続されたコンピュータが、前記撮影装置が撮影した映像を処理する映像処理方法であって、前記コンピュータが、前記撮影装置が撮影した外部の映像を示す映像データを取得する映像データ取得工程と、取得した前記映像データが示す映像を表示画面上に表示する第1画面表示工程と、取得した前記映像データが示す映像内において検出対象となる検出マークが存在することを検出するマーク検出工程と、前記映像内において前記検出マークが所定の条件で検出されたときに、検出された前記検出マークが設けられた通過ゲートを前記無人移動体が通過したものと判定するゲート通過判定工程と、前記映像とともに、前記無人移動体が前記通過ゲートを通過したものと判定した判定結果に基づく内容を前記表示画面上に表示する第2画面表示工程と、を実行する、無人移動体を用いた映像処理方法も実現することができる。
【0017】
また、撮影装置を搭載し、外部の映像を撮影しながら移動する前記無人移動体と無線通信によって接続され、前記撮影装置が撮影した映像を処理する映像処理装置であって、前記撮影装置が撮影した外部の映像を示す映像データを取得する映像データ取得部と、取得した前記映像データが示す映像内において検出対象となる検出マークが存在することを検出するマーク検出部と、前記映像内において前記検出マークが所定の条件で検出されたときに、検出された前記検出マークが設けられた通過ゲートを前記無人移動体が通過したものと判定するゲート通過判定部と、を有する、無人移動体を用いた映像処理装置も実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の無人移動体を用いた映像処理システム、映像処理方法及び映像処理装置によれば、無人移動体の位置を精度良く検出し、所定位置を通過したタイミングを精度良く計測することが可能となる。
また、無人移動体レースの運営にあたって、エンターテイメント性を高めるべく、臨場感あふれる演出態様が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について
図1−
図11を参照して説明する。
本実施形態は、撮影装置を搭載し、外部の映像を撮影しながら飛行する小型の無人移動体と、無人移動体と無線通信によって接続され、撮影装置が撮影した映像を表示する映像処理装置と、を備えた映像処理システムであって、映像処理装置は、撮影装置が撮影した外部の映像を示す映像データを取得する映像データ取得部と、取得した映像データが示す映像を表示ディスプレイ上に表示する画面表示部と、取得した映像データが示す映像内において検出マークが存在することを検出するマーク検出部と、映像内において検出マークが所定の条件で検出されたときに、検出された検出マークが設けられた通過ゲート内を無人移動体が通過したものと判定するゲート通過判定部と、を有しており、画面表示部は、映像とともに、無人移動体が通過ゲートを通過したものと判定した判定結果に基づく内容を表示ディスプレイ上に表示することを特徴とする発明に関するものである。
【0021】
本実施形態の映像処理システムS全体の構成を
図1に示す。
映像処理システムSは、無人移動体レースを運営するためのシステムであって、撮影装置1aを搭載し、外部の映像を撮影しながら飛行する無人移動体1と、無人移動体1と無線通信によってそれぞれ接続され、無人移動体1を遠隔操作するための操作端末10と、撮影装置1aが撮影した外部映像を表示するヘッドマウントディスプレイ20と、撮影装置1aが撮影した外部映像を処理して表示画面上に表示する映像処理装置30と、映像処理装置30に接続された表示画面用のディスプレイ40と、所定の空間内において間隔を空けながら複数設置される通過ゲート50と、各通過ゲート50に取り付けられる検出マーク60と、から主に構成されている。
【0022】
無人移動体1は、
図1、
図2に示すように、その正面側の外部映像を撮影しながら、所定の空間内を飛行する小型の無人航空機(ドローン)であって、操作端末10、ヘッドマウントディスプレイ20及び映像処理装置30とデータ通信を行うものである。
無人移動体1は、複数用意されており、本実施形態のシステムにおいては、3機の無人移動体1が無人移動体レースに参戦し、所定の空間内において予め定められたコースを飛行する構成となっている(利用電波帯5.8GHzの関係により、同時に3機が飛行することが通常である)。
具体的には、無人移動体1は、撮影装置1aと、送受信アンテナ1bと、移動ユニット1cと、駆動ユニット1dと、プロセッサー1eと、バッテリー1fと、から主に構成されており、それぞれ無人移動体1の本体に取り付けられている。
【0023】
撮影装置1aは、小型の撮影カメラであって、移動体本体の正面に取り付けられており、その正面側の外部映像を撮影して当該映像を記録する。そして、当該映像を示す映像データを作成するものである。
送受信アンテナ1bは、移動体本体の内部に取り付けられており、操作端末10から操作データを受信することや、ヘッドマウントディスプレイ20及び映像処理装置30に向けて撮影した映像データを送信するものである。
移動ユニット1cは、移動体本体を囲むように取り付けられた4本の回転翼であって、垂直に延びる回転軸にプロペラ状の翼が取り付けられて構成されており、駆動ユニット1dから駆動動力を受けて回転することで揚力と推力を作り出すものである。
駆動ユニット1dは、移動ユニット1cを駆動させるためのモーターであって、移動ユニット1cと接続されて取り付けられており、プロセッサー1eから受信した駆動命令に基づいて動作するものである。
【0024】
プロセッサー1eは、データの演算・制御処理装置としてのCPUと、記憶装置としてのROM、RAM、及びHDDと、送受信アンテナ1bを通じて情報データの送受信を行う通信用インタフェースと、から主に構成されるマイクロプロセッサーであって、移動体本体の内部に取り付けられている。
バッテリー1fは、送受信アンテナ1b、駆動ユニット1d及びプロセッサー1eに電力を供給するためのリチウムイオン電池であって、移動体本体の下部に取り付けられている。
【0025】
操作端末10は、
図1、
図2に示すように、操縦者によって操作されるコントローラであって、無人移動体1毎に設けられ、予め定められたコースを飛行するように無人移動体1を無線通信によって遠隔操作するためのものである。
詳しく述べると、操作端末10は、操縦者によるユーザー操作の入力を受け付けて、無人移動体1を操作するための操作データを作成し、当該操作データを無人移動体1に向けてデータ送信することができる。
ヘッドマウントディスプレイ20は、操縦者の頭部に装着されるディスプレイ装置であって、無人移動体1毎に設けられ、撮影装置1aが撮影した映像を専用の表示画面上に表示するものである。
詳しく述べると、ヘッドマウントディスプレイ20は、無人移動体1からリアルタイムで映像データを受信し、専用の表示画面上にリアルタイムの映像を表示することができる。
【0026】
映像処理装置30は、
図1、
図3に示すように、無人移動体1及びディスプレイ40とデータ通信を行うコンピュータであって、撮影装置1aが撮影した映像を表示画面としてのディスプレイ40上に表示するものである。
詳しく述べると、映像処理装置30は、映像内において検出マーク60が所定の条件で検出されたときに、当該検出マーク60が取り付けられた通過ゲート50を通過したものと判定し、上記映像とともに、無人移動体1が当該通過ゲート50を通過したものと判定した判定結果に基づく内容をディスプレイ40上に同時表示することができる。
ディスプレイ40は、映像処理装置30と接続された大型ディスプレイであって、無人移動体レースを観戦している観戦者向けの表示画面として用いられる。
具体的には、ディスプレイ40上には、
図7に示すような表示画面がリアルタイムで表示されることになり、無人移動体レースの臨場感あふれる内容を演出することができる。
【0027】
通過ゲート50は、
図1、
図4Aに示すように、無人移動体1が通過するためのゲートであって、所定の空間内に設置された無人移動体レースのコース上において所定の間隔を空けて複数設置されている。
通過ゲート50は、フロア上から立ち上がるように設けられる一対のゲート脚部51と、一対のゲート脚部51の上方部分を連結するように取り付けられるループ形状のゲート枠体部52と、から構成されている。
無人移動体レースにおいては、操縦者によって操作される無人移動体1が、ゲート枠体部52の枠内に設けられた通過領域53を通過するように飛行する。
ゲート枠体部52のうち、コースの進行方向においてスタート側に位置する前面には、通過領域53を囲むようにして検出マーク60が複数取り付けられている。
【0028】
検出マーク60は、2次元バーコードであって、通過ゲート50の通過領域53を囲むように略円形状に並べられて配置されており、また大小異なる検出マーク60が交互に並ぶように配置されている。
また、検出マーク60は、背景色となる白色と、バーコード色となる黒色とから形成されており、バーコードの形状が略C字状となるように構成されている。そして、各検出マーク60は、そのバーコードの開口部(略C字状の開口部)が通過領域53の中心に向くようにして配置されている。
【0029】
検出マーク60は、コース上に複数設置された通過ゲート50のうち、いずれの通過ゲート50であるかを特定するための識別データを格納している。
そのため、映像処理装置30は、無人移動体1(撮影装置1a)が撮影した映像内において検出マーク60を検出したときに、当該無人移動体1がいずれの通過ゲート50を通過したのかを特定することができる。
【0030】
なお、通過ゲート50は、ループ形状(トーラス形状)の通過ゲートに特に限定されることなく変更可能であって、例えば
図4Bに示すような橋形形状の通過ゲート150であっても良い。
通過ゲート150は、一対のゲート脚部151と、一対のゲート脚部151の上方部分を連結するゲート枠体部152と、から構成されており、一対のゲート脚部151とゲート枠体部152とで囲まれた領域が通過領域153となっている。
また、検出マーク60が、通過ゲート150の通過領域153を囲むように略C字形状に並べられて配置されている。
【0031】
<映像処理装置30のハード構成>
映像処理装置30は、データの演算・制御処理装置としてのCPUと、記憶装置としてのROM、RAM、及びHDD(SSD)と、ホームネットワーク又はインターネットを通じて情報データの送受信を行う通信用インタフェースと、を有するコンピュータである。
また、映像処理装置30は、所定の書式で表示される文字又は画像の情報を表示する表示装置と、CPUに所定の指令を入力するときユーザー入力操作される入力装置と、外付けハードディスク等の記憶媒体装置と、文字又は画像の情報を出力する印刷装置と、をさらに有しているほか、ディスプレイ40と接続されている。
【0032】
映像処理装置30のROM、HDD、及び外部記憶装置には、
図6に示すように、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、映像処理プログラムが記憶されており、これらプログラムがCPUによって実行されることにより、映像処理装置30の機能が発揮されることになる。
【0033】
<映像処理装置30のソフト構成>
映像処理装置30は、
図6に示すように、機能面から説明すると、「映像データ」、「ラップタイムデータ」、「現在位置データ」のほか、各種プログラム及び各種データを記憶しておく記憶部31と、無人移動体1から「映像データ」を取得する映像データ取得部32と、取得した「映像データ」が示す映像を表示画面上に表示する画面表示部33と、取得した「映像データ」が示す映像内において検出マーク60が存在することを検出するマーク検出部34と、所定の映像内において検出マーク60が所定の条件で検出されたときに、検出された検出マーク60が設けられた通過ゲート50を通過したものと判定するゲート通過判定部35と、を主な構成要素として備えている。
また、映像処理装置30は、ゲート通過判定部35による判定結果から、無人移動体1が所定位置から所定の通過ゲート50を通過するまでに要した経過時間を算出する経過時間算出部36と、ゲート通過判定部35による判定結果から、所定の空間内において無人移動体1の現在位置を算出する現在位置算出部37と、をさらに備えている。
また、映像処理装置30は、無人移動体1が移動開始する直前のタイミングにおいて、無人移動体1から取得した「映像データ」に基づいて所定の条件を満たした場合に、無人移動体1が移動開始したものと判定する移動開始判定部38をさらに備えている。
これらは、CPU、ROM、RAM、HDD、通信用インタフェース、及び各種プログラム等によって構成されている。
【0034】
なお、無人移動体1についても機能面から説明すると、各種プログラム及び各種データを格納しておく記憶部2と、操作端末10から「操作データ」を取得する操作データ受信部3と、「映像データ」をヘッドマウントディスプレイ20及び映像処理装置30に向けて送信する映像データ送信部4と、を主な構成要素として備えている。
【0035】
記憶部31に記憶される「映像データ」は、各無人移動体1が撮影したその正面側の外部の映像を示す動画データであって、無人移動体レース中の間に各無人移動体1からリアルタイムで送信されるものであって、記憶部31に一元管理されて記憶されている。
なお、映像データ(動画データ)は、例えば1秒当たりのフレーム画像数が30枚(30FPS(Frame Per Second))で設定されている。
当該映像データを参照することで、
図7に示すように、ディスプレイ40上に各無人移動体1が撮影した映像を同時表示させる機能や、各無人移動体1のゲート通過判定機能、ラップタイム算出機能、現在位置算出機能を利用することができる。
【0036】
「ラップタイムデータ」は、無人移動体レース中における各無人移動体1のラップタイムを示すデータであって、経過時間算出部36によって無人移動体1毎に作成されるものであって、記憶部31に一元管理されて記憶されている。
詳しく述べると、ラップタイムデータには、各無人移動体1が所定のスタート位置から所定の通過ゲート50を通過するまでに要した経過時間(区間ラップタイム)や、スタート位置からコースを1周するまでに要した経過時間(1周目、2周目、3周目のラップタイム)、スタート位置からゴール位置までに要した経過時間(コースを3周するまでに要した総ラップタイム)の情報が含まれているほか、隣り合う通過ゲート50においてスタート位置側にある通過ゲート50を通過してから次の通過ゲート50を通過するまでに要した経過時間(区間ラップタイム)等の情報も含まれている。
また、最速のラップタイムのほか、無人移動体レース中における現在のラップ数、現在の順位に関する情報も含まれている。
当該ラップタイムデータを参照することで、
図7に示すように、ディスプレイ40上に各無人移動体1の種々のラップタイム、最速のラップタイム、各無人移動体1の順位等を表示させる機能を利用することができる。
【0037】
「現在位置データ」は、無人移動体レースのコース上における各無人移動体1の現在位置を示すデータであって、現在位置算出部37によって無人移動体1毎に作成されるものであって、記憶部31に一元管理されて記憶されている。
詳しく述べると、現在位置データには、コース上において各無人移動体1がいずれの通過ゲート50の位置にいるか(いずれの通過ゲート50の周辺位置にいるか)を示す位置情報が含まれている。
当該現在位置データを参照することで、
図7に示すように、ディスプレイ40上に各無人移動体1の現在位置(コースマップ上の現在位置)を表示させる機能を利用することができる。
【0038】
映像データ取得部32は、各無人移動体1から「映像データ」を取得するものであって、取得された映像データは、無人移動体1毎に分類されて記憶部31に記憶される。
【0039】
画面表示部33は、具体的な機能部として、映像表示部33aと、経過時間表示部33bと、現在位置表示部33cと、を有している。
画面表示部33(映像表示部33a)は、各無人移動体1からそれぞれ取得した「映像データ」が示す映像をディスプレイ40上に同時表示する。
また、画面表示部33は、ゲート通過判定部35によって各無人移動体1が所定の通過ゲート50を通過したものと判定された「判定結果に基づく内容」をディスプレイ40上に表示する。
詳しく述べると、経過時間表示部33bが、上記判定結果に基づく内容として、経過時間算出部36によって算出された「各無人移動体1の経過時間に関する内容」をディスプレイ40上にリアルタイムで表示する。
また、現在位置表示部33cが、上記判定結果に基づく内容として、現在位置算出部37によって算出された「各無人移動体1の現在位置に関する内容」をディスプレイ40上にリアルタイムで表示することができる。
【0040】
ディスプレイ40上の表示画面として
図7の本実施例を見ると、当該表示画面の上方部分には、「各移動体1の操縦者の情報」として操縦者の画像41、操縦者の名称42(Player1−Player3)が表示されている。また、各移動体1がリアルタイムで撮影しているリアルタイム映像43が操縦者の情報と対応して表示されており、無人移動体レースの総レース時間44「0:10:123」も表示されている。
また、当該表示画面の右下部分には、「各無人移動体1の経過時間に関する内容」として、コース1周目、コース2周目、コース3周目のラップタイム45、最速ラップタイム46が表示されているほか、表示画面の中央部分において現在のラップ数47、現在の順位48も表示されている。
また、当該表示画面の左下部分には、「各無人移動体1の現在位置に関する内容」として、無人移動体レースのコースマップ49と、コースマップ49上をリアルタイムで移動する各無人移動体1の現在位置表示アイコン49aとが表示されている。
そのほか、当該表示画面の中央下部分には、映像処理装置30によって実行される映像処理プログラムを開始するための開始ボタン(Start)、停止ボタン(Stоp)、設定ボタン(Setting)等が表示されている。
【0041】
マーク検出部34は、取得した「映像データ」が示す映像内において検出対象となる検出マーク60が存在することを検出する。
詳しく述べると、マーク検出部34は、映像データ(動画データ)が1秒当たりのフレーム画像数が30枚(30FPS)で設定されているところ、当該フレーム画像毎に、フレーム画像内において検出マーク60が存在していることを検出する。
なお、検出マーク60には、複数の通過ゲート50のうち、いずれの通過ゲート50であるかを特定するための識別データが格納されている。そのため、マーク検出部34が、所定の無人移動体1によって撮影されたフレーム画像内において所定の検出マーク60を検出したときに、当該無人移動体1がいずれの通過ゲート50の位置又は周辺位置にいるかを特定することもできる。
【0042】
ゲート通過判定部35は、取得した「映像データ」が示す映像内において検出マーク60が所定の条件で検出され、かつ、当該映像よりも後の映像内において検出マーク60が検出されなくなったときに、検出された検出マーク60が設けられた通過ゲート50を所定の無人移動体1が通過したものと判定する。
具体的には、ゲート通過判定部35は、最初の映像内において検出マーク60が以下の条件で検出され、後の映像内において全ての検出マークが検出されなくなったときに、無人移動体1が通過したものと判定する。
なお、以下の全ての条件のうち、いずれか1つの条件を満たした場合に通過判定しても良いし、その他の条件を設定し、当該その他の条件も満たしたときに通関判定しても良い。
【0043】
第1条件として、ゲート通過判定部35は、
図8に示すように、映像(フレーム画像)の中心部分において所定の大きさからなる矩形状の領域を「検出対象外領域35a」として予め設定する。そして、所定の映像(所定のフレーム画像)内において「検出対象外領域35a」とは異なる領域において検出マーク60が検出されたときに、第1条件を満たしたものと判断する。
このとき、検出対象外領域35aは、所定の通過ゲート50内の通過領域よりも小さい領域であると好ましい。より具体的には、全ての通過ゲート50の通過領域の中で、最も小さい通過領域よりも小さい領域であると好ましい。なお、検出対象外領域35аの形状は矩形状に限定されることなく、例えば円形状等であっても良く、適宜変更可能である。
【0044】
第2条件として、ゲート通過判定部35は、
図8に示すように、映像に対して4象限に区画された4つの検出対象領域を予め設定する。そして、所定の映像内において第1象限となる「第1検出対象領域35b」、第2象限となる「第2検出対象領域35c」、第3象限となる「第3検出対象領域35d」、及び第4象限となる「第4検出対象領域35e」の全ての検出対象領域において検出マーク60が検出されたときに、第2条件を満たしたものと判断する。
【0045】
図8の本実施例1を見ると、所定の映像(フレーム画像)内において、検出対象外領域35aとは異なる領域において検出マーク60が検出されていること、かつ、第1検出対象領域35b、第2検出対象領域35c、第3検出対象領域35d、及び第4検出対象領域35eの全ての検出対象領域において検出マーク60が検出されていることが分かる。
その後、所定の映像よりも後の映像(後のフレーム画像)内において全ての検出マーク60が検出されなくなったときには、ゲート通過判定部35は、当該検出マーク60が設けられた通過ゲート50を無人移動体1が通過したものと判定する。
【0046】
また、
図8の本実施例2を見ると、所定の映像(フレーム画像)内において、検出対象外領域35aとは異なる領域において検出マーク60が検出されているものの、第1検出対象領域35b及び第2検出対象領域35cの検出対象領域にしか検出マーク60が検出されていないことが分かる。
その場合には、ゲート通過判定部35は、当該検出マーク60が設けられた通過ゲート50を無人移動体1が通過したものとは判定しないことになる。
【0047】
経過時間算出部36は、ゲート通過判定部35による上記判定結果から、所定の無人移動体1が所定のスタート位置から所定の通過ゲート50を通過するまでに要した経過時間(ラップタイム)を算出する。
詳しく述べると、経過時間算出部36は、当該経過時間(ラップタイム)を算出し、当該経過時間を示す「ラップタイムデータ」を作成する。
「ラップタイムデータ」には、上述した通り、各無人移動体1が所定のスタート位置から所定の通過ゲート50を通過するまでに要した経過時間(区間ラップタイム)や、スタート位置からコースを1周するまでに要した経過時間(1周目、2周目、3周目のラップタイム)、スタート位置からゴール位置までに要した経過時間(コースを3周するまでに要した総ラップタイム)等の情報が含まれている。
【0048】
現在位置算出部37は、ゲート通過判定部35による上記判定結果から、所定の空間内において無人移動体1の現在位置を算出する。
詳しく述べると、現在位置算出部37は、当該現在位置を算出し、当該現在位置を示す「現在位置データ」を作成する。
「現在位置データ」には、上述した通り、無人移動体レースのコース上において各無人移動体1がいずれの通過ゲート50の位置にいるか(いずれの通過ゲート50の周辺位置にいるか)を示す位置情報が含まれている。
なお、現在位置算出部37が所定の無人移動体1の現在位置を算出するにあたっては、当該レース中における無人移動体1のラップタイム、無人移動体1を操作する操縦者の過去のレースのラップタイム等の情報も参照することで、無人移動体1の現在位置をより精度良く算出することができる。
そのようにして無人移動体1の現在位置を算出することで、
図7に示す表示画面において、コースマップ49上の現在位置表示アイコン49aを精度良く移動させながら表示することができる。
【0049】
<映像処理方法>
次に、映像処理装置30で実行される映像処理プログラム(映像処理方法)の処理について、
図9に基づいて説明する。
本実施形態に係る上記プログラムは、記憶部31を備えた映像処理装置30の機能的な構成要素として、上述した映像データ取得部32と、画面表示部33と、マーク検出部34と、ゲート通過判定部35と、経過時間算出部36と、現在位置算出部37と、を実現させるために各種プログラムを集約させたユーティリティプログラムであって、映像処理装置30のCPUがこの映像処理プログラムを実行する。
なお、上記プログラムは、ユーザーから映像処理開始の操作を受け付けて実行されるものである。
【0050】
図9に示す「映像処理フロー」では、まず、映像データ取得部32が、各無人移動体1から「映像データ」を取得するステップS1から始まる。
なお、取得された映像データは、無人移動体1毎に分類されて記憶部31に記憶される。
【0051】
次に、ステップS2で、画面表示部33(映像表示部33a)が、
図7に示すように、各無人移動体1から取得した「映像データ」が示す映像(リアルタイム映像)をディスプレイ40上に同時表示する。
【0052】
次に、ステップS3で、マーク検出部34が、取得した「映像データ」が示す映像内において検出対象となる検出マーク60が存在することを検出する。
マーク検出部34が、当該映像内において検出マーク60が存在することを検出した場合には(ステップS3:Yes)、ステップS4に進む。一方で、当該映像内において検出マーク60が存在しなかった場合には(ステップS3:Nо)、ステップS7に進む。
【0053】
次に、ステップS4で、ゲート通過判定部35が、
図8に示すように、取得した「映像データ」が示す映像内において検出マーク60が所定の条件で検出されているか否かを判断する。
詳しく述べると、第1条件として、ゲート通過判定部35は、映像の中心部分において検出対象外領域35aを予め設定し、所定の映像内において検出対象外領域35aとは異なる領域において検出マーク60が検出されているか否かを判断する。
また、第2条件として、ゲート通過判定部35は、映像に対して4象限に区画された4つの検出対象領域35b‐35eを予め設定する。そして、所定の映像内において全ての検出対象領域35b‐35eにおいて検出マーク60が検出されているか否かを判断する。
【0054】
ゲート通過判定部35が、当該映像内において検出マーク60が所定の条件で検出されていると判断した場合には(ステップS4:Yes)、ステップS5に進み、マーク検出フラグをONに設定した上でステップS6に進む。
一方で、当該映像内において検出マーク60が所定の条件で検出されていないと判断した場合には(ステップS4:Nо)、ステップS6にそのまま進む。
【0055】
次に、ステップS6で、映像処理装置30が、ユーザーから映像処理停止の操作を受け付けているか否かを判断する。
映像処理装置30が、ユーザーから映像処理停止の操作を受け付けていない場合には(ステップS6:Nо)、ステップS1に戻る。なお、ユーザーから映像処理停止の操作を受け付けている場合には(ステップS6:Yes)、
図9のプロセスを終了する。
【0056】
次に、ステップS6からステップS1に戻った後、次に取得した「映像データ」が示す映像内において検出マーク60が存在しない場合には(全ての検出マーク60が存在しなくなった場合には)(ステップS3:Nо)、ステップS7に進み、映像処理装置30が、マーク検出フラグがONに設定されているか否かを判断する。
マーク検出フラグがONに設定されている場合には(ステップS7:Yes)、ステップS8に進み、マーク検出フラグがONに設定されていない場合には(ステップS7:Nо)、ステップS6に進む。
【0057】
次に、ステップS8で、ゲート通過判定部35が、取得した「映像データ」が示す映像内において検出マーク60が所定の条件で検出され、かつ、当該映像よりも後の映像内において検出マークが検出されなくなったと判断し、検出された検出マーク60が設けられた通過ゲート50を所定の無人移動体1が通過したものと判定する。
【0058】
次に、ステップS9で、経過時間算出部36が、ゲート通過判定部35による上記判定結果から、所定の無人移動体1が所定のスタート位置から所定の通過ゲート50を通過するまでに要した経過時間(ラップタイム)を算出する。すなわち、「ラップタイムデータ」を作成する。
また、現在位置算出部37が、ゲート通過判定部35による上記判定結果から、所定の空間内において無人移動体1の現在位置を算出する。すなわち、「現在位置データ」を作成する。
【0059】
次に、ステップS10で、経過時間表示部33bが、上記判定結果に基づく内容として、経過時間算出部36によって算出された「各無人移動体1の経過時間(ラップタイム)に関する内容」をディスプレイ40上に表示する。
また、現在位置表示部33cが、上記判定結果に基づく内容として、現在位置算出部37によって算出された「各無人移動体1の現在位置に関する内容」をディスプレイ40上に表示することができる。
具体的には、
図7の表示画面に示す通りである。
【0060】
次に、ステップS11で、映像処理装置30が、マーク検出フラグをOFFに設定した上でステップS6に進む。
【0061】
上記ステップS1からステップS11を経ながら、最終的にユーザーから映像処理停止の操作を受け付けた場合には(ステップS6:Yes)、
図9のプロセスを終了する。
上記の映像処理プログラムの処理フローにより、無人移動体1の位置を精度良く検出し、所定位置を通過したタイミングを精度良く計測することが可能となる。
また、無人移動体レースの運営にあたって、エンターテイメント性を高めるべく、臨場感あふれる演出態様が可能となる。
【0062】
<移動開始判定>
次に、映像処理装置30で実行される移動開始判定部38の機能について、
図10、
図11に基づいて説明する。
移動開始判定部38は、無人移動体1が移動開始する直前のタイミングをトリガ開始条件として無人移動体1の移動開始判定を開始する。
移動開始判定部38は、無人移動体1から取得した「映像データ」が示す第1映像と、第1映像よりも後の第2映像との差分を検出し、当該差分が所定の閾値以上であると判断し(第1条件)、かつ、第2映像と、第2映像よりも後の第3映像との差分を検出し、当該差分が所定の閾値以上であると判断した場合に(第2条件)、無人移動体1が移動開始したものと判定する。
具体的には、移動開始判定部38は、無人移動体レースにおいて各無人移動体1の不正スタート(フライングスタート)を判定するものである。
上記構成により、従来の無人移動体レースでは、例えば目視確認によって不正スタートを判定していたところ、映像処理装置30が当該不正スタートを自動検出することができ、かつ、不正スタートを精度良く検出できるようになる。
【0063】
詳しく述べると、移動開始判定部38は、まず、取得した第1映像(第1画像)に対して予め設定された2値化閾値を適用して2値化処理を実行し、第1処理画像を示す「第1処理画像データ」を取得する。次に取得した第2映像(第2画像)に対しても2値化処理を実行し、第2処理画像を示す「第2処理画像データ」を取得する。
そして、第1処理画像と第2処理画像の差分を検出し、当該差分が画像全体の中で「所定の閾値」以上となった場合に、第1条件を満たしたものと判断する。
なお「所定の閾値」について、例えば、上記差分が画像全体の中で「8割」以上、好ましくは「9割」以上となった場合に、第1条件を満たしたものと判断すると良い。
【0064】
第2条件として、移動開始判定部38は、次に取得した第3映像(第3画像)に対して2値化処理を実行し、第3処理画像を示す「第3処理画像データ」を取得する。
そして、第2処理画像と第3処理画像の差分を検出し、当該差分が画像全体の中で所定の閾値以上となった場合に、第2条件を満たしたものと判断する。
第1条件及び第2条件を満たしたときに、移動開始判定部38は、無人移動体1が移動開始したものと判定する。すなわち、無人移動体1が不正スタートしたものと判定する。
移動開始判定部38は、無人移動体レースがスタートしたタイミングをトリガ終了条件として、無人移動体1の移動開始判定を終了する。
【0065】
上記構成において、移動開始判定部38が、所定の無人移動体1が不正スタートしたものと判定したとき、画面表示部33が、当該判定結果に基づく内容をディスプレイ40上に表示する。
ディスプレイ40上の表示画面として
図10の本実施例を見ると、操縦者「Player1」のリアルタイム映像43上に、不正スタートを報知する内容「FLYING」がポップアップ表示されている。また、操縦者「Player1」のラップタイム45が非表示となっている。
このようにすれば、無人移動体レース開始直前及び直後のリアルタイム情報を観戦者に知らせることができ、無人移動体レースの臨場感あふれる内容を演出することができる。
【0066】
また上記構成において、移動開始判定部38は、無人移動体1が移動開始する直前のタイミングを「トリガ開始条件」として処理を開始するところ、当該トリガ開始条件として、例えば、無人移動体レース開始直前のカウントダウンの演出開始を条件にすると良い。
具体的には、ユーザー操作の入力を受け付けて、画面表示部33が当該カウントダウンの演出内容をディスプレイ40上に表示したタイミングをトリガ開始条件にすると良い。
そして、移動開始判定部38の「トリガ終了条件」としては、画面表示部33が上記カウントダウンの演出内容を終了し、無人移動体レースのスタート演出を条件にすると良い。
このようにすれば、映像処理装置30が、不正スタートを精度良く検出できるとともに、レースの準備中やレース開始後に誤って検出してしまうことを防止できる。
【0067】
<移動開始判定方法>
次に、映像処理装置30で実行される移動開始判定プログラム(移動開始判定方法)の処理について、
図11に基づいて説明する。
【0068】
図11に示す「移動開始判定処理フロー」では、まず、映像表示部33が、ユーザー操作の入力を受け付けて、不図示のカウントダウンの演出内容を表示するステップS101から始まる。
当該カウントダウンの演出開始がトリガ開始条件となって、移動開始判定部38が、各無人移動体1の移動開始判定を開始する。
【0069】
次に、ステップS102で、映像データ取得部32が、各無人移動体1から「映像データ」を取得する。
そして、ステップS103で、移動開始判定部38が、無人移動体1から取得した「映像データ」が示す第N映像と、第N映像よりも後の第N+1映像との差分を検出する。
移動開始判定部38が、当該差分が所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS104:Yes)、ステップS105に進む。一方で、当該差分が所定の閾値未満となっている場合には(ステップS104:Nо)、ステップS110に進む。
【0070】
次に、ステップS105で、移動開始判定部38が、フラグがONに設定されているか否かを判断する。
フラグがONに設定されている場合には(ステップS105:Yes)、移動開始判定部38が、所定の無人移動体1が移動開始(不正スタート)したものと判定する(ステップS106)。
そして、画面表示部33が、
図10に示すように、当該判定結果に基づく内容をディスプレイ40上に表示し(ステップS107)、
図11のプロセスを終了する。
【0071】
フラグがONに設定されていない場合には(ステップS105:Nо)、ステップS108に進み、フラグをONに設定した上でステップS109に進む。
ステップS109では、カウントダウンの演出内容が終了しているか否かを判断し、当該演出内容が終了し、無人移動体レースがスタートしている場合には(ステップS109:Yes)、
図11のプロセスを終了する。
一方で、カウントダウンの演出内容が終了していない場合には(ステップS109:Nо)、ステップS102に戻る。
【0072】
ステップS104で上記差分が所定の閾値未満となっている場合には、ステップS110に進み、移動開始判定部38が、フラグがONに設定されているか否かを判断する。
フラグがONに設定されている場合には(ステップS110:Yes)、ONに設定されたフラグをOFFに設定した上で(ステップS111)、ステップS109に進む。
フラグがONに設定されていない場合には(ステップS110:Nо)、そのままステップS109に進む。
ステップS109において、カウントダウンの演出内容が終了している場合には(ステップS109:Yes)、
図11のプロセスを終了し、当該演出内容が終了していない場合には(ステップS109:Nо)、ステップS102に戻る。
【0073】
上記の移動開始判定プログラムの処理フローにより、無人移動体レースにおいて、映像処理装置30が、所定の無人移動体1の不正スタートを精度良く判定することができる。
【0074】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、
図1に示すように、無人移動体1は、小型の無人航空機(ドローン)であるが、ドローンに特に限定されることなく、撮影装置を搭載した無人移動体であれば適宜変更可能である。
例えば、地上を走行するラジコンカー、空中を飛行する無人ヘリコプター、水上を移動する船やヨット等であっても良い。また、玩具に特に限定されることなく、商業用の無人航空機や無人自動車等にも広く適用可能である。
【0075】
上記実施形態において、
図1に示すように、本映像処理システムSは、無人移動体レースを運営するためのシステムであるが、無人移動体レース用のシステムに特に限定されることなく、無人移動体(ドローン)を用いた映像処理システム、映像処理装置として種々のビジネスに対しても広く適用可能である。
【0076】
上記実施形態において、
図1に示すように、本映像処理システムSでは、無人移動体1が複数用いられているが、特に限定されることなく、例えば、商業用のシステムとして用いられるならば、無人移動体が1基であっても良い。
【0077】
上記実施形態において、
図1、
図4に示すように、検出マーク60は、2次元バーコードであるが、特に限定されることなく、映像内において検出可能なマークであれば広く適用可能である。好ましくは、当該検出マークが識別情報を格納可能なマークであると良い。
【0078】
上記実施形態において、
図1、
図4に示すように、検出マーク60は、通過ゲート50の通過領域53を囲むように配置されているが、特に限定されることなく、検出マーク60の配置パターンについては適宜変更可能である。
例えば、検出マーク60が、通過ゲート50,150の上方部分に横一列で配置されており、無人移動体1が当該検出マーク60の真下にある通過領域を通過するように構成しても良い。
また、検出マーク60は、通過ゲート50のうち、コースの進行方向においてスタート側に位置する前面側に取り付けられているが、特に限定されることなく、無人移動体レースのコースの取り決めによっては、通過ゲート50の後面側に取り付けられていても良い。
なお、通過ゲート50,150及び通過領域53,153の形状、配置についても適宜変更可能である。
【0079】
上記実施形態において、
図7に示すように、画面表示部33が、ゲート通過判定部35によって各無人移動体1が所定の通過ゲート50を通過したものと判定された「判定結果に基づく内容」をディスプレイ40上に表示している。
このとき、当該「判定結果に基づく内容」は、各無人移動体1の経過時間、現在位置に関する情報に特に限定されることなく、上記判定結果から得られるその他の情報、すなわち無人移動体レース中のその他のリアルタイムな情報も広く含むものであって良い。
例えば、無人移動体1が、所定の通過ゲート50の通過領域53の中心部分を上手く飛行した場合や、コースを外れてしまい本来通過すべき通過ゲート50以外の通過ゲート50を通過してしまった場合等に、ディスプレイ40上で所定の演出内容を表示させることも可能である。
そのほか、無人移動体レースで2基の無人移動体1が近接して飛行している場合には、ディスプレイ40上の表示画面を一部(又は全部)切り替えて、後ろ側の無人移動体1が撮影した映像を表示する等すれば、より臨場感あふれる演出態様が可能となる。
【0080】
上記実施形態において、
図8に示すように、ゲート通過判定部35が、取得した「映像データ」が示す映像内において検出マーク60が所定の条件で検出され、かつ、当該映像よりも後の映像内において全ての検出マーク60が検出されなくなったときに通過判定をしているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、ゲート通過判定部35は、映像内において検出マーク60が単純に検出されたときに通過判定しても良い。または、検出マーク60が単純に検出され、かつ、後の映像内において全ての検出マークが検出されなくなったときに通過判定しても良い。
または、ゲート通過判定部35は、映像内において少なくとも2つ以上(3つ以上)の検出対象領域35b〜35eにおいて検出マーク60が検出され、かつ、後の映像内において少なくとも2つ以上(3つ以上)の検出対象領域35b〜35eにおいて検出マーク60が検出されなくなったときに通過判定する等しても良い。
または、ゲート通過判定部35は、検出対象外領域35aを特に設定することなく、映像内において検出マーク60を検出するようにしても良い。
【0081】
上記実施形態において、
図10に示すように、移動開始判定部38が、所定の無人移動体1が移動開始(不正スタート)したものと判定したとき、画面表示部33が、当該判定結果に基づく内容をディスプレイ40上に表示している。このとき、画面表示部33が、ディスプレイ40だけでなくヘッドマウントディスプレイ20上にも表示すると良い。
そのようにすれば、無人移動体レースを観戦している観戦者だけでなく、実際の操縦者に対しても不正スタートのリアルタイム情報を知らせることができる。
【0082】
上記実施形態において、
図11に示すように、移動開始判定部38が、無人移動体1から取得した第1映像と第2映像との差分を検出し、当該差分が所定の閾値以上であると判断し(第1条件)、かつ、第2映像と第3映像との差分を検出し、当該差分が所定の閾値以上であると判断した場合に(第2条件)、無人移動体1が移動開始したものと判定しているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、移動開始判定部38が、上記第1条件のみを満たした場合に、無人移動体1が移動開始したものと判定しても良い。
なお、移動開始判定部38が、上記第1条件及び第2条件を連続して満たした場合に、無人移動体1が移動開始したものと判定することで、判定精度を高めることができる。例えば、無人移動体1が一時的に移動した後に停止したような状態を例外として処理することができる。
【0083】
上記実施形態では、映像処理装置30が読み取り可能な記録媒体に映像処理プログラムが記憶されており、映像処理装置30が当該プログラムを読み出して実行することによって処理が実行される。ここで映像処理装置30が読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。
また、この映像処理プログラムを通信回線によって不図示のユーザー端末に配信し、この配信を受けたユーザー端末自身が、映像処理装置として機能し、当該プログラムを実行するように構成しても良い。
【0084】
上記実施形態では、主として本発明に係る無人移動体を用いた映像処理システム、映像処理方法及び映像処理装置に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。