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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-57303(P2021-57303A)
(43)【公開日】2021年4月8日
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20210312BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20210312BHJP
【FI】
   H01R13/639
   H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-181701(P2019-181701)
(22)【出願日】2019年10月1日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】西田 佳史
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC36
5E021FC38
5E021FC40
5E021HB07
5E021HB11
5E021HC11
5E021JA05
5E021KA05
(57)【要約】
【課題】省スペースな配置としても、コネクタの着脱が容易である、コネクタおよびコネクタ構造を提供すること。
【解決手段】コネクタは、相手方コネクタに電気的に接続されるコネクタ本体と、コネクタ本体を被覆するカバー部材とを備えている。カバー部材は、コネクタ本体に対して、コネクタ本体が相手方コネクタに嵌合および離脱する第1方向に対して略垂直な第2方向にスライド可能であり、相手方コネクタの被係合部と係合して、第1方向のうちコネクタ本体が相手方コネクタから離脱する方向である離脱方向へ移動することを規制する係合部を有する。カバー部材は、係合部が被係合部と係合しないアンロック位置と、係合部が被係合部と係合するロック位置との間を第2方向に移動するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタに電気的に接続されるコネクタ本体と、前記コネクタ本体を被覆するカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、前記コネクタ本体に対して、前記コネクタ本体が前記相手方コネクタに嵌合および離脱する第1方向に対して略垂直な第2方向にスライド可能であり、
前記カバー部材は、前記相手方コネクタの被係合部と係合して、前記第1方向のうち前記コネクタ本体が前記相手方コネクタから離脱する方向である離脱方向へ移動することを規制する、係合部を有し、
前記カバー部材は、前記係合部が前記被係合部と係合しないアンロック位置と、前記係合部が前記被係合部と係合するロック位置との間を前記第2方向に移動するように構成されている、コネクタ。
【請求項2】
前記カバー部材が、前記ロック位置および/または前記アンロック位置で前記カバー部材の前記コネクタ本体に対する位置を保持する保持部を有している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ本体が、前記ロック位置または前記アンロック位置において、前記カバー部材から突出する突部を有している、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記係合部は、前記被係合部に対して前記離脱方向側から当接したときに、前記カバー部材を前記ロック位置から前記アンロック位置に向かって移動するように案内する案内部を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記係合部は、前記係合部の前記離脱方向側に、前記ロック位置にあるときに前記被係合部と当接して係合可能な当接部と、前記第2方向のうち、前記アンロック位置から前記ロック位置に向かう方向であるロック方向側に設けられた端部とを有し、
前記コネクタ本体が前記相手方コネクタに不完全に嵌合しているときに、前記係合部が前記アンロック位置から前記ロック位置へと移動する際に、前記端部と前記被係合部とが前記第2方向で当接して、前記カバー部材のスライドを規制する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記コネクタの前記コネクタ本体が嵌合する相手方コネクタ本体、および、前記コネクタの係合部が係合する被係合部を有する相手方コネクタと
を備えた、コネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
相手方コネクタに対して嵌合して接続されるコネクタの離脱を防止するために、コネクタおよび相手方コネクタには、互いに係合する係合構造が設けられている。たとえば、特許文献1には、係合爪および操作部が一体的に設けられた可動板を有するコネクタと、係合溝が設けられた相手方コネクタとを含む係合構造が開示されている。このような係合構造は、嵌合方向でコネクタの係合爪と相手方コネクタの係合溝とが係合することによって、コネクタが相手方コネクタから離脱することが防止される。ロック状態を解除する場合には、可動板の操作部を押圧し、係合を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−119241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような係合構造を備えたコネクタの場合、作業者は、操作部を操作するためのスペース(指を入れるためのスペース)が確保されていなければ、可動板を操作することが困難となる。そのため、たとえば、同様のコネクタを隣接して配置する場合や、ハウジングの壁部の近傍にコネクタを配置する場合には、指を入れるためのスペースが確保されにくいので、コネクタをアンロック状態にしにくい。また、操作部を操作するための最小限のスペースが設けられていたとしても、作業者は、狭いスペースで操作部にアンロック操作を行う必要がある。これらの理由から、特許文献1のコネクタでは、狭いスペースでの相手方コネクタとの着脱が困難である。
【0005】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、省スペースな配置としても、コネクタの着脱が容易である、コネクタおよびコネクタ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るコネクタは、相手方コネクタに電気的に接続されるコネクタ本体と、前記コネクタ本体を被覆するカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前記コネクタ本体に対して、前記コネクタ本体が前記相手方コネクタに嵌合および離脱する第1方向に対して略垂直な第2方向にスライド可能であり、前記カバー部材は、前記相手方コネクタの被係合部と係合して、前記第1方向のうち前記コネクタ本体が前記相手方コネクタから離脱する方向である離脱方向へ移動することを規制する、係合部を有し、前記カバー部材は、前記係合部が前記被係合部と係合しないアンロック位置と、前記係合部が前記被係合部と係合するロック位置との間を前記第2方向に移動するように構成されている。
【0007】
前記カバー部材が、前記ロック位置および/または前記アンロック位置で前記カバー部材の前記コネクタ本体に対する位置を保持する保持部を有していることが好ましい。
【0008】
前記コネクタ本体が、前記ロック位置または前記アンロック位置において、前記カバー部材から突出する突部を有していることが好ましい。
【0009】
前記係合部は、前記被係合部に対して前記離脱方向側から当接したときに、前記カバー部材を前記ロック位置から前記アンロック位置に向かって移動するように案内する案内部を有していることが好ましい。
【0010】
前記係合部は、前記係合部の前記離脱方向側に、前記ロック位置にあるときに前記被係合部と当接して係合可能な当接部と、前記第2方向のうち、前記アンロック位置から前記ロック位置に向かう方向であるロック方向側に設けられた端部とを有し、前記コネクタ本体が前記相手方コネクタに不完全に嵌合しているときに、前記係合部が前記アンロック位置から前記ロック位置へと移動する際に、前記端部と前記被係合部とが前記第2方向で当接して、前記カバー部材のスライドを規制することが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態に係るコネクタ構造は、前記コネクタと、前記コネクタの前記コネクタ本体が嵌合する相手方コネクタ本体、および、前記コネクタの係合部が係合する被係合部を有する相手方コネクタとを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコネクタおよびコネクタ構造によれば、省スペースな配置としても、コネクタの着脱を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態のコネクタおよび相手方コネクタを示す斜視図である。
図2図1に示されるコネクタの分解斜視図である。
図3】(A)は、図1のコネクタを、カバー部材の保持部を通る位置で第1方向に対して垂直な方向に切断した斜視断面図であり、(B)は、(A)に示される状態から、カバー部材をロック位置に移動させた状態を示す斜視断面図である。
図4A】コネクタと相手方コネクタとが嵌合する前の状態を示す側面図である。
図4B図4Aに示される状態から、コネクタと相手方コネクタとが嵌合し、カバー部材がアンロック位置にある状態を示す側面図である。
図4C図4Bに示される状態から、カバー部材がロック位置に移動した状態を示す側面図である。
図5】コネクタと相手方コネクタとが第1方向で不完全に嵌合している状態を示す側面図である。
図6】第1実施形態において、複数のコネクタが隣接して配置されている場合において、1つのコネクタのカバー部材がアンロック位置にある状態を示す斜視図である。
図7図6に示される状態から、カバー部材がロック位置に移動した状態を示す斜視図である。
図8A】第2実施形態における、コネクタと相手方コネクタとが嵌合する前の状態を示す側面図である。
図8B図8Aに示される状態から、コネクタが相手方コネクタに向かって嵌合される過程において、カバー部材の案内部が相手方コネクタの被案内部に案内されて、カバー部材がアンロック位置に移動している状態を示す側面図である。
図8C図8Bに示される状態から、コネクタがさらに相手方コネクタに嵌合し、コネクタの係合部と相手方コネクタの被係合部とが係合した状態を示す側面図である。
図9】(A)は、コネクタの係合部の変形例において、コネクタと相手方コネクタとが半嵌合状態であるときの係合部と被係合部との関係を示す概略図であり、(B)は、(A)の状態からカバー部材がロック位置に移動して、コネクタと相手方コネクタとの半嵌合状態が解消された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態のコネクタおよびコネクタ構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のコネクタおよびコネクタ構造は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示されるように、本発明の第1実施形態のコネクタC1は、相手方コネクタC2に電気的に接続されるコネクタ本体1と、コネクタ本体1を被覆するカバー部材2とを備えている。
【0016】
コネクタC1は、相手方コネクタC2と嵌合して、相手方コネクタC2に電気的に接続される。相手方コネクタC2は、コネクタC1のコネクタ本体1が嵌合する相手方コネクタ本体C21を備えている。コネクタC1および相手方コネクタC2は、コネクタ本体1と相手方コネクタ本体C21とが嵌合するコネクタ構造Sを構成する。本実施形態では、コネクタ構造Sは、図1に示されるように、相手方コネクタC2が取り付けられる基体Bに対してコネクタC1が垂直嵌合するように構成されている。コネクタ構造Sの用途は、特に限定されないが、本実施形態では、後述するように、コネクタC1および相手方コネクタC2の対が複数隣接して設けられる(図6および図7参照)。なお、相手方コネクタC2が取り付けられる基体Bは、特に限定されないが、たとえば、電気機器の筐体、回路基板、金属板などである。本実施形態では、基体Bは、電気自動車用の電池の充放電機能を検査するための電池検査装置と接続される制御モジュールであり、第1面Baおよびその反対面である第2面Bbを有している。この場合、コネクタC1は、たとえば、検査用電源(図示せず)と接続され、相手方コネクタC2は、たとえば、制御モジュールに含まれる制御基板(図示せず)と接続される。
【0017】
なお、本明細書において、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に嵌合および離脱する方向を第1方向D1と呼ぶ。また、第1方向D1のうち、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に嵌合する方向を嵌合方向D11、コネクタ本体1が相手方コネクタC2から離脱する方向を離脱方向D12と呼ぶ。本実施形態では、第1方向D1は、基体Bの第1面Baに略垂直な方向である。また、第1方向D1に対して略垂直な方向を第2方向D2と呼ぶ。第2方向D2は、後述するようにカバー部材2がスライドするスライド方向である。本実施形態では、第2方向D2は、基体Bの第1面Baに略平行な1の方向である。また、第1方向D1および第2方向D2の両方に垂直な方向を第3方向D3と呼ぶ。
【0018】
コネクタ本体1は、相手方コネクタC2に嵌合して、相手方コネクタC2と電気的に接続される。コネクタ本体1は、相手方コネクタC2の相手方端子CTと電気的に接続される端子Tを有し、端子Tを介して電線Wに接続される。コネクタ本体1の材料は、特に限定されないが、たとえばプラスチックなどの絶縁性材料によって構成される。本実施形態では、コネクタ本体1は、図1および図2に示されるように、相手方コネクタC2の相手方コネクタ本体C21に嵌合する嵌合部11と、嵌合部11に対して離脱方向D12側に設けられた基部12とを備えている。
【0019】
嵌合部11は、相手方コネクタ本体C21に嵌合接続される部位である。嵌合部11の形状および構造は、コネクタ構造Sの用途等に応じて適宜変更される。本実施形態では、嵌合部11は、第1方向D1に垂直な断面において、所定の方向に細長くなるように形成されている。具体的には、嵌合部11の長手方向は、後述するように、カバー部材2がコネクタ本体1に対してスライドするスライド方向となる第2方向D2と一致する。嵌合部11の短手方向は、第1方向D1および第2方向D2に垂直な第3方向D3と一致する。
【0020】
基部12は、嵌合部11を支持する部位である。基部12の形状および構造は、コネクタ構造Sの用途等に応じて適宜変更される。本実施形態では、基部12は、嵌合部11と同様に、第1方向D1に垂直な断面において、所定の方向に細長くなるように形成されている。具体的には、基部12の長手方向は、カバー部材2のスライド方向となる第2方向D2と一致し、基部12の短手方向が、第3方向D3と一致する。基部12は、後述するように、カバー部材2がコネクタ本体1に対してスライドする際のガイドとしても機能する。
【0021】
本実施形態では、コネクタ本体1は、このような嵌合部11および基部12を備えることによって、全体として、第2方向D2に細長くなるように形成されている。具体的には、コネクタ本体1の長手方向は、スライド方向(第2方向D2)と一致し、コネクタ本体1の短手方向は、第3方向D3と一致する。
【0022】
相手方コネクタC2は、相手方端子CTを有し、コネクタ本体1と嵌合することによって、相手方端子CTを介してコネクタC1と電気的に接続される。相手方コネクタC2は、図1に示されるように、相手方コネクタ本体C21と、後述するように、コネクタC1の係合部21が係合する被係合部Eとを有する。相手方コネクタC2を構成する材料は、特に限定されないが、たとえばプラスチックなどの絶縁性材料であることが好ましい。本実施形態では、相手方コネクタ本体C21は、コネクタC1のコネクタ本体1に嵌合する相手方嵌合部C211と、相手方嵌合部C211に対して嵌合方向D11側に設けられた相手方基部C212とを備えている。
【0023】
相手方嵌合部C211は、コネクタ本体1に嵌合接続される部位である。相手方嵌合部C211の形状および構造は、嵌合相手であるコネクタ本体1の嵌合部11と対応していれば、特に限定されない。相手方基部C212は、相手方嵌合部C211を支持する部位である。相手方基部C212の形状および構造は、特に限定されない。コネクタC1および相手方コネクタC2の形状および構造は、互いに嵌合することができれば、特に限定されない。本実施形態では、コネクタC1と相手方コネクタC2とは、互いに同型(雌雄同型)である。また、本実施形態では、相手方コネクタC2は、相手方嵌合部C211が第1面Ba(離脱方向D12)側に位置し、相手方基部C212が第2面Bb(嵌合方向D11)側に位置するように、基体Bの第1面Baと第2面Bbとの間を貫通する貫通孔に挿入され、基体Bに固定されている。なお、コネクタC1の係合部21および相手方コネクタC2の被係合部Eについては、後述する。
【0024】
つぎに、カバー部材2について説明する。カバー部材2は、コネクタ本体1を被覆する部材であり、コネクタ本体1が相手方コネクタC2から離脱しないように相手方コネクタC2(相手方コネクタ本体C21)と係合する。カバー部材2は、コネクタ本体1に対して、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に嵌合および離脱する第1方向D1に対して略垂直な第2方向D2にスライド可能である。カバー部材2は、相手方コネクタC2の被係合部Eと係合して、第1方向D1のうちコネクタ本体1が相手方コネクタC2から離脱する方向である離脱方向D12へ移動することを規制する、係合部21を有している。カバー部材2は、係合部21が被係合部Eと係合しないアンロック位置(たとえば図4B参照)と、係合部21が被係合部Eと係合するロック位置(たとえば図4C参照)との間を第2方向D2に移動するように構成されている。
【0025】
カバー部材2は、本実施形態では、コネクタ本体1の基部12が内部に収容され、コネクタ本体1の嵌合部11がカバー部材2から突出するように、コネクタ本体1を少なくとも部分的に被覆している。このようにカバー部材2がコネクタ本体1を被覆しているので、コネクタC1の絶縁性を高めることができる。
【0026】
カバー部材2は、本実施形態では、コネクタ本体1の嵌合部11がカバー部材2の内部から外部へと突出するように構成された第1開口部2xと、カバー部材2の内部から外部へと電線Wが導出される第2開口部2yとを有している。第1開口部2xは、カバー部材2の嵌合方向D11に設けられている。第2開口部2yは、電線Wの導出方向によって適宜変更されるが、本実施形態では、カバー部材2の第2方向D2(ロック方向D21)に設けられている。
【0027】
カバー部材2は、本実施形態では、第3方向D3で短く、スライド方向である第2方向D2で長い、細長い箱状形状を有している。スライド方向である第2方向D2は、コネクタ本体1の嵌合部11の長手方向に沿っていることが好ましい。このようにすれば、カバー部材2のスライド長を確保しやすくなるので、カバー部材2のスライドが安定する。
【0028】
本実施形態では、カバー部材2は、図1および図2に示されるように、第1方向D1のうちの離脱方向D12側である背面2a、第2方向D2(スライド方向)のうちのアンロック方向D22側となる頂面2bと、第2方向D2(スライド方向)のうちのロック方向D21側となる底面2cと、第3方向D3の各方向に側面2dとを有している。カバー部材2が頂面2bおよび底面2cを有していることにより、カバー部材2を第2方向D2でロック方向D21およびアンロック方向D22へ容易に移動させることができる。また、カバー部材2が背面2aを有していることにより、カバー部材2を嵌合方向D11に強く押し込むことができる。なお、本実施形態では、カバー部材2の側面2dは、従来技術のような操作部などを有しておらず、平坦面として形成されている。
【0029】
カバー部材2は、本実施形態では、図2に示されるように、一対のカバー要素20A、20Bによって構成されている。カバー要素20Aは、第3方向D3のうちの一方向側で、コネクタ本体1を収容し、カバー要素20Bは、第3方向D3のうちの他方向側で、コネクタ本体1を収容する。本実施形態では、このような一対のカバー要素20A、20Bでコネクタ本体1を第3方向D3に挟み込むことによって、コネクタC1が構成される。一対のカバー要素20A、20Bは、互いに係合する係合機構23(図1参照)によって互いに固定される。本実施形態では、カバー要素20A、20Bの背面2aに互いに係合する係合爪23aおよび係合枠23bがそれぞれ設けられ、係合爪23aおよび係合枠23bが互いに係合することによって、カバー要素20A、20Bがコネクタ本体1を挟んだ状態で着脱可能に互いに固定される。
【0030】
なお、カバー部材2は、半割状のカバー要素20A、20Bから構成されずに、一部材として形成されていてもよい。カバー部材2の材料は、特に限定されないが、カバー部材2は、プラスチックなどの絶縁性材料により構成されることが好ましい。
【0031】
カバー部材2は、上述したように、コネクタ本体1に対して、ロック位置とアンロック位置との間で第2方向D2にスライドするように構成されている。なお、ロック位置は、図4Cに示されるように、係合部21が被係合部Eと第1方向D1で係合するときのカバー部材2の位置である。また、アンロック位置は、図4Bに示されるように、係合部21が被係合部Eと第1方向D1で係合しないときのカバー部材2の位置である。なお、本実施形態では、後述するように、カバー部材2は、コネクタ本体1に対して第2方向D2にスライドするが、第1方向D1への移動が規制されるように構成されている。
【0032】
カバー部材2(カバー要素20A、20Bのうちの少なくともいずれか)は、コネクタ本体1の第2方向D2でのスライド動作の際に、コネクタ本体1を第2方向D2に案内する誘導部24を有していてもよい。誘導部24は、カバー部材2を第2方向D2に案内できれば、特に限定されないが、本実施形態では、誘導部24は、第2方向D2に沿って延び、コネクタ本体1の基部12を第1方向D1に挟み込む壁状のガイドである。
【0033】
カバー部材2は、ロック位置および/またはアンロック位置でカバー部材2のコネクタ本体1に対する位置を保持する保持部22を有していてもよい。カバー部材2が保持部22を有することにより、カバー部材2がロック位置および/またはアンロック位置に保持されて、カバー部材2の相手方コネクタC2とのロック状態またはアンロック状態を維持することができる。本実施形態では、保持部22は、ロック位置でカバー部材2のコネクタ本体1に対する位置を保持する第1保持部221と、アンロック位置でカバー部材2のコネクタ本体1に対する位置を保持する第2保持部222とを有している。
【0034】
保持部22は、ロック位置および/またはアンロック位置でカバー部材2のコネクタ本体1に対する位置を保持することができれば、特にその構造は限定されない。本実施形態では、第1保持部221および第2保持部222は、それぞれ、図2に示されるように、第2方向D2に延び、コネクタ本体1と第2方向D2で係合する板バネとして形成されている。本実施形態では、第1保持部221および第2保持部222は、カバー部材2(側面2d)の壁を切り欠いて設けられた板バネである。具体的には、図3(A)および(B)に示されるように、板バネ状の第1保持部221および第2保持部222は、それぞれの先端に、凸部221a、222aを有している。また、コネクタ本体1は、保持部22と係合する被保持部14を有している。具体的には、コネクタ本体1の基部12は、ロック位置で第1保持部221と係合する第1被保持部141と、アンロック位置で第2保持部222と係合する第2被保持部142とを有している。より具体的には、第1被保持部141は、ロック位置において、凸部221aと係合する凹部であり(図3(B)参照)、第2被保持部142は、アンロック位置において凸部222aと係合する凹部である(図3(A)参照)。このように、本実施形態では、カバー部材2の壁を切り欠いた板バネによって、カバー部材2をロック位置および/またはアンロック位置で簡単に保持することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、凸部221aは、アンロック位置において、コネクタ本体1の基部12のアンロック方向D22側の角部15aと係合し(図3(A)参照)、凸部222aは、ロック位置において、コネクタ本体1の基部12のロック方向D21側の角部15bと係合する(図3(B)参照)。これにより、ロック位置およびアンロック位置において、より安定してカバー部材2を保持することができる。
【0036】
コネクタ本体1は、図3(A)および(B)に示されるように、ロック位置またはアンロック位置において、カバー部材2から突出する突部13を有していてもよい。本実施形態では、コネクタ本体1の基部12の第2方向D2の両方向(ロック方向D21およびアンロック方向D22)の端部に、第2方向D2に突出する突部13がそれぞれ設けられている。また、本実施形態では、これらの突部13に対応して、カバー部材2の第2方向D2の両方向の端部に、第2方向D2に貫通する貫通孔2hがそれぞれ設けられている。これにより、突部13は、貫通孔2hを通じてカバー部材2から突出する。作業者は、突部13がカバー部材2から突出しているか否かを視認することにより、コネクタC1の係合部21と相手方コネクタC2の被係合部Eとのロック状態(カバー部材2と相手方コネクタC2との係合状態)を確認することができる。なお、突部13は、コネクタ本体1において、第2方向D2で一方のみに設けられていてもよい。
【0037】
カバー部材2は、図4Cに示されるように、相手方コネクタC2の被係合部Eと係合して、第1方向D1のうちコネクタ本体1が相手方コネクタC2から離脱する方向である離脱方向D12へ移動することを規制する、係合部21を有している。係合部21は、カバー部材2またはコネクタ本体1に離脱方向D12の力が加わったときに、被係合部Eと第1方向D1で係合し、コネクタ本体1およびカバー部材2が相手方コネクタC2から離脱することを抑制する。
【0038】
本実施形態に係るコネクタC1は、上述したように、コネクタ本体1を被覆するカバー部材2を有し、嵌合する方向となる第1方向D1に垂直な第2方向D2にカバー部材2をスライドさせることによって、カバー部材2の係合部21と、相手方コネクタC2の被係合部Eとを係合させることができる。したがって、第2方向D2にわずかな隙間があれば、コネクタC1をロック状態およびアンロック状態にすることができる。そして、ロック状態およびアンロック状態とするために、カバー部材2を第2方向D2にスライドさせるだけでよいため、特許文献1のコネクタのように操作部を押圧した状態でコネクタを相手方コネクタから抜去する必要がない。また、カバー部材2をスライドさせることによって、コネクタC1をロック状態およびアンロック状態とすることができるので、カバー部材2のスライド方向(第2方向D2)とは垂直な方向に、同様のコネクタC1を隣接して配置する場合や、機器のハウジングの壁部が存在する場合であっても、コネクタC1を容易に着脱することができる。したがって、本実施形態のコネクタC1によれば、省スペースな配置としても、コネクタC1の着脱が容易となる。
【0039】
係合部21および被係合部Eの構造は、特に限定されないが、本実施形態では、係合部21は、係合部21の離脱方向D12側に、ロック位置にあるときに被係合部Eと当接して係合可能な当接部211を有している。この場合、当接部211は、被係合部Eと第1方向D1で係合している。また、本実施形態では、係合部21は、第2方向D2のうち、アンロック位置からロック位置に向かう方向であるロック方向D21側に設けられた端部212をさらに有している。この端部212は、被係合部Eの第1開口部2xへの挿入位置を画定している(図4Aおよび図4B参照)。
【0040】
本実施形態では、係合部21は、図2に示されるように、カバー部材2の内面に設けられている。具体的には、係合部21は、カバー部材2の第1開口部2xの開口縁に沿って、カバー部材2の側面2dの内面において第2方向D2に所定の長さで延びる、第3方向D3に所定の高さを有する突起である。一方、相手方コネクタC2の被係合部Eは、相手方嵌合部C211の第1方向D1の端部において、第2方向D2に所定の長さで延びる、相手方嵌合部C211の外面から第3方向D3に所定の高さを有する突起である。また、本実施形態では、係合部21は、図2に示されるように、相手方コネクタC2の被係合部Eの第2方向D2の端部と、第2方向D2で当接可能なストッパ部213を有している。この場合、カバー部材2をロック位置に移動したときに、被係合部Eの第2方向D2の端部と、ストッパ部213とが当接して、保持部22とともに、カバー部材2をロック位置で安定して保持することができる。
【0041】
係合部21は、本実施形態では、第2方向D2で連続した細長い突起として構成されているが、係合部21の形状および構造は、被係合部Eと第1方向D1で係合することができれば、特に限定されない。たとえば、係合部21は、1つの点状の突起であってもよいし、第2方向D2で分断された複数の突起であってもよい。
【0042】
また、係合部21は、本実施形態では、カバー部材2の側面2dの内面に設けられているが、係合部21の設置箇所は、カバー部材2がアンロック位置からロック位置に移動した際に、相手方コネクタC2の被係合部Eに係合することができれば、特に限定されない。たとえば、被係合部Eが、相手方嵌合部C211の頂面C211a(相手方嵌合部C211のアンロック方向D22側の面。図1参照)に設けられ、カバー部材2がロック位置に移動した際に、係合部21が、頂面C211aに設けられた被係合部Eに第1方向D1で対向するように設けられていてもよい。また、たとえば、相手方嵌合部C211の頂面C211aに第2方向D2に貫通孔または窪みとして形成された被係合部Eを設け、係合部21を、カバー部材2がロック位置に移動した際に、当該貫通孔または窪みとして形成された被係合部Eに嵌まり込むピン状の突起としてもよい。
【0043】
以下、図4A図5を参照して、本実施形態のコネクタC1およびコネクタ構造Sの作用効果をより詳細に説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明のコネクタおよびコネクタ構造は、以下の説明に限定されるものではない。
【0044】
まず、コネクタC1を相手方コネクタC2に嵌合させる際、図4Aに示される状態から、コネクタC1を相手方コネクタC2に向かって嵌合方向D11に移動させる。コネクタ本体1の嵌合部11が相手方コネクタ本体C21の相手方嵌合部C211と嵌合するように、コネクタC1のカバー部材2の背面2aを嵌合方向D11に押し込む。これにより、カバー部材2を介してコネクタ本体1が嵌合方向D11に移動する。この際、カバー部材2は、保持部22によってコネクタ本体1に保持されているので、カバー部材2は、コネクタ本体1に対して第2方向D2には移動しない。
【0045】
コネクタC1が嵌合方向D11に移動すると、被係合部Eは、カバー部材2の第1開口部2xから、係合部21の端部212を通り越すように移動して、嵌合部11が相手方嵌合部C211と嵌合する(図4B参照)。次に、たとえば、カバー部材2の頂面2bをロック位置に向かって押し込むことによって、アンロック位置にあるカバー部材2をロック位置に向かって移動させる。なお、この押し込みは、この方法に限定されず、カバー部材2の背面2aから突出した係合機構23に指を引掛けて押し込むなど、その他の適切な方法によってなされてもよい。保持部22での保持力以上の力がカバー部材2に加わると、カバー部材2がコネクタ本体1に対してスライドする(図4C参照)。カバー部材2がスライドした後、係合部21は、被係合部Eに対して嵌合方向D11側に位置するので、コネクタC1が離脱方向D12に移動しようとする際に、当接部211が離脱方向D12への移動の障壁となる。そのため、コネクタC1の離脱方向D12への移動が妨げられ、コネクタC1の相手方コネクタC2からの抜けが防止される。また、上述した保持部22によって、カバー部材2の位置がロック位置で保持される。
【0046】
本実施形態では、図6および図7に示されるように、特に複数のコネクタC1が第3方向D3に隣接して配置されている場合に、作業者は、第3方向D3にスペースがない場合であっても、第2方向D2にカバー部材2をスライドさせることによって、コネクタC1を相手方コネクタC2に容易にロックさせることができる。また、作業者は、第3方向D3とは異なる方向からカバー部材2の第2方向D2(ロック方向D21)側にある底面2c、第1方向D1(離脱方向D12)側にある係合機構23などに指を触れて、カバー部材2をアンロック方向D22に押圧することによって、コネクタC1を相手方コネクタC2から容易にアンロックさせることができる。このように、複数のコネクタC1を第3方向D3に隣接配置した場合であっても、コネクタC1を相手方コネクタC2から容易に着脱することができる。そのため、コネクタ構造Sをコンパクトにすることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、図5に示されるように、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に不完全に嵌合しているときに、係合部21がアンロック位置からロック位置へと移動する際に、端部212と被係合部Eとが第2方向D2で当接するように構成されている。この場合、コネクタ本体1と相手方コネクタC2とが半嵌合の状態でカバー部材2をスライドさせようとしても、端部212と被係合部Eの頂面Ea(被係合部Eのアンロック方向D22側の面)が当接して、カバー部材2のスライドが規制される。そのため、カバー部材2をロック位置へと移動させることができない。したがって、作業者は、カバー部材2がスライドしないことによって、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に対して半嵌合状態であることを把握することができる。そのため、コネクタC1を相手方コネクタC2に十分に差し込んだ後、カバー部材2によってコネクタC1を相手方コネクタC2にロックさせることができる。これにより、コネクタ本体1の相手方コネクタC2に対する半嵌合が防止される。
【0048】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るコネクタC1およびコネクタ構造Sは、係合部21は、被係合部Eに対して離脱方向D12側から当接したときに、カバー部材2をロック位置からアンロック位置に向かって移動するように案内する案内部215を有している。この点において、第2実施形態は、第1実施形態と異なる。以下では、図8A図8Cを参照し、第1実施形態と異なる第2実施形態の構成についてのみ、説明される。
【0049】
案内部215は、コネクタC1を相手方コネクタC2に対して嵌合方向D11に移動させ嵌合させる際に、相手方コネクタC2の被係合部Eと当接して、被係合部Eからカバー部材2をロック位置からアンロック位置に移動させる力を受けるように傾斜している。本実施形態では、案内部215は、図8Aに示されるように、係合部21の嵌合方向D11側に設けられ、嵌合方向D11およびロック方向D21を向く傾斜面である。傾斜面は、特に限定されないが、たとえば平面である。しかしながら、傾斜面は、曲面であってもよい。
【0050】
被係合部Eの形状および構造は、案内部215と当接して、カバー部材2をロック位置からアンロック位置に移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、被係合部Eもまた、案内部215と同様に、係合部21に対して嵌合方向D11側から当接したときに、カバー部材2をロック位置からアンロック位置に向かって移動するように案内する被案内部E1を有している。被案内部E1は、被係合部Eの離脱方向D12側に設けられ、離脱方向D12およびアンロック方向D22を向く傾斜面である。傾斜面は、特に限定されないが、たとえば平面である。しかしながら、傾斜面は、曲面であってもよい。本実施形態では、案内部215は、被係合部Eに対して離脱方向D12側から当接したときに、被案内部E1と面接触する。このようにすれば、案内部215および被案内部E1の両方がカバー部材2を案内するので、案内の安定性が増す。
【0051】
案内部215および被案内部E1の数は、それぞれ1つであってもよく、それぞれ複数であってもよい。本実施形態では、図8Aに示されるように、案内部215および被案内部E1は、それぞれ2つ設けられている。また、被案内部E1が設けられる場合、案内部215は設けられなくてもよい。
【0052】
本実施形態では、カバー部材2がロック位置にある状態(図8A参照)で、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に向かって、第1方向D1のうちコネクタ本体1が相手方コネクタC2に嵌合する方向である嵌合方向D11へ移動したときに、カバー部材2が案内部215によってアンロック位置に向かって移動する(図8B参照)。具体的には、コネクタC1が嵌合方向D11に移動すると、案内部215が被案内部E1と当接し、被案内部E1が案内部215をアンロック方向D22に押圧することによって、カバー部材2がアンロック位置に向かって移動する。係合部21が第1方向D1で被係合部Eを越えた後、カバー部材2がロック位置へと移動して、係合部21と被係合部Eとが係合する(図8C参照)。具体的には、案内部215が被案内部E1より嵌合方向D11に移動すると、案内部215は、被案内部E1に支持されなくなるので、カバー部材2は、重力によってロック位置に移動する。
【0053】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、カバー部材2がロック位置にあっても、カバー部材2を嵌合方向D11に移動させることによって、コネクタC1を相手方コネクタC2に半自動的にロックさせることが可能となる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明に係るコネクタおよびコネクタ構造は、上記実施形態に限定されない。たとえば、カバー部材2の係合部21が、図9(A)および(B)に示されるように、第2方向D2でロック方向D21に向かって第1方向D1の幅が狭くなるようなテーパー部TPを有していてもよい。この場合、コネクタ本体1が相手方コネクタC2と半嵌合であると、カバー部材2がロック位置からアンロック位置に移動する際に、相手方コネクタC2の被係合部Eがテーパー部TPと接触する。その後、コネクタ本体1は、カバー部材2がロック方向D21に押圧される力によって、相手方コネクタC2に嵌合する方向、すなわち、嵌合方向D11に移動するように押圧される。これにより、コネクタ本体1が相手方コネクタC2と半嵌合である状態で、相手方コネクタC2がカバー部材2にロックされることが防止される。なお、テーパー部TPは、コネクタ本体1と相手方コネクタC2とが第1方向D1で正常な嵌合深さで嵌合しているときには、被係合部Eに対して第1方向D1で嵌合方向D11側に位置するように設定されている(図9(B)参照)。これにより、コネクタ本体1と相手方コネクタC2との半嵌合状態が解消されたときに、カバー部材2はロック位置に移動して、第2方向D2に沿って延びる当接部211と被係合部Eとが第1方向D1で係合して、コネクタ本体1が相手方コネクタC2に対して離脱方向D12に移動することが抑制される。なお、本実施形態では、被係合部Eにも、第2方向D2でアンロック方向D22の端部にテーパー部が設けられている。
【0055】
上記実施形態では、コネクタ本体1の端子Tに接続される電線Wは、ロック方向D21において、カバー部材2から引き出されている。しかしながら、電線Wの引き出し方向は、コネクタ本体1が相手方コネクタC2と嵌合し、カバー部材2が相手方コネクタC2をロックおよびアンロックできれば、特に限定されない。たとえば、電線Wの引き出し方向は、離脱方向D12であってもよい。
【0056】
上記実施形態では、コネクタ本体1および相手方コネクタ本体C21(相手方コネクタC2)は、互いに同型(雌雄同型)のコネクタである。しかしながら、コネクタ本体1および相手方コネクタ本体C21は、特に限定されず、互いに対となり得るコネクタであればよい。また、上記実施形態では、コネクタ本体1および相手方コネクタ本体C21は、電線対電線接続用コネクタである。しかしながら、コネクタ本体1および相手方コネクタ本体C21(相手方コネクタC2)は、特に限定されず、基板対電線接続用コネクタ、基板対基板接続用コネクタなど、その他の形態のコネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 コネクタ本体
11 嵌合部
12 基部
13 突部
14 被保持部
141 第1被保持部
142 第2被保持部
15a、15b 角部
2 カバー部材
2a 背面
2b 頂面
2c 底面
2d 側面
2h 貫通孔
2x 第1開口部
2y 第2開口部
20A、20B カバー要素
21 係合部
211 当接部
212 端部
213 ストッパ部
215 案内部
22 保持部
221 第1保持部
221a 凸部
222 第2保持部
222a 凸部
23 係合機構
23a 係合爪
23b 係合枠
24 誘導部
B 基体
Ba 第1面
Bb 第2面
C1 コネクタ
C2 相手方コネクタ
C21 相手方コネクタ本体
C211 相手方嵌合部
C211a 相手方嵌合部の頂面
C212 相手方基部
CT 相手方端子
D1 第1方向
D11 嵌合方向
D12 離脱方向
D2 第2方向
D21 ロック方向
D22 アンロック方向
D3 第3方向
E 被係合部
Ea 被係合部の頂面
E1 被案内部
S コネクタ構造
T 端子
TP テーパー部
W 電線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9