【解決手段】端子圧着工具100は、操作ハンドル103の動作に応じて、所定の位置で端子筒を押圧する端子押圧機構、回転可能に構成され、複数の端子受け部151を有する端子保持体102を有する。また、操作ハンドル103の動作に応じて、端子保持体102が有するガイド溝152に形成された突起部153を介して一方向に向けて端子保持体102を回転させる回転機構を有する。また、外方から供給された端子Mを、操作ハンドルの動作に応じて、所定の位置とは異なる位置で端子Mを端子受け部151に装填する端子搬送機構を有する。
前記端子保持体は、回転軸と直交する一方の側面に形成された、複数の直線溝が連設され構成される前記ガイド溝と、このガイド溝の直線溝毎に形成された前記突起部と有し、
前記突起部は、前記直線溝毎に前記端子保持体の外周に近い側の側壁に形成されることを特徴とする、
請求項1に記載の端子圧着工具。
前記突起部は略楔状に形成され第1の斜面とこの第1の斜面の角度と比較して相対的に鈍角となる第2の斜面とを有しており、当該第1の斜面は前記端子保持体の回転方向側の斜面であることを特徴とする、
請求項1、2又は3に記載の端子圧着工具。
前記回転機構は、前記操作ハンドルの動作に応じて作動し、前記端子保持体が有する前記突起部を押すことにより当該端子保持体を回転させる送りレバーを含んで構成されることを特徴とする、
請求項1乃至4いずれか一項に記載の端子圧着工具。
前記端子保持体は略円筒形状に形成されており、前記端子受け部は当該端子保持体の外周上に、且つ、それぞれの間隔が等間隔となるように4つ配設されることを特徴とする、
請求項1乃至5いずれか一項に記載の端子圧着工具。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る端子圧着工具の実施形態の一例について図を用いて説明する。なお、以下に説明する端子圧着工具は、電線端を挿入する端子筒と、その先端側に他機器への接続部とを有する端子(圧着端子)の当該端子筒を圧着する工具である。
また、本実施形態に係る端子圧着工具では、端子筒を保持する端子受け部が4つ90[度]間隔で配設した場合を例に挙げて説明を進める。なお、端子受け部の配設は4つに限るものではない。
【0011】
[実施形態例]
図1は、本実施形態に係る端子圧着工具の構成の一例を説明するための図である。
図1に示す端子圧着工具100は、筺体101、端子保持体102、操作ハンドル103、端子押圧体104、弾性体Sを含んで構成される。
【0012】
端子保持体102は、端子Mを保持する。なお、端子Mは電線端を挿入する端子筒と、その先端側に他機器への接続部とを有する(
図3(b)参照)。そのため、端子保持体102は、具体的にはこの端子筒の部位を保持することになる。また、端子保持体102に保持された端子Mの端子筒の部位に向けて端子押圧体104の端子押圧部Pを押し当ててかしめる(圧着する)ことにより、電線端と端子筒(端子M)とが接続される。
端子保持体102は、回動軸110を介して、回動可能に筺体101に取り付けられる。端子押圧体104は、揺動軸113を介して、揺動可能に筺体101に取り付けられる。
【0013】
操作ハンドル103は、スライド軸溝111aを移動するスライド軸111を介して、筺体101に取り付けられる。具体的にはスライド軸111は、スライド軸溝111aにより規制される範囲において、操作ハンドル103の端側が筺体101に近づける動作、又は、離す動作に応じて移動する。
【0014】
また、端子押圧体104は、リンク軸112を介して操作ハンドル103に接続される。これにより、操作ハンドル103の端側が筺体101に近づける動作、又は、離す動作に応じて端子押圧体104の端子押圧部Pが端子M(圧着端子M)に向けて下降(押圧)、又は、上昇(離脱)する。
【0015】
弾性体Sは、例えばスプリングであり、
図1に示すような操作ハンドル103の状態になるように当該操作ハンドル103を押圧している。なお、
図1に示す状態を定常状態とする。
なお、端子保持体102の構成の詳細、並びに、その動作については後述する。また、操作ハンドル103の動作に応じた端子押圧体104の動作についての詳細は後述する。
【0016】
図2は、端子圧着工具100の内部構成の一例を説明するための図である。なお、図中の破線は筺体101を示している。
図2に示す送りレバー130は、操作ハンドル103の動作に応じて、端子保持体102を所定の方向に向けて回転させる。なお、送りレバー130の構成の詳細については後述する。
【0017】
また、
図2に示す端子搬送板140は、例えば平板形状に形成された弾性を有するものであり、操作ハンドル103の動作に応じて、後述する端子投入ガイド120から投入された端子Mを端子保持体102に向けて搬送する。なお、端子搬送板140の動作の詳細については後述する。
【0018】
端子圧着工具100は、端子保持体102、端子押圧体104、操作ハンドル103を含んで構成され、当該操作ハンドル103の動作に応じて、所定の位置で端子筒を押圧する端子押圧機構を有する。
また、回転可能に構成され、後述する複数の端子受け部151を有する端子保持体102が操作ハンドル103の動作に応じて、後述する端子保持体102が有するガイド溝152に形成された突起部153を介して送りレバー130により一方向に向けて当該端子保持体102を回転させる回転機構を有する。
また、
図1、2に示すように筐体101の外方から供給された端子Mを、操作ハンドル103の動作に応じて、後述する端子搬送板140により端子筒を押圧する所定の位置とは異なる位置の端子受け部151に当該端子Mを装填する端子搬送機構を有する。
このように端子圧着工具100は、端子押圧機構、回転機構、端子搬送機構を含んで構成される。
【0019】
図3は、
図1に示す端子圧着工具100を左側から見たときの構成の一例を説明するための図である。
図3(a)は、端子圧着工具100の左側面を示しており、
図3(b)は、端子Mの形状の一例を示している。なお、
図3(b)に示す接続部が丸形状の端子、接続部がフォーク形状の端子は一例であり、端子圧着工具100が対象とする端子Mの形状は
図3(b)に示すものに限るものではない。
図3(a)に示すように、端子Mは図正面から見て右側方向に接続部Maが端子投入ガイド120、端子スライドガイド121から突出した状態で、回転機構、端子搬送機構を介して所定の位置まで送られる。
【0020】
図4(a)は、端子保持体102の詳細な構成の一例を説明するための図である。
図4(b)は、送りレバー130の構成の一例を説明するための図である。
図4(a)に示すように端子保持体102は、所定の厚みを有し略円筒形状に形成された円板150、端子Mの端子筒が装填・保持される端子受け部151、ガイド溝152、このガイド溝152に形成された突起部(略楔状に形成された突起部)153を有する。つまり、端子保持体102は、当該端子保持体102が回転する際の回転軸と直交する一方の側面(円板150の側面)に形成された、複数の直線溝が連設され構成されるガイド溝152と、このガイド溝152の直線溝毎に形成された突起部153と有している。
また、本実施形態に係る端子受け部151は、端子保持体102の外周上に、且つ、それぞれの間隔が等間隔となるように当該端子保持体102の外周上4つ配設される。
【0021】
ガイド溝152は、
図4(a)に示すように矩形形状の溝として形成されており、各頂点は端子受け部151の端子筒受け溝151aの窪みの略中心と重なるように形成される。
また、ガイド溝152を構成する各直線ライン(直線溝)において、円板150の外周に近い側のガイド溝152の側壁(外方側壁)には突起部(略楔状に形成された突起部)153が形成される。
【0022】
この突起部153は、操作ハンドル103の動作に応じた送りレバー130の動作により一方向に向けて円板150(端子保持体102)を回転させるためのものである。なお、突起部153の配設位置は、送りレバー130による円板150(端子保持体102)の回転により端子筒が押圧される所定の位置まで回転するように配設される。
【0023】
図4(b)に示す送りレバー130は、ガイド溝152に侵入し、且つ、操作ハンドル103の動作に応じて突起部153を押すスライドピン130a、操作ハンドル103に接続される接続部130bを含んで構成される。
なお、送りレバー130のスライドピン130aは、ガイド溝152内を移動可能なサイズ・形状で形成される。
前記操作ハンドルの動作に応じて作動する送りレバー130のスライドピン130aは、ガイド溝152の内方側壁に当接している状態では突起部153の鋭角斜面(第1の斜面)をスムースに移動し、また、ガイド溝152の外方側壁に当接している状態では突起部153の鈍角斜面(第2の斜面)を押すような動作になる。つまり突起部153は略楔状に形成され第1の斜面、この第1の斜面の角度と比較して相対的に鈍角となる第2の斜面とを有しており、且つ、当該第1の斜面は端子保持体102の回転方向側の斜面になる。
この動作により、一方向に向けて端子保持体102を回転させ、且つ、端子筒が押圧される所定の位置まで当該端子保持体102を回転させることができる。
【0024】
図5は、端子圧着工具100による端子Mの圧着動作を説明するための図である。
図5に示す端子圧着工具100の状態は、端子Mの端子筒をかしめ(圧着)しようとしている状態を示している。
図5に示すように、矢印方向に向けた操作ハンドル103の動作と連動して端子押圧体104の端子押圧部Pが端子筒を押圧する。
【0025】
送りレバー130は、
図5に示すように、端子筒をかしめる際の操作ハンドル103の動作においては、前述したようにガイド溝152の内方側壁に当接している状態となり、突起部153の鋭角斜面をスムースに移動することになる。そのため、端子保持体102は回転することがない。
また、端子搬送板140は、
図5に示すように、端子投入ガイド120に沿って移動(侵入)することで、外方から供給された端子Mを、端子筒を押圧する所定の位置とは異なる位置の端子受け部151に端子Mを装填する。
【0026】
図6は、
図5とは異なる、端子圧着工具100による端子Mの圧着動作を説明するための図である。具体的には、かしめ(圧着)動作が完了して、矢印方向に向けた操作ハンドル103の動作と連動して端子押圧体104の端子押圧部Pが端子筒から離脱するときの状態を示している。
【0027】
送りレバー130は、
図6に示すように、端子押圧体104の端子押圧部Pが端子筒から離脱する際の操作ハンドル103の動作においては、前述したようにガイド溝152の外方側壁に当接している状態となり、スライドピン130aが突起部153の鈍角斜面を押して移動することになる。そのため、端子保持体102は回転を開始する。
また、端子搬送板140は、
図6に示す状態から
図2に示す状態になるように端子投入ガイド120に沿って引き戻されることになる。
【0028】
図7は、送りレバー130による端子保持体102の回動動作を説明するための図である。なお、送りレバー130による端子保持体102の回動動作は、
図7(a)から
図7(b)の状態に遷移する。
【0029】
送りレバー130の状態が、大凡
図7(a)に示すような状態においてかしめ動作が開始されることになる。送りレバー130は、
図7(b)に示すように、かしめ動作における操作ハンドル103の動作に連動して当該送りレバー130(スライドピン130a)がガイド溝152に沿って移動する。なお、端子保持体102は回転を停止している状態が継続する。
【0030】
図8は、
図7の動作以降の送りレバー130による端子保持体102の回動動作を説明するための図である。なお、送りレバー130による端子保持体102の回動動作は、
図8(a)から
図8(b)の状態に遷移する。
【0031】
送りレバー130の状態が、大凡
図8(a)に示すような状態においてかしめ動作が完了することになる。かしめ動作が完了した後の送りレバー130は、
図8(b)に示すように、操作ハンドル103の動作に連動して当該送りレバー130(スライドピン130a)がガイド溝152の突起部153の鈍角斜面を押すことになる。この状態から端子保持体102は回転を開始する。
【0032】
図9は、
図8の動作以降の送りレバー130による端子保持体102の回動動作を説明するための図である。なお、送りレバー130による端子保持体102の回動動作は、
図9(a)から
図9(b)の状態に遷移する。
【0033】
送りレバー130の状態が
図9(a)に示すような場合、端子保持体102は回転動作中となる。その後、送りレバー130のスライドピン130aはガイド溝152の突起部153の鈍角斜面から離脱するが継続してガイド溝152の外方側壁を押し上げているため、
図9(b)に示すように、ガイド溝152の頂点に達するまで端子保持体102を回転させることになり、
図7(a)に示す状態に遷移する。
このようにして、端子圧着工具100の回転機構、端子搬送機構が機能して所定の位置で端子筒を押圧することが可能になる。
【0034】
このように、本実施形態に係る端子圧着工具100では、従来の端子を用いて連続して圧着作業を行うことができる。これにより、圧着端子を圧着する作業の作業性の向上を図ることができる。
【0035】
[変形例]
前述した端子圧着工具100では、端子搬送板140により端子筒を押圧する所定の位置とは異なる位置の端子受け部151に当該端子Mを装填する端子搬送機構について説明した。以下、端子搬送機構の他の一例を有する端子圧着工具について説明する。
なお、端子圧着工具が有する構成のうち既に説明した構成と同じものは同一の符号を付すとともにその説明を省略する。
【0036】
図10は、変形例に係る端子圧着工具の構成の一例を説明するための図である。また、
図11は、
図10に示す端子圧着工具200の左側面図である。
図10、
図11に示す端子圧着工具200は、筺体101、端子保持体102、操作ハンドル103、端子押圧体104、弾性体Sを含んで構成される。また、端子圧着工具200は当該端子圧着工具200に供給される端子M(圧着端子M)が収容されるボックス250を有する。
また、
図10に示すように端子投入ガイド120には端子Mが充当されている状態であるものとする。
【0037】
図12は、端子圧着工具200の内部構成の一例を説明するための図である。なお、図中の破線は筺体101を示している。
端子圧着工具200は、打撃機構201、投入機構202、ベルト203、フック204、スライダ205、規制板206a、bを有する。打撃機構201及び投入機構202は、端子圧着工具200に外方から端子Mを供給する端子搬送機構として機能する。
なお、ベルト203、フック204それぞれは操作ハンドル103の動作に連動するように一端が当該操作ハンドル103に接続される。
【0038】
投入機構202は、ボックス250に収容されている端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入する。端子受けUは、ボックス250に収容されている端子Mが端子投入ガイド120の開口部近傍に集まるようにするためのガイド板である。
ボックス250に収容されている端子Mが投入機構202により端子投入ガイド120に向けて新規に投入されることにより、既に端子投入ガイド120に充当されている端子Mが順次送り出されることになる。このようにして端子圧着工具200に端子Mが供給され、端子筒を押圧する所定の位置とは異なる位置の端子受け部151に当該端子Mが装填される。詳細は後述する。
【0039】
打撃機構201は、操作ハンドル103の動作に応じて投入機構202の所定の部位を打撃する。これにより投入機構202は、ボックス250に収容されている端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入する。これにより端子投入ガイド120の端子Mが順次送り出されて端子受け部151に端子Mが装填される。各構成の詳細について以下説明する。
【0040】
図13は、打撃機構201の構成の一例を説明するための外観図である。
図13(a)は、打撃機構201の正面図であり、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
図13に示すように打撃機構201は、打撃部211、突起部212、係止部213を有する。また、打撃機構201の筐体には、ガイド孔212a、孔部213aが形成される。
図12に示す状態の端子圧着工具200では、打撃機構201は
図13(a)のように見て取れる。また、
図13(d)に示す打撃機構201の底面はベルト203の表面と対向する。以下、打撃機構201の内部構成、及び、動作の詳細について説明する。
【0041】
図14は、打撃機構201の構成、特に係止部213の動作の一例を説明するための概略縦断面図である。
図14(a)に示すように打撃機構201はその内部に、突起部212と係止部213が直交して配設されるガイド部215、軸体216、弾性体(例えばコイルバネ)217を有する。なお、軸体216の一端(
図14(a)正面から見て右側)は自由端であり、ガイド部215及び打撃部211は軸体216を介して移動可能に構成される。
また、打撃機構201の筐体は、
図13、
図14に示すように、打撃部211側上面の面積に比べて底面側の面積が相対的に小さくなるように傾斜するテーパー形状に形成される。なお、
図14(a)に示すように、打撃機構201の筐体の所定開所には孔部213aが形成される。
【0042】
図14(a)に示す打撃機構201の状態は、弾性体217が伸びた状態(付勢力を解放した状態)であり、
図14(b)に示す打撃機構201の状態は、弾性体217が縮んだ状態(付勢力を蓄えた状態)である。
図14(b)に示す打撃機構201の状態では、打撃部211に対してガイド部215を介した弾性体217の付勢力は付与されていない。そのため、打撃部211は所定の範囲内で自由移動(図中の矢印方向)が可能になる。
【0043】
ここで係止部213について説明する。孔部213aは、ガイド部215が
図14(b)に示す位置に到達した場合、係止部213の突端が孔部213aと係合して当該位置にガイド部215が留まるように構成される。また、再び孔部213aから係止部213の突端が解除(リリース)された場合には再度、打撃機構201は
図14(a)に示すような状態になる。
【0044】
このようにガイド部215の動きを制御するために係止部213は、
図14(a)に示すように図正面から見て上下方向に移動可能(つまり、孔部213aから解除可能)に構成される。具体的には、例えば図示しないスプリングをガイド部215の内部に配備し、係止部213が外方へ向けて押し出されるように構成することができる。このように係止部213等は操作ハンドル103の動作に応じて付勢力を蓄えた弾性体217の状態を保持する保持手段として機能する。
なお、打撃機構201の弾性体217が
図14(b)に示すように縮んだ状態から解放される(孔部213aから係止部213の突端が解除される)タイミング等の制御は、
図14(c)に示すように、ベルト203、スライダ205、規制板206a、bを介して行われる。具体的にはスライダ205の動きに応じて孔部213aから係止部213の突端が解除されることになる。詳細は後述する。
【0045】
打撃機構201の弾性体217が
図14(a)に示すように伸びた状態(付勢力を解放した状態)から、
図14(b)に示すように当該弾性体217が縮んだ状態(付勢力を蓄えた状態)への遷移は、操作ハンドル103の動作に応じてフック204、突起部212を介して行われる。これらの構成は、操作ハンドル103の動きを弾性体217に伝達して当該弾性体217を付勢させる伝達手段として機能する。
【0046】
図15は、打撃機構201の構成、特に突起部212の動作の一例を説明するための概略縦断面図である。
図15(a)、(b)に示す打撃機構201の状態は、弾性体217が伸びた状態(付勢力を解放した状態)であり、
図15(c)に示す打撃機構201の状態は、弾性体217が縮んだ状態(付勢力を蓄えた状態)である。
フック204は、
図12に示すように、操作ハンドル103の所定の位置に配設される。フック204は、例えば所定の厚みを有する板バネのような弾性体からなり、
図12に示すように、その突端が鍵形状に形成される。操作ハンドル103の動作に応じてフック204の鍵形状の部位が突起部212に到達したとき、当該フック204が揺動して鍵形状部位を突起部212に引っ掛ける。フック204の鍵形状部位が突起部212に引っ掛かった状態で操作ハンドル103側にガイド部215を引き戻し、弾性体217を縮ませる。
【0047】
なお、突起部212は打撃機構201の筐体に形成されたガイド孔212aに沿って移動する。また、前述したようにガイド部215が
図14(b)に示す位置に到達した場合、係止部213の突端が孔部213aと係合して当該位置にガイド部215が留まることになる。
【0048】
フック204は、
図12に示す状態から端子筒をかしめるまでの操作ハンドル103の動作において、大凡端子筒をかしめ終わったタイミングで当該フック204の鍵形状の部位が打撃機構201の突起部212に引っ掛かるように構成される。具体的には、
図15(b)に示すような状態である。
その後、操作ハンドル103が弾性体Sにより戻される動きに応じて打撃機構201の状態は
図15(c)に示す状態になる。なお、
図15(c)に示す状態はガイド部215が
図14(b)に示す位置に到達し、さらにフック204が突起部212から離脱した状態である。
【0049】
このような動作を実現するため、例えばフック204の鍵形状部位の強度を任意に調整する。具体的には、突起部212に引っ掛けて操作ハンドル103側にガイド部215を引き戻すときには鍵形状を維持し、ガイド部215が
図14(b)に示す位置に到達して当該ガイド部215の可動範囲を超えたとき(例えば、弾性体217が縮みきったとき)は引っ張り力に耐えられずに鍵形状が変形する(例えば平たくなる)ように構成することができる。
【0050】
また、前述したように打撃機構201の筐体は、所定の傾斜を有するテーパー形状に形成される。また、軸体216を介し移動するガイド部215の周面と筐体の内表面との間の隙間(クリアランス)は当該ガイド部215の位置に応じて変化する。この点で、突起部212に引っ掛けて操作ハンドル103側にガイド部215を引き戻すときにはフック204の鍵形状部位と突起部212の引っ掛かりを維持し、ガイド部215が
図14(b)に示す位置に到達して当該ガイド部215の可動範囲を超えたとき(例えば、弾性体217が縮みきったとき)はフック204の鍵形状部位と突起部212の引っ掛かりが解除されるようにテーパー形状の傾斜を調整することもできる。
【0051】
図16は、孔部213aから係止部213を解除する動作の一例を説明するための図である。
図16(a)は、打撃機構201の弾性体217が縮んだ状態(付勢力を蓄えた状態)を示している。また、
図16(b)は、
図16(a)の底面側から見たときのベルト203、スライダ205、規制板206a、bの構成の一例を示している。なお、これらの構成は弾性体217が蓄えた付勢力を解放する解放手段として機能する。
打撃機構201の弾性体217が
図14(b)に示すように縮んだ状態から解放される(孔部213aから係止部213の突端が解除される)タイミング等の制御は、
図16(a)に示すように、ベルト203、スライダ205、規制板206a、bを介して行われる。
【0052】
図16(b)に示すようにベルト203には2つの規制板206a、bが配設されており、この2つの規制板206a、bの間にスライダ205が配設される。スライダ205はベルト203を通すための孔部を有する。また、規制板206a、bはスライダ205の孔部を通過できないサイズで形成される。つまり、規制板206aと規制板206bとで囲まれたベルト203の領域のみスライダ205は自由移動が可能となる。
【0053】
例えば、
図12に示す状態から端子筒をかしめるまでの操作ハンドル103の動作においては、当該操作ハンドル103の動作に伴ってベルト203は送り出される。そのため、規制板206aによりスライダ205は、
図16(a)正面から見て右側位置(打撃部211側)に移動することになる。その際にはスライダ205は係止部213の突端を乗り越えて移動し、孔部213aから解除されないものとする。
またその後、操作ハンドル103が弾性体Sにより戻される動作に伴ってベルト203は引き戻される。そのため、規制板206bによりスライダ205は、
図16(a)正面から見て左側位置に移動することになる。その際に孔部213aから係止部213の突端が解除されることになる。
このように、ベルト203に対する規制板206a、bの配置位置を調整することにより、操作ハンドル103の動作と孔部213aから係止部213の突端を解除するタイミングとを調整することが可能になる。
【0054】
なお、孔部213aから係止部213が解除されるタイミングは、少なくともフック204が突起部212から離脱した後であり、また、操作ハンドル103が基本位置(
図12に示す状態)に戻ったタイミングになる。
このように、ガイド部215は弾性体217に付勢力を蓄える、又は、解放する制御手段として機能する。
【0055】
図17は、投入機構202の構成の一例を説明するための図である。
図17(a)は正面図であり、(b)は側面図である。また、
図17(c)は投入機構202の別例である。
投入機構202は、ボックス250に収容されている端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入するものであり、回動軸202aに第1の羽部である羽板202b、第2の羽部である羽板202cを有する。
例えば、
図17(b)に示すように、羽板202bと羽板202cは直交して回動軸202aに配設される。
【0056】
図12、
図17(a)、(b)に示すように、羽板202bが打撃機構201の打撃部211を介して打撃されることで、その打撃力が回動軸202aを介して羽板202cに伝達される。具体的には、回動軸202aを基準に回転した羽板202cが端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入する。
なお、
図12、
図17(b)に示す姿勢を投入機構202の基準姿勢とし、打撃部211を介して打撃され、回動軸202aを基準に回転した羽板202cが端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入したのちに当該基準姿勢に戻るように、例えばコイルバネ等を用いて構成する。これにより、次の端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入する準備をスムースに行うことが可能になる。また、打撃部211の自由移動が可能な範囲においては当該打撃部211による打撃後の影響を受けずに済む。そのため、次の端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入する準備をスムースに行うことが可能になる。
また、
図17(c)に示す投入機構202のように、打撃部211の可動範囲に応じてスペーサ202dを設けても良い。これにより、打撃部211の打撃(力)をより確実に投入機構202に伝達することが可能になる。
【0057】
図18は、フック204の鍵形状部位が突起部212に引っ掛かった状態を示す図である。
図18に示すように、端子筒をかしめ終わったタイミングでフック204の鍵形状の部位が突起部212に到達し、当該フック204が揺動して鍵形状部位を突起部212に引っ掛ける。これにより、操作ハンドル103が弾性体Sにより戻される動きに応じてガイド部215を引き戻すことが可能な状態になる。
【0058】
図19は、投入機構202が端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入した様子を示す図である。
図19に示すように、フック204が突起部212から離脱し、スライダ205の移動に応じて孔部213aから係止部213の突端が解除され、投入機構202が打撃部211を介して打撃されて端子Mを端子投入ガイド120の開口側から投入されている。その後、投入機構202は基準姿勢に戻ることになる。
【0059】
このように、端子圧着工具200では操作ハンドル103の動作に応じたベルト203(規制板206a、b)の動きに伴ってスライダ205が係止部213に作用して、孔部213aから係止部213の解除が行われる。スライダ205を介して孔部213aから係止部213が解除されると弾性体217に蓄えられた付勢力がガイド部215に伝達され、当該ガイド部215が打撃部211をさらに付勢する。弾性体217により付勢された打撃部211は投入機構202(羽板202b)を打撃し、これによりボックス250に収容されている端子Mが端子投入ガイド120の開口側から投入される。これにより、より確実に端子Mを搬送することが可能になる。
【0060】
上記説明した実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。