【解決手段】通信システムは、ゲートウェイ装置とコアネットワーク装置とを備える。コアネットワーク装置は、複数の第1処理ノードを有する。第1処理ノードは、複数の端末に任意の第1のIPアドレスを割り当て、第1のIPアドレスを用いて複数の端末との間でゲートウェイ装置を介して複数の第1の通信経路を確立する。ゲートウェイ装置は、複数の第1処理ノードにより複数の端末に割り当てられた複数の第1のIPアドレスを複数の異なる第2のIPアドレスに変換し、第1の通信経路におけるゲートウェイ装置と端末との間の区間を、第2のIPアドレスを用いた第2の通信経路に更新する。
3GPP(Third Generation Partnership Project)ネットワークにおいて複数の端末と通信するゲートウェイ装置と、前記3GPPネットワークにおける通信を管理するコアネットワーク装置と、を備える通信システムであって、
前記コアネットワーク装置は、複数の第1処理ノードを有し、
前記第1処理ノードは、複数の前記端末に任意の第1のIPアドレスを割り当て、前記第1のIPアドレスを用いて複数の前記端末との間で前記ゲートウェイ装置を介して複数の第1の通信経路を確立し、
前記ゲートウェイ装置は、
複数の前記第1処理ノードにより複数の前記端末に割り当てられた複数の前記第1のIPアドレスを取得し、
複数の前記第1のIPアドレスを複数の異なる第2のIPアドレスに変換し、
前記第1の通信経路における前記ゲートウェイ装置と前記端末との間の区間を、前記第2のIPアドレスを用いた第2の通信経路に更新する、
通信システム。
3GPPネットワークにおいて複数の端末と通信するゲートウェイ装置と、前記3GPPネットワークにおける通信を管理するコアネットワーク装置と、が連携して通信を制御する通信制御方法であって、
前記コアネットワーク装置は、
複数の前記端末に、重複し得る任意の第1のIPアドレスを割り当て、
前記第1のIPアドレスを用いて複数の前記端末との間で前記ゲートウェイ装置を介して複数の第1の通信経路を確立し、
前記ゲートウェイ装置は、
複数の前記端末に割り当てられた複数の前記第1のIPアドレスを取得し、
複数の前記第1のIPアドレスを複数の異なる第2のIPアドレスに変換し、
前記第1の通信経路における前記ゲートウェイ装置と前記端末との間の区間を、前記第2のIPアドレスを用いた第2の通信経路に更新する、
通信制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるLTE通信システム5の概略構成例を示す図である。LTE通信システム5は、端末10Aと、ゲートウェイ30Aと、EPC装置50と、を有する。ゲートウェイ30Aは、処理部31、記憶部32、及び通信部33を備える。EPC装置50は、PGW51、SGW53、MME(Mobility Management Entity)54、及びHSS(Home Subscriber Server)55を備える。LTE通信システム5は、非3GPP端末をLTEネットワークに収容する。
【0012】
端末10Aは、非3GPPネットワークN1を介して、ゲートウェイ30Aと通信する。非3GPPネットワークN1は、3GPPの規格に準拠していないネットワークであり、LAN(例えば無線LAN、有線LAN)、インターネット、等を含んでよい。端末10Aは、非3GPP端末である。非3GPP端末は、例えば、非3GPPネットワークN1を介して他の通信装置と通信する端末でよい。端末10Aは、ユーザによって所持される。端末10Aは、複数存在する。
【0013】
ゲートウェイ30Aは、ゲートウェイ30Aの配下の端末10Aを管理し、端末10AとEPC装置50との間で行われる通信を中継する。ゲートウェイ30Aは、ゲートウェイ30A毎に、配下にある複数の端末10Aを管理してよい。ゲートウェイ30Aは、例えば、屋外に設置されてもよいし、ビル毎に設置されてもよい。ゲートウェイ30Aは、複数存在してよい。複数のゲートウェイ30Aの配下それぞれに、1つ以上の端末10Aが存在してよい。従来のLTE通信システムは多数分散された基地局(eNB)を管理するメカニズムを有するが、このメカ二ズムを、非3GPPアクセスを収容するLTE通信システム5にも活用する。
【0014】
ゲートウェイ30Aは、LTE通信を行うためのEPC装置50にゲートウェイ30A配下の端末10Aを収容する基地局として動作してよい。ゲートウェイ30Aは、ePDG(enhanced Packet DataGateway)の機能の一部を有してよい。ただし、ePDGと異なり、ゲートウェイ30Aは、EPC装置50のPGW51やHSS55とは直接接続されず、EPC装置50のMME54及びSGW53と連携して、制御データ及びユーザデータの中継機能、等を実現する。
【0015】
ゲートウェイ30Aは、LTE通信に係るデータの中継処理を行う。ゲートウェイ30Aは、端末10Aからの通信データ(例えば制御データ又はユーザデータ)をSGW53、PGW51、SGi(EPC上位のネットワーク)、等に中継し、又は、SGW53、PGW51、SGiからの通信データを、端末10Aに中継する。この場合、ゲートウェイ30Aは、端末10A及びMME54との間で制御データを中継してよい。また、ゲートウェイ30Aは、端末10A及びSGW53との間でユーザデータを中継してよい。
【0016】
ゲートウェイ30Aの処理部31は、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))がメモリに保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。処理部31は、ゲートウェイ30Aの各部の動作を統括する。処理部31は、通信部33を介して、制御データやユーザデータを中継する。
【0017】
ゲートウェイ30Aの記憶部32は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)や各種ストレージ(例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive))を有してよく、各種情報、データ、プログラムを保持する。
【0018】
ゲートウェイ30Aの通信部33は、端末10AやEPC装置50との間で通信(有線通信又は無線通信)する。
【0019】
図1に示すように、ゲートウェイ30Aは、非3GPP端末としての端末10Aと通信し、3GPP端末と通信しない。したがって、ゲートウェイ30Aは、3GPP端末と通信するための通信インタフェースを有しなくてよい。なお、ゲートウェイ30Aは、3GPP端末と通信する機能を有してもよい。また、ゲートウェイ30Aと端末10Aとの間には、非3GPPネットワークN1における通信を管理するAP(Access Point)が配置されてもよい。
【0020】
ゲートウェイ30Aは、数的分散や地理的分散が可能である。ゲートウェイ30AとEPC装置50との間のインタフェースには、LTE通信システムの一般的な基地局としてのeNBを収容する場合と同一のS1インタフェースを用いてよい。この場合、S1インタフェースが有するメッセージ群のうち、S1AP(S1 Application Protocol)のハンドオーバーに係るメッセージを省略したインタフェースを用いることができる。
【0021】
EPC装置50は、LTEのコアネットワークに配置される装置であり、LTEプロトコルに従って、ゲートウェイ30Aと通信する。EPC装置50のPGW51、SGW53、MME54、及びHSS55の各ノードは、論理ノードでもよいし、物理ノードでもよい。つまり、1つの装置(サーバ)に機能が集約されてもよいし、複数の個別の装置(サーバ)に機能が分散されてもよい。また、EPC装置50は、PCRF(Policy and Charging Rule Function)のノードを備えてよい。なお、EPC装置50は、この構成には限定されず、他の付随的な要素を含むことができる。
【0022】
MME54とHSS55とは、PCRFとともに、制御データであるCプレーンデータを処理する。SGW53及びPGW51は、ユーザデータであるUプレーンデータを処理する。したがって、例えば、外部ネットワーク(EPC装置50よりも上流側)から端末10AへのUプレーンデータつまりUプレーンのトラフィックは、外部ネットワークからEPC装置50に到達すると、PGW51、SGW53、及びゲートウェイ30Aを介して、端末10Aへ伝送される。
【0023】
MME54は、移動制御などを提供するノードであり、位置登録、ページング、ハンドオーバー等の移動制御を行う。
【0024】
HSS55は、LTEにおける加入者管理データベースを有するノードであり、加入者の契約情報、認証情報、位置情報等の管理を行う。MME54は、HSS55から通知される認証情報に基づき、ユーザ認証を実施する。
【0025】
SGW53は、ゲートウェイ30Aに接続され、非3GPPアクセスを収容し、端末10AやPGW51へデータを伝送するゲートウェイである。
【0026】
PGW51は、外部ネットワーク(PDN)との接続点において、端末10AへのIPアドレスの割り当てやパケット転送等を行うゲートウェイである。PGW51は、PCRFと連携することで、PCRFが有するポリシ(ポリシ制御情報)に従って、動作してよい。PGW51は、PCRFが有するポリシに従って、各ベアラを介して通信される通信量や通信速度を制御してよい。
【0027】
また、PGW51は、MME54と連携して、ベアラ(データの通信経路)の確立又は削除を行う。PGW51によるベアラ確立の詳細については、後述する。
【0028】
PCRFは、ユーザデータ転送のQoS(Quality of Service;パケットの優先転送等、通信の品質の制御)及び課金の為の制御を行うノードである。PCRFが決定したQoS値は、PGW51に通知される。PGW51は、通知されたQoS値に従って、Uプレーンデータに対してQoS制御を実施する。QoS値は、例えば、ポリシの制御情報に含まれる設定値でよい。
【0029】
EPC装置50は、処理部、記憶部、通信部、を有する。EPC装置50の各ノードが論理ノードである場合には、1つの装置に処理部、記憶部、及び通信部が設けられてよい。EPC装置50の各ノードが物理ノードである場合、各ノードに処理部、記憶部、及び通信部が設けられてよい。
【0030】
EPC装置50の処理部は、プロセッサ(例えばCPU)がメモリに保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。EPC装置50の記憶部は、例えばROMやRAMや各種ストレージ(例えばHDD、SSD)を有してよく、各種情報、データ、プログラムを保持する。EPC装置50の通信部は、ゲートウェイ30Aや外部ネットワークにおける各種装置との間で通信(有線通信又は無線通信)する。EPC装置50による通信は、LTE通信を含む。LTE通信は、VoLTE通信を含んでよい。
【0031】
次に、ベアラの確立の詳細について説明する。
【0032】
本実施形態では、複数のPGW51のそれぞれが、複数の端末10Aのそれぞれとの間で、複数の異なるベアラを確立する。複数のPGW51は、同一のEPC装置50が備える複数のPGW51でもよいし(
図1参照)、異なるEPC装置50が備える複数のPGW51でもよい。この場合、PGW51は、ベアラ毎に、つまりベアラの終端に位置する端末10A毎に、任意のIPアドレスを割り当てる。同一のPGW51により割り当てられるIPアドレスは、異なるIPアドレスとなる。
【0033】
ここで、各PGW51は、他のPGW51と連携しておらず、他のPGW51が割り当てるIPアドレスやIPアドレスの範囲を感知していない。そのため、それぞれのPGW51が割り当てるそれぞれのIPアドレスは、重複し得る。複数のPGW51と複数の端末10Aとの間の通信を、同一のゲートウェイ30Aが中継し得る。非3GPPネットワークN1では、IPアドレスにより通信先を判断するので、ゲートウェイ30Aは、同一のIPアドレスが割り当てられた場合、複数の端末10Aを識別できず、複数の端末10Aとの間で通信することが困難となる。これに対し、ゲートウェイ30Aは、端末10Aに割り当てられたIPアドレスの少なくとも一部を変換し、EPC装置50(例えばPGW51)と端末10Aとの間のベアラを介した通信を可能とする。この場合、EPC装置50と端末10Aとの間のベアラを介した通信の一部を、IPアドレスを用いた通信に変更できる。
【0034】
図2は、アドレス変換テーブルTB1の一例を示す図である。アドレス変換テーブルTB1は、ゲートウェイ30Aの記憶部32が記憶する。アドレス変換テーブルTB1には、ベアラを識別するベアラIDと、ベアラIDで識別されるベアラで用いる複数のIPアドレスと、が格納される。ベアラIDは、例えば、E−RAB ID又はTEIDでよい。複数のIPアドレスは、第1IPアドレス及び第2IPアドレスを含む。第1IPアドレス及び第2IPアドレスは、いずれのIPアドレスが変換前のものでも変換後のものでもよい。第2IPアドレスの各々は、それぞれ重複のない識別情報となる。
【0035】
例えば、ゲートウェイ30Aと端末10Aとが接続されてベアラが確立されると、アドレス変換テーブルTB1へ情報の追加(レコードの追加)が行われてよい。また、ゲートウェイ30Aと端末10Aとの接続が解除されてベアラの確立が解除されると、アドレス変換テーブルTB1から情報の削除(レコードの削除)が行われてよい。
【0036】
図3は、LTE通信システム5の動作例を示すシーケンス図である。
【0037】
EPC装置50のPGW51は、端末10Aとの間でゲートウェイ30Aを介してベアラを確立する(S11)。ここでは、複数の異なるPGW51が、複数の異なる端末10Aとの間で、ゲートウェイ30Aを介して、複数の異なるベアラを確立する。各PGW51は、各ベアラに対応する各端末10Aに、それぞれ初期IPアドレスとしての第1IPアドレスを割り当てる。ここでは、1つのベアラに対して1つの第1IPアドレスが割り当てられる。
【0038】
具体的には、
図4に示すように、端末10Aは、端末10Aの電源が投入されると、ゲートウェイ30Aを介して、EPC装置50のMME54へEPC装置50への接続要求(Attach Request(PDN Connectivity Request))を送信する(S111)。MME54は、SGW53を介してセッション生成要求(Create Session Request)をPGW51へ送信する(S112)。PGW51は、動的IPアドレス割当機能により、プールされたIPアドレスから第1IPアドレス(例えば「1.2.3.4」)を決定する(S113)。PGW51は、SGW53を介して、第1IPアドレスを含むセッション生成応答(Create Session Response)をMME54へ送信する(S114)。MME54は、ゲートウェイ30Aを介して、第1IPアドレスを含むEPC装置50からの接続応答(Attach Accept)を端末10Aへ送信する(S115)。これにより、端末10Aは、ベアラに対応する第1IPアドレスを取得可能である(S116)。
【0039】
図3に戻り、ゲートウェイ30Aは、各ベアラに対応する各端末10Aの第1IPアドレスの情報を取得する(S12)。例えば、ゲートウェイ30Aの処理部31は、通信部33を介してベアラを確立するために中継される第1IPアドレスを取得してよい。また、処理部31は、通信部33を介して端末10Aから通知される第1IPアドレスを取得してよい。第1IPアドレスは、重複し得る。
【0040】
ゲートウェイ30Aの処理部31は、端末10Aに割り当てられるIPアドレスを再割り当てする(S13)。この場合、処理部31は、アドレス変換テーブルTB1を参照し、既にアドレス変換テーブルTB1に登録された第2IPアドレスと重複しないように、S12で取得された第1IPアドレスに対応する第2IPアドレスを決定する。処理部31は、この第1IPアドレスと第2IPアドレスとを、ベアラIDとともにアドレス変換テーブルTB1に登録する。
【0041】
なお、第2IPアドレスは、端末10Aとゲートウェイ30Aとの間で通信するためのIPアドレスとなる。よって、第2IPアドレスは、非3GPPネットワークN1を介する通信において用いられる。また、第1IPアドレスは、3GPPネットワークN2(例えばLTEネットワーク)を介する通信において用いられる。
【0042】
ゲートウェイ30Aの通信部33は、決定された第2IPアドレスを端末10Aに通知する(S14)。この端末10Aは、第1IPアドレスが第2IPアドレスに変換されるベアラの終端に位置する端末10Aである。
【0043】
端末10Aは、ゲートウェイ30Aとの間で第2IPアドレスを用いた通信セッションを確立する(S15)。この通信セッションは、S11において確立されたベアラの一部が変更(端末10AのIPアドレスが変更)されたものに相当する。
【0044】
これにより、ゲートウェイ30Aと複数の端末10Aとの間では、重複のない第2IPアドレスを用いた複数の通信セッションが確立される。また、ゲートウェイ30Aと複数のPGW51との間では、重複し得る第1IPアドレスを用いて通信するが、重複し得る第1IPアドレスに対応する異なるベアラIDにより、通信を識別可能である。
【0045】
端末10A及びゲートウェイ30Aは、第2IPアドレスを用いて確立された通信セッションを介して通信する(S16)。ゲートウェイ30A及びEPC装置50は、第1IPアドレスを用いて確立されたベアラを介して通信する(S17)。この場合、PGW51から端末10Aへデータを通信する場合、ゲートウェイ30Aにより第1IPアドレスから第2IPアドレスに変換されて、通信される。また、端末10AからPGW51へデータを通信する場合、ゲートウェイ30Aにより第2IPアドレスから第1IPアドレスに変換されて、通信される。
【0046】
このように、LTE通信システム5は、例えば、EPC装置50と端末10Aとの間でベアラを確立する際に、ゲートウェイ30Aが各ベアラの初期IPアドレス(第1IPアドレス)の情報を収集、登録、保持する。ゲートウェイ30Aは、新たに確立された新規ベアラに対して、他のベアラと重複のない第2IPアドレスを決定する。ゲートウェイ30Aは、第2IPアドレスを端末10Aに通知し、この第2IPアドレスを用いる通信セッションを確立する。以降、パケットの転送に際して、端末10Aとゲートウェイ30Aとの間では第2IPアドレスを用いることができ、ゲートウェイ30AとEPC装置50との間では初期IPアドレス(第1IPアドレス)を用いることができる。このようにして、LTE通信システム5は、複数の端末10Aを収容するゲートウェイ30Aにおいて、容易に第1IPアドレスが重複する通信を管理できる。したがって、重複して第1IPアドレスが割り当てられた場合でも、後に第1IPアドレスが割り当てられた通信が不能となることを抑制できる。
【0047】
(変形例)
本実施形態では、第1IPアドレスの内容に関わらず第2IPアドレスに変換することを主に例示した。この代わりに、第1IPアドレスが重複する場合に限って、第2IPアドレスへの変換を行ってもよい。
【0048】
この場合、
図3のS13,S14は、以下のような動作となってよい。例えば、ゲートウェイ30Aの処理部31は、アドレス変換テーブルTB1を参照し、S12で取得された第1IPアドレスが、既にアドレス変換テーブルTB1に記録されているか否かを判定する。
【0049】
S12で取得された第1IPアドレスがアドレス変換テーブルTB1に既に記録されていない場合、つまり第1IPアドレスが重複する場合、処理部31は、前述のS13と同様に、端末10Aに割り当てられるIPアドレスを再割り当てする。つまり、処理部31は、アドレス変換テーブルTB1を参照し、既にアドレス変換テーブルTB1に登録された第2IPアドレスと重複しないように、S12で取得された第1IPアドレスに対応する第2IPアドレスを決定する。処理部31は、この第1IPアドレスと第2IPアドレスとを、ベアラIDとともにアドレス変換テーブルTB1に登録する。通信部33は、決定された第2IPアドレスを端末10Aに通知する。
【0050】
一方、S12で取得された第1IPアドレスがアドレス変換テーブルTB1に記録されていない場合、つまり第1IPアドレスが重複してしない場合、処理部31は、端末10Aに割り当てられるIPアドレスを再割り当てしない。つまり、第1IPアドレスに対応する第2IPアドレスを決定せず、アドレス変換テーブルTB1に登録しない。よって、通信部33は、第2IPアドレスを端末10Aに通知せず、端末10Aとの間で第2IPアドレスを用いた通信セッションの確立を行わない。この場合、EPC装置50と端末10Aとの間では、ゲートウェイ30Aを介してベアラID又は第1IPアドレスを用いた通信が行われる。
【0051】
このように、変形例のLTE通信システム5は、ゲートウェイ30Aは、既に使用されている(アドレス変換テーブルTB1に登録されている)第1IPアドレスを取得した場合には第2IPアドレスへの変換を行い、使用されていない第1IPアドレスを取得した場合には第2IPアドレスへの変換を行わない。これにより、ゲートウェイ30Aは、重複時に限りアドレス変換を行うようにできるので、IPアドレスによって通信識別を可能にしつつ、アドレス変換に係る処理負荷を低減できる。
【0052】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、非3GPP端末としての端末と通信を行うゲートウェイがIPアドレスの重複を解消することについて説明した。第2の実施形態では、3GPP端末としての端末と通信を行うゲートウェイが、端末に割り当てられるIPアドレスの重複を解消することについて説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の事項については、説明を省略又は簡略化する。
【0053】
図5は、第2の実施形態におけるLTE通信システム5Bの概略構成例を示す図である。LTE通信システム5Bは、端末10Bと、ゲートウェイ30Bと、EPC装置50と、を有する。
図5のLTE通信システム5Bにおいて、
図1に示したLTE通信システム5と同様の構成については、その説明を省略又は簡略化する。
【0054】
端末10Bは、3GPPネットワークN2を介して、ゲートウェイ30Bと通信する。3GPPネットワークN2は、3GPPの規格に準拠したネットワークであり、LTEネットワーク、その他の3GPPネットワークを含んでよい。端末10Bは、3GPP端末であり、UE(User Equipment)に相当する。3GPP端末は、例えば、3GPPネットワークN2を介して他の通信装置と通信する端末でよい。端末10Bは、ユーザによって所持される。端末10Bは、複数存在する。
【0055】
ゲートウェイ30Bは、ゲートウェイ30Bの配下の端末10Bを管理し、端末10BとEPC装置50との間で行われる通信を中継する。ゲートウェイ30Bは、例えば、屋外に設置されてもよいし、ビル毎に設置されてもよい。ゲートウェイ30Bは、複数存在してよい。複数のゲートウェイ30Bの配下それぞれに、1つ以上の端末10Bが存在してよい。ゲートウェイ30Bは、多数分散され得る基地局としてのeNBである。ゲートウェイ30Bは、
図1のゲートウェイ30Aと同様に、処理部31、記憶部32、及び通信部33を備える。
【0056】
図5に示すように、ゲートウェイ30Bは、3GPP端末としての端末10Bと通信し、非3GPP端末と通信しない。したがって、ゲートウェイ30Bは、非3GPP端末と通信するための通信インタフェースを有しなくてよい。なお、ゲートウェイ30Bは、非3GPP端末と通信する機能を有してもよい。
【0057】
次に、ベアラの確立の詳細について説明する。
【0058】
本実施形態では、複数のPGW51のそれぞれが、複数の端末10Bのそれぞれとの間で、複数の異なるベアラを確立する。複数のPGW51は、同一のEPC装置50が備える複数のPGW51でもよいし(
図5参照)、異なるEPC装置50が備える複数のPGW51でもよい。この場合、PGW51は、ベアラ毎に、つまりベアラの終端に位置する端末10B毎に、任意のIPアドレスを割り当てる。同一のPGW51により割り当てられるIPアドレスは、異なるIPアドレスとなる。
【0059】
一方、第1の実施形態で説明したように、それぞれのPGW51が割り当てるそれぞれのIPアドレスは、重複し得る。複数のPGW51と複数の端末10Bとの間の通信を、同一のゲートウェイ30Bが中継し得る。3GPPネットワークN2では、ベアラIDを用いて通信可能であるが、IPアドレスを用いて通信することも可能である。3GPPネットワークN2においてIPアドレスを用いて通信することで、通信を高速化し易くなり、汎用のハードウェア(チップ等)を用いることが可能となり、コストを削減できる。3GPPネットワークN2においてIPアドレスを用いて通信する場合、IPアドレスにより通信先を判断するので、ゲートウェイ30Bは、同一のIPアドレスが割り当てられた場合、複数の端末10Bを識別できず、複数の端末10Bとの間で通信することが困難となる。これに対し、ゲートウェイ30Bは、端末10Bに割り当てられたIPアドレスの少なくとも一部を変換し、EPC装置50(例えばPGW51)と端末10Bとの間のベアラを介した通信の一部を、IPアドレスを用いた通信に変更できる。
【0060】
本実施形態のアドレス変換テーブルは、第1の実施形態で示したアドレス変換テーブルTB1と同じでよいので、詳細な説明を省略する。
【0061】
図6は、LTE通信システム5Bの動作例を示すシーケンス図である。
【0062】
EPC装置50のPGW51は、端末10Bとの間でゲートウェイ30Bを介してベアラを確立する(S21)。ここでは、複数の異なるPGW51が、複数の異なる端末10Bとの間で、ゲートウェイ30Bを介して、複数の異なるベアラを確立する。各PGW51は、各ベアラに対応する各端末10Bに、それぞれ初期IPアドレスとしての第1IPアドレスを割り当てる。PGW51による第1IPアドレスの取得方法は、第1の実施形態と同様でよく、例えば
図4で説明した方法でよい。
【0063】
ゲートウェイ30Bは、各ベアラに対応する各端末10Bの第1IPアドレスの情報を取得する(S22)。例えば、ゲートウェイ30Bによる第1IPアドレスの取得方法は、第1の実施形態と同様でよい。
【0064】
ゲートウェイ30Bの処理部31は、端末10Bに割り当てられるIPアドレスを再割り当てする(S23)。例えば、ゲートウェイ30BによるIPアドレスの再割り当て方法は、第1の実施形態と同様でよい。
【0065】
ゲートウェイ30Bの通信部33は、決定された第2IPアドレスを端末10Bに通知する(S24)。この端末10Bは、第1IPアドレスが第2IPアドレスに変換されるベアラの終端に位置する端末10Bである。
【0066】
端末10Bは、ゲートウェイ30Bとの間で第2IPアドレスを用いた通信セッションを確立する(S25)。この通信セッションは、S21において確立されたベアラの一部が変更(端末10BのIPアドレスが変更)されたものに相当する。
【0067】
これにより、ゲートウェイ30Bと複数の端末10Bとの間では、重複のない第2IPアドレスを用いた複数の通信セッションが確立される。また、ゲートウェイ30Bと複数のPGW51との間では、重複し得る第1IPアドレスを用いて通信するが、重複し得る第1IPアドレスに対応する異なるベアラIDにより、通信を識別可能である。
【0068】
端末10B及びゲートウェイ30Bは、第2IPアドレスを用いて確立された通信セッションを介して通信する(S26)。ゲートウェイ30B及びEPC装置50は、第1IPアドレスを用いて確立されたベアラを介して通信する(S27)。この場合、PGW51から端末10Bへデータを通信する場合、ゲートウェイ30Bにより第1IPアドレスから第2IPアドレスに変換されて、通信される。また、端末10BからPGW51へデータを通信する場合、ゲートウェイ30Bにより第2IPアドレスから第1IPアドレスに変換されて、通信される。
【0069】
このように、LTE通信システム5Bは、例えば、EPC装置50と端末10Bとの間でベアラを確立する際に、ゲートウェイ30Bが各ベアラの初期IPアドレスの情報を収集、登録、保持する。ゲートウェイ30Bは、新たに確立された新規ベアラに対して、他のベアラと重複のない第2IPアドレスを決定する。ゲートウェイ30Bは、第2IPアドレスを端末10Bに通知し、この第2IPアドレスを用いる通信セッションを確立する。以降、パケットの転送に際して、端末10Bとゲートウェイ30Bとの間では第2IPアドレスを用いることができ、ゲートウェイ30BとEPC装置50との間では当初のIPアドレス(第1IPアドレス)を用いることができる。このようにして、LTE通信システム5Bは、複数の端末10Bを収容するゲートウェイ30Bにおいて、容易に第1IPアドレスが重複する通信を管理できる。また、ゲートウェイ30Bは、IP通信を行うための汎用のハードウェアを用いて構成可能である。ベアラIDを用いる場合よりもIP通信の処理の方が高速化できる。
【0070】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態の変形例と同様に、第1IPアドレスが重複する場合に限って、第2IPアドレスへの変換を行ってもよい。
【0071】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0072】
上記実施形態では、端末10Aを扱うLTE通信システム5と端末10Bを扱うLTE通信システム5Bとを分けて説明したが、LTE通信システムにおいて端末10A及び端末10Bの双方を扱ってもよい。
【0073】
上記実施形態では、ゲートウェイ30A,30BがEPC装置50と別体であることを例示したが、EPC装置50がゲートウェイ30A,30Bを含んでもよい。または、EPC装置50がゲートウェイ30A,30Bの機能を有してもよい。
【0074】
以上のように、LTE通信システム5は、3GPPネットワークN2において複数の端末10Aと通信するゲートウェイ30Aと、3GPPネットワークN2における通信を管理するEPC装置50と、を備える。EPC装置50は、複数のPGW51を有する。PGW51は、複数の端末10Aに任意の第1のIPアドレスを割り当て、第1のIPアドレスを用いて複数の端末10Aとの間でゲートウェイ30Aを介して複数のベアラを確立する。ゲートウェイ30Aは、複数のPGW51により複数の端末10Aに割り当てられた複数の第1のIPアドレスを取得し、複数の第1のIPアドレスを複数の異なる第2のIPアドレスに変換し、ベアラにおけるゲートウェイ30Aと端末10Aとの間の区間を、第2のIPアドレスを用いた通信セッションに更新する。
【0075】
また、LTE通信システム5Bは、3GPPネットワークN2において複数の端末10Bと通信するゲートウェイ30Bと、3GPPネットワークN2における通信を管理するEPC装置50と、を備える。EPC装置50は、複数のPGW51を有する。PGW51は、複数の端末10Bに任意の第1のIPアドレスを割り当て、第1のIPアドレスを用いて複数の端末10Bとの間でゲートウェイ30Bを介して複数のベアラを確立する。ゲートウェイ30Bは、複数のPGW51により複数の端末10Bに割り当てられた複数の第1のIPアドレスを取得し、複数の第1のIPアドレスを複数の異なる第2のIPアドレスに変換し、ベアラにおけるゲートウェイ30Bと端末10Bとの間の区間を、第2のIPアドレスを用いた通信セッションに更新する。
【0076】
なお、LTE通信システム5は、通信システムの一例である。端末10A,10Bは、端末の一例である。ゲートウェイ30A,30Bは、ゲートウェイ装置の一例である。EPC装置50は、コアネットワーク装置の一例である。PGW51は、第1処理ノードの一例である。ベアラは、第1の通信経路の一例である。通信セッションは、第2の通信経路の一例である。
【0077】
これにより、LTE通信システム5は、複数のPGW51を有しても、複数のPGW51において連携して動作する。そのため、LTE通信システム5は、複数のPGW51が同一の第1IPアドレスを割り当てても、重複し得る複数の第1IPアドレスから、重複しない第2IPアドレスを取得できる。よって、PGW51よりも端末10A側に配置されたゲートウェイ30Aは、IPアドレスを用いて複数の端末10Aの識別を識別でき、EPC装置50と端末10Aとの間の通信の劣化を抑制できる。したがって、LTE通信システム5は、複数のPGW51が存在する場合でも、EPC装置50と複数の端末10Aとの間で安定して通信できる。
【0078】
また、LTE通信システム5Bは、複数のPGW51を有しても、複数のPGW51において連携して動作する。そのため、LTE通信システム5Bは、複数のPGW51が同一の第1IPアドレスを割り当てても、重複し得る複数の第1IPアドレスから、重複しない第2IPアドレスを取得できる。よって、PGW51よりも端末10B側に配置されたゲートウェイ30Bは、IPアドレスを用いて複数の端末10Bの識別を識別でき、EPC装置50と端末10Bとの間の通信の劣化を抑制できる。したがって、LTE通信システム5Bは、複数のPGW51が存在する場合でも、EPC装置50と複数の端末10Bとの間で安定して通信できる。
【0079】
また、ゲートウェイ30Aは、第1IPアドレスと第2IPアドレスとの変換を行ってよい。ゲートウェイ30Aは、端末10Aとの間で、第2IPアドレスを用いた通信セッションを介して通信してよい。ゲートウェイ30Aは、EPC装置50との間で、第1IPアドレスを用いたベアラを介して通信してよい。
【0080】
また、ゲートウェイ30Bは、第1IPアドレスと第2IPアドレスとの変換を行ってよい。ゲートウェイ30Bは、端末10Bとの間で、第2IPアドレスを用いた通信セッションを介して通信してよい。ゲートウェイ30Bは、EPC装置50との間で、第1IPアドレスを用いたベアラを介して通信してよい。
【0081】
これにより、LTE通信システム5は、ゲートウェイ30Aと端末10Aとの間では、重複しない第2IPアドレスを用いて通信し、ゲートウェイ30AとEPC装置50との間では、重複し得る第1IPアドレスを用いて通信できる。第1IPアドレスが重複しても、ゲートウェイ30AとEPC装置50との間ではベアラIDによって通信を一意に識別可能である。よって、ゲートウェイ30Aは、第1IPアドレスが重複しても、EPC装置10と端末10Aとの間の通信を中継可能である。
【0082】
また、LTE通信システム5Bは、ゲートウェイ30Bと端末10Bとの間では、重複しない第2IPアドレスを用いて通信し、ゲートウェイ30BとEPC装置50との間では、重複し得る第1IPアドレスを用いて通信できる。第1IPアドレスが重複しても、ゲートウェイ30BとEPC装置50との間ではベアラIDによって通信を一意に識別可能である。よって、ゲートウェイ30Bは、第1IPアドレスが重複しても、EPC装置10と端末10Bとの間の通信を中継可能である。
【0083】
また、ゲートウェイ30Aは、複数の第1IPアドレスに同一のIPアドレスが含まれるか否かを判定してよい。ゲートウェイ30Aは、同一のIPアドレスが含まれる場合、同一のIPアドレスである複数の第1IPアドレスを、複数の異なる第2IPアドレスに変換してよい。
【0084】
また、ゲートウェイ30Bは、複数の第1IPアドレスに同一のIPアドレスが含まれるか否かを判定してよい。ゲートウェイ30Bは、同一のIPアドレスが含まれる場合、同一のIPアドレスである複数の第1IPアドレスを、複数の異なる第2IPアドレスに変換してよい。
【0085】
これにより、LTE通信システム5,5Bは、第1IPアドレスが重複して割り当てられた場合に限って、第2IPアドレスへの変換を行うので、IPアドレスによって通信識別を可能にしつつ、アドレス変換に係る処理負荷を低減できる。
【0086】
また、端末は、非3GPPネットワークN1に配置された端末10A(非3GPP端末の一例)を含んでよい。ゲートウェイ30Aは、端末10Aを3GPPネットワークN2に収容してよい。
【0087】
これにより、LTE通信システム5は、非3GPPネットワークN1で用いられる端末10A(例えばWifi(登録商標)端末)を3GPPネットワークN2において用い、複数のPGW51が存在する場合でも、EPC装置50と複数の端末10Aとの間で安定して通信できる。
【0088】
また、端末は、3GPPネットワークN2に配置された端末10B(3GPP端末の一例)を含んでよい。
【0089】
これにより、LTE通信システム5Bは、3GPPネットワークN2で用いられる端末10B(例えばLTE端末)を用い、複数のPGW51が存在する場合でも、EPC装置50と複数の端末10Bとの間で安定して通信できる。
【0090】
また、ゲートウェイ30Bは、eNodeBとして動作し、S1インタフェースを介してEPC装置50と通信してよい。
【0091】
これにより、LTE通信システム5Bは、LTE通信において通常用いるeNBに上記実施形態の通信を適用でき、複数のPGW51が存在しても、EPC装置50と複数の端末10Bとの間で安定して通信できる。