【解決手段】ケーブル牽引ユニットは、ケーブル端末部を牽引するためのケーブル牽引ユニットであって、ケーブル端末部が挿通される第1貫通孔及び第1貫通孔とは異なる第2貫通孔を有するフックプレートと、第2貫通孔に脱落不能に挿通され牽引方向に延在する連結シャフトとを備える。第1貫通孔の外径は、ケーブル端末部の外径よりも大きく、フックプレートは、連結シャフトが牽引方向へ引っ張られることに伴い傾斜して、第1貫通孔の開口縁がケーブル端末部に接触してケーブル端末部を2点支持する。
前記フックプレートは、前記第1貫通孔の開口縁において、牽引時に前記ケーブル端末部と接触する部位に、前記ケーブル端末部を引き留めるための引留加工が施されている、請求項1に記載のケーブル牽引ユニット。
前記ケーブル端末部を前記結合プレートに突き当てた状態で、前記フックプレートと前記結合プレートとの間の距離が短くなる方向に、それぞれの前記連結シャフトを前記結合プレートに締結することで、それぞれの前記フックプレートが前記ケーブル端末部に固定される、請求項5に記載のケーブル牽引ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の手法では、プーリングアイの圧縮接続作業は不要となるが、その代わりに、ケーブル端末部を配線可能状態に端末処理して拡径部を設ける必要がある。ケーブルの敷設時には、ケーブル端末部を配線可能状態に端末処理する工程において序でに拡径部を設ければよいが、既設のケーブルを撤去する場合には、ケーブル端末部に拡径部を設けるためにわざわざ端末処理を施す必要があり、プーリングアイを圧縮接続する場合に比較して作業性が向上するとは言いがたい。
【0007】
本発明の目的は、ケーブルを牽引して敷設又は撤去する際の作業性を向上できるケーブル牽引ユニット及びケーブルの撤去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るケーブル牽引ユニットは、
ケーブル端末部を牽引するためのケーブル牽引ユニットであって、
前記ケーブル端末部が挿通される第1貫通孔、及び、前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔を有するフックプレートと、
前記第2貫通孔に脱落不能に挿通され牽引方向に延在する連結シャフトと、を備え、
前記第1貫通孔の外径は、前記ケーブル端末部の外径よりも大きく、
前記フックプレートは、前記連結シャフトが前記牽引方向へ引っ張られることに伴い傾斜して、前記第1貫通孔の開口縁が前記ケーブル端末部に接触し、前記ケーブル端末部を2点支持する。
【0009】
本発明に係るケーブルの撤去方法は、
管路に敷設されたケーブルを、上記のケーブル牽引ユニットを用いて撤去するケーブル撤去方法であって、
前記ケーブルの前記ケーブル端末部に前記ケーブル牽引ユニットを取り付ける第1工程と、
前記ケーブル牽引ユニットを介して前記ケーブルを牽引して地上に引き上げる第2工程と、
前記ケーブルを所定長に切断する第3工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブル端末部に容易に装着し、ケーブルを安定的に保持することができ、ケーブルを牽引して敷設又は撤去する際の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1、
図2は、本発明の一実施の形態に係るケーブル牽引ユニット1を示す図である。
図1は、ケーブル牽引ユニット1の正面図であり、
図2は、ケーブル牽引ユニット1の半断面図である。なお、
図2では、ケーブル牽引ユニット1の構造を理解しやすくするため、
図1におけるケーブル保持部10C、10Dを省略して示している。
【0013】
図1、
図2に示すように、ケーブル牽引ユニット1は、ケーブル保持部10A〜10D及びケーブル牽引部20を備える。ケーブル牽引ユニット1は、例えば、ケーブルを管路内に敷設する際、又は管路に敷設されているケーブルを撤去する際に、ケーブルのケーブル端末部2に装着されて使用される。ケーブル牽引ユニット1は、ケーブルの敷設時及び撤去時に要求される許容張力を満たす強度を有する。
【0014】
本実施の形態では、一例として、ゴム又はプラスチックで絶縁された大サイズ(例えば、公称導体断面積が600〜2500mm
2)の電力ケーブルを牽引対称とする。電力ケーブルは、例えば、導体、内部半導電層、絶縁体、外部半導電層、遮へい層及び外被(シース)等を備える。ケーブル端末部2は、ケーブル牽引ユニット1が装着される部分であり、例えば、電力ケーブルの先端部を段剥ぎすることにより露出させた導体で構成される。
【0015】
ケーブル牽引ユニット1において、ケーブル保持部10A〜10Dは、牽引時にケーブル端末部2を保持する部分である。本実施の形態では、4つのケーブル保持部10A〜10Dが設けられている。ケーブル保持部10A〜10Dは、同様の構成を有しており、それぞれ、フックプレート11A〜11D及び連結シャフト12A〜12Dを有する。ケーブ保持部10A〜10Dは、それぞれの連結シャフト12A〜12Dがケーブル端末部2を中心とする同一円周上において等間隔となるように均等配置される。
【0016】
フックプレート11A〜11Dは、
図3A、
図3Bに示すように、第1貫通孔111及び第2貫通孔112を有する板状部材である。
図3Aは、フックプレート11A〜11Dの斜視図であり、
図3Bは、フックプレート11A〜11Dの厚さ方向(牽引方向)に沿う断面図である。本実施の形態では、フックプレート11A〜11Dは、牽引方向から見た平面視において略矩形状の外形を有している。なお、フックプレート11A〜11Dの外形は、矩形に制限されず、例えば、長円形、楕円形又は瓢箪形であってもよい。また、フックプレート11A〜11Dのサイズは、ケーブル牽引ユニット1をケーブル端末部2に装着した状態で、管路内をスムーズに牽引できる程度であれば、特に制限されない。
【0017】
第1貫通孔111は、ケーブル端末部2が挿通される部分である。第1貫通孔111の外径は、ケーブル端末部2の外径よりも、例えば、1mm程度大きく形成されており、牽引方向に対して傾斜できるようになっている。
【0018】
また、第1貫通孔111の開口縁において、牽引時にケーブル端末部2に接触する支持部位113、114には、ケーブル端末部2を引き留めるための引留加工が施されている。本実施の形態では、支持部位113、114に、牽引方向に延在する引留め溝が形成され、ケーブル端末部2に食い込みやすくなっている。
【0019】
第2貫通孔112は、連結シャフト12A〜12Dが挿通される部分である。第2貫通孔112は、連結シャフト12A〜12Dを牽引方向に引っ張ったときに、フックプレート11A〜11Dが傾斜するように、フックプレート11A〜11Dの重心からずれた位置に設けられる。第2貫通孔112の外径は、連結シャフト12A〜12Dの外径よりも大きく形成され、連結シャフト12A〜12Dの径方向への移動が許容されている。これにより、連結シャフト12A〜12Dを牽引方向に引っ張ることに伴いフックプレート11A〜11Dが傾斜しても、連結シャフト12A〜12Dは、牽引方向に対して略平行に保持される。また、第2貫通孔112において、連結シャフト12A〜12Dの頭部122が配置される側の開口縁には座ぐり115が設けられる。
【0020】
連結シャフト12A〜12Dは、それぞれ、フックプレート11A〜11Dの第2貫通孔112に脱落不能に挿通される。連結シャフト12A〜12Dは、シャフト本体部121と、シャフト本体部121の一方の端部に設けられる頭部122と、を有する。また、シャフト本体部121には、固定ナット124が締め込まれるねじ部123が設けられている。
【0021】
本実施の形態では、頭部122の外径を、第2貫通孔112の外径よりも大きくすることにより、連結シャフト12A〜12Dが、少なくとも牽引時に第2貫通孔112から脱落不能となっている。すなわち、頭部122は、第2貫通孔112からの連結シャフト12A〜12Dの脱落を防止する係止部として機能する。
なお、頭部122は、シャフト本体部121と同一部材として形成されてもよいし、シャフト本体部121の一方の端部にねじ部を形成して、ナットを締結することにより形成されてもよい。
【0022】
連結シャフト12A〜12Dは、半月座金125を介して、フックプレート11A〜11Dの第2貫通孔112に挿通される。半月座金125は、厚さ方向における一方の面が曲面形状を有し、他方の面が平面形状を有し、曲面側がフックプレート11A〜11Dを向くように配置される。連結シャフト12A〜12Dをフックプレート11A〜11Dに挿通した際、半月座金125は、フックプレート11A〜11Dの座ぐり115に沈み込み保持される。
ケーブル端末部2に対してフックプレート11A〜11Dが傾斜すると、連結シャフト12A〜12Dの頭部122とフックプレート11A〜11Dとの間に隙間が生じるが、半月座金125の曲面側がフックプレート11A〜11Dの傾斜に追従することによって吸収される(
図4A、
図4B参照)。これにより、連結シャフト12A〜12Dを牽引方向に引っ張るときに、ケーブル端末部2に対する連結シャフト12A〜12Dの平行度を容易に保持することができる。
【0023】
ケーブル牽引部20は、ケーブル保持部10A〜10Bに接続され、ケーブル端末部2を牽引するための部分であり、一般に、ケーブルアイと呼ばれる。ケーブル牽引部20は、結合プレート21及び牽引金具22(アイ金具)を有する。ケーブル端末部2を牽引する際には、牽引金具22に、例えば、牽引用のワイヤーが接続される。本実施の形態では、結合プレート21と牽引金具22は別部材で構成されているが、同一部材として一体的に形成されてもよい。
【0024】
結合プレート21は、例えば、円板状の部材であり、連結シャフト12A〜12Dが挿通される4つの挿通孔211を有する。結合プレート21に連結シャフト12A〜12Dを挿通した状態で、連結シャフト12A〜12Dのねじ部123に固定ナット124を締め込むことにより、フックプレート11A〜11Dと結合プレート21との間に、連結シャフト12A〜12Dが固定される。固定ナット124の締め込み量により、フックプレート11A〜11Dと結合プレート21との間の距離を調整することができる。ケーブル端末部2に対するフックプレート11A〜11Dの位置が保持されていれば、連結シャフト12A〜12Dは、結合プレート側に引っ張られることとなる。
【0025】
挿通孔211の外径は、シャフト本体部121の外径よりも大きく形成されており、連結シャフト12A〜12Dの径方向への移動が許容されている。これにより、連結シャフト12A〜12Dを牽引方向に引っ張ることに伴いフックプレート11A〜11Dが傾斜しても、連結シャフト12A〜12Dが牽引方向に対して略平行に保持される。
【0026】
また、結合プレート21は、下面(牽引金具22が取り付けられる側とは反対側の面)にケーブル当接部材212を有する。ケーブル当接部材212は、ケーブル端末部2にケーブル牽引ユニット1を取り付ける際に、ケーブル端末部2の先端と当接する。ケーブル当接部材212は、ケーブル端末部2の先端との距離を調整可能であることが好ましい。ケーブル当接部材212には、例えば、軸方向の長さを調整可能な長さ調整ねじを適用できる。
【0027】
ケーブル端末部2にケーブル牽引ユニット1を取り付ける場合、まず、ケーブル端末部2に、4つのフックプレート11A〜11Dを挿通する。フックプレート11A〜11Dの第1貫通孔111の外径は、ケーブル端末部2の外径よりも大きいので、フックプレート11A〜11Dは、ケーブル端末部2に沿って自由に移動することができ、不安定な状態で挿通されている。
【0028】
次に、ケーブル端末部2の先端をケーブル当接部材212に突き当てた状態で、フックプレート11A及び結合プレート21に、連結シャフト12Aを挿通する。そして、フックプレート11Aの位置を保持しながら固定ナット124を締め込む。ここでは、ケーブル端末部2の先端側に位置するケーブル保持部10Aを最初に固定する場合について説明するが、他のケーブル保持部10B〜10Dを先に固定してもよい。
【0029】
フックプレート11Aの位置が保持された状態で連結シャフト12Aが結合プレート21側に引っ張られることに伴い、フックプレート11Aの一端が可動点として引っ張られ、フックプレート11Aは徐々に傾斜する。最終的に、ケーブル端末部2が支持部位113、114によって2点支持された状態となり、ケーブル保持部10Aは、結合プレート21及びケーブル端末部2に固定される(
図4A、
図4B参照)。
【0030】
なお、フックプレート11Aの傾斜に伴い、ケーブル当接部材212とケーブル端末部2との間に隙間が生じた場合は、ケーブル当接部材212の長さを調整することで、ケーブル端末部2の先端をケーブル当接部材212に突き当てた状態で保持することができる。
【0031】
同様にして、ケーブル保持部10B〜10Dが、結合プレート21及びケーブル端末部2に固定される。ケーブル端末部2に最初に取り付けられたケーブル保持部10Aにより、ケーブル端末部2は軸方向に移動不能となるので、他のケーブル保持部10B〜10Dをケーブル端末部2に容易に固定することができる。
【0032】
このようにして、4つのケーブル保持部10A〜10Dが結合プレート21に取り付けられる。すなわち、ケーブル牽引ユニット1は、ケーブル端末部2を結合プレート21(ケーブル当接部材212)に突き当てた状態で、フックプレート11A〜11Dと結合プレート21との間の距離が短くなる方向に、それぞれの連結シャフト12A〜12Dを結合プレート21に締結することで、それぞれのフックプレート11A〜11Dがケーブル端末部2に固定される。
【0033】
フックプレート11A〜11Dは、それぞれ、ケーブル端末部2を支持部位113、114によって2点支持した状態で固定されている。ケーブル牽引部20を牽引するときも、この2点支持状態は保持される。具体的には、牽引時は、フックプレート11A〜11Dの支持部位113、114がケーブル端末部2に食い込み、ケーブル端末部2に機械的に結合されることにより、ケーブル牽引ユニット1とともにケーブル端末部2が牽引される。
【0034】
なお、牽引対象のケーブルのサイズが小さく(例えば、公称導体断面積が400mm
2程度)、牽引時の引張荷重が小さい場合は、フックプレート11A〜11Dの支持部位113、114をケーブル端末部2に食い込ませず、フックプレート11A〜11Dとケーブル端末部2が摩擦抵抗により結合されるようにしてもよい。
【0035】
このように、本実施の形態に係るケーブル牽引ユニットは、ケーブル端末部2を牽引するためのケーブル牽引ユニットであって、ケーブル端末部2が挿通される第1貫通孔111)、及び、第1貫通孔111とは異なる第2貫通孔112を有するフックプレート11A〜11Dと、第2貫通孔112に脱落不能に挿通され牽引方向に延在する連結シャフト12A〜12Dと、を備える。第1貫通孔111の外径は、ケーブル端末部2の外径よりも大きく、フックプレート11A〜11Dは、連結シャフト12A〜12Dが牽引方向に引っ張れることに伴い傾斜して、第1貫通孔111の支持部位113、114(開口縁)がケーブル端末部2に接触し、ケーブル端末部2を2点支持する。
【0036】
ケーブル牽引ユニット1によれば、圧縮作業を要さずにケーブル端末部2に容易に装着し、ケーブルを安定的に保持することができる。したがって、ケーブルを牽引して敷設又は撤去する際の作業性が格段に向上する。なお、ケーブル牽引ユニット1とケーブル端末部2の接続強度は、敷設時の許容張力4kgf/mm
2はもちろんのこと、撤去時の許容張力7kgf/mm
2も満たすことが実験的に確認されている。
【0037】
また、ケーブル牽引ユニット1において、フックプレート11A〜11Dは、第1貫通孔111の開口縁において、牽引時にケーブル端末部2と接触する支持部位113、114に、ケーブル端末部2を引き留めるための引留加工が施されている。
これにより、フックプレート11A〜11Dとケーブル端末部2との接続強度が増大するので、ケーブル端末部2をより安定して保持することができる。
【0038】
また、ケーブル牽引ユニット1は、連結シャフト12A〜12Dの一方の端部に設けられ第2貫通孔112からの連結シャフト12A〜12Dの脱落を防止する頭部122(係止部)と、フックプレート11A〜11Dと頭部122との間に介在する半月座金125と、を有する。
さらに、フックプレート11A〜11Dは、第2貫通孔112の半月座金125が配置される側の開口縁に、座ぐり115を有する。
これにより、ケーブル端末部2に対してフックプレート11A〜11Dが傾斜したときに、ケーブル端末部2と連結シャフト12A〜12Dとの平行度が保持されるので、ケーブル端末部2をより安定して保持することができる。
【0039】
また、ケーブル牽引ユニット1は、複数のフックプレート11A〜11Dと、フックプレート11A〜11Dに対応する複数の連結シャフト12A〜12Bと、複数の連結シャフト12A〜12Dを結合する結合プレート21と、を備える。
これにより、ケーブル牽引ユニット1とケーブル端末部2との接続強度が増大するので、ケーブル端末部2をより安定的に保持して牽引することができる。
【0040】
また、ケーブル牽引ユニット1は、ケーブル端末部2を結合プレート21に突き当てた状態で、フックプレート11A〜11Dと結合プレート21との間の距離が短くなる方向に、それぞれの連結シャフト12A〜12Dを結合プレート21に締結することで、それぞれのフックプレート11A〜11Dがケーブル端末部2に固定される。
これにより、ケーブル端末部2に対して不安定な状態で挿通されているフックプレート11A〜11Dを、容易にケーブル端末部2に固定することができる。
【0041】
また、ケーブル牽引ユニット1は、結合プレート21のケーブル端末部2側に配置され、ケーブル端末部2と当接するケーブル当接部材212を備え、ケーブル当接部材212は、結合プレート21とケーブル端末部2との間の距離を調整可能である。
これにより、フックプレート11Aの傾斜に伴い、ケーブル当接部材212とケーブル端末部2との間に隙間が生じた場合でも、ケーブル当接部材212の長さを調整することで、ケーブル端末部2の先端をケーブル当接部材212に突き当てた状態で保持することができ、フックプレート11A〜11Dを、容易にケーブル端末部2に固定することができる。
【0042】
ケーブル牽引ユニット1は、ケーブルを管路に敷設する際にも有用であるが、特に、管路に敷設されているケーブルを撤去する場合に有用である。従来、管路からケーブルを撤去する場合、例えば、敷設されているケーブルのケーブル端末部に、圧縮により牽引治具を取り付けて、ケーブルを牽引して地上に引き上げながら、全長にわたって巻取装置に巻き取る。そして、巻き取ったケーブルを工場等に移送した後、例えば、1.5m程度に短く分断して処理している。
【0043】
これに対して、ケーブル牽引ユニット1を適用することで、以下のような撤去作業が可能になる。
すなわち、管路に敷設されたケーブルのケーブル端末部2にケーブル牽引ユニット1を取り付け(第1工程)、ケーブル牽引ユニット1を介してケーブルを牽引して地上に引き上げ(第2工程)、ケーブルを所定長(例えば、1.5m)に切断する(第3工程)。これらの工程を繰り返すことにより、ケーブルは、巻取装置に巻き取られることなく、現場で所定長に分断される。
つまり、ケーブル牽引ユニット1は、圧縮作業を要さずに容易にケーブル端末部2に取り付けることができるので、ケーブルを少しずつ牽引して地上に引き上げ、所定長で切断するという工程を繰り返しながら撤去しても、作業時間が大幅に増大することはない。撤去したケーブルを所定長に切断する工程までを含めると、作業時間を大幅に短縮することができ、効率よくケーブルを撤去することができる。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0045】
例えば、実施の形態では、4つのケーブル保持部10A〜10Bを設けているが、ケーブル保持部の数は特に限定されない。極端に言えば、ケーブル保持部は一つであってもよく、この場合、結合プレート21は不要となる。ただし、牽引時のケーブル端末部2の姿勢を安定させるためには、複数(例えば、3以上)のケーブル端末部を設けることが好ましい。
【0046】
実施の形態では、フックプレート11A〜11Dの第1貫通孔111の開口縁において、牽引時にケーブル端末部2と接触する支持部位113、114に引留加工が施されているが、引留加工は、少なくとも支持部位113、114を含む領域に施されていればよく、例えば、加工のしやすさを考慮して開口縁の全周にわたって施されてもよい。
また、実施の形態では、引留め加工として溝を形成した場合を示したが、第1貫通孔111の開口縁に粗面処理を施して、ケーブル端末部2との摩擦抵抗を増大させてもよい。
【0047】
また、実施の形態では、フックプレート11A〜11Dの第2貫通孔112に座ぐり115を設け、連結シャフト12A〜12Dの頭部122とフックプレート11A〜11Dとの間に半月座金125を介在させているが、これらの構成は任意に変更することができる。
【0048】
また例えば、実施の形態では、ケーブル端末部2において露出した導体にフックプレート11A〜11Dが固定されているが、ケーブル端末部2を段剥ぎせずにシースにフックプレート11A〜11Dが固定されるようにしてもよい。ケーブル端末部2から導体を露出させる処理が不要となるので、特に、シースが傷ついても良い不良品撤去ケーブルの引き抜きに最適であり、作業時間を短縮することができる。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。