【解決手段】成分浸出器具1は、棒状の本体5と、本体5の元側に設けられ、手で把持可能な把持部7と、本体5の先端側に設けられ、植物素材を収容したティーバッグを着脱可能に挟む保持手段10と、を有する。保持手段10は、ティーバッグを保持する一定の横幅を有する一対の保持部11a,11bと、一対の保持部11a,11bを連結する連結部12と、一対の保持部11a,11bを開閉可能にする操作部13a,13bと、を有し、棒状の本体5の延出方向は、一対の保持部11a,11bの開閉中心線に対して傾斜していることを特徴とする。
前記本体は、前記把持部を支持し、前記本体を水平にした状態で前記保持部の先端に300gの重量負荷をかけた状態で前記本体に撓みが生じる柔軟性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の成分浸出器具。
前記本体は、前記保持手段の操作部に一体的に形成されると共に、前記保持手段の操作部又は操作部の一部として機能するように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の成分浸出器具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る成分浸出器具の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明は、上述したように、茶葉(緑茶、紅茶等)、花、果実、根など、各種の植物素材を公知の袋状の部材(ティーバッグ)に収容し、これを保持して容器の湯中で移動操作することで、植物素材の成分を浸出するのに用いられる成分浸出器具に関するものであり、一般的な湯飲み用のカップ、急須のように複数杯のお茶を淹れることが可能な急須等(以下、これらを容器と総称する)に対して使用される。以下に説明する実施形態では、植物素材として茶葉(緑茶)を例示して説明する。
【0013】
図1及び
図2は、本発明に係る成分浸出器具の第1の実施形態を示す図であり、
図1は側面図、
図2(a)は正面図、
図2(b)は背面図、
図2(c)は斜視図である。
【0014】
本実施形態の成分浸出器具1は、一定の長さを有する棒状の本体5と、本体5の元側に設けられ、手で把持可能な把持部7と、本体5の先端側に設けられ、植物素材を収容したティーバッグ100(
図3参照)を着脱可能に挟む保持手段10と、を有している。
【0015】
前記本体5は、SUS、チタン、アルミニウム等の金属材料、エンジニアリングプラスチックや繊維強化樹脂(FRP)等の合成樹脂材料、竹や木材などの天然材料によって形成することが可能であり、中実状、又は、中空状に形成されている。本体5の断面形状については、円形、多角形、楕円形、平板状に形成する等、特に限定されることはなく、その径については1.5〜3.0mm程度に形成されていることが好ましい(実際の使用時に、湯の抵抗や操作性を考慮して、6.0mm以下に形成することが好ましい)。また、本体5の長さ(全長L)は限定されることはないが、好ましくは150〜180mm、長くても200mm程度あれば良く、長さを調整可能な調整手段を設けても良い。
本実施形態では、前記本体5は、線状部材5a,5bを軸方向に亘って幅方向に接触させて一体化しており、各線状部材の先端側は、後述するように、保持手段10の一対の保持部11a,11bを開閉操作する操作部13bの一部を構成している。
【0016】
前記把持部7は、指で摘まんで本体5を移動操作可能にする部位であり、前記本体5と一体形成されていても良いし、本体5とは別の素材で本体5に一体化されるものであっても良い。本実施形態の把持部7は、本体5と共に一体形成されており、本体5の端部を略180°一定の長さ折り返した折り返し部7aと、折り返し部の下端から本体5に接近する方向に屈曲した屈曲部7bとを備えており、前記屈曲部7bの下端から下方は、好ましくは、本体5に一定長さ接触する接触部7cと、接触部7cの下端で外側に屈曲形成された屈曲部7dとを備えた糸掛け部として構成されている。すなわち、接触部7c及び屈曲部7dは、糸付きのティーバックを使用した場合、糸を掛ける糸掛け部としての機能を備えている。この場合、接触部7cの長さは、3mm以上、30mm以下にするのが好ましい。このような範囲の長さがあれば、ティーバッグの糸の長さに変化があっても対応することができる。
【0017】
上記した把持部7を親指と人差し指で摘まむと、折り返し部7a及び屈曲部7bに、中指、薬指、小指を当て付けたり、折り返し部7a、屈曲部7b、本体5で囲まれた空隙Sに指を当てたり入れることができ(指で摘まんだ際、指が当接可能なエリアが形成される)、本体5の操作性の向上が図れる。
【0018】
前記保持手段10は、ティーバッグを保持する一定の横幅を有する一対の保持部11a,11bと、一対の保持部11a,11bを連結する連結部12と、保持部11a,11bを開閉可能にする操作部13a,13bと、を有している。
【0019】
前記一対の保持部11a,11bは開閉可能となっており、通常は閉じた状態で付勢されている。各保持部の対向する部分(対向部)11aa,11baは、平面状に形成されており、挟持するティーバッグを損傷させないように面で受けて挟持するようになっている。また、夫々の先端11ab,11bbは、挟持するティーバッグを損傷させないように湾曲面(断面略円形や丸みを帯びた形状等が含まれる)で構成することが好ましい。さらに、一対の保持部の幅方向(横方向)の長さL1は、ティーバッグを安定して保持できると共に、操作時に湯からの抵抗が大きくならないように、10mm〜30mmの範囲に形成することが好ましい。
【0020】
前記一対の保持部11a,11bを連結する連結部12は、各保持部11a,11bの幅方向両端から立ち上がって端部同士を連結する付勢部12a,12bと、付勢部12a,12bの頂部の中央を一体的に接合する接合部12cと、を備えたフレーム構造となっており、一対の保持部11a,11bの各対向部11aa,11baを圧接させる方向に付勢している。すなわち、本実施形態の連結部12は、付勢部12a,12bのバネ力でティーバッグの端部を挟みつけるように構成されている。この場合、付勢部12a,12b及び接合部12cは、1枚の板材を屈曲することで形成しても良い。
【0021】
前記保持部11a,11bを開閉可能にする操作部13a,13bは、各保持部11a,11bの中央位置で保持部と一体化されており、上方に向けて略U字状に屈曲形成されたフレーム構造を有している。各操作部13a,13bは、上方に延出する途中で前記付勢部12a,12bに当て付いており、各操作部13a,13bを指で摘まんで付勢部12a,12bの付勢力に抗して接近させることで、一対の保持部11a,11bは開いた状態となる。そして、この開いた状態でティーバッグを保持部11a,11bの間の空間に位置付け、指を離すことでティーバックは、付勢部12a,12bの付勢力によって保持部11a,11bで保持(挟持)される。
【0022】
本実施形態では、一方の操作部13bの両端が上方で互いに接近してそのまま上方に延出して本体5の線状部材5a,5bを構成している。すなわち、本実施形態では、前記本体5は、保持手段の操作部13bと一体形成されると共に、操作部13bの一部として機能するように形成されている。
【0023】
前記棒状の本体5(5a,5b)と一対の保持部11a,11bは、本体の延出方向(軸心X方向)と一対の保持部11a,11bの開閉中心線X1とが、一定角度(θ)傾斜するように形成されている。すなわち、本体5の延出方向上から、前記保持部11a,11bがオフセットして位置するように、保持部11a,11bは、本体5に対して屈曲して配設されている。
この場合、前記傾斜角度(θ)は、15°〜60°に設定されており、後述する操作性がより良好となるように、15°〜45°の範囲にすることが好ましい。
【0024】
次に、上記した成分浸出器具1の使用方法について、
図3を参照しながら説明する。
図3では、
図1及び
図2に示した成分浸出器具1を、急須等、複数人数分の緑茶を入れることが可能な容器150に使用する例を示している。
【0025】
容器150は、ガラス素材(耐熱強化ガラス)、透明樹脂素材によって一体形成されており、取手や嘴状の注出部(図示せず)を備え、開口151を介して収容部152に水(湯)を収容するようになっている。この場合、収容部152内の湯は、開口151を介して加熱された水を注いだものであっても良いし、容器150に関連した加熱手段(図示せず)によって、一定の温度に沸かした状態にされたものであっても良い。
【0026】
前記成分浸出器具1の全長は、容器150の開口151から対向する容器150の下部153に向けて傾斜方向に設置した際、把持部7が、開口151よりも上方且つ外方に突出する長さを有している(突出する部分の長さをL4で示す)。本体5を開口151のいずれかの位置で載置し、その先端側の保持部11a,11bが容器150の下部153に当て付いた載置状態で、前記突出する長さLが25mm以上確保されていることが好ましく、このような突出量が確保されることで、容器の上方且つ径方向外方からティーバッグを静かに動かしてコントロールすることが可能となる。なお、容器150と成分浸出器具1を茶器としてセット化する場合、成分浸出器具1の把持部7から保持手段10の先端までの軸方向長さについては、容器150のサイズによって変化するが、140mm〜200mmの範囲にすると殆どの容器に対応することができる。
【0027】
上記した成分浸出器具1の一対の保持部11a,11bにティーバッグ100を保持した状態で容器150の収容部152の湯内に入れると、図に示すように、前記傾斜角度(θ)によって、ティーバッグ100を上方から押さえるようにして操作することが可能となる。このため、ほうじ茶のような湯の上に浮き易い茶葉であっても、湯の中に入れて静かに上下動や回転させることができ、湯と茶葉の動きを適度にコントロールすることができる。また、粉茶や水分を十分に吸収した比重の高い茶葉は、ティーバッグ100を容器150の周方向や底面領域でゆっくり回動(回すように動かす)することができ、湯と茶葉の動きを適度にコントロールすることができる。
【0028】
また、成分浸出器具1を容器の上方・外方から色々な角度方向で、湯中にあるティーバッグ100を、容器内での位置に関係なく、様々な方向(上下方向、左右方向、回転方向)に動かし易くなり、容器内の限られた空間の中で多様な操作を容易に行なうことができる。このため、茶葉の成分浸出を適度に調整し易くなり、ティーバッグの糸を上下するだけの無理な動きで、成分浸出時に澱が出たり、味に雑味が出ることもなく、お茶を美味しく淹れることが可能となる。
【0029】
特に、
図3に示すような容器150及び成分浸出器具1をセット化することで、各種の市販されているティーバッグや、好みの茶葉を袋に収容して成分浸出器具1に保持して美味しいお茶を淹れることが容易に行えるようになる。また、把持部7が、開口151よりも上方且つ外方に突出する長さを有しているため、操作時において、湯の熱を避けてティーバッグの動きをコントロールし易くなり、手に付着しているゴミなどが容器内に落ちることを防止することができる。
【0030】
前記保持手段10の形状については、特に限定されることはなく、一対の保持部11a,11bの長さが一番長く、保持部11a,11bよりも元側は、保持部よりも短く形成するのが好ましい。また、操作部13a,13bの軸方向の長さL2については、ティーバッグの挟持操作がし易いように、連結部12の軸方向長さL3よりも長く形成する(1.3倍から2.0倍程度)ことが好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、上記した把持部7に、指が当接可能なエリア(折り返し部7a、屈曲部7b)が形成されており、このエリアは、一対の保持部11a,11bの横幅方向に対して直交する方向に仕向けられているため、把持部7を摘まむと、保持部に保持されたティーバッグ移動させる方向が自然と決まるので、操作方向を意識しなくても容易に操作することができるとともに、ティーバッグの細かい操作が容易に行えるようになる。
【0032】
なお、上記した把持部7は、本体5の元側を、本体5を含む一平面内で折り曲げることで形成(線材の折り曲げで形成)したが、指が当たる部分については、所定の肉厚で板状に形成したり、どの位置、どの方向でも把持できる形状(例えば、紡錘形状)にする等、その形状については適宜、変形することが可能である。また、把持部7については、保持部11a,11bに対して角度を調整できるように(例えば、本体5に対して、多角形状の雄雌嵌合で角度を変更して差し込んだり、角度調整してネジで固定する等)構成することが好ましい。
【0033】
前記本体5は、操作時に力を掛けることなく、自然かつソフトにティーバッグが操作できるように柔軟性を有することが好ましい。本体5の柔軟性については、本体の材質と形状の組み合わせで得ることが可能であり、本体5の長さ方向の一部にバネ性又は柔軟性のある材料を配設して、全体として撓むことができるように構成することが可能である。
【0034】
前記柔軟性については、把持部7を支持して本体5を水平にし、保持部11a,11bに負荷をかけたときに、使用者が保持部側に撓みを感じる量であれば良く、その撓み量については、5mm〜25mm、又は、10mm〜20mmの撓み量であれば良い。この場合、保持部11a,11bに作用する負荷については、300gで先端側が撓むようにするのが良く、このような撓み量となるように本体を形成することで、力を入れると撓みを感じることができ、ティーバッグを湯中でソフトに動かす習慣が付き、ティーバッグの動きを繊細にコントロールすることができるようになる。
【0035】
なお、本体5をより撓み易くするのであれば、負荷は100gとしても良い。逆に、茶葉の量が多いティーバッグを使用する等、多少硬めにする必要がある場合では、500gとすることもできる。また、一定以上に撓まないように、撓み規制手段を設けても良い。
【0036】
また、本実施形態のように、保持手段10が、ティーバッグを保持する一定の横幅を有する一対の保持部11a,11bと、一対の保持部を連結する連結部12と、保持部を開閉可能にする操作部13a,13bとを備え、これらを、
図2に示すように、フレーム構造にすることで、一対の保持部11a,11bの位置より本体側に、一対の保持部で挟んだ状態のティーバッグ100の端部を視認可能な窓部(複数の隣接する窓部)16を形成することが可能である。
【0037】
このような構成では、窓部16から、保持したティーバッグの端部を確認することができるので、成分浸出動作中に袋の中の素材が外部に漏れたりすることを確実に防止でき、操作し易く、スムーズに成分浸出を行なうことができる。また、閉じたティーバッグの部分を保持するときに、誤って皺を付けたり、一部挿入していなかった等のミスをしても確実に確認することができる。
【0038】
前記窓部16は、一対の保持部11a,11bでティーバッグを保持した際、ティーバッグの端部が見える(確認できる)程度に開口していれば良い。具体的には、窓部の大きさについては、保持部11a,11bの横幅の50%以上の大きさがあれば良く、奥行き(軸方向の長さ)は、3mm以上、好ましくは5mm以上あれば良い。また、ティーバッグの一端を挟み込む深さ(一対の保持部の本体の延出方向に沿った長さ)については、5mm以上あれば問題なく保持できるが、17mm以下の範囲でティーバッグの端部が見え易くするのが良い。なお、窓部16については、構造的な許容範囲で大きく形成することが好ましいが、湯の流れとの関係で形成しない構成であっても良い(
図5参照)。
【0039】
また、本実施形態では、前記本体5は、保持手段の操作部13bに一体的に形成されると共に、操作部13bの一部として機能するように形成されているため、一対の保持部11a,11bの開閉操作をより確実に安定的に行なうことができ、ティーバッグの着脱操作が行ない易くなる。この場合、本体5は、操作部13bと一体的に溶接又は接着したり、操作部を本体と同一材料で形成しても良く、本体の先端を、連結部12と操作部13bとで固定しても良い。このように、本体5を利用して一対の保持部の開閉操作ができるので、操作し易くなる。
【0040】
図4は、成分浸出器具の第2の実施形態を示す図であり、(a)はティーバッグを保持する保持部の側面図、(b)は保持部の正面図、(c)は保持部の斜視図である。
本実施形態の成分浸出器具1の保持手段10Aは、一対の保持部21a,21bと、操作部23a,23bとを備えており、保持部21aと操作部23a、及び、保持部21bと操作部23bは、樹脂、金属などでそれぞれ一体形成されている。
【0041】
保持部21a,21bは、第1実施形態と同様、一定の横幅を備えており、そこから上方に向けて延出する各操作部23a,23bは、板状に形成されると共に、一対の保持部で保持したティーバッグを視認可能にする窓部26が形成されている。また、各操作部23a,23bは、連結部22を介して連結されている。連結部22は、一方の操作部23bの内面に、幅方向に離間して突設された壁部22aを具備しており、この壁部間に他方の操作部23aの内面に設けられた突起22bを嵌合させることで、両操作部は、回動可能に連結されている。すなわち、回動中心22Aを中心として、保持部21a,21bは接近/離反可能となっている。なお、回動中心22Aは、壁部に替えて芯材を配置しても良い。
【0042】
また、操作部23a,23bは、連結部22を囲むように、略ロ字状に屈曲された線状のバネ27によって連結されており、一対の保持部21a,21bは、互いに接近する方向に常時付勢された状態となっている。すなわち、各操作部23a,23bの連結部から上方の部分(摘み部23a´,23b´)を、バネ27の付勢力に抗して指で摘まむことで一対の保持部21a,21bは互いに離反し、この状態でティーバックを配設し、各操作部23a,23bから指を離すことで、一対の保持部21a,21bでティーバッグを保持することが可能となる。
この場合、上記した略ロ字状の線状のバネ27に替えて、回動中心位置に配設される芯材にコイル状バネを巻回することで、摘み部23a´,23b´を離反する方向に回動付勢し、摘み部23a´,23b´を付勢力に抗して摘まむことで一対の保持部21a,21bを離反するように構成しても良い。このような構成によれば、外観の向上が図れる。
【0043】
前記操作部23a,23bの上方には、夫々対向する長溝を具備した摘まみ部23a´,23b´が形成されており、一方の長溝内に本体5の先端部が固定されている。すなわち、本体5と操作部23bは一体化されており、操作部23bの一部として機能するように構成されているため、一対の保持部21a,21bの開閉操作をより確実に安定的に行なうことができ、ティーバッグの着脱操作が行ない易くなる。この場合、本体5の先端を連結部22に固定することで、操作時の違和感が軽減され、湯に対する茶葉の動きをコントロールし易くなる。
【0044】
図5は、成分浸出器具の第3の実施形態を示す図であり、(a)はティーバッグを保持する保持部の側面図、(b)は保持部の正面図、(c)は保持部の斜視図である。
本実施形態の成分浸出器具1の保持手段10Bは、一対の保持部31a,31bと、前記保持部31a,31bを開閉可能にする操作部33と、を有している。
【0045】
前記保持部31a,31bは、バネ性を有する一対の板状の湾曲部材31A,31Bの先端部に形成されており、湾曲部材31A,31B(保持部31a,31b)の元側は、幅方向に亘って連結部32によって開閉可能に連結されている。湾曲部材31A,31Bは、それぞれのバネ性又はフリー状態によって、保持部31a,31bを開いた状態にすることができ、各湾曲部材31A,31Bの閉じた状態は、一方の湾曲部材31Bに固定され、他方の湾曲部材31Aに対して移動可能に巻回されるリング状の操作部33によって維持されている。すなわち、操作部33を実線で示す位置から、
図5(a)の点線位置にずらすことで、保持部31a,31bは開いた状態となり、この状態でティーバックを配設し、操作部33を実線の位置に戻すことで、一対の保持部31a,31bでティーバッグを保持することが可能となる。
【0046】
また、本体5は、前記連結部32の中間位置(開閉操作の支点となる連結部)に固定されている。このように、本体5を、開閉動作の支点となる連結部32に固定することで、本体5を操作する時の違和感を防止することができ、湯と茶葉の動きをコントロールし易くなる。
【0047】
図6は、成分浸出器具の第4の実施形態を示す図であり、(a)はティーバッグを保持する保持部の側面図、(b)は保持部の正面図、(c)は保持部の斜視図である。
本実施形態の保持手段10Cは、第1の実施形態におけるフレーム構造となった連結部12を板材で一体形成している。すなわち、本実施形態の連結部は、保持部41a,41b、各保持部の幅方向両端から立ち上がって端部同士を連結する付勢部42a,42b、付勢部42a,42bの頂部の中央を一体的に接合する接合部42cを、1枚の板材42で形成すると共に、その板材の対向部分に窓部(開口)46を形成することで構成されている。
【0048】
また、保持手段10Cに固定される本体5の先端5aは、本体5の延出方向に対して所定角度(θ)屈曲させており、その屈曲端を、板材42の頂部(接合部)42cの中央部にネジ止め、溶接等によって固定している。
このように、本体5を、一対の保持部41a,41の開閉動作の支点となる板材(連結部)42に固定することで、上記した実施形態と同様、本体5を操作する時の違和感を防止することができ、湯と茶葉の動きをコントロールし易くなる。
【0049】
図7は、成分浸出器具の第5の実施形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は斜視図、(d)はティーバッグを保持する保持部を閉じた状態の下面図、(e)は保持部を開いた状態の下面図、(f)は保持部を開いた状態の正面図である。
本実施形態の成分浸出器具1の保持手段10Dは、一対の保持部51a,51bと、一対の保持部を連結する連結部52が1本の線材を屈曲することで一体形成されており、更に、本体5についても同じ線材で一体形成されている。
【0050】
本体5の元側は、線材50の元側を第1実施形態と同じように屈曲することで把持部7が形成されており、線材50の先端側は、重ねた状態で折り曲げ加工することで、その最下端に一対の保持部51a,51bが形成されている。この場合、線材の元側を、本体の軸方向に沿うように屈曲することで、屈曲端7fを糸掛け部として構成することも可能である。そして、保持部51a,51bの一端側を屈曲させながら立ち上げることで連結部52が形成されており、保持部51a,51bの他端側は、
図7(e)に示すように、連結部52を中心として開く方向に回動付勢された状態となっている。このため、保持部51a,51bの他端側において、屈曲して立ち上がる部位に、重なった線材を密着させる締結部材(操作部)53を配設することで、保持部51a,51bを閉じた状態に維持することが可能となる。すなわち、操作部53を、
図7(a)〜(c)の位置から
図7(f)で示す位置にずらすことで、保持部51a,51bは、開いた状態となり、この状態でティーバックを配設し、操作部53を
図7(a)〜(c)の位置に戻すことで、一対の保持部51a,51bでティーバッグを保持することが可能となる。
【0051】
このように、成分浸出器具を構成する本体及び保持手段は、1つの線材を折り曲げ加工することで一体形成することも可能である。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した実施形態では、いずれも棒状の本体5の延出方向は、一対の保持部の開閉中心線に対して傾斜させているが、傾斜させることなく保持手段10,10A〜10Dを本体5の先端に配設しても良い。また、保持手段の一対の保持部、一対の保持部を連結する連結部、及び、操作部を開閉させる操作部の形状や開閉構造については、種々、変形することが可能である。