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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-58881(P2021-58881A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】発電装置用の排気システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20210319BHJP
   F01K 23/10 20060101ALN20210319BHJP
【FI】
   B01D53/94 245
   B01D53/94 222
   B01D53/94 280
   B01D53/94 400
   B01D53/94 228
   F01K23/10 U
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-197434(P2020-197434)
(22)【出願日】2020年11月27日
(62)【分割の表示】特願2017-542378(P2017-542378)の分割
【原出願日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】62/118,638
(32)【優先日】2015年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レップ, デーヴィッド マイケル
【テーマコード(参考)】
3G081
4D148
【Fターム(参考)】
3G081BC07
4D148AA06
4D148AA08
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB08
4D148AC04
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BB02
4D148BC05
4D148CC32
4D148CC46
4D148CC47
4D148CC52
4D148DA03
4D148DA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発電装置の起動時と全負荷との間で発電装置からの排気物質を還元するための、排気システムを提供する。
【解決手段】空気中で燃料を燃焼させて電力を発生させる熱源を備えている、発電装置用の排気システムであって、当該排気システムは、流動排気ガスを受け入れるように適合され且つ排気ガスを処理するための触媒システムを備え、触媒システムは、第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒を備えており、流動排気ガスが第2の酸化触媒に接触する前に第1の酸化触媒に接触するように、第1の酸化触媒は、熱源から下流に位置付けされている、排気システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中で燃料を燃焼させて電力を発生させる熱源を備えている、発電装置用の排気システムであって、前記排気システムが、流動排気ガスを受け入れるように適合され、且つ前記排気ガスを処理するための触媒システムを備え、前記触媒システムが、第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒を備え、前記流動排気ガスが前記第2の酸化触媒に接触する前に前記第1の酸化触媒に接触するように、前記第1の酸化触媒が、前記熱源から下流に位置付けされている、排気システム。
【請求項2】
熱回収蒸気発生器(HRSG)を備えている、請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
前記HRSGが、HRSGチューブバンドルを備え、前記第1の酸化触媒が、任意のHRSGチューブバンドルの上流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項2に記載の排気システム。
【請求項4】
前記HRSGが、HRSG過熱器チューブバンドルを備え、前記第1の酸化触媒が、前記HRSG過熱器チューブバンドルの下流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項2に記載の排気システム。
【請求項5】
第2のブロック内に配置され、且つ第1のブロック内に配置された1つ目の第1の酸化触媒の下流及び前記第2の酸化触媒の上流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされた2つ目の第1の酸化触媒を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項6】
前記第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドルの下流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項3又は請求項3に従属する場合の請求項5に記載の排気システム。
【請求項7】
前記第2の酸化触媒が、1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項2から6のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項8】
前記触媒システムが、前記第2の酸化触媒から下流に配置され且つアンモニアを流動排気ガスの中に注入するように適合されたアンモニア注入装置(AIG)と、アンモニア還元剤を用いて窒素酸化物を還元するための選択的触媒還元(SCR)触媒とを備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項9】
前記SCR触媒から下流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされたアンモニアスリップ触媒を備えている、請求項7に記載の排気システム。
【請求項10】
前記アンモニア注入装置の下流に配置され且つ注入されたアンモニアを前記流動排気ガスと混合するように適合された混合部を備えている、請求項8又は9に記載の排気システム。
【請求項11】
起動運転時及び全負荷運転時の双方においてCO及び炭化水素の排出を制御するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の排気システムの使用。
【請求項12】
発電装置であって、空気中で燃料を燃焼させて電力並びに一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を含む流動排気ガスを発生させる熱源と、前記排気ガスが大気中に放出される前に前記流動排気ガスを受け入れ且つ処理するための請求項1から11のいずれか一項に記載の排気システムとを備えている発電装置。
【請求項13】
ガスタービンを備えている、請求項12に記載の発電装置。
【請求項14】
発電装置から排出された排気ガスを処理するための方法であって、前記発電装置が、空気中で燃料を燃焼させて電力及び流動排気ガスを発生させる熱源であって、排気ガスが、一酸化炭素及び炭化水素を含む、熱源を備えており、前記方法が、比較的高い温度域内で前記排気ガスを第1の酸化触媒と接触させることと、比較的低い温度域内で前記第1の酸化触媒から出た排気ガスを第2の酸化触媒と引き続き接触させることとを含み、前記発電装置が全負荷状態にある際に前記高い温度域が427℃(800°F)から621℃(1150°F)までの温度を有し、前記発電装置が全負荷状態にある際に前記比較的低い温度域が260℃(500°F)から427℃(800°F)までの温度を有する、方法。
【請求項15】
アンモニアを前記第2の酸化触媒から出た排気ガスの中に導入するステップと、アンモニアを含む前記排気ガスを選択的触媒還元触媒と接触させるステップとを含み、前記第1の酸化触媒及び前記第2の酸化触媒が、前記システムの中の最大限のNO酸化活性の各位置に対して、前記第1の酸化触媒及び前記第2の酸化触媒の上でNOからNOへの酸化が限られる位置に配置されている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンなどの発電装置用の排気システムに関し、この排気システムは、流動排気ガスを受け入れるように適合され且つ排気ガスを処理するための触媒システムを備えており、この触媒システムは、酸化触媒システムを備えている。具体的には、本発明は、発電装置の起動時と全負荷との間で発電装置からの排気物質を還元するために、当該システムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常運転時において、ガスタービン発電プラントは、燃焼プロセスの一部として、かなりの量の二酸化炭素(CO)、水、一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(VOC)、及び窒素酸化物(NOx)を発生させる。米国環境保護局などの世界中の様々な規制機関は、排気物質を還元させる任を負う。
【0003】
ガスタービンエンジンは、典型的に、空気をコンプレッサに引き込んでガス圧を増大させることによって作動する。炭化水素燃料(典型的には、天然ガス)は、圧縮された空気を用いて燃焼される。燃焼は、通常、炭化水素燃料成分の完全な燃焼に必要な理論酸素量より多くの酸素が使用される比較的「希薄な」条件下で行われる。これは、比較的低い燃焼温度を維持することに役立ち、タービンの製作に使用される材料の耐性を改善することができる。
【0004】
燃焼器からの高温且つ高圧のガスは、ガスタービンエンジンに供給され、ここでガスが膨張して、ガス温度が低下する。ほとんどの用途において、ガスタービンは、コンプレッサ並びに電力を発生させる発生器を駆動させる。タービンから出るガスは、温度が比較的高いので、望ましくない排出物を還元するために下流運転で排気又は処理する前に、熱回収蒸気発生器(heat recovery steam generator:HRSG)の中で蒸気を生成するために使用してもよい。熱回収蒸気発生器によって発生した蒸気は、蒸気タービンを駆動させるための複合サイクルプラントの一部として使用してもよい。これにより、HRSGを使用する発電プラントの発電効率が上昇する。
【0005】
このようなシステムにおける1つの問題は、排気ガスが、すべて様々な規制機関によって規制されている一酸化炭素(CO)、揮発性有機炭化水素(VOC)、及び窒素酸化物(NOx)を含んでいることである。
【0006】
発電プラントからの排出物を還元するために2つの基本的な種類の触媒技術が使用されている。それは、CO及びVOCを変換する酸化触媒の使用、及びNOxを変換する選択的触媒還元(SCR触媒)の使用である。例えば、自動車エンジンなどの可動エンジンは、他の技術及びエンジンの動作パラメータの変化と共に酸化触媒及びSCR触媒を使用して排出物を還元する。しかしながら、可動エンジンでは、動的駆動条件がエンジンへの負荷要求を変化させ、結果的に排気ガスの温度が変動可能となるが、ガスタービンでは、一旦全負荷運転に達すると、システムの動作パラメータが比較的一定となるので、この点においてガスタービンは可動エンジンと異なる。さらに、例えば、冷却状態からの起動時における可動エンジンのデューティサイクルの種々のフェーズが、排気ガス後処理触媒に接触する排気ガスの温度に影響を与え得る。こうした動作パラメータの違いにより、可動エンジンで使用される幾つかの技術をガスタービンに適用することが妨げられる。
【0007】
酸化触媒は、NOxを処理する前にCO及びVOCを処理するように使用される。幾つかの酸化触媒が知られている。酸化触媒の選択は、限定しないが、触媒が使用される温度、触媒の充填、燃焼される燃料、排気ガスの流量、必要とされる還元の比率等を含む幾つかの要因に基づく。高温で酸化触媒を使用することは、この条件下でNOからNOへの変換がより少ないため、発生する種々の窒素酸化物の濃度に影響を与えるということが知られている。SCR触媒に入る排気ガス中のNOが多すぎると、SCR触媒の活性が影響を受け、さらに茶色のガスプルーム(いわゆるウィスコンシンプロセス(Wisconsin Process)によって引き起こされ得る)の形成に寄与し得るので、問題である。
【0008】
ガスタービン排気流の中に存在するNOxの量は、選択的触媒還元(SCR)又は選択的無触媒還元を使用して制御されることが多い。SCRは、アンモニアを使用したNOxの選択的還元に依存する。基本的反応は、以下の式で表される。
4NH+4NO+O→4N+6HO(速い) (1)、
4NH+2NO+O→3N+6HO(遅い) (2)、及び
NO+NO+2NH→2N+3HO(非常に速い) (3)。
【0009】
選択的無触媒還元工程は、任意の触媒なく行なわれ、以下で示すように、アンモニアと窒素及び水との反応を通して、NOxを変換する。
4NH+4NO+O→4N+6HO (4)。
【0010】
無触媒システムは、狭い反応温度範囲に限定されることが多い。この工程は、大きなモル体積のNHを必要としながらも、NOxを約60から80パーセントしか還元しない。
【0011】
ガスタービン内の燃焼時に発生するCOのレベルは、現在許容可能な規制レベルまで還元することができるが、このレベルは、ガスタービンの起動時を含まない。したがって、ガスタービンの起動時の排出物の還元を改善する必要がある。
【0012】
ガスタービンからの一酸化炭素及び揮発性有機化合物を還元する業界標準の方法は、酸化触媒を含む1つの触媒床に燃焼排ガスを通すことである。触媒の単一の触媒床は、種々のタービン負荷に対する排出物要件を満たすように適切に寸法形成されなければならない。触媒の床は、熱回収蒸気発生器の内部の伝熱チューブの組の間の種々の温度領域に置かれてもよい。床は、現状では、最も低い圧力低下を可能にする温度領域に置かれるが、この温度領域では、ガスタービンが、起動時を過ぎた後でもCO及びVOC還元要件を満たすことを可能にする。規制が変わるにつれて、ガスタービンは、起動時にCO及びVOC排出を減少させることが要求される場合がある。さらに、全負荷時にCO及びVOCをより多く全体的に還元することが要求される場合がある。
【発明の概要】
【0013】
ガスタービンの運転時に連結された酸化触媒システムを使用することにより、起動時に排出物を還元し始め、タービンの通常全負荷状態の運転時に所望のCO及びVOC還元を実現できることが発見された。本発明に係る連結された酸化触媒システムは、酸化触媒の床を2つ使用する。酸化触媒の片方の床は、比較的高い温度領域内に置かれ、起動時にガスタービンが放出物を減らし始めることを可能にし、酸化触媒のもう片方の床は、より低い温度領域内に置かれ、追加的な触媒表面を設け、起動時と全負荷時との間で所望のCO及びVOC還元を完了する。
【0014】
連結された触媒システムは、CO及びVOCの還元において優れた全体的な性能を低コストで発揮することができ、単一の酸化触媒床を使用する現状の業界標準システムに比べて毒作用を受けにくい。連結された酸化触媒システムは、第1の酸化触媒床をより高い温度に置くことにより、NOからのNOの形成を減らすことができる。これは、酸化触媒上でNOとNOとの間に平衡が存在するからである。より低い排気ガス温度では、NO酸化は速度論的に制限されるため、温度が上昇するにつれてNO酸化が促進される。比較的高い温度位置に第1の酸化触媒を適切に配置することにより、NOへのNO酸化が起動段階で促進されて、排気ガスがNOx成分の中でNOとNOとの混合物を含むようになる。このように起動段階で発生したNOとNOの混合物は、起動時にSCR触媒上で全体的なNOx還元のより効率良い速い反応(3)を有利に促進する。したがって、第1の酸化触媒の位置が起動段階でCO及びVOC酸化、及びNOx還元を促進する。
【0015】
しかしながら、起動時から全負荷運転まで排気ガス温度が上昇するにつれて、NOからNOへの反応に対して一定であった平衡状態がシフトし、反応が熱力学的に制限されるようになる。これは、温度が上昇すると、平衡状態がNOではなくNOを好むことを意味する。これは、比較的高い温度位置に配置された第1の酸化触媒の上でのNO酸化が、温度が上昇するにつれて抑圧されて、したがって、過剰なNO形成、ひいてはSCR触媒上のさほど効率的ではないNOx還元反応(2)を回避することができるので、重要である。しかしながら、全負荷に向かって温度が上昇するにつれて、より低い温度位置に配置された第2の酸化触媒が、NOをNOに酸化(すなわち、平衡反応の速度論的に制限された領域において)し、CO及びVOCを酸化する任を肩代わりするようになり、したがって、下流のSCR触媒に入る排気ガスの中のNO及びNOの有益な混合物が維持される。
【0016】
第1及び第2の酸化触媒は、起動時と全負荷時の間でCO及びVOCを酸化する。しかしながら、比較的高い温度位置にある第1の酸化触媒の位置によって、起動直後に、触媒がより迅速にライトオフ温度に達することが可能となり、結果的に、起動後に可能な限り早くCO及びVOCの酸化が始まる。
【0017】
連結された酸化触媒システムは、さらに、何らかの処理が施されることなく、排気ガスが酸化触媒システムを回避する可能性を著しく低減させる。これは、各触媒床が個別に密封されているからであり、任意のガスが第1の触媒床を回避することができても、第2の触媒床で処理される可能性が高い。これは、触媒システムの信頼性を向上させるという利点があり、高いCO及びVOC還元が必要とされる場合、非常に重要な特徴である。2つの触媒床を使用することにより、単一の大きな床を使用するよりも、圧力降下がより低くなり得る。第1の酸化触媒は、第1のブロック及び第2のブロックの中に存在し得る。第1のブロックは、第2の酸化触媒の前で、例えば、ガスタービンから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされており、第2のブロックは、第2の酸化触媒の前で、第1のブロックから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされている。第1及び第2のブロックが、離間されて配置されることが好ましい。これにより、排気ガスが第1のブロックを通過した後に、排気ガスの混合を可能にし、第1のブロック内で処理されなかったガスが、より高い変換をもたらすために第2の触媒の曝露されることを可能にする。例えば、HRSGにおいて、第1のブロック内の1つ目の第1の酸化触媒は、ダクトバーナとスーパヒータとの間に配置され得、第2のブロック内の2つ目の第1の酸化触媒は、スーパヒータと高圧蒸発器との間に配置され得る。これは、規制要件を満たすためにCO及びVOCの非常に高い酸化活性が必要とされる際に重要であり得る。
【0018】
第1の態様によると、本発明は、発電装置用の排気システムを提供し、当該排気システムは、流動排気ガスを受け入れるように適合され、且つ前記排気ガスを処理するための触媒システムを備え、当該触媒システムは、第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒を備え、流動排気ガスが第2の酸化触媒に接触する前に第1の酸化触媒に接触するように、第1の酸化触媒が、熱源から下流に位置付けされている。
【0019】
第2の態様によると、本発明は、起動運転時及び全負荷運転時の双方においてCO及び炭化水素の排出を制御するための、本発明の第1の態様に係る排気システムの使用を提供する。
【0020】
第3の態様によると、本発明は、発電装置であって、空気中で燃料を燃焼させて電力並びに一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を含む流動排気ガスを発生させる熱源と、排気ガスが大気中に放出される前に流動排気ガスを受け入れ且つ処理するための第1の態様に係る排気システムとを備えている発電装置を提供する。好ましくは、本発明の第1の態様に係る発電装置は、ガスタービンを備えている。
【0021】
第4の態様によると、本発明は、発電装置から排出された排気ガスを処理するための方法であって、当該発電装置が、空気中で燃料を燃焼させて電力及び流動排気ガスを発生させる熱源であって、当該排気ガスが、一酸化炭素及び炭化水素を含む、熱源を備えており、当該方法が、比較的高い温度域内で排気ガスを第1の酸化触媒と接触させることと、比較的低い温度域内で第1の酸化触媒から出た排気ガスを第2の酸化触媒と引き続き接触させることとを含み、発電装置が全負荷状態にある際に高い温度域が427℃(800°F)から621℃(1150°F)までの温度を有し、発電装置が全負荷状態にある際に比較的低い温度域が260℃(500°F)から427℃(800°F)までの温度を有する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】酸化の比率と一定の流量における温度を示す。
図2】物質移動制限領域における、CO酸化の比率と一定の流量及び温度における活性触媒材料の量を示す。
図3】HRSGシステムを使用する発電プラントの図を示す。図3では、「LP」は低圧力を指し、「HP」は高圧力を指す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明では、連結された酸化触媒システムであって、ガスタービンが起動時に排出物を還元し始めることを可能にするように、酸化触媒の第1の床がより高い温度領域に置かれ、追加の触媒表面を設け且つ一旦発電装置が起動したら所望のCO及びVOC還元を完了するように、酸化触媒の第2の床がより低い温度領域に置かれる、連結された酸化触媒システムは、優れた全体的な性能を低コストで発揮することができ、単一の酸化触媒床を使用する現状のアプローチよりも毒作用を受けにくいことが発見された。
【0024】
触媒システムの中のCO及びVOCの酸化は、運転温度及び反応滞留時間に左右される。酸化触媒がCO及びVOCの酸化を始める温度は、ライトオフ温度と呼ばれる。ライトオフ温度は、触媒の中の活性触媒材料の濃度に関連する。触媒の濃度が高いほど、酸化が開始する温度が低い。ライトオフ温度を越えた際に一定のガス流量で反応温度を上昇させると、酸化の比率が上昇する。この酸化の比率の上昇は、反応が速度論的に制限された領域から物質移動制限領域に移行するまで行なわれる(図1参照)。反応が物質移動制限領域に入るように温度が十分に高くなると、温度を上昇させても、もはや酸化の比率が上昇することはない。酸化の比率を上昇させる主な手段は、触媒表面領域を追加することである。物質移動制限領域では、活性触媒材料の濃度を上昇させても、酸化の比率が著しく上昇することはない(図2)。最小排出制御負荷が設定される。その理由としては、触媒の性能は、この負荷を下回ると十分でなくなるからである。本明細書に記載の連結された酸化触媒システムを使用することにより、このシステムがより低い負荷で排出物を還元することができるため、例えば、より低い負荷でガスタービンを運転することを可能にすることができる。これにより、最先端システムの著しい技術改善がもたらされる。
【0025】
ガスタービン用途では、様々な異なる運転負荷が存在する。しかしながら、ガスタービンが最小排出制御負荷と呼ばれる最小負荷に達したときにのみに排出物還元が必要とされる。このタービン負荷では、酸化触媒の温度は、通常、ライトオフ領域を上回り、単一の酸化触媒床のアプローチが効果的である。なぜなら、過剰な貴金属担持量は必要ではなく(図1)、必要とされる全体的な触媒表面領域は、100%負荷で必要とされる酸化のレベル(CO、VOC、及びNOの酸化)のみによって決定されるからである。
【0026】
ガスタービン起動時には、比較的大量のCO及びVOCが発生する。単一床の酸化触媒しかないシステムが起動及び全負荷の双方における排出物要件を満たすようになるためには、望ましくは、(1)最大流量でCO及びVOCの所望の除去を達成するために十分な触媒表面領域を有し、(2)起動時に遭遇する比較的低い温度(<204℃(<400°F))でCO及びVOCを除去するような濃度で十分な活性触媒材料を有する必要がある。これにより、結果的に、触媒体積は、比較的高い活性触媒材料濃度を有する大きな触媒体積となる。活性触媒材料は通常プラチナ又はパラジウムのような貴金属であるため、濃度と体積の増加は、触媒のコストを著しく上昇させる。代替的な構成は、単一の触媒床をより高い温度域に配置することであり、それにより、起動時の触媒の温度は、活性触媒材料濃度及び触媒体積を増加させる必要がないほどの温度となる。しかしながら、このアプローチの不利な点は、全負荷のCO酸化に必要とされる触媒表面領域全体が、高い温度域に配置され、より低い温度域内の単一床よりも圧力降下が高くなることである。これは、触媒床内のより大きな体積の触媒を担持するためにより等級の高い鋼による構築を必要とし、望ましくないSOの形成を著しく増大させる。
【0027】
起動時にはガスタービンの排気流はより低いので、起動時の排気要件を満たすのに必要な酸化触媒表面領域は、100%負荷で排気要件を満たすのに必要とされる酸化触媒表面領域よりも小さい。したがって、2つの異なる温度領域に配置された2つの触媒床を備えたCO及びVOC還元システムが、最も有益な解決策を提供する。上昇温度領域に配置した1つの床を起動時の排気要件を満たすよう最適化することができ、より低い温度領域内に配置した第2の床を、起動の後、温度が触媒ライトオフ温度を越えた際にCO、VOC、及びNOxに対する所望の変換が実現されるように最適化することができる。この最適化は、2つの位置にあるそれぞれの酸化触媒床のために適切な触媒体積、セル密度、及び触媒配合を選択することを含み得る。触媒配合のオプションは、耐硫黄性を加えるためにウオッシュコートの配合を調整して、さらに熱耐久性をもたらすことを含む。触媒内への貴金属の充填、種々の貴金属組成物(Pdリッチ配合物等)の使用、及びその他の変形を、2つの酸化触媒床のそれぞれにある触媒に対して行ってもよい。場合によっては、第1及び第2の酸化触媒床のそれぞれに対して、異なる触媒、触媒配合、及び触媒充填を用いてもよい。触媒が作動可能となる温度、すなわち、ライトオフ温度とは別の臨界パラメータが、第1の酸化触媒がライトオフ温度に達するまでにかかる時間である。この点に関して、比較的熱量が低く、熱伝導性が比較的高い基材モノリス、例えば、ハニカムモノリスが、第1の酸化触媒のために好まれている。システムの効率性を増大させるために、触媒においてこれらの種類の潜在的な変化があってもよい。
【0028】
HRSGを用いた現状の業界標準システムでは、Co酸化触媒の配置は、NH注入装置、混合室、及びSCR触媒を含む、窒素酸化物を変換する選択的触媒還元触媒(SCR)システムの必要性に基づいてきた。これにより、酸化触媒が、SCR触媒の作動に有利な排気ガス温度の排気流内の位置に配置されることが多い。しかしながら、この配置は、NOの発生に関して、CO酸化触媒の性能に対して有害であり得る。ガスタービン排気内のNO濃度は、酸化触媒の上でNOを酸化することにより数倍増加させることができる。触媒は、排気ガス流内の酸化触媒の位置において局所的排気温度でNOをNOの平衡濃度まで酸化することができる。
【0029】
典型的な酸化触媒は、HRSG排気ガス流で生じ得る最大約760℃(1400°F)の温度で耐久的に作動し得る。約399℃(750°F)から約760℃(1400°F)の温度範囲を有する位置で酸化触媒を排気流中に配置することにより、触媒を用いてNO発生を実質的に減少させることができる。約510℃(950°F)と約760℃(1400°F)との間の温度範囲において、酸化触媒を排気流中に配置することにより、耐性のある酸化触媒の寿命の延長をもたらすことができる。さらに、より小さな体積のSCR触媒を使用することを可能にするNOレベルをもたらし、より効率的なNHの使用をもたらすことができる(両方とも速い反応(3)が適用されることに起因する)。図3は、HRSGシステムにおける高温域及び低温域の可能な位置を示す。
【0030】
排気流の温度に関連して排気流の中の酸化触媒を有利に配置することにより、NOxの還元に必要なNH3の量と、SCR触媒に必要なサイズとに関して肯定的な影響を及ぼすことができる。触媒サイズがより小さくなり、排気筒からの同じNOppm出力に対するNH利用が少なくなったことにより、実質的な費用削減と、排気ガス流の圧力降下の減少につながり、複合サイクルガスタービンからのより大きな電力出力、又は同じ電力出力に対しての燃料削減が可能になる。
【0031】
本発明の第1の態様では、排気システムは、好ましくは、熱回収蒸気発生器(HRSG)を備えている。好適な構成では、HRSGは、HRSGチューブバンドルを備えており、第1の酸化触媒(又は第1の酸化触媒を備えた第1のブロック)は、任意のHRSGチューブバンドルの上流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている。代替的に又は追加的に、HRSGは、HRSG過熱器チューブバンドルを備えており、第1の酸化触媒(又は第1の酸化触媒を備えた第2のブロック)は、HRSG過熱器チューブバンドルの下流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている。2つ目の第1の酸化触媒は、第2のブロック内に配置され、且つ第1のブロック内に配置された1つ目の第1の酸化触媒の下流及び第2の酸化触媒の上流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされ得る。
【0032】
第2の酸化触媒は、少なくとも1つのHRSGチューブバンドルの下流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされ得る。例えば、第2の酸化触媒は、1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされ得る。
【0033】
より好ましくは、触媒システムは、第2の酸化触媒から下流に配置され且つアンモニアを流動排気ガスの中に注入するように適合されたアンモニア注入装置(AIG)と、アンモニア還元剤を用いて窒素酸化物を還元するための選択的触媒還元(SCR)触媒とを備えている。好ましくは、アンモニアスリップ触媒は、SCR触媒から下流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている。排気ガス処理用のアンモニアスリップ触媒は、例えば、WO2014/120645によって知られており、全体的な反応工程に触媒作用を及ぼす(4NH+3O→2N+6HO)機能がある。好ましくは、排気システムは、アンモニア注入装置の下流に配置され且つ注入されたアンモニアを流動排気ガスと混合するように適合された混合部を備えている。
【0034】
例えば、高温域又は低温域のいずれかに酸化触媒を有するガスタービン用の既存の排気システムでは、酸化触媒が現状では存在していない対応域(必要に応じて低温域又は高温域)に別の酸化触媒を追加することにより、本発明のシステムを作り上げることができる。例えば、高温域又は低温域のいずれかに酸化触媒を有しないガスタービン用の既存の排気システムでは、高温域及び低温域の両方に2つの酸化触媒を追加することにより、本発明のシステムを作り上げることができる。これらの域内に配置されていない酸化触媒を除去することが好ましい。なぜなら、本明細書に記載された、連結された少なくとも2つの酸化触媒システムが必要とする酸化触媒とは別の酸化触媒を有することにより背圧が増加するからである。
【0035】
第4の態様によると、本発明の方法は、好ましくは、アンモニアを第2の酸化触媒から出た排気ガスの中に導入するステップと、アンモニアを含む排気ガスを選択的触媒還元触媒と接触させるステップとを含む。第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒は、システムの中の最大限のNO酸化活性の各位置に対して、第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒の上でNOからNOへの酸化が限られる位置に配置されている。
【0036】
本発明は、以下の定義のうちの任意の1つに従って規定することもできる。
(i)第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒を備えた触媒システムであって、第1の酸化触媒は、第2の酸化触媒の前で、ガスタービンから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされている、触媒システム。
(ii)第1の酸化触媒が、包含的に、約800°Fと約1150°Fとの間の全負荷温度を有する高温域内に配置され、第2の酸化触媒が、包含的に、約500°Fと約800°Fとの間の全負荷温度を有する低温域内に配置されている、(i)に記載の触媒システム。
(iii)第1の酸化触媒が、任意の熱回収蒸気発生器(HRSG)チューブバンドルの前に、又はタービン排気熱回収蒸気発生器(HRSG)過熱器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(i)に記載の触媒システム。
(iv)第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドル又は1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(i)に記載の触媒システム。
(v)(a)第1の酸化触媒が、任意の熱回収蒸気発生器(HRSG)チューブバンドルの前に位置付けされ、第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドル又は1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされ、或いは、(b)第1の酸化触媒が、タービン排気熱回収蒸気発生器(HRSG)過熱器チューブバンドルの下流に位置付けされ、第2の酸化触媒が、1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(i)に記載の触媒システム。
(vi)第1の酸化触媒が、第1のブロック及び第2のブロックの中に存在し、第1のブロックが、第2の酸化触媒の前で、ガスタービンから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされ、第2のブロックが、第2の酸化触媒の前で、第1のブロックから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされている、(i)に記載の触媒システム。
(vii)触媒システムが、起動運転時及び全負荷運転時の双方においてCO及び炭化水素の排出を制御するのに効果的である、(i)に記載の触媒システム。
(viii)触媒システムが、起動運転時から全負荷運転時までCO及び炭化水素の排出を制御するのに効果的である、(i)に記載の触媒システム。
(ix)SCR触媒をさらに備えている、(i)に記載の触媒システム。或いは、
(x)アンモニアスリップ触媒をさらに備えている、(ix)に記載の触媒システム。
(xi)空気中で燃料を燃焼させて電力並びに一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を含む流動排気ガスを発生させる熱源と、排気ガスが大気中に放出される前に排気ガスの流れを受け入れるように適合された処理装置とを備えている発電装置であって、当該処理装置が、(i)に記載の触媒システムを備えている、発電装置。
(xii)第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒が、それぞれ、CO酸化触媒によるNOからのNO発生が制限されている位置に配置されている、(xi)に記載の発電装置。
(xiii)第2の酸化触媒から下流に配置され且つアンモニアを排気ガスの流れの中に注入するように適合されたアンモニア注入装置(AIG)と、アンモニア注入装置の下流に配置され且つ注入されたアンモニアを排気ガスの流れと混合するように適合された混合部と、排気ガスの流れの中のNOxを還元するように適合された、アンモニア注入装置の下流に配置された選択的触媒還元(SCR)要素とのうちの1つ又は複数を備えている、(xi)に記載の発電装置。
(xiv)熱回収蒸気発生器(HRSG)をさらに備えている、(xi)に記載の発電装置。
(xv)ガスタービンからの一酸化炭素及び炭化水素を含む排気ガスを処理する方法であって、当該方法は、排気ガスを高温域内の第1の酸化触媒に接触させ、第1の酸化触媒に接触した排気ガスを低温域内の第2の酸化触媒に接触させることを含み、高温域が、包括的に、約800°Fと約1150°Fとの間の全負荷温度を有し、低温域が、包括的に、約500°Fと約800°Fとの間の全負荷温度を有する、方法。
(xvi)第1の酸化触媒が、第1のブロック及び第2のブロックの中に存在し、第1のブロックが、第2の酸化触媒の前で、ガスタービンから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされ、第2のブロックが、第2の酸化触媒の前で、第1のブロックから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされている、(xv)に記載の方法。
(xvii)第1の酸化触媒が、任意の熱回収蒸気発生器(HRSG)チューブバンドルの前に、又はタービン排気熱回収蒸気発生器(HRSG)過熱器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(xv)に記載の方法。
(xviii)第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドル又は1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(xv)に記載の方法。
(xviv)(a)第1の酸化触媒が、任意の熱回収蒸気発生器(HRSG)チューブバンドルの前に位置付けされ、第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドル又は1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされ、或いは、(b)第1の酸化触媒が、タービン排気熱回収蒸気発生器(HRSG)過熱器チューブバンドルの下流に位置付けされ、第2の酸化触媒が、1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(xv)に記載の方法。
(xx)第2の酸化触媒に接触した排気ガスをSCR触媒に接触させることをさらに含む、(xv)に記載の方法。
(xxi)SCR触媒に接触した排気ガスをアンモニアスリップ触媒に接触させることをさらに含む、(xx)に記載の方法。
(xxii)ガスタービンからの排気ガスの流れの中の排出物を処理するために触媒要素を配置する方法であって、包括的に、約800°Fと約1150°Fとの間の全負荷温度を有する高温域内で、ガスタービンの排気ダクトから下流の位置に第1の酸化触媒を配置することと、包括的に、約500°Fと約800°Fとの間の全負荷温度を有する低温域内で、第1の酸化触媒から下流の位置に第2の酸化触媒を配置することとを含む、方法。
(xxiii)第1の酸化触媒が、第1のブロック及び第2のブロックの中に存在し、第1のブロックが、第2の酸化触媒の前で、ガスタービンから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされ、第2のブロックが、第2の酸化触媒の前で、第1のブロックから下流の排気ガスの流れの中に位置付けされている、(xxii)に記載の方法。
(xxiv)第1の酸化触媒が、任意の熱回収蒸気発生器(HRSG)チューブバンドルの前に、又はタービン排気熱回収蒸気発生器(HRSG)過熱器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(xxii)に記載の方法。
(xxv)第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドル又は1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(xxii)に記載の方法。
(xxvi)(a)第1の酸化触媒が、任意の熱回収蒸気発生器(HRSG)チューブバンドルの前に位置付けされ、第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドル又は1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされ、或いは、(b)第1の酸化触媒が、タービン排気熱回収蒸気発生器(HRSG)過熱器チューブバンドルの下流に位置付けされ、第2の酸化触媒が、1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流に位置付けされている、(xxii)に記載の方法。
(xxvii)排気ガス流の中で第2の酸化触媒から下流にアンモニア注入グリッド(AIG)を配置することと、AIGから下流に混合チャンバを配置することと、混合チャンバから下流に選択的触媒還元(SCR)触媒要素を配置することとをさらに含む、(xxii)に記載の方法。
【0037】
本発明は、特定の実施形態を参照して、本明細書において図示且つ説明されているが、本発明が示された詳細に限定されることは意図されていない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲内で、且つ本発明から逸脱することなく、様々な修正を詳細に行うことができる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020年12月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中で燃料を燃焼させて電力を発生させる熱源を備えている、発電装置用の排気システムであって、前記排気システムが、流動排気ガスを受け入れるように適合され、且つ前記排気ガスを処理するための触媒システムを備え、前記触媒システムが、第1の酸化触媒及び第2の酸化触媒を備え、前記流動排気ガスが前記第2の酸化触媒に接触する前に前記第1の酸化触媒に接触するように、前記第1の酸化触媒が、前記熱源から下流に位置付けされていて、
前記触媒システムは、第2のブロック内に配置され、且つ第1のブロック内に配置された1つ目の第1の酸化触媒の下流及び前記第2の酸化触媒の上流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされた2つ目の第1の酸化触媒をさらに備えており、
前記流動排気ガスは前記1つ目の第1の酸化触媒及び前記2つ目の第1の酸化触媒と比較的高い温度域内で接触し、引き続き前記流動排気ガスは前記第2の酸化触媒と比較的低い温度域内で接触し、前記発電装置が全負荷状態にある際に前記高い温度域が427℃(800°F)から621℃(1150°F)までの温度を有し、前記発電装置が全負荷状態にある際に前記比較的低い温度域が260℃(500°F)から427℃(800°F)までの温度を有する、排気システム。
【請求項2】
熱回収蒸気発生器(HRSG)を備えている、請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
前記HRSGが、HRSGチューブバンドルを備え、前記第1の酸化触媒が、任意のHRSGチューブバンドルの上流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項2に記載の排気システム。
【請求項4】
前記HRSGが、HRSG過熱器チューブバンドルを備え、前記第1の酸化触媒が、前記HRSG過熱器チューブバンドルの下流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項2に記載の排気システム。
【請求項5】
前記第2の酸化触媒が、少なくとも1つのHRSGチューブバンドルの下流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項3に記載の排気システム。
【請求項6】
前記第2の酸化触媒が、1つ又は複数の高圧蒸発器チューブバンドルの下流で前記流動排気ガスを受け入れるように位置付けされている、請求項2から5のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項7】
前記触媒システムが、前記第2の酸化触媒から下流に配置され且つアンモニアを流動排気ガスの中に注入するように適合されたアンモニア注入装置(AIG)と、アンモニア還元剤を用いて窒素酸化物を還元するための選択的触媒還元(SCR)触媒とを備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項8】
前記SCR触媒から下流で流動排気ガスを受け入れるように位置付けされたアンモニアスリップ触媒を備えている、請求項7に記載の排気システム。
【請求項9】
前記アンモニア注入装置の下流に配置され且つ注入されたアンモニアを前記流動排気ガスと混合するように適合された混合部を備えている、請求項7又は8に記載の排気システム。
【請求項10】
前記発電装置の起動運転時及び全負荷運転時の双方においてCO及び炭化水素を含む前記流動排気ガスの排出を制御するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の排気システムの使用。
【請求項11】
発電装置であって、空気中で燃料を燃焼させて電力並びに一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を含む流動排気ガスを発生させる熱源と、前記排気ガスが大気中に放出される前に前記流動排気ガスを受け入れ且つ処理するための請求項1から9のいずれか一項に記載の排気システムとを備えている発電装置。
【請求項12】
前記燃料を燃焼させて、前記流動排気ガスを排気するガスタービンを備えている、請求項11に記載の発電装置。
【請求項13】
発電装置から排出された排気ガスを処理するための方法であって、前記発電装置が、空気中で燃料を燃焼させて電力及び流動排気ガスを発生させる熱源であって、排気ガスが、一酸化炭素及び炭化水素を含む、熱源を備えており、前記方法が、比較的高い温度域内で前記排気ガスを第1の酸化触媒と接触させることと、比較的低い温度域内で前記第1の酸化触媒から出た排気ガスを第2の酸化触媒と引き続き接触させることとを含み、前記発電装置が全負荷状態にある際に前記高い温度域が427℃(800°F)から621℃(1150°F)までの温度を有し、前記発電装置が全負荷状態にある際に前記比較的低い温度域が260℃(500°F)から427℃(800°F)までの温度を有する、方法。
【請求項14】
アンモニアを前記第2の酸化触媒から出た排気ガスの中に導入するステップと、アンモニアを含む前記排気ガスを選択的触媒還元触媒と接触させるステップとを含み、前記第1の酸化触媒及び前記第2の酸化触媒が、システムの中の最大限のNO酸化活性の各位置に対して、前記第1の酸化触媒及び前記第2の酸化触媒の上でNOからNOへの酸化が限られる位置に配置されている、請求項13に記載の方法。
【外国語明細書】
2021058881000001.pdf