【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、不揮発性ストレージメディアと、ディスプレイデバイスと、受信デバイスとを備える較正可能なツールによって解決され、このツールは、較正プロセス中に較正デバイスに結合されるように、および較正プロセスの後に、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを較正デバイスから受信するように構成されており、このツールはさらに、次回の較正日付を日付データレコードとしてこのツールのストレージメディアに保存するように、および次回の較正日付をグラフィック表示としてこのツールのディスプレイデバイス上に表示するように構成されている。
【0007】
有利なことに、本発明による較正可能なツールは、較正証明書の取り扱いを簡略化する。次回の較正日付は、ストレージメディアに電子的に保存され、ディスプレイデバイス上に表示される。これは、証明書を印刷してその証明書をツールに添付することを不要にする。さらに、次回の較正日付の格納および表示は、ツールにおいて直接、またはツール上でそれぞれ行われるので、ツールの次回の較正日付を管理するために追加のハードウェアまたはソフトウェアは必要とされない。
【0008】
次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードは、較正デバイスによってツールへ送信される。したがって、較正プロセスの直後に、次回の較正日付がディスプレイデバイス上に表示される。具体的には、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードは、較正プロセスに続いて較正デバイスによってツールへ自動的に送信される。これは、較正プロセスを著しく加速させる。さらに、較正証明書を手作業で作成することから生じる可能性があるエラーが回避される。
【0009】
ツールの、具体的にはインタフェース、具体的には機械的なインタフェース、具体的にはツールヘッドが、較正プロセス中に較正デバイスの較正ユニットに結合される。インタフェース、具体的にはツールヘッドは、たとえば、測定ツールの測定センサ、またはトルクレンチなどのレンチのヘッドである。次回の較正日付は、具体的には、較正デバイスまたはツールによって計算され、そこで、固定された期間が現在の日付に加えられる。固定された期間は、指定されるか、またはそれぞれ事前に指定されることが可能であり、ツールが較正後に正しく取り扱われる場合には少なくとも較正されているままである持続時間に相当する。固定された期間は、具体的にはツールタイプに依存する。次回の較正日付は、好ましくは、日付データレコードとして較正デバイスからツールの受信デバイスへ送信される。
【0010】
好ましくは、較正可能なツールは、具体的には、ディスプレイデバイス上での表示に必要とされるデータを処理する役目を果たすプロセッサを備える。
【0011】
ストレージメディアおよびプロセッサは、具体的には、ツールの制御デバイスのコンポーネントである。プロセッサは、具体的には、ディスプレイデバイスを制御して、データをストレージメディアに保存するように、もしくはストレージメディアからデータを削除するように、および/またはストレージメディアからデータを取り出して、そのデータをグラフィック表示としてディスプレイデバイス上に表示するように構成される、好ましくは市販のプロセッサである。ディスプレイデバイスは、具体的には、日付およびさらに具体的にはその他のデータレコードもグラフィック表示として表示するように構成されているディスプレイである。次回の較正日付は、ツールが較正されているとみなされる期限である日付である。
【0012】
好ましくは、ツールは、次回の較正日付に到達または超過している場合には、ディスプレイデバイス上に警告メッセージを表示するように、および、具体的にはツールの使用をブロックするように構成される。これを実現するために、ツールは、次回の較正日付を現在の日付と比較する。現在の日付は、具体的には、ソフトウェアまたはハードウェアによって実現されるツールにおける時間測定手段によって特定される。あるいは、現在の日付が受信されるか、またはそれぞれ受信デバイスによって、好ましくは無線で受信されることが可能であるということが提供される。警告メッセージは、デバイスがおそらくもはや正しく較正されておらず、再較正されなければならないということをユーザに通知する。ブロックされたツールは、もはや使用されることが不可能である。この点については、たとえば、測定ツールの測定機能性が非アクティブ化されるか、またはトルクレンチが最小のトルクで滑るように調整され、それによって締め具は、もはやトルクレンチを用いて締め付けられることが不可能である。
【0013】
好ましくは、受信ユニットは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを無線でまたは有線によって受信するように構成される。
【0014】
次回の較正日付の無線受信を通じて、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードの送信は、有利なことにシンプルに設計される。有線による受信は、より高速な送信スピードを達成する。
【0015】
一実施形態によれば、ツールは、較正データを伴うデータレコード、および/または較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードを受信するように、ならびにデータレコードをストレージメディアに保存するように構成されており、具体的には、較正データを伴うデータレコード、および/または環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードは、ディスプレイデバイス上に表示されることが可能である。
【0016】
較正データは、具体的には、表形式で保存および/または表示される。較正データは、具体的には、較正プロセスの進行についての、すなわち、たとえば、較正プロセス中に測定されたツールの個々の物理的な特性および/または化学的な特性についての情報を含む。
【0017】
環境条件を伴うデータレコードは、たとえば、較正デバイスにおける、および/またはツールにおけるセンサによって測定された較正プロセス中の温度および/または湿度についての情報を含む。したがって、較正中に広く行き渡っている環境条件に適合された較正日付が生成されることが可能であり、その較正日付は次いで、ツールのディスプレイデバイス上に表示される。
【0018】
較正プロセスの成功に関するデータを伴うデータレコードは、ツールが成功裏に再較正されているか否かを示す。ツールが成功裏に再較正されなかった場合には、具体的には、次回の較正日付はツールへ送信されない。その代わりに、ユーザは、具体的には、ディスプレイ上のメッセージによって、ツールの調整を実行するように、および/または較正プロセスを繰り返すように求められる。一実施形態によれば、較正プロセスの成功に関するデータを伴うデータレコードは、次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードである。この実施形態によれば、ツールが成功裏に較正されたという情報をツールが受信した場合には、ツールは、次回の較正日付を独立して特定することが可能である。これを達成するために、プロセッサは、上述のような固定された期間を具体的には現在の日付に加える。
【0019】
固定された期間は、較正している間の環境条件に依存することが可能である。
【0020】
好ましくは、ツールは、ストレージメディアに保存されてディスプレイデバイス上に表示される次回の較正日付を、ツールの使用のサイクルの数、および/または、具体的にはツールの較正を害する外部事象の数に応じて適合させるように構成される。
【0021】
ツールは、具体的には、少なくとも1つのセンサを備え、このセンサを用いて、ツールの使用のサイクルの数が検知されることが可能である。較正ごとのツールの使用の最大サイクルの指定可能な数に相当する使用のサイクルの数が到達されている場合には、次回の較正日付は、具体的には現在の日付に設定される。言い換えれば、使用のサイクルの最大数が到達されている場合には、ツールは再較正されなければならない。その上、ツールは、具体的には温度センサおよび/または加速度センサを備える。たとえば強い加熱または落下からの、指定可能な限界値を超えている温度および/または加速度にツールがさらされているということをこれらのセンサが検知した場合には、具体的には次回の較正日付は、現在の日付に設定される。したがって、ツールの較正を害するそのような外部事象にツールがさらされた後には、ツールは再較正されなければならない。
【0022】
目的はまた、前述の実施形態のうちの1つによる較正可能なツールと、ツールを較正し、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードをツールへ、具体的にはツールの受信デバイスへ送信するように構成されている較正デバイスとを備える較正システムによって解決される。
【0023】
この較正システムは、上述されている較正可能なツールの同じ利点、特徴および特性を提供する。
【0024】
較正デバイスは、具体的には送信デバイスを備え、この送信デバイスを用いて、次回の較正日付が、較正プロセスの後にツールの受信デバイスへ送信される。さらに、較正デバイスは、較正ユニットを備え、較正ユニットは、ツールのツールヘッドに結合されて、ツールまたはツールヘッドの物理的な特性および/または化学的な特性をチェックし、ツールを較正するように構成される。
【0025】
較正デバイスを用いたツールの較正は、具体的には手作業で実行される。具体的には、較正デバイスの較正ユニットおよび較正デバイスの送信デバイスが、別々のデバイスとして構成される。たとえば、較正ユニットは、1つまたは複数の試験片であり、それらの試験片を用いてキャリパが較正される。キャリパは、試験片を測定し、測定された量が試験片の指定された量に相当するかどうかをチェックする。必要な場合には、キャリパを較正するためにキャリパが再調整される。送信デバイスは、たとえばコンピュータである。たとえば、試験プランを提供し、キャリパによって測定された量が入力されるソフトウェアが、コンピュータにインストールされている。較正の終結後に、ソフトウェアは、試験証明書を作成し、その試験証明書において現在の較正日付が保存され、その試験証明書から新たな較正日付が計算されることが可能である。試験証明書が、次回の較正日付を伴って、および/または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを伴って生成され、これがツールへ送信されるということも提供される。
【0026】
較正デバイスは、ある代替実施形態によれば、ツールを自動的に較正するように構成されている。具体的には、較正デバイスは、個別の組み立て部品として実現される。
【0027】
具体的には、較正デバイスは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを計算するように構成されている。具体的には、較正デバイスの較正ユニット、および/または較正デバイスの送信デバイスは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを計算するように構成されている。
【0028】
目的はまた、較正可能なツールを操作するための方法であって、ツールが、較正プロセスの前に較正デバイスに結合され、ツールが、較正プロセス中に較正デバイスを用いて較正され、較正プロセスの終結後に、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードが、較正デバイスによってツールの受信デバイスへ送信され、次回の較正日付が、日付データレコードとしてツールの不揮発性ストレージメディアに保存され、グラフィック表示としてツールのディスプレイデバイス上に表示される方法によって解決される。
【0029】
較正可能なツールを操作するためのこの方法は、上述の較正可能なツールおよび上述の較正システムと同じ利点、特徴および特性を具体化する。
【0030】
好ましくは、次回の較正日付に到達または超過している場合には、警告メッセージがディスプレイデバイス上に表示され、および具体的にはツールの使用がブロックされる。
【0031】
以前にストレージメディアに保存された次回の較正日付は、具体的には、較正によって上書きされる。具体的には、最後の送信された較正日付、またはツールもしくは較正デバイスによって計算された最後の較正日付が、常にディスプレイデバイス上に表示される。
【0032】
好ましくは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードは、無線でまたは有線によってツールの受信デバイスへ送信される。
【0033】
また、好ましくは、較正データを伴うデータレコード、および/または較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードは、較正デバイスによってツールの受信ユニットへ送信され、ツールのストレージメディアに保存され、具体的には、較正データを伴うデータレコード、および/または環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードは、ディスプレイデバイス上に表示される。
【0034】
好ましくは、ストレージメディアに保存されてディスプレイデバイス上に表示される次回の較正日付は、ツールの使用のサイクルの数、および/またはツールの較正を害する具体的には外部事象の数に応じて適合される。
【0035】
この方法の一実施形態によれば、較正デバイスは、ツールを自動的に較正する。本発明のコンテキスト内では、「具体的には」または「好ましくは」によって指定されている特徴は、任意選択の特徴であると理解される。
【0036】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲および添付の図面とともに、本発明による実施形態の記述から明らかになるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せを実現することが可能である。
【0037】
以降では、図面を参照しながら例示的な実施形態に基づいて、本発明の全般的なアイディアを限定することなく、本発明が記述されており、これによって我々は、本文においてはさらに詳細には説明されていない本発明によるすべての詳細の開示に関して、それらの図面を明示的に参照する。