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特開2021-59003較正可能なツール、較正システムおよび較正可能なツールを操作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-59003(P2021-59003A)
(43)【公開日】2021年4月15日
(54)【発明の名称】較正可能なツール、較正システムおよび較正可能なツールを操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/142 20060101AFI20210319BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20210319BHJP
【FI】
   B25B23/142
   B25B23/14 620J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-153941(P2020-153941)
(22)【出願日】2020年9月14日
(31)【優先権主張番号】10 2019 125 114.1
(32)【優先日】2019年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520351945
【氏名又は名称】ホフマン エンジニアリング サービシーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】マルコ クンストラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンス メーリッヒ
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038DA00
3C038EA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】較正可能なツール、較正システム、および較正可能なツールを操作するための方法を提供する。
【解決手段】ツール(2)は、不揮発性ストレージメディアと、ディスプレイデバイス(30)と、受信デバイス(40)とを備え、ツール(2)は、較正プロセス中に較正デバイス(60)に結合されるように、および較正プロセスの後に、次回の較正日付(35)、または次回の較正日付(35)を特定するのに必要とされるデータレコードを較正デバイス(60)から受信するように、次回の較正日付(35)を日付データレコードとしてツール(2)のストレージメディアに保存するように、および次回の較正日付(35)をグラフィック表示としてツール(2)のディスプレイデバイス(30)上に表示するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性ストレージメディア(20)と、ディスプレイデバイス(30)と、受信デバイス(40)とを備える較正可能なツール(2)であって、
較正プロセス中に較正デバイス(60)に結合されるように、および前記較正プロセスの後に、次回の較正日付(35)、または該次回の較正日付(35)を特定するのに必要とされるデータレコードを前記較正デバイス(60)から受信するように構成されており、
前記次回の較正日付(35)を日付データレコードとして前記ツール(2)の前記ストレージメディア(20)に保存するように、および前記次回の較正日付(35)をグラフィック表示として前記ツール(2)の前記ディスプレイデバイス(30)上に表示するように構成されるツール(2)。
【請求項2】
前記次回の較正日付(35)が到達されているかまたは超過されている場合には、前記ディスプレイデバイス(30)上に警告メッセージを表示するように、かつ、前記ツール(2)の使用をブロックするように構成される請求項1に記載のツール(2)。
【請求項3】
前記受信ユニット(40)が、前記次回の較正日付(35)、または該次回の較正日付(35)を特定するのに必要とされる前記データレコードを無線でまたは有線を介して受信するように構成される請求項1または2に記載のツール(2)。
【請求項4】
較正データを伴うデータレコード、および/または前記較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、および/または前記較正プロセスの成功に関するデータを伴うデータレコードを受信するように、ならびに該データレコードを前記ストレージメディア(20)に保存するように構成されており、較正データを伴う前記データレコード、および/または環境条件を伴う前記データレコード、および/または前記較正プロセスの前記成功に関するデータを伴う前記データレコードが、前記ディスプレイデバイス(30)上に表示されることが可能である請求項1から3のいずれか一項に記載のツール(2)。
【請求項5】
前記ストレージメディア(20)に保存されて前記ディスプレイデバイス(30)上に表示される前記次回の較正日付(35)を、前記ツール(2)の使用のサイクルの数、および/または、前記ツール(2)の前記較正を害する外部事象の数に応じて適合させるように構成される請求項1から4のいずれか一項に記載のツール(2)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の較正可能なツール(2)と、該ツール(2)を較正し、前記次回の較正日付(35)、または該次回の較正日付(35)を特定するのに必要とされるデータレコードを前記ツール(2)へ、具体的には該ツール(2)の前記受信デバイス(40)へ送信するように構成されている較正デバイス(60)とを備える較正システム(70)。
【請求項7】
前記較正デバイス(60)が、前記ツール(2)を自動的に較正するように構成される請求項6に記載の較正システム(70)。
【請求項8】
較正可能なツール(2)を操作するための方法であって、
前記ツール(2)が、較正プロセスの前に較正デバイス(60)に結合され、前記ツール(2)が、前記較正プロセス中に前記較正デバイス(60)を用いて較正され、前記較正プロセスの終結後に、次回の較正日付(35)、または該次回の較正日付(35)を特定するのに必要とされるデータレコードが、前記較正デバイス(60)によって前記ツール(2)の受信デバイス(40)へ送信され、前記次回の較正日付(35)が、日付データレコードとして前記ツール(2)の不揮発性ストレージメディア(20)に保存され、グラフィック表示として前記ツール(2)のディスプレイデバイス(30)上に表示される方法。
【請求項9】
前記次回の較正日付(35)が到達されているかまたは超過されている場合には、警告メッセージが前記ディスプレイデバイス(30)上に表示され、かつ、前記ツール(2)の使用がブロックされる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記次回の較正日付(35)、または該次回の較正日付(35)を特定するのに必要とされる前記データレコードが、無線でまたは有線によって前記ツール(2)の前記受信デバイス(40)へ送信される請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
較正データを伴うデータレコード、および/または前記較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、および/または前記較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードが、前記較正デバイス(60)によって前記ツール(2)の前記受信ユニット(40)へ送信され、前記ツール(2)の前記ストレージメディア(20)に保存され、較正データを伴う前記データレコード、および/または環境条件を伴う前記データレコード、および/または前記較正プロセスの前記成功に関連しているデータを伴う前記データレコードが、前記ディスプレイデバイス(30)上に表示される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ストレージメディア(20)に保存されて前記ディスプレイデバイス(30)上に表示される前記次回の較正日付(35)が、前記ツール(2)の使用のサイクルの数、および/または前記ツール(2)の前記較正を害する外部事象の数に応じて適合される請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記較正デバイス(60)が、前記ツール(2)を自動的に較正する請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセッサと、ストレージメディアと、ディスプレイデバイスとを備える較正可能なツールに関する。また、本発明は、較正可能なツールを備える較正システムおよび較正可能なツールを操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
較正可能なツールを使用する場合には、それらのツールが定期的にかつ正確に較正されることが非常に重要である。したがって、たとえば測定ツールの較正が必要とされ、それによって、検出された測定量が、実際の測定量と一致する。たとえばトルクレンチなどのその他のツールも較正されなければならず、それによって接続要素同士が、それらのツールによって適正なトルクで締め付けられることが可能である。
【0003】
ツールの誤った較正は、しばしば損害をもたらす。したがって、たとえば誤って過度に弱く締め付けられたボルトは、時期尚早に緩む可能性があり、または誤った測定ツールは、誤った測定データを提供する可能性がある。
【0004】
これを防止するために、較正可能なツールは、適切な較正デバイスを使用して定期的な間隔で再較正される。その際には、ツールの物理的な特性および/または化学的な特性が測定され、デバイスは、それらの物理的な特性および/または化学的な特性が指定の値に一致するように較正される。しばしば、較正後に較正証明書が作成され、ツールに添付される。そのような較正証明書は、たとえば較正デバイスによって、または手作業で記入されることが可能であり、ツールが較正されているとみなされる期限である次回の較正日付を含む。ユーザが使用したいツールに関して次回の較正日付が既に経過しているか、または経過しつつあるということにユーザが気づいたならば、これは、ツールが使用前に再較正されなければならない旨のユーザに対する表示である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改善された較正可能なツール、較正可能なツールを備える改善されたツールシステム、および較正可能なツールを操作するための改善された方法を提供することである。具体的には、より確実に、より容易に、および、より速くツールを較正することが可能となるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、不揮発性ストレージメディアと、ディスプレイデバイスと、受信デバイスとを備える較正可能なツールによって解決され、このツールは、較正プロセス中に較正デバイスに結合されるように、および較正プロセスの後に、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを較正デバイスから受信するように構成されており、このツールはさらに、次回の較正日付を日付データレコードとしてこのツールのストレージメディアに保存するように、および次回の較正日付をグラフィック表示としてこのツールのディスプレイデバイス上に表示するように構成されている。
【0007】
有利なことに、本発明による較正可能なツールは、較正証明書の取り扱いを簡略化する。次回の較正日付は、ストレージメディアに電子的に保存され、ディスプレイデバイス上に表示される。これは、証明書を印刷してその証明書をツールに添付することを不要にする。さらに、次回の較正日付の格納および表示は、ツールにおいて直接、またはツール上でそれぞれ行われるので、ツールの次回の較正日付を管理するために追加のハードウェアまたはソフトウェアは必要とされない。
【0008】
次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードは、較正デバイスによってツールへ送信される。したがって、較正プロセスの直後に、次回の較正日付がディスプレイデバイス上に表示される。具体的には、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードは、較正プロセスに続いて較正デバイスによってツールへ自動的に送信される。これは、較正プロセスを著しく加速させる。さらに、較正証明書を手作業で作成することから生じる可能性があるエラーが回避される。
【0009】
ツールの、具体的にはインタフェース、具体的には機械的なインタフェース、具体的にはツールヘッドが、較正プロセス中に較正デバイスの較正ユニットに結合される。インタフェース、具体的にはツールヘッドは、たとえば、測定ツールの測定センサ、またはトルクレンチなどのレンチのヘッドである。次回の較正日付は、具体的には、較正デバイスまたはツールによって計算され、そこで、固定された期間が現在の日付に加えられる。固定された期間は、指定されるか、またはそれぞれ事前に指定されることが可能であり、ツールが較正後に正しく取り扱われる場合には少なくとも較正されているままである持続時間に相当する。固定された期間は、具体的にはツールタイプに依存する。次回の較正日付は、好ましくは、日付データレコードとして較正デバイスからツールの受信デバイスへ送信される。
【0010】
好ましくは、較正可能なツールは、具体的には、ディスプレイデバイス上での表示に必要とされるデータを処理する役目を果たすプロセッサを備える。
【0011】
ストレージメディアおよびプロセッサは、具体的には、ツールの制御デバイスのコンポーネントである。プロセッサは、具体的には、ディスプレイデバイスを制御して、データをストレージメディアに保存するように、もしくはストレージメディアからデータを削除するように、および/またはストレージメディアからデータを取り出して、そのデータをグラフィック表示としてディスプレイデバイス上に表示するように構成される、好ましくは市販のプロセッサである。ディスプレイデバイスは、具体的には、日付およびさらに具体的にはその他のデータレコードもグラフィック表示として表示するように構成されているディスプレイである。次回の較正日付は、ツールが較正されているとみなされる期限である日付である。
【0012】
好ましくは、ツールは、次回の較正日付に到達または超過している場合には、ディスプレイデバイス上に警告メッセージを表示するように、および、具体的にはツールの使用をブロックするように構成される。これを実現するために、ツールは、次回の較正日付を現在の日付と比較する。現在の日付は、具体的には、ソフトウェアまたはハードウェアによって実現されるツールにおける時間測定手段によって特定される。あるいは、現在の日付が受信されるか、またはそれぞれ受信デバイスによって、好ましくは無線で受信されることが可能であるということが提供される。警告メッセージは、デバイスがおそらくもはや正しく較正されておらず、再較正されなければならないということをユーザに通知する。ブロックされたツールは、もはや使用されることが不可能である。この点については、たとえば、測定ツールの測定機能性が非アクティブ化されるか、またはトルクレンチが最小のトルクで滑るように調整され、それによって締め具は、もはやトルクレンチを用いて締め付けられることが不可能である。
【0013】
好ましくは、受信ユニットは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを無線でまたは有線によって受信するように構成される。
【0014】
次回の較正日付の無線受信を通じて、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードの送信は、有利なことにシンプルに設計される。有線による受信は、より高速な送信スピードを達成する。
【0015】
一実施形態によれば、ツールは、較正データを伴うデータレコード、および/または較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードを受信するように、ならびにデータレコードをストレージメディアに保存するように構成されており、具体的には、較正データを伴うデータレコード、および/または環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードは、ディスプレイデバイス上に表示されることが可能である。
【0016】
較正データは、具体的には、表形式で保存および/または表示される。較正データは、具体的には、較正プロセスの進行についての、すなわち、たとえば、較正プロセス中に測定されたツールの個々の物理的な特性および/または化学的な特性についての情報を含む。
【0017】
環境条件を伴うデータレコードは、たとえば、較正デバイスにおける、および/またはツールにおけるセンサによって測定された較正プロセス中の温度および/または湿度についての情報を含む。したがって、較正中に広く行き渡っている環境条件に適合された較正日付が生成されることが可能であり、その較正日付は次いで、ツールのディスプレイデバイス上に表示される。
【0018】
較正プロセスの成功に関するデータを伴うデータレコードは、ツールが成功裏に再較正されているか否かを示す。ツールが成功裏に再較正されなかった場合には、具体的には、次回の較正日付はツールへ送信されない。その代わりに、ユーザは、具体的には、ディスプレイ上のメッセージによって、ツールの調整を実行するように、および/または較正プロセスを繰り返すように求められる。一実施形態によれば、較正プロセスの成功に関するデータを伴うデータレコードは、次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードである。この実施形態によれば、ツールが成功裏に較正されたという情報をツールが受信した場合には、ツールは、次回の較正日付を独立して特定することが可能である。これを達成するために、プロセッサは、上述のような固定された期間を具体的には現在の日付に加える。
【0019】
固定された期間は、較正している間の環境条件に依存することが可能である。
【0020】
好ましくは、ツールは、ストレージメディアに保存されてディスプレイデバイス上に表示される次回の較正日付を、ツールの使用のサイクルの数、および/または、具体的にはツールの較正を害する外部事象の数に応じて適合させるように構成される。
【0021】
ツールは、具体的には、少なくとも1つのセンサを備え、このセンサを用いて、ツールの使用のサイクルの数が検知されることが可能である。較正ごとのツールの使用の最大サイクルの指定可能な数に相当する使用のサイクルの数が到達されている場合には、次回の較正日付は、具体的には現在の日付に設定される。言い換えれば、使用のサイクルの最大数が到達されている場合には、ツールは再較正されなければならない。その上、ツールは、具体的には温度センサおよび/または加速度センサを備える。たとえば強い加熱または落下からの、指定可能な限界値を超えている温度および/または加速度にツールがさらされているということをこれらのセンサが検知した場合には、具体的には次回の較正日付は、現在の日付に設定される。したがって、ツールの較正を害するそのような外部事象にツールがさらされた後には、ツールは再較正されなければならない。
【0022】
目的はまた、前述の実施形態のうちの1つによる較正可能なツールと、ツールを較正し、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードをツールへ、具体的にはツールの受信デバイスへ送信するように構成されている較正デバイスとを備える較正システムによって解決される。
【0023】
この較正システムは、上述されている較正可能なツールの同じ利点、特徴および特性を提供する。
【0024】
較正デバイスは、具体的には送信デバイスを備え、この送信デバイスを用いて、次回の較正日付が、較正プロセスの後にツールの受信デバイスへ送信される。さらに、較正デバイスは、較正ユニットを備え、較正ユニットは、ツールのツールヘッドに結合されて、ツールまたはツールヘッドの物理的な特性および/または化学的な特性をチェックし、ツールを較正するように構成される。
【0025】
較正デバイスを用いたツールの較正は、具体的には手作業で実行される。具体的には、較正デバイスの較正ユニットおよび較正デバイスの送信デバイスが、別々のデバイスとして構成される。たとえば、較正ユニットは、1つまたは複数の試験片であり、それらの試験片を用いてキャリパが較正される。キャリパは、試験片を測定し、測定された量が試験片の指定された量に相当するかどうかをチェックする。必要な場合には、キャリパを較正するためにキャリパが再調整される。送信デバイスは、たとえばコンピュータである。たとえば、試験プランを提供し、キャリパによって測定された量が入力されるソフトウェアが、コンピュータにインストールされている。較正の終結後に、ソフトウェアは、試験証明書を作成し、その試験証明書において現在の較正日付が保存され、その試験証明書から新たな較正日付が計算されることが可能である。試験証明書が、次回の較正日付を伴って、および/または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを伴って生成され、これがツールへ送信されるということも提供される。
【0026】
較正デバイスは、ある代替実施形態によれば、ツールを自動的に較正するように構成されている。具体的には、較正デバイスは、個別の組み立て部品として実現される。
【0027】
具体的には、較正デバイスは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを計算するように構成されている。具体的には、較正デバイスの較正ユニット、および/または較正デバイスの送信デバイスは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードを計算するように構成されている。
【0028】
目的はまた、較正可能なツールを操作するための方法であって、ツールが、較正プロセスの前に較正デバイスに結合され、ツールが、較正プロセス中に較正デバイスを用いて較正され、較正プロセスの終結後に、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードが、較正デバイスによってツールの受信デバイスへ送信され、次回の較正日付が、日付データレコードとしてツールの不揮発性ストレージメディアに保存され、グラフィック表示としてツールのディスプレイデバイス上に表示される方法によって解決される。
【0029】
較正可能なツールを操作するためのこの方法は、上述の較正可能なツールおよび上述の較正システムと同じ利点、特徴および特性を具体化する。
【0030】
好ましくは、次回の較正日付に到達または超過している場合には、警告メッセージがディスプレイデバイス上に表示され、および具体的にはツールの使用がブロックされる。
【0031】
以前にストレージメディアに保存された次回の較正日付は、具体的には、較正によって上書きされる。具体的には、最後の送信された較正日付、またはツールもしくは較正デバイスによって計算された最後の較正日付が、常にディスプレイデバイス上に表示される。
【0032】
好ましくは、次回の較正日付、または次回の較正日付を特定するのに必要とされるデータレコードは、無線でまたは有線によってツールの受信デバイスへ送信される。
【0033】
また、好ましくは、較正データを伴うデータレコード、および/または較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードは、較正デバイスによってツールの受信ユニットへ送信され、ツールのストレージメディアに保存され、具体的には、較正データを伴うデータレコード、および/または環境条件を伴うデータレコード、および/または較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードは、ディスプレイデバイス上に表示される。
【0034】
好ましくは、ストレージメディアに保存されてディスプレイデバイス上に表示される次回の較正日付は、ツールの使用のサイクルの数、および/またはツールの較正を害する具体的には外部事象の数に応じて適合される。
【0035】
この方法の一実施形態によれば、較正デバイスは、ツールを自動的に較正する。本発明のコンテキスト内では、「具体的には」または「好ましくは」によって指定されている特徴は、任意選択の特徴であると理解される。
【0036】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲および添付の図面とともに、本発明による実施形態の記述から明らかになるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せを実現することが可能である。
【0037】
以降では、図面を参照しながら例示的な実施形態に基づいて、本発明の全般的なアイディアを限定することなく、本発明が記述されており、これによって我々は、本文においてはさらに詳細には説明されていない本発明によるすべての詳細の開示に関して、それらの図面を明示的に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】較正可能なツールと較正デバイスとを伴う較正システムの概略的に簡略化された表示を示す図である。
図2】較正システムのコンポーネントの概略的に簡略化された表示を示す図である。
図3】較正可能なツールを較正するための方法のフローチャートである。
図4】較正可能なツールとマルチパーツ較正デバイスとを伴う較正システムの概略的に簡略化された表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面においては、同一または同様の要素および/または部分は、常に同一の参照番号を伴って提供され、したがって再紹介は常に省略される。
【0040】
図1においては、較正システム70が、概略的に簡略化されて示されている。この較正システムは、較正可能なツール2および較正デバイス60を備えている。図1において例として示されているツール2は、トルクレンチである。しかしながら本発明は、トルクレンチには限定されず、むしろすべてのタイプの較正可能なツール2を含む。
【0041】
ツール2は、ツールヘッド50を有しており、図1のトルクレンチについては、これはレンチヘッドである。ツール2を較正するために、較正デバイス60が、ツールヘッド50に結合される。較正デバイス60は、ツール2を較正する。最後に、較正デバイス60は、ツール2が較正されているとみなされる期限である次回の較正日付35を計算し、送信デバイス64を用いて次回の較正日付35の日付データをツール2の受信デバイス40へ送信する。次回の較正日付を計算することに対する代替として、この日付は、較正デバイスによって指定されることも可能である。次回の較正日付35は、ツール2および較正プロセスに応じた指定可能な期間を現在の日付に加えることによって計算される。
【0042】
その上、好ましくは、較正中の測定された値を記述する較正データを伴うデータレコード、較正中の温度および/もしくは湿度など、較正プロセス中の環境条件を伴うデータレコード、ならびに/または較正が成功であったかどうかを記述する較正プロセスの成功に関連しているデータを伴うデータレコードなど、追加のデータレコードが受信デバイスへ送信される。
【0043】
ある代替実施形態によれば、較正プロセスが成功であった旨の較正デバイス60からの送信をツール2が受信すると、ツール2そのものが、次回の較正日付35を計算する。
【0044】
さらに、ツール2は、スクリーンなどのディスプレイデバイス30を有する。次回の較正日付35は、このスクリーン上に表示される。したがって、ツール2のユーザは、どれぐらい長い間ツール2が依然として較正されていることになるかを容易に読み取ることが可能である。
【0045】
図2は、較正システム70のコンポーネントを、概略的に簡略化された図で示している。ツール2は、プロセッサ10を備え、プロセッサ10は、やはり備えられている不揮発性ストレージメディア20およびディスプレイデバイス30を制御するということをこの図から見て取ることが可能である。例示的な実施形態においては、ツールヘッド50もプロセッサ10に接続される。したがって、たとえばトルクレンチについては、ツールヘッド50上に現在作用しているトルクをプロセッサ10へ送信すること、およびそのトルクを、次回の較正日付35に追加して、または次回の較正日付35に対する代替としてディスプレイデバイス30上に表示することが可能である。
【0046】
較正プロセス中に、較正デバイス60の較正ユニット62が、ツール2の、具体的にはツールヘッド50の物理的な特性および/または化学的な特性をチェックし、ツール2を較正する。次いで較正デバイス60は、次回の較正日付35を計算し、送信デバイス64を介してツール2の受信デバイス40へ次回の較正日付35を送信する。受信デバイス40は、次回の較正日付35をプロセッサ10へ送信し、プロセッサ10は、次回の較正日付35をストレージメディア20に保存し、次回の較正日付35がディスプレイデバイス30上に表示されるようにディスプレイデバイス30を制御する。較正プロセスに関連しているその他のデータレコードも、同一または同様の様式でツール2へ送信される。
【0047】
図3は、ツール2の例示的な較正プロセスを表すフローチャートを示している。方法ステップ80において、較正デバイス60の較正ユニット62が、ツール2のツールヘッド50に結合される。次いでステップ82において、ツール2の物理的な特性および/または化学的な特性が検出され、ツール2が較正される。その後にステップ84において、すべての較正データ、すなわち、次回の較正日付ならびに具体的にはその他のデータレコードが、無線でまたは有線によってツール2のプロセッサ10へ送信される。最後にステップ86において、それらのデータレコードが、ストレージメディア20に保存され、ディスプレイデバイス30上に表示される。それらのデータレコードは、同時にディスプレイデバイス35上に表示されることが可能であり、またはディスプレイデバイスは、別々のデータレコードの表示の間において切り替えられることが可能である。これは、具体的には、ディスプレイデバイス30が小さい場合に有用である。
【0048】
図4は、図1からの較正システム70の概略的に簡略化された代替実施形態を示しており、ここでは、較正デバイス60の較正ユニット62、および較正デバイス60の送信デバイス64が、別々のデバイスとして設計されている。現在示されている例においては、ツール2は、電子キャリパであり、較正ユニット62は、1つまたは複数の試験片であり、送信デバイス64は、ラップトップなどのコンピュータである。ツール2は、較正ユニット62を用いて較正される。たとえば、試験片は、指定された量を有しており、それにより、キャリバによって測定された量を読み取ることによって、キャリバが正しく較正されているかどうかがチェックされることが可能である。測定された量は、コンピュータへと入力される。コンピュータのソフトウェアを用いて、次回の較正日付35を含む試験証明書、または次回の較正日付35を特定するのに必要とされるデータレコードが作成され、受信デバイス40へ送信される。これは、たとえば無線で、たとえばBluetooth(登録商標)を通じて、または有線によって行われる。その他の点では、図4において示されている実施形態は、図1において示されている実施形態と同じである。
【0049】
図面のみから取り上げられている特徴、ならびにその他の特徴と組み合わせて開示されている個々の特徴を含む、すべての名付けられている特徴は、単独でおよび組合せで、本発明にとって必須であるとみなされる。本発明による実施形態は、個々の特徴、またはいくつかの特徴の組合せによって実現されることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
2 ツール
10 プロセッサ
20 ストレージメディア
30 ディスプレイデバイス
35 較正日付
40 受信デバイス
50 ツールヘッド
60 較正デバイス
62 較正ユニット
64 送信デバイス
70 較正システム
80 方法ステップ
82 方法ステップ
84 方法ステップ
86 方法ステップ
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】
2021059003000001.pdf