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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-5920(P2021-5920A)
(43)【公開日】2021年1月14日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/32 20060101AFI20201211BHJP
   H02K 3/24 20060101ALI20201211BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   H02K1/32 B
   H02K3/24 J
   H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-117635(P2019-117635)
(22)【出願日】2019年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】若林 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 卓邦
(72)【発明者】
【氏名】脇田 豊
(72)【発明者】
【氏名】冨田 徹洋
【テーマコード(参考)】
5H601
5H603
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC02
5H601CC11
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD27
5H601EE25
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GE02
5H601GE12
5H601JJ08
5H603AA13
5H603AA15
5H603BB01
5H603BB02
5H603BB05
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB03
5H609BB01
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータの損失密度が増加した場合でも、コイルの温度上昇が規定値を超えるのを防止する。
【解決手段】モータ1は、複数の積層板を有するステータ5と、ステータの内側に隙間を空けて配置されるロータ4とを備え、ステータは、外側に位置する環状のヨークと、ヨークの内周面からロータに向かって突出する複数のティースとを備え、隣り合うティース間には、ティースに巻回されたコイル6が配置されるスロット53が形成され、スロットの底部とコイルとの間には、冷却媒体が供給される空隙が形成されており、ステータは、その積層板と対向するように配置される端板部材60、160を有しており、少なくとも1つのスロット内の空隙の一方の端部は、端板部材とステータの積層板との間にそれぞれ形成された冷却媒体供給路65、165と連通すると共に、少なくとも1つのスロット内の空隙の他方の端部は開放されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層板を有するステータと、前記ステータの内側に隙間を空けて配置されるロータとを備え、
前記ステータは、外側に位置する環状のヨークと、前記ヨークの内周面から前記ロータに向かって突出する複数のティースとを備え、
隣り合う前記ティース間には、前記ティースに巻回されたコイルが配置されるスロットがそれぞれ形成され、
前記スロットの底部と前記コイルとの間には、冷却媒体が供給される空隙が形成されており、
前記ステータは、その積層板と対向するように配置される端板部材を有しており、
少なくとも1つの前記スロット内の前記空隙の一方の端部は、前記端板部材と前記ステータの積層板との間に形成された冷却媒体供給路と連通すると共に、前記少なくとも1つの前記スロット内の前記空隙の他方の端部は開放されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記ステータの一端面に配置され、前記ステータの他端側に配置される前記スロットに対して冷却媒体を供給する第1冷却媒体供給路と、
前記ステータの他端面に配置され、前記ステータの一端側に配置される前記スロットに対して冷却媒体を供給する第2冷却媒体供給路とを備え、
前記第1冷却媒体供給路内の冷却媒体は、前記ステータの他端面に向かって通過した後で前記ステータの他端面から流出すると共に、
前記第2冷却媒体供給路内の冷却媒体は、前記ステータの一端面に向かって通過した後で前記ステータの一端面から流出することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータの他端面において冷却媒体が流出する前記スロットの数と、前記ステータの一端面において冷却媒体が流出する前記スロットの数とは同一であることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ステータの一端面に配置される第1端板部材と、前記ステータの他端面に配置される第2端板部材とを備え、
前記コイルの一端部は、前記第1端板部材に対して前記ステータと反対側に配置されると共に、前記コイルの他端部は、前記第2端板部材に対して前記ステータと反対側に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記複数のスロット内の底部近傍には、前記スロット内において前記コイルの位置決めを行うスペーサが配置されており、
前記スペーサは、前記スロット内の空隙を形成するための凹部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機(モータ、発電機等)に関し、特にステータの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータとしては、ロータと、ロータの周囲に配設された筒状のステータと、ステータの長手方向に巻回されたコイルとを有しており、ステータが筐体の内側に支持されたものがある。ステータのスロット内にはコイルが配置されている。コイルの端部のコイルエンドの外周側に接するように、配管部が設けられている。
【0003】
筐体を貫通して設けられた供給管を備えており、冷媒となる冷却油が供給管へ供給されると、その供給された冷却油は、配管部を流れて、噴出口から噴出される。そのため、冷却油が配管部を流れて配管部を冷却することで、配管部と接するコイルエンドを冷却すると共に、配管部の噴出口から噴出された冷却油が、直接コイルエンドに触れることで、コイルエンドから熱を奪い、コイルエンドを冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モータの高出力化や小型軽量化(高出力密度化)のニーズが高まっており、これに対応しようとすると損失密度(コイル温度)が増加する傾向にあり、例えば、特許文献1の冷却方法では、コイルエンドは、配管部の噴出口から噴出された冷却油により冷却できるが、スロット内のコイルは冷却できず、冷却能力が不足するため、スロット内のコイル中央部の温度が最大となり、コイルの温度上昇が規定値を超えてしまう問題がある。
【0006】
そこで本発明は、モータの損失密度が増加した場合でも、コイルの温度上昇が規定値を超えるのを防止することが可能なモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明に係るモータは、複数の積層板を有するステータと、前記ステータの内側に隙間を空けて配置されるロータとを備え、前記ステータは、外側に位置する環状のヨークと、前記ヨークの内周面から前記ロータに向かって突出する複数のティースとを備え、隣り合う前記ティース間には、前記ティースに巻回されたコイルが配置されるスロットがそれぞれ形成され、前記スロットの底部と前記コイルとの間には、冷却媒体が供給される空隙が形成されており、前記ステータは、その積層板と対向するように配置される端板部材を有しており、少なくとも1つの前記スロット内の前記空隙の一方の端部は、前記端板部材と前記ステータの積層板との間に形成された冷却媒体供給路と連通すると共に、前記少なくとも1つの前記スロット内の前記空隙の他方の端部は開放されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、本発明に係るモータでは、端板部材とステータの積層板との間に冷却媒体供給路が形成され、冷却媒体供給路から少なくとも1つのスロット内の空隙に冷却媒体が供給されるため、そのスロット内の空隙を通過する冷却媒体によりスロット内のコイルが冷却される。よって、最大温度となるスロット内のコイル中央部の温度上昇を効果的に抑制することが可能である。また、少なくとも1つのスロット内の空隙を通過した後でステータから流出した冷却媒体がコイルエンドに触れることによりコイルエンドが冷却される。よって、モータの損失密度が増加した場合でも、コイルの温度上昇が規定値を超えるのを防止することが可能である。
【0010】
本発明に係るモータにおいて、前記ステータの一端面に配置され、前記ステータの他端側に配置される前記スロットに対して冷却媒体を供給する第1冷却媒体供給路と、前記ステータの他端面に配置され、前記ステータの一端側に配置される前記スロットに対して冷却媒体を供給する第2冷却媒体供給路とを備え、前記第1冷却媒体供給路内の冷却媒体は、前記ステータの他端面に向かって通過した後で前記ステータの他端面から流出すると共に、前記第2冷却媒体供給路内の冷却媒体は、前記ステータの一端面に向かって通過した後で前記ステータの一端面から流出することを特徴とする。
【0011】
これにより、本発明に係るモータでは、第1冷却媒体供給路内の冷却媒体がステータの一端面から他端面に向かって通過すると共に、第2冷却媒体供給路内の冷却媒体がステータの他端面から一端面に向かって通過する。そのため、冷却媒体の全てが同一方向に向かって通過する場合と比べて、ステータの軸方向についてコイルの温度を均一化できる。また、スロット内を通過した冷却媒体の全てがステータの片側に流出される場合と比べて、ステータの一端面から流出する冷却媒体の量と、ステータの他端面から流出する冷却媒体の量との差が小さくなる。そのため、ステータから流出した冷却媒体を容易に回収できる。
【0012】
本発明に係るモータにおいて、前記ステータの他端面において冷却媒体が流出する前記スロットの数と、前記ステータの一端面において冷却媒体が流出する前記スロットの数とは同一であることを特徴とする。
【0013】
これにより、本発明に係るモータでは、第1冷却媒体供給路内の冷却媒体がステータの一端面から他端面に向かって流れるときの冷却と、第2冷却媒体供給路内の冷却媒体がステータの他端面から一端面に向かって流れるときの冷却とが略同一となる。そのため、ステータの軸方向についてコイルの温度をより均一化できる。また、ステータの一端面から流出する冷却媒体の量と、ステータの他端面から流出する冷却媒体の量とが略同一にすることが可能である。
【0014】
本発明に係るモータにおいて、前記ステータの一端面に配置される第1端板部材と、前記ステータの他端面に配置される第2端板部材とを備え、前記コイルの一端部は、前記第1端板部材に対して前記ステータと反対側に配置されると共に、前記コイルの他端部は、前記第2端板部材に対して前記ステータと反対側に配置されることを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明に係るモータでは、コイルの端部までの全体を覆うように冷却媒体供給路が形成される場合と比べて、ステータを小型化することが可能である。
【0016】
本発明に係るモータにおいて、前記複数のスロット内の底部近傍には、前記スロット内において前記コイルの位置決めを行うスペーサが配置されており、前記スペーサは、前記スロット内の空隙を形成するための凹部を有していることを特徴とする。
【0017】
これにより、本発明に係るモータでは、スロット内においてコイルが移動して、磁気的特性が変化するのを防止することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した本発明によれば、モータの損失密度が増加した場合でも、コイルの温度上昇が規定値を超えるのを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るモータの縦断面図である。
図2図2(a)は、図1のA−A線におけるステータ及びロータの断面図であり、図2(b)は、図2(a)の一部の拡大図である。
図3図3(a)は、スペーサの斜視図であり、図3(b)は、スペーサの断面図である。
図4】端板部材の斜視図である。
図5図5(a)は、図4の端板部材の内面を示す図であり、図5(b)は、図4の端板部材の外面を示す図である。
図6】ステータの斜視図である。
図7】ステータを一端側から見た図である。
図8】ステータを他端側から見た図である。
図9図1の筐体内の冷却媒体の移動方向を示す図である。
図10】本発明の変形例に係るモータの縦断面図である。
図11図11(a)は、端板部材の左端面の平面図であり、図11(b)は、端板部材の右端面の平面図である。
図12図10の筐体内の冷却媒体の移動方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、モータ1は、筐体2を有しており、筐体2内には、回転軸であるモータ軸3の軸回りに回転するロータ(可動子)4と、ロータ4の外周を囲むように狭い隙間(エアギャップ)を空けて筐体2に固定されるステータ(固定子)5とを備えている。なお、ロータ4は周知のものを適用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
モータ1は、ハイブリッド車や電気自動車などに搭載されるモータの性能特性試験を行うために、モータに正確な負荷を与えるための負荷装置(ダイナモメータ)や、自動車試験装置の1つであるエンジンを模したダイナモ装置(ダイナモメータ)として用いられる他、ハイブリッド車や電気自動車などに搭載されるモータとして用いてもよいし、その他の目的で用いてもよい。
【0023】
ステータ5は、図2に示すように、その軸方向に積層された複数の積層板5tを有しており、外側に位置する円環状のヨーク51と、ヨーク51の内周面からモータ軸3に向かって突出する複数のティース52とを備えている。隣り合うティース52間の隙間は、スロット53と称し、ティース52の数と同数備えている。
【0024】
隣り合うティース52間に形成されるスロット53には、ティース52に巻回されたコイル6がそれぞれ配置される。スロット53内において、コイル6の周囲は絶縁紙6aにより覆われており、スロット53の内側端部には、ウェッジ(図示しない)が配置される。なお、本実施形態において、コイル6とは、その周囲を覆う絶縁紙6aを含んだものを称する場合がある。
【0025】
スロット53内において、その底部53a近傍には、スペーサ8が配置されている。スペーサ8は、スロット53内においてコイル6を位置決めするための部材である。スペーサ8は、図3(a)に示すように、長尺の部材であり、ステータ5の長さと略同一の長さを有している。スペーサ8は、本体部8aと、本体部8aから突出した突出部8bとを有している。
【0026】
スペーサ8をスロット53内に挿入したときに、本体部8aは、ステータ5の外周側に配置され、突出部8bは、ステータ5の内周側に配置される。すなわち、本体部8aは、スロット53の底部53a近傍に配置され、突出部8bは、スロット53内においてコイル6と近接して配置される。
【0027】
スペーサ8の本体部8aの外周面は、ステータ5のスロット53の底部53a近傍と略同一形状である。そのため、スペーサ8をスロット53内に挿入すると、本体部8aの外周面とスロット53の底部53a近傍との間には、ほとんど隙間は形成されない。
【0028】
突出部8bは、スロット53内において、本体部8aからコイル6に向かって突出している。突出部8bは、図3(b)に示すように、その幅方向中央において突出量が最大となり、幅方向中央から幅方向端部に近づくにつれて突出量が小さくなる。突出部8bの側面は、内側に凸状の曲面状に形成される。スペーサ8の本体部8a及び突出部8bは、その全長にわたって同一の断面形状を有している。突出部8bの先端部は、コイル6に接触している。
【0029】
図2(b)に示すように、スペーサ8とコイル6との間(スロット53の底部53aとコイル6との間)には、冷却媒体が供給される空隙10が形成されている。上述したように、スペーサ8の突出部8bは、その幅方向中央において突出量が最大となり、突出部8bの先端部はコイル6に接触しているため、1つのスロット53内には、それぞれ、2つの空隙10が形成されている。すなわち、スペーサ8は、1つのスロット53内に2つの空隙10を形成するための2つの凹部8cを有していることになる。2つの凹部8cは、スペーサ8の全長にわたって形成されている。
【0030】
ステータ5の一端面5a(図1では左端面)には、端板部材60が取り付けられ、ステータ5の他端面5b(図1では右端面)には、端板部材160が取り付けられている。端板部材60と端板部材160は、同一形状を有しているため、ステータ5の一端面5a及び他端面5bには、いずれも同一形状の端板部材60、160がそれぞれ取り付けられる。なお、端板部材60の形状について説明し、端板部材160の形状は同様であるため、その説明は省略する。
【0031】
端板部材60は、円環状の板状部材である。端板部材60の外周部の径は、ステータ5の外径と略同一である。端板部材60がステータ5の一端面5aに取り付けられた状態において、端板部材60の中心を通過する水平線より上側に配置される第1部分60aと、端板部材60の中心を通過する水平線より下側に配置される第2部分60bとを有している。
【0032】
端板部材60の第1部分60aは、周方向に沿って配置される第1所定幅(径方向の沿った幅)の部分であり、第2部分60bは、周方向に沿って配置される第2所定幅(径方向の沿った幅)の部分である。第1部分60aの第1所定幅は、第1部分60aの全体にわたって略同一の幅であり、第2部分60bの第2所定幅は、第2部分60bの全体にわたって略同一の幅である。第1部分60aの第1所定幅は、第2部分60bの第2所定幅より大きい。端板部材60がステータ5の一端面5aに取り付けられた状態において、第1部分60aの内周部は、ステータ5のティース52の中間部に対向するように配置される。第2部分60bの幅は、ステータ5のヨーク51の幅と略同一である。
【0033】
端板部材60の第1部分60aの内面61(ステータ5側の面)には、その外周部に配置される4つの矩形状の凸部62と、その内周部に配置された湾曲形状の凸部63と、その下端部に配置された2つの直線状の凸部64とが形成されている。凸部62、凸部63及び凸部64は、互いに離れて配置される。第1部分60aの内面61において、凸部62、63、64以外の部分は、凸部62、63、64の先端面に対して凹状に形成される。そのため、冷却媒体は、第1部分60aの外周部の隣り合う凸部62の間及び凸部62と凸部64との間から、第1部分60aの内周部に向かって供給される。なお、第2部分60bの厚さは、第1部分60aの凸部62、64の厚さと同一であるため、冷却媒体は、第2部分60bの外周部から、第2部分60bの内周部に向かって供給されない。
【0034】
よって、端板部材60がステータ5の一端面5aに取り付けられた状態において、端板部材60の内面61とステータ5の一端面5aとの間には、内面61の凸部62、63、64以外の部分に対応する形状の冷却媒体供給路65が形成される。冷却媒体供給路65は、ステータ5の中心を通過する水平線より上側に配置される複数のスロット53(以下、ステータ5の上側にある複数のスロット53と称する)と連通しており、その複数のスロット53に冷却媒体を供給する。
【0035】
ステータ5の他端面5bには、ステータ5の一端面5aに取り付けられた端板部材60と同一形状の端板部材160が取り付けられるが、その取り付け方法が異なる。端板部材160は、ステータ5の他端面5bに対して、端板部材60と上下方向を反対にし、且つ、端板部材160の内面61が、ステータ5の他端面5b側に配置されるように取り付けられる。
【0036】
よって、端板部材160がステータ5の他端面5bに取り付けられた状態において、端板部材160の内面61とステータ5の他端面5bとの間には、内面61の凸部62、63、64以外の部分に対応する形状の冷却媒体供給路165が形成される。冷却媒体供給路165は、ステータ5の中心を通過する水平線より下側に配置される複数のスロット53(以下、ステータ5の下側にある複数のスロット53と称する)と連通して、その複数のスロット53に冷却媒体を供給する。
【0037】
本実施形態において、ステータ5の上側にある複数のスロット53(複数の第1スロット)の数と、ステータ5の下側にある複数のスロット53(複数の第2スロット)の数とは同一である。
【0038】
図6に示すように、端板部材60がステータ5の一端面5aに取り付けられ、端板部材160がステータ5の他端面5bに取り付けられているが、図7は、図6のステータ5を一端側から見た図であり、図8は、図6のステータ5を他端側から見た図である。なお、図7及び図8では、コイルエンドの図示を省略している。
【0039】
ステータ5の上側にある複数のスロット53内の空隙10の一方の端部(図1では左端部)は、図7に示すように冷却媒体供給路65と連通すると共に、ステータ5の上側にある複数のスロット53内の空隙10の他方の端部(図1では右端部)は、図8に示すように開放されている。また、ステータ5の下側にある複数のスロット53内の空隙10の一方の端部(図1では右端部)は、図8に示すように冷却媒体供給路165と連通すると共に、ステータ5の下側にある複数のスロット53内の空隙10の他方の端部(図1では左端部)は、図7に示すように開放されている。
【0040】
図1に示すように、コイル6は、スロット53内を通過するようにティース52に巻回される。コイル6の一端部(図1では左端部)を含むコイルエンド6aは、端板部材60に対してステータ5と反対側に配置されると共に、コイル6の他端部(図1では右端部)を含むコイルエンド6bは、端板部材160に対してステータ5と反対側に配置される。すなわち、ステータ5の一端側において、コイルエンド6aは端板部材60から突出しており、ステータ5の他端側において、コイルエンド6bは端板部材160から突出している。
【0041】
筐体2は、図1に示すように、円筒部材2aと、円筒部材2aの一端部に配置された円板部2bと、円筒部材2aの他端部に配置された円板部2cとを有している。円板部2b及び円板部2cには、それぞれ、穴部12aが形成されており、穴部12a内には、モータ軸3を回転可能に軸支する軸受部12bが配置される。
【0042】
筐体2の円筒部材2aの上部には、2つの供給穴66a、66bが形成される。供給穴66aは、ステータ5の一端面5a近傍の外側に形成され、供給穴66bは、ステータ5の他端面5b近傍の外側に形成される。供給穴66a、66bは、冷却媒体供給装置(図示しない)に接続されており、スロット53内のコイル6を冷却する場合、冷却媒体供給装置から2つの供給穴66a、66bに対して冷却媒体が供給される。
【0043】
円筒部材2aの内周面には、供給穴66aと連通する溝部67aと、供給穴66bと連通する溝部67bとが形成されている。ステータ5の外周面が円筒部材2aの内周面に取り付けられるが、ステータ5の一端面5aは溝部67aと対向すると共に、ステータ5の他端面5bは溝部67bと対向する。溝部67a、67bは、円筒部材2aの内周面の全周にわたって形成される。
【0044】
上述したように、端板部材60とステータ5の一端面5aとの間には、冷却媒体供給路65が形成されており、円筒部材2aの内周面に形成された溝部67aは、冷却媒体供給路65と連通している。そのため、図9に示すように、冷却媒体が、冷却媒体供給装置から筐体2の供給穴66aに供給されると、その冷却媒体は、円筒部材2aの溝部67aを通過して、冷却媒体供給路65内に供給される。
【0045】
その後、冷却媒体供給路65内の冷却媒体は、ステータ5の上側にある複数のスロット53内(冷却媒体供給路65よりステータ5の他端側にある複数のスロット53内)の空隙10に供給され、その空隙10を通過した冷却媒体は、ステータ5の他端面5bから筐体2内に流出する。その後、流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動して、円板部2cに形成された排出部68bから筐体2の外部へ排出される。流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動するときに、コイルエンド6bに触れることにより、コイルエンド6bを冷却する。
【0046】
また、端板部材160とステータ5の他端面5bとの間には、冷却媒体供給路165が形成されており、円筒部材2aの内周面に形成された溝部67bは、冷却媒体供給路65bと連通している。そのため、冷却媒体が、冷却媒体供給装置から筐体2の供給穴66bに供給されると、その冷却媒体は、円筒部材2aの溝部67bを通過して、冷却媒体供給路165に供給される。
【0047】
その後、冷却媒体供給路165内の冷却媒体は、ステータ5の下側にある複数のスロット53内(冷却媒体供給路65よりステータ5の一端側にある複数のスロット53内)の空隙10に供給され、その空隙10を通過した冷却媒体は、ステータ5の一端面5aから筐体2内に流出する。その後、流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動して、円板部2bに形成された排出部68aから筐体2の外部へ排出される。流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動するときに、コイルエンド6aに触れることにより、コイルエンド6aを冷却する。
【0048】
上述したように、モータ1において、ステータ5の上側にある複数のスロット53内の空隙10を、冷却媒体がステータ5の一端面5aから他端面5bに向かって通過するのに対して、ステータ5の下側にある複数のスロット53内の空隙10を、冷却媒体がステータ5の他端面5bから一端面5aに向かって通過する。すなわち、ステータ5の上側にある複数のスロット53内の空隙10と、ステータ5の下側にある複数のスロット53内の空隙10とでは、冷却媒体が通過する方向が反対方向である。
【0049】
また、冷却媒体供給路65内の冷却媒体は、ステータ5の他端面5bに向かって流れた後でステータ5の他端面5bから流出すると共に、冷却媒体供給路165内の冷却媒体は、ステータ5の一端面5aに向かって流れた後でステータ5の一端面5aから流出する。
すなわち、ステータ5の一端側において、ステータ5の上側にある複数のスロット53から冷却媒体が流出し、ステータ5の他端側において、ステータ5の下側にある複数のスロット5から冷却媒体が流出するため、ステータ5の一端面5aにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数は、ステータ5の他端面5bにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数とは同一である。
【0050】
なお、本発明として、ステータ5の複数のスロット53内の空隙10の全てを冷却媒体が一方向に向かって通過するモータが含まれるが、その場合、複数のスロット53の全てにおいて、冷却媒体の流入側と流出側とに温度差がある状態となり、ステータ5の軸方向についてコイル6に温度ムラが形成される。これに対して、本実施形態のモータ1において、複数のスロット53内の空隙10は、冷却媒体が一方向に向かって通過する空隙10と、冷却媒体が他方向に向かって通過する空隙10とを含んでいるため、ステータ5の軸方向についてコイル6に温度ムラが形成されるのが抑制される。
【0051】
以上のように、本実施形態のモータ1は、複数の積層板5tを有するステータ5と、ステータ5の内側に隙間を空けて配置されるロータ4とを備え、ステータ5は、外側に位置する環状のヨーク51と、ヨーク51の内周面からロータ4に向かって突出する複数のティース52とを備え、隣り合うティース52間には、ティース52に巻回されたコイル6が配置されるスロット53が形成され、スロット53の底部53aとコイル6との間には、冷却媒体が供給される空隙10が形成されており、ステータ5は、その積層板5tと対向するように配置される端板部材60、160を有しており、少なくとも1つのスロット53内の空隙10の一方の端部は、端板部材60、160とステータ5の積層板5tとの間にそれぞれ形成された冷却媒体供給路65、165と連通すると共に、少なくとも1つのスロット53内の空隙10の他方の端部は開放されている。
【0052】
このように、本実施形態によれば、端板部材60、160とステータ5の積層板5tとの間にそれぞれ形成された冷却媒体供給路65、165から、少なくとも1つのスロット53内の空隙10に冷却媒体が供給されるため、そのスロット53内の空隙10を通過する冷却媒体によりスロット53内のコイル6が冷却される。よって、最大温度となるスロット53内のコイル6中央部の温度上昇を効果的に抑制することが可能である。また、少なくとも1つのスロット53内の空隙10を通過した冷却媒体がコイルエンド6a、6bに触れることによりコイルエンド6a、6bが冷却される。よって、モータ1の損失密度が増加した場合でも、コイル6の温度上昇が規定値を超えるのを防止することが可能である。
【0053】
この場合、ステータ5の一端側に配置され、ステータ5の他端側に配置されるスロット53に対して冷却媒体を供給する冷却媒体供給路65と、ステータ5の他端側に配置され、ステータ5の一端側に配置されるスロット53に対して冷却媒体を供給する冷却媒体供給路165とを備え、冷却媒体供給路65内の冷却媒体は、ステータ5の他端面5bに向かって通過した後でステータ5の他端面5bから流出すると共に、冷却媒体供給路165内の冷却媒体は、ステータ5の一端面5aに向かって通過した後でステータ5の一端面5aから流出する。
【0054】
このようにすれば、冷却媒体供給路65内の冷却媒体がステータ5の一端面5aから他端面5bに向かって通過すると共に、冷却媒体供給路165内の冷却媒体がステータ5の他端面5bから一端面5aに向かって通過する。そのため、冷却媒体の全てが同一方向に向かって通過する場合と比べて、ステータ5の軸方向についてコイル6の温度を均一化できる。また、スロット53内を通過した冷却媒体の全てがステータ5の片側に流出される場合と比べて、ステータ5の一端面5aから流出する冷却媒体の量と、ステータ5の他端面5bから流出する冷却媒体の量との差が小さくなる。そのため、ステータ5から流出した冷却媒体を容易に回収できる。
【0055】
そして、このモータ1において、ステータ5の他端面5bにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数と、ステータ5の一端面5aにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数とは同一である。
【0056】
これにより、冷却媒体供給路65内の冷却媒体がステータ5の一端面5aから他端面5b向かって流れるときの冷却と、冷却媒体供給路165内の冷却媒体がステータ5の他端面5bから一端面5aに向かって流れるときの冷却とが略同一となる。そのため、ステータ5の軸方向についてコイル6の温度をより均一化できる。また、ステータ5の一端面5aから流出する冷却媒体の量と、ステータ5の他端面5bから流出する冷却媒体の量とを略同一にすることが可能である。
【0057】
さらに、このモータ1は、ステータ5の一端面5aに配置される端板部材60と、ステータ5の他端面5bに配置される端板部材160とを備え、コイル6のコイルエンド6aは、端板部材60に対してステータ5と反対側に配置されると共に、コイル6のコイルエンド6bは、端板部材160に対してステータ5と反対側に配置される。
【0058】
これにより、コイルエンド6a、6bまでの全体を覆うように冷却媒体供給路が形成される場合と比べて、ステータ5を小型化することが可能である。
【0059】
さらに、このモータ1は、複数のスロット53内の底部53a近傍には、スロット53内においてコイル6の位置決めを行うスペーサ8が配置されており、スペーサ8は、スロット53内の空隙10を形成するための凹部8cを有している。
【0060】
これにより、スロット53内においてコイル6が移動して、磁気的特性が変化するのを防止することが可能である。
【0061】
なお、具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0062】
上記実施形態において、ステータ5は、ステータ5の一端面5aに配置された端板部材60と、ステータ5の他端面5bに配置された端板部材160とを有しているが、ステータ5は、ステータ5の一端面5aに配置された端板部材60及びステータ5の他端面5bに配置された端板部材160のいずれかを有するものでもよい。
【0063】
上記実施形態において、ステータ5のスロット53を、ステータ5の上側にある複数のスロット53と、ステータ5の上側にある複数のスロット53との2つの部分に分けて、その2つの部分において、スロット53内の空隙10を冷却媒体が通過する方向が反対であるが、それに限られない。ステータ5のスロット53を上下以外の2つの部分に分けて、その2つの部分において、スロット53内の空隙10を冷却媒体が通過する方向が反対である場合、本発明の効果が得られる。
【0064】
上記実施形態において、ステータ5のスロット53を2つの部分に分けて、その2つの部分において、スロット53内の空隙10を冷却媒体が通過する方向が反対であるが、それに限られない。ステータ5のスロット53を2より大きい偶数個の部分に分けて、その偶数個の半分の部分と残りの部分において、スロット53内の空隙10を冷却媒体が通過する方向が反対である場合、本発明の効果が得られる。
【0065】
上記実施形態において、ステータ5の一端面5aにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数と、ステータ5の他端面5bにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数とが同一であるが、それに限られない。ステータ5の一端面5aにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数と、ステータ5の他端面5bにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数とは異なってよい。
【0066】
上記実施形態において、ステータ5のスロット53内にスペーサ8が配置されているが、スロット53内にスペーサ8は配置されなくてよい。
【0067】
上記実施形態において、ステータ5のスロット53内にスペーサ8が配置され、そのスペーサ8に2つの凹部8cが形成されることにより、1つのスロット53内に2つの空隙10が形成されているが、1つのスロット53内に形成される空隙10の数は、それに限られない。
【0068】
上記実施形態において、端板部材60、160は、ステータ5の端面に配置されているが、端板部材60Aは、ステータ5Aの積層板5tの間に配置されてよい。
【0069】
モータ1Aにおいて、ステータ5Aは、図10に示すように、その軸方向に積層された複数の積層板5tを有しており、複数の積層板5tの中央に端板部材60Aが配置される。ステータ5Aは、端板部材60Aより左側に配置されたステータ部分5Aと、端板部材60Aより右側に配置されたステータ部分5Aを有している。図11(a)は、端板部材60Aの左端面の平面図であり、図11(b)は、端板部材60Aの右端面の平面図であるが、端板部材60Aの両面(ステータ5の積層板5tとそれぞれ対向する面)には、その外周部に配置される8つの矩形状の凸部62Aと、その内周部に配置された円形状の凸部63Aとがそれぞれ形成されている。凸部62A及び凸部63Aは、互いに離れて配置される。そのため、端板部材60Aの両面において、凸部62A及び凸部63A以外の部分は、凸部62A及び凸部63Aの先端面に対して凹状に形成される。
【0070】
よって、端板部材60Aが、ステータ部分5Aとステータ部分5Aとの間に配置されると、端板部材60Aとステータ部分5Aとの間には、凸部62A及び凸部63A以外の部分に対応する形状の冷却媒体供給路65Aが形成される。冷却媒体供給路65Aは、ステータ部分5Aの複数のスロット53の全てと連通しており、その複数のスロット53に冷却媒体を供給する。ステータ部分5Aの全てのスロット53内の空隙10の一方の端部(図10では右端部)は、冷却媒体供給路65Aと連通すると共に、全てのスロット53内の空隙10の他方の端部(図10では左端部)は開放されている。
【0071】
また、端板部材60Aとステータ部分5Aとの間には、凸部62A及び凸部63A以外の部分に対応する形状の冷却媒体供給路65Aが形成される。冷却媒体供給路65Aは、ステータ部分5Aの複数のスロット53の全てと連通しており、その複数のスロット53に冷却媒体を供給する。ステータ部分5Aの全てのスロット53内の空隙10の一方の端部(図10では左端部)は、冷却媒体供給路65Aと連通すると共に、全てのスロット53内の空隙10の他方の端部(図10では右端部)は開放されている。
【0072】
筐体2の円筒部材2aの上部には、1つの供給穴66Aが形成される。供給穴66Aは、ステータ5の中央部の外側に形成される。供給穴66Aは、冷却媒体供給装置(図示しない)に接続されており、スロット53内のコイル6を冷却する場合、冷却媒体供給装置から供給穴66Aに対して冷却媒体が供給される。
【0073】
円筒部材2aの内周面には、供給穴66Aと連通する溝部67Aとが形成されている。ステータ5Aの外周面が円筒部材2aの内周面に取り付けられるが、ステータ5Aのステータ部分5Aとステータ部分5Aとの間の部分は、溝部67Aと対向する。溝部67Aは、円筒部材2aの内周面の全周にわたって形成される。
【0074】
上述したように、端板部材60Aとステータ部分5Aとの間には、冷却媒体供給路65Aが形成されており、円筒部材2aの内周面に形成された溝部67Aは、冷却媒体供給路65Aと連通している。そのため、冷却媒体が、冷却媒体供給装置から筐体2の供給穴66Aに供給されると、その冷却媒体は、円筒部材2aの溝部67Aを通過して、冷却媒体供給路65A内に供給される。
【0075】
その後、冷却媒体供給路65A内の冷却媒体は、ステータ部分5Aの全てのスロット53(冷却媒体供給路65Aよりステータ5の一端側にある複数のスロット53)内の空隙10に供給され、その空隙10を通過した冷却媒体は、ステータ部分5Aから筐体2内に流出する。その後、流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動して、円板部2bに形成された排出部68aから筐体2の外部へ排出される。流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動するときに、コイルエンド6aに触れることにより、コイルエンド6aを冷却する。
【0076】
また、端板部材60Aとステータ部分5Aとの間には、冷却媒体供給路65Aが形成されており、円筒部材2aの内周面に形成された溝部67Aは、冷却媒体供給路65Aと連通している。そのため、冷却媒体が、冷却媒体供給装置から筐体2の供給穴66Aに供給されると、その冷却媒体は、円筒部材2aの溝部67Aを通過して、冷却媒体供給路65A内に供給される。
【0077】
その後、冷却媒体供給路65A内の冷却媒体は、ステータ部分5Aの全てのスロット53(冷却媒体供給路65Aよりステータ5の他端側にある複数のスロット53)内の空隙10に供給され、その空隙10を通過した冷却媒体は、ステータ部分5Aから筐体2内に流出する。その後、流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動して、円板部2cに形成された排出部68bから筐体2の外部へ排出される。流出した冷却媒体は、重力により筐体2内を下方に移動するときに、コイルエンド6bに触れることにより、コイルエンド6bを冷却する。
【0078】
上述したように、モータ1Aにおいて、ステータ部分5Aのスロット53内の空隙10を、冷却媒体がステータ5Aの中央からステータ5の一端側に向かって通過するのに対して、ステータ部分5Aのスロット53内の空隙10を、冷却媒体がステータ5Aの中央からステータ5の他端側に向かって通過する。
【0079】
また、冷却媒体供給路65A内の冷却媒体は、ステータ5の一端面5aに向かって流れた後でステータ5の一端面5aから流出する。冷却媒体供給路65A内の冷却媒体は、ステータ5の他端面5bに向かって流れた後でステータ5の他端面5bから流出する。すなわち、ステータ5の一端側において、ステータ部分5Aの全てのスロット53から冷却媒体が流出し、ステータ5の他端側において、ステータ部分5Aの全てのスロット5から冷却媒体が流出するため、ステータ5の一端面5aにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数は、ステータ5の他端面5bにおいて冷却媒体が流出するスロット53の数とは同一である。
【符号の説明】
【0080】
1、1A モータ
4 ロータ
5、5A ステータ
5t 積層板
51 ヨーク
52 ティース
53 スロット
6 コイル
6a コイルの一端部
6b コイルの他端部
8 スペーサ
8c 凹部
10 空隙
60 端板部材(第1端板部材)
60A 端板部材
65 冷却媒体供給路(第1冷却媒体供給路)
65A、65A 冷却媒体供給路
160 端板部材(第2端板部材)
165 冷却媒体供給路(第2冷却媒体供給路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12