【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、船舶の船体に取り付けるための、液化ガスなどの加圧液体を収容す
るためのマルチローブタンクであって、少なくとも、中心線を有し長手方向に延在する第
1のマルチローブタンク部分と、中心線を有し長手方向に延在する第2のマルチローブタ
ンク部分とを備え、これらのマルチローブタンク部分が、互いに一列に配設されて、一直
線に揃った中心線を有する前方マルチローブタンク部分と後方マルチローブタンク部分と
を成し、第1の部分が、第1の部分の端部に向かって先細りしているマルチローブタンク
を提供する。接続側で互いに結合され、一方の部分が先細りになっている前方タンク部分
と後方タンク部分とを設けることによって、マルチローブタンクの形状は、船舶の船体に
より良く収まることができる。特に、先細り部分は、船体の船首側にうまく収まることが
できる。したがって、船舶の船体のより低い位置にタンクを取り付けることができ、その
結果、船艇の重心がより低くなる。それにより、船艇の安定性を向上させることができ、
これは、船舶の性能の向上につながり得る。また、タンクの配設位置がより低いことによ
り、マルチローブタンクをより大きくし、積載量をより大きくすることができる。
【0006】
有利には、第1のタンク部分と第2のタンク部分はほぼ等しい長さであり、したがって
、それぞれのタンク部分がタンクの長さの約半分を成す。それにより、タンクは、船舶の
船体により良く収まることができる。代替実施形態では、タンクの軸方向全長の軸方向長
さのうち先細りのタンク部分が占める割合が異なっていてもよい。例えば、3分の1また
は4分の1の区画であってよく、また半分を超えていてもよく、例えば長さの3分の2で
もよい。別の実施形態では、中心軸を有する第3のタンク部分が設けられてもよく、第3
のタンク部分は、中心軸が一直線に揃うように他のタンク部分と一列に配設されることが
ある。第3のタンク部分は、第2のタンク部分が第1と第3のタンク部分の間になるよう
に、第2のタンク部分の後方に配設されてよい。さらなる実施形態では、第3のタンク部
分も先細りしていてよい。第1のタンク部分および第2のタンク部分の軸方向分布は様々
でよく、船舶の船体の設計に応じていてよいことを理解されたい。また、第3のタンク部
分の有無は船舶の船体の設計に応じていてよく、および/または第1、第2、および第3
のタンク部分の軸方向分布は様々でよく、設計要件に応じていてもよいことを理解された
い。
【0007】
好ましい実施形態では、第1のタンク部分と第2のタンク部分とは別々に製造され、そ
れぞれが、互いに接合することができる開端部と、それとは逆側の閉端部とを有する。こ
のとき、第1のタンク部分と第2のタンク部分とは、それらの開端部で互いに接合される
。開端部とは逆側に、第1および第2タンク部分は閉端部を有する。このとき、タンク部
分はそれらの開端部で接合されて、マルチローブタンクを形成する。第1のタンク部分は
、その閉端部に向かって先細りしていることがあり、それにより、第1のタンク部分の開
端部での直径および/または断面積は、第1のタンク部分の閉端部またはその近くでの直
径および/または断面積よりも大きく、したがって、一実施形態では、閉端部に向かって
円錐状に先細りしている。好ましくは、第1のタンク部分と第2のタンク部分との接続部
またはその近くに横方向ウェブが提供される。それにより、タンクの剛性がさらに高めら
れる。また、第1の部分と第2の部分との間の液化ガスのスロッシングが減少される。有
利には、横方向ウェブには穴が設けられて、好ましくは重大なスロッシングを避けながら
、第1のタンク部分と第2のタンク部分との間の液体の運動を可能にする。
【0008】
好ましい実施形態では、マルチローブタンクは、2つの底部ローブと1つの上部ローブ
とを有する3ローブタンクとして構成される。これは、充填タンクの重心を下げる有利な
構成である。代替として、マルチローブタンクは、2つの底部ローブと2つの上部ローブ
とを有する4ローブタンクとして構成することもできる。
【0009】
有利には、3ローブタンクにはY字形構成の長手方向補強ウェブが設けられて、長手方
向および/または長手方向を横切る方向、すなわち断面平面内でタンクを強化する。Y字
形状の補強ウェブは、隣接するローブの外殻を接続する。有利には、Y字形状の補強ウェ
ブには、機器をタンクの頂部から底部に下降させ、底部から頂部に向かって引き戻すこと
を可能にするための開口部および/または穴が設けられる。好ましくは、開口部および/
または穴は、開口部および/または穴を通る機器の案内も提供する。特に、ポンプなどの
機器は、タンクから積荷を取り出して空にするために、タンクの底部まで下降させなけれ
ばならない場合がある。有利には、そのようなポンプは、タンクの最低位置に位置され、
これは、典型的には底部ローブの底部である。Y字形状の長手方向ウェブの斜行アームに
案内穴を設けるとき、そこを通して機器を下降させるおよび/または引き戻すことができ
る。
【0010】
有利には、タンクは、サドル支持体に支持され、より有利には、サドル支持体の少なく
とも1つが摺動支持体である。摺動支持体を設けることによって、温度変化によるタンク
内の液化ガスの膨張や収縮など、タンクの動きに対応することができる。有利な実施形態
では、摺動支持体は、互いに対して移動可能な木製ブロックを含む。典型的には、木材は
有利な強度−断熱比を有し、これは、木材が比較的高い荷重、例えば圧縮荷重に耐え、か
つ妥当なまたは有利な断熱を提供することができることを意味する。好ましくは、木製ブ
ロックの接触面には金属シートが設けられて、摩耗を低減し、木製ブロックの金属シート
同士の摺動中に金属−金属接触を提供する。また、支持体の位置ではタンクの断熱が中断
されるので、木材を使用することによって、タンクとその環境(例えば船舶の船体)との
間の熱伝導を低減させることができる。これにより、タンクの断熱性を改善し、タンクを
冷却するためのエネルギー消費を低減することができる。
【0011】
3つのローブのノードとY字形状の長手方向補強ウェブとの接続は、Y字形継手として
提供される。これは、接合された3つの構造、すなわち、1つのローブの外殻と、別のロ
ーブの外殻と、Y字形状の長手方向補強ウェブの脚部とが一体に溶接される従来技術の接
続とは異なる。熱的な力、極低温、および/または船舶の加速によるこの溶接部での高い
応力の観点から、この溶接部は非常に重要性の高い部分であり、したがって通常は非常に
重い。ここで、ノードに適合する専用のY字形継手を提供することによって、単一の大き
い溶接を、重要性がより低い領域での3つの溶接によって置き換えることができる。この
とき、Y字形継手を一方のローブの一方の外殻に接続するための溶接継目、Y字形継手を
他方のローブの外殻に接続するための継目、およびY字形継手を長手方向のY字形状補強
ウェブに接続するための継目が存在する。ここで、制御された環境でY字形継手を製造し
て、予想される荷重に特化させることができるので、これは特に有利である。また、Y字
形継手を構造に溶接することは、3つの構造が接合する複雑な接合部を溶接するよりも単
純であり簡単である。これにより、構造の信頼性が大幅に向上し、製造および/またはメ
ンテナンスのコストが低減される。
【0012】
有利な構成では、3ローブタンクの底部ローブの中心軸間の距離は、底部ローブの中心
軸から上方へ上部ローブの中心軸までの距離の2倍である。より有利な構成では、3つの
ローブの中心軸間の距離は全てほぼ等しい。したがって、3ローブタンクの構成は、船舶
の船体での利用可能な空間を考慮して、充填タンクの重心を下げるために最適化すること
ができる。
【0013】
さらに有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0014】
本発明を、図面に表される例示的な実施形態に基づいてさらに説明する。例示的な実施
形態は、非限定的な例として与えられている。