【解決手段】ニコチン、治療有効量のカンナビジオール、および薬学的に許容可能なビークルを含む医薬組成物を、それを必要としている個体に投与することを含む。いくつかの態様では、組成物は、経口剤形または鼻内噴霧におけるように、経粘膜的に投与される。他の態様では、組成物は経皮的に投与される。別の態様では、噛むことができるガムは、少なくともベース部分にニコチンおよび少なくともその外側部分にカンナビジオールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書のいくつかの態様は、一部分は、医薬組成物を開示する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な組成物」という用語は「医薬組成物」と同義であり、治療に有効な濃度の有効成分を含み、目的の応答をもたらす組成物である。本明細書で開示される医薬組成物は、医学的および獣医学的用途において有用であり得る。医薬組成物は、単独で個体に投与してもよく、あるいは、他の補足的な有効成分、作用物質、薬剤、またはホルモンと組み合せて投与してもよい。通常、組成物は、限定されないが、経口、静脈内、経皮、皮下、局所、非経口、またはこれらの組み合わせによる経路を含む、任意の好適な経路により投与し得る。使用可能な好適な剤形の非限定的例には、チューインガム、トローチ剤、経皮貼付剤、および鼻内噴霧が含まれる。
【0011】
医薬組成物は、活性成分を薬学的に許容可能な組成物に処理することを容易にする、薬学的に許容可能な担体を含み得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語は「薬学的担体」と同義であり、投与された場合に長期的または永続的な有害作用を実質的に有さない任意の担体を意味し、「薬学的に許容可能なビークル」、「安定化剤」、「希釈剤」、「添加剤」、「補助剤」、および「賦形剤」などの用語を包含する。一般的にこのような担体は、活性化合物と混合されるか、または活性化合物を希釈もしくは封入可能であり、固形、半固形、または液体作用物質であってよい。有効成分は溶解するか、または所望の担体もしくは希釈剤中の懸濁物として送達できることが理解されよう。例えば、水、食塩水、グリシン、ヒアルロン酸などの水性媒体;例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルカム、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムなどの固体担体;溶媒;分散媒;コーティング;抗菌剤および抗真菌剤;等張性剤および吸収遅延剤;またはその他の不活性成分を含む種々の薬学的に許容可能な担体のいずれかを使用できるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な担体の選択は投与方法によって変わり得る。有効成分と不適合である場合を除き、薬学的に許容可能ないずれの担体も、薬学的に許容可能な組成物中でのその使用が意図されている。このような医薬担体の特定の使用の非限定的な例は、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers,7th ed.1999);REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(Alfonso R.Gennaro ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,20th ed.2000);Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G.Hardman et al,eds.,McGraw−Hill Professional,10th ed.2001);and Handbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al,APhA Publications,4th edition 2003)で見出すことができる。これらのプロトコルはルーチンの手順であって、そのいずれの修正も当業者の技量および本明細書の教示の範囲内に十分含まれる。
【0012】
医薬組成物は、他の薬学的に許容可能な成分(あるいは医薬成分)を含み得、これらの成分としては、緩衝剤、保存剤、張度調節剤、塩、抗酸化剤、浸透圧調節剤、生理的物質、薬理学的物質、増量剤、乳化剤、湿潤剤、甘味料もしくは香味剤などを挙げ得るが、これらに限定されない。得られる調製物が薬学的に許容可能なものとなることを条件として、様々な緩衝剤およびpH調節手段を使用して、本明細書で開示される医薬組成物を調製できる。このような緩衝剤としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水、およびホウ酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。組成物のpHを調節するために、必要に応じて、酸または塩基を使用できることが理解されよう。薬学的に許容可能な抗酸化剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、およびブチルヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。有用な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化オキシクロロ組成物、およびキレート剤(例えば、DTPAまたはDTPAビスアミド、カルシウムDTPA、およびCaNaDTPAビスアミドなど)が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物に有用な張度調節剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、マンニトールまたはグリセリン、およびその他の薬学的に許容可能な張度調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物は塩として提供してもよく、限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸を使って形成することができる。塩は、対応する遊離塩基型と比較して、水性溶媒またはその他のプロトン性溶媒への可溶性がより高い傾向がある。薬理学の分野で既知のこれらの物質および他の物質を医薬組成物に含めることができることが理解されよう。
【0013】
カンナビジオールおよびニコチン
カンナビジオール(CBD)、2−[(1R,6R)−3−メチル−6−(1−メチルエテニル)−2−シクロヘキセン−1−イル]−5−ペンチル−1,3−ベンゼンジオール、は、大麻中で特定された少なくとも113種の活性カンナビノイドの1種である。これは主要な植物性カンナビノイドであり、植物の抽出物の最大で40%を占める。CBDは、合成で調製し得る、または大麻などの適切な天然の材料からよく知られた技術を用いて抽出し得る。CBDは、胃中の酸性の条件下で分解する傾向があるために、いくつかの態様では、好適な腸溶コーティングなどを用いて、活性成分の所望の送達を実現し得る。
【0015】
2−[(1R,6R)−3−メチル−6−(1−メチルエテニル)−2−シクロヘキセン−1−イル]−5−ペンチル−1,3−ベンゼンジオール
【0016】
文脈から明示されない限り、「カンナビジオール」または「CBD」は、天然および合成化合物の両方を包含する。剤形中に存在するCBDの量は、広範囲にわたり変化してよいが、例えば、多くの場合、約1〜約300mg、より一般的には、約2〜約250mgの範囲であり、典型的には、約3〜約200mg、約4〜約180mg、約5〜約160mg、約6〜約140mg、約7〜約120mg、約8〜約100mg、約10〜約80mg、約12〜約60mg、約15〜約50mg、または約20〜約45mgの範囲である。
【0017】
CBDの薬理学的特性は、近年かなりの程度まで研究されてきたが、人体におけるその正確な作用機序は完全には理解されていない。Lingeらは、CBDは抗うつ作用を示すにも関わらず、「大うつ病を処置するその潜在能力は調査が不十分である」ことに気付いた(“Cannabidiol induces rapid−acting antidepressant−like effects and enhances cortical 5−HT/glutamate neurotransmission:role of 5−HT1A receptors,” J.Neuropharm 2015.12.017)。別の論文で、CBDはモノアミンオキシダーゼ(MAO)活性を阻害するには「効果的でない」として報告されている。“Safety,Side Effects of Cannabidiol,” Current Drug Safety,2011,Vol.6,No.4、を参照されたい。この先行論文にも関わらず、本発明者らは、CBDが、MAO−AおよびMAO−Bの両方を含む、MAOの阻害に効果的であるという予想外の驚くべき発見をした。
【0018】
ニコチンは、合成により調製し得る、またはタバコなどの適切な天然の材料からよく知られた技術を用いて抽出し得る。ニコチンは、ニコチン塩、ニコチン遊離塩基、複合体中に結合したニコチン、またはこれらの適切な組み合わせの形態として存在し得る。ニコチン塩の非限定的例には、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン二酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛、ニコチンサリチル酸塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。ニコチンは、イオン交換樹脂、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂などの複合体中で結合され得る。弱酸性陽イオン交換樹脂の例は、米国特許第3,901,248号に記載の、ポラクリレックスまたはポリメタクリル酸(アンバーライトIRP64またはピュロライト)である。この特許の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書での「ニコチン」への言及は、上述した形態のいずれかのニコチンをも含む。
【0019】
剤形中に存在するニコチンの量は、広範囲にわたり変化してよいが、例えば、多くの場合、約0.1〜約10mg、より一般的には、約0.5〜約8mgの範囲であり、典型的には、約1〜約6mg、約2〜約5mg、または約3〜約4mgの範囲である。
【0020】
CBDのモノアミンオキシダーゼを阻害する能力は、無煙タバコ中毒を処置するためにCBDを特に効果的なものにし、CBDがニコチンと適切に同時投与される場合に特に、タバコの中毒を生じさせる特性を「強化する」作用を軽減するのを支援する。Guillem et al.,“Monoamine Oxidase Inhibition Dramatically Increases the Motivation to
Self−Administer Nicotine in Rats,” J.Neurosci.,25(38):8593−8600(2005)を参照されたい。
【0021】
チューインガム
いくつかの態様では、医薬組成物は、チューインガムとして処方され得る。ガム基礎剤の薬剤処方は、特定の調製される製品に応じて、ならびに最終製品の所望の咀嚼特性およびその他の感覚特性に応じて実質的に変えることができる。例えば、典型的なガム基礎剤成分の範囲は、5〜80重量%のエラストマー化合物、5〜80重量%の天然のおよび/または合成樹脂(エラストマー可塑剤)、0〜40重量%のワックス、5〜35重量%のワックス以外の軟化剤、0〜50重量%のフィラー、および0〜5重量%の酸化防止剤、着色剤などのその他の成分を含む。ガム基礎剤は、チューインガム総重量の約5〜95重量%、多くの場合、約10〜60重量%または約40〜50重量%を含んでよい。
【0022】
多くの場合、緩衝剤が使用される。使用可能な緩衝剤の例には、トリス緩衝液、アミノ酸緩衝液、アルカリ金属、例えば、カリウムおよびナトリウムの一炭酸塩、二炭酸塩または四炭酸塩を含む炭酸塩、グリセリン酸塩、リン酸塩、グリセロ燐酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩またはクエン酸塩、例えば、クエン酸三ナトリウムおよびクエン酸三カリウムまたはクエン酸アンモニウム、ならびにこれらの混合物が含まれ得る。緩衝剤のその他の例には、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコノ−δ−ラクトン、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、リン酸、オルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸カリウム、オルトリン酸カルシウム、二リン酸ナトリウム、二リン酸カリウム、二リン酸カルシウム、三リン酸五ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、炭酸、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0023】
緩衝剤は、ある程度までマイクロカプセル化または別の方法で顆粒として、1種または複数の緩衝剤より低い唾液に対する溶解度のポリマーおよび/または脂質を用いてコーティングされ得る。このようなマイクロカプセル化は、溶解速度を制御し、それにより、緩衝作用の期間を延長する。緩衝剤の量は、チューインガムの総重量を基準にして、0〜約15%の範囲、多くの場合約0.5〜約10%の範囲であってよい。
【0024】
エラストマーを用いて、ゴム状の接着性をガムに与え得る。ガム基礎剤およびガムでの使用に好適するエラストマーには、天然または合成型を含み得る。エラストマー可塑剤を用いて、ガム基礎剤の固さを変えてもよい。エラストマー分子内鎖相互作用(可塑化)に対するそれらの特異性は、基剤に使用される場合、それらの種々の軟化点に加えて、様々な程度の完成ガム固さおよび相溶性をもたらす。これは、ワックスのアルカン鎖に対し、より多くのエラストマー鎖曝露をもたらし得る。
【0025】
ガム基礎剤に用いられたエラストマーは、所望のガム基礎剤の種類、所望のガム配合物の舌触りおよび最終チューインガム製品を作製するために配合物に使用されるその他の成分などの種々の要因に応じて変化し得る。エラストマーは、当該技術分野において既知の任意の非水溶性ポリマーであってよく、チューインガムおよび風船ガムに使用されるガムポリマーを含む。例えば、ガム基礎剤に使用するために好適するポリマーには、限定されないが、チクルガム、天然ゴム、クラウンガム、ニスペロ、ロシディンハ、ジェルトン、ペリロ、ニガーグッタ、ツヌー、バラタ、グッタペルカ、レチカプシ、ソルバ、グッタケイなど、およびこれらの混合物などの天然物質(植物起源の)が挙げられる。合成エラストマーの例には、限定されないが、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニルなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
天然の樹脂を本発明により使用し得、例として、部分水素添加ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分的二量体化ロジンのグリセロールエステル、タリー油ロジンのグリセロールエステル、部分水素添加ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素添加メチルエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステル、α−ピネン、β−ピネン、および/またはd−リモネン由来のテルペン樹脂、などの合成樹脂、および天然のテルペン樹脂を含む、多くの場合エステルガムと呼ばれる、天然のロジンエステルであってもよい。
【0027】
樹脂は、α−ピネン、β−ピネン、および/またはd−リモネン、天然のテルペン樹脂由来のものなどのテルペン樹脂、ガムロジンのグリセロールエステル、トール油ロジン、ウッドロジン、またはこれらのその他の誘導体、例えば、部分水素添加ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分的二量体化ロジンのグリセロールエステル、部分水素添加ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素添加メチルエステルまたはロジンのペンタエリスリトールエステルおよびこれらの組み合わせから選択してよい。
【0028】
その他のチューインガム成分は、バルク甘味料、香味料、乾燥結合物質、錠剤化助剤、固化防止剤、乳化剤、酸化防止剤、賦活薬、吸収促進薬、緩衝剤、高甘味度甘味料、柔軟剤、着色料、およびこれらの組み合わせから選択してよい。乳化剤の非限定的例には、シクロデキストリン、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、マクロゴールアルキルエーテル、エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ソルビタンエステル、ジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル、ラクチル化モノグリセリド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。乳化剤の量は、多くの場合、チューインガムの総重量を基準にして、約0.1重量%〜約25重量%の範囲である。
【0029】
石油ワックスは、ガム基礎剤から作製された完成品ガムの硬化に役立ち、さらに、保存寿命および舌触りを改善する。ワックスの結晶サイズは、香味料の放出に影響を与える。イソアルカンに富むこれらのワックスは、ノルマルアルカンに富むワックス、特に30個未満の炭素数のノルマルアルカンを有するものより小さい結晶サイズを有する。より小さい結晶サイズは、香味料のより遅い放出を可能にする。理由は、より大きな結晶サイズを有するワックスに比べて、このワックスからの香味料の脱出に対するより多くの障害が存在するためである。ノルマルアルカンワックスを用いて作製したガム基礎剤は、イソアルカンワックスを用いて作製したガム基礎剤に比べて、相溶性が低い。
【0030】
石油ワックス(精製パラフィンおよび微結晶性ワックス)およびパラフィンワックスは、主に直鎖ノルマルアルカンおよび分岐イソアルカンから構成されている。ノルマルアルカンのイソアルカンに対する比率は変化する。
【0031】
ノルマルアルカンワックスは通常、C−18より大きい炭素鎖長を有するが、長さは、ほとんどがC−30より大きくない。分岐および環状構造は、ほとんどがノルマルアルカンであるワックスでは、鎖の末端近傍に位置している。ノルマルアルカンワックスの粘度は、10mm
2/s未満(100℃で)であり、全部合わせた場合の数平均分子量は、600g/モル未満である。
【0032】
イソアルカンワックスは通常、ほとんどがC−30より大きい炭素長さを有する。分岐鎖および環状構造は、ほとんどがイソアルカンであるワックスでは、炭素鎖に沿ってランダムな位置にある。イソアルカンワックスの粘度は、10mm
2/sより大きく(100℃で)、全部合わせた場合の数平均分子量は、600g/モル超である。合成ワックスは、石油ワックス生産では非定型の手段により製造され、したがって、石油ワックスとは見なされない。合成ワックスは、分岐アルカン、および限定されないが、プロピレン、ポリエチレンなどのモノマーと共重合されたアルカンを含むワックス、およびフィッシャー・トロプシュ法ワックスを含み得る。ポリエチレンワックスは、それに結合したエチレンモノマーを有する種々の長さのアルカン単位を含む合成ワックスである。
【0033】
ワックスおよび油脂は、チューインガム基礎剤の調製の際に、舌触りの調節およびチューインガム基礎剤の軟化のために従来法により使用される。任意の従来法により使用され、好適な種類の天然のおよび合成ワックスならびに油脂、例えば、コメヌカワックス、ポリエチレンワックス、石油ワックス(精製パラフィンおよび微結晶性ワックス)、モノステアリン酸ソルビタン、タロー、プロピレングリコール、パラフィン、蜜ろう、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、ココアバター、脱脂ココア粉末および任意の好適な油または油脂、例えば、完全もしくは部分水素添加植物油または完全もしくは部分水素添加動物性油脂を使用し得る。
【0034】
酸化防止剤はガム基礎剤、完成品ガムまたはそれらそれぞれの油脂および香味料油を含む成分の保存寿命および貯蔵を延長する。ガム基礎剤の使用に好適な酸化防止剤には、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ベータカロチン、トコフェロール、ビタミンCなどの酸味料、没食子酸プロピル、およびこれらのその他の合成および天然型、または混合物が挙げられる。
【0035】
チューインガムは、その他の従来の成分、例えば、バルク甘味料、糖甘味料、砂糖の代用甘味料、人工甘味料、高甘味度甘味料、またはこれらの組み合わせを含む甘味料を含み得る。バルク甘味料は、約5〜約95重量%のチューインガム、より典型的には約20〜約80重量%、約30〜70重量%、または約30〜60重量%のガムを構成し得る。
【0036】
有用な糖甘味料は、限定されないが、ショ糖、デキストロース、マルトース、デキストリン、トレハロース、D−タガトース、乾燥転化糖化、フルクトース、果糖、ガラクトース、固形コーンシロップなどを単独でまたは組み合わせて含むチューインガム技術で一般に既知の糖類含有成分である。
【0037】
ソルビトールは、非糖甘味料として使用できる。その他の有用な非糖甘味料には、限定されないが、マンニトール、キシリトール、水素添加デンプン加水分解物、マルチトール、イソマルト、エリスリトール、ラクチトールなどの他の糖アルコールが、単独でまたは組み合わせて含まれる。
【0038】
高甘味度人口甘味剤もまた、単独でまたは上記甘味料と組み合わせて使用できる。高甘味度甘味料の非限定的例には、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファームの塩、アリターム、サッカリンおよびその塩、シクラミン酸およびその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリン、ステビオシド(sterioside)などの単独または組み合わせが挙げられる。より長期間継続する甘味および香味料知覚作用を提供するために、カプセルかまたは別の方法で少なくとも一部の人工甘味料放出を制御することが望ましいであろう。湿式造粒、ワックス造粒、噴霧乾燥、噴霧冷却、流動床コーティング、保存、イースト菌中へのカプセル封入および繊維押し出しなどの技術を用いて、所望の放出特性を達成し得る。甘味剤のカプセル封入はまた、樹脂性化合物などの別のチューインガム成分を用いて提供することもできる。
【0039】
人工甘味料の使用レベルは、大幅に変わってもよく、甘味料の効力、放出速度、製品の所望の甘さ、使われる香味料のレベルと種類およびコストに対する考慮などの要因に依存するであろう。人工甘味料の活性レベルは、約0.001〜約8重量%の範囲で変わってもよく、多くの場合、約0.02〜約8重量%の範囲である。カプセル封入のために使用される担体が含まれる場合、カプセル化甘味料の使用レベルは、比例して高くなるであろう。糖甘味料および/または非糖甘味料の組み合わせを、必要に応じ、使用し得る。
【0040】
チューインガムおよび/またはガム基礎剤としては、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、粉砕石灰岩、ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸アルミニウム、カオリンおよび粘土などのケイ酸塩化合物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、滑石、酸化チタン、モノ、ジおよびトリリン酸カルシウム、木材などのセルロースポリマー、およびこれらの組み合わせなどの1種または複数のフィラー/調質剤を挙げ得る。
【0041】
多くのその他のよく知られたチューインガム成分が存在してよく、これらには、限定されないがワックス、油脂、柔軟剤、フィラー、香味料、酸化防止剤、乳化剤、着色料、結合剤、および酸味料が含まれる。チューインガムは、ハードコーティング、ソフトコーティング、食用フィルムコーティングまたはこれらの任意の組み合わせなどの外側コーティングを備えてもよい。
【0042】
いくつかの態様では、ニコチンは、ニコチンがガム基礎剤中に実質的に均一に含有されるように、ガム基礎剤の他の成分と共に配合される。ニコチンまたはニコチン複合体は、微粉化ケイ酸、非晶質シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、カオリン、粘土、結晶質アルミノケイ酸塩、マカロイドベントナイト、活性炭、アルミナ、ヒドロキシルアパタイト、微結晶セルロース、またはこれらの任意の組み合わせなどの吸着剤上に付与し得る。ニコチンを、カプセルに封入して、ニコチンの所望の制御放出または持続放出を可能としてもよい。ニコチンの持続放出を提供するチューインガムの例は、米国特許出願公開第2007/0014887号に記載されている。この特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
いくつかの態様では、ニコチン含有ガム基礎剤およびその他の成分は、最初に配合され、その後、CBDをチューインガムの外側部分に染みこませる。あるいは、CBDとニコチンがそれぞれガム基礎剤中に実質的に均一に含まれるように、CBDをニコチンおよび他の成分と一緒に配合してもよい。
【0044】
1つの技術では、CBDが予め形成されたガム基礎剤の外側に適用され、CBDをガム基礎剤の外側部分に染みこませるのに十分な条件下でマイクロ波照射が実施される。マイクロ波照射はガム基礎剤中に存在する水分子にエネルギーを与え、より大きなCBD分子が表面を通して、ガム基礎剤の外側部分に吸収されるのを可能とする。得られたチューインガムが、最初に口内に置かれ、例えば、個体がガムをかみ始めると、CBDの迅速な放出およびニコチンの持続放出をもたらし得る。
【0045】
類似の放出プロファイルは、錠剤、カプセル剤、などの経口剤形を介しても達成され得る。例えば、錠剤は、ニコチンを含むコア層を有し、その持続放出をもたらし、CBD含有外層がその即時放出をもたらし得る。その他の組み合わせも可能である。例えば、片方または両方の層が、CBDとニコチンの両方を含んでよく、それにより、それぞれの活性成分(単数または複数)が即時および持続放出により放出される。
【0046】
代替製剤
チューインガムなどの経口剤形の代わりに、CBDおよびニコチンを、それぞれ活性成分の経粘膜送達または経皮送達のための鼻内噴霧または経皮貼付剤などのその他の送達ビークル中に提供してもよい。このような送達ビークルの詳細は、当業者によく知られており、本発明の一部を形成するものではない。例えば、米国特許出願公開第2010/0236562号(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、吸入噴霧によりニコチンを送達するように設計されている、ニコチン、酸素、噴射剤、およびその他の成分を含有する加圧型容器を開示している。米国特許第5,948,433号(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、バッキング層、ライナー層、およびバッキング層とライナー層との間に配置された薬物含有粘着層を有する経皮貼付剤の例を開示している。
【0047】
本明細書で使用される場合、「処置する」という用語は、個体の無煙タバコ中毒の臨床的症状を低減もしくは取り除くことを意味する。例えば「治療する」という用語は、無煙タバコ中毒の1種または複数の症状を、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ超、低減させることを意味し得る。無煙タバコ中毒に関連する症状は良く知られており、当業者により特定することができる。当業者であれば、無煙タバコ中毒に関連する該当する症状または指標を理解し、個体が本明細書で開示される処置の候補であるか否かを判断する方法をわかるであろう。
【0048】
投与量、は一回用量でも、累積量(連続投薬)でもよく、これは、当業者により容易に決定できる。投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子に応じて、個体ごとに変わり得る。例えば、本明細書で開示の医薬組成物の有効量は、不確定期間、または個体がそれ以上治療の必要がなくなるまで、1日1回またはそれ以上、個体に投与できる。当業者なら、処置の全過程にわたり個体の状態をモニターし、それに応じて投与する本明細書で開示の医薬組成物の有効量を調節できることをわかるであろう。
【0049】
本明細書で開示される医薬組成物は、他の治療化合物と組み合せて個体に投与して、処置の全体的な治療効果を高めてもよい。適応症を処置するために複数の化合物を使用することは、有益な効果を高めるとともに副作用の存在を低減させることができる。いくつかの実施例では、CBDおよびニコチンが、別のモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)の投与なしに、同時投与される。
【0050】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得る。例えば、本明細書で開示の医薬組成物は無煙タバコ中毒の処置での使用のために処方されるが、この組成物はまた、禁煙における使用にも効果的であり得ることが理解されるべきである。
【0051】
以下の実施例は、例示するものであり、本明細書で示された本開示の範囲を限定するものではない。
【0052】
実施例1
この実施例は、ニコチンおよびカンナビジオール(CBD)を含有するチューインガムの調製について示す。市販の、単回用量当たり4mgのニコチンを含むNicorette(登録商標)ガムを、ニコチン含有ガム基礎剤として用いた。それぞれのガム片を50mgのCBDでコートした。いくつかのコートガム片をマイクロ波オーブン中に置いた。その後、CBDがガム片の外表面に短時間で染みこませるための高設定でマイクロ波照射を適用した。
【0053】
実施例2
この実施例は、カンナビジオールのモノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害活性を測定するための実験を記載する。MAOは、ミトコンドリアの外膜上に位置する酵素であり、モノアミン神経伝達物質の異化作用に関与する。次記の特徴がはっきりした2種のイソ酵素が存在する:主としてセロトニンおよびノルエピネフィリンを異化するMAO−A、およびベンジルアミンおよびフェニルエチルアミンを選択的に異化するMAO−B。ドーパミンおよびチラミンは、両方のアイソフォームにより代謝される。
【0054】
MAOの活性を検出するために、発光法(MAO−Gloアッセイキット、Promega、カタログ番号V1401)を使用した。本方法では、MAO基質(キットに用意されたカブトムシルシフェリン誘導体)を試験する化合物(今回のケースでは、ミオスミンおよびコントロール化合物)と混合する。次に、MAO−AまたはMAO−B酵素をこの混合物に加え、室温で1時間インキュベートして、反応させた。試験化合物により阻害されない場合には、MAO酵素は、基質をメチルエステルルシフェリンに変換する。最終的に、ルシフェリン検出試薬(キットに用意されている)を加え(室温で20分)、MAO反応を停止し、メチルエステルルシフェリンをD−ルシフェリンに変換する。D−ルシフェリンは、ルシフェラーゼと反応して、発光信号を生成し、これは、D−ルシフェリン濃度、すなわち、MAO活性と正比例する:生成した光の量が大きいほど、MAOの活性は高い。発光信号は、ルミノメーターを用いて測定、記録される。
【0055】
図1に示すように、カンナビジオールは、MAO−Aの強力な阻害剤であることが明らかになり、実に、ノルニコチンより大きい程度でさえあった(
図1で、より左側に出現する値は、より強力であることを示す)。7.5mM(7,500ミクロモル)の濃度で、CBDはMAO−A活性の約50%を阻害した。ポジティブコントロールであるクロルギリンのMAO−Aの阻害活性は、
図1の左側部分に認めることができる。
【0056】
図2は、CBDがMAO−B活性も阻害することを示すが、MAO−A活性の阻害より少ない程度である。7.5mM(7,500ミクロモル)の濃度で、CBDはMAO−B活性の約30%を阻害した。ポジティブコントロールのデプレニールに対するMAO−Bの阻害活性は、
図2の左側部分に認めることができる。
【0057】
実施例3
この実施例は、20年を超える期間にわたり無煙タバコ製品の常用者であった個体の処置について示す。この個体は、以前に、ニコチン補充療法およびさらには催眠法を行って、無煙タバコ製品の使用を中止することを数回試みたが失敗した経緯がある。
【0058】
個体は、実施例1に記載のチューインガムの毎日の使用を開始し、欲求を満たすために、その日の内で周期的間隔を置いて使用した。その個体は、処置開始で直ちに、タバコ製品の使用を中止した。8週間の処置後、その個体は、その時点でもタバコ製品を使用していなかった。
【0059】
実施例4
この実施例は、無煙タバコの慢性常用者であった10人の個体群を含む試験の結果を報告する。10人の個体のそれぞれは、実施例1に記載のチューインガムの供給を受け、24時間の期間にわたり、必要性を生じる毎にガムを使用するように指示された。この期間の最後に、全ての対象(10人/10人中)が、彼らが通常なら消費したであろう無煙タバコ製品の代わりにチューインガムを使用したことを報告し、また、全ての対象(10人/10人中)が、チューインガムが無煙タバコに対する欲求を大いに阻止するのに効果的であったことを報告した。
【0060】
特定の実施形態が記載され、例示されてきたが、当業者により変更がなされ得るので、本発明はこれらに限定されないことを理解されたい。本出願は、本明細書で開示され、請求された基本となる発明の趣旨と範囲内に入る任意のおよび全ての変更を意図している。